説明

リソグラフィ装置およびデバイス製造方法

【課題】パターンを照明し、それを基板に投影するための改良型リソグラフィ装置を提供すること。
【解決手段】パターン形成した放射線のビームを提供するリソグラフィ装置であって、ビームを第一および第二放射線ビームに分割した後、第一放射線ビームは個々に制御可能なエレメントの第一アレイによって第一パターンを形成し、第二放射線ビームは個々に制御可能なエレメントの第二アレイによって第二パターンを形成し、第一放射ビームと第二放射ビームは結合される。また、第一放射ビームと第二放射ビームとはそれぞれ直交する方向に直線偏光される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリソグラフィ装置およびデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板の目標部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は例えば、集積回路(IC)、フラットパネル表示装置、および微細構造を伴う他のデバイスの製造において使用可能である。従来のリソグラフィ装置では、代替的にマスクまたはレチクルと呼ばれるパターニング手段は、IC(または他のデバイス)の個々の層に対応する回路パターンの生成に使用することができ、このパターンを、放射線感光原料(例えばレジスト)の層を有する基板(例えばシリコンウェハまたはガラス板)上の目標部分(例えば1つあるいは幾つかのダイの一部を有する)に描像することができる。マスクの代わりに、パターニング手段は、回路パターンを生成し、個々に制御可能なエレメントのアレイを有してよい。
【0003】
一般的に、1枚の基板は、順次照射される近接目標部分の全体ネットワークを含んでいる。既知のリソグラフィ装置は、全体マスクパターンを目標部分に1回の作動にて露光することによって各目標部分が照射される、いわゆるステッパと、所定の基準方向(「走査」方向)にマスクパターンを投影ビームで徐々に走査し、これと同時に基板テーブルをこの方向と平行に、あるいは反平行に走査することにより、各目標部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。
【0004】
基板上に生成されるパターンの異なる部分を異なる照明設定で照明することが知られている。例えば、細長く比較的薄い形体で構成されたパターンに望ましい照明は、いわゆる双極照明である。この配置構成で、照明放射線は瞳面に配置構成され、したがって放射線は、照明すべきパターンの細長い形体に平行である瞳面の線に沿った光軸から分離した瞳面の部分に限定される。
【0005】
しかし、照明すべきパターンは通常、第一方向に平行な細長い形体ばかりでなく、この方向に直角な細長い形体も含む。この状況で、通常はパターンを2つの露光部に分割する。つまり、(1)第一方向に平行な細長い形体を含み、適切に配向された双極照明を使用して照明されたサブパターンを照明する第一露光、および(2)このような形体に適した方向にした双極照明を使用して、直角に配向した細長い形体を照明する第二露光である。このような配置構成の欠点は、完全なパターンごとに2つの露光部が必要なことである。したがって、露光時間が2倍になり、装置のスループットが低下する。
【0006】
四極照明を使用して完全なパターンを照明する妥協的な解決法も使用されている。これは、瞳面での放射線を、それぞれが相互に直角である細長い形体のパターンを照明するように最適化された2つの双極露光の組み合わせとして配置構成する照明である。この配置構成は、装置のスループット損を回避するが、基板に投影される像の品質は、別個の双極照明露光で達成できるほど良好ではない。また、基板にパターンを描像する場合は、徐々に高くなるNA(開口数)を使用することが望ましい。こうすると、基板に描像されるパターンの品質をさらに改善できるからである。しかし、NAが増加するにつれ、基板に投影される放射線のグレージング角も増加する。その結果、NAが増加するにつれ、基板から反射する放射線の割合も増加する。反射した放射線は、装置の他の部分に影響するか、反射して基板に戻ると、基板上に生成されたパターンの品質を低下させることがある迷光放射線である。さらに、迷光放射線の割合が増加するにつれて、照明放射線の強度を上げるか、露光時間を延長する、あるいはその両方を実行する必要があり、それによって装置の費用が増加するか、装置のスループットが低下する、あるいはその両方である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、必要なのは、パターンを照明し、それを基板に投影するための改良型装置である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によると、放射線の投影ビームを供給する照明システムと、投影ビームを第一および第二放射線ビームに分割する放射線ビーム分割器と、第一ビームの断面に第一パターンを与える働きをする、個々に制御可能なエレメントの第一アレイと、第二ビームの断面に第二パターンを与える働きをする、個々に制御可能なエレメントの第二アレイと、基板を支持する基板テーブルと、結合したパターン形成ビームを基板の目標部分に投影する投影システムとを有するリソグラフィ装置が提供される。結合したパターン形成ビームのうち第一パターン形成ビームから得られる部分は、ほぼ直線偏光され、結合したパターン形成ビームのうち第二パターン形成ビームから得られる部分は、第一パターン形成ビームから得られた部分とはほぼ直交し、ほぼ直線偏光される。
【0009】
この実施形態では、基板に投影されるパターンは、個々に制御可能なエレメントを第一および第二アレイ上の2つのサブパターンのセットに分割することができ、これは基板に同時に描像される。特に、任意の方向に平行なパターンの細長い形体は、個々に制御可能なエレメントの第一アレイによって提供することができ、任意の方向に直角な細長い形体は、個々に制御可能なエレメントの第二アレイによって提供することができる。したがって、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイそれぞれに設定されるパターンに適切な照明設定を使用することができる。さらに、結合したパターン形成ビームの一部の直線偏光の方向を適切に選択し、結合したパターン形成ビームの一部が高いグレージング角で基板に入射した場合に、基板からの放射線の反射を減少させることができる。
【0010】
一例では、結合したパターン形成ビームのうち第一パターン形成ビームから得られる部分の直線偏光の方向は、放射線ビームの部分の電界が、結合し放射線ビームの一部が基板に投影する際に辿る線(基板に対して斜角である)と、基板に対して直角な線とによって画定された面に直角である面にあるように選択される。結合したパターン形成ビームのうち第二パターン形成ビームから得られた部分も、同様に配置構成することができる。その結果、基板に入射する点における放射線の電界は、基板の表面に平行である。したがって、基板からの放射線の反射が最小限に抑えられる。
【0011】
一例では、放射線ビーム分割器は偏光キューブである。放射線投影ビームのうち第一方向で直線偏光する照明システムによって供給される部分は、偏光キューブ内で個々に制御可能なエレメントの第一アレイへと反射し、投影ビームのうち第一方向に直交する第二方向に直線偏光される放射線は、偏光キューブを通して個々に制御可能なエレメントの第二アレイへと透過される。照明システムからの放射線は、非偏光ビーム分割器を使用して放射線の投影ビームを第一および第二ビームに分割する場合および/または第一および第二放射線ビームまたは第一および第二パターン形成放射線ビームをその後に直線偏光する場合に生じるような有意な損失なく、第一方向に直線偏光する部分と、第二方向に直線偏光する部分とに分割することができる。
【0012】
一例では、放射線ビーム分割器および放射線ビーム結合器は、1つの光学素子またはグループの構成要素である。その結果、個々に制御可能なエレメントの反射性アレイを使用する場合、これはテレセントリック系で照明してよい。さらに、必要な構成要素数が減少し、場合によっては装置の複雑さが低下する。
【0013】
一例では、ビーム/結合器と個々に制御可能なエレメントの関連するアレイとの間で放射線の第一および/または第二ビームのビーム路に、1/4波長プレートを配置することができる。これは、偏光キューブを通して放射線が適切に向けられるので、ビーム分割器/結合器が偏光キューブである場合に、特に有利である。
【0014】
この例では、放射線の投影ビームのうち、偏光キューブ内で初期反射するように適切に直線偏光される部分は、その後に(個々に制御可能なエレメントのアレイに入射する前および後に)1/4波長プレートを2回通過することによって回転し、その後、次に偏光キューブに入る時に、偏光キューブを透過する。同様に、放射線の投影ビームのうち、偏光キューブを初期透過するように適切に直線偏光される部分は、その後に関連する1/4波長プレートを二重に通過することによって回転し、したがって2回目に入る時に偏光キューブ内で反射する。したがって、個々に制御可能なエレメントの2つのアレイによってパターン形成される放射線ビームは、2回目は偏光キューブを一緒に出る。つまり結合されて1本のパターン形成ビームになり、放射線ソースの方向における放射線の反射が最少になる。
【0015】
一例では、装置をさらに複雑にせずに、2つのサブパターンの最適照明を保証することが望ましい。この例では、放射線の結合したパターン形成ビームの成分の極性を保持するように投影システムを配置構成する。さらに、投影システムは、結合したパターン形成ビームのうち第一および第二パターン形成ビームから得られた部分それぞれの色の誤差を別個に補正する。例えば、結合したパターン形成ビームのうち直交方向で直線偏光する部分を別個に補正する。
【0016】
一例では、瞳面の第一部分の放射線が任意の方向で直線偏光され、瞳面の第二部分の放射線が、第一部分に直交する方向で直線偏光されるように、照明システムを配置構成してよい。したがって、瞳面の一部分の放射線を使用して、個々に制御可能なエレメントの第一アレイを照明し、瞳面の第二部分のそれを使用して、個々に制御可能なエレメントの第二アレイを照明する。したがって、個々に制御可能なエレメントのアレイ上に設定された2つの異なるパターンの照明状態を、別個に設定することができる。特に、第一方向に直線偏光された放射線は、瞳面の2つの対向する象限に配置することができ、これは光軸から離れていることが望ましく、任意の方向に対して直角に直線偏光された放射線を残りの2つの象限に設けることができ、この場合も光軸から離れていることが望ましい。したがって、個々に制御可能なエレメントの各アレイは、双極照明を受ける。特定の方向に直線偏光される放射線によって照明されるのみだからである。さらに、第一アレイで受ける双極照明は、双極照明のために個々に制御可能なエレメントの第二アレイ上で適切に配向される形体とは異なる方向の細長いパターン形体に適切である。したがって、特定の方向に平行な細長い形体を含むパターンの部分について、照明を最適化することができる。
【0017】
本発明の別の実施形態では、放射線の投影ビームを供給する照明システムと、投影ビームの断面にパターンを与えるパターニングデバイスと、基板を支持する基板テーブルと、パターン形成したビームを基板の目標部分に投影する投影システムとを有するリソグラフィ装置が提供される。投影システムは、第一方向にほぼ直線偏光されるパターン形成ビームの放射線と、第一方向にほぼ直交する第二方向にほぼ直線偏光されるパターン形成ビームの放射線とをそれぞれ、第一および第二パターン形成サブビームに分離する偏光キューブと、第一および第二パターン形成サブビームそれぞれを補正する第一および第二光学補正ユニットと、第一および第二補正済みサブビームを結合して、補正したパターン形成ビームを形成する放射線ビーム結合器とを有する。
【0018】
この実施形態では、異なる方向で直線偏光されたパターン形成ビームの成分に、別個の補正を適用することができる。これは、例えばパターン形成したビームの異なる偏光成分が、異なる光路を辿り、したがって異なる誤差まで露光している場合に、特に有利である。
【0019】
本発明のさらなる実施形態では、基板を提供するステップと、照明システムを使用して放射線の投影ビームを提供するステップと、投影ビームを第一および第二放射線ビームに分割するために、放射線ビーム分割器を使用するステップと、第一ビームの断面に第一パターンを与えるために、個々に制御可能なエレメントの第一アレイを使用するステップと、第二ビームの断面にパターンを与えるために、個々に制御可能なエレメントの第二アレイを使用するステップと、第一および第二パターン形成ビームを結合して、結合したパターン形成ビームを形成するために放射線ビーム結合器を使用するステップと、放射線の結合したパターン形成ビームを基板の目標部分に投影するステップとを含むデバイス製造方法が提供される。結合したパターン形成ビームのうち第一パターン形成ビームから得られた部分は、ほぼ直線偏光され、結合したパターン形成ビームのうち第二パターン形成ビームから得られた部分は、ほぼ直線偏光され、第一パターン形成ビームから得られた部分とほぼ直交する。
【0020】
本発明のさらなる実施形態では、基板を提供するステップと、照明システムを使用して放射線の投影ビームを提供するステップと、投影ビームの断面にパターンを与えるためにパターニング手段を使用するステップと、パターン形成したビームを基板の目標部分に投影するステップとを有するデバイス製造方法が提供される。パターン形成したビームを基板に投影するステップは、第一方向にほぼ直線偏光されるパターン形成ビームの放射線と、第一方向にほぼ直交する第二方向にほぼ直線偏光されるパターン形成ビームの放射線とをそれぞれ、第一および第二パターン形成サブビームに分離するために偏光キューブを使用することと、第一および第二パターン形成サブビームをそれぞれ補正するために第一および第二光学補正ユニットを使用することと、補正したパターン形成ビームを形成するために、第一および第二補正済みサブビームを結合することとを含む。
【0021】
本発明のさらなる実施形態、形体および利点、さらに本発明の様々な実施形態の構造および動作を添付の略図を参照に、以下で詳細に説明する。
【0022】
添付図面は、本明細書に組み込まれて、その一部を形成し、本発明を図示して、記述とともに本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作成して、使用できるようにする働きをする。
【0023】
次に、本発明の添付図面に関連して説明する。図面では、同様の参照番号は同一の、または機能的に類似する要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置が他の多くの用途においても使用可能であることは明確に理解されるべきである。例えば、これは、集積光学装置、磁気ドメインメモリ用ガイダンスおよび検出パターン、フラットパネル表示装置、薄膜磁気ヘッド等の製造に使用され得る。こうした代替的な用途においては、本文にて使用した「ウェハ」または「ダイ」といった用語は、それぞれ「基板」または「目標部分」といった、より一般的な用語に置き換えて使用され得ることが当業者には理解される。本明細書で言及する基板は、露光前または露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)または計測または検査ツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上およびその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指す。
【0025】
本明細書で使用する「個々に制御可能なエレメントのアレイ」という用語は、基板の目標部分に所望のパターンを生成できるように、入射放射線ビームにパターン形成した断面を与えるのに使用できる任意のデバイスを指すよう、広義に解釈されたい。
【0026】
プログラマブルミラーアレイは、粘弾性制御装置および反射層とを有するマトリクスアドレス可能表面を有してよい。このような装置の基本的原理は、例えば反射性表面のアドレスされた区域は、入射光を回折光として反射し、アドレスされない区域は、入射光を非回折光として反射する、ということである。適切な空間フィルタを使用すると、非回折光を反射ビームからフィルタで除去し、回折光のみが基板に到達するようにすることができる。この方法で、ビームはマトリクスアドレス可能表面のアドレス指定パターンに従ってパターン形成される。
【0027】
代替方法として、フィルタは回折光を除去し、非回折光のみが基板に到達できるようにすることが理解される。回折性光学超小型電気機械システム(MEMS)デバイスのアレイも、対応する方法で使用することができる。各回折性光学MEMSデバイスは、入射光を回折光として反射する格子を形成するために相互に対して変形できる複数の反射性リボンを含むことができる。
【0028】
さらなる代替実施形態は、微小ミラーのマトリクス構成を使用するプログラマブルミラーアレイを含むことができ、各ミラーは、適切な局所的電界を加えるか、圧電起動手段を使用することにより、軸線の周囲で個々に傾斜することができる。この場合も、ミラーはマトリクスアドレス可能であり、したがってアドレス指定されたミラーは入る放射線ビームをアドレス指定されないミラーへと異なる方向で反射し、この方法で、反射ビームは、マトリクスアドレス可能ミラーのアドレス指定されたパターンに応じてパターン形成される。必要なマトリクスのアドレス指定は、適切な電子手段を使用して実行することができる。
【0029】
上述した状況では両方とも、個々に制御可能なエレメントのアレイは、1つまたは複数のプログラマブルミラーアレイを有することができる。本明細書で言及したようなミラーアレイに関するさらなる情報は、例えば米国特許第5,296,891号および第5,523,193号、およびPCT特許出願第WO98/38597号および第WO98/33096号から収集することができ、これらは参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0030】
プログラマブルLCDアレイも使用することができる。このような構成の例が米国特許第5,229,872号で与えられ、これは参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
例えば形体の事前バイアス付与、光学的近接補正形体、位相変動技術および複数露光技術を使用する場合、個々に制御可能なエレメントのアレイ上に「表示」されるパターンは、最終的に基板の層に、または基板上に転送されるパターンとは大きく異なることがあることを理解されたい。同様に、最終的に基板上に生成されるパターンは、ある瞬間に個々に制御可能なエレメントのアレイ上に形成されるパターンには対応しないことがある。これは、基板の各部分に形成される最終的なパターンが、任意の期間にわたって、または任意の露光数にて構築され、その間に個々に制御可能なエレメントのアレイ上のパターンおよび/または基板の相対的位置が変化してしまう構成の場合である。
【0032】
本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置が他の多くの用途においても使用可能であることは明確に理解されるべきである。例えば、これは、DNAチップ、MEMS、MOEMS、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンスおよび検出パターン、フラットパネル表示装置、薄膜磁気ヘッド等の製造に使用され得る。こうした代替的な用途においては、本文にて使用した「ウェハ」または「ダイ」といった用語は、それぞれ「基板」または「目標部分」といった、より一般的な用語に置き換えて使用され得ることが当業者には理解される。本明細書で言及する基板は、露光前または露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)または計測または検査ツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上およびその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指す。
【0033】
本明細書では、「放射線」および「ビーム」という用語は、イオンビームあるいは電子ビームといったような粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射線(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、あるいは126nmの波長を有する)および超紫外線(EUV)放射線(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射線を網羅するものとして使用される。
【0034】
本明細書において使用する「投影システム」なる用語は、例えば使用する露光放射線、または浸漬流体の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、および反射屈折光学システムを含むさまざまなタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「レンズ」なる用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」なる用語と同義と見なされる。
【0035】
照明システムは、放射線の投影ビームの誘導、成形、あるいは制御を行う屈折、反射、および反射屈折光学構成要素などの様々なタイプの光学構成要素も含むことができ、こうした構成要素もまた以降において集約的に、あるいは単独的に「レンズ」と称する。
【0036】
リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)あるいはそれ以上の基板テーブル(および/または2つもしくはそれ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものである。このような「多段」機械においては、追加のテーブルが並列して使用される。もしくは、1つ以上の他のテーブルが露光に使用されている間に予備工程が1つ以上のテーブルにて実行される。
【0037】
リソグラフィ装置は、投影システムの最終要素と基板との間の空間を充填するよう、基板を水などの比較的高い屈折率を有する液体に浸漬するタイプでもよい。浸漬液は、例えばマスクと投影システムの第一要素との間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用してもよい。浸漬技術は、投影システムの開口数を増加させるため、当技術分野で周知である。
【0038】
さらに、装置には流体と基板の被照射部分との相互作用を可能にする流体処理セルを設けてもよい(例えば化学物質を基板に選択的に付着させるか、基板の表面構造を選択的に改造する)。
【0039】
リソグラフィ投影装置
図1は、本発明の実施形態によるリソグラフィ投影装置100を概略的に示したものである。装置100は、少なくとも放射線システム102、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイそれぞれ104Aおよび104B、オブジェクトテーブル106(例えば基板テーブル)、および投影システム(「レンズ」)108を含む。
【0040】
放射線システム102は、放射線(例えばUV放射線)の投影ビーム510を供給するために使用することができ、これはこの特定の場合では放射線ソース512も有する。
【0041】
個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104B(例えばプログラマブルミラーアレイ)は、投影ビーム510にパターンを提供するために使用することができる。概して、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bの位置を、投影システム108に対して固定することができる。しかし、代替構成では、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bのうち少なくとも1つは、投影システム108に対してこれを正確に位置決めするために、位置決めデバイス(図示せず)に接続してよい。本明細書で示すように、個々に制御可能なエレメント104Aおよび104Bは、反射タイプ(例えば個々に制御可能なエレメントの反射性アレイを有する)である。
【0042】
オブジェクトテーブル106には、基板114(例えばレジスト塗布したシリコンウェハまたはガラス基板)を保持する基板ホルダ(特に図示せず)を設けることができ、オブジェクトテーブル106は、投影システム108に対して基板114を正確に位置決めするために位置決めデバイス516に接続することができる。
【0043】
投影システム108(例えばクォーツおよび/またはCaF2レンズシステムまたはこのような材料から作成したレンズエレメントを有する反射屈折システム、またはミラーシステム)を、ビーム分割器118から受け取ったパターン形成ビームを基板114の目標部分120(例えば1つまたは複数のダイ)に投影するために使用することができる。投影システム108は、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bの像を基板114に投影することができる。あるいは、投影システム108は、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bがシャッタとして作用する2次ソースの像を投影することができる。投影システム108は、2次ソースを形成し、微小スポットを基板114に投影するマイクロレンズアレイ(MLA)も有する。
【0044】
ソース512(例えばエキシマレーザ)は、放射線ビーム522を生成することができる。ビーム522は、直接的に、または例えばビーム拡大器526などの調整デバイス526を通過した後に、照明システム(照明装置)524に供給される。照明装置524は、ビーム522の強度分布の外部および/あるいは内部放射範囲(一般的にそれぞれ、σ−outerおよびσ−innerと呼ばれる)を設定する調節デバイス128を有してよい。また、照明装置524は一般的に、積分器530およびコンデンサ132などの他の様々な構成要素を含む。この方法で、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bに当たる投影ビーム510は、その断面に亘り所望する均一性と強度分布とを有する。
【0045】
図1に関して、ソース512はリソグラフィ装置100のハウジング内にあってよい(これは例えばソース512が水銀ランプである場合に多い)。代替実施形態では、ソース512はリソグラフィ投影装置100から離してもよい。この場合、放射線ビーム522は(例えば適した誘導ミラーの助けにより)装置100内に導かれる。この後者のシナリオでは、ソース512がエキシマレーザである場合が多い。これらのシナリオは本発明の範囲に入ると想定されることを理解されたい。
【0046】
ビーム510はその後、ビーム分割器118を使用して誘導された後に個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bと交差する。個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bによって反射したら、ビーム510は投影システム108を通過し、これはビーム510を基板114の目標部分120に集束させる。
【0047】
位置決めデバイス516(および任意選択で、ビーム分割器140を介して干渉計によるビームを受け取るベースプレート136上の干渉測定デバイス134)の助けにより、ビーム510の路の様々な目標位置120に位置決めするように、基板テーブル106は正確に移動することができる。使用時には、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bの位置決めデバイスを使用して、例えば走査中にビーム510の路に対する個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bの位置を正確に補正することができる。概して、オブジェクトテーブル106の動作は、図1には明示的に図示されていないロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現される。同様のシステムも使用して、個々に制御可能なエレメント104のアレイを位置決めすることができる。オブジェクトテーブル106および/または個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bが固定位置を有する一方、投影ビーム510を代替的/追加的に移動可能にして、必要な相対運動を提供してよいことが理解される。
【0048】
実施形態の代替構成では、基板114が基板テーブル106上で移動可能である状態で、基板テーブル106を固定してよい。こうする場合、基板テーブル106には平坦な上面に複数の開口を設け、気体を開口に通して供給し、基板114を支持可能な気体クッションを提供する。これは従来、空気支承構成と呼ばれている。基板114は、1つまたは複数のアクチュエータ(図示せず)を使用して基板テーブル106上を移動し、これはビーム510の路に対して基板114を正確に位置決めすることができる。あるいは、基板114は、開口を通る気体の通過を選択的に開始し、停止することにより、基板テーブル106上で移動することができる。
【0049】
本発明によるリソグラフィ装置100は、本明細書では基板上のレジストを露光するように記載されているが、本発明はこの使用法に制限されず、装置100は、レジストのないリソグラフィで使用するためにパターン形成した投影ビーム510を投影するために使用してよいことが理解される。
【0050】
ここに表した装置100は4つの好ましいモードにて使用可能である。
1.ステップモード。個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104B上のパターン全体が1回の作動(すなわち1回の「フラッシュ」)で目標部分120に投影される。次に基板テーブル106がx方向および/あるいはy方向で異なる位置へと移動し、異なる目標部分120がパターン形成した投影ビーム510により照射される。
2.走査モード。基本的にステップモードと同じであるが、所与の目標部分120が1回の「フラッシュ」で露光しない。代わりに、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bが、速度vで所与の方向(いわゆる「操作方向」、例えばy方向)に移動可能であり、したがってパターン形成した投影ビーム510が、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bを走査する。同時に、基板テーブル106が同じ方向または反対方向に速度V=Mvで同時に移動し、ここでMは投影システム108の倍率である。この方法で、比較的大きい目標部分120を、解像度を妥協せずに露光することができる。
3.パルスモード。個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104Bは、基本的に静止状態に維持され、パルス状放射線システム102を使用してパターン全体が基板114の目標部分120に投影される。基板テーブル106は、基本的に一定の速度で移動し、したがってパターン形成された投影ビーム510が基板106にわたって線を走査する。個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104B上のパターンは、放射線システム102のパルス間で必要に応じて更新され、パルスは、連続する目標部分120が基板114上の必要な位置で露光するようにタイミングがとられる。その結果、パターン形成した投影ビーム510は、基板114にわたって走査し、基板114の細片で完全なパターンを露光することができる。プロセスは、線を1本ずつ完全な基板114が露光されるまで繰り返される。
4.連続操作モード。基本的にパルスモードと同じであるが、ほぼ一定の放射線システム102を使用し、パターン形成した投影ビーム510が基板114にわたって、走査し、それを露光するにつれ、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ104Aおよび104B上のパターンが更新される。
【0051】
上述した使用モードの組合せおよび/または変形、または全く異なる使用モードも使用することができる。
【0052】
図1で示した実施形態では、個々に制御可能なエレメントのアレイ104はプログラマブルミラーアレイである。プログラマブルミラーアレイ104は、微小なミラーのマトリクス構成を有し、これはそれぞれ軸線を中心に個々に傾斜することができる。傾斜の程度が各ミラーの状態を画定する。エレメントに欠陥がない場合は、制御装置からの適切な制御信号によってミラーは制御可能であり。欠陥がない各エレメントは、投影された放射線パターンにおける対応するピクセルの強度を調節するように、一連の状態のいずれかに適応するために制御可能である。
【0053】
一例では、一連の状態は、(a)ミラーが反射した放射線が、対応するピクセルの強度分布に最小限の寄与をするか、あるは寄与がゼロでもある黒の状態、(b)反射した放射線が最大限の寄与をする最も白い状態、および(c)反射した放射線が中間の寄与をする複数の中間状態を含む。状態は、通常のビームパターン形成/印刷に使用する通常セットと、欠陥があるエレメントの効果を補償するために使用する補償セットとに分割される。通常セットは、黒の状態、および第一グループの中間状態を有する。この第一グループはグレー状態と言い、最低の黒の値から特定の通常の最大値まで、対応するピクセル強度への寄与を漸進的に増加させるように選択可能である。補償セットは、残りの第二グループの中間状態を最も白い状態とともに有する。この第二グループの中間状態は、白の状態と言い、通常の最大値より大きく寄与するように選択可能であり、最も白い状態に対応する真の最大値まで漸進的に増加する。第二グループの中間状態は白の状態と言うが、これは単に通常の露光ステップと補償的な露光ステップとの区別を容易にするためのものであることが理解される。複数の状態全部を、代替的に黒と白の間にある一連のグレー状態と言うことができ、グレースケール印刷を可能であるように選択可能である。
【0054】
例示的なパターニングシステムおよび投影システム
図2は、本発明の1つの実施形態によりリソグラフィ装置内で放射線ビームをパターニング形成する構成を詳細に示す。照明システム102(例えば照明システム102)によって供給された放射線ビーム10は、第一方向に直線偏光する第一部分10a、および第一部分10aのそれに直交する方向に直線偏光する第二部分10bを有する。放射線の投影ビーム10の第一部分10aのそれに平行な方向で直線偏光する放射線を実線で示す。破線は、放射線の投影ビーム10の第二部分10bのそれに平行な方向で平面偏光する放射線を示す。円偏光する放射線は鎖線で示す。さらに、以下で詳細に説明するように、第一光路を辿る放射線は比較的太い線で図示され、第二光路を辿る放射線は、比較的小さい矢印を有する比較的細い線で図示される。
【0055】
放射線の投影ビーム10は、ビーム分割器11に配向される。この実施形態では、ビーム分割器11は偏光キューブであり、これは放射線の投影ビーム10の第一部分10aに平行で、平面偏光した放射線を反射し、放射線の投影ビーム10の第二部分10bに平行で、平面偏光した放射線を透過する。したがって、放射線の投影ビーム10の第一部分10aは、第一放射線ビーム12として偏光キューブ11から反射する。
【0056】
第一放射線ビーム12は1/4波長プレート13を通過し、その結果、第一放射線ビーム12は円偏光した放射線ビーム14になる。円偏光した放射線ビーム14は、個々に制御可能なエレメントの第一アレイ15に入射し、これは放射線ビーム14をパターン形成して、これを円偏光したパターン形成放射線ビーム16として反射する。円偏光したパターン形成ビーム16はその後、1/4波長プレート13を2回目に通過する。円偏光したパターン形成放射線ビーム16が1/4波長プレート13を通過すると、放射線ビーム16が再び直線偏光され、第一直線偏光パターン放射線ビーム17を生成する。
【0057】
第一パターン形成放射線ビーム17は、(これを得る元となる)第一放射線ビーム12に直交する方向で平面偏光する。1/4波長13を2回通過しているからである。したがって、第一パターン形成放射線ビーム17を偏光キューブ11内へと戻すと、それを透過して、結合したパターン形成放射線ビーム29の第一部分18を形成する。
【0058】
対応する方法で、投影放射線ビーム10の第二部分10bは、最初に偏光キューブ11を透過して、第二放射線ビーム22を形成し、これは第二1/4波長プレート23を通過して、第二円偏光放射線ビーム24を形成する。第二円偏光放射線ビーム24は、個々に制御可能なエレメントの第二アレイ25に入射し、これは円偏光した放射線ビーム24にパターン形成し、その結果、第二円偏光パターン形成放射線ビーム26になる。第二円偏光パターン形成放射線ビーム26は再び1/4波長プレート23を通過して、第二直線偏光パターン形成放射線ビーム27を形成する。第二円偏光パターン形成放射線ビーム27は、第一放射線ビーム22に直交する方向で偏光される。第二1/4波長プレート23を2回通過したからである。したがって、第二直線偏光パターン形成放射線ビーム27は、投影放射線ビーム10の第一部分10aと同じ方向に偏光させる。したがって、これは偏光キューブ11で反射して、結合したパターン形成放射線ビーム29の第二部分28を形成する。結合したパターン形成放射線ビーム29はその後、投影システム19によって基板20に投影される。
【0059】
図2は、相互に隣接する投影放射線ビーム10の第一および第二部分10a、10bのような放射線ビームを図示しているが、これは図を明快にするために実行したにすぎず、実際にビームは一致してもよい。
【0060】
このパターニング構成を使用すると、照明システムによって提供された放射線ビーム10の異なる部分に、(個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイ15、25を使用して)全く独立したパターンを提供することが可能である。基板20に投影すべきパターンを、そのタイプに応じて個々に制御可能なエレメントの2つのアレイ15、25間で分割することができる。例えば、個々に制御可能なエレメントの第一アレイ15を使用して、第一方向に平行に位置合わせした細長いパターン形体の全部について、パターンを生成することができ、個々に制御可能なエレメントの第二アレイ25は、第一方向に直角に位置合わせした細長いパターン形体の全部について、パターンを生成することができる。これで、パターンの各部分の照明設定を、生成する形体に合わせて最適化することができる。
【0061】
また、結合したパターン形成ビーム29の偏光を保存する投影システムを使用する例では、結合したパターン形成放射線ビーム29の第一および第二部分18、28を、描像を補助する方向に直線偏光した状態で、基板20に投影することができる。
【0062】
上記の構成は、個々に制御可能なエレメントの反射性アレイ15および25とともに、ビーム分割器とビーム結合器との両方として偏光キューブ11を使用して図示されているが、代替形状も使用できることに留意されたい。例えば、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイは透過性で、基板20に投影する前に別個のビーム結合器との組み合わせで使用することができる。
【0063】
図5は、本発明の1つの実施形態によりリソグラフィ装置内で放射線ビームのパターンを形成する構成を詳細に示す。照明システム(例えば照明システム102)によって提供される放射線ビーム510は、第一方向に直線偏光する第一部分510a、および第一部分510aのそれに直交する方向で直線偏光する第二部分510bを有する。放射線ビーム510は偏光キューブ511に配向され、これは投影放射線ビームの第一部分510aに平行で平面偏光した放射線を反射し、投影放射線ビーム510の第二部分510bに平行で平面偏光した放射線を透過する。したがって、投影放射線ビーム510の第一部分510aは、第一放射線ビーム512として偏光キューブ511から反射し、第二部分510bは、第二放射線ビーム522として偏光キューブ511を透過する。
【0064】
第一放射線ビーム512は、個々に制御可能なエレメントの透過性アレイ515を通過し、これは放射線ビーム512に第一パターンを与える。これは、第一パターン形成放射線ビーム516を生成し、これは第一方向に直線偏光されている。
【0065】
第二放射線ビーム522は、反射鏡523、524によって配向されて、個々に制御可能なエレメントの第二透過性アレイ525を通過し、これは第二放射線ビーム522に第二パターンを与えて、第二パターン形成放射線ビーム526を生成する。
【0066】
第一および第二パターン形成放射線ビーム516、526は、第二偏光キューブ530内で結合される。第二偏光キューブ530は、第一偏光キューブ511と比較すると、反対の方法で作用する。第二方向で直線偏光された放射線は、偏光キューブ530を透過し、第二方向で直線偏光された放射線は、偏光キューブ530で反射する。したがって、第一パターン形成放射線ビーム516は第二偏光キューブ530を透過し、第二パターン形成放射線ビーム526は第二偏光キューブ530で反射する。第一および第二パターン形成放射線ビーム516、526は、偏光キューブ530内で結合されて、結合したパターン形成ビーム529を形成する。結合ビーム529は、(1)第一方向で直線偏光され、個々に制御可能なエレメントの透過性アレイ515の第一パターンに従ってパターン形成された放射線である第一部分529aと、(2)第一方向に直交する第二方向で直線偏光され、個々に制御可能なエレメントの第二透過性アレイ525の第二パターンに従ってパターン形成された放射線である第二部分529bとで構成される。
【0067】
別の実施形態では、個々に制御可能なエレメントの反射性アレイを、非テレセントリック系で照明することができ、ビーム分割器とは別個のビーム結合器を使用することができる。さらに、非偏光ビーム分割器を使用することができる。しかし、この場合はその後に、偏光フィルタを使用して、放射線の投影ビームの第一および第二部分を偏光するか、第一および第二パターン形成放射線ビームを使用して、結合したパターン形成ビームを基板に投影する場合に、最大の利益を獲得することが必要である。このような配置構成の組み合わせも使用することができる。
【0068】
図3は、本発明の1つの実施形態による投影システムを示す。異なる極性を有するパターン形成放射線ビームの2つの部分は、全く異なるパターンを有し、異なる光路を辿っている。したがって、この2つの部分では、放射線ビームに別個に必要な補正を施せることが望ましい。図3は、このような補正を実行する配置構成を示す。構成は、図2で示したパターニング構成に類似し、光路および異なる極性を示すために、対応する線の規則を使用する。
【0069】
図3で示す実施形態では、パターン形成した放射線ビーム40は、第一方向に直線偏光された第一部分40a、および直交する方向に直線偏光された第二部分40bを有する。パターン形成された放射線ビーム40は偏光キューブ41に配向され、これはパターン形成した放射線ビーム40の第一部分40aを反射して、第一放射線ビーム42を形成し、偏光キューブ41を通してパターン形成したビーム40の第二部分40bを透過して、第二放射線ビーム62を形成する。
【0070】
第一放射線ビーム42は1/4波長プレート43を通過して、円偏光した放射線ビーム44を形成する。円偏光したビーム44はその後、必要に応じて補正される。円偏光した放射線ビーム44は第一レンズシステム45を通過し、次に凹ミラー46で反射する。一例では、凹ミラー46およびレンズシステム45を適切に選択すると、色収差などの色のエラーを補正することができる。一例では、マンジャングループを使用してよい。補正した円偏光放射線ビーム47はその後、1/4波長プレート43を2回目に通過して、補正したパターン形成放射線ビーム70の第一部分49を形成し、これは対物レンズシステム50によって基板51に投影される。
【0071】
第二放射線ビーム62は、パターン形成した放射線ビーム40の第二部分40bに対応して、偏光キューブ41を透過し、第二1/4波長プレート63を通過して、円偏光した放射線ビーム64を生成する。円偏光した放射線ビーム64は第二レンズシステム66を通過して、第二凹ミラー65で反射し、これは第二円偏光補正済みビーム67を生成するために適切な形状を有する。第二円偏光補正済み放射線ビーム67は、1/4波長プレート63を2回目に通過して、補正済みの放射線ビーム68を生成し、これは未補正のパターン形成放射線ビーム40の第二部分40bに直交する方向で円偏光される。補正済み放射線ビーム68は偏光キューブ41内で反射して、パターン形成放射線ビーム70の第二補正済み部分69を生成し、これは対物レンズシステム50によって第一補正済み部分49とともに基板51に投影される。したがって、別個の独立した補正を、パターン形成した放射線ビーム40の直交偏光部分40aおよび40Bに適用することができる。
【0072】
一例では、図2で示すように、パターニング構成内に配向される放射線の投影ビーム10の極性を完全に制御するために、照明システムを構成する。特に、照明システムは、積分器内で放射線の極性を維持するように構成される。
【0073】
例示的な瞳面の照明フィールド
図4aは、本発明の1つの実施形態による照明体系を示す。この実施形態では、瞳面79の照明フィールドを示す。瞳面79は4つの象限81、82、83、84に分割される。図4aで示す第一の例では、瞳面79の各象限の放射線が、光軸80から離れて配置構成された区域85、86、87、88に局所化される。反対の象限、つまり81および83または82および84とされる象限の放射線が、同じ方向であるが他の2つの象限における放射線と直交する方向で直線偏光される。したがって、このような照明フィールド、および図2で示すようなパターニング構成を使用して、個々に制御可能なエレメントの2つのアレイ15、25それぞれを、双極照明モードで照明し、個々に制御可能なエレメントの各アレイに生成され、パターン形成される形体は、双極照明に適切なそれでよい。
【0074】
図4bは、本発明の1つの実施形態による代替照明体系を示す。この実施形態では、環状照明モードを使用する。しかし、図4aで示した例と同様に、対向する象限にある放射線の直線偏光は、同じではあるが、隣接する象限のそれとは直交する。例えば、81および83とされる瞳面79の象限の区間95および97にある放射線は、相互と同じ方向で直線偏光される。同様に、82および84とされる象限の区間96および98は、相互に同じ方向であるが、区間95および97の放射線のそれと直交する方向で直線偏光される。記載された照明モードの変形、または全く異なる照明モードも、適切な状況では有利であることが理解される。
【0075】
記載されたような照明モードは、例えばシュスタプラット(つまり光を、瞳の半径に直角の接線方向に偏光する区画を有するプレート)を使用して生成することができる。
【0076】
結論
以上で本発明の様々な実施形態を説明したが、これは例示によってのみ提示されたもので、制限するものではないことを理解されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および細部に様々な変更を実施できることが当業者には明白である。したがって、本発明の広さおよび範囲は、上述した例示的実施形態のいずれからも制限されず、請求の範囲およびその均等物に従ってのみ定義されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の1つの実施形態によるリソグラフィ装置の一部を示したものである。
【図2】本発明の1つの実施形態により、リソグラフィ装置内に放射線ビームのパターンを形成する配置構成を詳細に示したものである。
【図3】本発明の1つの実施形態による投影システムを示したものである。
【図4a】本発明の様々な実施形態によるリソグラフィ装置の瞳面における照明フィールドの例を示したものである。
【図4b】本発明の様々な実施形態によるリソグラフィ装置の瞳面における照明フィールドの例を示したものである。
【図5】本発明の1つの実施形態により、リソグラフィ装置内に放射線ビームのパターンを形成する配置構成を詳細に示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置であって、
放射線のビームを供給する照明システムと、
ビームを第一および第二放射線ビームに分割するビーム分割器と、
第一ビームに第一パターンでパターン形成する、個々に制御可能なエレメントの第一アレイと、
第二ビームに第二パターンでパターン形成する、個々に制御可能なエレメントの第二アレイと、
第一および第二パターン形成ビームを結合して、結合したパターン形成ビームを形成するビーム結合器と、
結合したパターン形成ビームを基板の目標部分に投影するシステムとを有し、
第一パターン形成ビームから得られた結合パターン形成ビームの第一部分が、ほぼ直線偏光され、
第二パターン形成ビームから得られた結合パターン形成ビームの第二部分が、第一部分にほぼ直交してほぼ直線偏光されるリソグラフィ装置。
【請求項2】
結合パターン形成ビームの第一および第二部分が、個々の傾斜角度で基板に投影され、
結合したパターン形成放射線ビームの第一および第二部分の少なくとも一方の照明フィールドが、個々の放射線ビームが基板に投影されるのに辿る線、および基板に直角な線によって画定された面に直角である面に存在する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
1つの光学素子を、ビーム分割器とビーム結合器との両方として使用する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
ビーム分割器が偏光キューブであり、
前記第一放射線ビームが、第一方向に直線偏光された放射線ビームの放射線から得られ、
前記第二放射線ビームが、第一方向に直交する第二方向に直線偏光された放射線ビームの放射線から得られる、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
さらに、
第一および第二放射線ビームのビーム路内で、偏光キューブと、個々に制御可能なエレメントの第一および第二アレイのうち個々のアレイとの間に配置された1/4波長プレートを有する、請求項4に記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
システムが、結合したパターン形成ビームの第一および第二部分の極性を保存する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
システムが、結合したパターン形成ビームの第一および第二部分それぞれで、色エラーを別個に補正する、請求項6に記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
照明システムからの放射線ビームが、
ほぼ直線偏光される瞳面の第一部分での放射線と、
ほぼ直線偏光され、瞳面の第一部分における放射線にほぼ直交する瞳面の第二部分での放射線とを有する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
照明システムからの放射線ビームが、
瞳面の照明フィールドの対向する象限にあり、ほぼ平行の方向でほぼ直線偏光された放射線と、
瞳面の照明フィールドの隣接する象限にあり、ほぼ直交する方向でほぼ直線偏光された放射線とを有する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
リソグラフィ装置で、
放射線のビームを供給する照明システムと、
ビームにパターンを形成するパターニングデバイスと、
パターン形成したビームを基板の目標部分に投影するシステムとを有し、システムが、
パターン形成したビームを、第一方向にほぼ直線偏光された放射線を有する第一パターン形成サブビームと、第一方向にほぼ直交する第二方向にほぼ直線偏光された放射線を有する第二パターン形成サブビームとに分離する偏光キューブと、
第一および第二パターン形成サブビームをそれぞれ補正する第一および第二光学補正ユニットと、
第一および第二補正済みサブビームを結合して、補正済みパターン形成ビームを形成するビーム結合器とを有するリソグラフィ装置。
【請求項11】
システムがパターン形成したビームの極性を保存する、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
ビーム結合器が偏光キューブであり、
光学補正ユニットが、パターン形成したサブビームの光路の逆に沿って補正済みサブビームを戻す、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
【請求項13】
さらに、
第一パターン形成サブビームおよび第一補正済みサブビームの光路にて、偏光キューブと第一光学補正ユニットとの間に位置決めされた第一1/4波長プレートと、
第二パターン形成ビームおよび第二補正済みサブビームの光路にて、偏光キューブと第二光学補正ユニットとの間に位置決めされた第二1/4波長プレートとを有する、請求項12に記載のリソグラフィ装置。
【請求項14】
デバイス製造方法であって、
(a)放射線のビームをビーム分割器を使用して放射線の第一ビームと第二ビームに分割することと、
(d)個々に制御可能なエレメントの第一アレイを使用して、第一放射線ビームに第一パターンでパターン形成することと、
(e)個々に制御可能なエレメントの第二アレイを使用して、第二放射線ビームに第二パターンでパターン形成することと、
(f)結合したパターン形成ビームを形成するために、ビーム結合器を使用して第一パターン形成ビームと第二パターン形成ビームとを結合することと、
(g)パターン形成した放射線ビームを基板の目標部分に投影することとを含み、
第一パターン形成ビームから得た結合パターン形成ビームの第一部分が、ほぼ直線偏光され、
第二パターン形成ビームから得た結合パターン形成ビームの第二部分が、第一部分にほぼ直交して、ほぼ直線偏光されるデバイス製造方法。
【請求項15】
デバイス製造方法で、
(a)パターニングデバイスを使用して放射線のビームにパターンを形成することと、
(b)パターン形成したビームを基板の目標部分に投影することと、
(c)投影したパターン形成ビームを、偏光キューブを使用して第一方向にほぼ直線偏光する放射線を有する第一パターン形成サブビームに分離することと、
(d)投影したパターン形成ビームを、偏光キューブを使用して第一方向にほぼ直交する第二方向にほぼ直線偏光する放射線を有する第二パターン形成サブビームに分離することと、
(e)第一および第二光学補正ユニットをそれぞれ使用して、第一および第二パターン形成サブビームをそれぞれ補正することと、
(f)補正したパターン形成ビームを形成するために、第一および第二補正済みサブビームを結合することとを含むデバイス製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−13518(P2006−13518A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186491(P2005−186491)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(504151804)エイエスエムエル ネザランドズ ベスローテン フエンノートシャップ (1,856)
【Fターム(参考)】