説明

リソグラフィ装置及び物品の製造方法

【課題】原版と基板とのアライメントとの点で有利なリソグラフィ装置を提供する。
【解決手段】原版に形成された第1のマーク、及び、前記原版を介して前記基板の上の複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークを検出する第1の検出部と、前記原版を介さずに第2のマークを検出する第2の検出部と、前記原版のパターンを前記基板に転写するための処理を行う処理部と、を有し、前記処理部は、前記第2の検出部による前記第2のマークの検出結果の一部を統計処理して前記複数のショット領域の配列を表す統計量を求める処理と、前記複数のショット領域のそれぞれについて、前記統計量から求められる前記複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークの位置と、前記第2の検出部によって検出された前記複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークの位置との差分を求める処理と、を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィ装置及び物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細なパターンの形成を可能にするインプリント技術は、様々なデバイス(ICやLSIなどの半導体デバイス、液晶デバイス、CCDなどの撮像デバイス、磁気ヘッドなど)を製造するための技術として注目されている。インプリント技術は、シリコンウエハやガラスプレートなどの基板の上の樹脂に微細なパターンが形成された原版(モールド)を押し付けた状態で、樹脂を硬化させて基板に微細なパターンを転写する。
【0003】
インプリント技術には、幾つかの樹脂硬化法があり、かかる樹脂硬化法の1つとして光硬化法が知られている。光硬化法では、紫外線硬化型の樹脂に透明なモールドを押し付けた状態で紫外線を照射し、樹脂を感光及び硬化させてからモールドを剥離(離型)する。光硬化法によるインプリント技術は、比較的容易に温度を制御できることや透明なモールド越しに基板に形成されたアライメントマークなどを検出することができることなどから、デバイスの製造に適している。
【0004】
インプリント技術を用いたリソグラフィ装置(インプリント装置)においては、ステップアンドフラッシュ式インプリントリソグラフィ(SFIL)を応用した装置がデバイスの製造の点で有利である(特許文献1参照)。このようなインプリント装置では、基板とモールドとのアライメント(位置合わせ)方式として、ダイバイダイアライメント方式が採用されている。ダイバイダイアライメント方式とは、基板の上の複数のショット領域ごとに、かかるショット領域に形成されたマークを光学的に検出して基板とモールドとの位置関係のずれを補正するアライメント方式である。一方、原版(レチクル又はマスク)のパターンを基板に投影する投影光学系を備えた露光装置のアライメント方式としては、グローバルアライメント方式が一般的である。グローバルアライメント方式とは、代表的な幾つかのショット領域(サンプルショット領域)に形成されたマークの検出結果を統計処理して得られる指標に従って(即ち、全てのショット領域に対して同一の指標で)アライメントを行うアライメント方式である。
【0005】
また、インプリント装置では、基板の上の樹脂にモールドを押し付けた際に、モールドのパターン(凹部)に空気などが残存していると、基板に転写されるパターンに歪みなどが生じ、パターンを正確に転写することができない。そこで、基板の上の樹脂にモールドを押し付ける際に、樹脂に対して溶解性が高い気体(ヘリウムなど)を基板とモールドとの間の空間に供給して、モールドのパターン(凹部)に空気が残存することを低減する技術が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4185941号公報
【特許文献2】特表2007−509769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、基板の外周部のショット領域に形成されたマークは、下地層の膜減りなどのプロセス(研磨工程(CMP)など)要因によって、マークの形状が変形する場合がある。このように変形したマークも用いるダイバイダイアライメント方式では、基板とモールドとを正しくアライメントすることができない場合がある。
【0008】
また、グローバルアライメント方式においては、基板の上の樹脂にモールドを押し付ける際にはショット領域に形成されたマークを検出せず、統計処理から得られる指標に基づいてアライメントが行われる。但し、インプリント装置では、基板の上の樹脂にモールドを押し付ける際の反力に起因してモールドや基板に位置ずれ及び変形が生じることがある。従って、インプリント装置にグローバルアライメント方式を適用してアライメントを行ったとしても、モールドや基板の目標位置に対して位置ずれや変形による誤差成分が含まれてしまうため、基板とモールドとを正しくアライメントすることができない。
【0009】
更に、インプリント装置では、基板とモールドとの間の空間に供給された樹脂に対して溶解性が高い溶解性気体が、基板を保持するステージの位置を計測する干渉計の計測光路に流入することがある。干渉計の計測光路に溶解性気体が流入すると、干渉計の計測光路の屈折率が変化し、干渉計によるステージの位置の計測に誤差が生じてステージの位置制御の精度が低下するため、グローバルアライメント方式においては大きな不利となる。このような問題は、インプリント装置だけではなく、原版のパターンを基板に転写する際にステージの位置制御の精度が低下するようなリソグラフィ装置に生じるものである。
【0010】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、原版と基板とのアライメントとの点で有利なリソグラフィ装置を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのリソグラフィ装置は、原版のパターンを基板に転写するリソグラフィ装置であって、前記原版に形成された第1のマーク、及び、前記原版を介して前記基板の上の複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークを検出する第1の検出部と、前記原版を介さずに前記複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークを検出する第2の検出部と、前記原版のパターンを前記基板に転写するための処理を行う処理部と、を有し、前記処理部は、前記第2の検出部によって前記第2のマークを検出する処理と、前記第2の検出部による前記第2のマークの検出結果の一部を統計処理して前記複数のショット領域の配列を表す統計量を求める処理と、前記複数のショット領域のそれぞれについて、前記統計量から求められる前記複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークの位置と、前記第2の検出部によって検出された前記複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークの位置との差分を求める処理と、前記第1の検出部によって前記第1のマーク及び前記第2のマークを検出して、前記複数のショット領域のそれぞれについて、前記第1の検出部によって検出される前記第1のマークの位置と前記第2のマークの位置とのずれ量が対応するショット領域の前記差分となるように、前記原版と前記基板との位置関係を調整しながら、前記原版のパターンを前記複数のショット領域のそれぞれに転写する処理と、を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば、原版と基板とのアライメントとの点で有利なリソグラフィ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一側面としてのインプリント装置の構成を示す概略図である。
【図2】基板の上のショット領域を模式的に示す図である。
【図3】図1に示すインプリント装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図3に示すS306のグローバル補正値の算出を説明するための図である。
【図5】基板の上のショット領域を模式的に示す図である。
【図6】本発明の一側面としてのインプリント装置の別の構成を示す概略図である。
【図7】図6に示すインプリント装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の一側面としてのインプリント装置1の構成を示す概略図である。インプリント装置1は、原版としてのモールドのパターンを基板に転写するリソグラフィ装置であって、基板に塗布された樹脂にモールドを押し付けた状態で樹脂を硬化させ、硬化した樹脂からモールドを剥離するインプリント処理を行う。
【0017】
インプリント装置1は、基板ステージ102と、モールドステージ106と、構造体108と、照射部110と、樹脂供給部112と、気体供給部114と、干渉計116と、第1の検出部118と、第2の検出部120と、制御部122とを有する。
【0018】
基板ステージ102は、基板チャックを介して、シリコンウエハやガラスプレートなどの基板STを保持(吸着)し、基板STをX軸方向及びY軸方向に駆動して所定の位置に位置決めする。また、基板ステージ102には、基板ステージ102の基準となる基準部材104が配置され、基準部材104には、アライメントマークAM1が形成されている。
【0019】
基板STの上には、モールドMOのパターンが転写される複数のショット領域が配列されており、図2に示すように、それぞれのショット領域SRには、パターンの転写領域TRの外周に、アライメントマーク(第2のマーク)AM2が形成されている。ここで、図2は、基板STの上のショット領域SRを模式的に示す図である。
【0020】
モールドステージ106は、構造体108に設けられ、モールドチャックを介して、モールドMOを保持(吸着)し、モールドMOをZ軸方向に駆動する。モールドステージ106は、モールドMOをZ軸マイナス方向(下方向)に駆動することによって、基板STの上の樹脂RSにモールドMOを押し付ける。また、モールドステージ106は、モールドMOをZ軸プラス方向(上方向)に駆動することによって、基板STの上の硬化した樹脂RSからモールドMOを剥離する。
【0021】
モールドMOは、照射部110からの光を透過する材料で構成され、基板STに転写すべきパターン(凹凸パターン)が形成されたパターン面を有する。モールドMOには、基板STの上のショット領域SRに形成されたアライメントマークAM2と対応する位置に、アライメントマーク(第1のマーク)AM3が形成されている。
【0022】
照射部110は、構造体108に設けられ、光源やレンズなどの光学系を含み、基板STの上の樹脂RSにモールドMOを押し付けた状態において(即ち、モールドMOを介して)、樹脂RSに光(紫外線)を照射する。
【0023】
樹脂供給部112は、樹脂RSを液滴として吐出する複数のディスペンサを含み、基板STの上のショット領域SR(転写領域TR)に樹脂RSを供給(塗布)する。具体的には、樹脂供給部112を構成するディスペンサから樹脂RSをと出しながら基板ステージ102を駆動(スキャン駆動やステップ駆動)することで、基板STの上に樹脂RSを塗布する。
【0024】
気体供給部114は、気体を供給する供給口114aと、気体を回収する回収口114bとを含み、基板STとモールドMOとの間の空間に、予め定められた気体を供給する。予め定められた気体とは、具体的には、樹脂RSに対して高い溶解性を有する溶解性気体(例えば、ヘリウムや二酸化炭素など)である。気体供給部114は、基板STの上の樹脂RSにモールドMOを押し付ける、即ち、インプリント処理を行う際に、基板STとモールドMOとの間の空間に溶解性気体を供給することで、モールドMOのパターン(凹部)に空気が残存することを低減する。この際、気体供給部114は、基板STとモールドMOとの間の空間に供給した溶解性気体を回収口114bで回収することで、干渉計116から照射される光の光路(計測光路)に溶解性気体が流入することを抑えている。また、気体供給部114は、第2の検出部120がアライメントマークAM2を検出する際には、基板STとモールドMOとの間の空間への溶解性気体の供給を停止する。
【0025】
干渉計116は、基板ステージ102に設けられた干渉計ミラーに光を照射する光源と、かかる干渉計ミラーで反射される光を受光する受光素子とを含み、基板ステージ102の位置を計測する。
【0026】
第1の検出部118は、モールドMOに形成されたアライメントマークAM3、及び、モールドMOを介して基板STの上の複数のショット領域SRのそれぞれに形成されたアライメントマークAM2を検出する。換言すれば、第1の検出部118は、モールドMO(アライメントマークAM3)と基板ST(アライメントマークAM2)との相対的な位置関係を検出する。第1の検出部118は、例えば、アライメントマークAM2及びAM3からの干渉信号やモアレなどの相乗効果による信号を検出するセンサを含む。
【0027】
第2の検出部120は、モールドMOを介さずに基板STの上の複数のショット領域SRのそれぞれに形成されたアライメントマークAM2を検出する。なお、第2の検出部120は、図1に示すように、構造体108やモールドMOから離れた位置に配置されているため、アライメントマークAM2を検出する際には、基板STを保持する基板ステージ102を破線で示す位置に配置(駆動)する必要がある。第2の検出部120は、例えば、結像光学系を介して、アライメントマークAM2を画像として検出するセンサを含む。
【0028】
ここでは、第1の検出部118と第2の検出部120がアライメントマークAM2の同一パターンを検出する例を説明する。但し、アライメントマークAM2に第1の検出部118及び第2の検出部120のそれぞれに適したパターンを形成し、それぞれの検出部が異なるパターンを検出してもよい。
【0029】
制御部122は、CPUやメモリを含み、インプリント装置1の各処理(モールドMOのパターンを基板STに転写するための処理)を行う処理部として機能する(即ち、インプリント装置1を動作させる)。例えば、制御部122は、干渉計116による計測結果、第1の検出部118による検出結果、第2の検出部120による検出結果などに基づいて、基板ステージ102の位置制御を行う。なお、インプリント装置1では、上述したように、気体供給部114から供給された溶解性気体が干渉計116の計測光路に流入することを抑えている。但し、基板STとモールドMOとの間の空間を密閉しているわけではないため、微量の溶解性気体が干渉計116の計測光路に流入する可能性がある。これにより、インプリント処理を行う際の基板ステージ102の位置制御が行えなくなるわけではないが、デバイスの製造に要求される精度で基板ステージ102の位置制御を行うことは難しい。一方、第2の検出部120によってアライメントマークAM2を検出する際には、上述したように、気体供給部114からの溶解性気体の供給が停止され、且つ、基板ステージ102が基板STとモールドMOとの間の空間から離れた位置に配置されている。従って、干渉計116の計測光路に溶解性気体が流入することはなく、基板ステージ102の位置制御を高精度に行うことができる。このように、インプリント装置1では、第1の検出部118でアライメントマークAM2を検出する際の基板ステージ102の位置制御の精度は、第2の検出部120でアライメントマークAM2を検出する際の基板ステージ102の位置制御の精度よりも低い。
【0030】
以下、図3を参照して、インプリント装置1の動作、即ち、モールドMOのパターンを基板STに転写するインプリント処理について説明する。図3に示すインプリント装置1の動作は、制御部122がインプリント装置1の各部を統括的に制御することによって行われる。
【0031】
なお、本実施形態のインプリント装置1では、基板STとモールドMOとのアライメント(位置合わせ)方式として、グローバルアライメント方式とダイバイダイアライメント方式とを組み合わせた新たなアライメント方式を採用する。従来のダイバイダイアライメント方式では、基板STの上のショット領域ごとに、第1の検出部118によってアライメントマークAM2及びAM3を検出する。そして、アライメントマークAM2の位置とアライメントマークAM3との位置が一致する(重なる)ように基板ステージ102を駆動して基板STとモールドMOとのアライメントを行う。従って、基板STの下地層の要因によって第1の検出部118の検出位置に誤差が生じる検出をすると、基板STとモールドMOとを正しくアライメントすることができない。一方、従来のグローバルアライメント方式では、基板STの上の樹脂にモールドMOを押し付ける際に基板STやモールドMOに位置ずれ及び変形が生じるため、基板STとモールドMOとを正しくアライメントすることができない。また、上述したように、インプリント処理を行う際の基板ステージ102の位置制御の精度は、サンプルショット領域に形成されたアライメントマークAM2を検出する際の基板ステージ102の位置制御の精度よりも低い。従って、サンプルショット領域に形成されたアライメントマークAM2の検出結果を統計処理して得られる指標に従ってアライメントを行っても、インプリント処理を行う際の基板ステージの位置制御の精度が低いため、正しくアライメントを行うことができない。
【0032】
そこで、本実施形態のアライメント方式では、まず、グローバルアライメント方式と同様に、サンプルショット領域に形成されたアライメントマークの検出結果を統計処理してショット領域に形成されたアライメントマークの位置を予め求める。次に、基板の上の複数のショット領域のそれぞれについて、統計処理から求められたアライメントマークの位置と、検出されたアライメントマークの位置との差分を求める。そして、モールドに形成されたアライメントマークの位置とショット領域に形成されたアライメントマークの位置とのずれ量が求めた差分となるように、モールドと基板との位置関係を調整する。なお、本実施形態では、インプリント処理を行う際には、モールド(に形成されたアライメントマーク)の位置と基板(に形成されたアライメントマーク)の位置とを検出しながら基板ステージの位置を調整するため、高精度な基板ステージの位置制御は必要ない。
【0033】
S302では、インプリント装置1にモールドMOのパターンを転写する基板STを搬入し、かかる基板STを基板ステージ102に保持させる。
【0034】
S304では、基板ステージ102(基板ST)を第2の検出部120の視野内(図1において破線で示す位置)に配置(駆動)し、第2の検出部120によって基板STの上の複数のショット領域のそれぞれに形成されたアライメントマークAM2を検出する。この際、干渉計116の計測結果に基づいて基板ステージ102の位置制御が行われており、干渉計116の計測精度がグローバルアライメントによる基板ステージ102の位置制御の精度の基準となる。従って、第2の検出部120によってアライメントマークAM2を検出している間は、干渉計116を支持する定盤の変形及び振動や測長空間の揺らぎを排除することが好ましく、干渉計116の代わりに、例えば、平面エンコーダなどを用いることも有効である。
【0035】
S306では、第2の検出部120によるアライメントマークAM2の検出結果を統計処理して基板STの上の複数のショット領域の配列を表す統計量、即ち、グローバル補正値(指標)を算出する。グローバル補正値は、従来のグローバルアライメント方式と同様に算出することができる。例えば、図4に示すように、基板STの上の複数のショット領域SRのうちアライメントマークAM2の劣化が少ない幾つかのショット領域をサンプルショット領域SSとして予め選択(設定)する。そして、第2の検出部120によるサンプルショット領域SSのそれぞれに形成されたアライメントマークAM2の検出結果からグローバル補正値を算出する。なお、グローバル補正値は、基板STの上の複数のショット領域のそれぞれのシフト成分、倍率成分及び回転成分の少なくとも1つを含む。
【0036】
ここで、グローバル補正値の算出について具体的に説明する。なお、本実施形態では、ショット領域の中心位置の設計位置(X,Y)とショット領域の中心位置の検出位置(Pcx,Pcy)とは、以下の式1及び式2の関係にあると近似する。
【0037】
【数1】

【0038】
【数2】

【0039】
式1及び式2(の係数)から、グローバル補正値として、基板STの上の複数のショット領域の配列を表す統計量であるシフト成分(S,S)、倍率成分(M,M)及び回転成分(R,R)を算出する。具体的には、式1及び式2の係数を、サンプルショット領域の中心位置の設計位置(X,Y)と検出位置(Pcx,Pcy)を用いて公知の最小自乗法で求める。ここで、サンプルショット領域の中心位置の検出位置(Pcx,Pcy)は、第2の検出部120によるアライメントマークAM2の検出結果のずれ量(設計位置からのずれ量)の平均であり、以下の式3及び式4から算出される。
【0040】
【数3】

【0041】
【数4】

【0042】
式3及び式4において、(X[j],Y[j])は、j番目のアライメントマークAM2の設計位置、(Pmx[j],Pmy[j])は、j番目のアライメントマークAM2の検出位置である。また、(X,Y)は、サンプルショット領域の中心位置の設計位置、Nは、サンプルショット領域に形成されたアライメントマークAM2の数である。
【0043】
S308では、グローバル補正値から求められるアライメントマークAM2の位置と、S304において第2の検出部120によって検出されたアライメントマークAM2の位置との差分、即ち、ダイバイダイ補正値を算出する。なお、ダイバイダイ補正値は、基板STの上の複数のショット領域のそれぞれについて算出する。
【0044】
ここで、ダイバイダイ補正値の算出について具体的に説明する。まず、グローバル補正値に基づいて、以下の式5及び式6から、基板STの上の複数のショット領域のそれぞれに形成されたアライメントマークAM2の位置(Q,Q)を求める。
【0045】
【数5】

【0046】
【数6】

【0047】
式5及び式6において、(S,S,M,M,R,R)は、S306で算出したグローバル補正値、(Xsm,Ysm)は、図2に示す座標系におけるショット領域の中心からのアライメントマークAM2の設計位置である。
【0048】
そして、式5及び式6から求めたアライメントマークAM2の位置(Q,Q)と、アライメントマークAM2の検出位置(Pmx,Pmy)との差分であるダイバイダイ補正値(D,D)を、以下の式7及び式8から算出する。
【0049】
【数7】

【0050】
【数8】

【0051】
このように、グローバル補正値やダイバイダイ補正値は、気体供給部114からの溶解性気体の供給が停止され、且つ、基板ステージ102が気体供給部114から離れた位置に配置されているときの第2の検出部120による検出結果から算出される。換言すれば、グローバル補正値やダイバイダイ補正値は、基板ステージ102の位置制御が高精度に行われているときの第2の検出部120による検出結果に基づいて算出される。
【0052】
S310では、基板STを保持する基板ステージ102をモールドMOの下に配置し、気体供給部114によって基板STとモールドMOとの間の空間に溶解性気体を供給する。具体的には、基板STとモールドMOとの間の空間に対して、気体供給部114の供給口114aから溶解性気体を供給しながら、かかる溶解性気体を気体供給部114の回収口114bから回収する。
【0053】
S312では、樹脂供給部112によって基板STの上の対象ショット領域(これからモールドMOのパターンを転写するショット領域)に樹脂RSを塗布(供給)する。
【0054】
S314では、モールドMOを下方向に駆動して、基板STの上の対象ショット領域に塗布された樹脂にモールドMOを押し付ける(モールドMOを押印する)。
【0055】
S316では、基板STとモールドMOとのアライメントを行う。具体的には、第1の検出部118によってモールドMOに形成されたアライメントマークAM3及び基板STの上の対象ショット領域に形成されたアライメントマークAM2を検出する。そして、モールドMOに形成されたアライメントマークAM3と対象ショット領域に形成されたアライメントマークAM2とのずれ量がS308で算出した対象ショット領域のダイバイダイ補正値となるように、基板STとモールドMOとの位置関係を調整する。換言すれば、モールドMOに形成されたアライメントマークAM3と対象ショット領域に形成されたアライメントマークAM2とがダイバイダイ補正値だけずれるように、基板STとモールドMOとの位置関係を調整する。ここで、基板STとモールドMOとのアライメントにおいて目標となるずれ量(T,T)は、以下の式9及び式10で表される。但し、モールドMOに形成されたアライメントマークAM3の検出位置を(Ptx,Pty)、対象ショット領域に形成されたアライメントマークAM2の検出位置を(Pmx,Pmy)とする。
【0056】
【数9】

【0057】
【数10】

【0058】
なお、S316においては、第1の検出部118によるアライメントマークAM2及びAM3の検出結果に基づいて、基板ステージ102の位置をフィードバック制御する。従って、気体供給部114から供給される溶解性気体が干渉計116から照射される光の光路に流入して干渉計116に誤差が生じたとしても、基板STとモールドMOとのアライメントの精度(位置合わせ精度)に影響を与えることはない。また、本実施形態では、対象ショット領域に塗布された樹脂RSにモールドMOを押し付けた後で基板STとモールドMOとのアライメントを行っている。但し、モールドMOを基板STに近接させながら(即ち、モールドMOを樹脂RSに押し付けずに)、基板STとモールドMOとのアライメントを行ってもよい。
【0059】
S318では、基板STの上の対象ショット領域に対して、モールドMOのパターンの転写を行う。具体的には、対象ショット領域に塗布された樹脂RSにモールドMOを押し付けた状態において、照射部110によって樹脂RSに光を照射して樹脂RSを硬化させる。そして、モールドMOを上方向に駆動して硬化した樹脂RSからモールドMOを剥離することで、対象ショット領域にモールドMOのパターンが転写される。
【0060】
S320では、基板STの上の全てのショット領域に対してモールドMOのパターンの転写(インプリント処理)を行ったかどうかを判定する。基板STの上の全てのショット領域に対してインプリント処理を行っていない場合には、S312に移行し、モールドMOのパターンを転写すべき次のショット領域(対象ショット領域)に樹脂RSを塗布する。一方、基板STの上の全てのショット領域に対してインプリント処理を行った場合には、S322に移行する。
【0061】
S322では、気体供給部114によって基板STとモールドMOとの間の空間に供給された溶解性気体を回収する。具体的には、気体供給部114の供給口114aからの溶解性気体の供給を停止し、基板STとモールドMOとの間の空間に供給された溶解性気体を気体供給部114の回収口114bから回収する。
【0062】
S324では、インプリント装置1から、全てのショット領域にモールドMOのパターンが転写された基板STを搬出して、動作を終了する。
【0063】
このように、本実施形態では、インプリント処理の際に、第1の検出部118によって検出されるアライメントマークAM2の位置とアライメントマークAM2の位置とがダイバイダイ補正値だけずれるように、基板STとモールドMOとの位置関係を調整する。換言すれば、第1の検出部118によって検出するアライメントマークAM2の位置の誤差をダイバイダイ補正値によって補正している。従って、インプリント装置1では、基板STとモールドMOとを高精度にアライメントすることができる。
【0064】
なお、図3に示すフローチャートでは、各ショット領域の倍率成分及び回転成分は設計値通りであると仮定してシフト成分のみを補正する場合について説明した。そこで、グローバル補正値として、サンプルショット領域の設計位置に対するサンプルショット領域の位置の統計量のみを算出していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、基板上のショット領域ごとに倍率成分及び回転成分を補正する場合にも適用することも可能であり、以下では、サンプルショット領域の設計位置に対するサンプルショット領域の位置及び形状を表す統計量を算出する場合について説明する。
【0065】
グローバル補正値としてサンプルショット領域の設計位置に対するサンプルショット領域の位置及び形状を表す統計量を算出する場合には、以下に示す第1の統計処理と第2の統計処理とを行う。第1の統計処理では、サンプルショット領域に形成されたアライメントマークAM2の検出位置から、かかるサンプルショット領域の位置及び形状(統計量)を算出する。第2の統計処理では、第1の統計処理で算出したサンプルショット領域の位置及び形状から、基板上の全てのショット領域の位置及び形状を算出(推定)する。
【0066】
第1の統計処理では、図2に示す座標系におけるショット領域の中心を原点とし、アライメントマークAM2の設計位置(Xms,Yms)と検出位置(Pmx,Pmy)とが、以下の式11及び式12の関係にあると近似する。
【0067】
【数11】

【0068】
【数12】

【0069】
式11及び式12(の係数)から、サンプルショット領域の配置を表す統計量であるシフト成分(Ssx,Ssy)、倍率成分(Msx,Msy)及び回転成分(Rsx,Rsy)を算出する。具体的には、式11及び式12の係数を、サンプルショット領域の中心位置の検出位置を用いて公知の最小自乗法で求める。
【0070】
第2の統計処理では、図4に示す座標系における基板STの中心位置を原点とする。そして、ショット領域の中心位置の設計位置(X,Y)と、そのショット領域のシフト成分(Ssx,Ssy)、倍率成分(Msx,Msy)及び回転成分(Rsx,Rsy)とが、以下の式13及び式18の関係にあると近似する。
【0071】
【数13】

【0072】
【数14】

【0073】
【数15】

【0074】
【数16】

【0075】
【数17】

【0076】
【数18】

【0077】
グローバル補正値として、式13乃至式18の係数を求める。具体的には、各サンプルショット領域のSsx、Ssy、Msx、Msy、Rsx、Rsyに基づいて、式13乃至式18の係数asx〜jsx、asy〜jsy、amx〜jmx、amy〜jmy、arx〜jrx、ary〜jryを算出する。
【0078】
次に、基板STの上の全てのショット領域の位置及び形状を表す統計量(Ssx,Ssy,Msx,Msy,Rsx,Rsy)、及び、アライメントマークAM2の設計位置(Xms,Yms)から、アライメントマークAM2の位置(Q,Q)を求める。具体的には、以下の式19及び式20を用いて、アライメントマークAM2の位置(Q,Q)を求める。
【0079】
【数19】

【0080】
【数20】

【0081】
そして、式19及び式20から求めたアライメントマークAM2の位置(Q,Q)と、アライメントマークAM2の検出位置(Pmx,Pmy)との差分であるダイバイダイ補正値(D,D)を、式7及び式8から算出する。
【0082】
上述した説明では、ダイバイダイ補正値を算出するために、基板STの上の全てのショット領域に形成されたアライメントマークAM2(の位置)を検出している。但し、基板STの上の複数のショット領域のうち一部のショット領域に形成されたアライメントマークAM2のみを検出して、ダイバイダイ補正値を算出することも可能である。例えば、図5に示すように、図4に示すサンプルショット領域SSの数よりも多い数のショット領域SS’についてアライメントマークAM2を検出し、式1や式2(式11や式12)に示す近似式の次数よりも高い次数の近似式を求めればよい。具体的には、基板STの上のあるショット領域に形成されたアライメントマークAM2の検出位置を(Pmx,Pmy)、そのショット領域に形成されたアライメントマークAM2の設計位置を(X,Y)とし、以下の式21及び式22の関係にあると近似する。
【0083】
【数21】

【0084】
【数22】

【0085】
また、基板STの上の複数のショット領域のうち一部のショット領域SS’に形成されたアライメントマークAM2の検出位置と設計位置とに基づいて、式21及び式22の係数a〜j、a〜jを公知の最小自乗法を用いて算出する。そして、式21及び式22に対して、残りのショット領域に形成されたアライメントマークAM2の設計位置を代入することで、アライメントマークAM2の検出位置(Pmx,Pmy)を求める。
【0086】
本実施形態では、モールドのパターンを基板に転写する際に基板とモールドとの間の空間に予め定められた気体を供給するインプリント装置を例として説明したが、本発明は、このようなインプリント装置に限定するものではない。例えば、本発明は、インプリント処理における基板ステージの位置制御の精度が他の処理(第2の検出部によるアライメントマークの検出処理)における基板ステージの位置制御の精度よりも低いインプリント装置に対して効果的である。なお、図1に示すように、モールドの近傍には、気体供給部や樹脂供給部が配置されているため、基板ステージの位置をより高精度に計測する平面エンコーダなどを配置することが困難である。一方、第2の検出部の近傍は、モールドの近傍と比較して、空間的な余裕があり平面エンコーダなどを配置することができる。
【0087】
更に、本発明は、インプリント装置以外のリソグラフィ装置、例えば、原版であるレチクル(マスク)のパターンを投影光学系によって基板の上の複数のショット領域のそれぞれに投影する露光処理を行う露光装置にも適用することができる。露光装置において、投影光学系の近傍には、基板ステージの位置をより高精度に計測する計測器を配置することが困難であるが、第2の検出部に相当するオフアクシス検出系の近傍には、かかる計測器を配置することが可能である。このように、露光処理を行う際の基板ステージの位置制御の精度がオフアクシス検出系を用いて検出処理を行う際の基板ステージの位置制御の精度よりも低い露光装置に対しては、本発明が効果的となる。
【0088】
また、本実施形態では、グローバル補正値やダイバイダイ補正値を求めるためのアライメントマークの検出を、気体供給部から供給される予め定められた気体の影響を受け難い位置(モールドの近傍以外の位置)で行っている。但し、予め定められた気体を十分に回収できる場合、即ち、モールドの下においても基板ステージの位置制御の精度を維持できる場合には、第1の検出部によってグローバル補正値やダイバイダイ補正値を求めるためのアライメントマークの検出を行ってもよい。
【0089】
また、図1に示すインプリント装置1では、第2の検出部120によるアライメントマークAM2の検出結果からダイバイダイ補正値を求めている。このような場合、第1の検出部118(を構成するセンサ)と第2の検出部120(を構成するセンサ)の検出特性がほぼ同じであることが必要となる。但し、第1の検出部118は、アライメントマークAM2及びAM3の両方を同時に検出しなければならず、構造体108における狭い空間に構成しなければならないため、設計上の制約(実現可能な開口数(NA)に上限があるなど)が多い。従って、第1の検出部118の検出特性に第2の検出部120の検出特性をあわせることは、グローバル補正値を求めるために第2の検出部120がアライメントマークAM2を検出する際の検出精度の面で不利となる。
【0090】
そこで、図6に示すように、第1の検出部118(を構成するセンサ)の検出特性と異なる検出特性を有する第1のセンサ120Aと、第1の検出部118の検出特性と同じ検出特性を有する第2のセンサ120Bとで第2の検出部120を構成する。第1のセンサ120Aは、第1の検出部118の検出特性よりも優れた検出特性を有し、例えば、結像光学系を介して、アライメントマークAM2を画像として検出する。また、第2のセンサ120Bは、第1の検出部118と同様に、干渉信号やモアレなどの相乗効果による信号を検出する。なお、第2のセンサ120では、モールドMOに形成されたアライメントマークAM3の代わりに内部に構成したマーク及びアライメントマークAM2からの信号を検出する。図6に示すインプリント装置1では、第2の検出部120の構成は複雑になるが、第1のセンサ120Aの設計上の制約を軽減することができる。従って、アライメントマークAM2を検出する際の検出精度の面で有利な(即ち、アライメントマークAM2を高精度に検出することが可能な)第1のセンサ120Aを構成することができる。但し、基板ステージ102の上の基準部材104に形成されたアライメントマークAM1を第1のセンサ120A及び第2のセンサ120Bで検出して、第1のセンサ120Aと第2のセンサ120Bとの間の距離を求めておく必要がある。
【0091】
図7を参照して、図6に示すインプリント装置1の動作、即ち、モールドMOのパターンを基板STに転写するインプリント処理について説明する。図7に示すインプリント装置1の動作は、制御部122がインプリント装置1の各部を統括的に制御することによって行われる。
【0092】
S702では、インプリント装置1にモールドMOのパターンを転写する基板STを搬入し、かかる基板STを基板ステージ102に保持させる。
【0093】
S704では、基板STを保持する基板ステージ102を第2の検出部120の第1のセンサ120Aの視野内(図6において破線で示す位置)に配置し、第1のセンサ120AによってアライメントマークAM2を検出する。なお、S304では、基板STの上の複数のショット領域に形成されるアライメントマークAM2を検出したが、S704では、基板STの上の複数のショット領域のうちサンプルショット領域に形成されるアライメントマークAM2を検出すればよい。
【0094】
S706では、第2の検出部120の第1のセンサ120AによるアライメントマークAM2の検出結果を統計処理して基板STの上の複数のショット領域の配列を表す統計量、即ち、グローバル補正値を算出する。上述したように、第1のセンサ120Aは、第1の検出部118の検出特性よりも優れた検出特性を有しているため、S706では、S306で算出されるグローバル補正値よりも高精度なグローバル補正値を算出することができる。
【0095】
S707では、基板STの上の全てのショット領域について、第2の検出部120の第2のセンサ120BによってアライメントマークAM2を検出する。
【0096】
S708では、グローバル補正値から求められるアライメントマークAM2の位置と、S707において第2の検出部120の第2のセンサ120Bによって検出されたアライメントマークAM2の位置との差分、即ち、ダイバイダイ補正値を算出する。上述したように、S706で算出されるグローバル補正値は、S306で算出されるグローバル補正値よりも高精度であるため、S708で算出されるダイバイダイ補正値もS308で算出されるダイバイダイ補正値よりも高精度になる。
【0097】
図6に示すインプリント装置1では、第2の検出部120の第1のセンサ120Aの検出結果を用いてグローバル補正値を、第2の検出部120の第2のセンサ120Bの検出結果を用いてダイバイダイ補正値を算出する。
【0098】
なお、S710乃至S724の処理は、S310乃至S324の処理と同じであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0099】
このように、図6に示すインプリント装置1では、グローバル補正値及びダイバイダイ補正値をより高精度に求めることができるため、基板STとモールドMOとをより高精度にアライメントすることができる。
【0100】
物品としてのデバイス(半導体デバイス、液晶表示素子等)の製造方法は、インプリント装置1を用いて基板(ウエハ、ガラスプレート、フィルム状基板等)にパターンを転写(形成)するステップを含む。かかる製造方法は、パターンが転写された基板をエッチングするステップを更に含む。なお、かかる製造方法は、パターンドットメディア(記録媒体)や光学素子などの他の物品を製造する場合には、エッチングステップの代わりに、パターンが転写された基板を加工する他の加工ステップを含む。
【0101】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原版のパターンを基板に転写するリソグラフィ装置であって、
前記原版に形成された第1のマーク、及び、前記原版を介して前記基板の上の複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークを検出する第1の検出部と、
前記原版を介さずに前記複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークを検出する第2の検出部と、
前記原版のパターンを前記基板に転写するための処理を行う処理部と、
を有し、
前記処理部は、
前記第2の検出部によって前記第2のマークを検出する処理と、
前記第2の検出部による前記第2のマークの検出結果の一部を統計処理して前記複数のショット領域の配列を表す統計量を求める処理と、
前記複数のショット領域のそれぞれについて、前記統計量から求められる前記複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークの位置と、前記第2の検出部によって検出された前記複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークの位置との差分を求める処理と、
前記第1の検出部によって前記第1のマーク及び前記第2のマークを検出して、前記複数のショット領域のそれぞれについて、前記第1の検出部によって検出される前記第1のマークの位置と前記第2のマークの位置とのずれ量が対応するショット領域の前記差分となるように、前記原版と前記基板との位置関係を調整しながら、前記原版のパターンを前記複数のショット領域のそれぞれに転写する処理と、
を行うことを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項2】
前記第2の検出部は、前記第1の検出部を構成するセンサの検出特性と異なる検出特性を有する第1のセンサと、前記第1の検出部を構成するセンサの検出特性と同じ検出特性を有する第2のセンサと、を含み、
前記処理部は、
前記第2のマークを検出する処理として、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサのそれぞれによって前記第2のマークを検出し、
前記統計量を求める処理として、前記第1のセンサの検出結果を統計処理して前記複数のショット領域の配列を表す統計量を求め、
前記差分を求める処理として、前記複数のショット領域のそれぞれについて、前記統計量から求められる前記複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークの位置と、前記第2のセンサによって検出された前記複数のショット領域のそれぞれに形成された第2のマークの位置との差分を求めることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記基板を保持する基板ステージの位置を計測する計測器を更に有し、
前記処理部は、
前記第2の検出部によって前記第2のマークを検出する際に前記計測器を用いて前記基板ステージの位置制御を行い、
前記第1の検出部によって前記第1のマーク及び前記第2のマークを検出する際に前記計測器を用いて前記基板ステージの位置制御を行い、
前記第1の検出部によって前記第1のマーク及び前記第2のマークを検出する際の前記基板ステージの位置制御の精度は、前記第2の検出部によって前記第2のマークを検出する際の前記基板ステージの位置制御の精度よりも低いことを特徴とする請求項1又は2に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
前記計測器は、干渉計であることを特徴とする請求項3に記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記原版のパターンを前記複数のショット領域のそれぞれに転写する処理として、前記基板に塗布された樹脂に前記原版を押し付けた状態で当該樹脂を硬化させ、硬化した樹脂から前記原版を剥離するインプリント処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
前記原版と前記基板との間の空間に予め定められた気体を供給するための供給部を更に有し、
前記供給部は、
前記処理部が前記インプリント処理を行っている間においては、前記空間へ前記気体を供給し、
前記処理部が前記第2の検出部によって前記第2のマークを検出する処理を行っている間においては、前記空間への前記気体の供給を停止することを特徴とする請求項5に記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記原版のパターンを前記複数のショット領域のそれぞれに転写する処理として、前記原版のパターンを投影光学系によって前記複数のショット領域のそれぞれに投影する露光処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
前記統計量は、前記複数のショット領域のそれぞれのシフト成分、倍率成分及び回転成分の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載のリソグラフィ装置を用いて原版のパターンを基板に転写するステップと、
前記パターンが転写された基板を加工するステップと、
を有することを特徴とする物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−253839(P2011−253839A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124614(P2010−124614)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】