説明

メール照会システムおよびメール照会サーバ

【課題】 任意の携帯電話端末によりインターネットメールの受信状況を把握する。
【解決手段】 メール照会システム(100)は、インターネット通信プロトコルに従って交信されるインターネットメールを蓄積するメールサーバ(10)と、該メールサーバにインターネット(103)を介して通信可能に接続された携帯電話ネットワーク(102)とを備える。携帯電話ネットワークは、該ネットワークに閉じた携帯電話メールを送受信する携帯電話端末(20)と、携帯電話端末から送信された携帯電話メールを受信し、該受信した携帯電話メールに基づき所定のインターネットメールの蓄積情報をメールサーバへ照会し、該メールサーバからの照会結果を記載した携帯電話メールを携帯電話端末に宛てて送信するメール照会サーバ(40)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット上で伝搬されるインターネットメール、および、携帯電話ネットワークに閉じた携帯電話メールを利用するデジタル情報通信分野におけるメール照会システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話端末やポケットベルのような通信端末を用いて、インターネットメールの受信状態を確認する方法およびサービスが提供されている。これらの手法は大別して2つあり、その第一の従来例として、インターネットメールのメール受信ボックスを持つサーバ、もしくはメール受信ボックスと密接に連携するサーバが、メールの受信時に、このメール自体を複製したもの、もしくはこのメールの一部を抜粋した内容を通知情報としたものを、当該サーバのメール転送機能を用いて、直接ポケットベルや携帯電話に送信する方法である。この種の技術としては、例えば後述の特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
また、第二の従来例として、上記のようなサーバに、さらにhttpサーバ機能を持たせ、httpクライアント機能(WEBブラウザ)を持つ携帯電話端末からhttpアクセスがあったことをきっかけとして、当該httpサーバ上に具備されたインターネットメール確認機能を動作させ、そして、httpを用いて、携帯電話端末にメール受信状況を表示するという方法がある。この種の技術としては、例えば後述の特許文献2に記載されたものがある。
【特許文献1】特開2001−306471号公報
【特許文献2】特開2001−331427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の第一の従来例を実施するために2つの条件が挙げられる。1つめの条件は、携帯電話端末がインターネットメールの送受信を行う機能を有することである。すなわち、携帯電話端末が、インターネット通信プロトコルを取り扱う機能を持ち、なおかつ電子メールフォーマットを解釈して表示する能力を必要とされることを指す。しかしながら、このような条件を満たすには、携帯電話端末に求められる処理能力およびメモリサイズが増大するという不都合がある。
【0005】
続いて2つめの条件は、携帯電話端末がインターネットメールを受信するために、携帯電話ネットワークにおいて、インターネットおよび携帯電話間のルートを開くことである。しかしながら、このことは、いわゆる迷惑メールや、ウイルスを持ったメールのような、不用意に送りつけられる悪質なメールの流入を許すことにつながる。
【0006】
他方、第二の従来例を実施するためには、利用者が持つ携帯電話端末にhttpクライアント機能を具備する必要がある。国内外において、携帯電話端末によりhttpクライアント機能を利用するためには、その利用者は携帯電話事業者に対し予め利用契約を結び、httpクライアント機能の月額利用料金を支払う必要がある。また、一般的にhttpクライアント機能を持つ携帯電話端末は、これを持たないものより高価である事が多い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るメール照会システムは、インターネット通信プロトコルに従って交信されるインターネットメールを蓄積するメールサーバと、該メールサーバにインターネットを介して通信可能に接続された携帯電話ネットワークとを備えるメール照会システムであって、 前記携帯電話ネットワークは、当該携帯電話ネットワークに閉じた携帯電話メールを送受信する携帯電話端末と、前記携帯電話端末から送信された携帯電話メールを受信し、該受信した携帯電話メールに基づき所定のインターネットメールの蓄積情報を前記メールサーバへ照会し、該メールサーバからの照会結果を記載した携帯電話メールを前記携帯電話端末に宛てて送信するメール照会サーバとを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るメール照会サーバは、インターネット通信プロトコルに従って交信されるインターネットメールを蓄積するメールサーバにインターネットを介して通信可能に接続された携帯電話ネットワークに設けられるメール照会サーバであって、前記携帯電話ネットワークに閉じた携帯電話メールを送受信するメール送受信部と、携帯電話端末を識別する識別情報に所定のメールサーバのアドレスを含むメール照会情報を対応付けて保持する情報記憶部と、該記憶部の情報を用いて前記メールサーバにインターネットメールの蓄積情報を照会するためのコマンドを設定する情報処理部と、前記コマンドに基づき前記メールサーバとの交信を行うインターネット交信部と、前記メールサーバからの照会結果が記載され且つ前記携帯電話メールを送信した携帯電話端末を宛先とする携帯電話メールを作成するメール作成部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るメール照会システムによれば、携帯電話端末の利用者は、当該端末が標準的に具備する携帯電話メールの送受信機能を用いて、インターネット上のインターネットメールの受信状況を知ることができる。よって、インターネットメールの送受信機能やhttpクライアント機能の有無に関わらず、任意の携帯電話端末により本発明を実施することができる。また、利用者の必要に応じたタイミングでインターネットメールの蓄積情報を照会し、しかも、携帯電話端末からの直接的なインターネット接続を必要としないことから、従来の手法に比べ、当該端末における通信費の削減が期待できると共に、悪質なインターネットメールの受信を防止することができる。
【0010】
本発明に係るメール照会サーバによれば、任意の携帯電話端末に対し、上述と同様な効果を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本実施形態のメール照会システムは、携帯電話端末に標準的に具備され、携帯電話ネットワークに閉じた携帯電話メールのサービスである、いわゆるショートメッセージサービス(以下、単に「SMS」:Short Massage Serviceと称する。)を利用して、インターネット上のメールサーバに格納されている受信メール数および受信メールのヘッダ情報等、インターネットメールの受信状況を照会するものである。
【0012】
SMSの携帯電話メールは、従来知られているように、携帯電話端末の呼制御における制御チャネルを利用して携帯電話間で送受信されるものであることから、携帯電話メールの送受信機能は、国内外の携帯電話に標準的に具備されている。SMSでは、通常、電話番号などの、端末あるいは電話番号と対になったICカードを識別するための識別子を、宛先および発信元識別子として利用し、この識別子を用いて携帯電話メールの送受信管理を行う。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明に係るメール照会システムの実施例の構成を示すブロック図である。実施例のメール照会システム100は、図1に示すように、インターネットメールサービスを提供する事業者により運営されるネットワーク101と、携帯電話通信事業者が提供するSMSが適用される携帯電話ネットワーク102とを備える。両ネットワーク101および102は、複数のデータ通信路からなるインターネット103を介して相互に通信可能に接続されている。
【0014】
インターネットメールサービスによるネットワーク101は、インターネット通信プロトコルに従ってインターネット103を伝搬するインターネットメールを受信して蓄積する電子メールサーバ10を備える。電子メールサーバ10は、受信したインターネットメールを格納するための図示しないメール受信ボックスを有し、インターネット103を介した他の電子メールサーバから受信したインターネットメールを前記ボックスに蓄積する。また、インターネット103を介した他の端末装置、および、電話回線などを利用して直接的に当該ネットワーク101に接続する端末装置に対して、POP3を利用して前記ボックスのメールを受け渡す。このPOP3は、従来知られているように、電子メールをPCなどの端末へ読み込むためのプロトコルであり、IETF(Internet Engineering Task Force)にて規定されている。
【0015】
通常、任意のネットワークの中からインターネット103へ接続するとき、当該ネットワークとインターネット103との間にはセキュリティ確保のための機器、および、インターネット上でアドレスを割り当てるための機器が存在するが、本実施例での説明は省略する。
【0016】
他方、携帯電話ネットワーク102は、ユーザが利用する複数の携帯電話端末(20)と、これらの携帯電話端末20間において携帯電話メールの中継を行う中継装置である携帯電話メール交換機30と、該交換機30を介して携帯電話端末20から受ける携帯電話メールに基づきインターネットメールの照会を行うメール照会サーバ40とを備える。
【0017】
携帯電話端末20は、携帯電話メール交換機30と無線および有線でつながり、携帯電話メールの送受信機能を具備した従来から利用されている携帯電話端末と同様のものである。携帯電話端末20は、利用者の操作によりメール照会サーバ40宛てに携帯電話メールを送出し、メール照会サーバ40から携帯電話メールを受信し、このメールの内容を利用者に表示できるものとする。
【0018】
メール照会サーバ40は、携帯電話ネットワーク102において所定の電話番号(例えば、1000番)が割り当てられており、この電話番号を用いて、携帯電話端末20と携帯電話メール交換機30を介して携帯電話メール交換を行う。
【0019】
メール照会サーバ40の構成を、図2に示すブロック図に沿って説明する。図示のメール送受信部41は、携帯電話ネットワーク102の携帯電話端末20に対し携帯電話メールの送受信を行う。メール解釈部42は、メール送受信部41から携帯電話メールを受け、このメールの送信元を示す識別子である携帯電話端末20の電話番号および当該メールのペイロードを取り出す。なお、携帯電話メールのペイロードとは携帯電話利用者が当該メールに記述した本文(内容)を格納している部分である。
【0020】
情報処理部43は、メール解釈部42が取り出した電話番号およびペイロードに基づいて、電子メールサーバ10におけるインターネットメールの蓄積情報を照会するためのコマンドを設定する。情報処理部43におけるコマンドの設定手順に関しては、後に詳しく述べる。
【0021】
時計44は、情報処理部43から時間の問い合わせを受け、その応答として、その時点における年月日および時刻を返す。時計44から返される情報は、情報処理部43がコマンドを設定するにあたり、現在時刻を知るために用いられる。
【0022】
利用者情報記憶部45は、利用者もしくは携帯電話の識別情報に対応付けられた後述のメール照会情報を含むテーブル45aを格納し、情報処理部43の要求に応じて、当該テーブルのメールサーバ情報を返す。利用者情報記憶部45のテーブル45aは、例えば図3R>3に示すようなものである。テーブル45aには、図3に示すように、携帯電話端末20を識別するための電話番号である「発信元番号」に、「前回問合せ時刻」と、「メールサーバアドレス」と、利用者識別子である「ID」と、「パスワード」とからなるメール照会情報が対応付けられている。テーブル45aにおける「前回問合わせ時刻」を除くこれらの情報は、予め登録されているものとする。
【0023】
テーブル45aの「前回問合せ時刻」とは、同一の発信元番号から携帯電話メールを受けた年月日および時刻であり、後述するように、当該携帯電話端末20からのメール受信毎に更新される情報である。「メールサーバアドレス」は、インターネットメールの蓄積情報を照会すべき電子メールサーバ10のインターネット上でのアドレスであり、インターネット上で一意に定められている。「ID」は、電子メールサーバ10が管理する利用者識別子であり、「パスワード」と共に用いることにより、任意の利用者のインターネットメールおよび当該メールの蓄積状況情報にアクセスすることが可能となる。
【0024】
POP3通信部46は、電子メールサーバ103に対して、インターネット103を経由してインターネットメールの受信状況に係る情報を得るための通信手段である。POP3通信部46は、POP3プロトコルの内、少なくとも携帯電話ネットワーク102の任意の利用者(宛先)に宛てられたインターネットメールの蓄積件数、および、当該メールのヘッダ情報の一覧表を電子メールサーバ10から受け取るためのプロトコルを処理する手段を有する。
【0025】
インターネットメールのヘッダ情報とは、メールの発信元アドレス、発信日時および時刻、電子メールの件名(タイトル)等を指す。POP3通信部46は、電子メールサーバ10に対しPOP3プロトコルに沿った通信を行うために、情報処理部43から電子メールサーバ10のアドレスと、任意の利用者IDと、当該利用者のパスワードとを受け取る。
【0026】
TCP/IP通信部47は、インターネット103を介して電子メールサーバ10と交信するためのパケット送受信プロトコルを具備する。TCP/IP通信部47は、POP3通信手段46を介して、情報処理部43からのコマンドおよび情報を受け取り、これらを用いて電子メールサーバ10と交信する。また、TCP/IP通信部47は、前記コマンドに対する電子メールサーバ10からの応答の情報を、POP3通信手段46を介して情報処理部43へ供給する。なお、本実施例では、POP3通信部46およびTCP/IP通信部47が、本発明のインターネット交信部に対応する。
【0027】
メール作成部48は、電子メールサーバ10からの応答を示す情報と、当該応答を通知すべき携帯電話端末20の電話番号とを情報処理部43から受け、当該携帯電話端末20を宛先として前記応答内容を記載した携帯電話メールを新規作成し、このメールをメール送受信部41へ渡す。
【0028】
以下、図4に示すフローチャートを用いて、本実施例の動作の流れを説明する。ここでは、電話番号が「135013401」である携帯電話端末20が、サーバアドレス「mail.aaa.ne.jp」の電子メールサーバ10におけるインターネットメールの蓄積情報を照会する例を示す。
【0029】
まず、携帯電話端末20が、電話番号1000番のメール照会サーバ40に宛てて、インターネットメールの蓄積情報の照会を要求する携帯電話メールを送信する。メール照会サーバ40では、メール送受信部41が携帯電話メール交換機30を介して前記メールを受信したことを契機に動作を開始する(ステップS1)。携帯電話端末20からメール照会サーバ40に宛てた前記携帯電話メールは、本文に何も記載しないメール、あるいは、「蓄積照会」のような所定の単語を記載したメール等、あらかじめ携帯電話ネットワーク102において適宜取り決めておく。メール送受信部41は、受信した携帯電話メールをメール解釈部42へ渡す(ステップS2)。メール解釈部42は、当該メールからその発信元電話番号である「135013401」を読み出し(ステップS3)、これを情報処理部43へ渡す。
【0030】
情報処理部43は、メール解釈部42から発信元電話番号を受け取ると、この値をキーにして利用者情報記憶部45からテーブル45aの内容を読み出す(ステップS4)。すなわち、テーブル45aから、「発信元電話番号」が「135013401」に対応するレコードである、前回問合せ時刻の「2003/01/23/14:56:20」、メールサーバアドレスの「mail.aaa.ne.jp」、IDの「user1」、パスワードの「pass1」をそれぞれ読み出す。
【0031】
次に、情報処理部43は、時計44の値を参照する(ステップS5)。例えば、現在時刻が2003年1月23日14時57分32秒であるとすると、時計44から読み出した値は「2003/01/23/14:57:32」となる。情報処理部43は、前記テーブル45aから読み出した前回問合せ時刻「2003/01/23/14:56:20」と、前記時計44から読み出した値「2003/01/23/14:57:32」とを比較し、両者の差分を求める(ステップS6)。ここで両者の差分は「1分12秒」である。
【0032】
情報処理部43は、予め定められた任意の時間閾値と前記差分とを比較する(ステップS7)。時間閾値が、例えば「1分(60秒)」に設定されていたとすると、前記差分の値「1分12秒」は当該閾値より長い(ステップS7:Yes)。この場合、情報処理部43は、インターネットメールの蓄積件数を蓄積情報として取得するためのコマンドを設定し、これをPOP3通信部46に発する(ステップS8)。
【0033】
また、仮に、時計44から読み出した現在時刻の値が「2003/01/23/14:57:15」であったとすると、この値と、テーブル45aから読み出した前回問合せ時刻「2003/01/23/14:56:20」とを比較すると、両者の差分は「55秒」である。この値「55秒」は、前記閾値「1分(60秒)」より短い(ステップS7:No)。このとき情報処理部43は、POP3通信部46に対し、インターネットメールのヘッダ情報のリストを蓄積情報として取得するためのコマンドを発する(ステップS12)。
【0034】
情報処理部43は、時計44から読み出した現在時刻の値「2003/01/23/14:57:32」または「2003/01/23/14:57:15」を、テーブル45aの前回問合せ時刻に上書きする(ステップS9、13)。また、情報処理部43は、POP3通信部46へコマンドを送る際、前記テーブル45aから読み出した値の内、メールサーバアドレス「mail.aaa.ne.jp」と、ID「user1」と、パスワード「pass1」とをコマンドと共に与える。
【0035】
POP3通信部46は、インターネットメールの蓄積件数を取得するためのコマンド(ステップS8)、または、電子メールヘッダ情報のリストを取得コマンド(ステップS12)と、メールサーバアドレスとIDとパスワードとを情報処理部43から受け取ると、これらをPOP3コマンドに変換してTCP/IP通信部47へ渡す。そして、TCP/IP通信部47が、POP3通信部46により制御されるPOP3に則り、ユーザログインを行った後、インターネットメールの蓄積情報を照会するための前記いずれかのコマンドを送信する。 その後、電子メールサーバ10から前記照会の応答となるメール蓄積件数情報またはヘッダ情報のリストを受け取ると、ログアウトを行う(ステップS10、S14)。ステップS10およびステップS14手順は、従来知られたPOP3に規定された手順であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0036】
前記手順において、照会すべき蓄積情報がメール蓄積件数であった場合は、その応答として、電子メールサーバ10におけるID「user1」およびパスワード「pass1」に対応するインターネットメールが現在何件蓄積されているかが返され、また、照会内容がヘッダ情報である場合は、電子メールサーバ10に蓄積されている該当のインターネットメールについて、その発信元アドレス、発信日時および時刻、電子メールの件名(タイトル)等が応答として返される。
【0037】
TCP/IP通信部47は、以上の様にして、電子メールサーバ10からの応答を受信すると、これらの情報をPOP3通信部46を介して利用者情報記憶部45へ渡す(ステップS11、15)。情報処理部43は、受け取ったメール蓄積件数もしくはヘッダ情報のリストと、応答を通知すべき携帯電話端末20の前記発信元電話番号「1350123401」とをメール作成部48へ渡す。
【0038】
メール作成部48は、メール蓄積件数もしくはヘッダ情報のリストと、前記発信元電話番号「1350123401」とに基づき、宛先に発信元電話番号「1350123401」を設定すると共に、ペイロードにメール蓄積件数もしくはヘッダ情報のリストを設定した携帯電話メールを新規に作成し(ステップS16)、このメールをメール送受信部41に渡す。
【0039】
メール送受信部41は、メール作成部48から前記携帯電話メールを受け取ると、これを携帯電話メール交換機30を介して発信元の携帯電話端末20へ送信する(ステップS17)。そして、電話番号が「1350123401」の携帯電話端末20は、前記携帯電話メールを受信すると、インターネットメールの照会結果を利用者に通知すべく、図示しない表示部に当該メールの内容を表示する。これをもって、メール照会システム100におけるインターネットメールの蓄積情報の照会手順が完了する。
【0040】
以上説明したように、メール照会システム100によれば、メール照会サーバ40が、携帯電話端末20からの携帯電話メールに基づき、インターネット103上の電子メールサーバ10のメール蓄積情報を照会すると共に、その照会結果を当該携帯電話端末20へ通知することから、利用者は、携帯電話端末20から直接的にインターネット103接続を行うことなく、SMSにおける携帯電話メールにより、インターネットメールの蓄積数あるいはヘッダ情報のリスト内容を把握することができる。
【実施例2】
【0041】
本発明に係るメール照会システムの実施例2は、前記実施例1で図4に沿って説明したステップS7での判断、すなわち同一の携帯電話端末20から携帯電話メールを受信した時間間隔と、予め設定された時間閾値との比較に基づく判断おいて、メール照会サーバ40の情報処理部43が実施例1における判断とは逆の判断を行うものである。
【0042】
具体的には、情報処理部43が時間閾値と前記差分とを比較し、この差分が閾値より長い場合に、POP3通信部46に対しヘッダ情報リスト取得コマンドを発行する。また、前記差分が閾値より短い場合は、メール蓄積件数取得コマンドを発行する。実施例2のメール照会システム100によれば、実施例1のそれと同様な効果を奏する。
【実施例3】
【0043】
本発明に係るメール照会システムの実施例3は、携帯電話端末20により、インターネットメールの蓄積情報の照会内容を指定するものであり、メール照会サーバ40はその内容に従って、電子メールサーバ10へ照会を行う。照会内容は、インターネットメールの蓄積数、ヘッダ情報のリスト、および、当該リストにおける所定のヘッダ情報のうちのいずれかとする。
【0044】
上記の照会内容を識別するために、携帯電話端末20から送信する携帯電話メールの本文と、照会内容との対応づけを、あらかじめ携帯電話ネットワーク102で決定しておく。例えば、インターネットメールの蓄積数を照会する場合は、携帯電話メールの本文に何も記載せず、ヘッダ情報のリストを照会する場合は、本文に「LIST」と記載し、当該リストの2番目のヘッダ情報を照会する場合は、本文に「2」と記載する等、メール照会サーバ40で各照会内容を識別できるように、携帯電話メールの記載内容を適宜取り決めておく。
【0045】
メール照会サーバ40のメール送受信部41で上記のような携帯電話メールを受信すると、情報処理部43は、時計44の値の参照(ステップS5)や、前回問合せ時刻と現在時刻との比較(ステップS6、S7)を行うことなく、前記ペイロードに記述されたコマンドに従って、メール蓄積件数取得コマンドもしくはヘッダ情報取得コマンドの内いずれかをPOP3通信部46に発行する。実施例3のメール照会システム100によれば、実施例1のそれと同様な効果を奏し、さらに、電子メールサーバ10への照会内容を利用者側で適宜指定することができる。
【0046】
なお、前記各実施例の携帯電話ネットワーク102では、メール照会サーバ40は、携帯電話端末20に対して携帯電話メール交換機30を介して携帯電話メールを送受信する構成であったが、本発明を実施するにあたっては、メール照会サーバ40に、携帯電話端末20と携帯電話メールを直接送受信するためのインタフェースを設け、これにより、メール照会サーバ40が携帯電話メール交換機30の介在なしに携帯電話メールを取り扱うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、携帯電話端末の利用者がインターネットメールの受信状況を照会するにあたって、当該端末からの直接的なインターネット接続は不要であることから、インターネットメールの送受信機能や、httpクライアント機能を具備しない携帯電話端末に対しても、本発明を適用することができる。これにより、例えば、パーソナルコンピュータのような、インターネット接続可能な他の端末でメール受信作業を行う前に、予め上記のような携帯電話端末によって、手軽にメールサーバのメール受信状況を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るメール照会システムの実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例における照会サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例における利用者情報記憶部を説明するための説明図である。
【図4】本発明の実施例の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
100 メール照会システム
101 ネットワーク
102 携帯電話ネットワーク
103 インターネット
10 電子メールサーバ
20 携帯電話端末
30 携帯電話メール交換機
40 メール照会サーバ
41 メール送受信部
42 メール解釈部
43 情報処理部
44 時計
45 利用者情報記憶部
45a テーブル
46 POP3通信部
47 TCP/IP通信部
48 メール作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット通信プロトコルに従って交信されるインターネットメールを蓄積するメールサーバと、該メールサーバにインターネットを介して通信可能に接続された携帯電話ネットワークとを備えるメール照会システムであって、
前記携帯電話ネットワークは、
当該携帯電話ネットワークに閉じた携帯電話メールを送受信する携帯電話端末と、
前記携帯電話端末から送信された携帯電話メールを受信し、該受信した携帯電話メールに基づき所定のインターネットメールの蓄積情報を前記メールサーバへ照会し、該メールサーバからの照会結果を記載した携帯電話メールを前記携帯電話端末に宛てて送信するメール照会サーバとを含むことを特徴とするメール照会システム。
【請求項2】
さらに、前記携帯電話端末と前記メール照会サーバと間において交信される携帯電話メールを中継する中継装置を備えることを特徴とする請求項1記載のメール照会システム。
【請求項3】
前記メール照会サーバは、携帯電話メールを送受信するメール送受信部と、前記携帯電話端末を識別する識別情報に所定のメールサーバのアドレスを含むメール照会情報を対応付けて保持する情報記憶部と、該記憶部の情報を用いて前記メールサーバにインターネットメールの蓄積情報を照会するためのコマンドを設定する情報処理部と、前記コマンドに基づき前記メールサーバと交信するためのインターネット交信部と、前記メールサーバからの照会結果が記載され且つ前記携帯電話端末を宛先とする携帯電話メールを作成するメール作成部とを有することを特徴とする請求項1又は2記載のメール照会システム。
【請求項4】
前記情報処理部は、インターネットメールの蓄積数を前記蓄積情報として前記コマンドを設定することを特徴とする請求項3記載のメール照会システム。
【請求項5】
前記情報処理部は、前記メールサーバに蓄積されたインターネットメールの発信元アドレスを含むヘッダ情報のリストを前記蓄積情報として前記コマンドを設定することを特徴とする請求項3記載のメール照会システム。
【請求項6】
前記情報処理部は、前記携帯電話端末から時間をおいて送信された携帯電話メールの受信間隔が予め設定された時間閾値より小さいとき、前記蓄積情報の照会に対応するコマンドを設定することを特徴とする請求項4又は5に記載のメール照会システム。
【請求項7】
前記情報処理部は、前記携帯電話端末から時間をおいて送信された携帯電話メールの受信間隔が予め設定された時間閾値より大きいとき、前記蓄積情報の照会に対応するコマンドを設定することを特徴とする請求項4または5に記載のメール照会システム。
【請求項8】
前記メール送受信部は、前記携帯電話端末から、前記インターネットメールの蓄積数の照会、前記インターネットメールの発信元アドレスを含むヘッダ情報のリストの照会、および、当該ヘッダ情報のリストにおける所定のヘッダ情報の照会のうちのいずれかを要求するための携帯電話メールを受信し、
前記情報処理部は、前記メール送受信部が受信した前記携帯電話メールの要求に対応したコマンドを選択的に設定することを特徴とする請求項3記載のメール照会システム。
【請求項9】
インターネット通信プロトコルに従って交信されるインターネットメールを蓄積するメールサーバにインターネットを介して通信可能に接続された携帯電話ネットワークに設けられるメール照会サーバであって、
前記携帯電話ネットワークに閉じた携帯電話メールを送受信するメール送受信部と、携帯電話端末を識別する識別情報に所定のメールサーバのアドレスを含むメール照会情報を対応付けて保持する情報記憶部と、該記憶部の情報を用いて前記メールサーバにインターネットメールの蓄積情報を照会するためのコマンドを設定する情報処理部と、前記コマンドに基づき前記メールサーバとの交信を行うインターネット交信部と、前記メールサーバからの照会結果が記載され且つ前記携帯電話メールを送信した携帯電話端末を宛先とする携帯電話メールを作成するメール作成部とを有することを特徴とするメール照会サーバ。
【請求項10】
前記情報処理部は、前記インターネットメールの蓄積数を前記蓄積情報として前記コマンドを設定することを特徴とする請求項9記載のメール照会サーバ。
【請求項11】
前記情報処理部は、前記メールサーバに蓄積された前記インターネットメールの発信元アドレスを含むヘッダ情報のリストを前記蓄積情報として前記コマンドを設定することを特徴とする請求項9記載のメール照会サーバ。
【請求項12】
前記情報処理部は、携帯電話端末から時間をおいて送信された携帯電話メールの受信間隔が予め設定された時間閾値より小さいとき、前記蓄積情報の照会に対応するコマンドを設定することを特徴とする請求項10または11に記載のメール照会サーバ。
【請求項13】
前記情報処理部は、携帯電話端末から時間をおいて送信された携帯電話メールの受信間隔が予め設定された時間閾値より大きいとき、前記蓄積情報の照会に対応するコマンドを設定することを特徴とする請求項10または11に記載のメール照会サーバ。
【請求項14】
前記メール送受信部は、前記携帯電話端末から、前記インターネットメールの蓄積数の照会、前記インターネットメールの発信元アドレスを含むヘッダ情報のリストの照会、および、当該ヘッダ情報のリストにおける所定のヘッダ情報の照会のうちのいずれかを要求するための携帯電話メールを受信し、
前記情報処理部は、前記メール送受信部が受信した前記携帯電話メールの要求に対応したコマンドを選択的に設定することを特徴とする請求項9記載のメール照会サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2005−57585(P2005−57585A)
【公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−287832(P2003−287832)
【出願日】平成15年8月6日(2003.8.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ポケットベル
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】