説明

リニアモータの可動子

【課題】組となるセンサ列の増加の如何にかかわらず、外周フレーム5の円周面のどの位置に配列したとしても、直径の対向間隔をもって一定に維持された状態で、そのセンサ面をコイルブロック3a中心に向けて取着でき、磁気センサ6の検知電圧の大小出力値の平均化により、シャフト2に軸芯ズレが生じても可動子3が中心に位置するものと擬制して位置検出できるようにする。
【解決手段】筒状ユニット3bに設けられたプリント基板35の円周面に、センサ用の端子部35eを、コイルブロック3aの中心を挟んで対向する線上の一方と他方のそれぞれに、電気角180゜のピッチ幅をもって一列状に複数配設し、かつ、他方の列側を一方の列側に対して電気角90゜をもって位置ズレさせて配置させて、対向取着される磁気センサ6によって、二相信号の検出を行うよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動子をシャフトに沿って直線的に駆動させるシャフト型リニアモータの可動子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直線駆動する電気アクチュエータとしてシャフト型リニアモータが注目されている。この種リニアモータは、複数の棒状磁石が直列状に配列されたシャフト(固定子)と、該シャフトにスライド自在に外嵌する可動子とを備え、該可動子の内周部に設けられるコイルの励磁によって、可動子を直線的に駆動させるようになっている。このような構成によれば、コギングや速度ムラが少ないので、様々な分野での応用が検討されている。
【0003】
シャフト型リニアモータを位置決め制御する場合は、通常、可動子の位置を検出するための位置検出装置が別途付加されている。この種の位置検出装置としては、リニアスケールが一般的であるが、リニアスケールやリニアエンコーダは高価であるため、システム全体のコストアップを招き、シャフト型リニアモータの用途が制限されるという問題があった。また、リニアスケールを付加すると、シャフト型リニアモータの周辺が大型化するので、コンパクト化が求められる分野での利用が制限されることから、従来、シャフトの磁束を検出するチップ型磁気センサ(ホール素子、信号処理用ICなど)を、可動子にシャフトを挟んで一列状に対向させ、これを対称(正対面)に又は位置ズレさせて、位置検出に利用可能な二相の正弦波を得ることで、リニアスケールなどを用いることなく位置決めできるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1の図12参照)。
【0004】
しかしながら、このものは、各列の磁気センサを対称に配設するにあたり、磁束分布が多くの空間高調波を検出するピッチで二相の正弦波を得られるように、磁気センサの大きさを考慮し各列を実質的な間隔が3mmとなるように6mm間隔で配置させることで、細かなピッチで出来るだけ多くの個数を配設させてセンサ精度を上げるようにしていることから、使用する磁気センサの数量が多くなるという問題がある。また、一般的に、リニアモータの可動子が、予めコイルブロックを形成するための複数のコイルが巻装された3連n組のコイルボビンを矩形状のケーシング内に収容し、シャフトに外嵌するように制作(例えば、特許文献2の図1参照)されており、対向配列する磁気センサを、予め平板状の基盤に配設させておき、これをケーシング内の四隅部となる余剰スペースを利用して、ケーシングの両側内壁に挿入セットして組み付けしていることから、各センサ列の配設位置や対向間隔等、組付け精度上の誤差を生じるばかりか、各センサ列がシャフトから遠ざかる上部又は下部側に配設した構成となってしまい、各列のセンサ面をコイルブロックの軸芯方向に向けて配設することができず、各センサ列毎の検出信号にバラツキが生じるという問題があった。
【0005】
このため、シャフトが、通常、ステンレス管内に複数のドーナツ棒状磁石を直列状に挿入した構成となっており、長くなるに追随して、その自重で湾曲や撓みにより生じた変形や、熱による膨張、収縮などの影響によるシャフトの変形を考慮した位置検出を行うことが出来ないという問題を生じ、可動子の移動に伴なってシャフトの変形により左右方向や上下方向への軸芯ズレが生じても、可動子の位置検出を高精度に行うことができ、しかも、好適な推力を得ることができるように可動子全体のコンパクト化と軽量化が図られると共に、各コイルの線端末の結線作業の効率化を図ることのできる可動子の出現が望まれていた。

【特許文献1】特開2007−143226号公報
【特許文献2】特開平11−206099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の如き問題点を一掃すべく創案されたものであって、リニアモータの可動子にシャフトの磁束を検出する磁気センサを対向配列するようにしたものでありながら、対向配置される磁気センサを、外周フレームの円周面に沿わせて装着されたプリント基板に対して、組となるセンサ列の増加の如何にかかわらず、外周フレームの円周面のどの位置に配列したとしても、対向間隔を一定に維持した状態で、そのセンサ面を筒状ユニット中心に向けて取着できるようになり、筒状ユニットの中心を結ぶ水平線上、垂直線上、対角線上に対向配置させたセンサ列を組として利用することができる結果、均等な二相信号の出力が得られ、可動子の移動に伴なってシャフトの変形により軸芯ズレの影響が生じても、シャフトの軸芯ズレなどの変形を考慮した二相信号の組み合わせ演算を簡易化することができ、水平方向や垂直方向といった主要な軸芯ズレ方向の影響を考慮した可動子の位置検出が、少ない磁気センサ数で高精度に行えるようになり、しかも、軽量なフレキシブルプリント基板の採用を可能ならしめ、コイル数の増加に伴ってコイルブロックが長くなっても、各コイルの線端末との結線作業や磁気センサの取着・結線作業が煩雑となることが無く、作業工数の簡素化と部品点数の削減が図られると共に、可動子全体の軽量化とコンパクト化が図られて、良好な推力をもって駆動することができ、凹凸部材などが可及的に排除されたスッキリとした外観の筒状ユニットとして安価に製作することのできるリニアモータの可動子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のリニアモータの可動子は、 複数の棒状磁石が直列状に配列されたシャフトにスライド自在に外嵌され、その内周部に備えるコイルの励磁によって直線的に駆動するよう構成されたリニアモータの可動子であって、該可動子は、3相コイルを組として巻線される複数のコイルを並設して形成された前記シャフトに外嵌されるコイルブロックと、略180゜又はそれを超える円周角を有する円弧状または円筒状に形成されて、コイルブロックの円周面に沿うよう装着される外周フレームと、該外周フレームの円周面域に沿わせて装着される前記各コイルの線端末と可動子の位置検出を行う磁気センサとがそれぞれ接続される複数のコイル用とセンサ用の端子部と所定の配線パターンが形成されたプリント基板とを備え、全体が筒型形状に形成された筒状ユニットに構成し、前記センサ用の端子部を、コイルブロックの中心を挟んで対向する線上の一方と他方のそれぞれに、所定の電気角ピッチ幅をもって一列状に複数配設し、かつ、他方の列側を一方の列側に対して電気角90゜をもって位置ズレさせて配置せしめ、このセンサ用の端子部に対向取着される磁気センサによって、一方のセンサ列側でSin信号を検出し、他方のセンサ列側でCos信号を検出可能とすべく構成してあることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記のように構成したことにより、リニアモータの可動子にシャフトの磁束を検出する磁気センサを対向配列するようにしたものでありながら、対向配置される磁気センサを、外周フレームの円周面に沿わせて装着されたプリント基板に対して、組となるセンサ列の増加の如何にかかわらず、外周フレームの円周面のどの位置に配列したとしても、直径の対向間隔をもって一定に維持された状態で、そのセンサ面を筒状ユニット中心に向けて取着できるようになり、筒状ユニットの中心を結ぶ水平線上、垂直線上、対角線上に対向配置させたセンサ列を組として利用することができる。その結果、Sin信号とCos信号との均等な二相信号を得ることができ、可動子の移動に伴なってシャフトの軸芯ズレなどによる変形の影響やシャフト内磁石の不均等着磁並びが生じても、検出した各検知電圧の大小出力値を平均化するだけの簡単な演算により、シャフトの軸芯ズレなどの変形がなかったものと擬制して取り扱うことを可能ならしめ、水平方向や垂直方向といった主要な軸芯ズレ方向の影響を加味した可動子の位置検出を、少ない磁気センサ数で高精度に行えるようになり、しかも、軽量なフレキシブルプリント基板の採用を可能ならしめ、コイル数の増加に伴ってコイルブロックが長くなっても、各コイルの線端末との結線作業や磁気センサの取着・結線作業が煩雑となることが無く、作業工数の簡素化と部品点数の削減が図られると共に、可動子全体の軽量化とコンパクト化が図られて、良好な推力をもって駆動することができ、凹凸部材などが可及的に排除されたスッキリとした外観の筒状ユニットとして安価に製作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を好適な実施の形態として例示するリニアモータの可動子を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、シャフト型リニアモータの斜視図である。この図に示すように、シャフト型リニアモータ1は、0.5mm程度の非磁性体ステンレス管(アルミニウム合金、銅合金、チタン、樹脂等でもよい)内に複数の棒状磁石2aが互いの磁極が対向するように直列状に配列されたシャフト2と、該シャフト2にスライド自在に外嵌する可動子3とを備えて、基台4に装着されており、該可動子3の内周部に設けられるコイルの励磁により、可動子3を直線的に駆動させる。なお、棒状磁石2aは、その中心に孔が穿設されているドーナツ状の棒状磁石でも良い。
【0010】
前記基台4は、シャフト2の両端部を持設する支持部41、41と、該支持部41、41間に設けられたガイドレール42と、可動子3を案内支持してガイドレール42上を走行する走行台43により構成される。走行台43には、両側からガイドレール42を挟持する状態でスライド走行自在に案内支持されるガイド片431、431が設けられており、シャフト2は、前記支持部41、41間に両端支持されている。なお、ここでは、シャフト2を固定し、可動子3をシャフト2に沿って駆動させたが、可動子3を固定し、シャフト2を駆動させるようにしても良い。
【0011】
図2(A)は、本発明の実施形態に係る可動子3の断面詳細図、同じく図2(B)は側面図、図3はコイルブロックの斜視図、図4はフレキシブルプリント基板が付着される外周フレームの斜視図、図5はフレキシブルプリント基板(FPC)の構成図、図6は磁気センサの配置ピッチの説明図、図7は筒状ユニットの斜視図、図8はベースフレームの斜視図である。これらの図に示すように、可動子3は、所定間隔を存して配設された複数のリング状鍔片31bを有して、シャフト2に外嵌されるコイルボビン31と、該コイルボビン31の各鍔片31b間の胴部に、3相コイルを組として巻線される複数のコイル32…とにより形成されるコイルブロック3aと、略180゜又はそれを超える円周角を有する円弧状(円筒状であっても良い)と略コイルブロック3aの長さを有して形成され、鍔片31bの外周面に沿わせて装着される外周フレーム5と、該外周フレーム5の円周面域に沿わせて装着される各コイル32…の始端・終端となる線端末と接続される複数のコイル用の端子部35bと所定の配線パターン、および、可動子の位置検出を行う磁気センサ6を接続するための複数のセンサ用の端子部35eと所定の配線パターンが形成されたプリント基板35とを備えることで、全体を筒型形状に形成された筒状ユニット3bに構成し、この筒状ユニット3bが内装される樹脂製(ゴム等を含む)のケース体33と、その上面側にナット部34aが埋設されて密着する所定のワーク(XYZ軸テーブルなど)を取り付けするためのベースプレート34を備えて構成される。
【0012】
コイルブロック3aは、6個の単体よりなるコイルボビン31を、各鍔片31b同士を密着して連設させた、3相駆動のためのU相、V相、W相の捲き方向を同じくする3相駆動のための3個のコイル32から成る2つのユニットを組として構成されるが、3組、4組ユニットなどその組数は任意である。コイルブロック3aの両端側には、図2(A)に示すように、その端面となる鍔片31bに対して、片鍔に形成したボビンの鍔片31bを面着することで、コイルブロック3aの両側端面からそれぞれ突出する余長部31a、31aが設けられている。この両側の余長部31a、31aは、筒状ユニット3bを収納するケーシングと装着や密封構成などとの関係で、必要において設けられるものであり、通常コイルボビン31の胴厚を薄厚とし、本願出願人が特願2009−140389として開示した筒状軸を薄厚として、これに嵌挿させて、コイルブロック3aを構成するようにしても良い。
また、コイルブロック3aには、各コイル32の始端と終端とからなる一対の先端末が接続され、かつ、外方に向けて鍔片31bを介して立設する結線ピン32aを、各コイル32毎に一対として、コイルブロック3aの一端側から他端側に順次に配列させて設けられている。
【0013】
この結線ピン32aは、図3に示すように、鍔片31bの円周端部に形成した基片31cに設けられ、コイル32をコイルボビン31に捲線する際の作業工程において、その先端末が自動接続される。つまり、単体のコイルボビン31は、両側鍔片31b、31bの円周端部に、円周の約1/2程度の円弧幅をもって、それぞれ後述する外周フレーム5をセットするための180゜を超える円弧状に切欠き形成された凹溝31dと、この円弧状の凹溝31dの幅内に、それぞれ対角対向する位置に外方に突出形成された基片31cと、一方と他方の鍔片31bの側面部に、隣接するコイルボビン31同士を、所定の凹凸関係で嵌合連結可能に形成された係合手段31eとにより構成される。この様に形成された単体のコイルボビン31同士の鍔片31bの側面部を、係合手段31eを介して面当て接合すると、一方の基片31cと他方の基片31cとが対面する円弧状凹溝31dの外周にオーバーラップして配置され、所定数を順次に連設して構成されたコイルブロック3aにおいて、統合された円弧状凹溝31d内に所定の円弧幅をもって、結線ピン32a…が一方側と他方側に振り分け配置され、並行する直線的な2列の配列となって構成される。
なお、結線ピン32aの配設位置は、基片31cの形成位置や形状変更によって任意に配置することができ、一本の直線的な配列とすることも可能である。また、コイルボビン31は、単体のものの連装に限定されず、3相ユニットを2個用いて組み合わせても良い。
【0014】
この様にコイルブロック3aにおける結線ピン32aを2列の配列に構成すると、各コイル32の線端末(始端と終端)を何れかの側に配置することが可能となる。つまり、本実施形態においては、各コイル32を、その線端末(始端または終端)32aが、各コイルの相毎に始端と終端を交互に振り分けて、U相、W相、V相、およびU相、W相、V相の順にコイルボビン31に巻着させることにより、それぞれの側の6個の結線ピン32a列において、一方側を始端側列(図中上側)とし、他方側を終端側列(図中下側)となるように振り分け配列させている。なお、線端末(始端または終端)は、線端末の始端と終端又は終端と始端を交互に繰り替えして、始端−終端−始端−終端−始端−終端(逆でも良い)の順に配列させても良く、結果として、図5に示すフレキシブルプリント基板35の配線パターン35aとの対応関係をもって配列させたものとなっていれば良い。
【0015】
5はフレキシブルプリント基板35を面着するための外周フレームであって、該外周フレーム5は、鍔片31bの円周に沿って円弧状に湾曲する前記凹溝31dに適合した略180゜又はこれを超える円周角を有し、コイルブロック3aの全長に応じて、その全長よりも僅かに長く形成されており、その面域には、各基片31cの対応位置に6個づつ2列に所定間隔を持って穿設された挿入孔5aが設けられている。また、外周フレーム5の表面側には、四隅部分にフレキシブルプリント基板35を位置決めセットし易いように凸部5bが形成されている。この外周フレーム5を、コイルブロック3aの凹溝31d内に、各基片31cを挿入孔5aに挿入させた状態でセットすることで位置決め保持される。
【0016】
図5は外周フレーム5に面着する前のフレキシブルプリント基板(FPC)35の構成図であって、該フレキシブルプリント基板(FPC)35は、フィルム状の絶縁体(ベースフィルム)の上に接着層を形成し、その上に導体箔(銅箔)でプリントされたコイル用配線35aとセンサ用配線35fのパターンを形成し、はんだ付け部となるコイル用の端子部35bとセンサ用の端子部35e以外には絶縁体を被せて保護した構造となっている。なお、配線35aと配線35fは別層で形成しても良い。各コイル用の端子部35bは、挿入孔5a(結線ピン32a)の配列パターンに対応するそれぞれの部位に12点と、外部引出線35cが結線される任意部位に3点が配され、挿入孔5a部位の各コイル用の端子部35bには、各結線ピン32aが挿通される端子孔35dが穿設されており、その四隅部が凸部5bの形状に対応して切欠き形成され、外周フレーム5上にセットした際に、結線ピン32aと挿入孔5aとの位置決めが行えるようになっている。
【0017】
また、磁気センサ6が取着接続される各センサ用の端子部35eは、コイル用配線35aの両側に、電気角0゜と電気角180゜となるピッチ幅(コイル3つ分の間隔)をもって、一方の側では結線ピン32aが配された鍔片31b部位に一列状に2点、他方の側では電気角90゜ズレた部位に一列状に2点が配され、それぞれの列がコイルブロック3aの中心を結ぶ対向線上に配置されるようになっており、作動信号の各2点を検出することにより回路などの簡略化が期待でき、シャフト内の棒状磁石の不均等な着磁があっても安定した検出精度を得ることができる。
この、電気角によるピッチ幅は、図6に示すように、シャフト2内に備える1つの棒状磁石2aのN−S幅を電気角180゜とし、隣接する2つの棒状磁石2aのN−N幅を電気角360゜として設定したものであり、本実施例で使用される1つの棒状磁石2aの幅と3相コイル(コイル3つ分)の幅が略同じとなる関係で設定されているので、センサ用の端子部35eを、一方の列側では端子孔35dの位置を基準に形成し、他方の列側ではこれを基準として電気角90゜ズレた部位の端子孔35d間に形成すれば容易かつ的確に位置決めされて、磁気センサ6を取着した際に、一方の列側で電気角0゜と電気角180゜のSin信号を検出することができ、他方の列側でCos信号を検出することが可能となる。なお、ピッチ幅は、90゜や360゜であっても良い。
【0018】
そして、フレキシブルプリント基板35を、端子孔35dから結線ピン32aを突出させた状態で、両面粘着テープを介して外周フレーム5に貼り付け面着させて、外周フレーム5と共にコイルブロック3aにセットし、この突出した結線ピン32aと各コイル用の端子部35bとを、常にフレキシブルプリント基板35の上面側からハンダ付けにより順次に結線するだけの結線作業により、コイルブロック3aに対して、外周フレーム5と共に固定された状態で装着セットでき、また、各磁気センサ6も、各センサ用の端子部35eに対してはんだ付けするだけの結線作業により、上記電気角のピッチ幅とコイルブロック3aの中心を結ぶ対向線上に配置された状態で、容易に位置決め取着できるようになっている。これにより、筒状ユニット3bが構成され、その外観は、コネクタやコイル保持部材、コイル結線部材などの凹凸部材が可及的に排除され、全体がスッキリと簡素化された円筒形状の略平滑面として形成される。
【0019】
また、フレキシブルプリント基板35に所定のコイル用配線パターンとして形成されるコイル用の配線パターン35aは、この様に分配されたコイル用の端子部35b(結線ピン32a)の配置に基づいて、各ユニットのU相コイル同士、V相コイル同士、W相コイル同士をそれぞれ直列または並列に接続させ、この各相同士にそれぞれ電流供給し、駆動制御するための外部の駆動制御回路に接続される外部引出線35cを接続させる、所謂、図3(B)に示すスター結線により整然とした幾何学的なパターンをもって容易に形成することができるようになっている。
一方、センサ用の配線パターン35fは、磁気センサ6が外部電源入力用と出力用に各々一対の端子(計4つ)を備えており、これに対応して、一方の列側でSin信号を検出し、他方の列側でCos信号を検出するようそれぞれの配線パターン35f、35fをもって形成されている。なお、各磁気センサ6に対して電流供給し、検知制御するための外部引出線(図示しない)は、センサ用の端子部35eに接続させ、これを外部引出線35cと束ねるなどして任意に引き出しすれば良く、これら外部引出線35c等は、ビニール線等のリード線の他、これらを配線保護用のチューブ等で纏めてハーネス線にしても良い。
【0020】
所定の結線作業が完了し磁気センサ6が取着された筒状ユニット3bは、所定の箱型ケース(枠フレームタイプのものを含む)や樹脂一体型ケースで成形したケーシングに収容される。本実施例においては、熱可塑性ポリアミド系樹脂などのホットメルト樹脂により、その外周面域に密着被覆した状態で角柱の外観形状に一体形成された半硬質の樹脂製のケース体33を採用すると共に、収容性を考慮して筒状ユニット3bの両側には、図2に示す如く、余長部31a、31aを設けたものを採用している。
この様に、ケース体33を樹脂一体型ケースで形成した場合には、筒状ユニット3b自体の外周全面を樹脂皮膜する作業工程と、ベースプレート34のケース体33への組み付け作業工程が同時に行えるので作業工数を簡素化することができる。
また、両側の余長部31a、31aは、特に広幅面に形成されており、その外周面域に形成される樹脂製のケース体33の左右両側の支持受け部33a、33aを肉厚に形成することで補強し、密封支持する補強と密封を兼ね備えた支持面として機能するようになっており、筒状ユニット3bの円弧状面とケース体33の平面部に形成される肉薄な被覆面を有していても、その4隅部に形成される肉厚な角部と共にケース体形状を維持している。なお、使用する樹脂硬度によっては、この余長部31aを不要としても良い。
【0021】
ベースプレート34は、筒状ユニット3bの円弧域部分との当接を回避するように、中央域に凹状溝を有し全体が四周の立上り部を有するアルミ製の箱型形状に形成されており、その立上り部の四隅に都合4個所のナット部34aが設けられ、幅方向の立上り面が横向き凹状の段差面に形成されている。また、33bはケース体33に一体形成される密封補強部であって、該密封補強部33bは、フレキシブルプリント基板35に結線された外部引出線35c(センサ用含む)などケース体33の外部へ引出す部分を補強し、ケース体33と外部引出線35cとを密封する。
【0022】
ここで、本願出願人が特願2009−140389として開示した樹脂一体型ケース体33の成形方法(図示しない)を簡単に説明すると、上下に2分した状態で上型と下型により構成されるケース体成型用の金型を用い、この金型内に形成される囲繞空間の横幅が、両側の余長部31a、31aを含む筒状ユニット3bの全長コイルボビン31の全長と等しく、内周面がコイル32の外径よりも大きめに設定されており、ベースプレート34と筒状ユニット3bが収納可能に形成されている。上型と下型の中心部の両側には、コイルボビン31の内径と略等しい半円弧状の円弧溝を有し、一側面側には外部引出線35c(センサ用含む)を引出した際に密封補強部33bを形成するための引出し溝を有し、上型には、その中心に漏斗状のホットメルト樹脂の注入口を有している。
成形手順は、まず、下型にベースプレート34をセットし、コイルボビン31に芯棒を挿入して、この芯棒を前記円弧溝に載置すると、ベースプレート34の中央凹溝内に、筒状ユニット3bの円弧域部分を臨ませた状態で、両者が所定間隔を存した状態で下型にセットされ。その際、フレキシブルプリント基板35側をベースプレート34と重ならないよう上側に向けて配置させ、外部引出線35c(センサ用含む)を前記引出し溝から引き出しておき、上型を被せて下型とボルト止めする。
その後、上型と下型により形成される囲繞空間(内部空域)内に、前記注入口よりホットメルト樹脂を空域内全体に注入する。注入したホットメルト樹脂が硬化したら上型を外して金型から芯棒を持って取り出し、芯棒を引き抜けば、ホットメルト樹脂が両側余長部31a、31aを含む筒状ユニット3b全体の外周面域に密着被覆した密封状態で、角柱状のケース体が成型されると共に、ベースプレート34がケース体33に一体的に密着して可動子3自体の成形が完了する。
なお、ケース体33の外観形状を変更するには、金型の内部空域を角柱や円柱等の任意の形状に成形しておけばよい。また、本実施例では、ホットメルト樹脂として、接着性、防水性、防滴性、絶縁性、保護性を有する熱可塑性のポリアミド系樹脂を用いたが、ケース体に適した種々の樹脂(ゴムを含む)を用いてもよい。
【0023】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、シャフト2の磁束を検出する磁気センサ6を、可動子3自体に対向配列して設けるのであるが、本発明における可動子3は、3相コイルを組として巻線される複数のコイル32…を並設して形成されたシャフト2に外嵌されるコイルブロック3aと、略180゜又はそれを超える円周角を有する円弧状または円筒状に形成されて、コイルブロック3aの円周面に沿うよう装着される外周フレーム5と、該外周フレーム5の円周面域に沿わせて装着される各コイル32の線端末と可動子3の位置検出を行う磁気センサ6とがそれぞれ接続される複数のコイル用とセンサ用の端子部35b、35fと所定の配線パターン35a、35fが形成されたプリント基板35とを備えて、全体が筒型形状に形成された筒状ユニット3bに構成されている。
前記センサ用の端子部35eを、コイルブロック3aの中心を挟んで対向する線上の一方と他方のそれぞれに、所定の電気角(180゜)のピッチ幅をもって一列状に複数配設し、かつ、他方の列側を一方の列側に対して電気角90゜をもって位置ズレさせて配置せしめることで、このセンサ用の端子部35eに対向取着される磁気センサ6によって、一方のセンサ列側でSin信号の検出を行い、他方のセンサ列側でCos信号の検出を行うことが可能に構成してある。
【0024】
この様に構成すると、リニアモータ1の可動子3にシャフト2の磁束を検出する磁気センサ6を対向配列するようにしたものでありながら、対向配置される磁気センサ6を、外周フレーム5の円周面に沿わせて装着されたプリント基板35に対して、組となるセンサ列の増加の如何にかかわらず、外周フレーム5の円周面のどの位置に配列したとしても、直径の対向間隔が一定に維持された可及的にシャフト2に近づけた状態で、そのセンサ面を筒状ユニット3b(コイルブロック3a)中心に向けて取着できるようになり、筒状ユニット3bの中心を結ぶ水平線上、垂直線上、対角線上に対向配置させたセンサ列を組として利用することができ、均等な二相信号の出力を得ることができるばかりか、シャフト2の表面における空間高調波としての5次調波を利用した位置検出も十分可能となる。
【0025】
さらにこれを、図9のシャフト2の軸芯ズレに対する作用説明図に示す実施例に従って説明すると、この実施例では、水平方向と垂直方向の軸芯ズレを検出できるように、略270゜を超える円周角を有する円弧状に形成した外周フレームを5用い(円筒状であっても良い)、それぞれ組となるセンサ用の端子部35eを、筒状ユニット3bの中心を結ぶ水平線上と垂直線上に対向配列させ、このセンサ用の端子部35eに取着された磁気センサ6によって、それぞれ組となる一方と他方の各センサ列でSin信号とCos信号とを検出することができるようになっている。この状態で、可動子3を移動すると、Sin信号を検出する側とCos信号を検出する側の磁気センサ6は、筒状ユニット3bの直径幅をもって常に一定の対向間隔で検知信号を出力することができるので、シャフト2がその中心に位置する場合には、磁気センサ6による一方のセンサ列側のSin信号と他方のセンサ列側のCos信号の検知波形や電圧の出力が同じ(均等)となり、軸芯ズレなどにより、例えば図中の左側に変形が生じた場合には、変形方向となる一方のセンサ列側では磁気センサ6の電圧出力が大きく、他方のセンサ列側では磁気センサ6の電圧出力が二乗反比例して同じだけ小さくなるという二相の信号特性を得ることができる。
【0026】
このため、各検知電圧の大小出力値を平均化すれば、シャフト2に軸芯ズレなどの変形が生じても可動子3が中心に位置するものと擬制(同じに)して位置検出に利用することができ、その演算式も相加平均すれば良いという極めて簡単なもので行うことができる。しかも、水平方向と垂直方向に配列されたそれぞれのSin信号センサ列(2列)とCos信号センサ列(2列)を組として、演算することができるので、対角方向への軸芯ズレを生じた場合にも、同様の演算式で対応することができるばかりか、筒状ユニット3bがシャフト2にどのような対向角度をもって軸装されたとしても、コイルブロック3aを中心として、隣設するセンサ列相互が90゜の円周角(直角度)、対向間隔、正対称の配置関係が維持され、これ又同様の演算式で対応することができ、ケース体33への角度方向に対する組付け収容もラフに行える。
【0027】
その結果、Sin信号とCos信号との均等な二相信号を得ることができ、可動子3の移動に伴なってシャフト2の軸芯ズレなどによる変形の影響が生じても、検出した各検知電圧の大小出力値を平均化するだけの簡単な演算処理により、シャフト2の軸芯ズレなどの変形がなかったものと擬制して位置検出を行うことが可能となり、水平方向や垂直方向といった主要な軸芯ズレ方向の影響を加味した可動子3の位置検出を、少ない磁気センサ6の数で高精度に行えるようになり、しかも、軽量なフレキシブルプリント基板35の採用を可能ならしめ、コイル数の増加に伴ってコイルブロック3aが長くなっても、殊更磁気センサ6の数を増やす必要がないばかりか、各コイル32の線端末との結線作業や磁気センサ6の取着・結線作業が煩雑となることが無く、作業工数の簡素化と部品点数の削減が図られると共に、可動子全体の軽量化とコンパクト化が図られて、良好な推力をもって駆動することができ、凹凸部材などが可及的に排除されたスッキリとした外観の筒状ユニット3bとして安価に製作することができ、その表面側となる外周全域を樹脂皮膜で被覆するなどの密封手段を適用して、筒状ユニット3b自体の防水化、防塵化などが容易に行えるようになり、箱型ケーシングとの密封構造も殊更不要なものとし得る。
【0028】
また、前記プリント基板35は、フレキシブルプリント基板で構成されており、対向するセンサ用の端子部35e、35f間には、各コイル32に対するコイル用の端子部35bと所定の配線パターン35aが形成されているので、一方の列側でSin信号を検出し、他方の列側でCos信号を検出するためのそれぞれの配線パターン35fを、配線パターン35aが形成されていない面域、即ち、フレキシブルプリント基板35の両サイドや、図9に示す様に中間部に形成することができ、コイル用の配線パターン35aの形成の邪魔となることもない。
【0029】
また、前記コイルブロック3aは、所定間隔を存して配設された複数のリング状鍔片31bを有するコイルボビン31と、鍔片31b間に巻線される複数のコイル32とで形成されると共に、各鍔片31bの外周部には、各コイル32の始端と終端とからなる一対の先端末がそれぞれ各コイル32毎に一対として接続される結線ピン32aを、その円周端部に形成した基片31cを介して外方に向けて立設し、コイルブロック3aの一端側から他端側に順次に並列配置させて設け、前記外周フレーム5は、コイルブロック3aの全長に応じる略長さを有し、基片31cに対して、その対応位置に穿設された挿入孔5aに挿入させて組付けられている。
【0030】
このように構成すると、結線ピン32aの配設位置を、線端末となる始端と終端を、各コイル32毎に同方向または異方向に向けて、プリント基板35の湾曲方向両側に任意に整然と振り分け配列することが可能となり、軽量なフレキシブルプリント基板の採用を可能ならしめ、プリント基板35における3相コイル32…を組としたスター結線を、幾何学的な配線パターンをもって容易に形成することができるだけでなく、結線ピン32aが、基片31c上に立設されているので、その配設位置を、基片31cの形成位置や形状変更によって、並行な2本のラインとなる振り分け配列や、一本の直線的な配列とするような任意に配置変更することも可能となる。しかも、外周フレーム5は、各基片31cを挿入孔5aに挿入させるだけで位置決め保持された状態でセットすることができ、結線ピン32aによらない基片31cとの保持による強固な嵌挿セットが行える。なお、本実施例では、各相をスター結線で接続しているが、デルタ結線としても問題がない。
【0031】
また、前記筒状ユニット3bは、各一対の結線ピン32aを、結線ピン32aの配列に対応して形成されたコイル用の端子部35bに穿設された端子孔35dに挿通せしめ、該各端子孔35dから突出する結線ピン32aとコイル用の端子部35bとを結線せしめて構成されているので、3相コイルを組とする複数のコイル32を並設することによりコイルブロック3aを形成するものでありながら、コイルブロック3aの外周に沿って湾曲するプリント基板35を、コイルブロック3aの外周面に面当て載置するだけで、各コイル32毎の始端と終端となる各一対の結線ピン32aが、コイルブロック3aの一端側から他端側に順次に配列された対応する端子孔35dから突出した状態で位置決めセットできる結果、この結線ピン32aが、プリント基板35の位置ズレを規制するセットピンとして機能し、常にプリント基板35の上面側から順次に突出する結線ピン32aとコイル用の端子部35bとのハンダ付け等による結線作業を行えば良いだけでなく、この結線作業と共に同時にプリント基板35の固定がなされ装着も完了し、従来の如くコイルの線端末同士の結線や、線端末を直接コイル用の端子部35bにハンダ付け結線する作業を一切不要にし得て、更なる作業時間の短縮と作業性の簡易化がなされ、結線ミスを確実に解消できる。
【0032】
また、前記コイル用の端子部35bは、始端と終端となる線端末を、各コイル32毎に同方向または異方向に向けて振り分け配列せしめた結線ピン32aの配設位置に対応して、フレキシブルプリント基板35の湾曲方向両側に並列状に振り分け形成されていることにより、フレキシブルプリント基板35の配線パターン形成面域を、コイルブロック3aの円弧域を利用した広幅な配線スペース面域とすることができ、3相コイル32…を組としたスター結線による配線パターンを、並列状に振り分け配置された線端末間の内面域や外面域を有効利用して、余裕のあるスペース面域に対して、整然とした幾何学的な態様をもって容易に形成することができるばかりか、線端末の配列位置と一致する結線ピン32aも同様に振り分け配置されるので、並列配置された結線ピン32aとコイル用の端子部35bとをハンダ付けすることで、フレキシブルプリント基板35が面着された外周フレーム5をコイルブロック3aに対して円弧の2方向からしっかりと取り付けすることができる。
【0033】
また、前記筒状ユニット3bは、コイルブロック3aの両側に延出形成された余長部31aを有し、該両側余長部31aは、その外周域を、ケース体等の支持受け部に支持可能に構成してあるので、筒状ユニット3b自体に樹脂皮膜で被覆するなどの密封手段を適用する際に、両側余長部31aの外周を含めて被覆することができ、密封手段の適用が更に容易に行えるようになるばかりか、両側余長部31aをケース体33の両側支持受け部33a(33c)に支持させることで、ケース体33内に容易に内装することができ、ケース内装型可動子として構成することができる。
【0034】
つまり、ケース体33内に可動子3を内装させるにあたり、単に、コイルブロック3aの両側余長部31aの外周域をケース体33の両側支持受け部33a(33c)に支持面として支持させるだけで、筒状ユニット3b全体をそのままケース体内に収納でき、セット作業を容易に行うことができると共に、ケース体33が、樹脂一体型ケースや箱型ケースなど、使用するケーシングの幅や余長部31aへの支持面となる幅が異なるものであっても、それに対応して余長部31aの長さを任意に長短設定することができる。しかも、ケース体33内への密封も、筒状ユニット3b自体の外観全体を、コネクタなどの凹凸部材が排除され簡素化された平滑なものとでき、その表面側となる外周全域を樹脂皮膜で被覆するなどの密封手段を適用して、筒状ユニット3b自体の防水化、防塵化が容易に行えるようになり、ケース体33との密封を不要なものとし、或いは、筒状ユニット3b自体の密封によらず、ケース体33との間で密封をする際にも、コイルブロック3aの両側余長部31aの外周部と、フレキシブルプリント基板35に結線された外部引出線35c部分の2個所についてのみ密封手段の適用を行えば良く、各コイル32の結線ピン32a(線端末)が結線されるフレキシブルプリント基板35を含めて、容易に筒状ユニット3bをケース体33内に密封収納でき、もって、両側余長部31aは、その外周域で支持面と密封面としての機能を併せ持つことができ、ケース体33内へのセットと密封手段を介した密封収納を容易に行い得て、作業工数の簡素化と部品点数の削減による総重量の軽量化を実現し、可動子3自体が防水性や防滴性の機能を兼ね備える安価なものとして提供することができる。
【0035】
また、前記コイルブロック3aは、3相駆動のためのU相、V相、W相の各コイルを1組として2組以上の組数にて構成され、所定の配線パターン35aは、各相のコイル32同士をコイル用の端子部35bを介してそれぞれ直列または並列に接続せしめたパターンによって形成されているので、予め、各コイル32の結線ピン32a(線端末)をハンダ付け結線するために、それぞれの側に形成された各コイル用の端子部35bの配列に基づいて、直列または並列の何れであってもスター結線による配線パターンをもって、各配線35aがクロスすることなくフレキシブルプリント基板35にプリントさせておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係るシャフト型リニアモータの斜視図である。
【図2】樹脂一体型ケースに内装した(A)は可動子の断面図、(B)は可動子の側面図である。
【図3】コイルブロックの斜視図である。
【図4】フレキシブルプリント基板が面着される外周フレームの斜視図である。
【図5】フレキシブルプリント基板の構成図である。
【図6】磁気センサの配置ピッチの説明図である。
【図7】筒状ユニットの斜視図である。
【図8】ベースフレームの斜視図である。
【図9】シャフトの軸芯ズレに対する作用説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 シャフト型リニアモータ
2 シャフト
2a 棒状磁石
3 可動子
3a コイルブロック
3b 筒状ユニット
31 コイルボビン
31a 余長部
31b 鍔片
31c 基片
31d 凹溝
31e 係合手段
32 コイル
32a 結線ピン
33 ケース体
33a 支持受け部
33b 密封補強部
34 ベースプレート
34a ナット部
35 フレキシブルプリント基板
35a コイル用配線パターン
35b コイル用端子部
35c 外部引出線
35d 端子孔
35e センサ用端子部
35f センサ用配線パターン
4 基台
41 支持部
42 ガイドレール
43 走行台
431 ガイド片
5 外周フレーム
5a 挿入孔
5b 凸部
6 磁気センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棒状磁石が直列状に配列されたシャフトにスライド自在に外嵌され、その内周部に備えるコイルの励磁によって直線的に駆動するよう構成されたリニアモータの可動子であって、
該可動子は、3相コイルを組として巻線される複数のコイルを並設して形成された前記シャフトに外嵌されるコイルブロックと、略180゜又はそれを超える円周角を有する円弧状または円筒状に形成されて、コイルブロックの円周面に沿うよう装着される外周フレームと、該外周フレームの円周面域に沿わせて装着される前記各コイルの線端末と可動子の位置検出を行う磁気センサとがそれぞれ接続される複数のコイル用とセンサ用の端子部と所定の配線パターンが形成されたプリント基板とを備え、全体が筒型形状に形成された筒状ユニットに構成し、
前記センサ用の端子部を、コイルブロックの中心を挟んで対向する線上の一方と他方のそれぞれに、所定の電気角ピッチ幅をもって一列状に複数配設し、かつ、他方の列側を一方の列側に対して電気角90゜をもって位置ズレさせて配置せしめ、
このセンサ用の端子部に対向取着される磁気センサによって、一方のセンサ列側でSin信号を検出し、他方のセンサ列側でCos信号を検出可能とすべく構成してあることを特徴とするリニアモータの可動子。
【請求項2】
請求項1において、前記電気角ピッチ幅は、180゜であることを特徴とするリニアモータの可動子。
【請求項3】
請求項1または2において、前記プリント基板は、フレキシブルプリント基板で構成されると共に、前記対向するセンサ用の端子部間には、前記各コイルに対するコイル用の端子部と所定の配線パターンが形成されていることを特徴とするリニアモータの可動子。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかにおいて、前記組となるセンサ列は、前記可動子の移動に伴う前記シャフトの変形により生じる左右方向と上下方向への軸芯ズレ、あるいはシャフト内棒状磁石の不均等着磁並びに対応すべく配列されていことを特徴とするリニアモータの可動子。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、前記組となるセンサ列は、可動子の移動に伴う前記シャフトの変形により生じる軸芯ズレを、前記Sin信号の検知電圧とCos信号の検知電圧との大小出力値を平均化演算することで、シャフトが可動子の軸芯に位置するものと擬制して位置検出可能に構成されていることを特徴とするリニアモータの可動子。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかにおいて、前記コイルブロックは、所定間隔を存して配設された複数のリング状鍔片を有するコイルボビンと、前記鍔片間に巻線される複数のコイルとで形成されると共に、前記各鍔片の外周部には、各コイルの始端と終端とからなる一対の先端末がそれぞれ各コイル毎に一対として接続される結線ピンを、その円周端部に形成した基片を介して外方に向けて立設し、コイルブロックの一端側から他端側に順次に並列配置させて設け、
前記外周フレームは、前記コイルブロックの全長に応じる略長さを有し、前記基片に対して、その対応位置に穿設された挿入孔に挿入させて組付けられていることを特徴とするリニアモータの可動子。
【請求項7】
請求項6において、前記筒状ユニットは、前記各一対の結線ピンを、前記結線ピンの配列に対応して形成された前記コイル用の端子部に穿設された端子孔に挿通せしめ、該各端子孔から突出する結線ピンとコイル用の端子部とを結線せしめることで、前記コイルブロックとプリント基板とが一体のものとして構成されていることを特徴とするリニアモータの可動子。
【請求項8】
請求項6または7において、前記コイル用の端子部は、始端と終端となる線端末を、各コイル毎に同方向または異方向に向けて振り分け配列せしめた結線ピンの配設位置に対応して、前記プリント基板の湾曲方向両側に振り分け形成されていることを特徴とするリニアモータの可動子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−5315(P2012−5315A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140417(P2010−140417)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000229645)日本パルスモーター株式会社 (46)
【Fターム(参考)】