説明

メディアコンテンツストリームを暗号解読するための方法、装置およびシステム

メディアコンテンツの暗号解読のための方法、装置およびシステムが開示される。1つの実施形態において、第一のコンテンツストリームは、受信デバイスにおいて、受信デバイスに接続された送信デバイスから受信され、この第一のコンテンツストリームは、特定のパッケージ構造に形式付けられたメディアコンテンツを有し、メディアコンテンツはHigh−Definition Content Protection(HDCP)値に関連付けられる。第一のコンテンツストリームは、第一のコンテンツストリームからHDCP値を除去し、その一方でメディアコンテンツのパッケージ構造は保持されるようにすることにより、第二のコンテンツストリームへと暗号解読される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、2008年2月28日出願の米国仮特許出願第61/032,424号の優先権を主張する。
【0002】
本発明の実施形態は一般に、ネットワークの分野、特にメディアコンテンツストリームの暗号解読に関する。
【背景技術】
【0003】
複数のデータストリーム、たとえばディスプレイのための複数のメディアデータストリームを利用するシステムの動作において、データには、High−bandwidth Digital Content Protection(HDCP)によって保護されたデータが含まれているかもしれず、これらのデータを本明細書の中ではHDCPデータと呼ぶ。
【0004】
HDCPは、メディアコンテンツ、特にプレミアムメディアコンテンツを保護するために使用されるコンテンツ保護プロトコルである。たとえば、送信デバイス(たとえば、DVDプレイヤ)と受信デバイス(たとえば、テレビ)の間で、High−Definition Multimedia Interface(HDMI)インタフェースを介してコンテンツが流れる。デバイス間に流れるプレミアムHDMIメディアコンテンツにHDCP値が含まれる場合、システムは、暗号解読を利用する複数の符号化されたストリームを供給するかもしれない。しかしながら、HDMIコンテンツストリームの暗号解読を行う工程は時間がかかり、面倒であり、また貴重なシステム資源を浪費する。その結果、データが視聴されるようになる前に遅延が生じ、これがシステムを使用し、楽しむ上での障害となる。
【0005】
従来の技術では、HDMIメディアコンテンツストリームの暗号解読を行って、HDCP値(受信機はこれを受信しない)を除去するのに、コンテンツストリーム全体を分解する、すなわち映像コンテンツ、音声コンテンツ等を除去し、その後再びメディアコンテンツストリームを組み立てなおさなければならない。このような従来の技術によれば、メディアストリームはその形式を失わざるをえないだけでなく、暗号解読作業を行うために余分なハードウェアが必要となり、システム資源に負担がかかる。
【0006】
そこで、コンテンツストリームのパケット形式およびそのその他のコンテンツを保持しながら、特定の値を除去するような方法で、メディアコンテンツストリームの暗号解読を効率的に行うような暗号解読システムを有することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ある方法、装置およびシステムは、メディアコンテンツストリームの暗号解読を行うための暗号解読メカニズムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、メディアコンテンツストリームを暗号解読する方法は、受信デバイスにおいて、受信デバイスに連結された送信デバイスから第一のコンテンツストリームを受信するステップであって、第一のコンテンツストリームは特にパッケージ構造として形式付けられたメディアコンテンツを有し、このメディアコンテンツはHigh−Definition Content Protection(HDCP)値に関連付けられているステップと、メディアコンテンツのパッケージ構造を保持しながら第一のコンテンツストリームからHDCP値を除去することによって、第一のコンテンツストリームを第二のコンテンツストリームに暗号解読するステップと、を含む。
【0009】
一実施形態において、メディアコンテンツストリームを暗号解読する装置は、第一のコンテンツストリームを受信デバイスに送信する送信デバイスを備え、第一のコンテンツストリームは、特にパッケージ構造として形式付けられたメディアコンテンツを有し、このメディアコンテンツはHigh−Definition Content Protection(HDCP)値に関連付けられている。この装置は、メディアコンテンツのパッケージ構造を保持しながら第一のコンテンツストリームからHDCP値を除去することによって、第一のコンテンツストリームを第二のコンテンツストリームに暗号解読するコンテンツ暗号解読装置を有する受信機をさらに備える。
【0010】
一実施形態において、メディアコンテンツの暗号解読のためのシステムは、コンテンツ暗号解読メカニズムを有する受信デバイスに連結された送信デバイスを持つコンテンツ通信システムを備え、コンテンツ暗号解読メカニズムは、送信デバイスから第一のコンテンツストリームを受信し、第一のコンテンツストリームは特にパッケージ構造として形式付けられたメディアコンテンツを有し、メディアコンテンツはHigh−Definition Content Protection(HDCP)値に関連付けられ、コンテンツ暗号解読メカニズムはまた、メディアコンテンツのパッケージ構造を保持しながら第一のコンテンツストリームからHDCP値を除去することによって第一のコンテンツストリームを第二のコンテンツストリームに暗号解読する。
【0011】
本発明の実施形態を限定のためではなく、例として添付の図面に示すが、図中、同様の要素には同様の参照番号が付与されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】メディアコンテンツストリームを暗号解読するメカニズムを利用する事前認証システムのある実施形態を示す図である。
【図2】事前認証アーキテクチャのある実施形態を示し、メディアコンテンツ暗号解読メカニズムのある実施形態を含む図1の事前認証システムの各種の構成要素を拡大して示す図である。
【図3】メディアコンテンツストリーム暗号解読メカニズムとその暗号解読工程のある実施形態を示す図である。
【図4A】映像メディアコンテンツストリームを暗号解読するメディアコンテンツストリーム暗号解読メカニズムのある実施形態を示す図である。
【図4B】映像メディアコンテンツストリームを暗号解読する工程のある実施形態を示す図である。
【図5A】音声メディアコンテンツストリームを暗号解読するメディアコンテンツストリーム暗号解読メカニズム400のある実施形態を示す図である。
【図5B】音声メディアコンテンツストリームを暗号解読する工程のある実施形態を示す図である。
【図6A】映像/音声メディアコンテンツストリームの中の映像/音声以外のメディアコンテンツを処理するためのメディアコンテンツストリーム暗号解読メカニズムのある実施形態を示す図である。
【図6B】映像メディアコンテンツストリームに関連付けられる映像以外のコンテンツを処理するある実施形態を示す図である。
【図6C】音声メディアコンテンツストリームに関連付けられる音声以外のコンテンツを処理するある実施形態を示す図である。
【図7】本発明のある実施形態を利用するネットワークコンピュータデバイスの構成要素の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は一般に、メディアコンテンツストリームの暗号解読に関する。
【0014】
本明細書において、「ネットワーク」または「通信ネットワーク」とは、たとえばSATA、Frame Information Structure(FIS)その他の技術をいくつ利用するかを問わず、デバイス間でデジタルメディアコンテンツ(音楽、音声/映像、ゲーム、写真、その他)を供給するための相互接続ネットワークを意味する。エンタテイメントネットワークとは、家庭内のネットワークのような個人的エンタテインメントネットワーク、ビジネス用ネットワーク、あるいはその他のデバイスおよび/または構成要素のネットワークであってもよい。ネットワークには、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、イントラネット、インターネット等が含まれる。1つのネットワークにおいて、特定のネットワークデバイスはメディアコンテンツのソースであってもよく、これらはたとえば、デジタルテレビチューナ、ケーブルセットトップボックス、携帯機器(たとえば、情報端末機器(PDA))、映像記憶サーバ、およびその他のソースデバイスである。その他のデバイスはメディアコンテンツを表示または使用するものであってもよく、これらはたとえば、デジタルテレビ、ホームシアタシステム、オーディオシステム、ゲームシステム等である。さらに、あるデバイスは、メディアコンテンツの保存または転送用の、たとえば映像および音声記憶サーバであってもよい。あるデバイスは、複数のメディア機能を実行してもよく、たとえば、ケーブルセットトップボックスは、受信機(ケーブルヘッドエンドから情報を受信する)および送信機(テレビに情報を送信する)として機能でき、またその逆の場合もある。いくつかの実施形態において、ネットワークデバイスは、1つのローカルエリアネットワーク上に共同設置されてもよい。他の実施形態において、ネットワークデバイスは、複数のローカルエリアネットワーク間のトンネリング等により、複数のネットワークセグメントにわたっていてもよい。ネットワークはまた、複数のデータ符号化および暗号化工程のほか、個人認証工程、たとえば一実施形態によれば、固有の署名検証と固有のID照合等を含んでいてもよい。
【0015】
本明細書において、「TX」は、HDCP送信デバイス等の送信デバイス全般を指し、「RX」は、HDCP受信デバイス等の受信デバイス全般を指す。
【0016】
時間ベースロービング方式HDCPアーキテクチャでは、メインパイプとロービングパイプの2つのパイプが使用される。メインパイプは、ユーザによってコンテンツを見るために選択されたポートだけのものである。ロービングパイプは、その他のポート(バックグラウンドポート)を時間ベースで1つずつロービングし、これらのポートが認証され、対応するTXと同期化されたままとなるようにする。構成により、たとえば、2つのパイプで4つのポートをサポートすることができる。
【0017】
時間ベースロービング方式HDCPアーキテクチャのメインパイプ(メインパスとも呼ばれる)は、ユーザによってコンテンツ(映画等)を見るために選択されたポートだけが使用するパイプである。このパイプは一般に、アナログPLL、SerDer(Serializer and Deserializer)およびその他のロジックからなり、送られてくるビットストリームからAVデータを回復する。
【0018】
ロービングパイプ(ロービングパスとも呼ばれる)は、メインパイプに接続されていないポート全体を逐次的にロービングするパイプである。ロービングパイプの構成要素は、メインパイプと同様である。
【0019】
HDCPエンジンは、メディアコンテンツの暗号化または暗号復元を行う論理ブロックである。TXは暗号化エンジンを備え、RXは暗号復元エンジンを備える。HDCPエンジンは、TXとRXとの間に安全なリンクを確立するための認証を担当し、また、安全なリンクの上でのTXとRXの同期を常に追跡する。同期をチェックするために、TXはRXを128フレームごとにRi値でチェックする。Ri値は、フレーム毎に更新されるTXとRXの共有鍵の剰余値である。さらに、HDCPエンジンの中の暗号化/暗号解読エンジンが、HDCPコンテンツストリームの暗号化と暗号解読の実行に使用される。
【0020】
CTL3信号は、現在のフレームが暗号化されたフレームであるか否かを示す標識である。TXは、それが暗号化した各フレームについてCTL3を送信し、それが暗号化されたフレームであることをRXに知らせる。HDCP仕様の中でこれを行う方法は他にもあり、CTL3は、説明しやすくするための信号の一例にすぎない。本願に関しては、CTL3はあらゆる暗号化同期信号を指すと解釈するものとし、それにはたとえばCTL3信号を含むがこれに限定されない。
【0021】
HDCP信号は次のものを含む。VS(Vertical Sync)とCTL3(暗号化標識)は、送られてくるAVストリームの中に同期化用として含まれ、認証とRiのチェックはI2C(DDC)バスを通じて行われる。
【0022】
一実施形態において、HDCPメディアコンテンツストリームの暗号解読を、そのメディアコンテンツの中の特定のデータのパケット形式を保持する方法で行う技術が提供される。いくつかの実施形態において、メディアコンテンツを暗号解読するためのデータパスには事前認証工程が含められるが、その他の操作における実施形態を提供してもよい。
【0023】
コンテンツ保護の構想においてコンテンツストリームを暗号解読するには、各種のツール(たとえば、ロービング受信機)を使って、相互に通信するデバイスを検出、検証、認証する。これらのデバイスとしては、メディアデバイス、たとえばDVD(digital versatile diskまたはdigital video disk)プレイヤ、CD(compact disk)プレイヤ、テレビ、コンピュータ等がある。たとえば、送信デバイス(たとえば、DVDプレイヤ)は、こうしたツールを使って受信デバイス(たとえば、テレビ)の認証を行い、その受信デバイスがその送信デバイスから保護されたプレミアムメディアコンテンツを受信することが適法または適格かを判断することができる。同様に、受信デバイスは先に送信デバイスを認証してから、保護されたメディアコンテンツをその送信デバイスから受け入れる。このような認証工程(面倒で、時間がかかり、資源を浪費しかねない)が何度も行われすぎるのを避けるために、デバイスの事前認証が行われる。
【0024】
「事前認証」は、本明細書において、HDMIスイッチ製品等のデバイスの、複数の入力間での切換えをより素早く行うための機能を指す用語である。この用語は、必要なHDCP認証を、入力の切換え後ではなく、切換え前に実行することを意味する。このようにして、認証に伴う大きな遅延が動作のフォアグラウンドに現れるのではなく、バックグラウンドに隠されるようにすることができる。
【0025】
HDCP受信機はスレーブデバイスと考えられるため、HDCP受信機が送信機に対して、何らかの要求または状態を表す明確な信号を送ることは想定されない。リンクの「切断」さえも、通常は、故意にRiシーケンスを「切断する」ことによって(リンクが安全に同期されたままであるか否かをTXがチェックしたときのRXからTXへの応答)、暗示的に(そしてかなり大雑把に)伝えられる。HDCP送信機にはさまざまな種類がある。これらのHDCP送信機の多くは、特異な思いがけない挙動を示し、これがメディアコンテンツ通信における遅延の多くの原因となる。本明細書の中に記載されるメディアコンテンツストリームの暗号解読の実施形態は、上記の問題に対処し、データストリームの演算において重要な値を提供するために使用される。
【0026】
一実施形態において、暗号解読にかけられる各入力(たとえばHDMI入力)は自己のHDCPエンジンを有していてもよく、このHDCPエンジンは、ソースと同期化されたままである。これは、Riリンクの完全性が正常で正しいという結果が送信機に供給されるため、ユーザがこの入力に切り換えれば、その入力は適正に復号できる状態にあることを意味する。たとえば、次の3つの方法のいずれかを用いてこれを実現できる。(1)各リンクが、対応するHDCPブロックを同期化されたままにするような、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)完全対応受信機を有する。(2)各リンクが、対応するHDCPブロックを同期化されたままにするような、TMDS一部対応受信機を有する。(3)各リンクが、オープンループ方式で対応するHDCPブロックを同期化されたままにし、映像リンクそのものを常に、または直接観察しない。
【0027】
HDCP同期化に関して、一般に、HDCP受信機が送信機と同期化された状態のままであるためには2つの事柄が必要となる。すなわち、(1)受信機が、フレーム境界の位置を知ることと、(2)受信機がこれらのフレームのうちのどれに、フレームが暗号化されていることを示す信号(たとえば、CTL3)が含まれているかを知ることである。本明細書において、「CTL3」は、説明しやすさ、簡潔さ、明瞭さのために、暗号化標識の一例として用いられ、いかなるものも限定しない。
【0028】
一実施形態において、HDCPメディアコンテンツストリームの暗号解読に使用される、図1およびそれ以降の図面に示されているような事前認証システムまたは装置の構成要素としては、HDCPエンジン、PPL(Phase Lock Loop)、ロービング受信機、標準受信機等がある。
【0029】
いくつかの実施形態において、装置は、入力ポート1つにつき、1つの専用HDCPエンジンを有する。一般に、オープンループHDCPエンジンがまったく復号を行わないときを含め、すべての場合に通常のHDCPロジックが典型的には採用される。これは、鍵更新機能が分散範囲をなるべく広くするためにHDCPロジックを使用するからである。
【0030】
オープンループのHDCPエンジンはそれぞれ、PLLまたはPLLのような回路を使ってフレームレートをロックし、オープンループモードで動作しながら、どこにフレーム境界があるかに関する継続情報を提供する。このPLLは、アナログPLLとデジタルPLLのどちらでもよい。しかしながら、デジタルPLLはシンプルで、ロックが素早く、長期にわたって高い安定性が得られる。
【0031】
1つの特定用途のTMDS受信機を使って、重要な情報を逐次的にオープンループロジックに供給する。この受信機は、現在使用されていない入力を循環し、フレーム境界を発見し(対応するPLLをロックできるようにする)、また、認証が行われたときに最初のCTL3信号を発見する。これは、基本的にVSYNCとCTL3標識だけが使用されるため、必要最低限の形のTMDS受信機とすることができる。
【0032】
標準テレビデータパスは、従来のスイッチ製品と同様に動作してもよい。動作中、標準データパス用に入力ポートの1つが選択され、必要に応じてデータストリームが復号、暗号復元され、その後、デバイスの残りの部分に送られる。さらに、ロービング受信機は、現在アイドル状態のポートを、1度に1つずつサンプリングする。ロービング受信機は、状態機械または(使用される可能性のより高いものとして)ある種のマイクロコントローラを使ってそのすべてを制御する。
【0033】
上記の説明にはさらに、HDCPコンテキストの切換えについても含まれており、これはオープンループのHDCPエンジンを初期化し、その後同期化されたままにするためのシステムと手順に関係する。いくつかの実施形態において、そのような動作を提供するためのスイッチが作られる。
【0034】
一実施形態において、HDMIメディアコンテンツストリームの暗号解読を、そのコンテンツストリームの特定のデータのパケット形式を保持するような方法で行うシステムが提供される。いくつかの実施形態において、メディアコンテンツを暗号解読するためのデータパスにはポートの事前認証工程が含められるが、その他の操作における実施形態を提供してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、暗号解読時にコンテンツストリームを解体し、また伝送のためにストリームを組み立てなおすという、時間と資源を消費することを行うよりも、パケット形式を保持できるデータパスを設けて、動作の効率を高める。
【0036】
メディアコンテンツの暗号解読と伝送の別の実施形態において、コンテンツストリームを音声コンテンツへと細分し、再びコンテンツをコンテンツストリームに組み立てなおすよりも、コンテンツストリームを保持することと、音声コンテンツをパケットの形式で残すことを含む工程が提供される。
【0037】
一実施形態において、暗号情報がデータパケットから除去され、その一方でHDMIコンテンツストリームのパケット形式が保持される。具体的な例では、コンテンツストリームには、HDCP符号化に加えて、その他の符号化を含む音声パケットが含まれていてもよい。一例として、音声データには、Transition−Minimized Differential Signaling Error Reduction Coding−4(TERC4)またはこれに関連する符号化が含まれていてもよい。
【0038】
暗号解読のためのデータの流れを本明細書で説明し、添付の図面に示す。
【0039】
図1は、メディアコンテンツストリームの暗号解読を行うためのメカニズム120を利用した事前認証システム100の一実施形態を示す。図のHDCP事前認証システム100は、HDCP(事前認証)デバイス101を備え、これは、各入力ポート専用のHDCPエンジンブロック104−109、120を有する。一般に、オープンループの暗号鍵(cipher)が暗号解読をまったく行わないときでも、標準HDCPロジックが常に使用される。これは、鍵更新機能が、分散範囲をなるべく広くするために、HDCPロジックを使うからである。さらに、オープンループHDCPエンジン104−109は、PLL 110−115またはPLLのような回路に関連付けられ、フレームレートをロックし、オープンループモードで動作する間、フレーム境界がどこにあるかについての継続情報を供給する。
【0040】
1つの特定用途TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)受信機116(たとえば、ロービング受信機)を使って、オープンループロジックに重要な情報を逐次的に提供してもよい。このロービング受信機116は、現在使用されていない入力を循環し、フレーム境界を発見し(対応するPLL 110−115がロックできるようにする)、また、認証が行われたときに最初のCTL3信号を発見する。場合により、これは、基本的にVSYNCとCTL3標識があればよいため、必要最低限の形のTMDS受信機116とすることができる。
【0041】
さらに、標準テレビデータパス132は、従来のスイッチ製品と同様に動作してもよい。動作中、入力ポートの1つを標準データパス132のために選択することができ、その間、データストリームが必要に応じて復号、暗号復元され(たとえば、暗号解読して、供給された暗号化データからもとの音声/映像(A/V)データを取り出す)、その後、装置の他の部分に伝えられる。
【0042】
ロービング受信機116は、1度に1つずつ、現在アイドル状態のポートをサンプリングする。そのため、状態機械や(使用される可能性がより高いものとして)ある種のマイクロコントローラでこの工程を制御する必要がある。当初の動作シーケンスは一般的に、次のとおりである。(1)ロービング受信機116が使用されていない入力ポートに接続され、映像入力をモニタする。(2)HDCPエンジン104−109もそのポートに接続され、すなわち、I2Cバスが接続されていることになる(たとえば、I2Cは、リンク同期チェックのための、TXとRXとの間の別の通信チャネルとしてみなされる)。また、この状態は、ホットプラグ信号を送り、ソースに対して、それが送信とHDCP認証を受ける準備ができていることを知らせることにもなる。その結果、Extended Display Identification Data(EDID)の情報も伝送しやすくなるが、これは本願の範囲の外である。(3)映像入力が安定していれば、ロービング受信機116はPLLをフレーム境界と一致させるための情報を提供する。(4)状態機械またはマイクロコントローラはある期間、HDCP認証が開始するまで待機する。HDCP認証が開始したら、認証が完了し、最初のDTL3信号が受信されるまで待つ。(5)HDCPブロックは、オープンループ関数で循環を続け、PLLからの情報だけを使って「フレーム」をカウントする。I2Cポートは接続されたままで、ホットプラグ信号は引き続き、受信機が接続されていることを示す。(6)続いて、ロービング受信機116は次のポートに移り、同じ動作を行う。いくつかの実施形態において、ロービング受信機116がすべてのポートを起動すると、サービスループに入り、各ポートを逐次的にチェックする。
【0043】
一実施形態において、(図2に示されるような)事前認証アーキテクチャを利用する図1の事前認証デバイス101と、さらに図3−6Bのコンテンツ暗号解読メカニズムのある実施形態を備える事前認証システム100は、受信機、Rxの受信チップ(たとえば、スイッチチップ)の中に組み込まれてもよい。このような受信機は、たとえば、デジタルテレビに使用して、メディアコンテンツの受信状態を改善し、受信効率を向上させることができる。
【0044】
図2に示されるHDCPエンジン120は、メディアコンテンツストリームを、コンテンツストリームの特定のデータを保持しながら、コンテンツストリーム全体を細分せずに暗号解読するメカニズムのある実施形態を利用する。
【0045】
図2は、事前認証アーキテクチャ200のある実施形態を示し、メディアコンテンツ暗号解読メカニズム120のある実施形態を含む、図1の事前認証システム100の各種の構成要素を拡大して示している。たとえば、図1のクロスポイントスイッチ(4×2)122は、アナログ受信機(たとえば、RxPHYアナログ)208、210を備えているように描かれ、アナログ受信機はマルチプレクサ212と連結され、マルチプレクサはさらに多数のポート、たとえばポート0 202、ポート1 204からポートn 206(図1のHDMI入力124−130に対応)と連結されている。図の実施形態はさらに、DPLL242とパケットアナライザ244を有する標準受信機118を示している。同様に、ロービング受信機116もDPLL 212とパケットアナライザ214を備えるように描かれている。
【0046】
さらに、HDCPエンジン104−109は、図2において、HDCPコンテキストマルチプレクサ102に接続されているように描かれている。各HDCPエンジンは各種のサブシステムを備えるか、またはこれらに連結されており、たとえば、HDCPエンジン104はHDCPキー238のほか、マルチプレクサ220、間隔測定手段222、映像信号(VS)およびCTL3生成器224、デュアルCK FIFO 226、デュアルCK FIFO 228、デュアルCK FIFO 230、遅延マッチ手段232、HDCPエンジン234およびDDCインタフェース236を備えるか、またはこれらに連結されているように描かれている。一実施形態において、HDCPエンジン104は、各種の構成要素220−238に連結されたHDCPエンジン234に代表される。
【0047】
図1においてHDCPエンジン120として描かれているメディアコンテンツストリーム(たとえば、HDMIメディアコンテンツストリーム)の暗号解読メカニズムのある実施形態は、図2では、構成要素246(First−In−First−Out(FIFO)248、遅延調整モジュール250およびマルチプレクサ252を含む)と、暗号解読エンジン256を有するストリームDP 254を備えるように示されている。
【0048】
一実施形態において、暗号解読時にコンテンツストリームを解体し、伝送のためにコンテンツストリームを再び組み立てなおすのではなく、特定のパケット形式とコンテンツを保持することができる新規なデータパスを提供し、これによって動作の効率を改善するメディアコンテンツストリームの暗号解読を行うメカニズムが提供される。メディアコンテンツの暗号解読と伝送の一実施形態において、データストリームを音声コンテンツに細分し、再びこのデータをコンテンツストリームに組み立てなおすのではなく、工程には、コンテンツストリームを保持することと、音声コンテンツをパケットの形態で残すことが含まれる。
【0049】
たとえば、メディアコンテンツストリーム260(たとえば、RGB、HS、VS、DE、CTL等)は、構成要素246で受信され、FIFO 248と遅延調整手段250を通過し、最後にマルチプレクサ252に供給される。精製されたコンテンツストリーム262は次に、構成要素246から出て、コンテンツストリーム暗号解読ユニット254に到達する。一実施形態において、コンテンツ暗号解読ユニット254では、暗号解読エンジン256を介して、HDCP情報層だけをコンテンツストリームから除去し、その一方で、テータのうち、コンテンツストリーム262を新規に暗号解読されたコンテンツストリーム264(たとえば、TMDS符号化コンテンツストリーム)に変化させる残りの部分は保存するという方法で、コンテンツストリームを暗号解読(たとえば、暗号復元)する。この新規な暗号解読技術は、コンテンツストリーム全体を分解しなければならず(映像および音声層その他を除去することによって、コンテンツストリームの形式が失われる)、結局は再び組み立てなおすだけの従来の技術とは明らかに異なる。このような従来の技術は、暗号解読の動作を低速化し、システム資源を浪費するだけでなく、コンテンツメディアストリームの分解と再組立を行うための高価で複雑なハードウェアを必要とする。
【0050】
図3は、メディアコンテンツストリーム暗号解読メカニズム300のある実施形態と、その暗号解読工程を示す。HMDIコンテンツストリーム等の符号化されたメディアコンテンツストリームは、HDMIソースまたは送信機から受信される。このHDMIコンテンツストリームは、他のデータ(たとえば、音声コンテンツ、映像コンテンツ、音声/映像以外のコンテンツ等)のほかに、HDCP値を含む。一実施形態において、HDMIコンテンツストリームは、音声、映像コンテンツおよびその他の必要なコンテンツがその形式のまま保護され、その一方で、HDCP値がストリームから除去されるように暗号解読される。この技術について、図に示した実施形態でさらに説明する。
【0051】
符号化されたHDMIメディアコンテンツストリーム(たとえば、30b TMDS)302が図2のDPLL(たとえば、TDMSデコーダ)242で受信され、ここで、コンテンツストリームのTDMS層またはシェルが復号または除去される。TDMS層が除去されると、図2のコンテンツストリーム262(たとえば、HD、VS、DE、CTLおよび映像および/または音声のコンテンツ)は次に、図2のストリームDPという構成要素254に入る。TDMSのような層(映像および音声コンテンツならびに音声/映像以外のコンテンツに追加される)とTERC4(音声コンテンツと音声/映像以外のコンテンツの一部に追加される)は、コンテンツストリームの一部であり、基本となるメディアコンテンツを保護するだけでなく、物理的ワイヤを通じてストリームの適正に流すためのものである。
【0052】
コンテンツストリーム262が送られてくると、HDMIパケットアナライザ304が、そのコンテンツストリームに音声コンテンツまたは映像コンテンツが含まれるか否かを判断する。送られてくるコンテンツストリーム262が単に映像コンテンツを含んでいる場合、これはTERC4デコーダ310を通らずに、マルチプレクサ314を介して、これも図2に示されるHDCP暗号解読エンジン256に送られ、このHDCP暗号解読エンジン256は、コンテンツストリームからHDCP層(値)を除去するが、ただし映像コンテンツを分解せず、その適正な当初の形式のまま残しながら、映像コンテンツストリームを暗号解読する。さらに、映像ストリームがTERC4デコーダ310を迂回する理由は、映像ストリームがTERC層を含まないため、映像ストリームがTERC復号を必要としないからである。
【0053】
映像ストリームからHDCP値を除去した後、映像ストリームはマルチプレクサ316とマルチプレクサ318を通過し、その間TERC4エンコーダ312を迂回して、TMDSエンコーダ308に供給され、それにより、ストリームの中の、HDCP層がなくなった状態のストリームの映像コンテンツにTMDS層を再び割り当てる(または、それに再び符号化する)ことができる。新規の、暗号解読されたメディアコンテンツストリーム264(図2に示される)はその後、受信機に供給され、ユーザがHDMIメディアコンテンツを楽しむことができる。
【0054】
一実施形態において、新規なメディアコンテンツ暗号解読技術を使用し、映像HDMIメディアコンテンツストリームは、HDCP値がすべて除去され、TMDS層が除去された後に再び割り当てられ、その一方で、他の全コンテンツ(映像および映像以外のコンテンツを含む)がその当初の形式のまま保持されるように暗号解読される。
【0055】
一実施形態において、送られてくるメディアコンテンツストリーム262が、HDMIパケットアナライザ304によって音声コンテンツを含んでいると判断された場合、コンテンツストリーム262はTERC4デコーダ310に送られ、ここで音声メディアストリームの中で、ワイヤを通じて音声ストリームが適正に流れるようにし、音声コンテンツを保護するために使用されるTERC4層が除去される。TERC4層が除去されると、ストリーム内の次の層はHDCP層であり、したがって、コンテンツストリームはマルチプレクサ314を介してHDCP暗号解読エンジン256に送られ、HDCP層が除去される。HDCP層(値)が除去されると、音声コンテンツストリームはマルチプレクサ316を介してTERC4エンコーダ312に送信され、これによって、前に除去されたTERC4層を、HDCP値がなくなった音声パケットに再び割り当て、または再び符号化することができる。TERC4層を音声パケットに再び符号化した後、音声コンテンツストリームは次にマルチプレクサ318を介してTMDSエンコーダ308に送られ、これによって、TMDS層を音声パケットのTERC4層に再び割り当てることができる。これで、暗号解読された音声コンテンツストリームが完成し、これがTMDS符号化HDMIコンテンツストリーム264として受信機に送出され、ユーザ向けに放送される。
【0056】
一実施形態において、新規なメディアコンテンツ暗号解読技術を使い、音声HDMIメディアコンテンツストリームは、HDCP値がすべて除去され、TMDSとTERC4層が除去され、その後再び割り当てられ、その一方で、他の全コンテンツ(音声コンテンツパケットと音声以外のコンテンツを含む)がその当初の形式で保持されるように暗号解読される。映像コンテンツと異なり、音声コンテンツは音声パケットにパッケージされる。
【0057】
図4Aは、映像メディアコンテンツストリームを暗号解読する、メディアコンテンツストリーム暗号解読メカニズム400のある実施形態を示す。簡潔と明瞭を期すために、図3に関してすでに説明した詳細についてはここでは割愛し、繰り返さないものとする。HDMIパケットアナライザ304が、メディアコンテンツ262に映像コンテンツが含まれると判断した場合、TERC4デコーダ310とTERC4エンコーダ308は迂回されるが、これは、映像メディアコンテンツストリームがTERC4層を設けずに構築されているからである。しかしながら、一実施形態において、HDCP層がストリームから除去され、TMDS層が除去されてまた元に戻され、映像メディアコンテンツストリーム264がHDMI受信機に送出され、閲覧される。
【0058】
図4Bは、映像メディアコンテンツストリームを暗号解読記するための工程450のある実施形態を示す。HDMI映像コンテンツストリーム454は、HDMIソース452(たとえば、HDMIコンテンツ送信機)から受信される。HDMI映像コンテンツストリーム454は、映像コンテンツ460、HDCP値のHDCP層458と、TMDS層456を含む。TMDS層はTMDSデコーダによって除去され、映像コンテンツ460とHDCP層458は残される。HDCP層458は次に、HDCP暗号解読エンジンを使って除去され、映像コンテンツ460は依然としてその当初の形式のまま残される。TMDSエンコーダを使用して、TMDS層456は、映像コンテンツ460に符号化して戻され、新規な映像メディアコンテンツストリーム462は、HDMI受信機464によって放送される。一実施形態において、暗号解読メカニズムまたは装置は、HDMI受信機464の一部であり、そのため、暗号解読工程450が、(HDMI受信機464の)暗号解読メカニズムまたは装置によって実行されるように、HDMI受信機464で行われることも想定される。
【0059】
図5Aは、映像メディアコンテンツストリームを暗号解読するメディアコンテンツストリーム暗号解読メカニズム500のある実施形態を示す。簡潔と明瞭を期すために、図3に関してすでに説明した詳細についてはここでは割愛し、繰り返さないものとする。HDMIパケットアナライザ304が、メディアコンテンツストリーム262に音声コンテンツが含まれると判断した場合、TERC4デコーダ310とTERC4エンコーダ308は迂回されず、これは、音声メディアコンテンツストリームはTERC4層を設けて構築されているからである。したがって、一実施形態において、TMDSおよびTERC4層は一時的にコンテンツストリームから除去される。その後、HDCP値を持つHDCP4層がコンテンツストリームから除去され、TMDSおよびTEERC4層が音声パケットに再び符号化されて、新規な音声メディアコンテンツストリーム264が構築され、これがその後、HDMI受信機に送信されて、放送される。一実施形態において、暗号解読工程中、音声パケットは、その当初の形式のまま保存される。
【0060】
図5Bは、音声メディアコンテンツストリームを暗号解読する工程650のある実施形態を示す。HDMI音声コンテンツストリーム654は、HDMIソース652(たとえば、HDMIコンテンツ送信機)から受信される。HDMI音声コンテンツストリーム654は、音声コンテンツ664、音声コンテンツパケット662、HDCP値のHDCP層660、TERC4層658、TMDS層656を含む。TMDS層656はTMDSデコーダを使って除去され、TERC4層658はデコーダを使って除去され、音声コンテンツ664とそのパケット662にはHDCP層660だけが残る。HDCP層660は次に、HDCP暗号解読エンジンを使って除去されるが、その当初の形式の音声コンテンツ664とパケット662は残る。TMDSエンコーダとTERC4エンコーダを使って、TMDS層656とTERC4層658はそれぞれ、音声パケット662へと符号化して戻される。これにより、TMDSとTERC4が符号化された新規な音声メディアコンテンツストリーム666が提供され、これがHDMI受信機668によって放送される。一実施形態において、暗号解読メカニズムまたは装置はHDMI受信機668の一部であり、したがって、暗号解読工程650は、(HDMI受信機668の)暗号解読メカニズムまたは装置が実行するように、HDMI受信機668で行われることも想定される。
【0061】
図6Aは、音声/映像メディアコンテンツストリームの中の映像/音声以外のメディアコンテンツを処理するための、メディアコンテンツストリーム暗号解読メカニズム500のある実施形態を示す。一実施形態において、映像および音声コンテンツの場合と同様に、新規のコンテンツストリーム暗号解読メカニズム500を使い、映像/音声以外のコンテンツ(たとえば、ガードバンド)もまた、暗号解読中、その当初の形態で保護され、手をつけない状態で残される。映像および音声コンテンツは、これらが映像コンテンツまたは音声コンテンツに関連付けられているか否かに応じて、TMDSまたはTMDS/TERC4層を有するが、これらはHDCP値には関連付けられていないため、HDCP層がない。HDCP層がないと、映像/音声以外のコンテンツは暗号解読されず、その当初の形態に保持される。映像/音声以外のコンテンツはすべて、単にマルチプレクサ314、316、318を通って、新規なHDMI音声または映像メディアコンテンツストリーム264の一部となり、これがHDMI受信機に送出され、HDMI受信機はコンテンツストリーム264を受信して放送する。
【0062】
図6Bは、映像メディアコンテンツストリームに関連付けられる映像以外のコンテンツを処理するある実施形態を示す。図のように、メディアコンテンツストリーム658は、HDMIソース652(たとえば、送信機)から受信されるが、映像以外のコンテンツ660にはHDMI値が一切ないため、このコンテンツストリーム656はHDMI受信機654によって処理される。
【0063】
一実施形態において、暗号解読メカニズムまたは装置は、HDMI受信機654の一部であるため、暗号解読工程650は、(HDMI受信機654の)暗号解読メカニズムまたは装置によって行われるように、HDMI受信機654で行われることも想定される。
【0064】
図6Cは、音声メディアコンテンツストリームに関連付けられる音声以外のコンテンツを処理するある実施形態を示す。図のように、メディアコンテンツストリーム676は、HDMIソース672(たとえば、送信機)から受信されるが、音声以外のコンテンツ660はHDMI値を含んでいないため、このコンテンツストリーム676はHDMI受信機674によって処理される。
【0065】
一実施形態において、暗号解読メカニズムまたは装置は、HDMI受信機674の一部であるため、暗号解読工程670は、(HDMI受信機674の)暗号解読メカニズムまたは装置によって行われるように、HDMI受信機674で行われることも想定される。
【0066】
図7は、本発明の一実施形態を利用したネットワークコンピュータデバイス705の構成要素の実施形態を示す。この例において、ネットワークデバイス705はネットワーク内のどのデバイスであってもよく、たとえば、これらに限定されないが、テレビ、ケーブルセットトップボックス、ラジオ、DVDプレイヤ、CDプレイヤ、スマートフォン、記憶ユニット、ゲーム機、その他のメディアデバイスであってよい。いくつかの実施形態において、ネットワークデバイス705は、ネットワークの機能を果たすネットワークユニット710を備える。ネットワーク機能には、これらに限定されないが、メディアコンテンツストリームの生成、伝送、保存、受信等がある。ネットワークユニット710は、1つのシステムオンチップ(SoC)としても、複数の構成要素としても実装できる。
【0067】
いくつかの実施形態において、ネットワークユニット710はデータ処理のためのプロセッサを備える。データ処理には、メディアデータストリームの生成、伝送中または保存中のメディアデータストリームの操作、メディアデータストリームを使用するための暗号復元と復号等がある。ネットワークデバイスには、ネットワークの動作を支援するためのメモリ、たとえばDRAM(dynamic random access memory)720またはその他同様のメモリおよびフラッシュメモリ725またはその他の不揮発性メモリが含まれていてもよい。
【0068】
ネットワークデバイス705はまた、1つまたは複数のネットワークインタフェース755を介して、それぞれネットワーク上でデータを送信するため、またはネットワークからデータを受信するための送信機730および/または受信機740を備えていてもよい。送信機730または受信機740は、たとえば、イーサネットケーブル750、同軸ケーブル等の有線伝送ケーブル、あるいは無線ユニットに接続されていてもよい。送信機730または受信機740は、たとえばデータ送信用の回線735とデータ受信用の回線745などの1本または複数の回線で、データ伝送および制御信号のためのネットワークユニット710に連結されていてもよい。これら以外の接続があってもよい。ネットワークデバイス705はまた、デバイスのメディア動作のための、ここには示されていない多数の構成要素を含んでいてもよい。
【0069】
一実施形態において、(図2に示されるような)事前認証アーキテクチャを利用する図1の事前認証デバイス101と、さらに図3−6Bのコンテンツ暗号解読メカニズムのある実施形態を含む事前認証システム100は、受信機、Rx 740の受信チップ(たとえば、スイッチチップ)に組み込まれていてもよい。このような受信機740は、たとえば、デジタルテレビの中で使用して、メディアコンテンツの受信状態を改善し、受信効率を向上させることができる。
【0070】
上述のように、説明のために、本発明を十分に理解できるように数多くの具体的な詳細事項が示されている。しかしながら、当業者であれば、本発明はこのような具体的詳細事項のいくつかがなくても実践可能であることがわかるであろう。別の場合では、周知の構造やデバイスがブロック図の形で示される。図に示されている構成要素と構成要素の間には、介在する構造があってもよい。本願の説明文や図に示された構成要素には、図や説明にはない入力や出力があってもよい。
【0071】
本発明の各種の実施形態は、各種のプロセスを含んでいてもよい。これらのプロセスは、ハードウェア構成要素によって遂行されるようにしても、あるいはコンピュータプログラムや機械実行可能な命令の中に具現化し、これを用いて、その命令を含めてプログラムされた汎用または特定用途プロセッサまたはロジック回路にプロセスを実行させるようにしてもよい。あるいは、プロセスは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって遂行されてもよい。
【0072】
本明細書中に記した1つまたは複数のモジュール、構成要素または要素、たとえばポートマルチプライヤ改善メカニズムの実施形態の中に、またはこれに関連して示されるものは、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。あるモジュールにソフトウェアが含まれる場合、ソフトウェアデータ、命令および/またはコンフィギュレーションは、機械/電子機器/ハードウェアの製品を通じて提供されてもよい。製品とは、命令、データ等を提供するコンテンツが記憶された機械アクセス/読取可能な媒体であってもよい。コンテンツにより、電子機器、たとえば、本明細書に記載のファイラ、ディスクまたはディスクコントローラが、前述の各種の動作や実行項目を遂行することになってもよい。
【0073】
本発明の各種の実施形態の一部をコンピュータプログラム製品として提供してもよく、これにはコンピュータプログラム命令が記録されたコンピュータ読取可能媒体も含まれ、このような製品は、コンピュータ(またはその他の電子デバイス)を、本発明の実施形態によるプロセスを実行するようにプログラムするのに用いられる。機械読取可能媒体としては、これらに限定されないが、フロッピーディスケット、光ディスク、CD−ROM(compact disk read−only memory)、光磁気ディスク、ROM(read−only memory)、RAM(random access memory)、EPROM(erasable programmable read−only memory)、EEPROM(electricaly−EPROM)磁気もしくは光カード、フラッシュメモリまたは、電子命令の保存に適した上記以外の種類の媒体/機械読取可能媒体がある。さらに、本発明はまた、コンピュータプログラム製品としてダウンロードされてもよく、この場合、プログラムは、リモートコンピュータからこれを要求したコンピュータへと転送される。
【0074】
さまざまな方法を、その最も基本的な形態で説明したが、本発明の基本的範囲から逸脱することなく、これらの方法にプロセスを追加し、またそこから削ったり、上の記述内容に情報を追加し、またそこから削除したりすることができる。当業者であれば、さらにまた数多くの改変や適応化が可能であることが明らかであろう。個々の実施形態は、本発明を限定するためではなく、説明のために提供したものである。本発明の実施形態の範囲は、上述の具体例ではなく、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるものとする。
【0075】
要素Aが要素Bに、または要素Bと連結されている、との記述がある場合、要素Aは直接Bに結合されていても、あるいはたとえば要素Cを通じて間接的に接続されていてもよい。明細書または特許請求範囲に、構成要素、特徴、構造、プロセスまたは特性Aが構成要素、特徴、構造、プロセスまたは特性Bの「基因となる」と記載されている場合、これは、AはBの少なくとも部分的基因であるが、Bの誘引を助ける構成要素、特徴、構造、プロセスまたは特性がその他に少なくとも1つあってもよいことを意味する。明細書に、ある構成要素、特徴、構造、プロセスまたは特性が「含まれていてもよい(may)」、「含まれるかもしれない(might)」または「含まれうる(could)」と記されている場合、この特定の構成要素、特徴、構造、プロセスまたは特性が含まれている必要はない。明細書または特許請求の範囲に、「1つの(a,an)」要素への言及がある場合、言及された当該の要素が1つしかないことを意味しない。
【0076】
ある実施形態は、本発明の実現態様または例である。明細書における「ある実施形態」、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」または「他の実施形態」という表現は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造または特性が少なくともいくつかの実施形態に含まれるが、必ずしもすべての実施形態に含まれるとは限らないことを意味する。「ある実施形態」、「一実施形態」または「いくつかの実施形態」の用語がさまざまな箇所で使用されていても、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すというわけではない。本発明の例示的な実施形態に関する上記の説明においては、開示を簡素化し、本発明の多様な態様の1つまたは複数を理解しやすくするために、各種の特徴が1つの実施形態、図面またはこれに関する説明の中にまとめられている場合があることがわかるであろう。しかしながら、このような説明方法は、特許請求されている発明には各請求項に明記されているもの以外の特徴が必要となるという意図を反映したものと解釈すべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されているように、本発明の態様は、上述のある1つの実施形態に含まれる全特徴の中の一部を備える形態にある。したがって、特許請求の範囲をこの説明の中に明確に取り入れるものとし、各請求項は、それ自体が本発明の異なる実施形態として独立しているものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信デバイスにおいて、前記受信デバイスに連結された送信デバイスから第一のコンテンツストリームを受信するステップであって、前記第一のコンテンツストリームは特定のパッケージ構造に形式付けられたメディアコンテンツを有し、前記メディアコンテンツはHigh−Definition Content Protection(HDCP)値に関連付けられているステップと、
前記第一のコンテンツストリームを、前記メディアコンテンツの前記パッケージ構造を保持しながら前記第一のコンテンツストリームからHDCP値を除去することによって、第二のコンテンツストリームに暗号解読するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記メディアコンテンツは映像コンテンツまたは音声コンテンツを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一のコンテンツストリームは、前記メディアコンテンツに関連付けられたメディア以外のコンテンツをさらに含み、前記メディア以外のコンテンツは特定のパッケージ構造に形式付けられている請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第一のコンテンツストリームを、前記メディア以外のコンテンツの前記パッケージ構造を保持しながら前記第一のコンテンツストリームから前記HDCP値を除去することによって第二のコンテンツストリームに暗号解読するステップをさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第一のコンテンツストリームは、第一のHigh−Definition Multimedia Interface(HDMI)メディアコンテンツストリームを含み、前記第二のコンテンツストリームは、第二のHDMIメディアコンテンツストリームを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記暗号解読するステップは、前記第一のコンテンツストリームからTransition Minimized Differential Signaling(TMDS)層を除去するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記暗号解読するステップは、前記第一のコンテンツストリームからTransition−Minimized Differential Signaling Error Reduction Coding−4(TERC4)層を除去するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第一のコンテンツストリームを受信デバイスに送信する送信デバイスであって、前記第一のコンテンツストリームは特定のパッケージ構造に形成付けられているメディアコンテンツを有し、前記メディアコンテンツはHigh−Definition Content Protection(HDCP)値に関連付けられている送信デバイスと、
前記第一のコンテンツストリームを、前記メディアコンテンツの前記パッケージ構造を保持しながら前記第一のコンテンツストリームから前記HDCP値を除去することによって、第二のコンテンツストリームに暗号解読するコンテンツ暗号解読装置を有する前記受信デバイスと、
を備える装置。
【請求項9】
前記メディアコンテンツは、映像コンテンツまたは音声コンテンツを含む請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第一のコンテンツストリームは、前記メディアコンテンツに関連付けられたメディア以外のコンテンツをさらに含み、前記メディア以外のコンテンツは、特定のパッケージ構造に形式付けられている請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記コンテンツ暗号解読装置は、前記第一のコンテンツストリームを、前記メディア以外のコンテンツの前記パッケージ構造を保持しながら前記第一のコンテンツストリームから前記HDCP値を除去することによって、第二のコンテンツストリームに暗号解読するようにさらに調整される請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第一のコンテンツストリームは、第一のHigh−Definition Multimedia Interface(HDMI)メディアコンテンツストリームを含み、前記第二のコンテンツストリームは第二のHDMIメディアコンテンツストリームを含む請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記コンテンツ暗号解読装置は、前記第一のコンテンツストリームからTransition Minimized Differential Signaling(TMDS)層を除去するようにさらに調整される請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記暗号解読装置は、前記第一のコンテンツストリームから、Transition−Minimized Differential Signaling Error Reduction Coding−4(TERC4)層を除去するようにさらに調整される請求項8に記載の装置。
【請求項15】
コンテンツ暗号解読メカニズムを有する受信デバイスに連結された送信デバイスを備えるコンテンツ通信システムであって、前記コンテンツ暗号解読メカニズムは、
前記送信デバイスから第一のコンテンツストリームを受信し、前記第一のコンテンツストリームは、特定のパッケージ構造に形式付けられたメディアコンテンツを有し、前記メディアコンテンツはHigh−Definition Content Protection(HDCP値)に関連付けられ、
前記第一のコンテンツストリームを、前記メディアコンテンツの前記パッケージ構造を保持しながら前記第一のコンテンツストリームから前記HDCP値を除去することによって、第二のコンテンツストリームに暗号解読する
システム。
【請求項16】
前記メディアコンテンツは、映像コンテンツまたは音声コンテンツを含む請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第一のコンテンツストリームは、前記メディアコンテンツに関連付けられたメディア以外のコンテンツをさらに含み、前記メディア以外のコンテンツは、特定のパッケージ構造に形式付けられている請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記コンテンツ暗号解読メカニズムは、前記第一のコンテンツストリームを、前記メディア以外のコンテンツの前記パッケージ構造を保持しながら前記第一のコンテンツストリームから前記HDCP値を除去することによって、第二のコンテンツストリームに暗号解読するようにさらに調整される請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第一のコンテンツストリームは、第一のHigh−Definition Multimedia Interface(HDMI)メディアコンテンツストリームを含み、前記第二のコンテンツストリームは第二のHDMIメディアコンテンツストリームを含む請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記コンテンツ暗号解読メカニズムは、前記第一のコンテンツストリームからTransition Minimized Differential Signaling(TMDS)層を除去するようにさらに調整される請求項15に記載のシステム。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−518453(P2011−518453A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548882(P2010−548882)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/035353
【国際公開番号】WO2009/108819
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.フロッピー
【出願人】(504441048)シリコン イメージ,インコーポレイテッド (69)
【Fターム(参考)】