説明

モータ制御装置

【課題】モータに駆動電流を供給するリレー接点の溶着等による不具合を回避するモータ制御装置を提供する。
【解決手段】比較演算回路33,34により、モータ15に駆動開始、駆動停止の指示を与える外部スイッチ3のON/OFF状態に基づく所定の論理レベルの信号と、モータ15の端子電圧に対応する論理レベルとを比較し、双方の論理レベルが一致すれば、リレー13,14の接点13b,14bに溶着等の異常は発生していないと判定する。一方、双方の論理レベルが一致しない場合には、リレー13,14の接点13b,14bに溶着等の異常が発生し、異常な動作状態にあると判定する。そして、半導体スイッチ39をOFFにして、リレー13,14とバッテリ1との電気的な接続を遮断し、モータ15への給電を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに駆動電流を供給するリレー接点の溶着等による不具合を回避するモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のウインドウを開閉するためのパワーウインドウ装置、スライドルーフパネルを開閉するためのスライドルーフ装置等では、例えば、トランスファ接点のリレーを2個使用して、ウインドウやスライドルーフの開閉駆動用モータの回転方向を切替え可能にする、いわゆるHブリッジ制御回路が使用されている。一方、リレーには、リレーON時における接点への大電流の突入、リレーOFF時における高圧サージの発生等により、リレーの接点が溶着して復元せず、モータに電流が流れ続ける故障モードがある。上述したウインドウやスライドルーフの開閉制御では、通常、ウインドウやスライドルーフの全開位置及び全閉位置でモータへの通電を遮断しているが、リレー接点の溶着による故障モードでは、全開位置及び全閉の停止位置でモータがロック状態となったまま電流が流れ続けるため、モータ巻線が焼損するという問題があった。
【0003】
そこで、上記のような問題を解決する手段として、例えば、図2に示すモータ制御回路200のように、モータMの端子電圧をマイクロプロセッサ(MPU)に入力してリレーr1,r2の出力電圧と論理比較し、リレー接点の溶着によりモータMの出力がOFFとなっても、モータ端子電圧が0Vではない場合には、接点溶着していない側のモータ出力をONにするか、あるいはモータ出力をともにONにする。こうすることで、モータ端子電圧をともにバッテリBTTの電圧にしてモータブレーキをかけ、モータを停止させることで、モータにロック電流が継続的に流れるのを防止するという保護技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−308391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のモータ制御回路で採用している保護技術では、MPUがモータの通電制御を行っているため、MPUのソフトウエア暴走あるいはバッテリ電圧の低下により保護が解除されるという問題がある。また、保護動作により常時、リレーがON状態となるためリレーコイルへの通電が継続され、モータ停止中の消費電流が増加して、バッテリ上がり(バッテリ電圧の低下)による回路リセットによって保護が解除されたり、あるいはリレーコイルが発熱により損傷するという問題もある。さらには、保護中にリレー接点の溶着が機械的な振動により解除されると、上述した接点溶着していない側のモータ出力をONにする保護動作では、モータへの通電が継続されてしまう、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、モータ制御装置においてリレー接点の溶着等に対する保護動作が解除される不具合を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載のモータ制御装置は、モータの駆動開始及び駆動停止を指示する指示手段と、前記指示手段による指示に対応する所定レベルの電圧を出力する電圧出力手段と、前記モータの一対の端子それぞれに接続され、該モータへの電力の供給及び遮断を切り替えるための第1のスイッチ手段と、前記第1のスイッチ手段への駆動電力の供給及び遮断をするための第2のスイッチ手段と、前記指示手段による指示にしたがって前記第1のスイッチ手段を開閉するための制御信号を出力する制御手段と、前記電圧出力手段から出力される前記所定レベルの電圧と、前記モータの端子電圧とを比較する比較手段と、前記比較手段における比較結果に基づいて前記第2のスイッチ手段の開閉を制御する電力制御手段と、を備える。
【0008】
請求項1に記載のモータ制御装置によれば、第1のスイッチ手段に不具合が発生した場合、第1のスイッチ手段を介したモータへの電力の供給を遮断して、モータへの給電を停止するので、第1のスイッチ手段が常時ON状態となることによる消費電流の増加を防止し、スイッチ手段が発熱により損傷するのを防ぐことができる。
【0009】
請求項2に記載のモータ制御装置は、請求項1に記載のモータ制御装置において、前記第1のスイッチ手段は、前記モータの一対の端子それぞれに配置されたリレーであり、前記駆動電力が供給された状態にあるとき、前記制御手段からの制御信号にしたがった前記リレーの接点動作により前記一対の端子を介して前記モータへの電力の供給及び遮断を切り替える構成とされている。
【0010】
このモータ制御装置によれば、リレーの接点動作により確実に、モータへの電力の供給及び遮断の切り替えを可能にすることができる。
【0011】
また、請求項3に記載のモータ制御装置は、請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置において、前記比較手段は、前記所定レベルの電圧を所定の論理レベルに変換する第1のレベル変換手段と、前記モータの端子電圧を所定の論理レベルに変換する第2のレベル変換手段とを備え、前記電力制御手段は、前記第1のレベル変換手段での変換による論理レベルと前記第2のレベル変換手段での変換による論理レベルとが一致した場合、前記モータへ駆動電力が供給され、前記第1のレベル変換手段での変換による論理レベルと前記第2のレベル変換手段での変換による論理レベルとが不一致の場合、前記モータへの駆動電力が遮断されるように前記第2のスイッチ手段を制御する。
【0012】
このモータ制御装置によれば、制御手段を介さないで、電圧出力手段が出力する所定レベルの電圧と、モータの端子電圧とに対応する所定の論理レベルの一致、不一致をもとに第1のスイッチ手段の不具合を判定することができる。
【0013】
また、請求項4に記載のモータ制御装置は、前記第2のスイッチ手段が、電源と前記第1のスイッチ手段との間に配された構成としている。こうすることで、電源からの電力の供給の遮断等を、第1のスイッチ手段とモータの双方に対して同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るモータ制御装置の構成を示す図である。
【図2】従来のモータ制御回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置の構成を示す。図1に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置100は、バッテリ1からの電源電圧が、ヒューズ2を介してモータ制御回路50の端子aへ入力される。モータ制御回路50の端子f−g間には、例えば、パワーウインドウ装置のウインドウやスライドルーフ装置のスライドルーフを開閉駆動するためのモータ15が接続されている。また、端子b及び端子cには、モータ15の始動及び停止を指示するための外部スイッチ3が接続されている。なお、端子eには、接地電位(GND)が供給される。
【0016】
モータ制御回路50は、モータ15へ駆動電流を供給するため、リレー13,14の制御等を行うマイクロプロセッサ(MPU)16を有する。そのための制御プログラムは、オペレーティングシステム(OS)等の基本プログラムとともに不図示の読み取り専用メモリ(ROM)に格納されている。さらに、上記のリレー制御等に用いる各種データを一時的に記憶するため、不図示の随時読出し/書込みメモリ(RAM)を備える。また、端子aに入力されたバッテリ1からの電源電圧は、逆接防止ダイオード5を介して、レギュレータ等の電源回路8に入力される。そして、電源回路8において、通常の論理レベルに対応する電圧(例えば、5V)に変換された後、MPU16に供給される。
【0017】
外部スイッチ3のスイッチ3a,3bは、各々の一方端が接地され、他方端がMPU16及び後述するレベル変換回路31,32に接続されている。ここでは、スイッチ3a,3bがOFF状態にあるとき、スイッチ3aの他方端とMPU16等を接続する信号線61の電圧レベルが、プルアップ抵抗6によりバッテリ1の電源電圧レベルになり、スイッチ3bの他方端とMPU16等を接続する信号線63の電圧レベルも、プルアップ抵抗7によりバッテリ1の電源電圧レベルになる。なお、プルアップ抵抗6,7は、逆接防止ダイオード4を介してバッテリ1に接続されている。
【0018】
外部スイッチ3が操作されてスイッチ3aがON状態となり、スイッチ3bがOFF状態になると、信号線61の電圧レベルは、バッテリ1の電源電圧レベルから接地電位(GND)レベルに変化し、信号線63の電圧レベルは、バッテリ1の電源電圧レベルに維持される。そして、MPU16内のレベル変換回路9は、信号線61の電圧レベルの変化(バッテリ1の電源電圧レベルから接地電位レベルへの変化)を、通常の論理レベル(論理“H”レベル、及び論理“L”レベル)に対応する電圧レベルに変換する。また、MPU16内の演算回路10は、レベル変換回路9でレベル変換されたスイッチ3aからの信号に対して、リレー13の接点13bをONにするための演算をする。
【0019】
一方、MPU16内の変換回路9は、信号線63の電圧レベル(バッテリ1の電源電圧レベル)を、通常の論理レベルに対応する電圧レベルに変換し、演算回路10は、レベル変換回路9でレベル変換されたスイッチ3bからの信号に対して、リレー14の接点14bをOFFにするための演算をする。
【0020】
また、外部スイッチ3のスイッチ3aがON状態になったことで、信号線61に接続されているレベル変換回路31の入力は、バッテリ1の電源電圧レベルから接地電位(GND)レベルに変化する。その結果、レベル変換回路31は、次段の比較演算回路33の一方の入力端33aに対して、接地電位レベルを論理レベルに変換した信号(論理“L”)を出力する。このとき、外部スイッチ3のスイッチ3bはOFF状態にあるため、信号線63に接続されているレベル変換回路32は、比較演算回路34の一方の入力端34aに対して、バッテリ1の電源電圧レベルの信号を論理レベルに変換した信号(論理“H”)を出力する。
【0021】
増幅器35は、比較演算回路33より入力された、接地電位レベルを論理レベルに変換した信号を増幅し、増幅器36は、比較演算回路34から入力された、バッテリ1の電源電圧レベルの信号を論理レベルに変換した信号を増幅する。ここでは、MOSFET、トランジスタ等で構成される半導体スイッチ39が、増幅器35,36いずれかからのON信号により導通状態となって、リレー13,14に対して動作電流(巻線13a,14aの駆動電流)、及びモータ15に対して駆動電流(駆動電力)が供給される。
【0022】
上述したように、演算回路10は、リレー13の接点13bをONにし、リレー14の接点14bをOFFにするための演算を行う。演算回路10からの出力信号は、増幅器11,12によって、それぞれ所定レベルの信号に増幅される。その結果、リレー13の巻線13aが通電状態となって、リレー13の接点13bがON(図1の上側に位置する状態)となり、リレー14の巻線14aが非通電状態となって、リレー14の接点14bはOFF(図1の下側に位置する状態)となる。よって、図1において矢印Aで示すように、モータ15に対する駆動電流は、リレー13の接点13b→モータ15→リレー14の接点14bの方向へ電流が流れ、モータ15は所定方向に回転(正転)する。
【0023】
上記の場合(スイッチ3aがON、スイッチ3bがOFF)とは逆に、外部スイッチ3の操作によりスイッチ3aがOFF状態、スイッチ3bがON状態にされると、信号線61の電圧レベルは、バッテリ1の電源電圧レベルに維持され、信号線63の電圧レベルは、バッテリ1の電源電圧レベルから接地電圧(GND)レベルに変化する。MPU16内のレベル変換回路9は、上記のようにスイッチ3aがONで、スイッチ3bがOFFの場合とは逆の電圧レベル変換を行うので、演算回路10は、リレー13の接点13bをOFFに、リレー14の接点14bをONするための演算を行う。その結果、演算回路10からの信号を受けた増幅器11は、リレー13の巻線13aを非通電状態に、リレー14の巻線14aを通電状態にするので、リレー13の接点13bがOFFとなり、リレー14の接点14bはONになる。
【0024】
レベル変換回路31,32、比較演算回路33,34、及び増幅器35,36についても、上述したスイッチ3aがONで、スイッチ3bがOFFの場合とは逆の動作をする。よって、スイッチ3aがOFF状態で、スイッチ3bがON状態にされた場合は、図1において矢印Bで示すように、リレー14の接点14b→モータ15→リレー13の接点13bの方向へ電流が流れるので、モータ15は、上記とは逆方向に回転(反転)する。
【0025】
このように、スイッチ3aがON状態であり、スイッチ3bがOFF状態の場合は、モータ15の端子fは、リレー13の接点13bを介してバッテリ1に接続され、端子fの電圧レベルはバッテリ1の電源電圧レベルとなる。これにより、端子fに接続した抵抗23を介して、比較器37の反転入力端子に対して、モータ15の端子fの電圧としてバッテリ1の電源電圧レベルが入力される。そして、比較器37は、端子fの電圧(Vfとする)と、所定の基準電圧Vrefとを比較する。ここでは、Vf>Vrefが成立するため、比較器37は、比較演算回路33の他方の入力端33bに対して、論理“L”の信号を入力する。
【0026】
比較演算回路33は、上述したレベル変換回路31から入力された信号レベルと、比較器37からの入力信号レベルとを比較する。スイッチ3aがON状態で、スイッチ3bがOFF状態の場合、レベル変換回路31の出力信号レベルは接地電圧レベル(論理“L”)であり、比較器37からの入力信号レベルも論理“L”であるため、双方の論理レベルが一致する。そこで、比較演算回路33は、モータ制御回路50のリレー13の接点13bが溶着等の異常のない状態で、外部スイッチ3のスイッチ3aの設定に従って動作していると判定する。
【0027】
一方、モータ15の端子gは、リレー14の接点14bを介して接地されているため、端子gの電圧レベルは接地電圧(GND)レベルとなる。また、端子gに接続された抵抗24を介して、比較器38の反転入力端子に、モータ15の端子gの電圧として接地電圧(GND)レベルが入力される。そこで、比較器38は、端子gの電圧(Vgとする)と、所定の基準電圧Vrefとを比較する。ここでは、Vg<Vrefが成立するため、比較演算回路34の他方の入力端34bに論理“H”の信号を入力する。
【0028】
スイッチ3aがON状態で、スイッチ3bがOFF状態の場合、レベル変換回路32からの出力信号レベルは、バッテリ1の電源電圧レベル(論理“H”に対応)となる。上述したように、比較器38からの入力信号レベルも論理“H”であるため、比較演算回路34は、レベル変換回路32からの論理レベルと、比較器37からの論理レベルが一致すると判断する。そこで、比較演算回路34は、モータ制御回路50のリレー14の接点14bが、溶着等の異常のない状態で、外部スイッチ3のスイッチ3bの設定に従って動作していると判断する。
【0029】
なお、MPU16内のレベル変換回路9、レベル変換回路31、及びレベル変換回路32は、それぞれローパスフィルタ機能を有しており、入力された信号から不要な高周波成分を除去する。また、外部スイッチ3のスイッチ3aとスイッチ3bとが同時にON状態となった場合、信号線61,63がともに接地電位(GND)レベルとなる。そこで、MPU16内の演算回路10は、レベル変換回路9を介して入力された信号線61,63の電圧レベルをもとに論理演算を行い、スイッチ3aとスイッチ3bの同時ON状態を、モータ15の回転方向が不定となる禁止入力と判断する。そして、演算回路10は、増幅器11,12を介してリレー13の接点13bとリレー14の接点14bをともにOFFにして(接地側に倒す)、モータ15の回転を停止する。
【0030】
次に、本発明の実施の形態に係るモータ制御装置において、リレーの接点が溶着等の異常な状態にある場合の制御について説明する。
【0031】
例えば、外部スイッチ3のスイッチ3aがON状態のとき、端子fの電圧レベルがバッテリ1の電源電圧レベルではなく、接地電圧(GND)レベルにある場合、比較器37の反転入力端子には、端子fに接続した抵抗23を介して、モータ15の端子fの電圧レベル(接地電圧レベル)が入力される。比較器37は、このときの端子fの電圧Vfと、所定の基準電圧Vrefとを比較する。この場合、Vf<Vrefが成立するため、比較器37は、比較演算回路33の他方の入力端33bに対して、論理“H”の信号を出力する。
【0032】
スイッチ3aがON状態の場合、レベル変換回路31の出力信号レベルは接地電圧レベル(論理“L”)となる。そこで、比較演算回路33は、レベル変換回路31から入力された信号が論理“L”で、比較器37からの信号が論理“H”であるため、双方の論理レベルが一致せず、モータ制御回路50のリレー13の接点13bに溶着等の異常が発生していると判定する。そして、比較演算回路33は、増幅器35に対して、半導体スイッチ39をOFFにする信号を出力する。その結果、リレー13及びリレー14と、バッテリ1との電気的な接続が遮断されるので、接点の溶着によりリレーが常時ON状態となって、リレーコイルへの通電が継続されるのを回避できる。
【0033】
一方、外部スイッチ3のスイッチ3aがOFF状態のとき、端子fの電圧レベルが接地電圧(GND)レベルではなく、バッテリ1の電源電圧レベルとなった場合、比較器37の反転入力端子には、端子fに接続した抵抗23を介して、モータ15の端子fの電圧レベルとして、バッテリ1の電源電圧レベルが入力される。そして、比較器37は、端子fの電圧Vfと、所定の基準電圧Vrefとを比較する。ここでは、Vf>Vrefが成立するので、比較器37は、比較演算回路33の他方の入力端33bに対して、論理“L”の信号を出力する。
【0034】
上述したように、スイッチ3aがOFF状態の場合、レベル変換回路31からの出力信号のレベルは、バッテリ1の電源電圧レベルに対応する論理“H”となる。比較演算回路33は、レベル変換回路31から入力された信号が論理“H”であり、比較器37からの信号が論理“L”であるため、これらの論理レベルが一致せず、モータ制御回路50のリレー13の接点13bに、溶着等の異常が発生していると判断する。そこで、比較演算回路33は、増幅器35に対して、半導体スイッチ39をOFFにする信号を出力する。この場合も、リレー13及びリレー14と、バッテリ1との電気的な接続が遮断されるため、接点の溶着によりリレーが常時ON状態となって、リレーコイルへの通電が継続されるのを回避できる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係るモータ制御装置では、モータに駆動指示を与えるための外部スイッチのON/OFF状態に基づく論理レベルと、モータの端子電圧に対応する論理レベルとを比較し、双方の論理レベルが一致すれば、リレーの接点に溶着等の異常は発生しておらず、正常な状態にあると判定する。また、双方の論理レベルが一致しない場合には、リレーの接点に溶着等の異常が発生し、異常な動作状態にあると判定して、リレーと電源(バッテリ)との電気的な接続を遮断し、モータへの給電を停止する。こうすることで、リレーの接点に溶着等が発生して、リレーが常時ON状態となることによる消費電流の増加を防止し、リレーのコイルが発熱により損傷するのを未然に防ぐことができる。
【0036】
また、電源(バッテリ)とリレーとの間に半導体スイッチ39を配したことで、リレー接点の溶着等の不具合が発生した場合、リレーとモータの双方に対して同時に電力供給を遮断することができる。
【0037】
さらに、本実施形態に係るモータ制御装置は、モータに駆動電流を供給するリレー接点の溶着等の異常の検出動作、及びリレーとバッテリとの電気的な接続の解除動作を、マイクロプロセッサを介さないで行う構成としている。このような構成により、マイクロプロセッサのソフトウエアの暴走、あるいはマイクロプロセッサへの供給電圧の低下(バッテリ上がり)により回路リセットが発生して異常状態に対する保護動作が解除されるという不具合を回避できる。
【符号の説明】
【0038】
1 バッテリ
2 ヒューズ
3 外部スイッチ
4,5 逆接防止ダイオード
6,7 プルアップ抵抗
8 電源回路
9,31,32 レベル変換回路
10 演算回路
11,12,35,36 増幅器
13,14 リレー
13a,14a リレー巻線
13a,14b リレー接点
15 モータ
23,24 抵抗
33,34 比較演算回路
37,38 比較器
39 半導体スイッチ
50 モータ制御回路
61,63 信号線
100 モータ制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動開始及び駆動停止を指示する指示手段と、
前記指示手段による指示に対応する所定レベルの電圧を出力する電圧出力手段と、
前記モータの一対の端子それぞれに接続され、該モータへの電力の供給及び遮断を切り替えるための第1のスイッチ手段と、
前記第1のスイッチ手段への駆動電力の供給及び遮断をするための第2のスイッチ手段と、
前記指示手段による指示にしたがって前記第1のスイッチ手段を開閉するための制御信号を出力する制御手段と、
前記電圧出力手段から出力される前記所定レベルの電圧と、前記モータの端子電圧とを比較する比較手段と、
前記比較手段における比較結果に基づいて前記第2のスイッチ手段の開閉を制御する電力制御手段と、
を備えるモータ制御装置。
【請求項2】
前記第1のスイッチ手段は、前記モータの一対の端子それぞれに配置されたリレーであり、前記駆動電力が供給された状態にあるとき、前記制御手段からの制御信号にしたがった前記リレーの接点動作により前記一対の端子を介して前記モータへの電力の供給及び遮断を切り替える
請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記比較手段は、前記所定レベルの電圧を所定の論理レベルに変換する第1のレベル変換手段と、前記モータの端子電圧を所定の論理レベルに変換する第2のレベル変換手段とを備え、
前記電力制御手段は、前記第1のレベル変換手段での変換による論理レベルと前記第2のレベル変換手段での変換による論理レベルとが一致した場合、前記モータへ駆動電力が供給され、前記第1のレベル変換手段での変換による論理レベルと前記第2のレベル変換手段での変換による論理レベルとが不一致の場合、前記モータへの駆動電力が遮断されるように前記第2のスイッチ手段を制御する
請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記第2のスイッチ手段が、電源と前記第1のスイッチ手段との間に配された
請求項3に記載のモータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−34310(P2013−34310A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169203(P2011−169203)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】