説明

モータ制御装置

【課題】 バッテリーを1台のみ備えるHEVやEVで、車両走行中であっても、このバッテリーを構成する二次電池のSOCを正確に求めるための二次電池の端子間電圧測定のために、このバッテリーの定電流駆動を行う方法を提供する。
【解決手段】
本発明はモータ制御装置であって、モータの負荷変動により二次電池の充放電電流が変化する第一のモードと、モータの負荷変動に拘わらず、二次電池の充放電電流が所定時間は一定になる第二のモードとのいずれかのモードを設定するモード設定手段と、モード設定手段により設定されたモードと、トルク指令値と、モータ回転数とに基づいて、モータを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)などの電動車両には多数の電動機が搭載されており、中でも駆動力に高出力電動機が用いられている。駆動力として用いられる電動機に電力を供給する電源として、ニッケル水素電池セルやリチウム電池セルなどの二次電池セルを複数備えた組電池からなるバッテリが用いられる。バッテリの充電状態を示すパラメータにはSOC(State of Charge)がある。車両走行中においてSOCを推定する場合、一般的には、車両走行中の閉路電圧であるCCV、分極電圧及び内部抵抗とバッテリ電流積算値より開路電圧であるOCVを算出し、この算出されたOCVからSOCを推定する方法が広く使われている。
【0003】
車両走行中のCCVの測定は、組電池を構成する個々の二次電池のCCVを測定して、これらから個々の二次電池のOCVとSOCを算出し、さらにバッテリ全体のSOCが算出される。しかしながら、車両走行中は、充放電が頻繁に繰り返されており、全ての二次電池セルで全く同一条件でのCCVの検出を行うことは難しく、個々の二次電池セルのCCV検出からある程度の誤差が生じる。これらの、二次電池セルでのバッテリ電圧値検出の誤差が累積し、算出されたバッテリのSOCでも、実際のSOCに対して誤差が生じ、この誤差は次第に累積してゆく。そこで、バッテリを定電流駆動した状態でCCVを測定してSOCを正確に算出する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている、電動機への電力供給に使用される電源システムでは、複数のバッテリと、複数のコンバータとを備え、複数のコンバータを制御することによって、複数のバッテリの一部を一定電流で充電または放電させるとともに、これら以外のバッテリを駆動力発生部の電力要求に応じて充放電させ、この際に、バッテリコントローラによって、一定電流で充電または放電している間のバッテリの電圧に基づいてそのバッテリのSOCが推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−276970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のモータ制御装置では、HEVやEVを駆動する電動機を駆動するためのバッテリのSOCを正確に求めるために、SOCの計測対象のバッテリを定電流駆動するには、この計測対象のバッテリ以外のバッテリを用いる必要があった。したがって、バッテリの個数が増加し、コスト高の原因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1に記載の発明は、モータの負荷変動により二次電池の充放電電流が変化する第1のモードと、およびモータの負荷変動に拘わらず、二次電池の充放電電流が所定時間は一定になる第2のモードのいずれかのモードを設定するモード設定手段と、モード設定手段により設定されたモードと、トルク指令値と、モータ回転数とに基づいて、モータを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備えることを特徴とするモータ制御装置である。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモータ制御装置において、外部制御装置からの信号に基づいて、モード設定手段が第1のモードまたは第2のモードを設定することを特徴とする。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のモータ制御装置において、モード設定手段は、モータのトルク変動が比較的少ないヒルホールド中に第2のモードを設定することを特徴とする。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のモータ制御装置において、モード設定手段は、モータのトルクが放電方向のみとなるヒルクライム中に第2のモードを設定することを特徴とする。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項2に記載のモータ制御装置において、モード設定手段は、モータのトルクが充電方向のみとなるダウンヒル中に第2のモードを設定することを特徴とする。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項2に記載のモータ制御装置において、モード設定手段は、モータのトルク変動が比較的少ない高速巡航中に第2のモードを設定することを特徴とする。
(7)請求項7に記載の発明は、請求項2に記載のモータ制御装置において、モード設定手段は、モータのトルク変動が比較的少ないリバース運転中に第2のモードを設定することを特徴とする。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、第2のモードでモータが駆動されているときに、二次電池の端子間電圧(CCV)を測定する二次電池電圧測定手段と、この二次電池電圧測定手段で測定された二次電池の端子間電圧(CCV)に基づいて、二次電池のOCVを算出するSOC算出手段とを備えることを特徴とする車両用電動駆動制御装置である。
(9)請求項9に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、第2のモードで前記モータが駆動されているときに、二次電池の端子間電圧(CCV)を測定する二次電池電圧測定手段と、この二次電池電圧測定手段で測定された二次電池の端子間電圧(CCV)に基づいて、二次電池のOCVを算出するSOC算出手段と、ヒルホールド、ヒルクライム、高速巡航、およびリバース運転のいずれかを判定する判定手段と、この判定手段がヒルホールド、ヒルクライム、高速巡航、およびリバース運転のいずれかを判定したとき、モータ制御装置に対して第2のモードの設定を指令する指令手段とを備えることを特徴とする車両用制御装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるモータ制御装置により、1台のバッテリのみを用いて、二次電池セルのCCV測定におけるバッテリの定電流駆動が可能となり、正確なCCV測定に基づいたOCVを算出し、さらに正確なSOCを算出することができる。また、これによりバッテリの構成および制御がシンプルになると共に、バッテリのコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明によるモータ制御装置の実施形態例を備えた電動駆動装置の全体構成の例を説明する概略図である。
【図2】図1に示す電動駆動装置のモータ駆動部102の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明によるモータ制御装置の実施形態例における電流指令決定手段で用いられるデータを説明する図である。表301、302はそれぞれ第2の電流指令決定部で算出するモーター制御の実効AC電流の下限および上限を示し、表303、304はそれぞれ表301、302に対応する、バッテリの実効DC電流である。
【図4】本発明によるモータ制御装置の実施形態例のモータ制御での電流指令算出手段で、図3に示すテーブルデータの処理を示したものである。
【図5】本発明によるモータ制御装置の実施形態例で、バッテリ定電流モードに移行するためのプロセスを説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明によるモータ制御装置の実施形態例で、バッテリ定電流運転レンジ判定処理の内容を説明したフローチャートである。
【図7】本発明による実施形態のモータ制御装置を用いることができるバッテリ定電流運転許可の第1の例を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明による実施形態のモータ制御装置を用いることができるバッテリ定電流運転許可の第2の例を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明による実施形態のモータ制御装置を用いることができるバッテリ定電流運転許可の第3の例を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明による実施形態のモータ制御装置を用いることができるバッテリ定電流運転許可の第4の例を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明による実施形態のモータ制御装置を用いることができるバッテリ定電流運転許可の第5の例を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明による実施形態のモータ制御装置を用いることができるバッテリ定電流運転許可の第6の例を説明するためのフローチャートである。
【図13】通常のモータ駆動動作を説明するための図である。
【図14】本発明によるモータ制御装置を用いた、モータの定電流駆動動作を説明するための図である。
【図15】本発明によるモータ制御装置の実施形態例を備えた車両用電動駆動装置での、バッテリコントローラ106で実行されるSOC算出処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1〜14を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による第1の実施形態のモータ制御装置を搭載した電気自動車(EV)等の車両100の全体ブロック図である。車両は電源部101およびモータ駆動部102を備えている。電源部101には、バッテリ103、バッテリ状態を監視するセルコントローラ104、および、インバータ107とバッテリ103とを接続および切り離しを可能とするリレー回路105を備える。その他、例えばバッテリの充電状態(SOC;State of Charge)の算出やモータ駆動部102への電力供給および遮断などを実施するバッテリコントローラ106を備える。
【0011】
バッテリ103には、ニッケル水素電池セルやリチウム電池セルなどの二次電池セルを複数備えた組電池からなるバッテリが用いられる。また、この複数の二次電池セルは数個から十数個直列に接続されたセルグループを構成し、バッテリ、すなわち組電池はこのセルグループを複数個直列あるいは直並列に接続されたものを備えている。
【0012】
セルコントローラ104で取得したバッテリ状態データ(二次電池セルの端子間電圧や、温度等)は、通信手段によりバッテリコントローラ106へ伝送される。バッテリコントローラ106では受信したバッテリ状態データに基づき、バッテリ全体および各二次電池のSOCの算出や、バッテリ103からのモータ駆動部102へのDC電力制限値などを算出する。
【0013】
一方、モータ駆動部102は、少なくとも1つのインバータ107および1つのモータ108を備えている。インバータ107はモータ108を駆動制御するためのモータコントローラ109からの信号で駆動制御される。モータコントローラ109は、通信手段等により外部コントローラ110などから受信した、例えばトルク目標値或いは回転数目標値でモータが駆動されるようにインバータ107への駆動信号を生成して、モータの発生トルクあるいは回転数を制御する。図1に記載の構成ではコンバータ等の記載は無いが、これら機器を有していてもよい。
【0014】
図2は、本発明による実施形態のモータ制御装置(モータコントローラ)109におけるモータ制御演算の構成を詳細に説明したものである。モータ制御装置109は、直流電圧センサ202の出力からコンデンサ203の端子電圧を検出する直流電圧検出部204、モータ回転センサ205の出力からモータ回転数を検出するモータ回転数検出部207、電流センサ208の出力からモータ駆動電流を検出するモータ電流検出部209を備える。更に、トルク指令値210、モータ回転数検出値211、および直流電圧検出値212に基づいて、d−q空間での出力電流を算出する第1電流指令算出部213と、トルク指令値210、モータ回転数検出値211、直流電圧検出値212およびバッテリ電流目標値215に応じたd−q空間での出力電流を算出する第2電流指令算出部216とを備える。
【0015】
また、バッテリ定電流動作要求信号224により、第1電流指令算出部213からの出力値である通常動作用電流指令値214と、第2電流指令算出部216からの出力値であるバッテリ定電流動作用電流指令値217とを切り替えて出力する電流指令切替部218を備える。更に電流指令切替部218から出力される電流指令値219と、モータ電流検出部から出力される電流検出値220に基づいて、モータ108への三相出力電流を制御する電流制御値222を出力する電流制御演算部221と、この電流制御値222に基づいてPWMデューティを決定し、そのデューティでインバータ107を駆動する信号を生成するPWMデューティ算出部223とを備える。なお、ここで、コンデンサ203の電圧は理論上バッテリ103の電圧と同値である。
【0016】
第1電流指令算出部213は、トルク指令値210および現在のモータ回転数検出値211に基づいて、モータ108が所望のトルクを出力する上で、調整可能な範囲内で最も損失が少ない電流指令値を決定する。すなわち、通常運転においては、第1電流指令算出部213より出力した通常制御用電流指令値214を使用し、モータ制御を行う。
【0017】
一方、第2電流指令算出部216は、トルク指令値210および現在のモータ回転数検出値211、直流電圧検出値212、バッテリ電流目標値215に基づいて、モータ108が所望のトルクを出力しつつ、バッテリ電流が目標値となるための電流指令を決定する。
【0018】
(モータの定電流駆動の原理)
図13を参照して、本発明によるモータ制御装置における、モータの定電流駆動について説明する。
【0019】
(通常のモータ動作)
図13は、モータ108が1つのIPMモータであるとして、この固定子コイルに供給する3相交流電流(振幅)であるモータ電流とその位相(電気角)に対し、回転トルクを一定とする条件の曲線を各回転トルク毎に示す概念図である。
なお、図13では、モータ108の回転数は一定としている。後述するが、モータ108の回転数を一定とする条件、すなわちこのモータ108によって駆動される電動車両の定速運転の状態には種々の状態がある。また運転速度や運転環境によってもモータ回転数や、必要な回転トルクが異なるので、図13に示す状態は単にその1つの例を示すものである。また、車両がダウンヒルの状態では、モータ108は回生動作を行うので図13のようなモータ108の駆動状態は適用されない。
【0020】
図13に示す例では、ある回転トルク一定の曲線は固定子コイルの駆動電流(モータ電流)の位相β(すなわち電気角)が40°〜50°で最もモータ電流値が小さくなる。このモータ電流値が最小となる電気角βが、モータ108の最高効率点であり、通常の車両の動作では、モータ108がこの最高効率点で動作するように、インバータ107を制御して、モータ電流のパルス幅とその位相を変化させることにより、モータ電流の振幅と位相を制御している。
たとえば、図13の例では、登り坂が次第にきつくなり、より大きな回転トルクが必要な場合、図中の最高効率線に沿って、モータ電流と電気角を変化するように制御する。
【0021】
(本発明によるモータ制御装置でのモータの定電流駆動)
図14は、説明を簡単にするため図13に示す定トルク曲線の内1つ(τ=50[Nm])のみ抜き出して示したものである。
上記のように通常の動作では、モータ電流と電気角は図中の最高効率点となるように、インバータ107をモータコントローラ109が制御する。
【0022】
後述するように、車両が定速運転状態にあると判断されると、モータ108の定電流駆動の状態に移行する。
図14の最高効率点から、τ=50[Nm]の定トルク曲線に沿って、所定の定電流動作点(後述)に移動する。このモータ動作点の移動は、モータ電流およびその電気角βを変化させて行う。定トルク状態であるので、車両の定速運転は維持される。定トルク曲線に沿わず、直線的にモータ電流とその電気角を変化させることも可能であるが、運転者にとって意図しない加速/減速が生じるので好ましくない。
【0023】
モータ電流およびその位相が定電流動作点まで移動したら、この定電流動作点において、車両および道路や外部環境による僅かな速度変化に対応して、車両の定速運転を維持するためにトルクを変化させるが、この際にモータ電流は変化させずに、電気角βのみを変化させる。
図14には示していないが、定トルク曲線は無数にあり、図14に示す定トルク曲線の上下に連続的に存在している。図13には、この無数の定トルク曲線の内、4つ(τ=20、40、50、60[Nm])が示されている。
この図14中の定電流動作点で電気角β(図中では約65°前後)を減少する方向(左方向)に変化すると、回転トルクは増大し、電気角βを増加する方向(右方向)に変化すると、回転トルクは減少する。このようにして、車両の状態に対応して電気角βを変化させることによって、定速運転を維持することができる。
【0024】
なお、厳密には車両の僅かな速度変化すなわちモータ回転数の僅かな変化に対して、図13は異なるモータ回転数での定トルク曲線を用いる必要があるが、定速運転中は速度変化は僅かであり、この僅かな速度変化を補正するためのトルクの変化が大きいので、速度変化は無視して、同じ定トルク曲線を用いても問題は起こらない。もし車両の速度の変動による補正がさらに必要な場合は、上記で説明した方法で定まる電気角βに適当な定数(高回転ほど低トルクとなるので概ね1より少し小さい)を乗算して変化させればよい。この補正量はモータ回転数によって異なるので、たとえばモータコントローラ109の記憶領域にデータとして格納しておけばよい。
【0025】
以上説明したような定電流動作を行うことにより、モータ電流を定電流として制御することができ、モータ電流を発生するためにバッテリ103からインバータ107に供給される直流電流も定電流とすることができる。
【0026】
なお、定電流動作の制御は、図13において、最高効率曲線の右側(β増加方向)あるいは左側(β減少方向)のどちらでも可能であるが、右側の方が電気角βの変化に対し回転トルクの変化が大きいので、最高効率曲線の右側で行うことが好ましい。
また、最高効率曲線を挟んで上記のような動作を行わせると、同じモータ電流に対し2つの電気角βが可能となり、動作が不安定となるので、このような動作は行わない。
なお、定電流動作から最高効率点での通常の動作に戻す場合は、上記と逆の手順で、定電流動作点からモータ電流とその電気角を、定トルク曲線に沿って変化させる。
【0027】
(定電流動作点の設定方法)
上記で説明したように、ここでは図13に示す最高効率曲線の右側(β増加方向)で定電流動作を行うとして説明する。
電気角βは、理論的には90°まで可能であるが、90°に近づくにつれて、効率が低下する。この低下した効率の分はモータ108内で熱として発生し、モータの温度が上昇するので、これを考慮してβは適当な範囲で変化させる。さらに、電気角βが90°に近づくと、効率が低下する分だけ大きなモータ電流が必要となるが、これに対応した、バッテリ103からインバータ107への直流電流(バッテリ電流)が可能かどうかも考慮してβを変化させる。
【0028】
ある回転数で1つの回転トルクの値を仮定したときに、このトルクをモータ108が出力できる最低のモータ電流値(最高効率点のβに対応するものでよい)と、モータ108内の発熱を考慮した最高のモータ電流値(最大の電気角βに対応)とをそれぞれデータテーブルとして、たとえばモータコントローラ109の記憶領域に格納しておく。
最高効率点での通常の動作の、モータ回転数とトルクに対応した2つの電流値、すなわち上記の例では、最高効率点の電気角βと、発熱およびバッテリの出力電流を考慮した最大の電気角βとにそれぞれ対応した2つのモータ電流値の間のモータ電流値を用いて、上記の定電流動作を行う。
【0029】
(定電流動作が可能かどうかの判定方法)
上記で説明した車両の定速運転でのβの変動範囲は車両を駆動した際の実測によって、あるいはシミュレーション等で求めることができ、このβの変動範囲が、上記の2つのモータ電流値に含まれれば、定電流動作が可能となる。
実際の車両での定電流動作では、バッテリ103の充電状態(SOC)に基づくバッテリ103の放電可能な電流量も考慮して、定電流動作が可能かどうかの判断を行う必要がある。
以下にこの判断方法について説明する。
【0030】
図3は、第2電流指令算出部216で用いるデータテーブルの例を示したものである。第2電流指令算出部216には、データテーブルとしてバッテリ電流に応じた少なくとも2つの電流指令テーブル301、302と2つのバッテリ電流テーブル303、304を備える。この2つの電流指令テーブルと2つのバッテリ電流テーブルは、たとえば上記で説明した2つのモータ電流値(最高効率点のβと最大のβに対応)に基づくテーブルであってよく、あるいはこの2つのモータ電流値の間の任意の部分の両端の値に基づくものであってよい。
【0031】
まず、第1電流指令テーブル301は、モータ回転数(N0〜Nnの範囲)とトルク指令(T0〜Tnの範囲)においてバッテリ電流を調整可能な範囲内で最小に設定した場合の電流指令テーブルである。例えば、現在のモータ回転数がN1でトルク指令がT1であった場合、求まる電流指令はI11xである。
【0032】
第2電流指令テーブル302は、モータ回転数(N0〜Nnの範囲)とトルク指令(T0〜Tnの範囲)においてバッテリ電流を調整可能な範囲内で最大に設定した場合の電流指令テーブルである。例えば、現在のモータ回転数がN1でトルク指令がT1であった場合、求まる電流指令はI11zである。また、第1バッテリ電流テーブル303は、第1電流指令テーブル301に対応した出力バッテリ電流であり、例えば前述同様に、現在のモータ回転数がN1でトルク指令がT1であった場合、求まるバッテリ電流値はIB11xである。
【0033】
第2バッテリ電流テーブル304は、第2電流指令テーブル302に対応した出力バッテリ電流であり、例えば前述同様に、現在のモータ回転数がN1でトルク指令がT1であった場合、求まるバッテリ電流値はIB11zである。
【0034】
以上のテーブルデータを使用してモータ回転数N、トルク指令T、目標電流指令値(モータ電流値)Idqが与えられた場合の、これに対応する目標バッテリ電流IBの算出方法を以下に示す。
まず、第1電流指令テーブル301よりモータ回転数およびトルク指令に応じて抽出した電流指令値をIdq1、第1バッテリ電流テーブル303にて抽出した同動作点におけるバッテリ電流値をIB1とする。次に、第2電流指令テーブル302よりモータ回転数およびトルク指令に応じて抽出した電流指令値をIdq2、第2バッテリ電流テーブル304にて抽出した同動作点におけるバッテリ電流値をIB2とする。
【0035】
ここで、目標バッテリ電流IBの場合の電流指令値がIdqであるので、求めるIdqは図4のような関係となり、以下線形補間式(1)より算出することが出来る。
Idq =(Idq2−Idq1)/(IB2−IB1)×(IB−IB1)
+Idq1 ・・・(1)
なお、第1電流指令テーブル301の値と第1バッテリ電流テーブル303の値、および第2電流指令テーブルの値と第2バッテリ電流テーブル304の値は、それぞれリニアな対応関係にあるが、図13および上記の説明から分かるように、第1電流指令テーブル301の値と第2電流指令テーブル302の値、および第1バッテリ電流303と第2バッテリ電流304の値はそれぞれ厳密にはリニアには変化していない。しかしながら、モータ電流値(第1電流指令テーブル301と第2電流指令テーブル)の変化とバッテリ電流値(第1バッテリ電流テーブル303と第2バッテリ電流テーブル304)の変化はリニアな関係にあるので、上記の式を用いて、目標電流指令値(モータ電流値)Idqに対する目標バッテリ電流IBを上記式(1)で算出することができる。
【0036】
尚、同出力において実際にはバッテリ電圧が変動するため、これに従いバッテリ電流は変動する。そこで、第1および第2バッテリ電流テーブルは基準バッテリ電圧VBmにより設定するものとし、現在のバッテリ電圧VB^に応じてバッテリ電流目標値IBを基準電圧値換算しても良い。換算後の目標バッテリ電流IBは式(2)より求まる。
IB = IB×(VBm/VB^) ・・・(2)
本実施形態では電流指令テーブルを使用したが、別手段により電流指令を導き出しても同等であると考える。
【0037】
以上で説明したように、本発明による上記の実施形態では、通常の運転モードである、モータ負荷(回転数、トルク)の変動により、バッテリ電流が変動する運転モードと、モータ負荷(回転数、トルク)が変動しても所定の調整可能な範囲内でバッテリ電流を一定の電流に保つ定電流運転モードとを選択することができる。
【0038】
図5はバッテリ定電流モードまたは通常制御モードでモータ108を制御するモータコントローラ109の処理に移行するためのプロセスを説明するためのフローチャートである。
はじめに、トルク指令T、モータ回転数N^、目標バッテリ電流値IBを取得する(ステップS501)。これらのデータを基に、第1および第2電流指令算出部213、216により通常運転モードおよび定電流運転モードにおける電流指令値を決定する(ステップS502)。
【0039】
次に、外部コントローラ110からのバッテリ定電流運転許可が受信されているか否かを判定する(ステップS503)。バッテリ定電流運転許可状態であると判定すると(ステップS503において“許可”)、バッテリ電流目標値が制御範囲内であるか否かを判定する(ステップS504)。バッテリ定常運転許可については図7以降で説明する。
【0040】
目標バッテリ電流にて制御可能であると判定すると(ステップS504において“TRUE”)、ステップS502にて算出したバッテリ定電流運転用電流指令値を選択し(ステップS505)、バッテリ定電流運転ステータスを“TRUE”に設定する(ステップS506)と共にバッテリ定電流運転を開始する。
【0041】
一方、外部コントローラ110からのバッテリ定電流運転許可が受信されていない場合(ステップS503において”禁止“)或いは、バッテリ電流目標値が制御範囲内にないと判定した場合(ステップS504においてFALSE)、ステップS502にて算出した通常電流運転用電流指令値を選択し(ステップS507)、バッテリ定電流運転ステータスをFALSEに設定する(ステップS508)とともに通常制御運転を開始する。
【0042】
上記、ステップS506およびステップS508にて設定したバッテリ定電流運転ステータスは通信手段によりバッテリコントローラ106に送信する(ステップS509)。
【0043】
図6は図5のステップS504での処理の内容を詳細に説明したフローチャートである。
トルク指令T、モータ回転数N^、目標バッテリ電流値IBを使用して図3の第1バッテリ電流テーブル303を参照することにより最小バッテリ電流IB1を取得する(ステップS601)。次に、同じトルク指令T、モータ回転数N^、目標バッテリ電流値IBを使用して図3の第2バッテリ電流テーブル304を参照することにより最大バッテリ電流IB2を取得する(ステップS602)。
【0044】
目標バッテリ電流値IBが、ステップS601で取得した最小バッテリ電流IB1以上且つステップS602で取得した最大バッテリ電流IB2以下であるならば(ステップS603においてYES)、バッテリ定電流制御レンジステータスを“TRUE”に設定する(ステップS604)。一方で、目標バッテリ電流値IBが、ステップS601で取得した最小バッテリ電流IB1未満或いはステップS602で取得した最大バッテリ電流IB2超であるならば(ステップS603においてNO)、バッテリ定電流制御レンジステータスを“FALSE”に設定する(ステップS605)。
【0045】
なお、最小バッテリ電流IB1および最大バッテリ電流IB2は、それぞれバッテリ103の放電可能な最小電流および最大電流である。従って、最大バッテリ電流IB2は、バッテリ103の充電状態(SOC)も考慮した値として設定される。
【0046】
バッテリコントローラ106は、モータコントローラ109からバッテリ定電流運転ステータス(TRUE)を受信したのち、SOC算出を行う。
【0047】
図15は、バッテリコントローラ106で実行されるSOC算出処理を説明するフローチャートである。ステップS11において、SOC算出タイミングか否かを判定する。SOC算出タイミングと判定されると、ステップS12に進む。ステップS12おいて、バッテリ定電流運転ステータスが“True”(詳細後述)であるかどうかを判定する。ステップS12において、バッテリ定電流運転ステータスが“True”であると判定されると、ステップS13のCCV測定およびSOC算出を実行する。CCV測定は、バッテリコントローラ106の制御により、セルコントローラ104が実行する。ステップS11およびS12が否定されると、ステップS13をスキップする。
なお、このSOC算出タイミングか否かの情報およびバッテリ定電流運転ステータスの情報は、上位制御装置である、外部コントローラ110からバッテリコントローラ106に、たとえば図15の動作を実行する指令とともに送信される。
以下に図7〜図12を参照して、バッテリ定電流運転ステータスが“True”かどうかを、外部コントローラ110が判定する種々の車両の運転状態について説明する。
【0048】
図7〜図12は、本発明による実施形態のモータ制御装置を用いることができるバッテリ定電流運転許可の第1の例〜第6の例を説明するためのフローチャートである。これらの場合では、車両はほぼ定速運転状態となっている。
【0049】
<第1の例>
図7は、車両がヒルホールド中の場合のモータ制御装置における定電流運転許可を説明するためのフローチャートである。
外部コントローラ110は、現在車両走行がヒルホールド中であるか否かを判定する(ステップS701)。ヒルホールド中であると判定すると(ステップS701においてYES)、バッテリ定電流運転許可ステータスを「許可」に設定する(ステップS703)。
【0050】
一方、ヒルホールド中で無い場合(ステップS701においてNO)、バッテリ定電流運転許可ステータスを「禁止」に設定する(ステップS702)。外部コントローラ110はモータコントローラ109およびバッテリコントローラ106に対し、バッテリ定電流運転ステータスを送信する(ステップS704)。
【0051】
<第2の例>
図8は、車両がヒルクライム中の場合のモータ制御装置における定電流運転許可を説明するためのフローチャートである。
外部コントローラ110は、現在車両走行がヒルクライム中であるか否かを判定する(ステップS801)。ヒルクライム中であると判定すると(ステップS801においてYES)、バッテリ定電流運転許可ステータスを「許可」に設定する(ステップS803)。
【0052】
一方、ヒルクライム中でない場合(ステップS801においてNO)、バッテリ定電流運転許可ステータスを「禁止」に設定する(ステップS802)。外部コントローラ110はモータコントローラ109およびバッテリコントローラ106に対し、バッテリ定電流運転ステータスを送信する(ステップS804)。
【0053】
<第3の例>
図9は、車両がダウンヒル中の場合のモータ制御装置における定電流運転許可を説明するためのフローチャートである。定速で車両がダウンヒル中の場合は、モータ108は、インバータ107からの交流電流を受けて動作しているのではなく、回生動作を行っている。しかし、定速であるのでモータ108の発電量が一定であり、モータ108の定電流動作の場合と同様にバッテリ103を流れる直流電流が安定するので、バッテリ103を構成する二次電池セルのCCV測定を正確に行うことができる。
【0054】
外部コントローラ110は、現在車両走行がダウンヒル中であるか否かを判定する(ステップS901)。ダウンヒル中であると判定すると(ステップS901においてYES)、バッテリ定電流運転許可ステータスを「許可」に設定する(ステップS903)。
【0055】
一方、ダウンヒル中で無い場合(ステップS901においてNO)、バッテリ定電流運転許可ステータスを「禁止」に設定する(ステップS902)。外部コントローラ110はモータコントローラ109およびバッテリコントローラ106に対し、バッテリ定電流運転ステータスを送信する(ステップS904)。
【0056】
<第4の例>
図10は、車両が高速巡航中の場合のモータ制御装置における定電流運転許可を説明するためのフローチャートである。
外部コントローラ110は、現在車両走行が高速巡航中であるか否かを判定する(ステップSA01)。高速巡航中であると判定すると(ステップSA01においてYES)、バッテリ定電流運転許可ステータスを「許可」に設定する(ステップSA03)。
【0057】
一方、高速巡航中で無い場合(ステップSA01においてNO)、バッテリ定電流運転許可ステータスを「禁止」に設定する(ステップSA02)。外部コントローラ110はモータコントローラ109およびバッテリコントローラ106に対し、バッテリ定電流運転ステータスを送信する(ステップSA04)。
【0058】
<第5の例>
図11は、車両がリバース運転中の場合のモータ制御装置における定電流運転許可を説明するためのフローチャートである。
外部コントローラ110は、現在車両走行がリバース運転中であるか否かを判定する(ステップSB01)。リバース運転中であると判定すると(ステップSB01においてYES)、バッテリ定電流運転許可ステータスを「許可」に設定する(ステップSB03)。
【0059】
一方、リバース運転中で無い場合(ステップSB01においてNO)、バッテリ定電流運転許可ステータスを「禁止」に設定する(ステップSB02)。外部コントローラ110はモータコントローラ109およびバッテリコントローラ106に対し、バッテリ定電流運転ステータスを送信する(ステップSB04)。
【0060】
<第6の例>
図12は、本発明によるモータ制御装置における定電流運転許可の第7の例を説明するためのフローチャートである。
本実施形態は上記の第1乃至第5の例の処理を集約したものである。この処理によれば、第1乃至第5の例のいずれかに記載された条件が成立した場合に、バッテリ定電流運転ステータスを「許可」にする(ステップSC07)。
【0061】
一方でいずれの条件も成立しなかった場合には、バッテリ定電流運転ステータスを「禁止」に設定する(ステップSC06)。外部コントローラ110はモータコントローラ109およびバッテリコントローラ106に対し、バッテリ定電流運転ステータスを送信する(ステップSC08)。
【0062】
何れの例においても、バッテリコントローラ106はバッテリ電流が変動している場合のSOC算出結果と、バッテリ定電流運転時のSOC算出結果とを比較し、SOC算出結果を補正する。
【0063】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形実施例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部を削除すること、および各実施形態の構成に、他の実施形態の構成の一部を追加・置換をすることが可能である。
【0064】
また、上記の実施形態の構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の実施形態の構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。上記の機能を実現する構成要素である、プログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や通信線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはこれらの殆ど全ての構成要素が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0065】
101 電源部
102 モータ駆動部
103 バッテリ
104 セルコントローラ
105 リレー回路
106 バッテリコントローラ
107 インバータ
108 モータ
109 モータコントローラ
110 外部コントローラ
202 直流電圧センサ
203 コンデンサ
204 直流電圧検出部
205 モータ回転センサ
207 モータ回転数検出部
208 電流センサ
209 モータ電流検出部
213 第1電流指令算出部
214 通常制御用電流指令
215 目標バッテリ電流
216 第2電流指令算出部
217 バッテリ定電流制御用電流指令
218 電流指令切替部
221 電流制御演算部
224 バッテリ定電流要求

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの負荷変動により二次電池の充放電電流が変化する第1のモードと、前記モータの負荷変動に拘わらず、前記二次電池の充放電電流が所定時間は一定になる第2のモードとのいずれかのモードを設定するモード設定手段と、
前記モード設定手段により設定されたモードと、トルク指令値と、モータ回転数とに基づいて、前記モータを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備えることを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ制御装置において、
外部制御装置からの信号に基づいて、前記モード設定手段が前記第1のモードまたは前記第2のモードを設定することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ制御装置において、
前記モード設定手段は、前記モータのトルク変動が比較的少ないヒルホールド中に前記第2のモードを設定することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載のモータ制御装置において、
前記モード設定手段は、前記モータのトルクが放電方向のみとなるヒルクライム中に前記第2のモードを設定することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項5】
請求項2に記載のモータ制御装置において、
前記モード設定手段は、前記モータのトルクが充電方向のみとなるダウンヒル中に前記第2のモードを設定することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項6】
請求項2に記載のモータ制御装置において、
前記モード設定手段は、前記モータのトルク変動が比較的少ない高速巡航中に前記第2のモードを設定することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載のモータ制御装置において、
前記モード設定手段は、前記モータのトルク変動が比較的少ないリバース運転中に前記第2のモードを設定することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、
前記第2のモードで前記モータが駆動されているときに、前記二次電池の端子間電圧(CCV)を測定する二次電池電圧測定手段と、
前記二次電池電圧測定手段で測定された前記二次電池の端子間電圧(CCV)に基づいて、前記二次電池のOCVを算出するSOC算出手段とを備えることを特徴とする車両用電動駆動制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、
前記第2のモードで前記モータが駆動されているときに、前記二次電池の端子間電圧(CCV)を測定する二次電池電圧測定手段と、
前記二次電池電圧測定手段で測定された前記二次電池の端子間電圧(CCV)に基づいて、前記二次電池のOCVを算出するSOC算出手段と、
ヒルホールド、ヒルクライム、高速巡航、およびリバース運転のいずれかを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記ヒルホールド、ヒルクライム、高速巡航、およびリバース運転のいずれかを判定したとき、前記モータ制御装置に対して前記第2のモードの設定を指令する指令手段とを備えることを特徴とする車両用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−74640(P2013−74640A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209814(P2011−209814)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】