説明

リニア同期モータ

【課題】 固定子の製造コストを低減して、磁気損失の少ないリニア同期モータを提供する。
【解決手段】 一方の端部磁極部33の第1の一対の被連結部分47と、エンドブラケット35の第1の一対の被連結部分51と、端部磁極部37の第1の一対の被連結部分55と、5個の磁極部39の第1の一対の被連結部分59とを一対の磁性筒体41によって接続する。一方の端部磁極部33の第2の一対の被連結部分と、端部磁極部37の第2の一対の被連結部分と、5個の磁極部39の第2の一対の被連結部分とを一対の導磁性成形品43により接続する。一対の磁性筒体41にリニア軸受65を介して一対のガイド軸9をスライド可能に嵌合する。一対の磁性筒体41及び一対の導磁性成形品43によりヨークを構成する。5個の磁極部39のそれぞれを、複数枚の磁性鋼板を軸線方向に積層して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動子が固定子に対して直線運動するリニア同期モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2001−286122号公報(特許文献1)には、固定子と該固定子に対して直線運動する可動子とを有するリニア同期モータが示されている。可動子は、軸線方向に往復移動する直動軸と、該直動軸に固定された複数の永久磁石からなる永久磁石列とを備えている。固定子は、直動軸の周囲を囲むように巻線導体が環状に巻かれて形成された複数の巻線と、該複数の巻線を受け入れるスロットが形成された固定子コアユニットとを備えている。固定子コアユニットは、複数の固定子コア分割体が軸線方向に組み合わされて構成されている。固定子コア分割体は、切削加工により形成されており、可動子の永久磁石列と対向する磁極部と、他の固定子コア分割体と組み合わされて複数の磁極部を磁気的に連結するヨークを構成する筒状のヨーク構成部分とを有している。そして、隣接する2つの磁極部間に1つの巻線が配置されている。
【0003】
また、特開2005−328598号公報(特許文献2)に示されたリニア同期モータでは、可動子が導磁性材料からなる2本の直動軸を備えており、固定子が2本の直動軸の周囲をそれぞれ囲むように2つの巻線群を有している。そして、2本の直動軸にそれぞれ固定された永久磁石列は、電気角で180°位置がずれるように配置されており、2つの巻線群は、電気角で180°ずれた状態で励磁されている。このリニア同期モータでは、導磁性材料からなる2本の直動軸内に磁束が流れるため、特許文献1のリニア同期モータで用いたような筒状のヨーク構成部分を必要としない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−286122号公報
【特許文献2】特開2005−328598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2のリニア同期モータでは、2本の直動軸と各コアを通して磁束を流すため、磁束が部分的に集中して流れ、磁気飽和が生じる場合がある。また、各コア間の磁気回路が閉じられず、磁束漏れが生じやすい。そのため、直動軸を2本用いても、推力を十分に高めることができなかった。また、特許文献2のリニア同期モータでは、可動子を搭載する可動子ステージと、固定子を配置する基台を設け、可動子ステージを基台に対して摺動自在に支持させている。そのため、可動子を固定子に支持させる支持構造が大掛かりになり、リニア同期モータの占有体積が大きなものとなる。
【0006】
本発明の目的は、磁束漏れや磁気飽和を防止して推力を十分に高めることができるリニア同期モータを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記目的に加えて、可動子を固定子に支持させる支持構造を簡素化して、リニア同期モータの占有体積を小さくできるリニア同期モータを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、上記目的に加えて、軸線方向の長さ寸法を小さくできるリニア同期モータを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、上記目的に加えて、直動軸が上下方向に往復移動するようにリニア同期モータを配置しても、一方の連結部材が固定子コアユニット側に落下するのを防止することができるリニア同期モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のリニア同期モータは、可動子と固定子とを備えている。可動子は、軸線方向に往復移動する第1及び第2の直動軸及び該第1及び第2の直動軸に取付けられた複数の永久磁石からなる第1及び第2の永久磁石列を備えている。固定子は、第1の巻線群及び第2の巻線群と、固定子コアユニットとを備えている。第1の巻線群は、軸線方向に所定の間隔をあけて配置され「且つ第1の直動軸の周囲を囲むように配置された複数の巻線から構成されている。第2の巻線群は、軸線方向に所定の間隔をあけて配置され且つ第2の直動軸の周囲を囲むように配置された複数の巻線から構成されている。固定子コアユニットは、第1の直動軸の周囲を囲むように第1の直動軸と同心的に配置される磁極部と第2の直動軸の周囲を囲むように第2の直動軸と同心的に配置される磁極部とを一体に有する複数の分割コアが隣接する2つの分割コア間に第1の巻線群の1つの巻線と第2の巻線群の1つの巻線とが配置されるスペースを形成するように軸線方向に間隔をあけて配置されてなる分割コア群及び複数の分割コアを磁気的に連結するヨークを備えている。そして、複数の分割コアは、少なくとも一対の被連結部分を備え、且つ複数の分割コアの少なくとも一対の被連結部分が第1及び第2の直動軸に沿って並んで少なくとも一対の被連結部分列を構成するように配置する。ヨークは、導磁性材料により形成し、少なくとも一対の被連結部分列をそれぞれ構成する複数の被連結部分を機械的に且つ磁気的に連結する少なくとも一対のヨーク構成体から構成する。なお、ここでいう「導磁性材料」とは、磁路を形成することができる磁性材料である。そして、第1の永久磁石列と第2の永久磁石列とは、電気角で180°位置がずれるように配置されている。また、第1の巻線群と第2の巻線群とは、電気角で180°ずれた状態で励磁されている。
【0011】
本発明のリニア同期モータでは、第1の巻線群と第2の巻線群に電流が流れると、隣接する分割コアの間には、第1の永久磁石列と隣接する2つの分割コアと一対のヨーク構成体との間に流れる磁束と、第1及び第2の永久磁石列と隣接する2つの分割コアとの間に流れる磁束と、第2の永久磁石列と隣接する2つの分割コアと一対のヨーク構成体との間に流れる磁束とにより閉じられた3つの磁気回路が形成される。そのため、磁束漏れや磁気飽和を防止して推力を十分に高めることができる。
【0012】
また、複数の分割コアに少なくとも一対の被連結部分を設け、該少なくとも一対の被連結部分に連結される少なくとも一対のヨーク構成体からヨークを構成するので、複数の分割コアを磁気的に連結するヨークの構成を単純なものにできる。また、ヨークを導磁性材料により一体に成形するので、これによっても磁気損失を抑制できる。
【0013】
本発明は、一対のリニア軸受と、第1及び第2のガイド軸と、第1及び第2の連結部材とを更に備えることをことができる。一対のリニア軸受は、固定子コアユニットに固定されている。なお、ここでいう「リニア軸受」とは、軸体を被支持部に対して軸線方向に往復移動に支持するリニアガイド等の軸受である。第1及び第2のガイド軸は、一対のリニア軸受にスライド可能に支持されている。第1の連結部材は、第1及び第2の直動軸の一端及び第1及び第2のガイド軸の一端が連結されている。第2の連結部材は、第1及び第2の直動軸の他端及び第1及び第2のガイド軸の他端が連結されている。このようにすると、第1及び第2の直動軸が固定子に対して軸線方向に往復移動すると、第1及び第2の連結部材を介して第1及び第2の直動軸に連結された第1及び第2のガイド軸がリニア軸受を介して一対の磁性筒体に対してスライドする。このように第1及び第2のガイド軸を一対のリニア軸受にスライド可能に支持させると、可動子を固定子に支持させる支持構造を簡素化して、リニア同期モータの占有体積を小さくできる。また、第1及び第2の直動軸を固定子コアユニットの両端で支持する必要がなく、リニア同期モータの軸線方向の長さを短くすることができる。更に、第1及び第2の直動軸から離れた一対のリニア軸受に可動子の第1及び第2のガイド軸がスライド可能に支持されるため、可動子を支持するリニア軸受に潤滑油を注入しても、潤滑油が第1及び第2の直動軸周辺の部材に付着するという問題が生じない。
【0014】
更に、この場合、複数の分割コアの主要部または全部は、所定の形状の複数枚の磁性鋼板を軸線方向に積層して構成すればよい。なお、ここでいう「複数の分割コアの主要部」とは、例えば、第1及び第2の直動軸の軸線方向の両端部に位置する端部分割コアを除いた複数の中間分割コア等である。このようにすれば、磁性材料に切削加工を施して全ての磁極部を形成する場合に比べて、固定子の製造コストを低くできる。また、固定子コアユニット内で発生する磁気損失及び鉄損を小さくすることができる。
【0015】
少なくとも一対のヨーク構成体は、一対の磁性筒体によって構成し、一対の磁性筒体の内部にはそれぞれリニア軸受を配置するのが好ましい。このようにすれば、一対の磁性筒体がヨーク構成体とガイド軸を支持する支持部材の両方の機能を果たす。そのため、一対のガイド軸を設ける場合において、その支持構造を少ない部品によって構成することができる。
【0016】
第1及び第2の直動軸と第1及び第2のガイド軸は、種々の位置関係で配置することができる。例えば、第1の直動軸の軸中心と第2の直動軸の軸中心と第1のガイド軸の軸中心と第2のガイド軸の軸中心とが直線上に並ぶように、第1及び第2の直動軸と第1及び第2のガイド軸とを配置することができる。このようにすれば、リニア同期モータにおける第1及び第2の直動軸と第1及び第2のガイド軸とが並ぶ方向と直交する方向の寸法を小さくできる。
【0017】
また、第1の直動軸の軸中心と第2の直動軸の軸中心とを結ぶ仮想線と、第1のガイド軸の軸中心と第2のガイド軸の軸中心とを結ぶ仮想線とが、第1及び第2の直動軸並びに第1及び第2のガイド軸に囲まれる領域内で交差するように、第1及び第2の直動軸と第1及び第2のガイド軸とを配置することができる。このようにすれば、リニア同期モータにおける第1及び第2の直動軸が並ぶ方向の寸法、並びに第1及び第2のガイド軸が並ぶ方向の寸法を小さくできる。
【0018】
第1及び第2の連結部材の一方の連結部材と固定子コアユニットとの間には、一方の連結部材が固定子コアユニットに近づいたときに、一方の連結部材を固定子コアユニットから離す方向の付勢力を蓄勢するスプリング機構を配置するのが好ましい。このようにすれば、第1及び第2の直動軸が上下方向に往復移動するようにリニア同期モータを配置した場合には、一方の連結部材を上方に位置させることにより、スプリング機構によって、一方の連結部材が固定子コアユニット側に落下するのを防止することができる。
【0019】
固定子コアユニットは、軸線方向における分割コア群の少なくとも一端に配置されたエンドブラケットを有することができる。この場合、エンドブラケットには、第1及び第2の直動軸の一方の直動軸を囲んで、分割コア群側に開口する凹部を形成し、凹部内に、エンドブラケットに固定されたリニアセンサを配置することができる。また、一方の直動軸には、リニアセンサと対向するように、リニアスケールを配置する。そして、リニアセンサとリニアスケールとにより、リニアモータの位置決めを行う。このようにすれば、凹部内にリニアセンサが配置されることにより、リニアモータをコンパクトにできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のリニア同期モータの実施の形態の一例の正面図である。
【図2】図1に示すリニア同期モータの背面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1に示すリニア同期モータの磁束の流れを説明するために用いる図である。
【図5】(A)〜(C)は、図1に示すリニア同期モータに用いるボビンの平面図、正面図及び右側面図である。
【図6】図1に示すリニア同期モータに用いる一方の端部分割コアの平面図である。
【図7】図1に示すリニア同期モータに用いる他方の端部分割コアの平面図である。
【図8】図1に示すリニア同期モータに用いる中間分割コアの平面図である。
【図9】図1に示すリニア同期モータの磁束の流れを説明するために用いる図である。
【図10】本発明のリニア同期モータの他の実施の形態の正面図である。
【図11】図10に示すリニア同期モータの他の背面図である。
【図12】図10のXII−XII線断面図である。
【図13】図10に示すリニア同期モータの中間分割コアの平面図である。
【図14】本発明のリニア同期モータのさらに他の実施の形態の正面図である。
【図15】図14に示すリニア同期モータの背面図である。
【図16】図14のXVI−XVI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1及び図2は、本発明のリニア同期モータの実施の形態の一例の正面図及び背面図であり、図3は、図1のIII−III線断面図である。図3に示すように、本例のリニア同期モータは、可動子1と固定子3とを有している。可動子1は、第1及び第2の直動軸5A,5Bと、第1及び第2のガイド軸7A,7Bと、第1及び第2の連結部材9A,9Bとを有している。第1及び第2の直動軸5A,5Bは、いずれも導磁性材料からなる細長い円筒形を有しており、軸線方向に往復移動する。第1及び第2の直動軸5A,5Bの外周には、第1及び第2の永久磁石列11A,11Bのそれぞれが配置されている。第1及び第2の永久磁石列11A,11Bは、第1及び第2の直動軸5A,5Bの外周のそれぞれに嵌合されて第1及び第2の直動軸5A,5Bの軸線方向に並ぶ8個の円環状の永久磁石13によりそれぞれ構成されている。8個の永久磁石13は、第1または第2の直動軸5Aまたは5Bの径方向の外面にN極が現れるように着磁された4個の円環状の永久磁石と、S極が現れるよう着磁された4個の円環状の永久磁石を有している。これらの8個の永久磁石は、N極とS極とが軸線方向に交互に並ぶように配置されている。そして、第1の永久磁石列11Aと第2の永久磁石列11Bとは、電気角で180°位置がずれるように配置されている。具体的には、第1の永久磁石列11Aの1個の永久磁石13は、第2の永久磁石列11Bの異極性の1個の永久磁石13と同じ位置に並んでいる。本例では、1つの永久磁石13は、円弧状の6個の永久磁石片が直動軸5A,5Bの周方向に並ぶように配置されて構成されている。永久磁石片は、接着剤を介して第1または第2の直動軸5Aまたは5Bに固定している。なお、永久磁石は、本例のように直動軸5A,5Bの外周に直接的に取り付けてもよいし、間接的に取り付けてもよい。例えば、直動軸の外周に磁石取付部を固定し、該磁石取付部に永久磁石列(複数の永久磁石)を固定することもできる。
【0022】
第1及び第2のガイド軸7A,7Bは、ステンレスからなり、細長い円筒形を有している。第1及び第2のガイド軸7A,7Bは、第1及び第2の直動軸5A,5Bと平行に延びるように配置されている。そして、第1及び第2のガイド軸7A,7Bは、第1及び第2の連結部材9A,9Bを介して第1及び第2の直動軸5A,5Bと連結されている。第1及び第2のガイド軸7A,7Bは、後述する一対の磁性筒体37内に配置されたリニア軸受45によってスライド可能にそれぞれ支持されている。第1及び第2のガイド軸7A,7Bが一対の磁性筒体37内をスライドする構造については、後に詳細に説明する。
【0023】
第1の連結部材9Aは、アルミニウムからなり、図1に示すように、図1の紙面において上下方向に延びる細長い矩形状を有している。第1の連結部材9Aには、4本の螺子15により第1及び第2の直動軸5A,5Bの一端及び第1及び第2のガイド軸7A,7Bの一端が連結されている。第2の連結部材9Bも、アルミニウムからなり、図2に示すように、第1の連結部材9Aと同様に、図2の紙面において上下方向に延びる矩形状を有している。第2の連結部材9Bには、4本の螺子15′により第1及び第2の直動軸5A,5Bの他端及び第1及び第2のガイド軸7A,7Bの他端が連結されている。これにより、第1の直動軸5Aの軸中心5cと第2の直動軸5Bの軸中心5dと第1のガイド軸7Aの軸中心7cと第2のガイド軸7Bの軸中心7dとが、直線上に並ぶように、第1及び第2の直動軸5A,5Bと第1及び第2のガイド軸7A,7Bとは配置されることになる。
【0024】
図3に示すように、固定子3は、第1の巻線群17と第2の巻線群19と固定子コアユニット21とを有している。第1の巻線群17は、6個の巻線23A〜23Fから構成されており、第2の巻線群19は、6個の巻線23G〜23Lから構成されている。巻線23A〜23Lは、巻線導体が環状に巻かれて形成されている。第1の巻線群17の巻線23A〜23Fは、第1の直動軸5Aの軸線方向に間隔をあけて配置され且つ第1の直動軸5Aの周囲を囲むように配置されている。第2の巻線群19の巻線23G〜23Lは、第2の直動軸5Bの軸線方向に間隔をあけて配置され且つ第2の直動軸5Bの周囲を囲むように配置されている。第1の巻線群17の6個の巻線23A〜23F及び第2の巻線群19の6個の巻線23G〜23Lには、電気角で120度ずつ位相がずれた3相の励磁電流(U相,V相,W相)が流れている。そして、第1の巻線群17と第2の巻線群19とは、電気角で180°ずれた状態で励磁されている。例えば、図4に示すように、第1の巻線群17の1個の巻線23Aと、巻線23Aに隣接する第2の巻線群19の1個の巻線23Gは、電気角で180°ずれた状態で励磁されている。より具体的には、第1の巻線群17の巻線23A〜23Fに、励磁電流U相,−U相,−V相,V相,W相,−W相がそれぞれ流れ、第2の巻線群19の巻線23G〜23Lに、励磁電流−U相,U相,V相,−V相,−W相,W相がそれぞれ流れている。巻線23A〜23Lは、図5(A)〜(C)に示すボビン25にそれぞれ収納されている。ボビン25は、巻線23A〜23Lと後述する分割コア(31,33,35)とを絶縁する絶縁合成樹脂材料により形成されている。ボビン25は、中央部に直動軸5A,5Bが貫通する筒部25aと、筒部25aの両端に一体に設けられて直動軸5A,5Bの軸線方向と直交する方向に延びる一対の鍔部25bとを有している。一対の鍔部25bの一方の鍔部には、巻線23A〜23Lの巻始めの引き出し線をボビン25の鍔部25bの径方向外側に引き出すように径方向に延びる溝部25cが形成されている。そして、一方の鍔部25bには、溝部25cが内部に形成され且つ他方の鍔部25bから離れる方向に膨出する膨出部25dが一体に形成されている。膨出部25d内には、溝部25cから引き出された巻き始めの引き出し線が収納されている。巻線23A〜23Lのそれぞれを内部に収納したボビン25は、後述する一対の端部分割コア31,33と5個の中間分割コア35の隣り合う2つの分割コア(31,33,35)間に挿入できる形状及び寸法を有している。
【0025】
第1の巻線群17及び第2の巻線群19を内部に配置する固定子コアユニット21は、図3に示すように、一対のエンドブラケット27及び29と、一対の端部分割コア31及び33と、5個の中間分割コア35と、一対の磁性筒体37とを有している。本例では、一対の端部分割コア31及び33と5個の中間分割コア35とから分割コア群が構成されている。
【0026】
一対のエンドブラケット27,29は、いずれも非磁性のアルミ等に切削加工が施こされて形成されており、図1及び図2に示すように、輪郭がほぼ矩形状を有している。図3に示すように、一対のエンドブラケット27及び29の一方のエンドブラケット27の中央部には、第1及び第2の直動軸5A,5Bがそれぞれ貫通する貫通孔27a,27bが形成されている。エンドブラケット27の上方部分及び下方部分には、第1及び第2のガイド軸7A,7Bがそれぞれ貫通する貫通孔27c,27dが形成されている。本例では、貫通孔27c,27dにより、エンドブラケット27の一対の被連結部分が構成されている。また、図1に示すように、エンドブラケット27の四隅には、取付具が取り付けられる貫通孔27eが形成されている。そして、図3に示すように、貫通孔27c,27dの一部の周囲には、貫通孔27c,27dと同心的に形成され、端部分割コア31側に向かって開口する環状の凹部27fがそれぞれ形成されている。これらの凹部27fには、一対の磁性筒体37のそれぞれの一方の端部が嵌合されている。
【0027】
一対のエンドブラケット27,29の他方のエンドブラケット29の中央部にも、第1及び第2の直動軸5A,5Bがそれぞれ貫通する貫通孔29a,29bが形成されている。エンドブラケット29の上方部分及び下方部分には、第1及び第2のガイド軸7A,7Bがそれぞれ貫通する貫通孔29c,29dが形成されている。本例では、貫通孔29c,29dにより、エンドブラケット29の一対の被連結部分が構成されている。そして、貫通孔29c,29dの一部の周囲には、貫通孔29c,29dと同心的に形成され、端部分割コア33側に向かって開口する環状の凹部29fがそれぞれ形成されている。これらの凹部29fには、一対の磁性筒体37のそれぞれの他方の端部が嵌合されている。また、図2に示すように、エンドブラケット29には、巻線23A〜23Lの巻線導体と電気的に接続されたリード線が束になって構成されるリード線束が貫通するリード線導出孔29gが形成されている。
【0028】
一対の端部分割コア31,33は、いずれも磁性鋼板に切削加工が施こされて形成されており、輪郭がほぼ矩形状を有している。図6に示すように、一対の端部分割コア31及び33の一方の端部分割コア31の中央部には、第1及び第2の直動軸5A,5Bがそれぞれ貫通する貫通孔31a,31bが形成されている。貫通孔31a,31bの内周面は、可動子1の永久磁石列11A,11Bとそれぞれ所定の間隙を介して対向する磁極面を構成している。このため、端部分割コア31は、第1の直動軸5Aと同心的に配置される第1の磁極部31cと第2の直動軸5Bと同心的に配置される第2の磁極部31dとを一体に有する構造を有している。図3に示すように、貫通孔31a,31bの内周壁面(磁極面)は、隣接する中間分割コア35から軸線方向に離れるに従って第1及び第2の永久磁石列11A,11Bとの間の間隙寸法がそれぞれ大きくなるように傾斜している。図6に示すように、端部分割コア31の上方部分及び下方部分には、一対の磁性筒体37がそれぞれ貫通する貫通孔31e,31fが形成されている。本例では、貫通孔31e,31fにより、端部分割コア31の一対の被連結部分が構成されている。
【0029】
図7に示すように、一対の端部分割コア31,33の他方の端部分割コア33の中央部にも、第1及び第2の直動軸5A,5Bがそれぞれ貫通する貫通孔33a,33bが形成されている。貫通孔33a,33bの内周面は、可動子1の永久磁石列11A,11Bとそれぞれ所定の間隙を介して対向する磁極面を構成している。このため、端部分割コア33は、第1の直動軸5Aと同心的に配置される第1の磁極部33cと第2の直動軸5Bと同心的に配置される第2の磁極部33dとを一体に有する構造を有している。図3に示すように、貫通孔33a,33bの内周壁面(磁極面)は、隣接する中間分割コア35から軸線方向に離れるに従って第1及び第2の永久磁石列11A,11Bとの間の間隙寸法がそれぞれ大きくなるように傾斜している。図7に示すように、端部分割コア33の上方部分及び下方部分には、一対の磁性筒体37がそれぞれ貫通する貫通孔33e,33fが形成されている。本例では、貫通孔33e,33fにより、端部分割コア33の一対の被連結部分が構成されている。端部分割コア33の縁部近傍には、樹脂と共にリード線が貫通するリード線貫通孔33gが形成されている。
【0030】
5個の中間分割コア35は、図8に示すように、輪郭がほぼ矩形状を有しており、複数枚の磁性鋼板が直動軸5A,5Bの軸線方向に積層されて構成されている。図3に示すように、5個の中間分割コア35は、一方の端部分割コア31と他方の端部分割コア33との間に軸線方向に並んで配置されている。図8に示すように、中間分割コア35の中央部には、第1及び第2の直動軸5A,5Bがそれぞれ貫通する貫通孔35a,35bが形成されている。貫通孔35a,35bの内周面は、可動子1の永久磁石列11A,11Bとそれぞれ所定の間隙を介して対向する磁極面を構成している。このため、中間分割コア35は、第1の直動軸5Aと同心的に配置される第1の磁極部35cと第2の直動軸5Bと同心的に配置される第2の磁極部35dとを一体に有する構造を有している。中間分割コア35の上方部分及び下方部分には、一対の磁性筒体37がそれぞれ貫通する貫通孔35e,35fが形成されている。本例では、貫通孔35e,35fにより、中間分割コア35の一対の被連結部分が構成されている。第1及び第2の直動軸5A,5Bがそれぞれ貫通する貫通孔35a,35bとの間には、ボビン25の膨出部25dが嵌合されるボビン嵌合溝35gが形成されている。中間分割コア35の縁部近傍には、樹脂と共にリード線が貫通するリード線貫通孔35hが形成されている。本例では、5個の中間分割コア35が複数の分割コア(31,33,35)の主要部を構成している。一方の端部分割コア31と他方の端部分割コア33と5個の中間分割コア35とは、隣接する2つの分割コア(31,33,35)間に第1の巻線群17の1つの巻線(23A〜23F)と第2の巻線群19の1つの巻線(23G〜23L)とが配置されるスペースを形成するように軸線方向に間隔をあけて配置されている。
【0031】
一対のエンドブラケット27,29と、一対の端部分割コア31,33と、5個の中間分割コア35と、第1及び第2の巻線群17,19とが組み合わされた状態で、エンドブラケット27の一対の被連結部分(貫通孔27c,27d)と、端部分割コア31の一対の被連結部分(貫通孔31e,31f)と、中間分割コア35の一対の被連結部分(貫通孔35e,35f)と、端部分割コア33の一対の被連結部分(33e,33f)と、エンドブラケット29の一対の被連結部分(貫通孔29c,29d)とが直動軸5A,5Bに沿って並んで第1の一対の被連結部分列39A,39B(図3)が構成される。第1の一対の被連結部分列39A,39Bをそれぞれ構成する一対の被連結部分(27c,27d)(31e,31f)(35e,35f)(33e,33f)(29c,29d)は、一対の磁性筒体37によって接続されている。そして、図1に示すように、一対の磁性筒体37の一方の端部と一方のエンドブラケット27とは螺子41により固定されている。また、図2に示すように、一対の磁性筒体37の他方の端部と他方のエンドブラケット29とは螺子43により固定されている。
【0032】
一対の磁性筒体37は、導磁性材料から一体に成形されており、円筒形を有している。図3に示すように、一対の磁性筒体37の内部にはそれぞれ一対のリニア軸受45が配置されている。そして、一対の磁性筒体37の一方の磁性筒体内には一対のリニア軸受45を介して可動子1の第1のガイド軸7Aがスライド可能に嵌合されている。また、一対の磁性筒体37の他方の磁性筒体内には一対のリニア軸受45を介して可動子1の第2のガイド軸7Bがスライド可能に嵌合されている。この支持構造により、可動子1の直動軸5A,5Bは、固定子コアユニット21の中心の2つの貫通孔(27a,27b等)の中心にそれぞれ位置決めされる。
【0033】
本例では、一対の磁性筒体37により一対のヨーク構成体から構成されている。この結果、一対の磁性筒体37により、分割コア(31,33,35)を磁気的に連結するヨークが形成されている。
【0034】
また、一対のエンドブラケット27,29と、一対の端部分割コア31,33と5個の中間分割コア35と、一対の磁性筒体37と、第1及び第2の巻線群17,19とが組み合わされた状態で、第1及び第2の巻線群17,19の径方向外側に位置する隣接する2つの分割コア(31,33,35)の間の部分、5個の中間分割コア35のリード線貫通孔35h内及び端部分割コア33のリード線貫通孔33g内には、1液性の熱硬化性合成樹脂47が充填されている。
【0035】
本例のリニア同期モータでは、第1の巻線群17と第2の巻線群19とに電流が流れると、隣り合う2つの分割コア(31,33,35)間に、それぞれ磁束が流れる。端部分割コア33と中間分割コア35とを例にして示すと、図4及び図9に示すように、3つの磁気回路M1,M2,M3が形成される。磁気回路M1は、第1の永久磁石列11Aと中間分割コア35と一対の磁性筒体37の一方の磁性筒体と端部分割コア31との間に流れる磁束により形成される。磁気回路M2は、第1の永久磁石列11Aと中間分割コア35と第2の永久磁石列11Bと端部分割コア31との間に流れる磁束により形成される。磁気回路M3は、第2の永久磁石列11Bと端部分割コア31と一対の磁性筒体37の他方の磁性筒体と中間分割コア35との間に流れる磁束により形成される。第1及び第2の直動軸5A,5Bが固定子3に対して軸線方向に往復移動すると、第1及び第2の連結部材9A,9Bを介して第1及び第2の直動軸5A,5Bに連結された第1及び第2のガイド軸7A,7Bがリニア軸受45を介して一対の磁性筒体37に対してスライドする。
【0036】
本例のリニア同期モータによれば、隣り合う2つの分割コア(31,33,35)間には、閉じられた3つの磁気束回路が形成されるため、磁束漏れや磁気飽和を防止して推力を十分に高めることができる。また、第1及び第2の連結部材9A,9Bを介して第1及び第2の直動軸5A,5Bに連結された第1及び第2のガイド軸7A,7Bを一対のリニア軸受45にスライド可能に支持させるので、可動子1を固定子3に支持させる支持構造を簡素化して、リニア同期モータの占有体積を小さくできる。また、第1及び第2の直動軸5A,5Bを固定子コアユニット21の両端で支持する必要がなく、リニア同期モータの軸線方向の長さを短くできる。
【0037】
図10及び図11は、本発明のリニア同期モータの他の実施の形態の正面図及び背面図であり、図12は、図10のXII−XII線断面図である。図13は図10及び図11に示すリニア同期モータの中間分割コアの平面図である。本例のリニア同期モータは、第1及び第2の直動軸並びに第1及び第2のガイド軸の配置以外は、図1〜図9に示すリニア同期モータと基本的に同じ構造を有している。そのため、図1〜図9に示すリニア同期モータと同じ部材には、図1〜図9に付した符号に100を加えた符号を付して説明を省略する。図10に示すように、本例のリニア同期モータでは、第1の直動軸105Aの軸中心105cと第2の直動軸105Bの軸中心105dとを結ぶ仮想線L1と、第1のガイド軸107Aの軸中心107cと第2のガイド軸107Bの軸中心107dとを結ぶ仮想線L2とが、第1及び第2の直動軸105A,105B並びに第1及び第2のガイド軸107A,107Bに囲まれる領域内で交差するように、第1及び第2の直動軸105A,105Bと第1及び第2のガイド軸107A,107Bとが配置されている。また、第1の直動軸105Aの軸中心105cと第1のガイド軸107Aの軸中心107cとを結ぶ仮想線L3と、第2の直動軸105Bの軸中心105dと第2のガイド軸107Bの軸中心107dとを結ぶ仮想線L4とが平行になっており、第1の直動軸105Aの軸中心105cと第2のガイド軸107Bの軸中心107dとを結ぶ仮想線L5と、第2の直動軸105Bの軸中心105dと第1のガイド軸107Aの軸中心107cとを結ぶ仮想線L6とが平行になっている。
【0038】
本例のリニア同期モータでは、図13に示すように、3つの磁気回路M11,M12,M13が形成される。なお図13では、磁気回路を5本の線で示しているが、磁気回路M11及び磁気回路M13は、それぞれ2つに分けて示している。磁気回路M11は、第1の永久磁石列111Aと隣接する2つの分割コア(135等)と一対の磁性筒体137との間に流れる磁束により形成される。磁気回路M12は、第1の永久磁石列111Aと隣接する2つの分割コア(135等)と第2の永久磁石列111Bとの間に流れる磁束により形成される。磁気回路M13は、第2の永久磁石列111B(符号111Bは図面に付していないが便宜的に記す)と隣接する2つの分割コア(135等)と一対の磁性筒体137との間に流れる磁束により形成される。
【0039】
本例のリニア同期モータによれば、リニア同期モータにおける第1及び第2の直動軸105A,105Bが並ぶ方向の寸法、並びに第1及び第2のガイド軸107A,107Bが並ぶ方向の寸法を小さくできる。
【0040】
図14及び図15は、本発明のリニア同期モータのさらに他の実施の形態の正面図及び背面図であり、図16は、図14のXVI−XVI線断面図である。本例のリニア同期モータは、永久磁石列、一対のエンドブラケット及び該一対のエンドブラケットの内部構造以外は、図10〜図13に示すリニア同期モータと基本的に同じ構造を有している。そのため、図10〜図13に示すリニア同期モータと同じ部材には、図10〜図13に付した符号に100を加えた符号を付して説明を省略する。図16に示すように、本例のリニア同期モータでは、一対のエンドブラケット227,229の軸線方向の寸法が大きく形成されている。一対のエンドブラケット227及び229の一方のエンドブラケット227の内部には、第1及び第2のガイド軸207A,207Bをそれぞれ囲んで、第1の連結部材209A側に開口する2つの凹部227g(図16には1つの凹部227gが示されている)と、第1及び第2の直動軸205A,205Bをそれぞれ囲んで、端部分割コア231側に開口する2つの凹部227h(図16には1つの凹部227hが示されている)とが形成されている。凹部227g内には、スプリング機構を構成するコイルバネ249がそれぞれ配置されている。コイルバネ249は、第1のガイド軸207Aに嵌合された状態で、第1の連結部材209Aとエンドブラケット227の凹部227gの底面227iとの間に配置されている。コイルバネ249は、第1の連結部材209Aが固定子コアユニット221に近づいたときに、一方の連結部材209Aを固定子コアユニット221から離す方向の付勢力を蓄勢する。このため、第1及び第2の直動軸205A,205Bが上下方向に往復移動するようにリニア同期モータを配置した場合には、一方の連結部材209Aを上方に位置させることにより、コイルバネ249の付勢力によって、一方の連結部材209Aが固定子コアユニット221側に落下するのを防止することができる。
【0041】
一対のエンドブラケット227及び229の他方のエンドブラケット229の内部には、第1及び第2の直動軸205A,205Bをそれぞれ囲んで、端部分割コア233側に開口する2つの凹部227j(図16には1つの凹部227jが示されている)が形成されている。凹部227j内には、エンドブラケット229に固定されたリニアセンサ252が設けられている。また、直動軸205Aには、リニアセンサ252と対向するように、リニアスケール253が配置されている。そして、リニアセンサ252とリニアスケール253とにより、リニアモータの位置決めが行われる。本例のリニアモータによれば、凹部227j内にリニアセンサ252が配置されることにより、リニアモータをコンパクトにできる。
【0042】
なお、上記の各例では、複数の分割コアの主要部(5個の中間分割コア35)のそれぞれを複数枚の磁性鋼板を軸線方向に積層して構成したが、複数の磁極部の全部を複数枚の磁性鋼板を軸線方向に積層して構成してよいのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、隣接する分割コアの間に、それぞれ閉じられた3つの磁気回路が形成される。そのため、磁束漏れや磁気飽和を防止して推力を十分に高めることができる。
【0044】
また、第1及び第2の連結部材を介して第1及び第2の直動軸に連結された第1及び第2のガイド軸を一対のリニア軸受にスライド可能に支持させるので、可動子を固定子に支持させる支持構造を簡素化して、リニア同期モータの占有体積を小さくできる。
【0045】
また、第1及び第2の直動軸を固定子コアユニットの両端で支持する必要がなく、リニア同期モータの軸線方向の長さを短くすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 可動子
3 固定子
5A,5B 第1及び第2の直動軸
7A,7B 第1及び第2のガイド軸
9A,9B 第1及び第2の連結部材
11A,11B 第1及び第2の永久磁石列
13 永久磁石
17,19 第1及び第2の巻線群
21 固定子コアユニット
23A〜23L 巻線
27,29 一対のエンドブラケット
31,33 一対の端部分割コア
35 中間分割コア
37 一対の磁性筒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に往復移動する第1及び第2の直動軸及び前記第1及び第2の直動軸に取付けられた複数の永久磁石からなる第1及び第2の永久磁石列を備えてなる可動子と、
前記軸線方向に所定の間隔をあけて配置され且つ前記第1の直動軸の周囲を囲むように配置された複数の巻線からなる第1の巻線群及び前記軸線方向に所定の間隔をあけて配置され且つ前記第2の直動軸の周囲を囲むように配置された複数の巻線からなる第2の巻線群と、前記第1の直動軸の周囲を囲むように前記第1の直動軸と同心的に配置される第1の磁極部と前記第2の直動軸の周囲を囲むように前記第2の直動軸と同心的に配置される第2の磁極部とを一体に有する複数の分割コアが隣接する2つの前記分割コア間に前記第1の巻線群の1つの前記巻線と前記第2の巻線群の1つの前記巻線とが配置されるスペースを形成するように前記軸線方向に間隔をあけて配置されてなる分割コア群及び前記複数の分割コアを磁気的に連結するヨークとを備えた固定子コアユニットとを備えた固定子とを備え、
前記複数の分割コアは、少なくとも一対の被連結部分を備え、且つ前記複数の分割コアの前記少なくとも一対の被連結部分が前記第1及び第2の直動軸に沿って並んで少なくとも一対の被連結部分列を構成するように配置され、
前記ヨークは、導磁性材料により形成され、前記少なくとも一対の被連結部分列をそれぞれ構成する複数の前記被連結部分を磁気的に連結する少なくとも一対のヨーク構成体から構成され、
前記第1の永久磁石列と前記第2の永久磁石列とは、電気角で180°位置がずれるように配置されており、
前記第1の巻線群と前記第2の巻線群とは、電気角で180°ずれた状態で励磁されることを特徴とするリニア同期モータ。
【請求項2】
前記複数の分割コアの主要部または全部は、所定の形状の複数枚の磁性鋼板が前記軸線方向に積層されて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のリニア同期モータ。
【請求項3】
前記固定子コアユニットに固定された一対のリニア軸受と、
前記一対のリニア軸受にスライド可能に支持された第1及び第2のガイド軸と、
前記第1及び第2の直動軸の一端及び前記第1及び第2のガイド軸の一端が連結された第1の連結部材と、
前記第1及び第2の直動軸の他端及び前記第1及び第2のガイド軸の他端が連結された第2の連結部材とを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のリニア同期モータ。
【請求項4】
前記少なくとも一対のヨーク構成体は、一対の磁性筒体によって構成され、
前記一対の磁性筒体の内部にはそれぞれ前記リニア軸受が配置されていることを特徴とする請求項3に記載のリニア同期モータ。
【請求項5】
前記第1の直動軸の軸中心と前記第2の直動軸の軸中心と前記第1のガイド軸の軸中心と前記第2のガイド軸の軸中心とが直線上に並ぶように、前記第1及び第2の直動軸と前記第1及び第2のガイド軸とが配置されていることを特徴とする請求項3に記載のリニア同期モータ。
【請求項6】
前記第1の直動軸の軸中心と前記第2の直動軸の軸中心とを結ぶ仮想線と、前記第1のガイド軸の軸中心と前記第2のガイド軸の軸中心とを結ぶ仮想線とが、前記第1及び第2の直動軸並びに前記第1及び第2のガイド軸に囲まれる領域内で交差するように、前記第1及び第2の直動軸と前記第1及び第2のガイド軸とが配置されていることを特徴とする請求項3のいずれか1つに記載のリニア同期モータ。
【請求項7】
前記第1及び第2の連結部材の一方の連結部材と前記固定子コアユニットとの間には、前記一方の連結部材が前記固定子コアユニットに近づいたときに、前記一方の連結部材を前記固定子コアユニットから離す方向の付勢力を蓄勢するスプリング機構が配置されている請求項3に記載のリニア同期モータ。
【請求項8】
前記固定子コアユニットは、前記軸線方向における前記分割コア群の少なくとも一端に配置されたエンドブラケットを有しており、
前記エンドブラケットには、前記第1及び第2の直動軸の一方の直動軸を囲んで、前記分割コア群側に開口する凹部が形成されており、
前記凹部内には、前記エンドブラケットに固定されたリニアセンサが配置されており、
前記一方の直動軸には、前記リニアセンサと対向するように、リニアスケールが配置されており、
前記リニアセンサと前記リニアスケールとにより、リニアモータの位置決めが行われる請求項3に記載のリニアモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−135703(P2011−135703A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293449(P2009−293449)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000180025)山洋電気株式会社 (170)
【Fターム(参考)】