説明

モノ、オリゴおよびポリアルキリデンフルオレンおよびこれらの電荷移動材料としての使用

【課題】合成するのが容易であり、高い電荷可動性、良好な加工性および改善された酸化安定性を有する、半導体または電荷移動材料として用いるための新たな材料を提供する。
【解決手段】本発明は、新規な共役モノ、オリゴおよびポリアルキリデンフルオレンに関する。本発明はさらに、これらの製造方法、電界効果トランジスタ、エレクトロルミネセント、光起電およびセンサー装置を含む、光学的、電気光学的または電子装置における半導体または電荷移動材料としてのこれらの使用に関する。本発明はさらに、新規なモノマー、オリゴマーおよびポリマーを含む電界効果トランジスタおよび半導電性部品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な共役したモノ、オリゴおよびポリアルキリデンフルオレンに関する。本発明はさらに、これらの製造方法、電界効果トランジスタ、エレクトロルミネセント、光起電およびセンサー装置を含む、光学的、電気光学的または電子装置における、半導体または電荷移動材料としての、これらの使用に関する。本発明はさらに、新規なモノマー、オリゴマーおよびポリマーを含む電界効果トランジスタおよび半導電性部品に関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料は、近年、有機ベース薄膜トランジスタおよび有機電界効果トランジスタにおける活性層として有望であると示されている[H.E. Katz, Z. BaoおよびS.L. Gilat, Acc. Chem. Res., 2001, 34, 5, 359参照]。このような装置は、スマートカード、セキュリティータグおよびフラットパネルディスプレイにおける切り換え素子における潜在的用途を有する。有機材料は、これらを溶液から堆積させることができる場合には、これにより、迅速で大面積の製作経路が可能となるため、これらのシリコン類似物にまさる実質的な費用上の利点を有すると考えられる。
【0003】
この装置の性能は、原理的に、半導電性材料の電荷担体可動性および電流オン/オフ比に基づいており、従って理想的な半導体は、オフ状態における低い導電性およびこれと組み合わせて、高い電荷担体可動性(>1×10−3cm−1−1)を有しなければならない。さらに、酸化により、低下した装置性能に至るため、半導電性材料が、酸化に対して比較的安定である、即ち、これが、高いイオン化ポテンシャルを有することが重要である。
【0004】
OFET用の有効なp型半導体であることが示されている既知の化合物は、ペンタセンである[S.F. Nelson, Y.Y. Lin, D.J. GundlachおよびT.N. Jackson, Appl. Phys. Lett., 1998, 72, 1854参照]。真空蒸着により薄膜として蒸着させた際には、これは、1cm−1−1を超える担体可動性および10より大きい、極めて高い電流オン/オフ比を有することが示された。しかし、真空蒸着は、大面積フィルムの製作には適さない高価な加工技術である。
【0005】
レギュラーなポリ(3−ヘキシルチオフェン)は、1×10−5〜4.5×10−2cm−1−1の電荷担体可動性を有するが、10〜10のむしろ低い電流オン/オフ比を有することが報告されている[Z. Bao et al., Appl. Pys. Lett. 1997, 78, 2184参照]。一般的に、ポリ(3−アルキルチオフェン)は、改善された可溶性を示し、大面積フィルムを製作するために加工された溶液であることができる。しかし、ポリ(3−アルキルチオフェン)は、比較的低いイオン化ポテンシャルを有し、空気中でドーピングされやすい[H. Sirringhaus et al., Adv. Solid State Phys. 1999, 39, 101参照]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、合成するのが容易であり、高い電荷可動性、良好な加工性および改善された酸化安定性を有する、半導体または電荷移動材料として用いるための新たな材料を提供することにある。本発明の他の目的は、以下の記載から、当業者に直ちに明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、これらの目的は、9−アルキリデンフルオレン(1)に基づく新規なモノマー、オリゴマーおよびポリマーを提供することにより達成することができることを見出した。ポリ(9−アルキリデンフルオレン)(2)は、例えばポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)と比較して、9位における炭素sp混成および強力な鎖間π−π積み重ね相互作用のために、主鎖において高い程度の平坦性を示し、これらを、高い電荷可動性を有する有効な電荷移動材料とする。さらに、融合したフェニレン構造の高い共鳴安定性により、高いイオン化ポテンシャルおよび従って良好な安定性がもたらされる。また、アルキル置換基R、Rをアルキリデンフルオレン基中に導入すると、本発明の材料の良好な可溶性および従って良好な溶液加工性がもたらされる。装置製造中の溶液加工は、潜在的に一層安価であり、一層迅速な手法であるという、真空蒸着にまさる利点を有する。
【化1】

【0008】
発光ダイオードにおいて用いるためのポリフルオレンおよびポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)の合成は、従来技術中に、例えばUS 6,169,163中に報告されている。さらに、US 6,169,163には、一置換9−アルキリデンフルオレン(1)およびポリ(9−アルキリデンフルオレン)(2)(R=アルキル、R=H)が開示されている。二置換9−アルキリデンフルオレン(R=R=随意に置換されたアルキル)のコポリマーは、WO 00/46321中に開示されているが、モノマー1の例または製造方法は、開示されていない。特定の一置換9−アルキリデンフルオレン(1)(R=アルキル、R=H)の合成はまた、K. Subba Reddy et al., Synthesis, 2000, 1, 165中に記載されている。
【0009】
特定の二置換9−アルキリデンフルオレン(1)(R=メチル、R=メチルまたはフェニル)の合成は、K. C. Gupta et al., Indian J. Chem., Sect. B, 1986, 25B, 1067中に開示されている。二置換9−アルキリデンフルオレン(1)(R=メチル、R=エチル)の特定のコポリマーの合成は、M. RangerおよびM. Leclerc, Macromolecules 1999, 32, 3306により報告されている。これらの2種の方法は、プロピルよりも大きいアルキル鎖を有する分子の製造には、直ちに容易には反応しない。さらに、非対称9−アルキリデンフルオレンのポリマーは、乏しい位置規則性(regioregularity)並びにそれによる固体状態において乏しい秩序およびパッキング(packing)の一般的問題を有する。本発明のモノおよびポリ(9−アルキリデンフルオレン)は、報告されていない。
【0010】
本発明の他の観点は、1つまたは2つ以上の9−アルキリデンフルオレン単位を含む中心核からなり、随意に、9−アルキリデンフルオレン単位と共に共役系を形成する、他の不飽和有機基を含み、前述の核が、随意にスペーサー基を介して、1つまたは2つの重合可能な基に結合している、反応性メソゲンに関する。反応性メソゲンは、液晶相を誘発または増強することができるか、または、それら自体液晶性である。これらは、これらの中間相において配向することができ、および重合可能な基は、インサイチュ(in situ)で重合または架橋して、高い程度の秩序を有するポリマーフィルムを形成し、従って高い安定性および高い電荷担体可動性を有する改善された半導体材料を得ることができる。
【0011】
Grell et al., J. Korean Phys. Soc. 2000, 36(6), 331は、分子エレクトロニクスのためのモデル化合物として2つの反応性アクリレート末端基を有する共役ジスチリルベンゼン核を含む反応性メソゲンを提案している。しかし、9−アルキリデンフルオレンの反応性メソゲンの開示はない。
本発明の他の観点は、本発明の反応性メソゲンから得られ、これを次に、半導体装置において用いるための薄層として例えば溶液からさらに加工する、液晶ポリマー、特に液晶側鎖ポリマーに関する。
【0012】
用語の定義
用語「液晶性または中間相形成性材料」または「液晶性または中間相形成性化合物」は、1つまたは2つ以上の棒型、薄い木片型またはディスク型の中間相形成性基、即ち液晶相挙動を誘発する能力を有する基を含む材料または化合物を意味する。中間相形成性基を含む化合物または材料は、必ずしもそれら自体液晶相を示す必要はない。また、これらが、他の化合物との混合物においてのみ、あるいは中間相形成性化合物または材料またはこれらの混合物を重合させた際に、液晶相挙動を示すことが可能である。
【0013】
用語「重合可能な」は、重合反応、例えばラジカル性またはイオン性連鎖重合、重付加または重縮合に関与することができる化合物または基、および例えば、重合類似反応においてポリマー主鎖に縮合または付加によりグラフトされることができる反応性化合物または反応性基を含む。
用語「フィルム」は、いくらか顕著な機械的安定性および可撓性を示す自立性、即ち独立して立つフィルム、並びに支持基板上または2つの基板の間の被膜または層を含む。
【0014】
発明の概要
本発明は、式I
−[(A)−(B)−(C)−R10
式中、
AおよびCは、互いに独立して、−CX=CX−、−C≡C−または随意に置換されたアリーレンまたはヘテロアリーレンであり、
およびXは、互いに独立して、H、F、ClまたはCNであり、
Bは、式II
【化2】

で表される基であり、
【0015】
およびRは、互いに独立して、ハロゲン、非置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNにより一置換または多置換されていることができる、1〜20個のC原子を有する直鎖状、分枝状または環状アルキルであり、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基が、各々の場合において、互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−SO−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されていることができ、随意に置換されたアリールまたはヘテロアリール、あるいはP−Sp−Xであり、
〜R10は、互いに独立して、Hであるか、またはRについて示した意味の1つを有し、
およびR00は、互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、
【0016】
Pは、重合可能な、または反応性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、および
Xは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−または単結合であり、
a、bおよびcは、互いに独立して、0または1であり、a+b+c>0であり、ここで、少なくとも1つの繰り返し単位[(A)−(B)−(C)]において、bは1であり、および
nは、≧1の整数である、
で表され、ここで、繰り返し単位[(A)−(B)−(C)]は、同一であるかまたは異なることができ、および
【0017】
ただし、
a)nが1である場合には、aおよびcは0であり、R3−8は、Hであり、およびRおよびRの一方は、メチルであり、他方は、メチル、エチルまたはフェニルであり、RおよびR10は、同時にはClまたはBrではなく、および
b)AおよびCは、2,7−(4−ヘキシルフェニル)フルオレン−9−カルボニルとは異なる、
モノマー、オリゴマーおよびポリマーに関する。
【0018】
本発明は、さらに、式I(式中、nは、1である)で表されるモノマー、極めて好ましくは式II−1
【化3】

式中、R〜R10は、前に定義した通りであり、特に、ここで、RおよびR10は、互いに独立してハロゲンである、
で表されるモノマーの製造方法に関する。
【0019】
本発明はさらに、本発明のモノマー、オリゴマーおよびポリマーの、半導体または電荷移動材料として、特に光学的、電気光学的または電子装置において、例えば集積回路の部品、電界効果トランジスタ(FET)、例えばフラットパネルディスプレイ用途における薄膜トランジスタとして、または電波方式認識(RFID)タグ、または有機発光ダイオード(OLED)用途、例えばエレクトロルミネセントディスプレイまたは例えば液晶ディスプレイのバックライト、光起電またはセンサー装置、電池における電極材料、光導電体および電子写真式用途、例えば電子写真式記録のための半導電性部品における使用に関する。
【0020】
本発明はさらに、本発明の1種または2種以上のモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含む、例えば集積回路の部品として、フラットパネルディスプレイ用途、あるいは電波方式認識(RFID)タグにおける薄膜トランジスタとしての電界効果トランジスタに関する。
【0021】
本発明はさらに、例えば本発明の1種または2種以上のモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含む、エレクトロルミネセントディスプレイまたは例えば液晶ディスプレイのバックライトのようなOLED用途における、光起電またはセンサー装置において、電池における電極材料として、光導電体として、および電子写真式用途のための半導電性部品に関する。
本発明はさらに、本発明のRFIDまたはIDタグまたはFETを含むセキュリティーマーキングまたは装置に関する。
【0022】
発明の詳説
本発明のモノマー、オリゴマーおよびポリマーは、これらが、高い担体可動性を有するため、電荷移動半導体として特に有用である。特に好ましいのは、基Bが、1種または2種以上のアルキル、チオアルキルまたはフルオロアルキル基により置換されている、モノマー、オリゴマーおよびポリマーである。アルキル、チオアルキルおよびフルオロアルキル側鎖を、基Bに導入すると、可溶性および従って本発明の材料の溶液加工性が改善される。さらに、フルオロアルキル側鎖の存在により、また、本発明の材料が、n型半導体として有効になる。
【0023】
特に好ましいのは、式Iで表される少なくとも1種の基および、重合または架橋反応が可能である少なくとも1種の反応性基を含む、モノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
さらに好ましいのは、中間相形成性または液晶性である、式Iで表される少なくとも1種の基を含むモノマー、オリゴマーおよびポリマー、特に、カラマイト相(calamitic phase)を形成する、式Iで表されるポリマー、およびカラマイト相を形成する、1つまたは2つ以上の基P−Sp−Xを含む、式Iで表される反応性メソゲンである。
【0024】
本発明のオリゴマーおよびポリマーにおいて、多重存在の場合における繰り返し単位(A)−(B)−(C)を、式Iから互いに独立して、オリゴマーまたはポリマーが、同一のまたは異なる繰り返し単位(A)−(B)−(C)を含むことができるように選択することができる。従って、オリゴマーおよびポリマーは、例えば、
−例えば−A−B−C−C−B−A−B−のようなモノマー配列を有する、統計的に無秩序なコポリマー、
−例えば−A−B−C−A−B−C−のようなモノマー配列を有する交互コポリマー、および
−例えば−A−A−B−B−B−B−C−C−C−のようなモノマー配列を有するブロックコポリマー
であるホモポリマーおよびコポリマーを含み、ここで、基AおよびCは、好ましくは、基Bと共に、共役系を形成する。
【0025】
さらに好ましいのは、1つまたは2つ以上の繰り返し単位(A)−(B)−(C)(式中、a=c=0およびb=1である)を含み、極めて好ましくは専らこのような繰り返し単位からなるモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
さらに好ましいのは、1つまたは2つ以上の繰り返し単位(A)−(B)−(C)(式中、b=c=1およびa=0である)を含み、極めて好ましくは専らこのような繰り返し単位からなるモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
さらに好ましいのは、1つまたは2つ以上の繰り返し単位(A)−(B)−(C)(式中、a=b=c=1である)を含み、極めて好ましくは専らこのような繰り返し単位からなるモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
【0026】
さらに好ましいのは、
−nが、1〜5000の整数である、
−nが、2〜5000、特に20〜1000の整数である、
−nが、2〜5の整数である、
−nが2であり、RおよびR10の一方または両方が、P−Sp−Xを示す、
−nが、1〜15の整数であり、RおよびR10の一方または両方が、P−Sp−Xを示す、
−nが、2〜5000の整数であり、RおよびR10が、P−Sp−Xとは異なる、式Iの意味の1つを有する、
【0027】
−分子量が、5000〜100000である、
−RおよびRが、同一である、
−RおよびRが、随意に1個または2個以上のフッ素原子で置換されたC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20チオアルキル、C〜C20シリル、C〜C20エステル、C〜C20アミノ、C〜C20フルオロアルキルあるいは随意に置換されたアリールまたはヘテロアリール、特にC〜C20アルキルまたはC〜C20フルオロアルキルから選択されている、
【0028】
−RおよびRが、随意に1個または2個以上のフッ素原子で置換されたC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20チオアルキル、C〜C20シリル、C〜C20エステル、C〜C20アミノ、C〜C20フルオロアルキルあるいは随意に置換されたアリールまたはヘテロアリール、特にC〜C20アルキルまたはC〜C20フルオロアルキルから選択されており、R〜Rが、Hである、
−R〜Rが、随意に1個または2個以上のフッ素原子で置換されたC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20チオアルキル、C〜C20シリル、C〜C20エステル、C〜C20アミノ、C〜C20フルオロアルキルおよび随意に置換されたアリールまたはヘテロアリールから選択されている、
【0029】
−RおよびR10が、随意に1個または2個以上のフッ素原子で置換されたC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20チオアルキル、C〜C20シリル、C〜C20エステル、C〜C20アミノ、C〜C20フルオロアルキルあるいは随意に置換されたアリールまたはヘテロアリールから選択されている、
−AおよびCが、随意に置換されたアリーレンまたはヘテロアリーレンである、
−AおよびCが、−CX=CX−または−C≡C−である、
−少なくとも1つのモノマー単位(A)−(B)−(C)において、a、bおよびcは、1であり、AおよびCの一方は、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、他方は−CX=CX−または−C≡C−である、
−n>1である、
式Iで表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
【0030】
特に好ましいのは、以下の式
【化4】

【0031】
【化5】

式中、R〜R10は、前に示した意味を有し、Arは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、nは、1〜5000の整数である、
で表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマーである。
【0032】
特に好ましいのは、これらの好ましい式で表されるオリゴマーおよびポリマーであり、ここで、RおよびRは、互いに独立して、随意にフッ素化されている、1〜16個のC原子を有するアルキルまたはチオアルキルであり、R〜Rは、互いに独立して、H、Fまたは随意にフッ素化されている、1〜16個のC原子を有するアルキルであり、RおよびR10は、互いに独立して、H、ハロゲン、随意にフッ素化されている、1〜16個のC原子を有するアルキルまたはP−Sp−Xであり、Arは、1,4−フェニレン、アルコキシフェニレン、アルキルフルオレン、チオフェン−2,5−ジイル、チエノチオフェン−2,5−ジイルまたはジチエノチオフェン−2,6−ジイルであり、およびnは、2〜5000、特に20〜1000の整数である。
【0033】
さらに好ましいのは、前記の好ましい式で表される反応性モノマーであり、ここで、nは、2であり、RおよびRは、互いに独立して、随意にフッ素化されている、1〜16個のC原子を有するアルキルであり、R〜Rは、互いに独立して、H、Fあるいは、随意にフッ素化されている、1〜16個のC原子を有するアルキルまたはチオアルキルであり、RおよびR10は、互いに独立して、H、ハロゲン、随意にフッ素化されている、1〜16個のC原子を有するアルキルまたはP−Sp−Xであり、Arは、1,4−フェニレン、アルコキシフェニレン、アルキルフルオレン、チオフェン−2,5−ジイル、チエノチオフェン−2,5−ジイルまたはジチエノチオフェン−2,6−ジイルであり、RおよびR10の少なくとも一方、好ましくは両方は、P−Sp−Xを示す。
【0034】
アリールおよびヘテロアリールは、好ましくは、また縮合環を含むことができ、随意に式Iにおいて定義した1つまたは2つ以上の基Rで置換されている、25個までのC原子を有する単環式、二環式または三環式芳香族または複素芳香族基を示す。
【0035】
特に好ましいアリールおよびヘテロアリール基は、フェニルであり、ここで、さらに、1つまたは2つ以上のCH基は、N、ナフタレン、チオフェン、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、アルキルフルオレンおよびオキサゾールにより置換されていることができ、これらのすべては、非置換であるか、Lで一置換または多置換されていることができ、ここで、Lは、ハロゲンあるいは1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルまたはアルコキシカルボニル基であり、ここで、1個または2個以上のH原子は、FまたはClにより置換されていることができる。
【0036】
アリーレンおよびヘテロアリーレンは、好ましくは、また縮合環を含むことができ、随意に1つまたは2つ以上の基Rで置換されている、25個までのC原子を有する2価の単環式、二環式または三環式芳香族または複素芳香族基を示す。
【0037】
特に好ましいアリーレンおよびヘテロアリーレン基は、1,4−フェニレンであり、ここで、さらに、1つまたは2つ以上のCH基は、N、ナフタレン−2,6−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チエノチオフェン−2,5−ジイル、ジチエノチオフェン−2,6−ジイル、アルキルフルオレンおよびオキサゾールにより置換されていることができ、これらのすべては、非置換であるか、前に定義したLで一置換または多置換されていることができる。
【0038】
−CX=CX−は、好ましくは、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−、−CH=C(CN)−または−C(CN)=CH−である。
【0039】
本明細書中に示す式において、R〜R10の1つが、アルキルまたはアルコキシ基である、即ち、末端CH基が−O−により置換されている場合には、これは、直鎖状または分枝状であることができる。これは、好ましくは直鎖状であり、2〜8個の炭素原子を有し、従って好ましくは、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシまたはオクトキシ、さらにメチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシである。
【0040】
オキサアルキル(即ちここで、1つのCH基が−O−により置換されている)は、好ましくは、例えば、直鎖状2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)または3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルあるいは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0041】
チオアルキル(即ちここで、1つのCH基が−S−により置換されている)は、好ましくは、直鎖状チオメチル(−SCH)、1−チオエチル(−SCHCH)、1−チオプロピル(=−SCHCHCH)、1−(チオブチル)、1−(チオペンチル)、1−(チオヘキシル)、1−(チオヘプチル)、1−(チオオクチル)、1−(チオノニル)、1−(チオデシル)、1−(チオウンデシル)または1−(チオドデシル)であり、ここで、好ましくは、sp混成ビニル炭素原子に隣接したCH基は、置換されている。
【0042】
フルオロアルキルは、好ましくはC2i+1(式中、iは、1〜15の整数である)、特にCF、C、C、C、C11、C13、C15またはC17、極めて好ましくはC13である。
ハロゲンは、好ましくは、F、BrまたはClである。
【0043】
重合可能または反応性基Pは、好ましくは、CH=CW−COO−、
【化6】

CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびWSi−から選択されており、Wは、H、Cl、CN、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWは、互いに独立して、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にメチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、互いに独立して、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、Pheは、1,4−フェニレンであり、kおよびkは、互いに独立して0または1である。
【0044】
特に好ましい基Pは、CH=CH−COO−、CH=C(CH)−COO−、CH=CH−、CH=CH−O−および
【化7】

である。
極めて好ましいのは、アクリレートおよびオキセタン基である。オキセタンは、重合(架橋)により比較的低い収縮を生じ、これにより、フィルム内の比較的低い応力発生が得られ、秩序づけの一層高い保持および一層少ない欠陥がもたらされる。オキセタン架橋はまた、陽イオン性開始剤を必要とし、これは、遊離基開始剤とは異なり、酸素に対して不活性である。
【0045】
スペーサー基Spに関して、当業者にこの目的で知られているすべての基を、用いることができる。スペーサー基Spは、好ましくは、1〜20個のC原子、特に1〜12個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキレン基であり、ここで、さらに、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基は、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−O−CO−、−S−CO−、−O−COO−、−CO−S−、−CO−O−、−CH(ハロゲン)−、−C(ハロゲン)、−CH(CN)−、−CH=CH−または−C≡C−あるいはシロキサン基により置換されていることができる。
【0046】
代表的なスペーサー基は、例えば、−(CH−、−(CHCHO)−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−または−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00−O)−であり、pは、2〜12の整数であり、rは、1〜3の整数であり、RおよびR00は、式Iに示す意味を有する。
【0047】
好ましいスペーサー基は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレン−チオエチレン、エチレン−N−メチルイミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0048】
さらに好ましいのは、1つまたは2つの基P−Sp−Xを有する化合物であり、ここで、Spおよび/またはXは、単結合である。
2つの基P−Sp−Xを有する化合物の場合において、2つの重合可能な基P、2つのスペーサー基Spおよび2つの結合基Xの各々は、同一であるかまたは異なることができる。
【0049】
重合または共重合により本発明の化合物または混合物から得られたSCLCPは、式Iにおける重合可能な基Pにより形成された主鎖を有する。
本発明のモノマー、オリゴマーおよびポリマーは、既知の方法により、またはこれと同様にして合成することができる。いくつかの好ましい方法を、以下に記載する。
【0050】
市場で入手できる2,7−ジブロモフルオレンから出発して、2,7−ジブロモ−9−アルキリデンフルオレンモノマー(2)への合成経路を、以下の図式1において概説する。2,7−ジブロモフルオレン(3)を、過マンガン酸カリウムおよび硫酸銅で、固体状態において酸化して、2,7−ジブロモフルオレノン(4)を、80%で得る。この方法は、有毒性および発癌性クロム塩の使用を回避する。ジブロモフルオレノン(4)を、四臭化炭素およびトリフェニルホスフィンと、コレー−フックス(Corey-Fuchs)条件下で反応させて、重要な中間体(5)を得る。
【0051】
テトラブロモフルオレノン(5)は、チオールと、塩基およびニッケル触媒の存在下で反応して、ジチオアルキル置換フルオレン(6)を生成する。これを、さらに、アルキルまたはアリールグリニヤール試薬と反応させて、ジアルキルまたはジアリール置換フルオレノン(7)を、良好な収率で得る。あるいはまた、テトラブロモフルオレノン(5)を、2当量のアルキル亜鉛試薬と、パラジウム触媒の存在下で反応させて、(7)を得ることができる。両方の方法は、他の方法では容易に導入されないアルキル鎖の導入を可能にする。テトラブロモフルオレノン(5)を、2当量のアリールホウ酸(boronic acid)と、スズキ(Suzuki)条件下で反応させて、ジアリール置換フルオレノン(8)を得ることができる。(5)の2当量のアルキンとの、ソノガシラ(Sonogashira)条件下での反応により、ジアルキニル置換フルオレノン(9)が得られる。
【0052】
US 6,169,163およびWO 00/46321中に概説された、従来技術から知られている方法、即ち2,7−ジブロモフルオレンのジアルキルケトン(例えば4−ヘプタノン)との塩基触媒反応による、ジアルキルフルオレノン(7)の合成の試行は、不成功であり、生成物は、得られなかった。
図式1:
【化8】

【0053】
ジチオアルキル置換フルオレン(6)の他の合成を、図式2において概説する。2,7−ジブロモフルオレンを、塩基と、二硫化炭素の存在下で反応させ、続いてアルキル化剤を加える。これにより、ジチオアルキル置換フルオレンが、ワンポット(one-pot)手順において、良好な収率で得られる。
図式2:
【化9】

【0054】
ポリ(9−アルキリデンフルオレン)(2)を、それぞれのジブロモフルオレンモノマー(1)から、3つの方法の1つ(図式3)により合成する。先ず、Ni(cod)および2,2’−ビピリジンを用いた直接の重合(ヤマモト(yamamoto)カップリング)により、(2)を得る[T. Yamamoto, A. Morita, Y. Miyazaki, T. Maruyama, H. Wakayama, Z. H. Zhou, Y. Nakamura, T. Kanbara, S. SasakiおよびK. Kubota, Macromolecules, 1992, 25, 1214参照]。あるいはまた、塩化ニッケル、2,2’−ビピリジン(bpy)、トリフェニルホスフィンおよび亜鉛を用いた重合により、(2)を得る。最後に、2,7−ジブロモフルオレンモノマーを、一ホウ酸エステル(10)に転化し、スズキ条件下で重合する[N. Miyaura, T. YanagiおよびA. Suzuki, Synth. Commun., 1981, 11, 513参照]。一ホウ酸エステルへの転化を、一段階で、ビス(ピナコラト)ジボロンおよび遷移金属触媒を用いて、達成することができる[T. Ishiyama, K. IshidaおよびN. Miyaura, Tetrahedron, 2001, 57, 9813参照]。あるいはまた、低温でのハロゲンリチウム交換、続いてホウ酸トリメチルでの反応停止およびピナコールとのエステル化によっても、一ホウ酸エステルが得られる。
図式3:
【化10】

【0055】
ポリマー(2)への他のカップリング経路は、スティレ(Stille)カップリング[D. MilsteinおよびJ.K. Stille, J. Am. Chem. Soc., 1979, 101, 4992参照]、リーケ(Rieke)カップリング[T.-A. ChenおよびR.D. Rieke, J. Am. Chem. Soc., 1992, 114, 10087参照]およびグリニヤールクロスカップリング[Loewe, R.S., S.M. Khersonsky,およびR.D. McCullough, Advanced Materials, 1999. 11(3), 250-253; Loewe, R.S., et al., Macromolecules, 2001, 34, 4324-4337参照]である。
【0056】
反応性メソゲン
重合可能な基を含む、式Iで表される化合物を、以下の方法により、またはこれと同様にして、合成することができる。
【0057】
図式4に示すように、ジブロモ9−アルキリデンフルオレン(1)を、アルキル亜鉛試薬と、ニッケル触媒の存在下でクロスカップリングさせて、(11)を得ることができる[B. H. Lipshutz, P. A. BlomgrenおよびS. K. Kim, Tetrahedron Lett., 1999, 40, 2, 197参照]。多くの有機亜鉛試薬は、市場で入手できるか、または対応するヨウ化アルキルから容易に調製される。通常の方法論により、ビスアルキルアルコールまたは塩化物(11)が、ビスアクリレートまたはビスオキセタンに転化される。
図式4:
【化11】

式中、mは、例えば1〜20の整数であり、Pは、保護基である。
【0058】
反応性メソゲンの重合を、例えば、熱架橋または光開始架橋により実施することができる。
【0059】
共役基C≡C、CX=CXまたはArを含むポリマー
図式5に示す、ジブロモ9−アルキリデンフルオレン(6)の、ビス有機スズ試薬(12)または(13)とのスティレカップリングにより、CX=CX基を含むポリマー(14)またはC≡C結合を含むポリマー(15)が得られる[R. S. LoeweおよびR. D. McCullough, Chem. Mater., 2000, 12, 3214参照]。
図式5:
【化12】

【0060】
図式6による、ジブロモ9−アルキリデンフルオレン(1)のビスホウ酸またはエステル(14)とのスズキカップリングにより、アリール基を含むポリマー(18)が得られる。あるいはまた、(1)のビスホウ酸エステルを、前述のようにして(図式1)合成して、(17)を得、これを、ジブロモまたはジヨードアリーレン基と反応させて、ポリマー(18)を得る。
図式6:
【化13】

【0061】
本発明の他の観点は、本発明の化合物および材料の酸化形態および還元形態の両方に関する。電子の損失または獲得の結果、高い導電性を有する高度に脱局在化されたイオン性形態を形成する。このことは、一般的なドーパントに暴露する際に生じ得る。好適なドーパントおよびドーピング方法は、例えば、EP 0 528 662、US 5,198,153またはWO96/21659から、当業者に知られている。
【0062】
ドーピングプロセスは、代表的に、半導体材料を酸化剤または還元剤でレドックス反応において処理して、対応する対イオンが用いられるドーパントから由来する、材料中の脱局在したイオン性中心を形成することを意味する。好適なドーピング方法は、例えば、大気圧または減圧においてドーピング蒸気に暴露し、ドーパントを含む溶液中で電気化学的にドーピングし、ドーパントを、熱的に拡散するべき半導体材料と接触させ、ドーパントを半導体材料中にイオン注入することを含む。
【0063】
電子が担体として用いられる際には、好適なドーパントは、例えば、ハロゲン(例えば、I、Cl、Br、ICl、ICl、IBrおよびIF)、ルイス酸(例えば、PF、AsF、SbF、BF、BCl、SbCl、BBrおよびSO)、プロトン酸、有機酸またはアミノ酸(例えば、HF、HCl、HNO、HSO、HClO、FSOHおよびClSOH)、遷移金属化合物(例えば、FeCl、FeOCl、Fe(ClO、Fe(4−CHSO、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、NbCl、TaCl、MoF、MoCl、WF、WCl、UFおよびLnCl(ここで、Lnは、ランタノイドである)、陰イオン(例えば、Cl、Br、I、I、HSO、SO2−、NO、ClO、BF、PF、AsF、SbF、FeCl、Fe(CN)3−および種々のスルホン酸の陰イオン、例えばアリール−SO)である。
【0064】
正孔が担体として用いられる際には、ドーパントの例は、陽イオン(例えば、H、Li、Na、K、RbおよびCs)、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、RbおよびCs)、アルカリ土類金属(例えば、Ca、SrおよびBr)、O、XeOF、(NO)(SbF)、(NO)(SbCl)、(NO)(BF)、AgClO、HIrCl、La(NO・6HO、FSOOOSOF、Eu、アセチルコリン、R、(Rは、アルキル基である)、R(Rは、アルキル基である)、RAs(Rは、アルキル基である)およびR(Rは、アルキル基である)である。
【0065】
本発明の化合物および材料の導電性形態を、例えば有機発光ダイオード用途における電荷注入層およびITO平坦化層、フラットパネルディスプレイおよびタッチスクリーン用のフィルム、帯電防止フィルム、プリント導電性基板、電子的用途におけるパターンまたは区域(tract)、例えばプリント配線基板およびコンデンサ(しかしこれらには限定されない)における用途に有機「金属」として用いることができる。
【0066】
本発明の好ましい態様は、中間相形成性または液晶性であり、極めて好ましくは1つまたは2つ以上の重合可能な基を含む、式Iで表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマーに関する。このタイプの極めて好ましい材料は、式I(式中、nは、1〜15の整数であり、Rおよび/またはR10は、P−Sp−Xを示す)で表されるモノマーおよびオリゴマーである。
【0067】
これらの材料は、既知の手法によりこれらの液晶相において均一で高度に秩序づけられた配向に整列し、そのため特に高い電荷担体可動性をもたらす一層高い程度の秩序を示すことができるため、特に、半導体または電荷移動材料として有用である。高度に秩序づけられた液晶状態を、基Pを介してのインサイチュ重合または架橋により固定して、高い電荷担体可動性並びに高い熱的、機械的および化学的安定性を有するポリマーフィルムを得ることができる。
【0068】
また、本発明の重合可能なモノマー、オリゴマーおよびポリマーを、従来技術から知られている他の重合可能な中間相形成性または液晶モノマーと共重合させて、液晶相挙動を誘発するかまたは増強することが可能である。
【0069】
従って、本発明の他の観点は、少なくとも1つの重合可能な基および随意に、1種または2種以上の他の重合可能な化合物を含み、ここで、本発明の少なくとも1種の重合可能なモノマー、オリゴマーおよびポリマーおよび/または他の重合可能な化合物が、中間相形成性または液晶性である、本明細書中に記載した本発明の1種または2種以上のモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含む重合可能な液晶材料に関する。
【0070】
特に好ましいのは、ネマティックおよび/またはスメクティック相を有する液晶材料である。FET用途のために、スメクティック材料が特に好ましい。OLED用途のために、ネマティックまたはスメクティック材料が、特に好ましい。
【0071】
本発明の他の観点は、液晶相において巨視的に均一な配向に整列し、重合または架橋して、配向した状態を固定する、前に定義した重合可能な液晶材料から得られる電荷移動特性を有する異方性ポリマーフィルムに関する。
【0072】
本発明の他の観点は、重合または重合類似反応により、前に定義した重合可能な液晶材料から得られた液晶側鎖ポリマー(SCLCP)に関する。特に好ましいのは、RおよびR10の一方または両方が重合可能なまたは反応性基である、式Iで表される1種または2種以上のモノマーあるいは式Iで表される1種または2種以上のこのようなモノマーを含む重合可能な混合物から得られるSCLCPである。
【0073】
本発明の他の観点は、RおよびR10の一方または両方が重合可能な基である、式Iで表される1種または2種以上のモノマー、あるいは前に定義した重合可能な液晶混合物から、1種または2種以上の追加の中間相形成性または非中間相形成性コモノマーとの共重合または重合類似反応により得られるSCLCPに関する。
【0074】
半導体成分が、脂肪族スペーサー基により可撓性主鎖から分離されたペンダント基として位置されている、側鎖液晶ポリマーまたはコポリマー(SCLCP)は、高度に秩序づけられた薄片状形態を得る可能性を提供する。この構造は、極めて近い(代表的には<4Å)π−π積み重ねが生じ得る、密に密集した共役芳香族メソゲンからなる。この積み重ねは、分子間電荷移動を一層容易に発生させ、高い電荷担体可動性をもたらす。SCLCPは、これらを、加工前に容易に合成することができ、次に、例えば有機溶媒中で溶液から加工することができるため、特定の用途に有利である。SCLCPを溶液中で用いた場合には、これらは、適切な表面上に塗布された際および、大きい領域および高度に秩序づけられたドメインをもたらすことができるこれらの中間相温度において塗布された際に、自発的に配向することができる。
【0075】
重合は、好ましくは本発明の半導体材料を含む電子的または光学的装置の製作中の、材料の被覆された層のインサイチュ重合により、好ましくは、実施される。液晶材料の場合において、これらは、好ましくは、重合前に、これらの液晶状態において、ホメオトロピック配向に整列し、ここで、共役π電子系は、電荷移動の方向に直交する。これにより、分子間距離が最小になり、従って次に、分子間で電荷を移動させるのに必要なエネルギーが最小になることが確実になる。次に、分子は、重合または架橋されて、液晶状態の均一な配向が固定される。整列および硬化が、材料の液晶相または中間相において実施される。この手法は、業界において知られており、一般的に、例えば、D.J. Broer, et al., Angew. Makromol. Chem. 183, (1990), 45-66に記載されている。
【0076】
液晶材料の整列は、例えば、材料を被覆する基板の処理、被覆中または被覆後の材料の剪断、被覆した材料への磁場または電場の適用、あるいは界面活性化合物の液晶材料への添加により達成することができる。整列手法の概観は、例えば、I. Sageにより、"Thermotropic Liquid Crystals"、G. W. Gray編、John Wiley & Sons, 1987, 75-77頁中に、およびT. UchidaおよびH. Sekiにより、"Liquid Crystals - Applications and Uses Vol. 3"、B. Bahadur編、World Scientific Publishing, Singapore 1992, 1-63頁中に示されている。整列材料および手法の概観は、J. Cognard, Mol. Cryst. Liq. Cryst. 78, Supplement 1 (1981), 1-77頁により示されている。
【0077】
重合は、熱または化学線への暴露により起こる。化学線は、光、例えばUV光、IR光または可視光線での照射、X線またはガンマ線での照射あるいは高エネルギー粒子、例えばイオンまたは電子での照射を意味する。好ましくは、重合は、非吸収性波長においてUV照射により実施される。化学線のための源として、例えば単一のUVランプまたはUVランプのセットを用いることができる。高いランプ出力を用いる際には、硬化時間を減少させることができる。化学線のための他の可能な源は、レーザー、例えばUVレーザー、IRレーザーまたは可視レーザーである。
【0078】
重合は、好ましくは、化学線の波長において吸収を示す開始剤の存在下で実施する。例えば、UV光線により重合する際には、UV照射下で分解して重合反応を開始する遊離基またはイオンを生成する光開始剤を、用いることができる。アクリレートまたはメタクリレート基を有する重合可能な材料を硬化させる際には、好ましくはラジカル光開始剤を用い、ビニル、エポキシドおよびオキセタン基を有する重合可能な材料を硬化させる際には、好ましくは陽イオン系光開始剤を用いる。また、加熱された際に分解して、重合を開始する遊離基またはイオンを生成する重合開始剤を用いることが可能である。ラジカル重合のための光開始剤として、例えば、市場で入手できるイルガキュア(Irgacure)651、イルガキュア184、ダロキュア(Darocure)1173またはダロキュア4205(すべてCiba Geigy AGから)を用いることができ、一方陽イオン性光重合の場合には、市場で入手できるUVI6974(Union Carbide)を用いることができる。
【0079】
重合可能な材料は、さらに、1種または2種以上の他の好適な成分、例えば触媒、増感剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、同時反応モノマー、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水剤(hydrophobing agent)、接着剤、流動改善剤、泡消し剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、着色剤、染料または顔料を含むことができる。
【0080】
1つまたは2つ以上の基P−Sp−Xを含むモノマー、オリゴマーおよびポリマーはまた、重合可能な中間相形成性化合物と共重合して、液晶相挙動を誘発するか、または、式Iで表される中間相形成性材料の場合には、これを増強することができる。コモノマーとして適する重合可能な中間相形成性化合物は、従来技術において知られており、例えばWO93/22397;EP 0,261,712;DE 195,04,224;WO95/22586およびWO97/00600に開示されている。
【0081】
SCLCPは、本発明の重合可能な化合物または混合物から、前記した方法により、または、例えば、ラジカル性、陰イオン性または陽イオン性連鎖重合、重付加または重縮合を含む、当業者に知られている従来の重合手法により、製造することができる。重合は、例えば、被覆および予備整列を必要とせずに、溶液中での重合として、またはインサイチュでの重合として実施することができる。また、SCLCPを、本発明の化合物を好適な反応性基またはこれらの混合物で、重合類似反応において予め合成されたアイソトロピックまたは異方性ポリマー主鎖にグラフトすることにより形成することが可能である。
【0082】
例えば、末端水酸基を有する化合物を、側方カルボン酸またはエステル基を有するポリマー主鎖に付着させることができ、末端イソシアネート基を有する化合物を、遊離の水酸基を有する主鎖に加えることができ、末端ビニルまたはビニルオキシ基を有する化合物を、例えば、Si−H基を有するポリシロキサン主鎖に加えることができる。また、SCLCPを、従来の中間相形成性または非中間相形成性コモノマーと共に、本発明の化合物から共重合または重合類似反応により形成することが可能である。好適なコモノマーは、当業者に知られている。原則的に、所望のポリマー形成反応を受けることができる反応性または重合可能な基、例えば前に定義した重合可能なまたは反応性基Pを担持する、業界において知られているすべての従来のコモノマーを用いることが可能である。
【0083】
代表的な中間相形成性コモノマーは、例えば、WO93/22397;EP 0,261,712;DE 195,04,224;WO95/22586およびWO97/00600に述べられているものである。代表的な非中間相形成性コモノマーは、例えば、1〜20個のC原子を有するアルキル基を有するアルキルモノまたはジアクリレートあるいはアルキルモノまたはジメタクリレート、例えばメチルアクリレートまたはメチルメタクリレート、トリメチルプロパントリメタクリレートまたはペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0084】
本発明のモノマー、オリゴマーおよびポリマーは、光学的、電子的および半導体材料として、特に、例えば、集積回路の部品、IDタグまたはTFT用途としての電界効果トランジスタ(FET)における電荷移動材料として有用である。あるいはまた、これらを、エレクトロルミネセントディスプレイ用途における有機発光ダイオード(OLED)において、または例えば液晶ディスプレイのバックライトとして、光起電またはセンサー材料として、電子写真式記録のため、および他の半導体用途のために用いることができる。
【0085】
特に、本発明のオリゴマーおよびポリマーは、これらの化合物の溶液を用いた製造方法を可能にする、有利な可溶特性を示す。従って、層および被膜を含むフィルムを、低費用生産手法、例えば回転塗布により生じさせることができる。好適な溶媒または溶媒混合物は、アルカンおよび/または芳香族化合物、特にこれらのフッ素化誘導体を含む。
【0086】
本発明の材料は、光学的、電子的および半導体材料として、特に電界効果トランジスタ(FET)における電荷移動材料として、光起電またはセンサー材料として、電子写真式記録用に、および他の半導体用途用に有用である。有機半導電性材料を、ゲート誘電体とドレインおよびソース電極との間にフィルムとして配置した、このようなFETは、一般的に、例えばUS5,892,244、WO00/79617、US5,998,804並びに背景および従来技術の章において引用されている、および以下に列挙する参考文献から知られている。例えば本発明の化合物の可溶特性を用いた低費用生産およびそれによる大面積の加工性といった利点のために、これらのFETの好ましい用途は、例えば集積回路、TFTディスプレイおよびセキュリティー用途である。
【0087】
セキュリティー用途において、電界効果トランジスタおよび半導電性材料を有する他の装置、例えばトランジスタまたはダイオードを、有価証券、例えば銀行手形、クレジットカードまたはIDカード、ナショナルIDドキュメント、ライセンスまたは金銭的価値を有するすべての製品、例えば切手、チケット、株券、小切手等を証明し、偽造を防止するためのIDタグまたはセキュリティーマーキングに用いることができる。
【0088】
あるいはまた、本発明のモノマー、オリゴマーおよびポリマーを、有機発光装置またはダイオード(OLED)、例えばディスプレイ用途において、または例えば液晶ディスプレイのバックライトとして用いることができる。一般的なOLEDは、多層構造を用いて実現される。発光層は、一般的に、1つまたは2つ以上の電子移動および/または正孔移動層の間にはさまれる。電圧を印加することにより、電荷担体としての電子および正孔は、発光層の方向に移動し、ここで、これらの組み替えにより、励起および従って発光層中に含まれるルモフォア(lumophor)単位のルミネセンスが得られる。
【0089】
本発明の化合物、材料およびフィルムを、これらの電気的および/または光学的特性に対応して、1つまたは2つ以上の電荷移動層および/または発光層において用いることができる。さらに、発光層内でのこれらの使用は、本発明の化合物、材料およびフィルムが、これら自体エレクトロルミネセント特性を示すか、あるいはエレクトロルミネセント基または化合物を含む場合に、特に有利である。OLEDにおいて用いるための好適なモノマー、オリゴマーおよびポリマー化合物または材料の選択、特徴づけおよび加工は、一般的に、当業者により知られている。例えばMeerholz, Synthetic Materials, 111-112, 2000, 31-34, Alcala, J. Appl. Phys., 88, 2000, 7124-7128およびここに引用されている文献参照。
【0090】
他の使用において、本発明の化合物、材料またはフィルム、特にフォトルミネセント特性を示すものは、例えばEP 0 889 350 A1に、またはC. Weder et al., Science, 279, 1998, 835-837により記載されているディスプレイ装置の光源の材料として用いることができる。
【実施例】
【0091】
例1
2,7−ジブロモフルオレノン(1)を、以下に記載するようにして製造した:
【化14】

【0092】
2,7−ジブロモフルオレン(20.00g、61.72mmol)、過マンガン酸カリウム(31.61g、200.0mmol)および硫酸銅(II)五水和物(49.94g、200.0mmol)を、一緒に粉砕して、微細な粉末を得た。粉末を、175〜180℃で6時間加熱した。室温に冷却した後、テトラヒドロフラン(1L)を加え、混合物を、30分間超音波処理し、その後セライトを通して濾過した。溶媒を、減圧下で除去して、粗製の生成物を得、これを、高温メタノール(300mL)で倍散させ、濾過し、その後減圧下で乾燥させて、2,7−ジブロモフルオレノン(1)(17.94g、86%)を、黄色固体として得た。純度100%(GC):Hおよび13C NMRスペクトルは予測された通りであった;M=338(t)。
【0093】
2,7−ジブロモ−9−ジブロモメチレンフルオレン(2)を、以下に記載するようにして製造した:
【化15】

【0094】
トリフェニルホスフィン(34.89g、133.0mmol)を、2,7−ジブロモフルオレノン(17.94g、53.08mmol)を無水テトラヒドロフラン(550mL)に溶解した溶液に、窒素の下で加え、反応混合物を、かきまぜながら還流下において加熱した。四臭化炭素(35.16g、106.0mmol)を無水テトラヒドロフラン(150mL)に溶解した溶液を、1.5時間にわたり滴下し、反応混合物を、還流において17時間かきまぜながら加熱した。室温に冷却した後、溶媒を、減圧下で除去し、ジクロロメタンを加え、スラリーを形成した。固体を、濾過して除去し、ジクロロメタンで洗浄した。ジクロロメタンからの固体の再結晶により、2,7−ジブロモ−9−ジブロモメチレンフルオレン(2)(15.30g、58%)が、明るいオレンジ色の粉末として得られた。純度100%(GC):νmax(KBr、cm−1)3115、3066、1605、1566、1547、1450、1399、1264、1073;Hおよび13C NMRスペクトルは予測された通りであった;M=494(pent)。
【0095】
2,7−ジブロモ−9−(ビス−ヘプチルスルファニル−メチレン)フルオレン(3)を、以下に記載するようにして製造した:
【化16】

【0096】
鉱油中の水素化ナトリウムの60%分散体(3.45g、86.25mmol)を、窒素の重流(heavy flow)の下で、無水トルエン(1L)に加えた。1−ヘプタンチオール(14.65g、17.0mL、110.7mmol)を、シリンジを介して加えた。沸騰が停止した後、2,7−ジブロモ−9−ジブロモメチレン−フルオレン(2)(18.50g、37.46mmol)を加え、続いて2,2’−ビピリジル(0.29g、1.87mmol)および塩化ニッケル(II)ジメトキシエタン付加物(0.41g、1.87mmol)を加えた。反応を、一夜還流においてかきまぜた。室温に冷却した後、反応混合物を、2M水酸化ナトリウム水溶液(2×100mL)、5%塩酸水溶液(2×100mL)、水(200mL)および食塩水(200mL)で洗浄し、その後硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固した。過剰量の1−ヘプタンチオールを、クゲルロア(Kugelrohr)蒸留により除去した。粗製の生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(flash chromatography)(溶出液:ガソリン40〜60)により精製し、続いてイソヘキサンから再結晶して、2,7−ジブロモ−9−(ビス−ヘプチルスルファニルメチレン)−フルオレン(3)(16.76g、75%)を、明るい黄色の固体として得た。純度100%(GC):νmax(KBr、cm−1)3068、2949、2920、2851、1588、1559、1513、1443、1396、1330;δ(CDCl、300MHz)9.09(2H,s)、7.53(2H,d,HH=6.0Hz)、7.43(2H,d,HH=6.0Hz)、3.04(4H,t,HH=7.5Hz)、1.70(4H.m)、1.43(4H.m)、1.26(12H,m)、0.86(6H,m);δ(CDCl、75MHz)145.5、139.7、137.6、136.1、130.3、129.5、121.1、120.3、36.4、31.7、30.1、28.9、22.6、14.1;M=596(t)。
【0097】
例2
2,7−ジブロモ−9−(ビス−ペンチルスルファニル−メチレン)フルオレン(4)を、例1に記載した手順により製造した(63%):
【化17】

δ(CDCl、300MHz)9.1(2H,s)、7.50(2H,d)、7.40(2H,d)、3.05(4H)、1.65(4H,m)、1.5−1.3(8H,m)、0.85(6H,t);δ(CDCl、75MHz)145.4、139.7、137.5、136.1、130.28(ArCH)、129.4(ArCH)、121.0、120.3(ArCH)、36.3、31.0、29.8、22.3、14.0;M=540(t)。
【0098】
例3
2−ブロモ−9−(ビス−メチルスルファニル−メチレン)フルオレン(5)を、例2に記載したようにして、ヨウ化メチルをアルキル化剤として用いて製造した(76%)。M=350(d)。H NMRは、予測されたシグナルを示した。
【化18】

【0099】
例4
ポリ[9−(ビス−ヘプチルスルファニル−メチレン)−フルオレン−2,7’−ジイル](6)を、以下に記載するようにして製造した:
【化19】

【0100】
シュレンク管に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(2.045g、7.434mmol)、2,2’−ビピリジル(1.161g、7.434mmol)および2,7−ジブロモ−9−(ビス−ヘプチルスルファニル−メチレン)−フルオレン(3)(3.686g、6.178mmol)を、窒素下で充填した。無水N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)、無水トルエン(15mL)および1,5−シクロオクタジエン(0.705g、0.8mL、6.522mmol)を、シュレンク管にシリンジを介して加えた。反応混合物を、70℃に、2日にわたりかきまぜながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を、メタノール(500mL)に滴下した。沈殿を濾別し、イソヘキサン、続いてメタノールで洗浄した(ソックスレー抽出により)。沈殿を、最小容量のクロロホルム中に溶解し、メタノール(500mL)から再沈殿した。ポリマーを濾別し、減圧下で乾燥して、ポリ[9−(ビス−ヘプチルスルファニル−メチレン)−フルオレン−2,7’−ジイル](6)(1.730g、64%)を、暗い赤色固体として得た:mp>250℃、νmax(KBr、cm−1)3053、2952、2923、2851、1599、1553、1517、1451、1403;Hおよび13C NMRは予測された通りであった;M=7,500、M=3,000;absλmax(THF)347nm。
【0101】
例5
ポリ[9−(ビス−ペンチルスルファニル−メチレン)−フルオレン−2,7’−ジイル](7)を、例6に記載するようにして製造した(29%):mp>250℃;H NMRは、予測された通りであった;M=7,300、M=3,750;absλmax(THF)350nm。
【化20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
−[(A)−(B)−(C)−R10
式中、
AおよびCは、互いに独立して、−CX=CX−、−C≡C−または随意に置換されたアリーレンまたはヘテロアリーレンであり、
およびXは、互いに独立して、H、F、ClまたはCNであり、
Bは、式II
【化1】

で表される基であり、
およびRは、互いに独立して、ハロゲン非置換であるか、F、Cl、Br、IまたはCNにより一置換または多置換されていることができる、1〜20個のC原子を有する直鎖状、分枝状または環状アルキルであり、また、1つまたは2つ以上の隣接していないCH基が、各々の場合において、互いに独立して、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−SO−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により置換されていることができ、随意に置換されたアリールまたはヘテロアリール、あるいはP−Sp−Xであり、
〜R10は、互いに独立して、Hを示すか、またはRについて示した意味の1つを有し、
、R00は、互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、
Pは、重合可能な、または反応性基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、および
Xは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CH=CH−COO−、−OOC−CH=CH−または単結合であり、
a、b、cは、互いに独立して、0または1であり、a+b+c>0であり、ここで、少なくとも1つの繰り返し単位[(A)−(B)−(C)]において、bは1であり、および
nは、≧1の整数である、
で表され、ここで、繰り返し単位[(A)−(B)−(C)]は、同一であるかまたは異なることができ、および
ただし、
a)nが1である場合には、aおよびcは0であり、R3−8は、Hであり、およびRおよびRの一方は、メチルであり、他方は、メチル、エチルまたはフェニルであり、RおよびR10は、同時にはClまたはBrではなく、および
b)AおよびCは、2,7−(4−ヘキシルフェニル)フルオレン−9−カルボニルとは異なる、
で表されるモノマー、オリゴマーおよびポリマー。
【請求項2】
nが、1〜5000の整数である、請求項1に記載のモノマー、オリゴマーおよびポリマー。
【請求項3】
〜Rが、随意に1個または2個以上のフッ素原子で置換されたC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20チオエーテル、C〜C20シリル、C〜C20エステル、C〜C20アミノ、C〜C20フルオロアルキルあるいは随意に置換されたアリールまたはヘテロアリールから選択されている、請求項1または2に記載のモノマー、オリゴマーおよびポリマー。
【請求項4】
およびRが、随意に1個または2個以上のフッ素原子で置換されたC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20チオエーテル、C〜C20シリル、C〜C20エステル、C〜C20アミノ、C〜C20フルオロアルキルあるいは随意に置換されたアリールまたはヘテロアリールから選択されており、R〜Rが、Hである、請求項3に記載のモノマー、オリゴマーおよびポリマー。
【請求項5】
nが1〜15の整数であり、RおよびR10の一方または両方が、P−Sp−Xを示す、請求項1〜4のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーおよびポリマー。
【請求項6】
nが、2〜5000の整数である、請求項1〜5のいずれかに記載のオリゴマーおよびポリマー。
【請求項7】
Pが、CH=CW−COO−、
【化2】

CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびWSi−から選択されており、Wは、H、Cl、CN、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にH、ClまたはCHであり、WおよびWは、互いに独立して、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特にメチル、エチルまたはn−プロピルであり、W、WおよびWは、互いに独立して、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルであり、Pheは、1,4−フェニレンであり、kおよびkは、互いに独立して0または1である、請求項1〜6のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーおよびポリマー。
【請求項8】
以下の式
【化3】

【化4】

式中、R〜R10は、互いに独立して、式Iの意味の1つを有し、Arは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、nは、1〜5000の整数である、
から選択される、請求項1〜7のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーおよびポリマー。
【請求項9】
少なくとも1つの重合可能な基および随意に、1種または2種以上の他の重合可能な化合物を含み、ここで、請求項1〜8のいずれかに記載の重合可能なモノマー、オリゴマーおよびポリマーの少なくとも1種および/または他の重合可能な化合物が、中間相形成性または液晶性である、請求項1〜8のいずれかに記載の1種または2種以上のモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含む重合可能な液晶材料。
【請求項10】
液晶相において巨視的に均一な配向に整列し、重合または架橋して、配向した状態を固定する、請求項9に記載の重合可能な液晶材料から得られる電荷移動特性を有する異方性ポリマーフィルム。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の1種または2種以上のモノマーまたはオリゴマーまたは重合可能な材料の重合により、または、請求項1〜9のいずれかに記載の1種または2種以上のモノマーまたはオリゴマーまたは重合可能な材料を、随意に、1種または2種以上の追加の中間相形成性または非中間相形成性コモノマーと共に、重合類似反応において、ポリマー主鎖にグラフトすることにより得られた、側鎖液晶ポリマー。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーおよびポリマー、重合可能な材料およびポリマーの、特に光学的、電気光学的または電子装置、例えば集積回路の部品、電界効果トランジスタ(FET)、例えばフラットパネルディスプレイ用途における薄膜トランジスタとして、または電波方式認識(RFID)タグ、あるいは有機発光ダイオード(OLED)用途、例えばエレクトロルミネセントディスプレイまたは例えば液晶ディスプレイのバックライト、光起電またはセンサー装置のための、電池における電極材料として、光導電体として、および電子写真式用途、例えば電子写真式記録用の半導電性部品における半導体または電荷移動材料としての使用。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれかに記載の1種または2種以上のモノマー、オリゴマーまたはポリマー、重合可能な材料またはポリマーを含む1種または2種以上の本発明のモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含む、例えば集積回路の部品として、フラットパネルディスプレイ用途における薄膜トランジスタとして、または電波方式認識(RFID)タグにおける電界効果トランジスタ。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれかに記載の1種または2種以上のモノマー、オリゴマーまたはポリマー、重合可能な材料またはポリマーあるいは請求項13に記載のFETまたはRFIDタグを含む、セキュリティーマーキングまたは装置。
【請求項15】
酸化的にまたは還元的にドーピングされて、導電性イオン性種を形成した、請求項1〜11のいずれかに記載のモノマー、オリゴマーおよびポリマー、材料またはポリマー。
【請求項16】
請求項15に記載のモノマー、オリゴマーまたはポリマー、材料あるいはポリマーフィルムを含む、電荷注入層、平坦化層、帯電防止フィルムあるいは電子的用途またはフラットパネルディスプレイ用の導電性基板またはパターン。

【公開番号】特開2010−235610(P2010−235610A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99069(P2010−99069)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【分割の表示】特願2002−237719(P2002−237719)の分割
【原出願日】平成14年8月19日(2002.8.19)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】