説明

ランドパターンの設計の適否を試験する実装試験装置及びその実装試験方法

【課題】プリント配線板上に形成されるランドパターンの設計の適否を短時間で試験することができる実装試験装置およびその実装試験方法を提供する。
【解決手段】実装試験装置7は、所定の測定用パッド23が所定の端子ランド21に接続されるともに、所定の端子ランド21同士が相互に接続されてなるランドパターン20が形成された実装試験用プリント配線板1と、所定の接続端子11同士が短絡されてなる実装試験用模擬電子部品2と、所定の端子ランド21,21間に接続される通電検知手段3と、測定用パッド23と接続される電力供給手段75とを備えている。実装試験用プリント配線板1に実装試験用模擬電子部品1が実装された際、端子ランド21と接続端子11とにより測定用パッド23の一方を起点、他方を終点とする直列回路が構成され、通電検知手段3に流れる電流の状態によって、ランドパターン20の設計の適否が判断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板上に形成されるランドパターンの設計の適否を試験するための実装試験装置およびその実装試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板において、IC(Integrated Circuit)など複数の接続端子を有する電子部品を実装するためのランドパターンは、IC本体の形状、接続端子の配列又はその先端形状に応じて設計される。具体的には、ランドパターンを構成する端子ランドは、IC本体の形状及び接続端子の配列に対応させて配置されるとともに、端子ランドの形状は、この端子ランドに当接する接続端子の先端形状に基づいて、その接続端子の先端形状よりも若干大きめに設計される。
【0003】
ところが、IC本体の形状、接続端子の配列およびその先端形状に応じた設計ルールに従って端子ランドを設計しても、実際の使用において信頼性に欠けるパターンができあがってしまう場合がある。例えば、ICの接続端子の大きさに対して端子ランドの大きさが十分ではない場合、他の部品を実装してプリント配線板に衝撃が与えられた場合或いはプリント配線板が変形した場合に、接続端子と端子ランドとのはんだ接合強度不足が生じることがあり、このような事態が生じると接続端子が端子ランドから剥離してしまうことがあった。
【0004】
このため、ランドパターン設計後に、設計したランドパターンをプリント配線板に形成し、このランドパターンにICを実装し、さらに、ICを実装したプリント配線板に荷重を加えて変形させることにより、接続端子と端子ランドとの間に剥離が生じるか否かの試験を行い、設計したランドパターンが信頼性試験に耐え得るものであるか否かを評価し、そのランドパターンの設計の適否を判断している。そして、剥離が生じた場合は、その箇所の端子ランドのサイズを大きくするなどの修正を行って、より信頼性の高いランドパターンとしている。
【0005】
プリント配線板のランドパターンに剥離が生じたか否かを検査する方法として、接続端子と端子ランドの接合部における剥離の有無を目視によって検査する方法がある。この方法は、設計したランドパターンが形成されたプリント配線板にICを実装し、荷重を加えて変形試験を行った後、接合部を顕微鏡などで拡大して接続端子と端子ランドとの間に剥離が生じているか否かを目視で検査するものである。
【0006】
また、別の方法として、接続端子と端子ランドの接続状態を電気的に測定して、接続端子と端子ランドの接合部における剥離の有無を検査する方法も考えられる。例えば、特許文献1に記載された方法を応用することが考えられる。特許文献1に記載された方法は、電子部品の実装状態が適切であるか否かを検査するものであり、例えば、電子部品の配置方向、予定された電子部品が実装されているか否かなどを検査する方法であるが、この方法を接続端子と端子ランドの接続状態の検査に応用することができる。以下に、特許文献1に記載された方法を、接続端子と端子ランドの接合部における剥離の有無の検査に応用した例を説明する。
【0007】
図6は、従来の方法を適用してランドパターンを検査する方法を説明した説明図である。
【0008】
この方法では、プリント配線板101に実装するIC102において、特定の一対の接続端子111,111を予めIC本体内部で接続線112により短絡しておく。そして、このIC102をプリント配線板101に実装した際、短絡した一対の接続端子111,111と接続した一対の端子ランド121,121間の通電状態をテスター105などにより検査する。
【0009】
接続端子111と端子ランド121との間に剥離が生じていないときは、一対の端子ランド121,121は一対の接続端子111,111を介して相互に接続されていることから、テスター105によりショート状態が検知され、他方、接続端子111と端子ランド121との間に剥離が生じているときは、オープン状態が検知される。
【0010】
したがって、このような方法によって、接続端子111と端子ランド121との間に剥離が生じているか否かを検査することができる。
【特許文献1】特開平2−147869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、目視による方法は、SOP(Small Outline Package)パッケージやQFP(Quad Flat Package)パッケージのように、プリント配線板に実装したときに接続端子と端子ランドの接合部が基板の表面に現れて、その接合部を目視できるものには適用可能であるが、BGA(Ball Grid Array)パッケージやQFN(Quad Flat Non−Leaded Package)のように接続端子がIC本体の下に隠れてしまうものについては適用することが困難である。
【0012】
また、接続端子と端子ランドとの剥離は目で確認しにくいものであるため、複数の接続端子を1つずつ凝視して検査する必要があり、検査時間がかかってしまうという問題もあった。その結果、ランドパターンの設計の適否を短時間で判定することができなかった。
【0013】
また、特許文献1に示されたような方法では、特定の一対の接続端子とこの接続端子に接合する一対の端子ランドとの剥離しか検査することができないという問題があった。仮に、他の全ての接続端子について、このような方法を適用したとしても、複数の接続端子を備えたICにおいては、テスターにより接続端子対ごとに通電状態の検査を繰り返す必要があり、時間がかかってしまうという問題があった。その結果、ランドパターンの設計の適否を短時間で判定することができなかった。
【0014】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、プリント配線板上に形成されるランドパターンの設計の適否を短時間で試験することができる実装試験装置およびその実装試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る実装試験装置は、実装予定の電子部品に対応してプリント配線板上に形成されるランドパターンの設計の適否を試験するための実装試験装置であって、少なくとも2つの測定用パッドと設計に従ったランドパターンとが形成され、このランドパターンを構成する端子ランドが、前記測定用パッドのそれぞれと1対1で接続される端子ランドからなるパッド接続グループと、このパッド接続グループ以外の端子ランドを2個1組として各組毎に相互に接続してなる1つ又は複数のペア接続グループとに分けられてなる実装試験用プリント配線板と、実装予定の電子部品を模した接続端子を備えるとともに、これら接続端子のうち、前記端子ランドにおいて相互に接続されていない隣接する前記端子ランドに対応する接続端子同士が短絡されてなる実装試験用模擬電子部品と、前記端子ランドにおいて相互に接続されていない隣接する前記端子ランド間に接続される通電検知手段と、前記実装試験用プリント配線板の前記測定用パッドと接続される電力供給手段とを備え、前記実装試験用プリント配線板に前記実装試験用模擬電子部品が実装された際、前記実装試験用プリント配線板の前記端子ランドと前記実装試験用模擬電子部品の前記接続端子とにより前記測定用パッドの一方を起点、他方を終点とする1つ又は複数の直列回路が構成されるとともに、前記通電検知手段に流れる電流の状態によって前記ランドパターンの設計の適否が判断されることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、実装試験用プリント配線板に実装試験用模擬電子部品が実装された際、実装試験用プリント配線板の端子ランドと実装試験用模擬電子部品の接続端子とにより測定用パッドの一方を起点、他方を終点とする1つ又は複数の直列回路が構成され、この直列回路に電流が流される一方、端子ランドにおいて相互に接続されていない隣接する端子ランド間に通電検知手段が接続されて端子ランド間の通電状態が検知されることから、複数箇所を略同時に接続端子と端子ランドとの接続状態について剥離や接続不良が生じているか否かを検知することができ、この結果、短時間でランドパターンの設計の適否を判断することができる。
【0017】
また、通電検知手段により接続端子と端子ランドとの接続状態を検知することから、電子部品のパッケージ構造により接続端子と端子ランドの接合部を目視することができないものであっても、接続端子と端子ランドとの接続状態を把握することができる。
【0018】
また、本発明に係る実装試験装置では、前記通電検知手段には、通電状態の変化を検知したときに発光する発光装置が備えられていることを特徴としてもよい。
【0019】
この構成により、通電検知手段により通電状態の変化が検知されたとき、その通電検知手段が発光するので、通電状態が変化した箇所を目視により特定することができ、剥離や接続不良の発生箇所を瞬時に把握することができる。したがって、試験作業者はランドパターンの設計の適否について簡単に判断することができる。
【0020】
本発明に係る実装試験方法は、実装予定の電子部品に対応してプリント配線板上に形成されるランドパターンの設計の適否を試験するための実装試験方法であって、少なくとも2つの測定用パッドと設計に従ったランドパターンとが形成され、このランドパターンを構成する端子ランドが、前記測定用パッドのそれぞれと1対1で接続される端子ランドからなるパッド接続グループと、このパッド接続グループ以外の端子ランドを2個1組として各組毎に相互に接続してなる1つ又は複数のペア接続グループとに分けられてなる実装試験用プリント配線板を形成する一方、実装予定の電子部品を模した接続端子を備えるとともに、これら接続端子のうち、前記端子ランドにおいて相互に接続されていない隣接する前記端子ランドに対応する接続端子同士が短絡されてなる実装試験用模擬電子部品を形成し、この実装試験用模擬電子部品を前記実装試験用プリント配線板に実装することにより前記実装試験用プリント配線板の前記端子ランドと前記実装試験用模擬電子部品の前記接続端子とにより前記測定用パッドの一方を起点、他方を終点とする1つ又は複数の直列回路を構成するとともに、通電状態を検知する前記通電検知手段を、前記端子ランドにおいて相互に接続されていない隣接する前記端子ランド間に接続した状態で、電力供給手段より前記測定用パッドを介して前記直列回路に電力を供給し、前記通電検知手段に流れる電流の状態によって前記ランドパターンの設計の適否を判断することを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、実装試験用プリント配線板に実装試験用模擬電子部品を実装し、実装試験用プリント配線板の端子ランドと実装試験用模擬電子部品の接続端子とを接続させることにより、測定用パッドの一方が起点、他方が終点とする1つ又は複数の直列回路を構成するとともに、この直列回路に電流を流す一方、端子ランドにおいて相互に接続されていない隣接する端子ランド間に通電検知手段を接続して端子ランド間の通電状態を検知することから、複数箇所を略同時に接続端子と端子ランドとの接続状態について剥離や接続不良が生じているか否かを検知することができ、この結果、短時間でランドパターンの設計の適否を判断することができる。
【0022】
また、通電検知手段により接続端子と端子ランドとの接続状態を検知することから、電子部品のパッケージ構造により接続端子と端子ランドの接合部を目視することができないものであっても、接続端子と端子ランドとの接続状態を把握することができる。
【0023】
また、本発明に係る実装試験方法では、前記実装試験用プリント配線板に曲げ応力を負荷した状態で行うことを特徴としてもよい。
【0024】
この構成により、実装試験用プリント配線板に曲げ応力を負荷した状態で、接続端子と端子ランドに生じる剥離や接続不良を検知することから、剥離や接続不良が生じる曲げ応力値を取得することができるので、設計したランドパターンの設計の適否を数値に基づいて判断することができる。さらに、実装試験用プリント配線板を曲げ応力を加えて変形させることから、実装試験用プリント配線板を変形させない状態では見つけ出すことができなかった剥離や接続不良を、容易に検知することができる。
【0025】
また、本発明に係る実装試験方法では、前記通電検知手段として通電状態の変化を検知したときに発光する発光装置を用いることを特徴としてもよい。
【0026】
この構成により、通電検知手段により通電状態の変化が検知されたとき、その通電検知手段が発光するので、通電状態が変化した箇所を目視により特定することができ、剥離や接続不良の発生箇所を瞬時に把握することができる。したがって、試験作業者はランドパターンの設計の適否について簡単に判断することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る実装試験装置によれば、実装試験用プリント配線板に実装試験用模擬電子部品が実装された際、実装試験用プリント配線板の端子ランドと実装試験用模擬電子部品の接続端子とにより測定用パッドの一方を起点、他方を終点とする1つ又は複数の直列回路が構成され、この直列回路に電流が流される一方、端子ランドにおいて相互に接続されていない隣接する端子ランド間に通電検知手段が接続されて端子ランド間の通電状態が検知されることから、複数箇所を略同時に接続端子と端子ランドとの接続状態について剥離や接続不良が生じているか否かを検知することができ、この結果、短時間でランドパターンの設計の適否を判断することができる。
【0028】
また、通電検知手段により接続端子と端子ランドとの接続状態を検知することから、電子部品のパッケージ構造により接続端子と端子ランドの接合部を目視することができないものであっても、接続端子と端子ランドとの接続状態を把握することができる。
【0029】
また、本発明に係る実装試験装置によれば、通電検知手段には、通電状態の変化を検知したときに発光する発光装置が備えられていることから、通電状態が変化した箇所を目視により特定することができ、剥離や接続不良の発生箇所を瞬時に把握することができる。したがって、試験作業者はランドパターンの設計の適否について簡単に判断することができる。
【0030】
本発明に係る実装試験方法によれば、実装試験用プリント配線板に実装試験用模擬電子部品を実装して、実装試験用プリント配線板の端子ランドと実装試験用模擬電子部品の接続端子とを接続させることにより、測定用パッドの一方が起点、他方が終点とする1つ又は複数の直列回路を構成するとともに、この直列回路に電流を流す一方、端子ランドにおいて相互に接続されていない隣接する端子ランド間に通電検知手段を接続して端子ランド間の通電状態を検知することから、複数箇所を略同時に接続端子と端子ランドとの接続状態について剥離や接続不良が生じているか否かを検知することができ、この結果、短時間でランドパターンの設計の適否を判断することができる。
【0031】
また、通電検知手段により接続端子と端子ランドとの接続状態を検知することから、電子部品のパッケージ構造により接続端子と端子ランドの接合部を目視することができないものであっても、接続端子と端子ランドとの接続状態を把握することができる。
【0032】
また、本発明に係る実装試験方法によれば、実装試験用プリント配線板に曲げ応力を負荷した状態で、接続端子と端子ランドに生じる剥離や接続不良を検知することから、剥離や接続不良が生じる曲げ応力値を取得することができるので、設計したランドパターンの設計の適否を数値に基づいて判断することができる。さらに、実装試験用プリント配線板を曲げ応力を加えて変形させることから、実装試験用プリント配線板を変形させない状態では見つけ出すことができなかった剥離や接続不良を、容易に検知することができる。
【0033】
また、本発明に係る実装試験方法によれば、通電検知手段として通電状態の変化を検知したときに発光する発光装置を用いていることから、通電状態が変化した箇所を目視により特定することができ、剥離や接続不良の発生箇所を瞬時に把握することができる。したがって、試験作業者はランドパターンの設計の適否について簡単に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
<実施の形態1>
本実施の形態では、12本の接続端子を有するQFPパッケージのICを実装するためのランドパターンについてその設計の適否を試験するための実装試験装置について説明する。
【0036】
図1は、ランドパターンの設計の適否を試験するための実装試験装置の概略図である。
【0037】
ランドパターン20の設計の適否を試験するための実装試験装置7は、実装予定の電子部品に対応したランドパターン20が形成された実装試験用プリント配線板1と、試験において実装試験用プリント配線板1に実装される実装試験用模擬電子部品2と、実装試験用模擬電子部品2を実装試験用プリント配線板1に実装したときに形成される直列回路に電圧を加えるための電力供給手段75と、端子ランド21において相互に接続されていない隣接する端子ランド21,21間に接続される通電検知手段3とから構成されている。また、実装試験装置7には、実装試験用プリント配線板1を固定するためのステージ70が備えられている。
【0038】
図2は、実施の形態1に係る実装試験装置を構成する実装試験用プリント配線板の正面図である。
【0039】
実装試験用プリント配線板1は、実装予定の電子部品に対応してプリント配線板上に形成されるランドパターン20の設計の適否を試験するために、実装試験用に形成されるものである。
【0040】
具体的には、実装試験用プリント配線板1には、2つの測定用パッド23,23と、設計に従ったランドパターン20とが形成されている。2つの測定用パッド23,23のそれぞれは1対1に端子ランド21,21に接続されている。測定用パッド23に接続された端子ランド21は他の端子ランド21と接続されず独立したものとされ、これらの端子ランド21はパッド接続グループとして構成される。他方、このパッド接続グループ以外の端子ランド21は2個1組として各組毎に接続パターン22により相互に接続されている。これら2個1組として接続された端子ランド21はペア接続グループとして構成される。
【0041】
つまり、ランドパターン20を構成する端子ランド21は、測定用パッド23のそれぞれと1対1で接続される端子ランド21からなるパッド接続グループと、このパッド接続グループ以外の端子ランド21を2個1組として各組毎に相互に接続してなるペア接続グループとに分けられることとなる。
【0042】
例えば、図2の符号を参照して、パッド接続部グループは、単独の端子ランド21(1)、(12)から構成され、パッド接続グループは、(2)(3)、(4)(5)、・・・、(10)(11)の各端子ランド21のペアから構成される。
【0043】
このように構成されたランドパターン20は、実装試験用プリント配線板1の所定の位置(例えば、実際に形成予定している位置)に形成される。また、実装試験用プリント配線板1の外形は、実際のプリント配線板と同様の外形に加工してもよい。このように、実際のプリント配線板に模して実装試験用プリント配線板1を形成することによって、ランドパターン20の設計の適否を試験する実装試験において、実際の実装や環境変化においてランドパターン20に加わる負荷状態を再現させることができるので、より適切にランドパターン20の設計の適否を評価することができる。
【0044】
なお、2個1組の端子ランド21,21同士の接続は、接続パターン22による接続に限らず、他の方法によって接続してもよい。例えば、半田や導電性接着剤などによって、2個1組の端子ランド21,21同士を互いに接続するようにしてもよい。
【0045】
図3は、実施の形態1に係る実装試験装置を構成する実装試験用模擬電子部品の正面透視図である。
【0046】
実装試験用模擬電子部品2は、ランドパターン20の設計の適否を試験するときに、実装試験用プリント配線板1に形成されたランドパターン20に実装するためのものである。
【0047】
具体的には、実装試験用模擬電子部品2は、実装予定の電子部品の接続端子配列を模した接続端子11を備えたものとして形成される。本実施の形態では、実装試験用模擬電子部品2は、実装予定であるICに模したQFPパッケージとされる。
【0048】
接続端子11は、端子ランド21において相互に接続されていない隣接する端子ランド21に対応する接続端子11,11同士が短絡されている。すなわち、隣接する端子ランド21において、接続パターン22により相互に接続されていない端子ランド21,21同士に当接する接続端子11,11同士が、接続線12により相互に短絡されており、2個1組として短絡された接続端子11,11はペア端子グループを構成している。
【0049】
図3の符号を参照して、接続端子11,11同士の接続について説明する。図3に示した実装試験用模擬電子部品2の接続端子11には、図2に示したランドパターン20の端子ランド21に対応する接続端子11に、その対応する端子ランド21と同一の符号を付している。接続端子11は、(1)と(2)、(3)と(4)、・・、(11)と(12)とがそれぞれ2個1組とされて短絡されている。つまり、隣接した端子ランド21において相互に接続されていない端子ランド21の組、例えば、図2を参照して(1)と(2)、(3)と(4)、・・、(11)と(12)に当接する接続端子11,11同士が短絡されている。
【0050】
接続端子11,11同士を接続する接続線12としては、後述する通電検知手段3(図3参照)にと同等の負荷抵抗よりも小さい抵抗を有するワイヤ、例えば金ワイヤなどが用いられている。
【0051】
なお、接続端子11,11同士の接続は、金ワイヤなどによらず、他の方法によって接続してもよい。例えば、半田付けによって接続端子11,11同士を短絡してもよい。
【0052】
このような実装試験用模擬電子部品2は、例えば、実装予定の電子部品と同様のリードフレーム10を用い、上記に示した所定の接続端子11,11同士を金ワイヤによりワイヤボンディングして短絡し、さらに、金ワイヤを封止樹脂13により封止して形成される。なお、図3では、ICチップを搭載するIC搭載部19にはICを搭載していないが、ICを搭載して、実装試験用模擬電子部品2を構成してもよい。
【0053】
このように実装試験用プリント配線板1のランドパターン20を、2つの端子ランド21,21をそれそれ測定用パッド23,23と1対1で接続するとともに、この2つの端子ランド21,21以外の端子ランド21を2個1組として各組毎に相互に接続して構成する一方、実装試験用模擬電子部品2を、端子ランド21において相互に接続されていない隣接する端子ランド21に対応する接続端子11同士が短絡されるように構成したことにより、実装試験用模擬電子部品2をランドパターン20に実装したときに、端子ランド21と接続端子11とにより測定用パッド23の一方を起点、他方を終点とする直列回路が構成される。
【0054】
そして、この直列回路は、接続端子11と端子ランド21とが接続して形成される複数の接合部を通過するように形成されることから、この直列回路の両末端に接続されている測定用パッド23,23に電圧を加えることによって、電流を全ての接合部を通過させることができる。
【0055】
電力供給手段75は、実装試験用プリント配線板1に実装試験用模擬電子部品2を実装して形成された直列回路に電流を流すためのものであり、例えば、電圧電源又は電流電源などにより構成される。なお、電圧電源又は電流電源には、実装試験用模擬電子部品2に過剰な電流が流れることを防止するために保護回路を設けられている。ランドパターン20の設計の適否の試験においては、電力供給手段75の端子が測定用パッド23に接続される。
【0056】
通電検知手段3は、端子ランド21において相互に接続されていない隣接する端子ランド21,21間に接続され、その端子ランド21,21間の通電状態を検知するものであり、そして、この端子ランド21,21間が不通となったときには、電流を通電検知手段3側に通過させることができるものである。
【0057】
すなわち、通電検知手段3は、所定の端子ランド21,21の間を、この端子ランド21,21に接続される2個1組の接続端子11,11を介して接続する接続線12に対して、並列になるように接続されるものであって、さらに、接続端子11と端子ランド21とが剥離するなどにより接続線12に電流が流れなくなるときには、この接続線12に並列に接続された通電検知手段3側に電流を通過させるとともに、電流を測定することによって通電検知手段3に接続された箇所が不通状態となったことを検知するものである。
【0058】
この構成により、通電検知手段3を接続した端子ランド21,21間の通電状態を検知することができるとともに、一部において接続端子11と端子ランド21とが剥離して直列回路が不通状態となったとしても、この不通箇所に接続している通電検知手段3に電流を通過させることができるので、直列回路への電流の供給を停止させず、他の箇所の接続端子11と端子ランド21との接合部に電流を通過させることができる。つまり、複数の端子ランド21,21間にそれぞれ通電検知手段3を接続することにより、同時に、複数の端子ランド21,21間においてその箇所の通電状態を検知することができる。
【0059】
具体的には、通電検知手段3は、端子ランド21,21間に接続したときに両端子ランド21,21間を短絡するように配置された負荷抵抗(上記したように接続線12より抵抗値が高いもの)と、この負荷抵抗に流れる電流を検出する電流検知装置とから構成されている。この構成により、通電検知手段3が接続した端子ランド21,21間において接続端子11と端子ランド21とが接続している場合には、負荷抵抗が接続線12よりも抵抗値が高いために電流が流れず、他方、この端子ランド21,21間において接続端子11と端子ランド21とが剥離して切断或いは接続不良となった場合には、一部又は全部の電流が負荷抵抗に流れるとともに、負荷抵抗に流れる電流が電流検知装置により検出され、端子ランド21,21間の通電不良が検知される。
【0060】
或いは、通電検知手段3は、端子ランド21,21間に接続したときに両端子ランド21,21間を短絡するように配置された負荷抵抗(上記したように接続線12より抵抗値が高いもの)と、この負荷抵抗の電圧の変化を検出する電圧検知装置とから構成してもよい。この構成により、通電検知手段3が接続した端子ランド21,21間において接続端子11と端子ランド21とが接続している場合には、負荷抵抗が接続線12よりも抵抗値が高いために電流が流れず、他方、この端子ランド21,21間において接続端子11と端子ランド21とが剥離して接続が切断或いは接続不良となった場合には、一部又は全部の電流が負荷抵抗に流れるとともに、負荷抵抗の電圧変化が電圧検知装置により検出され、端子ランド21,21間の通電不良が検知される。
【0061】
また、通電検知手段3には、負荷抵抗に流れる電流を検知したときに或いは負荷抵抗の電圧変化を検知したときに発光する発光装置を備えてもよい。この構成により、接続端子11と端子ランド21とが剥離したり接続不良となったりしたときに発光装置が発光するので、目視により剥離或いは接続不良の箇所を簡単に特定することができ、剥離や接続不良の発生箇所を瞬時に把握することができる。したがって、試験作業者はランドパターンの設計の適否について簡単に判断することができる。
【0062】
この通電検知手段3は、例えば、導線により所定の端子ランド21,21の間に接続される。導線は、実装試験用プリント配線板1に導体パターンとして予め形成しておくことが好ましい。これによって、端子ランド21と導体パターンとの接合をなくすことができるので、実装試験用プリント配線板1を変形させて試験を行う場合でも、導体パターンは端子ランド21から切断されないので、安定して試験を行うことができる。
【0063】
また、実装試験装置7には、実装試験用プリント配線板1を曲げ応力を負荷した状態で試験するために、実装試験用プリント配線板1に荷重を加えるための荷重装置を備えてもよい。
【0064】
図4は、荷重装置により実装試験用プリント配線板に荷重を加えた状態の説明図である。
【0065】
荷重装置60は、実装試験用プリント配線板1の下面をステージ70から離間させて支持する支持固定治具61と、実装試験用プリント配線板1に荷重を加える荷重器65により構成されている。
【0066】
実装試験用プリント配線板1に曲げ応力を負荷させるときは、同図に示すように、実装試験用プリント配線板1の両端を支持固定治具61,61により支持し、荷重器65により中心付近に図中に示す矢印の方向に荷重を加える。このときには、荷重器65の荷重値(曲げ応力値)が計測される。
【0067】
この構成により、実装試験用プリント配線板1に曲げ応力を負荷した状態で、接続端子11と端子ランド21に生じる剥離や接続不良を検知することができる。また、剥離や接続不良が生じる荷重値(曲げ応力値)を取得することができることから、設計したランドパターン20の設計の適否を数値に基づいて判断することができる。さらに、実装試験用プリント配線板1を曲げ応力を加えて変形させることから、実装試験用プリント配線板1を変形させない状態では見つけ出すことができなかった剥離や接続不良を、容易に検知することができる。
【0068】
次に、ランドパターン20の設計の適否を試験する実装試験装置7の動作について説明する。
【0069】
まず、実装試験用プリント配線板1のランドパターン20に実装試験用模擬電子部品2を実装し、接続端子11と端子ランド21とを半田により接続する。半田による接続は、例えば、リフロー工程によって行われる。これにより、接続端子11・・および端子ランド21・・が連結した直列回路が形成される。
【0070】
実装試験用プリント配線板1の各検査用パット23,23には、電力供給手段75の端子が接続される。通電検知手段3は、上記に示したように、端子ランド21において相互に接続されていない隣接する端子ランド21,21間に接続される。また、電力供給手段75は検査用パッド23,23に接続され、直列回路に電流が供給される。
【0071】
全ての接続端子11と端子ランド21との間に剥離や接続不良がない場合には、測定用パッド23,23の一方を起点、他方を終点とする直列回路に電流が流れる。従って、通電検知手段3には電流が流れず、通電検知手段3が接続された箇所の通電状態の異常が検知されないことから、このランドパターン20の設計の適否は良と判定される。
【0072】
他方、いずれかの接続端子11と端子ランド21との間で剥離や接続不良がある場合には、剥離や接続不良が生じている端子ランド21に接続されている通電検知手段3に電流が流れ、この箇所の通電状態の異常が検知されるので、このランドパターン20の設計の適否は不良と判定される。
【0073】
また、実装試験装置7に荷重装置60が備えられている場合は、実装試験用プリント配線板1を荷重装置60により荷重を加えて変形させ、変形させた状態で直列回路に電流し、接続端子11と端子ランド21との剥離や接続不良が存在するか否かの確認をしてもよい。この場合は、実装試験用プリント配線板1に荷重(曲げ応力負荷)を加えて試験を行うので、接続端子11と端子ランド21との間での剥離や接続不良が生じる荷重値を得ることができ、ランドパターン20の耐荷重特性を評価することができる。
【0074】
このようなランドパターン20の設計の適否を試験する実装試験装置7よれば、実装試験用プリント配線板1に実装試験用模擬電子部品2が実装された際、実装試験用プリント配線板1の端子ランド21と実装試験用模擬電子部品2の接続端子11とにより測定用パッド23の一方を起点、他方を終点とする1つ又は複数の直列回路が構成され、この直列回路に電流が流される一方、端子ランド21において相互に接続されていない隣接する端子ランド21,21間に通電検知手段3が接続されて端子ランド21,21間の通電状態が検知されることから、複数箇所を略同時に接続端子11と端子ランド21との接続状態について剥離や接続不良が生じているか否かを検知することができ、この結果、短時間でランドパターン20の設計の適否を判断することができる。
【0075】
また、通電検知手段3により接続端子11と端子ランド21との接続状態を検知することから、QFNパッケージの電子部品などパッケージ構造により接続端子11と端子ランド21の接合部を目視することができないものであっても、接続端子11と端子ランド21との接続状態を把握することができる。
【0076】
なお、本実施の形態では、偶数本の接続端子11を有するICを実装するランドパターン20について説明したが、奇数本の接続端子11を有するICを実装するランドパターン20についても本発明が適用される。
【0077】
この場合は、1つの端子ランド21とこれに対応する1つの接続端子11を除外することにより、端子ランド21と接続端子11とを偶数として本発明を適用する。除外した1つの端子ランド21とこれに対応する1つの接続端子11との接続状態は、その後、別個に検査を行う。
【0078】
また、本実施の形態では、QFPパッケージのICを実装するためのランドパターン20の設計の適否を試験するために、実装試験装置7は、QFPパッケージに基づいて形成された実装試験用プリント配線板1と実装試験用模擬電子部品2を構成要素としているが、他の電子部品を実装するためのランドパターン20の設計の適否を試験する場合には、この電子部品のパッケージに基づいて実装試験用プリント配線板1と実装試験用模擬電子部品2が形成され、実装試験装置7の構成要素とされる。
【0079】
<実施の形態2>
本実施の形態では、試験に係るランドパターン20において2つの直列回路が形成されるように実装試験用プリント配線板1と実装試験用模擬電子部品2を構成した例について説明する。
【0080】
図5は、ランドパターンの設計の適否を試験するための実装試験装置の概略図である。
【0081】
実装試験装置7は、実装予定の電子部品に対応したランドパターン20が形成された実装試験用プリント配線板1と、試験において実装試験用プリント配線板1に実装される実装試験用模擬電子部品2と、実装試験用模擬電子部品2を実装試験用プリント配線板1に実装したときに形成される直列回路に電圧を加えるための電力供給手段75と、端子ランド21において相互に接続されていない隣接する端子ランド21,21間に接続される通電検知手段3とから構成されている。なお、実装試験装置7には、実装試験用プリント配線板1を固定するためのステージ70を備えてもよい。
【0082】
実装試験用プリント配線板1は、実装予定の電子部品に対応してプリント配線板上に形成されるランドパターン20の設計の適否を試験するために、実装試験用に形成されるプリント配線板である。そして、本実施の形態では、ランドパターン20の設計の適否を試験する際に独立した2系統で検査ができるようにするため、ランドパターン20を構成する端子ランド21は2つのグループに区分されている。
【0083】
具体的には、実装試験用プリント配線板1には、4つの測定用パッド23と、設計に従ったランドパターン20とが形成されている。そして、ランドパターン20を構成する端子ランド21が2つのグループに区分されるとともに、2つの測定用パッド23が一方のグループに配属される一方、他の2つの測定用パッド23が他のグループに配属される。
【0084】
さらに、各グループにおいて、2つの測定用パッドと端子ランド21は、実施の形態1で示したような構成とされる。つまり、2つの測定用パッド23,23のそれぞれは1対1に端子ランド21,21に接続される。測定用パッド23に接続された端子ランド21は他の端子ランド21と接続されず独立したものとされ、これらの端子ランド21はパッド接続グループとして構成される。他方、このパッド接続グループ以外の端子ランド21は2個1組として各組毎に接続パターン22により相互に接続される。これら2個1組として接続された端子ランド21はペア接続グループとして構成される。
【0085】
実装試験用模擬電子部品2は、ランドパターン20の設計の適否を試験するときに、実装試験用プリント配線板1に形成されたランドパターン20に実装するためのものである。そして、本実施の形態では、ランドパターン20の設計の適否を試験する際に独立した2系統で検査ができるようにするため、接続端子11は2つのグループに区分される。
【0086】
具体的には、実装試験用模擬電子部品2は、実装予定の電子部品の接続端子配列を模した接続端子11を備えたものとして形成されるとともに、その接続端子11は、2つのグループに区分された端子ランド21に対応するように、2つのグループに区分される。
【0087】
また、各グループにおいて、接続端子11は、端子ランド21において相互に接続されていない隣接する端子ランド21に対応する接続端子11,11同士が短絡されている。すなわち、隣接する端子ランド21において接続パターン22により相互に接続していない端子ランド21,21同士に当接する接続端子11,11同士が、相互に接続線12により短絡され、2個1組として短絡された接続端子11,11はペア端子グループを構成している。
【0088】
このように実装試験用プリント配線板1のランドパターン20を、2つのグループに区分する一方、実装試験用模擬電子部品2を、ランドパターン20のグループ分けに対応して2つのグループに区分することにより、実装試験用模擬電子部品2をランドパターン20に実装したときに、実装試験用プリント配線板1の端子ランド21と実装試験用模擬電子部品2の接続端子11とにより測定用パッド23の一方を起点、他方を終点とする2つの直列回路が構成されることとなる。
【0089】
電力供給手段75は、実装試験用プリント配線板1に実装試験用模擬電子部品2を実装して形成された直列回路に電流を流すためのものであり、各グループの測定用パッド23,23に接続される。
【0090】
なお、一方のグループの1対の測定用パッド23,23と他のグループの1対の測定用パッド23,23とを共通としてもよい。この構成によれば、1対の測定用パッド23,23に電力供給手段75を接続することにより、2つの直列回路に電流を供給することができる。
【0091】
通電検知手段3は、各グループにおいて、相互に接続されていない隣接する端子ランド21,21間に接続され、その端子ランド21,21間の通電状態を検知するものであり、端子ランド21,21間が不通となるときには、電流を通電検知手段3側に通過させることができるものである。
【0092】
この構成により、通電検知手段3を接続した端子ランド21,21間の通電状態を検知することができるとともに、一部において接続端子11と端子ランド21とが剥離して直列回路が不通状態となったとしても、この不通箇所に接続している通電検知手段3に電流を通過させることができるので、直列回路への電流の供給を停止させず、他の箇所の接続端子11と端子ランド21との接合部に電流を通過させることができる。つまり、複数の端子ランド21,21間にそれぞれ通電検知手段3を接続することにより、同時に、複数の端子ランド21,21間においてその箇所の通電状態を検知することができる。
【0093】
このようなランドパターン20の設計の適否を試験する実装試験装置7よれば、実施の形態1に係る実装試験装置7の効果と同様、複数箇所を略同時に接続端子11と端子ランド21との接続状態について剥離や接続不良が生じているか否かを検知することができ、この結果、短時間でランドパターン20の設計の適否を判断することができる。
【0094】
また、ランドパターン20を独立した2つのグループに構成したことにより、ランドパターン20の設計の適否を試験する際に、独立した2系統により検査を行うことができる。従って、100個を超えるような多数の端子ランド21から構成されるランドパターン20の設計の適否を試験するような場合でも、2つのグループに区分することにより、直列回路を形成する構成要素(接続端子11及び端子ランド21)を少なくすることができるので、評価の対象である接続端子11と端子ランド21の接合部以外の部分での切断が生じて試験が中断されるという試験実行の不確実性を低減することができる。
【0095】
なお、本実施の形態では、試験に係るランドパターン20を2つのグループに区分した例を説明したが、2つに区分することに限定されず、さらに多数のグループに区分してもよい。
【0096】
<実施の形態3>
次に、ランドパターン20の設計の適否を試験する方法について、図1乃至4を参照して、説明する。
【0097】
ランドパターン20の設計の適否を試験する方法は、実施の形態1又は2で示した実装試験用プリント配線板1と実装試験用模擬電子部品2が用いられる。実装試験用プリント配線板1と実装試験用模擬電子部品2の構成は、実施の形態1又は2において示したものと同様であるので説明を省略する。
【0098】
ランドパターン20の設計の適否を試験する場合において、まず、実装試験用模擬電子部品2を実装試験用プリント配線板1のランドパターン20に実装し、接続端子11と端子ランド21とを半田により接続する。これによって、測定用パッド23の一方を起点、他方を終点とする直列回路が構成されることとなる。
【0099】
次に、実装試験用模擬電子部品2を実装した実装試験用プリント配線板1を荷重装置60などにより変形させて、接続端子11と端子ランド21との接続部に負荷を与える。これによって、設計したランドパターン20がその変形などに耐え得るものであるか否か試験される。
【0100】
次に、実施の形態1又は2と同様の構成の通電検知手段3を、相互に接続されていない隣接する端子ランド21,21間に接続する。
【0101】
次に、実施の形態1又は2で説明した電力供給手段75を、実装試験用プリント配線板1に形成された測定用パッド23,23に接続し、直列回路に電流を流す。そして、所定の端子ランド21,21間に接続した通電検知手段3により各箇所において通電状態の変化が検知されていないか確認を行い、ランドパターン20の設計の適否を判断する。
【0102】
また、荷重(曲げ応力負荷)を加えつつ実装試験用プリント配線板1の検査を行ってもよい。この場合には、接続端子11と端子ランド21との間で剥離が生じたときの荷重値を確認する。
【0103】
このようなランドパターン20の設計の適否を試験する実装試験方法よれば、実装試験用プリント配線板1に実装試験用模擬電子部品2を実装して、実装試験用プリント配線板1の端子ランド21と実装試験用模擬電子部品2の接続端子11とを接続させることにより、測定用パッド23の一方が起点、他方が終点とする1つ又は複数の直列回路を構成するとともに、この直列回路に電流を流す一方、端子ランド21において相互に接続されていない隣接する端子ランド21,21間に通電検知手段3を接続して端子ランド21,21間の通電状態を検知することから、複数箇所を略同時に接続端子11と端子ランド21との接続状態について剥離や接続不良が生じているか否かを検知することができ、この結果、短時間でランドパターン20の設計の適否を判断することができる。
【0104】
また、通電検知手段3により接続端子11と端子ランド21との接続状態を検知することから、電子部品のパッケージ構造により接続端子11と端子ランド21の接合部を目視することができないものであっても、接続端子11と端子ランド21との接続状態を把握することができる。
【0105】
さらに、実装試験用プリント配線板1を荷重装置60により荷重(曲げ応力負荷)を加えて試験を行う場合には、剥離や接続不良が生じる荷重値(曲げ応力値)を取得することができることから、設計したランドパターン20の設計の適否を数値に基づいて判断することができるので、ランドパターン20の耐荷重特性を評価することができる。また、実装試験用プリント配線板1を曲げ応力を加えて変形させることから、実装試験用プリント配線板1を変形させない状態では見つけ出すことができなかった剥離や接続不良を、容易に検知することができる。
【0106】
また、通電検知手段3として、通電状態の変化を検知したときに発光する発光装置が備えられたものを用いている場合には、通電状態が変化した箇所を目視により特定することができ、剥離や接続不良の発生箇所を瞬時に把握することができる。したがって、試験作業者はランドパターンの設計の適否について簡単に判断することができる。
【0107】
なお、実装試験用模擬電子部品2を実装した実装試験用プリント配線板1を荷重装置60などにより変形させないで、ランドパターン20の設計の適否の試験を行ってもよい。この場合は、設計したランドパターン20が、実装予定である電子部品を模した実装試験用模擬電子部品2の接続端子11と適合するような寸法に設計されているか否かについて試験されることとなる。つまり、設計したランドパターン20の寸法が実装予定の電子部品の接続端子11に対してズレがあり、実装試験用模擬電子部品2を実装試験用プリント配線板1に実装したときに端子ランド21と接続端子11との間に不接合が生じたときには、上記した試験方法により、その箇所が特定される。従って、このような試験方法によって、ランドパターン20の設計寸法の適否が判断される。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】ランドパターンの設計の適否を試験するための実装試験装置の概略図である。
【図2】実施の形態1に係る実装試験装置を構成する実装試験用プリント配線板の正面図である。
【図3】実施の形態1に係る実装試験装置を構成する実装試験用模擬電子部品の正面透視図である。
【図4】荷重装置により実装試験用プリント配線板に荷重を加えた状態の説明図である。
【図5】ランドパターンの設計の適否を試験するための実装試験装置の他の実施形態を示す概略図である。
【図6】従来の方法を適用してランドパターンを検査する方法を説明した説明図である。
【符号の説明】
【0109】
1 実装試験用プリント配線板
2 実装試験用模擬電子部品
3 通電検知手段
7 実装試験装置
11 接続端子
12 接続線
20 ランドパターン
21 端子ランド
22 接続パターン
23 測定用パッド
60 荷重装置
70 ステージ
75 電力供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装予定の電子部品に対応してプリント配線板上に形成されるランドパターンの設計の適否を試験するための実装試験装置であって、
少なくとも2つの測定用パッドと設計に従ったランドパターンとが形成され、このランドパターンを構成する端子ランドが、前記測定用パッドのそれぞれと1対1で接続される端子ランドからなるパッド接続グループと、このパッド接続グループ以外の端子ランドを2個1組として各組毎に相互に接続してなる1つ又は複数のペア接続グループとに分けられてなる実装試験用プリント配線板と、
実装予定の電子部品を模した接続端子を備えるとともに、これら接続端子のうち、前記端子ランドにおいて相互に接続されていない隣接する前記端子ランドに対応する接続端子同士が短絡されてなる実装試験用模擬電子部品と、
前記端子ランドにおいて相互に接続されていない隣接する前記端子ランド間に接続される通電検知手段と、
前記実装試験用プリント配線板の前記測定用パッドと接続される電力供給手段とを備え、
前記実装試験用プリント配線板に前記実装試験用模擬電子部品が実装された際、前記実装試験用プリント配線板の前記端子ランドと前記実装試験用模擬電子部品の前記接続端子とにより前記測定用パッドの一方を起点、他方を終点とする1つ又は複数の直列回路が構成されるとともに、前記通電検知手段に流れる電流の状態によって前記ランドパターンの設計の適否が判断されることを特徴とする実装試験装置。
【請求項2】
前記通電検知手段には、通電状態の変化を検知したときに発光する発光装置が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の実装試験装置。
【請求項3】
実装予定の電子部品に対応してプリント配線板上に形成されるランドパターンの設計の適否を試験するための実装試験方法であって、
少なくとも2つの測定用パッドと設計に従ったランドパターンとが形成され、このランドパターンを構成する端子ランドが、前記測定用パッドのそれぞれと1対1で接続される端子ランドからなるパッド接続グループと、このパッド接続グループ以外の端子ランドを2個1組として各組毎に相互に接続してなる1つ又は複数のペア接続グループとに分けられてなる実装試験用プリント配線板を形成する一方、
実装予定の電子部品を模した接続端子を備えるとともに、これら接続端子のうち、前記端子ランドにおいて相互に接続されていない隣接する前記端子ランドに対応する接続端子同士が短絡されてなる実装試験用模擬電子部品を形成し、
この実装試験用模擬電子部品を前記実装試験用プリント配線板に実装することにより前記実装試験用プリント配線板の前記端子ランドと前記実装試験用模擬電子部品の前記接続端子とにより前記測定用パッドの一方を起点、他方を終点とする1つ又は複数の直列回路を構成するとともに、通電状態を検知する前記通電検知手段を、前記端子ランドにおいて相互に接続されていない隣接する前記端子ランド間に接続した状態で、電力供給手段より前記測定用パッドを介して前記直列回路に電力を供給し、前記通電検知手段に流れる電流の状態によって前記ランドパターンの設計の適否を判断することを特徴とする実装試験方法。
【請求項4】
前記実装試験用プリント配線板に曲げ応力を負荷した状態で行うことを特徴とする請求項3に記載の実装試験方法。
【請求項5】
前記通電検知手段として通電状態の変化を検知したときに発光する発光装置を用いることを特徴とする請求項3又は4に記載の実装試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−60162(P2008−60162A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232569(P2006−232569)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】