説明

モータおよび電機子の製造方法

【課題】モータの大型化を防止しつつ電機子の複数の導線を容易に接続する。
【解決手段】モータの電機子は、中心軸J1方向においてステータコア211の上側に積層されて複数のU字型の導線と接続される6枚のバスバープレート2131を備える。各バスバープレート2131は、周方向に配列された複数のバスバー2132、および、中心軸J1を中心とする略円環状であって複数のバスバー2132が一体的に固定される絶縁体のバスバーホルダ2133を備える。電機子の製造では、ステータコア211上に6枚のバスバープレート2131が順次重ねられ、各バスバープレート2131に複数の導線の一部が順次接続されることによりコイルが形成される。これにより、各バスバープレート2131におけるバスバーの接合部の個数を少なくすることができるため、モータの径の大型化を防止しつつ複数の導線をバスバーを介して容易に接続することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式のモータ、および、当該モータの電機子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーや排気ガス問題の改善等の環境負荷低減を目的とした車両の開発が盛んに行われている。このような車両に搭載される環境負荷を低減する機構の1つとして、車両が停止している際にエンジンを自動的に停止することにより、エンジンから排出される二酸化炭素の量を減らすアイドリングストップが知られている。
【0003】
ここで、車両の冷暖房装置において、コンプレッサがエンジンにより駆動される場合、アイドリングストップによりエンジンが停止されることにより冷暖房装置も停止してしまう。そこで、冷暖房装置のコンプレッサを電動式とし、当該コンプレッサを車載バッテリーにより駆動することにより、エンジンの停止中であっても冷暖房装置を駆動することが可能となる。このような車載の電動コンプレッサには高い信頼性が求められるため、電機子の内側に配置されたロータコアに永久磁石が埋め込まれたIPM(interior permanent magnet(埋込磁石))モータ等が当該コンプレッサとして利用されることが好ましい。また、車内スペースの確保や燃費の改善、排気ガスの削減等の観点から、当該モータは小型かつ大出力であることが求められている。
【0004】
自動車に搭載される電動コンプレッサは、比較的低電圧の車載バッテリにより大きな出力を実現することが要求されるため、電機子のコイルに流れる電流は必然的に大きなものとなる。そこで、このようなモータでは、コイルからの発熱量が過大になることを防止するために断面積が大きく電気抵抗が小さい導線(例えば、平角線)によりコイルの形成が行われる。
【0005】
ところで、断面積が大きい導線をステータコアのティースに巻回することは困難であるため、これらの導線を用いた場合であってもコイルを容易に形成する技術が提案されている。例えば、特許文献1のモータでは、直線状の平角線のコイル部材をステータコアの各スロットに1本ずつ挿入し、ステータコアの両側において、コイル部材の端部と渡り線部材の端部とを揃えた状態で導電体のクリップにて固定し、さらに、クリップ近傍の部位を溶融半田に浸漬することにより、2本のコイル部材が接続されて電機子のコイルが形成される。当該モータでは、隣接するクリップを軸方向においてずらして配置することにより、半田ブリッジによる短絡が防止される。
【0006】
また、特許文献2では、断面形状が矩形の導線を屈曲させてU字型とし、電機子の各スロットにU字型導線の脚部部分を挿入した上で、これらの導線の端部を複数の接続用導体により直列に接続して電機子のコイルを形成する技術が開示されている。
【0007】
一方、特許文献3のモータでは、ティースに集中巻きされた複数の巻線の先端が、リング状の電気用銅板であるバスバーにUVWの各相毎に接続され、複数のバスバーが間に絶縁板を挟んで軸方向に積層されるとともに、当該バスバーおよび絶縁板がハウジングに密着して固定される。当該モータでは、巻線に発生した熱をバスバー、絶縁体およびハウジングを介して放熱することにより、巻線の温度上昇が抑制される。
【特許文献1】特開平5−300687号公報
【特許文献2】特許第3474660号公報
【特許文献3】特開2005−65374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1のモータでは、互いに独立する複数のクリップを1つずつ導線に圧入する必要があるため、導線の本数が多くなるに従ってコイルの形成が複雑化してしまい、モータの製造コストが増大してしまう。特許文献2のモータでも同様に、互いに独立した複数の接続用導体を1つずつ導線に接続する必要があるため、コイルの形成が複雑化してしまう。
【0009】
また、特許文献3のように、リング状のバスバーと複数の導線を接続する場合、複数の導線と接合されるバスバーの複数の接合部の間隔を、当該接合部と導線の端部との接合作業が可能となる程度に大きくする必要がある。したがって、一のバスバーに接続される導線の本数が多くなると、バスバーの径が大きくなってモータの径が大型化してしまう。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、モータの大型化を防止しつつ電機子の複数の導線を容易に接続することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、電動式のモータであって、電機子を有するステータ部と、前記ステータ部に取り付けられた軸受機構と、前記電機子との間で所定の中心軸を中心とするトルクを発生する界磁用磁石を有するとともに、前記軸受機構を介して前記中心軸を中心に前記ステータ部に対して回転可能に支持されるロータ部とを備え、前記電機子が、前記中心軸を中心として放射状に配置された複数のティースを有するステータコアと、前記複数のティース間の複数のスロットにおいて前記中心軸に平行に伸びる部位を含む複数の導線と、前記ステータコアの前記中心軸方向の一方側に配置され、前記複数の導線の一部に接続される複数の第1端子が絶縁体に固定された第1端子台と、前記第1端子台上に重ねられ、前記複数の導線の一部に接続される複数の第2端子が絶縁体に固定された第2端子台とを備える。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモータであって、前記第1端子台および前記第2端子台が、前記中心軸を中心とする略円環状または略円弧状である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のモータであって、前記複数の第1端子が、前記第1端子台の前記絶縁体の外周縁よりも内側にて固定され、前記複数の第2端子が、前記第2端子台の前記絶縁体の外周縁よりも内側にて固定される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のモータであって、前記第1端子台の前記絶縁体が、前記複数の第1端子の一部を保持する内側保持部と、前記内側保持部の前記中心軸とは反対側に配置されて前記複数の第1端子の一部を保持する外側保持部とを備え、前記第2端子台に接続される導線が、前記内側保持部と前記外側保持部との間を通過する。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のモータであって、前記内側保持部および前記外側保持部が、前記中心軸を中心とする略円環状または略円弧状である。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のモータであって、前記界磁用磁石が、前記中心軸を中心とする環状の前記電機子の前記中心軸側に配置され、前記複数の第1端子の導線との接合部および前記複数の第2端子の導線との接合部が、前記ステータコアの外周縁よりも前記中心軸側に配置される。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のモータであって、一の第2端子が、前記中心軸方向において前記複数の第1端子の一部と重なる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載のモータであって、前記複数の導線のそれぞれが、2つのスロットにそれぞれ収容される前記中心軸に平行に伸びる2つの直線部と、前記2つの直線部の一方の端部の間において屈曲しつつ、前記2つの直線部を前記ステータコアの前記中心軸方向の他方側にて一体的に接続する屈曲部とを備える。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のモータであって、前記複数の導線が、断面形状が直径3.16mm以上の円形である丸形導線を有する。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載のモータであって、前記複数の導線が、断面形状が矩形である角形導線を有する。
【0021】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のモータであって、前記角形導線の断面積が12.3mm以上である。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載のモータであって、前記角形導線の第1端子または第2端子に接合される端部が、側面に導電体が露出している略円柱状の接合端部を備え、前記接合端部の断面が、前記角形導線の角形線部の断面よりも小さい円形であり、前記接合端部と前記第1端子または前記第2端子との接合の際に、前記角形線部の前記接合端部側の端面に前記第1端子または前記第2端子が当接する。
【0023】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載のモータであって、前記接合端部が、前記角形線部の前記接合端部側の前記端面から離れるに従って外径が漸次減少する円錐台状であって、前記接合端部の前記角形線部側の外周縁が、前記角形線部の前記接合端部側の外周縁よりも内側に位置する。
【0024】
請求項14に記載の発明は、電動式のモータの電機子の製造方法であって、a)所定の中心軸を中心として放射状に配置された複数のティースを有するステータコアの前記複数のティース間の複数のスロットに、前記中心軸に平行に伸びる部位を含む複数の導線を挿入する工程と、b)複数の第1端子が絶縁体に固定された第1端子台を前記ステータコアの前記中心軸方向の一方側に配置する工程と、c)前記複数の第1端子を前記複数の導線の一部と接合する工程と、d)複数の第2端子が絶縁体に固定された第2端子台を前記第1端子台上に重ねる工程と、e)前記複数の第2端子を前記複数の導線の一部と接合する工程とを備える。
【0025】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の電機子の製造方法であって、前記第1端子台および前記第2端子台が、前記中心軸を中心とする略円環状または略円弧状である。
【0026】
請求項16に記載の発明は、請求項14または15に記載の電機子の製造方法であって、前記複数の導線のそれぞれが、2つのスロットにそれぞれ収容される前記中心軸に平行に伸びる2つの直線部と、前記2つの直線部の一方の端部の間において屈曲しつつ、前記2つの直線部を前記ステータコアの前記中心軸方向の他方側にて一体的に接続する屈曲部とを備える。
【0027】
請求項17に記載の発明は、請求項14ないし16のいずれかに記載の電機子の製造方法であって、前記c)工程および前記e)工程における導線と前記複数の第1端子および前記複数の第2端子との接合が溶接により行われる。
【0028】
請求項18に記載の発明は、請求項14ないし17のいずれかに記載の電機子の製造方法であって、一の第2端子が、前記中心軸方向において前記複数の第1端子の一部と重なる。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、モータの大型化を防止しつつ電機子の複数の導線を容易に接続することができる。請求項2、請求項4ないし6、並びに、請求項15の発明では、モータの大型化をより確実に防止することができる。
【0030】
請求項3および17の発明では、導線と端子の接合の信頼性を向上することができる。請求項7および18の発明では、端子の配置の自由度を向上することができる。請求項8および16の発明では、モータの製造を簡素化することができる。請求項12および13の発明では、角形導線と端子とを容易に接合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電動式のモータ1の外観を示す平面図であり、図2は、モータ1を示す縦断面図である。図2では、図1に示すモータ1の中心軸J1を含む面における断面を示しており、また、当該断面よりも手前側および奥側の構成の一部も併せて示している。モータ1は、いわゆるアイドリングストップ(すなわち、車両が停止している際にエンジンを自動的に停止する機構)が搭載された車両等において、冷暖房装置のコンプレッサとして利用される3相交流モータであり、図1および図2に示すように、中心軸J1方向の長さが外径の約2倍である縦長のモータである。
【0032】
図2に示すように、モータ1はインナーロータ型のモータであり、固定組立体であるステータ部2、回転組立体であるロータ部3、ステータ部2に取り付けられるとともにロータ部3を中心軸J1を中心にステータ部2に対して回転可能に支持する軸受機構4、ロータ部3のステータ部2に対する角度位置を検出する装置であるレゾルバ部5、および、これらの構成を内部に収容する略有底円筒状のハウジング6を備える。以下の説明では、便宜上、中心軸J1に沿ってレゾルバ部5側を上側、ステータ部2およびロータ部3側を下側として説明するが、中心軸J1は必ずしも重力方向と一致する必要はない。
【0033】
ステータ部2は、ハウジング6の内周面に取り付けられる電機子21を備え、電機子21は、薄板状の珪素鋼板が積層されて形成されたステータコア211を備える。図3は、ステータコア211を示す平面図である。図3に示すように、ステータコア211は、中心軸J1を中心として放射状に配置された複数(本実施の形態では、24本)のティース2111、および、複数のティース2111の中心軸J1と反対側の端部を一体的に保持する略円環状のコアバック2112を備える。
【0034】
図4は、電機子21のステータコア211、および、ステータコア211に取り付けられる複数(本実施の形態では、48本)の導線212を示す斜視図である。図4に示すように、複数の導線212は、複数のティース2111間の複数(本実施の形態では、24個)のスロット2113において中心軸J1に平行に伸びる部位を有する。複数の導線212は、図5.Aおよび図5.Bに示す角形導線212aおよび丸形導線212bをそれぞれ複数有する。以下の説明では、角形導線212aと丸形導線212bとを区別する必要がない場合には、角形導線212aおよび丸形導線212bをまとめて導線212と呼ぶ。
【0035】
図5.Aに示すように、角形導線212aは、断面形状が矩形のU字型導線(すなわち、U字型の平角線)であり、図5.Bに示すように、丸形導線212bは、断面形状が円形のU字型導線(すなわち、U字型の丸線)である。本実施の形態では、丸形導線212bの直径は3.16mm以上3.24mm以下とされる。また、本実施の形態では、角形導線212aの断面積は12.3mm以上とされ、丸形導線212bの断面積よりも大きくされる。
【0036】
図5.Aおよび図5.Bに示すように、角形導線212aおよび丸形導線212bはそれぞれ、ステータコア211の2つの異なるスロット2113(図4参照)にそれぞれ収容されるとともに中心軸J1に平行に伸びる2本の直線部2121、および、2本の直線部2121の中心軸J1方向における下側(すなわち、図2に示すハウジング6の底部側)の端部の間において屈曲しつつ2本の直線部2121の当該端部をステータコア211の下側にて一体的に接続する屈曲部2122を備える。角形導線212aおよび丸形導線212bはそれぞれ、直線状の導線を中央部近傍にて屈曲することによりU字型に成形される。複数の導線212の両端部2123(すなわち、2本の直線部2121の屈曲部2122側とは反対側の端部)は、図4に示すように、ステータコア211の上側(すなわち、ハウジング6の底部とは反対側の開口側)において、ステータコア211の各スロット2113から上向きに突出する。
【0037】
図6.Aは、ステータコア211および導線212(すなわち、角形導線212aおよび丸形導線212b)を示す断面図である。図6.Aでは、図示の都合上、ステータコア211および導線212の断面を平行斜線を付すことなく示している。図6.Aに示すように、電機子21では、ステータコア211の各スロット2113において、2本の角形導線212aの直線部2121(図5.A参照)と2本の丸形導線212bの直線部2121(図5.B参照)とが中心軸J1を中心とする径方向に配列されており、丸形導線212bは角形導線212aの中心軸J1側に配置されている。
【0038】
図6.Bは、図6.Aに示すステータコア211および導線212の一部を拡大して示す図である。図6.Bに示すように、角形導線212aのスロット2113に収容される部位の断面は、中心軸J1(図6.A参照)を中心とする径方向に(略)平行な2つの短辺2124、および、2つの短辺2124に略垂直な(すなわち、中心軸J1を中心とする周方向に(略)平行な)2つの長辺2125を備える。また、各スロット2113の中心軸J1側の端部近傍では、スロット2113の内側面(すなわち、当該スロット2113を挟む2つのティース2111の側面)が、最も中心軸J1側に配置された丸形導線212bのスロット2113に収容される部位の外側面に沿うように湾曲している。換言すれば、各スロット2113の内側面は、上記丸形導線212bの外側面に沿う湾曲部2114を備える。
【0039】
図2に示すように、電機子21は、中心軸J1方向においてステータコア211の上側に配置されて複数のU字型の導線212の端部2123(図4参照)と接続されるバスバーユニット213をさらに備え、バスバーユニット213は、中心軸J1を中心とする略円環状であって中心軸J1方向に積層された6枚の端子台であるバスバープレート2131を備える。以下の説明では、6枚のバスバープレート2131をそれぞれ区別して呼ぶ場合には、バスバーユニット213における下側(すなわち、ステータコア211側)に配置されるものから順に、バスバープレート2131a〜2131fと呼ぶ。
【0040】
図7.Aないし図7.Fは、バスバープレート2131a〜2131fを示す平面図である。図7.Aないし図7.Fに示すように、各バスバープレート2131(すなわち、バスバープレート2131a〜2131f)は、中心軸J1方向に関して同じ位置にて周方向に配列された複数の導電体の端子であるバスバー2132、および、中心軸J1を中心とする略円環状であって当該複数のバスバー2132が一体的に固定される絶縁体(本実施の形態では、樹脂)の端子保持部であるバスバーホルダ2133を備える。各バスバープレート2131では、複数のバスバー2132が、バスバーホルダ2133の外周縁よりも内側にてバスバーホルダ2133に固定される。
【0041】
図2に示すバスバーユニット213では、6枚のバスバーホルダ2133にそれぞれ保持されたバスバー群が、中心軸J1方向において互いに異なる位置に配置され、複数の導線212の一部にそれぞれ接続される。電機子21では、6枚のバスバープレート2131の複数のバスバー2132(図7.Aないし図7.F参照)により、複数の導線212の端部2123(図4参照)がステータコア211の上側において周方向に直列に接続されることにより、ステータコア211の複数のティース2111(図3参照)上に(複数の)コイル214が形成される。換言すれば、コイル214は、複数のバスバー2132、および、複数のバスバー2132を介して接続された複数の導線212を備える。
【0042】
電機子21では、図4に示す複数のティース2111のうち、連続する3本のティース2111に1ターンを巻回する分布巻きにより各コイル214(図2参照)が形成されており、1本の導線212の2本の直線部2121(図5.Aおよび図5.B参照)が挿入される2つのスロット2113の間には、他の導線212の直線部2121が挿入される他の2つのスロット2113が挟まれる。本実施の形態では、各コイル214のターン数は2とされ、それぞれ1本の角形導線212aおよび丸形導線212b(図5.Aおよび図5.B参照)が接続されることにより形成される。電機子21では、複数の角形導線212aおよび複数の丸形導線212bが交互に接続されてコイル214が形成されており、コイル214はバスバーユニット213(図2参照)を介して外部電源と接続される。
【0043】
図7.Aないし図7.Fに示すバスバープレート2131a〜2131fの外径(すなわち、各バスバープレートに外接する仮想円の直径)はそれぞれ、ステータコア211(図3参照)の外径よりも小さいため、複数のバスバー2132、および、各バスバー2132の導線との接合部2132aは、ステータコア211の外周縁よりも内側(すなわち、中心軸J1側)に配置される。したがって、複数の導線212と複数のバスバー2132の接合部2132aとは、ステータコア211の外周縁よりも中心軸J1側において接合される。本実施の形態では、バスバープレート2131a〜2131fの複数のバスバー2132と導線212との接合はTIG溶接により行われる。
【0044】
図2に示すロータ部3は、中心軸J1を中心とするシャフト31、シャフト31の周囲に圧入等により取り付けられた略円筒状のロータコア32、ロータコア32に保持されてそれぞれが中心軸J1に平行に伸びる薄板状の永久磁石である複数の界磁用磁石33、および、ロータコア32の中心軸J1方向の両端面を覆う略円板状のロータカバー34を備える。ロータコア32は、薄板状の磁性体の鋼板(すなわち、電磁鋼板)が中心軸J1方向に積層されて形成されており、その外周面は電機子21と対向する。また、ロータカバー34は、非磁性体(例えば、樹脂やアルミニウム)により形成されており、ボルト等によりロータコア32に固定されて界磁用磁石33の中心軸J1方向の移動を規制する。モータ1では、中心軸J1を中心とする環状の電機子21の中心軸J1側に界磁用磁石33が配置されており、電機子21と界磁用磁石33との間で中心軸J1を中心とする回転力(トルク)を発生する。
【0045】
図8.Aは、ロータコア32および界磁用磁石33を示す平面図である。図8.Aに示すように、ロータコア32には、中心軸J1に平行であってロータコア32を貫通する複数(本実施の形態では、16個)の磁石保持穴321が形成されており、当該複数の磁石保持穴321のそれぞれに薄板状の界磁用磁石33が挿入されることにより、複数の界磁用磁石33が、ロータコア32の外周面よりも中心軸J1側において中心軸J1を中心とする円周上に配置される。本実施の形態では、1個の磁石保持穴321に挿入される界磁用磁石33が中心軸J1方向に4分割されている。以下の説明では、1個の磁石保持穴321に挿入される4分割された界磁用磁石33をまとめて1個の界磁用磁石33として取り扱う。16個の界磁用磁石33は、それぞれの主面をロータコア32の外周面側(すなわち、図2に示す電機子21側)に向けて配列される。
【0046】
ロータ部3では、ロータコア32の外周面に向けて開いたV字状に配置される隣接する2つの界磁用磁石33において、電機子21に対向する磁極の極性が等しくされ(以下、「同極配置」と呼ぶ。)、当該2つの界磁用磁石33により1つのポールが形成される。換言すれば、複数の界磁用磁石33において、電機子21に対向する磁極の極性が、中心軸J1を中心とする周方向において2個ずつ変更される。本実施の形態では、ロータ部3のポール数は8とされる。
【0047】
ロータコア32では、電機子21に対向する磁極の極性が互いに異なる(以下、「異極配置」と呼ぶ。)とともに隣接する1対の界磁用磁石33(以下、「界磁用磁石対」という。)の間の部位322(すなわち、中心軸J1に向けて開いたV字状に配置される隣接する界磁用磁石対の中心軸J1から遠い側の端部の間の部位)に、当該界磁用磁石対が挿入される2つの磁石保持穴321から独立した穴部323が形成される。中心軸J1に平行に伸びる穴部323は、異極配置された複数の界磁用磁石対の間(すなわち、ロータ部3のポール間)に1つずつ形成されるため、本実施の形態では、8個の穴部323が、中心軸J1を中心とする円周上に等ピッチにて配列される。8個の穴部323の形状は全て等しく、また、隣接する2つの磁石保持穴321に対する相対位置も等しい。
【0048】
モータ1のロータコア32では、異極配置された界磁用磁石33間の部位322に穴部323が形成されることにより、当該部位322における磁気抵抗が増大する。これにより、異極配置された界磁用磁石33間における磁気短絡(いわゆる、磁束漏れ)が抑制され、モータ1の効率が向上される。このように、モータ1では、ロータコア32の穴部323が形成された部位322が、いわゆるフラックスバリアの役割を果たす。以下の説明では、部位322を「フラックスバリア部322」といい、穴部323を「フラックスバリア穴323」という。
【0049】
図8.Bは、ロータコア32の1つのフラックスバリア穴323近傍を拡大して示す図である。図8.Bに示すように、フラックスバリア穴323は、異極配置された界磁用磁石対の間のフラックスバリア部322において、周方向両側の2つの界磁用磁石33の最近接部を結ぶ面333(すなわち、2つの界磁用磁石33の中心軸J1(図8.A参照)側の主面331の互いに対向するエッジを結ぶ面333であり、図8.B中に二点鎖線にて示す。)と、ロータコア32の外周面との間に形成され、ロータコア32を中心軸J1方向に貫通する。フラックスバリア穴323の断面形状は略三角形であり、中心軸J1方向において一定である。
【0050】
磁石保持穴321のフラックスバリア穴323側の端部では、当該磁石保持穴321に保持される界磁用磁石33の側面332から、隣接するフラックスバリア穴323に向かって広がる隙間324が設けられる。また、磁石保持穴321のフラックスバリア穴323とは反対側の端部(すなわち、同極配置される隣接する2つの界磁用磁石33の互いに対向する側の端部)では、磁石保持穴321の内側面と当該磁石保持穴321に保持される界磁用磁石33の側面332との間に隙間325が設けられる。
【0051】
隙間324および隙間325はそれぞれ、界磁用磁石33の主面331に略垂直な2つの側面332のおよそ半分と対向する。また、界磁用磁石33の各側面332の残り半分は磁石保持穴321の内側面と当接しており、これにより、磁石保持穴321内における界磁用磁石33の周方向の動きが規制される。
【0052】
各フラックスバリア穴323の略三角形状の断面は、ロータコア32の外周面に略平行な辺、および、各フラックスバリア穴323に隣接する2つの界磁用磁石33の互いに対向する側面332に略平行な2辺を有する。各フラックスバリア穴323とロータコア32の外周面との間の最短距離D1、および、各フラックスバリア穴323に隣接する2つの磁石保持穴321と各フラックスバリア穴323との間のそれぞれの最短距離D2,D3は等しくされる。
【0053】
軸受機構4は、図2に示すように、ロータ部3のロータコア32の上側および下側においてシャフト31に取り付けられる上部ベアリング41および下部ベアリング42、並びに、上部ベアリング41が収容されるとともにハウジング6に固定されるベアリングホルダ43を備える。下部ベアリング42は、ハウジング6の底部中央に設けられた円筒状の側壁を有する収容部の内部に収容される。
【0054】
次に、モータ1の製造の流れについて説明する。図9は、モータ1の製造の流れを示す図である。また、図10.Aないし図10.Cは、製造途上のモータ1を示す正面図であり、図11.Aおよび図11.Bは、製造途上のモータ1を示す平面図である。
【0055】
モータ1が製造される際には、まず、図3に示すステータコア211の中心軸J1方向の両側から、樹脂等の絶縁体により形成されたインシュレータが挿入されてステータコア211に装着されることにより、複数のティース2111の側面および上下面、並びに、コアバック2112の上下面が絶縁体により被覆される。続いて、ステータコア211の複数のスロット2113に、複数の導線212のそれぞれの2本の直線部2121(図5.Aおよび図5.B参照)がステータコア211の下側から挿入され、図4に示すように各導線212の端部2123がステータコア211の上側に突出した状態とされる(ステップS11)。各導線212の両端部2123では、導線212の表面を被覆する厚さ数μmの絶縁体(例えば、ポリイミドアミド)の膜が予め除去されて側面に導電体が露出しており、当該両端部2123は、導電体であるバスバー2132の接合部2132a(図7.Aないし図7.F参照)と接合される接合部とされる。
【0056】
導線212の挿入が終了すると、図7.Aに示すバスバープレート2131aが、図10.Aに示すように、ステータコア211の上側(すなわち、複数の導線212の端部2123側)に配置され(ステップS12)、図11.Aに示すように、バスバープレート2131aの複数のバスバー2132の接合部2132aに、複数の導線212の一部(すなわち、バスバープレート2131aと接合される導線群)の端部2123(図10.A参照)がそれぞれ嵌合される。そして、バスバー2132の接合部2132aと導線212の端部2123との各組み合わせに対してTIG溶接が行われ、バスバープレート2131aの複数のバスバー2132と複数の導線212の一部とが接合される(ステップS13)。
【0057】
次に、図7.Bに示すバスバープレート2131bが、図10.Bに示すように、ステータコア211上に配置されたバスバープレート2131a上に重ねられ(ステップS14)、図11.Bに示すように、バスバープレート2131bの複数のバスバー2132の接合部2132aに、複数の導線212の一部(すなわち、バスバープレート2131bと接合される導線群)がそれぞれ嵌合される。バスバープレート2131bの複数のバスバー2132は、バスバープレート2131aの複数のバスバー2132のステータコア211とは反対側において、バスバープレート2131aの複数のバスバー2132の一部と中心軸J1方向に関して重なるように配置される。
【0058】
ここで、バスバープレート2131aおよびバスバープレート2131aの複数のバスバー2132を第1端子台および第1端子と捉え、バスバープレート2131bおよびバスバープレート2131bの複数のバスバー2132を第2端子台および第2端子と捉えた場合、モータ1では、第2端子台が第1端子台上に重ねられ、複数の第2端子が、中心軸J1方向に関して複数の第1端子の一部と重なっている。
【0059】
バスバープレート2131bでは、バスバープレート2131aの接合と同様に、バスバー2132の接合部2132aと導線212の端部2123との各組み合わせに対してTIG溶接が行われ、バスバープレート2131bの複数のバスバー2132と複数の導線212の一部とが接合される(ステップS15)。
【0060】
以下、同様に、全てのバスバープレート2131が導線212と接合されるまで(ステップS16)、次のバスバープレート2131を接合済みのバスバープレート2131上に重ねて当該バスバープレート2131のバスバー2132と複数の導線212の一部とをTIG溶接により接合する工程が繰り返され(ステップS14〜S16)、図10.Cに示すように、バスバーユニット213(すなわち、ステータコア211上に積層された6枚のバスバープレート2131)を有する電機子21が形成される。バスバーユニット213では、各バスバープレート2131の複数のバスバー2132(図7.Aないし図7.F参照)が、他のバスバープレート2131の複数のバスバー2132の一部と中心軸J1方向において重なる。
【0061】
全ての(本実施の形態では、6枚の)バスバープレート2131が導線212と接合されて電機子21の製造が終了すると、加熱されたハウジング6(図2参照)に対して、電機子21が複数の導線212の屈曲部2122側から挿入され、焼き嵌めにより電機子21がハウジング6の内部に固定される(ステップS17)。続いて、略円環板状のコイルカバーがハウジング6の内部に取り付けられ、電機子21のバスバーユニット213の上側が覆われる。
【0062】
次に、図2に示すロータ部3、並びに、ロータ部3のシャフト31に取り付けられた上部ベアリング41および下部ベアリング42が、ハウジング6内部の電機子21の内側(すなわち、中心軸J1側)に挿入される(ステップS18)。ロータ部3の組み立て、並びに、シャフト31への上部ベアリング41および下部ベアリング42の取り付けは、上述の電機子21の組み立て(ステップS11〜S16)とは独立して、電機子21の組み立てよりも前または後に、あるいは、電機子21の組み立てと並行して行われる。
【0063】
ロータ部3が電機子21の内側に挿入されると、ベアリングホルダ43が電機子21の上側(すなわち、ハウジング6の開口側)においてハウジング6に固定され(ステップS19)、その後、ベアリングホルダ43の上側においてレゾルバ部5がハウジング6に固定されることにより、モータ1の製造が終了する(ステップS20)。
【0064】
以上に説明したように、モータ1の電機子21では、1枚のバスバープレート2131aに複数の導線212の一部が接続され、バスバープレート2131a上に重ねられたバスバープレート2131bに複数の導線212の他の一部が接続される。そして、バスバープレート2131b上にバスバープレート2131c〜2131fが順次重ねられ、各バスバープレート2131に複数の導線212の一部が順次接続されることによりコイル214が形成される。
【0065】
このように、1枚のバスバープレート2131に一体的に保持された複数のバスバー2132に導線212を接合することにより、互いに独立した複数のバスバーを1つずつ導線に接合する場合に比べて、電機子21の複数の導線212をバスバー2132を介して容易に接続し、コイル214を容易に形成することができる。その結果、モータ1の製造を簡素化することができる。
【0066】
また、複数の導線212を、積層された複数のバスバープレート2131に接合することにより、各バスバープレート2131におけるバスバー2132の接合部2132aの個数を少なくすることができる。これにより、接合部2132aの間隔を、導線212とバスバー2132との接合作業が可能となる大きさに維持しつつ、リング状のバスバープレート2131の径が大きくなることを抑制することができる。その結果、モータ1の径の大型化を防止することができる。
【0067】
車両の冷暖房装置のコンプレッサとして利用されるモータでは、車内スペースの確保や燃費の改善、モータの製造コストの低減等の観点から、小型かつ製造容易であることが要求される。本実施の形態に係るモータ1は、上述のように、径の大型化を防止しつつ製造を簡素化することができるため、車両の冷暖房装置のコンプレッサとして特に好ましく利用することができる。また、車両の冷暖房装置のコンプレッサとしては、安全性を向上し、熱減磁を小さくするという観点から、電機子の内側に配置されたロータコアに永久磁石が埋め込まれたIPM(interior permanent magnet(埋込磁石))モータが利用されており、モータ1の構造は、このようなIPMモータにも好ましく適用される。
【0068】
電機子21の製造では、複数のバスバープレート2131のそれぞれに対し、他のバスバープレート2131上への積層、および、導線212との接続を順次行うことにより、電機子21の複数の導線212の接続をより容易に行うことができるとともに、バスバープレート2131の径の大型化を抑制してモータ1の大型化をより確実に防止することができる。また、ステータコア211の上側のみ(すなわち、ステータコア211に関して中心軸J1に沿う一方向のみ)から導線212とバスバー2132との接合作業(すなわち、結線作業)を行うことができるため、導線212の接続をさらに容易に、かつ、効率良く行うことができる。
【0069】
さらには、各バスバープレート2131の複数のバスバー2132が、他のバスバープレート2131の複数のバスバー2132の一部と中心軸J1方向において重なるように配置されることにより、中心軸J1を中心とする周方向におけるバスバー2132の配置の自由度を向上することができる。その結果、バスバー2132の接合部2132aの間隔を大きくすることができ、導線212の結線作業をより容易とすることができる。
【0070】
電機子21では、各バスバープレート2131が中心軸J1を中心とする略円環状とされることにより、複数のバスバー2132を中心軸J1の周囲に効率良く配置することができるため、モータ1の大型化をさらに確実に防止することができる。電機子21では、各バスバープレート2131は、中心軸J1を中心とする略円弧状とされてもよい。この場合も、複数のバスバー2132を中心軸J1の周囲に効率良く配置することができ、モータ1の大型化を確実に防止することができる。
【0071】
電機子21の各バスバープレート2131では、バスバー2132の接合部2132aが、ステータコア211の外周縁よりも中心軸J1側に配置される。これにより、バスバーユニット213の径がステータコア211の径よりも大きくなることが防止され、モータ1の大型化をより一層確実に防止することができる。
【0072】
各バスバープレート2131では、複数のバスバー2132がバスバーホルダ2133の外周縁よりも内側に固定されることにより、バスバー2132と導線212との接合部がバスバーホルダ2133の外側に露出することが防止される。その結果、バスバー2132と導線212との接合の信頼性を向上することができ、モータ1の信頼性を向上することができる。また、バスバー2132と導線212との接合が溶接により行われることにより、導線212とバスバー2132とを強固に接合することができ、電機子21およびモータ1の信頼性をより向上することができる。
【0073】
モータ1では、2本の直線部2121を有するU字型の導線212を用いてコイル214を形成することにより、直線状の(すなわち、I字型の)導線を用いてコイルを形成する場合に比べて、バスバー2132と導線212との接合回数を低減することができ、また、バスバー2132との接合前の導線212をスロット2113内に挿入した状態で容易に保持することができる。その結果、電機子21およびモータ1の製造を容易とすることができる。
【0074】
積層された複数のバスバープレート2131を介して導線212を接続することによりコイル214を形成する電機子21の構造は、ティース2111に巻回することが困難な導線(例えば、断面形状が矩形の角形導線212a(特に、断面積が12.3mm以上の角形導線212a)や断面の直径が3.16mm以上である丸形導線212b)によりコイル214を形成する場合に特に適している。
【0075】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るモータについて説明する。図12は、第2の実施の形態に係るモータの電機子21aを示す正面図である。図12に示すように、電機子21aでは、図7.Aないし図7.Fに示すバスバープレート2131a〜2131fに代えて、6枚のバスバープレート2131p〜2131uがステータコア211上に積層される。第2の実施の形態に係るモータのその他の構成は図1ないし図8.Bと同様であり、以下の説明において同符号を付す。また、当該モータの製造の流れも、第1の実施の形態と同様である。
【0076】
図13.Aおよび図13.Bは、図12中の下側(すなわち、ステータコア211に近い側)から1層目および4層目のバスバープレート2131p,2131sを示す平面図である。電機子21aでは、図12中の下側から2層目および3層目のバスバープレート2131q,2131rは、1層目のバスバープレート2131pとほぼ同様の形状とされ、5層目および6層目のバスバープレート2131t,2131uは、4層目のバスバープレート2131sとほぼ同様の形状とされる。
【0077】
図13.Aに示すように、電機子21aのバスバープレート2131p(〜2131r)は、中心軸J1方向に関して同じ位置にて周方向に配列された複数(本実施の形態では、8個)のバスバー2132、および、当該複数のバスバー2132が一体的に固定される絶縁体の端子保持部であるバスバーホルダ2133を備える。バスバーホルダ2133は、中心軸J1を中心とする略円環状の内側保持部2134、中心軸J1を中心とする略円環状であって内側保持部2134の外側(すなわち、中心軸J1とは反対側)に配置される外側保持部2135、並びに、同心円状に配置された内側保持部2134および外側保持部2135を連結する連結部2136を備える。
【0078】
内側保持部2134は、複数のバスバー2132の一部(本実施の形態では、4個のバスバー2132)を、外側保持部2135と対向する側(すなわち、中心軸J1とは反対側)に保持し、外側保持部2135は、内側保持部2134に保持されていないバスバー2132を、内側保持部2134と対向する側(すなわち、中心軸J1側)に保持する。電機子21aでは、外側保持部2135が、中心軸J1を中心とする径方向に関して内側保持部2134全体と重なっている。
【0079】
図13.Bに示すように、電機子21aのバスバープレート2131s(〜2131u)は、中心軸J1方向に関して同じ位置にて周方向に配列された複数(本実施の形態では、8個)のバスバー2132、および、当該複数のバスバー2132が外側(すなわち、中心軸J1とは反対側)に一体的に固定される絶縁体の端子保持部であるバスバーホルダ2133を備え、図12に示すように、バスバープレート2131p〜2131r上に重ねられる。バスバープレート2131s(〜2131u)に接続される導線212は、バスバープレート2131p〜2131rの内側保持部2134と外側保持部2135との間を通過する。ここで、バスバープレート2131p〜2131rを第1端子台と捉え、バスバープレート2131s〜2131uを第2端子台と捉えた場合、電機子21aでは、第2端子台が複数の第1端子台上に重ねられ、第2端子台に接続される導線212が、第1端子台の内側保持部2134と外側保持部2135との間を通過する。
【0080】
電機子21aでは、第1の実施の形態と同様に、ステータコア211上にバスバープレート2131p〜2131uが順次重ねられ、各バスバープレート2131に複数の導線212の一部が順次接続されることによりコイル214(図2参照)が形成される。これにより、モータの径の大型化を防止しつつ複数の導線212をバスバー2132を介して容易に接続することができる。
【0081】
電機子21aでは、特に、1層目ないし3層目のバスバープレート2131p〜2131rにおいて、4層目ないし6層目のバスバープレート2131s〜2131uに接続される導線212の内側および外側に内側保持部2134および外側保持部2135が設けられ、内側保持部2134および外側保持部2135の双方にバスバー2132が固定される。これにより、複数のバスバー2132を中心軸J1の周囲に効率良く配置することができ、モータの径の大型化をより確実に防止することができる。
【0082】
電機子21aでは、バスバープレート2131p〜2131rのそれぞれの内側保持部2134および外側保持部2135が、中心軸J1を中心とする略円環状とされることにより、中心軸J1を中心とする周方向において複数のバスバー2132をさらに効率良く配置することができるため、モータの径の大型化をより確実に防止することができる。バスバープレート2131p〜2131rでは、外側保持部2135が内側保持部2134の少なくとも一部と重なっているのであれば、内側保持部2134および外側保持部2135の双方、あるいは、いずれか一方が中心軸J1を中心とする略円弧状とされてもよい。この場合であっても、複数のバスバー2132を効率良く配置することができ、モータの径の大型化を防止することができる。
【0083】
次に、角形導線212aとバスバー2132との接合の他の例について説明する。図14は、第1および第2の実施の形態とは形状が異なる角形導線212aの一部を拡大して示す斜視図であり、図14では、角形導線212aの一方の端部2123近傍のみを示している。角形導線212aの他方の端部2123近傍の形状も、図14に示す形状と同様とされる。
【0084】
角形導線212aの両端部2123はそれぞれ、図14に示すように、側面に導電体が露出している略円柱状の(すなわち、断面形状が円形である)部位2126を備え、当該部位2126は各バスバープレート2131のバスバー2132(図7.Aないし図7.F参照)にTIG溶接により接合される。以下の説明では、バスバー2132への接合に利用される部位2126を、「接合端部2126」という。
【0085】
また、以下の説明では、角形導線212aの接合端部2126以外の部位2127(すなわち、断面形状が矩形の部位)を、「角形線部2127」という。角形線部2127の側面は絶縁体の膜により被覆されている。角形導線212aでは、図14に示すように、一の接合端部2126が、角形線部2127の一の端面2128の外周縁よりも内側からから突出しており、当該接合端部2126と同様のもう1つの接合端部が、図14中の角形線部2127の端面2128とは反対側の端面に設けられる。
【0086】
各接合端部2126は、角形線部2127の接合端部2126側の端面2128から離れるに従って直径が漸次減少する円錐台状であり、接合端部2126の角形線部2127側の外周縁は、角形線部2127の外周縁よりも内側に位置する。したがって、接合端部2126の伸びる方向のいずれの位置においても、接合端部2126の伸びる方向に垂直な断面(円形断面)は、角形線部2127の伸びる方向に垂直な断面(矩形断面)よりも小さくなる。接合端部2126は、断面形状が矩形の(すなわち、角形線部2127と同形状の断面を有する)導線部材の端部が切削され、当該端部の側面を被覆する絶縁体の膜と共に当該端部の角部が除去されることにより形成される。
【0087】
図14に示す角形導線212aを用いてモータが製造される際には、第1の実施の形態と同様に、ステータコア211上に6枚のバスバープレート2131(図2参照)が順次重ねられ、各バスバープレート2131に複数の導線212の一部が順次接続されることによりコイル214が形成される。これにより、モータの径の大型化を防止しつつ複数の導線212をバスバー2132を介して容易に接続することができる。
【0088】
当該モータの製造において角形導線212aとバスバー2132とが接合される際には、図15に示すように、バスバー2132の接合部2132aに形成された内側面2132cが円筒面の一部を備える切欠部2132bに角形導線212aの接合端部2126が挿入され、バスバー2132の切欠部2132bの周囲の部位(すなわち、接合部2132a)が、角形線部2127の接合端部2126側の端面2128に当接した状態で、角形導線212aの接合端部2126およびバスバー2132の接合部2132aに対してTIG溶接が行われる。
【0089】
このように、角形導線212aとバスバー2132との接合時に、バスバー2132が角形線部2127の端面2128に当接することにより、バスバー2132の角形導線212aに対する位置決めを容易に行うことができ、角形導線212aとバスバー2132とを容易に接合することができる。また、ステータコア211に対してバスバープレート2131を位置決めすることにより、角形導線212aの屈曲部2122のステータコア211からの高さを容易に決定することができる(すなわち、角形導線212aの屈曲部2122のステータコア211に対する位置決めを容易に行うことができる。)。
【0090】
さらには、バスバー2132の切欠部2132bの内側面2132cの一部が、径が一定である円筒面の一部とされ、角形導線212aの接合端部2126が円錐台状とされることにより、切欠部2132bに接合端部2126を挿入した際に、切欠部2132bの内側面2132cと接合端部2126との間に隙間が生じる。その結果、角形導線212aとバスバー2132との接合時に溶接材料(例えば、溶接棒や接合端部2126の一部)が当該隙間に流れ込むため、角形導線212aとバスバー2132とを強固に接合することができる。
【0091】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0092】
第1および第2の実施の形態に係るモータでは、電機子のコイル214を形成する複数の導線212は、必ずしも角形導線212aおよび丸形導線212bの双方を有する必要はなく、角形導線212aのみ、または、丸形導線212bのみがバスバー2132により接続されてコイル214が形成されてもよい。
【0093】
第2の実施の形態に係るモータでは、バスバープレート2131p〜2131rの内側保持部2134および外側保持部2135は、必ずしも連結部2136により連結される必要はない。また、内側保持部2134および外側保持部2135の形状は、必ずしも略円環状または略円弧状には限定されず、他の様々な形状とされてもよい。
【0094】
図14に示す角形導線212aの接合端部2126は、必ずしも円錐台状には限定されず、例えば、断面の径が一定である円柱状とされてもよい。この場合、バスバー2132の接合部2132aに形成された切欠部2132bの内側面2132cをテーパ面とする(すなわち、切欠部2132bの内側面2132cの径を、角形線部2127の端面2128から離れるに従って大きくする)ことにより、接合端部2126と切欠部2132bの内側面2132cとの間に溶接材料が流れ込む隙間が形成され、角形導線212aとバスバー2132との接合を強固なものとすることができる。
【0095】
上記実施の形態に係るモータのバスバーユニット213では、複数の互いに独立する略円弧状の部材が、1枚の略円環状のバスバープレート2131として扱われてもよい。また、各バスバープレート2131の形状は、必ずしも略円環状または略円弧状には限定されず、他の様々な形状とされてもよい。
【0096】
バスバーユニット213では、少なくとも1つのバスバー2132が、当該バスバー2132を含むバスバープレート2131以外の他のバスバープレート2131の複数のバスバー2132の一部と中心軸J1方向に関して重なることにより、周方向におけるバスバー2132の配置の自由度を向上することができ、導線212の結線作業をより容易とすることができる。また、バスバープレート2131の枚数は、2枚以上であれば、コイル214を形成する導線212の本数等に応じて適宜変更されてよい。
【0097】
上記実施の形態に係るモータの製造では、導線212とバスバー2132との接合は、必ずしもTIG溶接により行われる必要はなく、他の溶接方法や銀ロウ付け、あるいは、カシメ等により行われてもよい。
【0098】
モータの電機子では、コイル214は必ずしも分布巻きとされる必要はない。また、導線212をU字型にするための屈曲部2122の形成が困難である場合等、直線状の角形導線や直線状の丸形導線をステータコア211の上下にてバスバーユニット213により接続することによりコイルが形成されてもよい。
【0099】
上記実施の形態に係るモータは、必ずしも界磁用磁石33が電機子の内側に配置されたインナーロータ型である必要はなく、界磁用磁石33が電機子の外側に配置されたアウターロータ型であってもよい。また、モータは、車両の冷暖房装置のコンプレッサ以外に、いわゆるハイブリッドカー(すなわち、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関と電動式モータの双方により駆動される車両)や電気自動車等の車両の駆動源として利用されてもよく、その他、様々な装置やその駆動源として利用されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】第1の実施の形態に係るモータの平面図である。
【図2】モータの縦断面図である。
【図3】ステータコアの平面図である。
【図4】ステータコアおよび導線の斜視図である。
【図5.A】角形導線の斜視図である。
【図5.B】丸角形導線の斜視図である。
【図6.A】ステータコアおよび導線の断面図である。
【図6.B】1つのスロットを拡大して示す図である。
【図7.A】バスバープレートの平面図である。
【図7.B】バスバープレートの平面図である。
【図7.C】バスバープレートの平面図である。
【図7.D】バスバープレートの平面図である。
【図7.E】バスバープレートの平面図である。
【図7.F】バスバープレートの平面図である。
【図8.A】ロータコアおよび界磁用磁石の平面図である。
【図8.B】フラックスバリア穴近傍を拡大して示す図である。
【図9】モータの製造の流れを示す図である。
【図10.A】製造途上のモータを示す正面図である。
【図10.B】製造途上のモータを示す正面図である。
【図10.C】製造途上のモータを示す正面図である。
【図11.A】製造途上のモータを示す平面図である。
【図11.B】製造途上のモータを示す平面図である。
【図12】第2の実施の形態に係るモータの電機子の正面図である。
【図13.A】バスバープレートの平面図である。
【図13.B】バスバープレートの平面図である。
【図14】角形導線の一部を拡大して示す斜視図である。
【図15】角形導線およびバスバーの斜視図である。
【符号の説明】
【0101】
1 モータ
2 ステータ部
3 ロータ部
4 軸受機構
21,21a 電機子
33 界磁用磁石
211 ステータコア
212 導線
212a 角形導線
212b 丸形導線
2111 ティース
2113 スロット
2121 直線部
2122 屈曲部
2123 端部
2126 接合端部
2127 角形線部
2128 端面
2131,2131a〜2131f,2131p〜2131u バスバープレート
2132 バスバー
2132a 接合部
2133 バスバーホルダ
2134 内側保持部
2135 外側保持部
J1 中心軸
S11〜S20 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式のモータであって、
電機子を有するステータ部と、
前記ステータ部に取り付けられた軸受機構と、
前記電機子との間で所定の中心軸を中心とするトルクを発生する界磁用磁石を有するとともに、前記軸受機構を介して前記中心軸を中心に前記ステータ部に対して回転可能に支持されるロータ部と、
を備え、
前記電機子が、
前記中心軸を中心として放射状に配置された複数のティースを有するステータコアと、
前記複数のティース間の複数のスロットにおいて前記中心軸に平行に伸びる部位を含む複数の導線と、
前記ステータコアの前記中心軸方向の一方側に配置され、前記複数の導線の一部に接続される複数の第1端子が絶縁体に固定された第1端子台と、
前記第1端子台上に重ねられ、前記複数の導線の一部に接続される複数の第2端子が絶縁体に固定された第2端子台と、
を備えることを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータであって、
前記第1端子台および前記第2端子台が、前記中心軸を中心とする略円環状または略円弧状であることを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項2に記載のモータであって、
前記複数の第1端子が、前記第1端子台の前記絶縁体の外周縁よりも内側にて固定され、
前記複数の第2端子が、前記第2端子台の前記絶縁体の外周縁よりも内側にて固定されることを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のモータであって、
前記第1端子台の前記絶縁体が、
前記複数の第1端子の一部を保持する内側保持部と、
前記内側保持部の前記中心軸とは反対側に配置されて前記複数の第1端子の一部を保持する外側保持部と、
を備え、
前記第2端子台に接続される導線が、前記内側保持部と前記外側保持部との間を通過することを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項4に記載のモータであって、
前記内側保持部および前記外側保持部が、前記中心軸を中心とする略円環状または略円弧状であることを特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のモータであって、
前記界磁用磁石が、前記中心軸を中心とする環状の前記電機子の前記中心軸側に配置され、
前記複数の第1端子の導線との接合部および前記複数の第2端子の導線との接合部が、前記ステータコアの外周縁よりも前記中心軸側に配置されることを特徴とするモータ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のモータであって、
一の第2端子が、前記中心軸方向において前記複数の第1端子の一部と重なることを特徴とするモータ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のモータであって、
前記複数の導線のそれぞれが、
2つのスロットにそれぞれ収容される前記中心軸に平行に伸びる2つの直線部と、
前記2つの直線部の一方の端部の間において屈曲しつつ、前記2つの直線部を前記ステータコアの前記中心軸方向の他方側にて一体的に接続する屈曲部と、
を備えることを特徴とするモータ。
【請求項9】
請求項8に記載のモータであって、
前記複数の導線が、断面形状が直径3.16mm以上の円形である丸形導線を有することを特徴とするモータ。
【請求項10】
請求項8または9に記載のモータであって、
前記複数の導線が、断面形状が矩形である角形導線を有することを特徴とするモータ。
【請求項11】
請求項10に記載のモータであって、
前記角形導線の断面積が12.3mm以上であることを特徴とするモータ。
【請求項12】
請求項10または11に記載のモータであって、
前記角形導線の第1端子または第2端子に接合される端部が、側面に導電体が露出している略円柱状の接合端部を備え、
前記接合端部の断面が、前記角形導線の角形線部の断面よりも小さい円形であり、前記接合端部と前記第1端子または前記第2端子との接合の際に、前記角形線部の前記接合端部側の端面に前記第1端子または前記第2端子が当接することを特徴とするモータ。
【請求項13】
請求項12に記載のモータであって、
前記接合端部が、前記角形線部の前記接合端部側の前記端面から離れるに従って外径が漸次減少する円錐台状であって、前記接合端部の前記角形線部側の外周縁が、前記角形線部の前記接合端部側の外周縁よりも内側に位置することを特徴とするモータ。
【請求項14】
電動式のモータの電機子の製造方法であって、
a)所定の中心軸を中心として放射状に配置された複数のティースを有するステータコアの前記複数のティース間の複数のスロットに、前記中心軸に平行に伸びる部位を含む複数の導線を挿入する工程と、
b)複数の第1端子が絶縁体に固定された第1端子台を前記ステータコアの前記中心軸方向の一方側に配置する工程と、
c)前記複数の第1端子を前記複数の導線の一部と接合する工程と、
d)複数の第2端子が絶縁体に固定された第2端子台を前記第1端子台上に重ねる工程と、
e)前記複数の第2端子を前記複数の導線の一部と接合する工程と、
を備えることを特徴とする電機子の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の電機子の製造方法であって、
前記第1端子台および前記第2端子台が、前記中心軸を中心とする略円環状または略円弧状であることを特徴とする電機子の製造方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の電機子の製造方法であって、
前記複数の導線のそれぞれが、
2つのスロットにそれぞれ収容される前記中心軸に平行に伸びる2つの直線部と、
前記2つの直線部の一方の端部の間において屈曲しつつ、前記2つの直線部を前記ステータコアの前記中心軸方向の他方側にて一体的に接続する屈曲部と、
を備えることを特徴とする電機子の製造方法。
【請求項17】
請求項14ないし16のいずれかに記載の電機子の製造方法であって、
前記c)工程および前記e)工程における導線と前記複数の第1端子および前記複数の第2端子との接合が溶接により行われることを特徴とする電機子の製造方法。
【請求項18】
請求項14ないし17のいずれかに記載の電機子の製造方法であって、
一の第2端子が、前記中心軸方向において前記複数の第1端子の一部と重なることを特徴とする電機子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5.A】
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【図5.B】
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【図6.A】
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【図6.B】
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【図7.A】
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【図7.B】
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【図7.C】
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【図7.D】
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【図7.E】
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【図7.F】
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【図8.A】
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【図8.B】
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【図9】
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【図10.A】
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【図10.B】
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【図10.C】
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【図11.A】
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【図11.B】
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【図12】
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【図13.A】
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【図13.B】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−148479(P2008−148479A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334198(P2006−334198)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】