説明

ラベラ

【課題】ラベル2Aに塗布する糊が糸引きや液だれを起こすことを防止する。
【解決手段】回転手段によって回転される移送ドラム10の外周面に、ラベル2Aを吸着保持する保持部12が複数設けられており、この保持部12に保持されて回転移送されるラベル2Aに糊塗布手段14から糊を塗布し、容器18に対しこのラベル2Aを貼り付ける。前記保持部12は、ゴム等の弾性体から構成されており、ラベル2Aに糊を塗布する際には、弾性体の保持部12に保持されているラベル2Aに糊塗布手段14の吐出口60aを接触させる。従来のように離れた位置から糊を吹き付けるのではなく、吐出口60aをラベル2aに接触させているので、糸引きや液だれを起こすことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の外周面にラベルを貼り付けるラベラに係り、特に、ラベルの裏面に糊を塗布する糊付け手段の構成に特徴を有するラベラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器の外周面に貼り付けるラベルの裏面側に糊を塗布する構成は、従来から各種提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。特許文献1に記載された発明に係る「粘性流動物転移装置」の一例としてラベラが開示されている。このラベラは、ラベルに糊を付着させる糊付けローラと、この糊付けローラに隣接して配置されたターンテーブルと、このターンテーブルの外周部に等角度間隔に配設された複数のパレットと、各パレットに一枚ずつラベルを供給するラベルマガジンと、このラベルマガジンの下流側に配置されたターンテーブルと、このターンテーブルの外周部に等角度間隔に配設されてパレットからラベルを受け取るグリッパ等を備えている。
【0003】
このラベラでは、糊付けローラの外周面に糊を付着させ、所定の厚さの膜を形成する。この糊付けローラの外周面に膜状に形成された後は、糊付けローラとパレットを備えたターンテーブルの回転に伴って、パレットが糊付けローラの外周面に回転接触してゆくことにより、パレット上に転移される。糊が転移されたパレットがターンテーブルの回転に伴ってラベルマガジンとの接触位置に達すると、ラベルマガジンからラベルが一枚ずつ繰り出されてパレット面に付着される。このパレットがさらにターンテーブルの回転に伴ってグリッパとの接触位置に達すると、パレットに付着されていたラベルが、糊が転移された裏面を表向きにした状態でグリッパに吸着される。このラベルは、その後、びんに回転接触されることにより、びんの外周面に貼り付けられる。
【0004】
特許文献2に記載された発明に係る「ガラスビンにラベルを貼り付ける方法」では、繰り出された長尺のラベルがカッターで切られてブランクとなり、このブランクはバキュームドラムで吸引されながら移動する。ブランク(切断されたラベル)は次の工程でホットメルトガンからホットメルト剤を噴射塗布される。一方、コンベアで送られてきたガラスビンは、スター形状のホイールで一個宛所定の間隔で移動され、前記ラベルと接触されてこのラベルが貼り付けられる。
【特許文献1】特開平11−189228号公報(第4−5頁、図1)
【特許文献2】特開平3−200533号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載された発明の構成では、ラベルの裏面に対する糊の塗布量が均一になりにくいという問題がある。また、ローラのすべての部分の温度を均一にすることが困難であり、温度の高い部分と低い部分とが発生してしまう。このような場合に温度の低い部分を基準にして温度管理を行うと、温度の高い部分では糊が焦げ付いてしまう場合がある等の問題があった。
【0006】
特許文献2に記載された発明の構成では、離れた位置からホットメルトガンによってホットメルト剤を噴射するようにしているので、糊の種類や装置の能力等によって、ホットメルトの糸引きが発生する場合がある。このように糸引きが発生すると、装置本体やラベル自体を汚すおそれがあり好ましくない。また、ラベルへの塗布量が安定しないという問題も発生する。さらに、ホットメルトガンからの液だれも発生する。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、ラベルの裏面に均一に糊を塗布することができ、しかも、吐出した糊が糸引きを生ずることなく、周囲を汚染するおそれのないラベラを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ラベルを吸着保持する保持部が外周に設けられた移送ドラムと、この移送ドラムを回転させる回転手段と、糊を吐出する吐出口を有し、前記保持部に保持されているラベルに糊を塗布する糊塗布手段とを備え、ラベルの所定位置に糊を塗布して容器に装着するラベラにおいて、前記保持部を移送ドラムの外周面よりも外方へ突出させた弾性体から構成し、前記糊塗布手段によってラベルに糊を塗布する際に、前記保持部によって保持されているラベルに前記吐出口を当接させた状態で糊を吐出するとともに、糊の吐出終了後も引き続き前記吐出口をラベルに当接させることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載した発明は、前記保持部を、少なくともラベルの移送方向の前後2箇所に設けたことを特徴とするものである。
【0010】
さらに、請求項3に記載した発明は、前記保持部の移送ドラムの回転方向における幅を、前記糊塗布手段によって糊を塗布する幅よりも大きくすることにより、糊を塗布した後吐出口に残存する糊を拭き取ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のラベラは、移送ドラムの保持部に保持されているラベルに糊塗布手段の吐出口を当接させるので、ラベルに均一に糊を塗布することができ、また、糸引きが発生することがなく、装置本体やラベルを汚染するおそれがない。さらに、糊塗布手段からの液だれの発生も防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
回転手段によって回転される移送ドラムの外周に設けた保持部にラベルを保持させ、糊塗布手段の吐出口からこのラベルに糊を塗布して容器に装着するラベラであって、前記保持部を弾性体から構成するとともに、この保持部に保持されているラベルに糊を塗布する際に、吐出口をラベルに接触させるという構成により、糊の糸引きや液だれの発生を防止するとともに、ラベルに均一に糊を塗布するという課題を実現する。
【実施例1】
【0013】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係るラベラの全体の構成を簡略化して示す平面図、図2はこのラベラに設けられているラベル移送ドラムと糊塗布手段を示す縦断面図、図3は前記移送ドラムと糊塗布手段の要部の作動時の状態を示す平面図、図4は糊塗布手段のホットメルトコーティングヘッドの斜視図である。
【0014】
図1によってラベラ全体の構成について簡単に説明する。所定の幅を有する帯状のラベル2がロール状に巻かれて図示しないロールスタンドに支持されており、この帯状ラベル2が引き出され、複数のローラ4を介してカッタ6に送られる。一対の回転体6A、6Bからなるカッタ6によって所定の長さに切断されたラベル2A(図3参照)は、受け渡しドラム8を介してラベル移送ドラム10に引き渡される。移送ドラム10には、その外周面に円周方向等間隔で複数(この実施例では4箇所)のラベル保持部12が設けられており、各ラベル保持部12がそれぞれ1枚ずつラベル2Aを保持して回転搬送する。この移送ドラム10の、受け渡しドラム8からのラベル受け渡し位置Aよりも下流側の、ラベル搬送経路の外側に糊塗布手段14が設置されている。この糊塗布手段14から吐出された糊が、前記移送ドラム10の保持部12に保持されているラベル2Aに塗布される。糊が塗布されたラベル2Aは、ラベル貼り付け位置Bにおいて、容器搬送装置16によって搬送されてきた容器18の外周面に貼り付けられる。
【0015】
一方、前記ラベル2Aが貼り付けられる容器18は、供給コンベヤ20によって搬送され、インフィードスクリュー22によって所定の間隔に切り離されて入口スターホイール24に引き渡される。入口スターホイール24は受け取った容器18を回転搬送して、ロータリ式の容器搬送装置16に供給する。この容器搬送装置16の回転体26には、その外周部に円周方向等間隔で多数の容器台26aが設けられており、この容器台26aに載せられた容器18が図示しない容器保持手段によって保持されて回転搬送される。容器搬送装置16は前記ラベル移送ドラム10と同期運転されており、搬送されている各容器18が、ラベル貼り付け位置Bで、移送ドラム10の各ラベル保持部12に保持されているラベル2Aを貼り付けられる。ラベル2Aが貼り付けられた容器18は、容器搬送装置16によって回転搬送されて出口スターホイール28に引き渡され、排出コンベヤ30上に排出されて次の工程に送られる。
【0016】
次に、前記移送ドラム10と、この移送ドラム10に保持されているラベル2Aに糊を塗布する糊塗布手段14の構成について説明する。移送ドラム10は、ベースプレート32上に回転自在に設置されている。ベースプレート32を上下に貫通して支持筒34が固定され、この支持筒34内に保持された上下のボールベアリング36、38を介して直立した回転軸40が回転自在に支持されている。この回転軸40の、前記支持筒34の上方に延びている上部の外周面に円筒部材42が嵌合している。この円筒部材42は、回転軸40の外面にキー等の連結手段によって連結されており、回転軸40と一体的に回転するとともに、相対的に上下動して高さを調節できるようになっている。さらに、この円筒部材42の外周に筒状のカバー44が固定されており、回転軸40および円筒部材42と一体的に回転する。
【0017】
前記円筒部材42の下端部とほぼ同じ高さに、図示しない支柱等を介して水平に固定された円形プレート46(以下、固定プレートと呼ぶ)が配置されている。前記円筒部材42の下端部外周と固定プレート46の内周面との間にボールベアリング48が配置されており、回転軸40とともに回転する円筒部材42の回転を支持するようになっている。固定プレート46の上面の外周部には、環状の摺動部材50が固定されている。固定プレート46とこの摺動部材50には、後に説明する固定側のバキューム通路が形成されている。
【0018】
回転軸40の上部外周に固定されている筒状カバー44の下端にフランジ44aが形成され、このフランジ44aの下面に円形の回転プレート52が固定されている。この回転プレート52は、回転する際には、前記環状の摺動部材50の上面を摺動する。回転プレート52の外周部上に、ラベル2Aを保持して回転移送する移送ドラム10が取り付けられており、回転軸40の回転によって回転プレート52が回転すると、移送ドラム10がこの回転プレート52と一体的に回転する。回転軸40は、ベースプレート32の下方で図示しない回転手段に連結されて回転駆動される。
【0019】
この移送ドラム10は、環状の底面10aとこの底面10aの外周部上に立ち上げられた円筒状の壁面(円筒部)10bとを有している。移送ドラム10の円筒部10bの外面に、複数のラベル保持部12が形成されている。この実施例では円筒部10bの外周面に円周方向等間隔で4箇所のラベル保持部12が形成されている。各ラベル保持部12は、ラベル2Aの搬送方向の前後2箇所を吸着保持するようになっており、それぞれ2箇所の突出部12a、12bを有している。図3の移送ドラム10の左側に示した突出部12aが、一枚のラベル2Aを吸着保持する一つの保持部12の、ドラム10の回転方向前方側の突出部であり、同図の右側に示した突出部12bが、保持部12の、ドラム回転方向後方側の突出部である。なお、この図3では、一つのラベル保持部12の後方側の突出部12bと、その回転方向後方側に位置している別のラベル保持部12の前方側の突出部12aを示している。
【0020】
ラベル保持部12の前方側突出部12aは、上方から見た形状がほぼ台形をしている。つまり、移送ドラム10の外周面から突出している部分の、底面側(移送ドラム10の外周面側)よりも上面側の長さが短く、これら底面と上面とをつなぐ両側面が傾斜面になっている。また、上面は底面の円弧(移送ドラム10の外周面と一致している)と同芯の円弧状をしている。一方、後方側の突出部12bは、上面が底面よりも短く、回転方向前方側の側面が傾斜しているが、後方側の側面はほぼ直線状になっている。この突出部12bの底面と上面も前記前方側の突出部12aと同様の円弧状をしている。これら前後の突出部12a、12bは、それぞれゴム等の弾性体からできており、上面側から加圧すると凹むようになっている。
【0021】
前記固定プレート46の上面の、摺動部材50が固定されている部分に、円弧状の溝46aが形成され、下面側に連結された配管54を介してバキュームが導入されるようになっている。固定プレート46上に、前記円弧状溝46aを覆う状態で固定されている環状の摺動部材50には、上下に貫通する孔50aが、前記固定プレート46の円弧状溝46aとオーバーラップする範囲に多数形成されている。これら円弧状溝46aと貫通孔50aは、移送ドラム10が受け渡しドラム8からラベル2Aを受け取る受け渡し位置A(図1参照)のやや上流側の位置から、保持部12が保持しているラベル2Aを容器18に貼り付ける貼り付け位置Bまでの間に渡って形成されている。
【0022】
一方、前記ラベル保持部12の前後の突出部12a、12bには、外面に開口する複数(この実施例では各突出部12a、12bに縦3個、横2個の6個)の吸引口12cが形成されている。これら吸引口12cは、移送ドラム10の円筒部10b内に形成された縦方向通路10c、底部10a内に形成された半径方向通路10dおよびこの通路10dに接続された回転プレート52内の通路52a等を介して、回転プレート52の下面に開口するバキューム導入口52bに接続されている。前方側突出部12aの前方側の吸引口12cは、図3に示すように、上面と前方側傾斜面とに跨って形成されている。回転軸40の回転に伴って移送ドラム10が回転すると、各ラベル保持部12の吸引口12cに連通する回転プレート52のバキューム導入口52bが、固定側の摺動部材50に形成されている貫通孔50aとオーバーラップしている部分では、吸引口12cにバキュームが作用してラベル2Aを吸着することができる。また、バキューム導入口52bが回転移動して、ラベル貼り付け位置Bに達すると、摺動部材50の貫通孔50aおよび固定プレート46の円弧状溝46aから外れてバキュームが遮断され、保持していたラベル2Aを離すようになっている。なお、この実施例では、ラベル保持部12の吸引口12cのバキュームが遮断された直後に、この吸引口12cから短時間エアを吹き出すようにして、ラベル2Aを確実に容器18に引き渡すようにしている。
【0023】
移送ドラム10の円筒部10bの外方側に、この移送ドラム10と向かい合うように糊塗布手段14が設けられている。この糊塗布手段14は、前記受け渡しドラム8から移送ドラム10へのラベル受け渡し位置Aの下流側で、かつ、移送ドラム10のラベル保持部12から容器18にラベル2Aを貼り付けるラベル貼り付け位置Bの上流側に配置されている。この糊塗布手段14は、取付台56上にエアシリンダ58を介して取り付けられており、このエアシリンダ58の作動によって、移送ドラム10の方向に向けて進退動できるようになっている。糊塗布手段14は、移送ドラム10と向かい合う側に、糊(ホットメルト)を吐出する吐出口60aが形成されたホットメルトコーティングヘッド60を備えている(図4参照)。このホットメルトコーティングヘッド60は、ラベル2Aの幅(移送ドラム10の保持部12に保持されているときの上下の長さ)よりも僅かに短い縦長の吐出口60aを有している。この吐出口60aは、ホットメルトコーティングヘッド60の内部の通路60b(図3参照)を介して、糊塗布手段14の本体部内に設けられた糊貯留部14aに接続されている。さらにこの糊貯留部14aは、制御装置62によって制御される糊供給手段64(図示はしないが糊の貯留タンクとポンプから構成されている)に接続されている(図2参照)。なお、この実施例では、糊の吐出口60aが縦長の一本の開口から構成されているが、吐出口60aの形状はこのように限定されるものではなく、多数の小さい開口を等間隔で配置し、あるいは、糊を塗布する必要のある部分だけに開口を形成する等、適宜選択することができる。ラベル2Aが変更になり、塗布する糊の縦方向の長さや糊を塗布する位置が変更になった場合には、対応する形状の吐出口60aを備えたホットメルトコーティングヘッド60に交換する。
【0024】
ホットメルトコーティングヘッド60は、図3および図4に示すように、移送ドラム10側に最も接近している部分が幅の狭い平坦面60cになっており、この先端側平坦面60cに前記縦長の吐出口60aが形成されている。吐出口60aが形成された平坦面60cの回転方向前側にあたる一方の側部60d(移送ドラム10の保持部12に保持されているラベル2Aが接近してくる側の側部)が、平坦面60cに連続する円弧状の面になっている。また、回転方向後側にあたる他方の側部は、移送ドラム10の外面から遠ざかる方向に後退した2つの傾斜面60e、60fから形成されている。特に、吐出口60aから続く傾斜面60eの傾斜角度を急にしてこの部分に糊が付着しないようにしている。ホットメルトコーティングヘッド60の円弧状の側部60dは、図3に示すように、平坦面60cとの接続部付近はラベル2Aに接触可能であるが、逆の側部60e、60fは、ラベル2Aには全く接触しないようになっている。
【0025】
糊塗布手段14の上下端に、移送ドラム10に設けられた円筒部10bの外周面の上下に当接する一対のローラ66A、66Bが設けられている。移送ドラム10の円筒部10bの外周面には、縦方向の中央部に前記弾性体からなるラベル保持部12が設けられており、前記一対のローラ66A、66Bは、移送ドラム10のラベル保持部12が設けられた位置の上下に当接する。これらローラ66A、66Bによって、移送ドラム10の外周面に対して糊塗布手段14の位置決めを行うことにより、前記ラベル保持部12に保持されているラベル2Aと、糊塗布手段14の吐出口60a(実際には吐出口60aが形成された平坦面60c)とが縦方向の全長に渡って確実に接触するように平行出しを行う。なお、糊塗布手段14を移送ドラム10の外周面に当接させた際の前後の位置ずれはエアシリンダ58によって吸収される。また、この実施例ではローラ66A、66Bによって糊塗布手段14の位置決めを行うようにしているが、このローラ66A、66Bを省略することもできる。
【0026】
以上の構成に係るラベラの作動について説明する。ラベルスタンド(図示せず)に保持されたロールラベルから繰り出された長尺のラベル2は、複数のローラ4を介して一対の回転体6A、6Bを備えたカッタ6に送られて、容器18のサイズに応じた所定の長さに切断される。切断されたラベル2Aは受け渡しドラム8を介して移送ドラム10に引き渡される。移送ドラム10には、回転方向の前後に設けられた一対の突出部12a、12bからなるラベル保持部12が等間隔で4箇所設けられており、前記切断されたラベル2Aの先端側が、回転方向前方側の突出部12a上に載った状態で吸引口12cに作用するバキュームによって吸着され、一方、ラベル2Aの後端側は、回転方向後方側の突出部12b上に載った状態で吸引口12cに作用するバキュームによって吸着される。保持部12の前後の突出部12a、12bに吸着されたラベル2Aの先端部と後端部以外の中間部分は、移送ドラム10の円筒部10bの外周面に密着した状態で保持される。
【0027】
糊塗布手段14は、このラベラを運転していないときには、エアシリンダ58によって後退させてホットメルトコーティングヘッド60の吐出口60aが移送ドラム10側に接触しないようにしておく。そして、運転時には、この糊塗布手段14を移送ドラム10側に前進させて、ホットメルトコーティングヘッド60の吐出口60aが形成されている平坦面60cが、保持部12の突出部12A、12Bに保持されたラベル2Aに接触するようにしておく。このときには、糊塗布手段14に設けられている上下のローラ66A、66Bが、移送ドラム10の円筒部10bの、ラベル保持部12が設けられていない上下端に当接して、保持部12に保持されているラベル2Aとホットメルトコーティングヘッド60の平坦面60cとが平行な状態を維持して、上端から下端まで完全に接触させるようにしている。
【0028】
移送ドラム10の保持部12に保持されたラベル2Aが、回転移動して糊塗布手段14の前面に到達すると、ラベル2Aの、保持部12の前方側突出部12aの上面上に吸着保持されている部分の最先端部が僅かに回転方向前方側の傾斜面にかかっているので、回転してきた移送ドラム10の突出部12A上のラベル2Aとホットメルトコーティングヘッド60の平坦面60cとが干渉することなくスムーズに接触を開始する。
【0029】
前記ヘッド60の平坦面60cがラベル2Aに接触を開始すると、制御装置62からの信号により糊供給手段64から糊塗布手段14へ糊が供給され、ホットメルトコーティングヘッド60の吐出口60aから吐出されてラベル2Aに塗布される。塗布を開始するタイミングは、移送ドラム10の位置信号(エンコーダのパルス信号)によって決められるようになっており、ラベル2Aの先端部を保持している前方側保持部12Aが所定の位置に到達したことが検出されると、糊の吐出を開始し、その後、タイマーによって計測し、所定時間経過後糊の吐出を停止する。ラベル2Aに塗布する幅が大きい場合にはそれに応じて長い時間糊を吐出する。この実施例では、必要とする塗布幅(回転方向の幅)に塗布するだけの時間の糊を吐出せず、その時間よりも僅かに短い時間だけ吐出して停止する。必要とする塗布幅の残りの部分は、吐出口60aに残留している糊をラベル2Aによって拭き取るようにして塗布が行われる。このようにホットメルトコーティングヘッド60の吐出口60aから糊を吐出する際には、吐出口60aと保持部12に保持されているラベル2Aとが当接している、つまり、吐出口60aがラベル2Aによって塞がれた状態になっているが、糊を噴射する際の圧力により弾性体から構成されている保持部12が後退して、吐出口60aとラベル2Aとの間に隙間が生じてそこから糊があふれ出すようになっている。
【0030】
ラベル保持部12に保持されているラベル2Aの回転方向前方側に所定の幅の糊を塗布した後、ラベル2Aの中間部の、移送ドラム10の外周面に支持されている部分が糊塗布手段14の前面を通過するが、この部分は前記突出部12Aよりも半径方向内方に後退しているので、ホットメルトコーティングヘッド60には接触しない。その後、ラベル2Aの、後方側突出部12bに保持されている部分が、ホットメルトコーティングヘッド60の位置に到達すると、再度、ラベル2Aとホットメルトコーティングヘッド60とが接触し、前記ラベル2Aの先端部分と同様にしてラベル2Aの後端部分に糊が塗布される。なお、保持部12の各突出部12a、12bの幅は、ラベル2Aに塗布される糊の幅よりも大きくなっており、ラベル2Aに対し必要な幅の糊の塗布が終了した後も、吐出口60aは保持部12に保持されているラベル2Aと当接して吐出口60aに残留している糊を掻き取る作用を行わせる。
【0031】
一方、前記ラベル2Aが接着される容器18は、供給コンベヤ20によって搬送され、インフィードスクリュー22で所定間隔に切り離されて入口スターホイール24に引き渡される。入口スターホイール24は、受け取った容器18を回転搬送して容器搬送装置16に引き渡す。容器搬送装置16は、この容器18をラベル貼り付け位置Bへ回転搬送する。このように容器搬送装置16に供給されてラベル2Aが貼り付けられる容器18は、図示しないセンサによって検出されており、容器18が検出されると、この容器18に対応するラベル2Aが供給される。この実施例では、容器18が検出されると、この容器18に貼り付けられるラベル2Aがカッタ6によって切断されて移送ドラム10に受け渡され、糊が塗布されるようになっている。また、容器18が検出されなかった場合には、移送ドラム10へのラベル2Aの供給を中止する。さらに、このラベル2Aを保持するはずであった保持部12が糊塗布手段14の位置に到達する前に、ホットメルトコーティングヘッド60を後退させて、ラベル2Aを保持していない保持部12に糊が付着しないようにする。
【0032】
容器搬送手段16によって搬送されてきた容器18は、ラベル貼り付け位置Bに到達すると、ラベル保持部12に保持されているラベル2Aが押し付けられて貼り付けられる。ラベル2Aが貼られた容器18は、容器搬送装置16の回転体26の回転によって回転搬送され、出口スターホイール28によって排出コンベヤ30上に排出される。この実施例に係るラベラでは、ラベル2Aに糊を塗布する際に、離れた位置から糊を噴射するのではなく、糊の吐出口60aを弾性体からなる保持部12に保持されているラベル2Aに接触させているので、糸引きを起こしたり、吐出終了後に吐出口から液だれを起こすことがない。しかも、必要な部分に均一に糊を塗布することができる。
【0033】
なお、前記実施例では、1箇所のホットメルトコーティングヘッド60で、ラベル2Aの前後2箇所に糊を塗布するようにしているが、ホットメルトコーティングヘッド60を2箇所に設置するようにしても良い。このような構成にすれば、ラベル2Aの前後に同時に糊を塗布することができるので、高速化が可能である。また、前後で糊付けパターンが異なる場合に有効である。但し、このような構成の場合、前方側突出部12aおよび後方側突出部12bもしくはホットメルトコーティングヘッド60を前後に進退動可能に設け、対応するホットメルトコーティングヘッド60のみに各突出部12a、12bを当接するようにし、対応しないホットメルトコーティングヘッド60の際には、当接しないようにする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ラベラの全体の構成を簡略化して示す平面図である。(実施例1)
【図2】前記ラベラに設けられた移送ドラムおよび糊塗布手段の縦断面図である。
【図3】移送ドラムおよび糊塗布手段の要部を拡大して示す平面図である。
【図4】ホットメルトコーティングヘッドの斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
2A ラベル
10 移送ドラム
12 保持部
14 糊塗布手段
18 容器
60a 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルを吸着保持する保持部が外周に設けられた移送ドラムと、この移送ドラムを回転させる回転手段と、糊を吐出する吐出口を有し、前記保持部に保持されているラベルに糊を塗布する糊塗布手段とを備え、ラベルの所定位置に糊を塗布して容器に装着するラベラにおいて、
前記保持部を移送ドラムの外周面よりも外方へ突出させた弾性体から構成し、前記糊塗布手段によってラベルに糊を塗布する際に、前記保持部によって保持されているラベルに前記吐出口を当接させた状態で糊を吐出するとともに、糊の吐出終了後も引き続き前記吐出口をラベルに当接させることを特徴とするラベラ。
【請求項2】
前記保持部を、少なくともラベルの移送方向の前後2箇所に設けたことを特徴とする請求項1に記載のラベラ。
【請求項3】
前記保持部の移送ドラムの回転方向における幅を、前記糊塗布手段によって糊を塗布する幅よりも大きくすることにより、糊を塗布した後吐出口に残存する糊を拭き取ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラベラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−202897(P2009−202897A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45993(P2008−45993)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(393028357)シブヤマシナリー株式会社 (77)
【Fターム(参考)】