リンク作動装置
【課題】 コンパクトでありながら、可動部の可動範囲が広く、かつ姿勢調整精度が高く、しかも剛性が高いリンク作動装置を提供する。
【解決手段】 入力部材14に対し出力部材15を、3組以上のリンク機構11を介して姿勢を変更可能に連結する。リンク機構11は、入力側および出力側の端部リンク部材11a,11cと、中央リンク部材11bとでなる。リンク機構11は、各リンク部材11a,11b,11cを直線で表現した幾何学モデルが、中央リンク部材11bの中央部に対する入力側部分と出力側部分とが対称を成す形状である。3組以上のリンク機構11のすべてに、入力部材14に対して出力部材15を任意の姿勢で静止させることが可能な静止機構4を設ける。また、入力部材14および出力部材15にそれぞれ形成された被接触部に接触して入力部材14と出力部材15とを互いに連結する構造体5を設ける。
【解決手段】 入力部材14に対し出力部材15を、3組以上のリンク機構11を介して姿勢を変更可能に連結する。リンク機構11は、入力側および出力側の端部リンク部材11a,11cと、中央リンク部材11bとでなる。リンク機構11は、各リンク部材11a,11b,11cを直線で表現した幾何学モデルが、中央リンク部材11bの中央部に対する入力側部分と出力側部分とが対称を成す形状である。3組以上のリンク機構11のすべてに、入力部材14に対して出力部材15を任意の姿勢で静止させることが可能な静止機構4を設ける。また、入力部材14および出力部材15にそれぞれ形成された被接触部に接触して入力部材14と出力部材15とを互いに連結する構造体5を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、三次元空間における複雑な加工や物品の取り回し等の作業を高速かつ精密に実行するパラレルリンク機構やロボット関節等のリンク機構に利用されるリンク作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パラレルリンク機構を具備する作業装置の一例が、特許文献1に開示されている。この作業装置は、ツールを取付けたトラベリングプレートの位置および姿勢をパラレルリンク機構により変更するようにしたものである。パラレルリンク機構は、下端にトラベリングプレートが連結された複数のリンクを備え、これらリンクの上部が自在継手により角度変更可能に支持されると共に、リンクごとに、自在継手よりも下方へ位置する有効長さを変更可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−94245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のパラレルリンク機構は、各リンクの作動角が小さいため、トラベリングプレートの作動範囲を大きく設定するためには、リンク長さを長くする必要がある。それにより、機構全体の寸法が大きくなって、装置が大型になってしまうという問題があった。また、リンク長さを長くすると、機構全体の剛性の低下を招く。そのため、トラベリングプレートに搭載されるツールの重量、つまりトラベリングプレートの可搬重量も小さいものに制限されるという問題もあった。
【0005】
この発明は、コンパクトでありながら、可動部の可動範囲が広く、かつ姿勢調整精度が高く、しかも剛性が高いリンク作動装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のリンク作動装置は、入力部材に対し出力部材を、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各リンク機構は、それぞれ前記入力部材および出力部材に一端が回転可能に連結された入力側および出力側の端部リンク部材と、これら入力側および出力側の端部リンク部材の他端をそれぞれ回転可能に連結した中央リンク部材とでなり、前記各リンク機構は、このリンク機構を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する入力側部分と出力側部分とが対称を成す形状である。言い換えると、この発明のリンク作動装置は、入力側および出力側のそれぞれに設けた入力部材および出力部材に対して回転可能に端部リンク部材を連結し、入力側と出力側のそれぞれの端部リンク部材を中央リンク部材に対して回転可能に連結したリンク機構を3組以上有し、各リンク機構の中央部における横断面に関して入力側と出力側を幾何学的に同一としたものである。
この発明は、上記リンク作動装置において、前記3組以上のリンク機構のすべてに、前記入力部材に対して前記出力部材を任意の姿勢で静止させることが可能な静止機構を設け、前記入力部材および出力部材にそれぞれ形成された被接触部に接触して入力部材と出力部材とを互いに連結する構造体を設けたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、入力部材と、出力部材と、3組以上のリンク機構とで、入力部材に対し出力部材が直交2軸方向に移動自在な2自由度機構が構成される。この2自由度機構は、コンパクトでありながら、出力部材の可動範囲を広くとれる。例えば、入力部材の中心軸と出力部材の中心軸の最大折れ角は約±90°であり、入力部材に対する出力部材の旋回角を0°〜360°の範囲に設定できる。
【0008】
入力部材と出力部材とを互いに連結する構造体を設けたことにより、リンク作動装置のガタつきを抑える効果および剛性を高める効果が得られる。また、3組以上のリンク機構のすべてに静止機構を設けたため、例えば構造体により入力部材と出力部材との間に力を発生させた場合に、その力を逃すリンク機構が無く、リンク作動装置全体に予圧がかかる。そのため、リンク作動装置のガタつきが減少し、かつ剛性が向上する。構造体により入力部材と出力部材との間に力を発生させない場合でも、出力部材に力が作用したときに、角度制御されていないフリーのリンク機構が存在しないため、リンク作動装置全体の剛性が向上し、出力部材の姿勢調整精度が向上する。
【0009】
この発明において、前記静止機構は、前記入力側の端部リンク部材に直接または間接的に連結され、前記入力部材に対する前記入力側の端部リンク部材の回転を拘束するように作用するアクチュエータを有するのが良い。
静止部材が上記アクチュエータを有すると、入力部材に対する出力部材の姿勢を安定して保持できるだけでなく、入力部材に対する出力部材の姿勢を変更することが可能である。
【0010】
静止部材が上記アクチュエータを有する場合、前記静止機構により前記入力部材に対し前記出力部材を任意の姿勢で静止させるとき、前記入力部材および出力部材の被接触部と前記構造体との間に作用する接触力が大きくなるように前記アクチュエータを制御する制御手段を設けると良い。
制御手段により、入力部材および出力部材の被接触部と前記構造体との間に作用する接触力が大きくなるように、すなわち入力部材と出力部材間に力が発生するようにアクチュエータを制御して、入力部材および出力部材のリンク球面中心間の距離を微小に変動させると、被接触部に作用する接触力の大きさが変わる。接触力が大きくなると、この接触力に抗してリンク作動装置を一定の動作位置に保とうとするため、姿勢調整時におけるリンク作動装置全体の剛性が向上する。
【0011】
前記制御手段は、前記静止機構により前記入力部材に対し前記出力部材を任意の姿勢で静止させるとき、前記各アクチュエータを、それぞれが発生する力が互いに干渉し合う方向に駆動させるように制御すると良い。
各アクチュエータの発生する力が互いに干渉し合えば、入力部材に対する出力部材の姿勢変化が抑制され、リンク作動装置全体に力が作用する。それにより、入力部材および出力部材のリンク球面中心間の距離が微小に変動するため、被接触部に作用する接触力の大きさが変わり、リンク作動装置全体の剛性が向上する。
【0012】
また、前記制御手段は、前記入力部材に対し前記出力部材を姿勢変更するとき、前記各アクチュエータのうち2つのアクチュエータについては、これらアクチュエータの動作位置が定められた制御目標位置となるように制御し、残りのアクチュエータについては、このアクチュエータが発生するトルクが定められた制御目標位置となるように制御しても良い。
少なくとも2つのアクチュエータを位置制御することにより、入力部材に対する出力部材の位置が決定される。残りのアクチュエータをトルク制御することで、前記2つのアクチュエータの駆動力を低減することができ、アクチュエータを小型・コンパクト化できる。また、すべてのアクチュエータを位置制御した場合、すべてのアクチュエータの位置を協調させながら駆動する必要があるため、動作速度が遅くなるが、2つのアクチュエータだけを位置制御させれば、アクチュエータのスムーズな動作が可能になり、動作速度も速くなる。
【0013】
また、前記各アクチュエータと前記各入力側の端部リンク部材との間に相互に力の伝達が可能な力伝達機構を有する場合、前記制御手段は、前記入力部材に対し前記出力部材を姿勢変更するとき、前記各アクチュエータのうち2つのアクチュエータについては、これらアクチュエータの動作位置が定められた制御目標位置となるように制御し、残りのアクチュエータについては、このアクチュエータが発生するトルクが定められた制御目標位置となるように制御するか、またはフィードバック制御機能をオフした状態であるサーボオフ状態で駆動しても良い。
各アクチュエータと各入力側の端部リンク部材との間に相互に力の伝達が可能な力伝達機構を有すると、位置制御されるアクチュエータで駆動される入力側の端部リンク部材のトルクが、力伝達機構を介して残りのアクチュエータに伝達されるため、この残りのアクチュエータについては、トルク制御による駆動に限らず、サーボオフ状態でも駆動が可能である。
【0014】
前記各アクチュエータがロータリアクチュエータである場合、このロータリアクチュエータの回転軸の回転をロックするブレーキ装置を有し、前記入力部材に対し前記出力部材を任意の姿勢で静止させるとき、前記ブレーキ装置を作動させても良い。
アクチュエータの回転軸にブレーキをかけることにより、アクチュエータにトルクが伝達されても一定の角度を保てるため、姿勢調整時におけるリンク作動装置全体の剛性が向上する。
【0015】
前記入力部材に対する前記入力側の端部リンク部材の回転角をβn、前記入力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸と、前記出力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸とが成す角度をγ、基準となる入力側の端部リンク部材に対する各入力側の端部リンク部材の円周方向の離間角をδn、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した垂直角度をθ、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した水平角度をφとした場合に、
cos(θ/2)sinβn−sin(θ/2)sin(φ+δn)cosβn+sin(γ/2)=0
で表される式を逆変換することで、前記入力部材に対する前記出力部材の姿勢を制御するのが良い。
入力部材に対する出力部材の姿勢を指定すると、上記式より、各入力側の端部リンク部材の回転角を計算できる。その計算値に基づき、各入力側の端部リンク部材を駆動するアクチュエータに出力することにより、入力部材に対する出力部材の姿勢を制御できる。
【0016】
この発明において、前記構造体は、前記入力部材と出力部材との間に力を発生させるものであるのが良い。
構造体により入力部材と出力部材との間に力を発生させると、リンク作動装置のガタが無くなり、剛性が向上する。その結果、入力部材に対する出力部材の姿勢調整精度が向上する。
【0017】
この発明において、前記入力部材および出力部材は、外周面から突出する前記リンク機構と同数の軸部を有し、これら軸部に各リンク機構の前記入力側および出力側の端部リンク部材をそれぞれ回転可能に連結し、かつ前記軸部よりも内径側に前記被接触部を配置するのが良い。
この構成によると、入力部材および出力部材の外周面から軸部を突出させたことにより、入力側および出力側の端部リンク部材に設けた軸受により前記軸部を回転自在に支持する構造となる。この構造であると、入力部材および出力部材の中央部に広いスペースを確保することが可能であり、その広いスペースに被接触部を容易に形成することができる。
【0018】
この発明において、前記入力部材および出力部材の各被接触部は、前記各リンク機構のリンク球面中心を中心とする球面形状であり、前記構造体は、両端に前記被接触部に摺動自在に嵌る球体状の接触部を有するのが良い。
入力部材および出力部材の球面形状の被接触部と、構造体の球体状の接触部とを互いに接触させることにより、リンク作動装置の動作位置に変わっても、リンク作動装置の動作に影響を与えることなく、被接触部と接触部が常に接触する状態に維持できる。
【0019】
前記構造体は、前記入力部材の被接触部に嵌る接触部を有する入力側構造体部分と、前記出力部材の被接触部に嵌る出力側構造体部分とでなり、これら入力側構造体部分および出力側構造体部分の各接触部の中心間距離を変更可能としたものであって良い。
入力側構造体部分および出力側構造体部分の各接触部の中心間距離を変更可能であると、構造体により入力部材と出力部材間に発生させる力の大きさを調整できる。
【0020】
例えば、前記入力側構造体部分および出力側構造体部分のうち一方の部材は雄ねじ部を有し、他方の部材は前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、これら雄ねじ部と雌ねじ部のねじ込み量を変えることで、前記入力側構造体部分および出力側構造体部分の各接触部の中心間距離を変更するものとするのが良い。
この構成であると、構造体により入力部材と出力部材間に発生させる力の大きさの調整が容易である。
【0021】
また、前記入力側構造体部分および出力側構造体部分に、これら入力側構造体部分および出力側構造体部分の球体状の接触部の中心を結ぶ直線に沿って互いにスライド自在な入力側スライド部および出力側スライド部をそれぞれ設けても良い。その場合、前記入力側構造体部分と出力側構造体部分とで空間部を形成し、この空間部に流体を出し入れすることで、前記入力側スライド部および出力側スライド部を互いにスライドさせる手法や、前記入力側スライド部および出力側スライド部を互いにスライドさせる圧電アクチュエータを設ける手法を採用できる。
このように、入力側構造体部分および出力側構造体部分に入力側スライド部および出力側スライド部をそれぞれに設けても、前記同様に、構造体により入力部材と出力部材間に発生させる力の大きさの調整が容易になる。
【0022】
この発明において、前記入力部材は前記出力部材側の端面に、また前記出力部材は前記入力部材側の端面に、それぞれ円すい状に先狭まりとなる凹部を有し、これら凹部の最奥部を前記被接触部とするのが良い。
この構成にすると、構造体と入力部材および出力部材とが干渉することを有効に回避することができ、リンク作動装置の動作範囲を広くできる。
【0023】
上記構成とする場合、前記入力部材の中心線と前記出力部材の中心線とがなす角度である折れ角の最大折れ角がθmaxであり、前記入力部材における前記凹部の内周面の母線と前記入力部材の中心線とがなす角度、および前記出力部材における前記凹部の内周面の母線と前記出力部材の中心線とがなす角度を、共にθmax/2とすると良い。
この構成であると、前記折れ角が最大折れ角を超えると、構造体が、入力部材における凹部の内周面および出力部材における凹部の内周面の両方に接触する。そのため、リンク作動装置の動作範囲が規制され、安全性が向上する。
【0024】
この発明において、前記3組以上のリンク機構うちのの2組以上に、前記入力側の端部リンク部材の回転角を検出する回転角検出手段を設けると良い。
回転角検出手段を設ければ、この回転角検出手段の検出値を用いてフィードバック制御を行うことができる。それにより、静止機構のガタや剛性の影響が小さくなり、入力部材に対する出力部材の姿勢調整精度が向上する。
【0025】
前記入力部材に対する前記入力側の端部リンク部材の回転角をβn、前記入力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸と、前記出力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸とが成す角度をγ、基準となる入力側の端部リンク部材に対する各入力側の端部リンク部材の円周方向の離間角をδn、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した垂直角度をθ、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した水平角度をφとした場合に、
cos(θ/2)sinβn−sin(θ/2)sin(φ+δn)cosβn+sin(γ/2)=0
で表される式を順変換することで、前記入力部材に対する前記出力部材の姿勢を推定すると良い。
回転角検出手段によって検出される2つ以上の入力側の端部リンク部材の回転角から、入力部材に対する出力部材の姿勢を推定できる。
【発明の効果】
【0026】
この発明のリンク作動装置は、入力部材に対し出力部材を、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各リンク機構は、それぞれ前記入力部材および出力部材に一端が回転可能に連結された入力側および出力側の端部リンク部材と、これら入力側および出力側の端部リンク部材の他端をそれぞれ回転可能に連結した中央リンク部材とでなり、前記各リンク機構は、このリンク機構を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する入力側部分と出力側部分とが対称を成す形状であるリンク作動装置において、前記3組以上のリンク機構のすべてに、前記入力部材に対して前記出力部材を任意の姿勢で静止させることが可能な静止機構を設け、前記入力部材および出力部材にそれぞれ形成された被接触部に接触して入力部材と出力部材とを互いに連結する構造体を設けたため、コンパクトでありながら、可動部の可動範囲が広く、かつ姿勢調整精度が高く、しかも剛性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態にかかるリンク作動装置の一部を省略した正面図に制御系のブロック図を加えた図である。
【図2】同リンク作動装置の異なる状態を示す一部を省略した正面図である。
【図3】同リンク作動装置の斜視図である。
【図4】同リンク作動装置のリンク機構の一つを直線で表現した図である。
【図5】同リンク作動装置の入力部材、入力側の端部リンク部材、および中央リンク部材の断面図である。
【図6】同リンク作動装置の一部の破断側面図である。
【図7】同リンク作動装置の一部を拡大した破断側面図である。
【図8】同リンク作動装置の構造体の断面図である。
【図9】この発明の異なる実施形態にかかるリンク作動装置の構造体の断面図である。
【図10】この発明のさらに異なる実施形態にかかるリンク作動装置の構造体の断面図である。
【図11】この発明のさらに異なる実施形態にかかるリンク作動装置の入力部材、入力側の端部リンク部材、および中央リンク部材の断面図に制御系のブロック図を加えた図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施形態を図1〜図8と共に説明する。図1および図2に示すように、このリンク作動装置1は、基台2と、この基台2に入力側が支持されたリンク機構部3とを備え、リンク機構部3の出力側に、医療用アクチュエータ等の駆動装置が装着される。リンク作動装置1は、他に、リンク機構部3を一定の状態に静止させる静止機構4、リンク機構部3の入力部材14と出力部材15とを連結する構造体5、および制御手段6を備える。
【0029】
基台2は、ベース部材7、モータ取付部材8、およびリンク取付部材9からなる3層構造である。下層のベース部材7は、下端に設けた円板等の板状部7aにより、水平な設置面F上に設置される。中層のモータ取付部材8は、下端に円板等の板状部8aを有し、ベース部材7の上に設置される。上層のリンク取付部材9は、円板等の板状であり、モータ取付部材8の上に設置される。
【0030】
図3に示すように、リンク機構部3は、3組のリンク機構11,12,13(以下、「11〜13」と表記する)を具備する。なお、図1および図2では、1組のリンク機構11のみを表示している。これら3組のリンク機構11〜13のそれぞれは幾何学的に同一形状をなす。すなわち、各リンク機構11〜13は、後述の各リンク部材11a〜13a,11b〜13b,11c〜13cを直線で表現した幾何学モデルが、中央リンク部材11b〜13bの中央部に対する入力側部分と出力側部分が対称を成す形状である。
【0031】
各リンク機構11,12,13は、入力側の端部リンク部材11a,12a,13a(以下、「11a〜13a」と表記する)、中央リンク部材11b,12b,13b(以下、「11b〜13b」と表記する)、および出力側の端部リンク部材11c,12c,13c(以下、「11c〜13c」と表記する)で構成され、4つの回転対偶からなる3節連鎖のリンク機構をなす。入力側および出力側の端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cはL字状をなし、基端がそれぞれ入力部材14および出力部材15に回転自在に連結されている。中央リンク部材11b〜13bは、両端に入力側および出力側の端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cの先端がそれぞれ回転自在に連結されている。
【0032】
入力側および出力側の端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cは球面リンク構造で、3組のリンク機構11〜13における球面リンク中心PA,PC(図1、図2)は一致しており、また、その球面リンク中心PA,PCからの距離も同じである。端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cと中央リンク部材11b〜13bとの連結部となる回転対偶軸は、ある交差角をもっていてもよいし、平行であってもよい。
【0033】
つまり、3組のリンク機構11〜13は、幾何学的に同一形状をなす。幾何学的に同一形状とは、各リンク部材11a〜13a,11b〜13b,11c〜13cを直線で表現した幾何学モデルが、中央リンク部材11b〜13bの中央部に対する入力側部分と出力側部分が対称を成す形状であることを言う。図4は、一つのリンク機構11を直線で表現した図である。
【0034】
この実施形態のリンク機構11〜13は回転対称タイプで、入力部材14および入力側の端部リンク部材11a〜13aと、出力部材15および出力側の端部リンク部材11c〜13cとの位置関係が、中央リンク部材11b〜13bの中心線Aに対して回転対称となる位置構成になっている。図1は、入力部材14の中心軸Bと出力部材15の中心軸Cとが同一線上にある状態を示し、図2は、入力部材14の中心軸Bに対して出力部材15の中心軸Cが所定の作動角をとった状態を示す。各リンク機構11〜13の姿勢が変化しても、入力側と出力側の球面リンク中心PA,PC間の距離Lは変化しない。
【0035】
入力部材14および出力部材15は六角柱状で、外周面を構成する6つの側面16のうちの1つ置きに離れた3つの側面16に、入力側および出力側の端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cがそれぞれ回転自在に連結されている。
図5は、入力部材14と入力側の端部リンク部材11a〜13aの連結部を示す断面図である。入力部材14の側面16から軸部18が突出し、この軸部18に複列の軸受17の内輪(図示せず)が外嵌し、入力側の端部リンク部材11a〜13aの入力部材側の端部に軸受17の外輪(図示せず)が内嵌している。つまり、内輪は入力部材14に固定され、外輪が入力側の端部リンク部材11a〜13aと共に回転する構造である。軸受17は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受であって、ナット19による締付けでもって所定の予圧量を付与して固定されている。軸受17としては、図示例のように玉軸受を複列で配列する以外に、ローラ軸受や滑り軸受を用いてもよい。出力部材15と出力側の端部リンク部材11c〜13cの連結部も、同様の構造である。
【0036】
また、入力側の端部リンク部材11a〜13aと中央リンク部材11b〜13bの連結部も複列の軸受20を介して互いに回転自在に連結されている。すなわち、入力側の端部リンク部材11a〜13aに軸受20の外輪(図示せず)が外嵌し、中央リンク部材11b〜13bに設けた軸部21に軸受20の内輪(図示せず)が外嵌している。軸受20は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受であって、ナット22による締付けでもって所定の予圧量を付与して固定されている。軸受20としては、図示例のように玉軸受を複列で配列する以外に、ローラ軸受や滑り軸受を用いてもよい。出力側の端部リンク部材11c〜13cと中央リンク部材11b〜13bの連結部も、同様の構造である。
【0037】
前記リンク機構11〜13において、端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cの軸部18の角度、長さ、および端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cの幾何学的形状が入力側と出力側で等しく、また、中央リンク部材11b〜13bについても入力側と出力側で形状が等しいとき、中央リンク部材11b〜13bの対称面に対して中央リンク部材11b〜13bと、入出力部材14,15と連結される端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cとの角度位置関係を入力側と出力側で同じにすれば、幾何学的対称性から入力部材14および入力側の端部リンク部材11a〜13aと、出力部材15および出力側の端部リンク部材11c〜13cとは同じに動き、入力側と出力側は同じ回転角になって等速で回転することになる。この等速回転するときの中央リンク部材11b〜13bの対称面を等速二等分面という。
【0038】
このため、入力部材14および出力部材15を共有する同じ幾何学形状のリンク機構11〜13を円周上に複数配置させることにより、複数のリンク機構11〜13が矛盾なく動ける位置として中央リンク部材11b〜13bが等速二等分面上のみの動きに限定され、これにより入力側と出力側は任意の作動角をとっても等速回転が得られる。
【0039】
各リンク機構11〜13における4つの回転対偶の回転部、つまり、入力部材14と入力側の端部リンク部材11a〜13aとの連結部分、出力部材15と出力側の端部リンク部材11c〜13cとの連結部分、および入力側および出力側の端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cと中央リンク部材11b〜13bとの2つの連結部分を軸受構造とすることにより、その連結部分での摩擦抵抗を抑えて回転抵抗の軽減を図ることができ、滑らかな動力伝達を確保できると共に耐久性を向上できる。
【0040】
このリンク機構部3の構成によれば、入力部材14に対する出力部材15の可動範囲を広くとれる。例えば、入力部材14の中心軸Bと出力部材15の中心軸Cの折れ角θの最大値(最大折れ角)を約±90°とすることができる。また、入力部材14に対する出力部材15の旋回角φを0°〜360°の範囲で設定できる。折れ角θは、入力部材14の中心軸Bに対して出力部材15が傾斜した垂直角度のことであり、旋回角φは、入力部材14の中心軸Bに対して出力部材15が傾斜した水平角度のことである。
【0041】
静止機構4は、リンク機構部3を一定の状態に静止させることで、入力部材14に対して出力部材15を任意の姿勢で静止させる。静止機構4は3組のリンク機構11〜13のすべてに設けられ、各静止機構4は、ブレーキ装置29付きのロータリアクチュエータ30を有する。ブレーキ装置29は、例えば電磁ブレーキであって、ロータリアクチュエータ30の回転軸の回転をロックする機構である。ロータリアクチュエータ30およびブレーキ装置29は、前記モータ取付部材8の板状部8aに縦向きに取付けられている。
【0042】
図6に示すように、ロータリアクチュエータ30の出力軸30aは上方に突出し、この出力軸30aとピニオン軸31とが、カップリング32を介して互いに連結されている。ピニオン軸31は、出力軸30aと同軸上に配置され、前記リンク取付部材9に設けた複列の軸受33により回転自在に支持されている。詳しくは、リンク取付部材9に形成されたホルダ嵌合孔9aに筒状のピニオン軸支持ホルダ34が嵌合し、このピニオン軸支持ホルダ34内に複列の軸受33が収容されている。ピニオン軸支持ホルダ34は、ボルト35によりリンク取付部材9に固定されている。複列の軸受34は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受であり、ピニオン軸31のつば部31aと、ピニオン軸31のねじ部31bに螺合するナット36とにより、内輪(図示せず)の軸方向位置が位置決めされ、軸支持ホルダ34のつば部34aと、前記ボルト35により軸支持ホルダ34と共にリンク取付部材9に固定された位置決め部材37とにより、外輪(図示せず)の軸方向位置が位置決めされている。
【0043】
ピニオン軸31の前記つば部31aよりも上側の部分は、外周に螺旋状のギア歯が形成されたピニオン40とされている。一方、前記出力側の端部リンク部材11a〜13aにおける前記軸部18との回転対偶部に連結部材41が固定して取付けられ、この連結部材41に、前記ピニオン40と噛み合う螺旋状のギア歯が形成された扇形ギア42が設けられている。扇形ギア42の中心軸は、軸部18の中心軸と一致する。ピニオン40の中心軸と扇形ギア42の中心軸とは、正面視で直角の角度を持ち、かつ互いに前後にオフセットされている。すなわち、ピニオン40および扇形ギア42はハイポイドギアであり、両者で力伝達機構43を構成する。ハイポイドギアからなる力伝達機構43は、高い減速比をとることができ、正逆両方向に力の伝達が可能である。なお、連結部材41は、図5に示すように、ボルト44,45により出力側の端部リンク部材11a〜13aに固定されている。
【0044】
構造体5は、両端を入力部材14および出力部材15の被接触部にそれぞれ接触させて、入力部材14と出力部材15との間に力を発生させるものである。図7は、入力部材14の被接触部を示す。図示は省略するが、出力部材15の被接触部も同様である。入力部材14(出力部材15)における出力部材15(入力部材14)と対向する側の端面に、円すい状に先狭まりとなる凹部50が形成されており、この凹部50の最奥部が球面状の被接触部51とされている。球面状の被接触部51の中心は、前記入力側(出力側)の球面リンク中心PA(PC)と一致する。構造体5の両端の接触部5aは、上記被接触部51に摺動自在に嵌る球体状である。
【0045】
前記凹部50の内周面の母線Dと入力部材14(出力部材15)の中心線B(C)とがなす角度αは、入力部材14の中心線Bと出力部材15の中心線Cとがなす角度である折れ角θ(図3)の最大折れ角をθmaxとした場合、α=θmax/2としてある。
【0046】
図8に示すように、構造体5は、入力部材14の被接触部51に嵌る接触部5aを有する入力側構造体部分52と、出力部材15の被接触部51に嵌る接触部5aを有する出力側構造体部分53とでなり、入力側構造体部分52の雌ねじ部52aと出力側構造体部分53の雄ねじ部53aとが螺合している。これら雄ねじ部52aと雌ねじ部53aのねじ込み量を変えることで、入力側構造体部分52および出力側構造体部分53の各接触部5aの中心間距離Mが変更される。入力側構造体部分52に雄ねじ部(図示せず)を設け、出力側構造体部分53に雌ねじ部(図示せず)を設けた構成としてもよい。
【0047】
構造体5は、入力側構造体部分52と出力側構造体部分53とが互いにスライドさせることで、前記中心間距離Mを変更する構成であっても良い。
図9に示す構造体5は、入力側構造体部分52に筒状の入力側スライド部52bを設け、出力側構造体部分53に前記入力側スライド部52bにスライド自在な出力側スライド部53bを設けて、入力側構造体部分52および出力側構造体部分53を互いにスライド可能としている。入力側スライド部52bと出力側スライド部53bとで形成された空間部54には空気、水、油等の流体が封入されており、この流体の圧力により、入力部材14と出力部材15との間に発生する力を制御している。空間部54には、管継手55を介して外部から流体を供給可能である。空間部54内に流体を出し入れすることで、入力側スライド部52bおよび出力側スライド部53bを互いに摺動させて、前記中心間距離Mを変更する。入力側スライド部52bと出力側スライド部53bとの接触面は、例えば滑り軸受構造になっている。両スライド部52b,53bの隙間が小さいほど、空間部54からの流体の漏れが少ないため、大きな力を発生できる。
【0048】
図10に示す構造体5も、前記同様に、入力側構造体部分52に筒状の入力側スライド部52bを設け、出力側構造体部分53に前記入力側スライド部52bにスライド自在な出力側スライド部53bを設けて、入力側構造体部分52および出力側構造体部分53を互いにスライド可能としている。入力側スライド部52bと出力側スライド部53bとの間の空間に、圧電アクチュエータ56が設けられている。圧電アクチュエータ56は、配線57により外部の電源に繋がっている。圧電アクチュエータ56に電圧をかけることにより、この圧電アクチュエータ56が伸縮し、前記中心間距離Mが変更する。
【0049】
図1において、制御手段6は、コンピュータによる数値制御式のものであり、入力部材14に対する出力部材15の姿勢を設定する姿勢設定手段60と、入力部材14に対する出力部材15の姿勢を検出する姿勢検出手段61と、ロータリアクチュエータ30のトルクを検出するトルク検出手段62とからの信号に基づき、各静止機構4のロータリアクチュエータ30および電磁ブレーキ29に出力指令を与える。姿勢設定手段60は、例えば折れ角θ(図3)および旋回角φ(図3)を規定することで、出力部材15の姿勢を設定する。姿勢検出手段61は、例えば入力側の端部リンク部材11a〜13aの回転角βn(図3におけるβ1,β2)を検出する。折れ角θおよび旋回角φと、各回転角βnとは相互関係があり、一方の値から他方の値を導くことができる。
【0050】
入力部材14に対し出力部材15を任意の姿勢で静止させる場合は、入力部材14および出力部材15の各被接触部51と構造体5の接触部5aとの間に作用する接触力が大きくなるように各ロータリアクチュエータ30を制御する。言い換えると、入力部材14と出力部材15間に力が発生するように各ロータリアクチュエータ30を制御する。それにより、入力部材14および出力部材15のリンク球面中心PA,PC間の距離Lが微小に変動し、入力部材14および出力部材15の被接触部51に作用する接触力の大きさが変わる。具体的には、接触力が大きくなる。この接触力に抗してリンク作動装置1を一定の動作位置に保とうとするため、姿勢調整時におけるリンク作動装置1全体の剛性が向上する。
【0051】
また、上記各ロータリアクチュエータ30の制御において、それぞれが発生する力が互いに干渉し合う方向に各ロータリアクチュエータ30を駆動させる。各ロータリアクチュエータ30の発生する力が互いに干渉し合えば、入力部材14に対する出力部材15の姿勢変化が抑制され、リンク作動装置1全体に力が作用する。それにより、リンク球面中心PA,PC間の距離Lの変動が抑えられて、リンク作動装置1全体の剛性がより一層向上する。
【0052】
入力部材14に対し出力部材15を姿勢変更する場合は、姿勢設定手段60により設定された出力部材15の姿勢に応じて、入力側の端部リンク部材11a〜13aの回転角βnの制御目標値を計算する。上記回転角βnは、ロータリアクチュエータ30の動作位置を意味する。βnの計算は、下記の式1を逆変換することで行われる。逆変換とは、折れ角θおよび旋回角φから端部リンク部材11a〜13aの回転角βnを算出する変換のことである。
cos(θ/2)sinβn−sin(θ/2)sin(φ+δn)cosβn+sin(γ/2)=0
…(式1)
ここで、γ(図3)は、入力側の端部リンク部材11a〜13aに回転自在に連結された中央リンク部材11b〜13bの連結端軸と、出力側の端部リンク部材11c〜13cに回転自在に連結された中央リンク部材11b〜13bの連結端軸とが成す角度である。δn(図3におけるδ1,δ2,δ3)は、基準となる入力側の端部リンク部材11aに対する各入力側の端部リンク部材11a〜13aの円周方向の離間角である。
【0053】
回転角βnの制御目標値を計算したなら、3つのロータリアクチュエータ30のうち2つのロータリアクチュエータ30については、前記回転角βnが制御目標値となるように、姿勢検出手段61の信号を利用してフィードバック制御する。残りの1つのロータリアクチュエータ30については、このロータリアクチュエータ30の発生するトルクが定められた制御目標値となるように、トルク検出手段62の信号を利用してフィードバック制御する。
【0054】
このように、2つのロータリアクチュエータ30を位置制御することにより、入力部材14に対する出力部材15の姿勢が決定される。残りのアクチュエータ40はトルク制御とすることで、前記2つのロータリアクチュエータ30の駆動力を低減することができ、ロータリアクチュエータ30を小型・コンパクト化できる。すべてのロータリアクチュエータ30を位置制御した場合、すべてのロータリアクチュエータ30の位置を協調させながら駆動する必要があるため、動作速度が遅くなるが、2つのロータリアクチュエータ30だけを位置制御させるのであれば、ロータリアクチュエータ30のスムーズな動作が可能になり、動作速度が速くなる。
【0055】
この実施形態のように、力伝達機構43が設けられている場合、上記制御に代えて、以下のように制御してもよい。すなわち、3つのロータリアクチュエータ30のうち2つのロータリアクチュエータ30については、前記同様に位置制御し、残りの1つのロータリアクチュエータ30については、フィードバック制御機能をオフした状態であるサーボオフ状態で動作させる。位置制御される2つのロータリアクチュエータ30で駆動される入力側の端部リンク部材11a〜13aのトルクが、力伝達機構43を介して残りの1つのロータリアクチュエータ30に伝達されるため、残りの1つのロータリアクチュエータ30をサーボオフ状態でも動作させることが可能である。
【0056】
姿勢変更中の出力部材15を静止させるときは、ブレーキ装置29によりロータリアクチュエータ30の回転軸にブレーキをかけて、各ロータリアクチュエータ30を回転停止させる。それにより、ロータリアクチュエータ30にトルクが伝達されても一定の角度を保てるため、姿勢調整時におけるリンク作動装置1全体の剛性が向上する。
【0057】
このリンク作動装置1は、入力部材14に対し出力部材15が直交2軸方向に移動自在な2自由度機構として構成されており、コンパクトでありながら、出力部材15の可動範囲を広くとれる。そのため、出力部材15に搭載される医療用アクチュエータ等の駆動装置の操作性が良い。また、3組のリンク機構11〜13のすべてに静止機構4を設けたことにより、構造体5により入力部材14と出力部材15との間に力を発生させた場合に、リンク作動装置1全体に予圧がかかった状態となり、リンク作動装置1のガタつきが少なく、かつ剛性が高い。構造体5により入力部材14と出力部材15との間に力を発生させない場合でも、出力部材15に力が作用したときに、角度制御されていないフリーのリンク機構11〜13が存在しないため、リンク作動装置1全体の剛性が高く、出力部材15の姿勢調整精度が良い。
【0058】
また、このリンク作動装置1には、入力部材14および出力部材15の被接触部51にそれぞれ接触して入力部材14と出力部材15を連結する構造体5が設けられているため、この構造体5により入力部材14と出力部材15との間に力を発生、すなわち予圧を与えることにより、リンク作動装置1のガタを無くし、剛性を向上させることができる。その結果、入力部材14に対する出力部材15の姿勢調整精度が向上する。構造体5は、両端の各接触部5aの中心間距離Mを変更可能であるため、上記予圧量を容易に調整できる。
【0059】
入力部材14および出力部材15の外周面から軸部18を突出し、この軸部18と、入力側および出力側の端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cとを互いに回転可能に連結させたため、入力部材14および出力部材15の中央部に広いスペースを確保することができる。そのため、その広いスペースに被接触部51を容易に形成することができる。
【0060】
入力部材14および出力部材15の各被接触部51は、各リンク機構11〜13のリンク球面中心PA,PCを中心とする球面形状であり、構造体5の接触部5aは上記被接触部51に摺動自在に嵌る球体状であるため、入力部材14に対する出力部材15の姿勢が変わっても、被接触部51と接触部5aが常に接触する状態に維持され、リンク作動装置1の動作に影響を与えない。
【0061】
図11は、前記姿勢検出手段61の一例の概略構成図である。この姿勢検出手段61は、リンク機構部3の3つの入力側の端部リンク部材11a〜13aのうち2つ以上に設けられた回転角検出手段71を有する。図例では、2つの回転角検出手段71により、入力側の端部リンク部材11a,12aの回転角を検出する。例えば、回転角検出手段71はロータリエンコーダであり、その回転軸71aが、入力部材14の軸部18に設けた孔74に固定状態で挿入されている。
【0062】
上記2つの回転角検出手段71の出力信号は、角度算出手段75に送られる。角度算出手段75は、上記出力信号より、出力部材15の位置および姿勢を表す折れ角θ(図3)および旋回角φ(図3)を算出し、それを制御手段6に送る。
【0063】
なお、上記角度算出手段75による折れ角θおよび旋回角φの算出は、前記式1を順変換することで行われる。順変換とは、入力側の端部リンク部材11a〜13aの回転角度から折れ角θおよび旋回角φを算出する変換のことである。
【符号の説明】
【0064】
1…リンク作動装置
4…静止機構
5…構造体
5a…接触部
6…制御手段
11,12,13…リンク機構
11a,12a,13a…入力側の端部リンク部材
11b,12b,13b…中央リンク部材
11c,12c,13c…出力側の端部リンク部材
14…入力部材
15…出力部材
29…ブレーキ装置
30…ロータリアクチュエータ
43…力伝達機構
50…凹部
51…被接触部
52…入力側構造体部分
52a…雌ねじ部
52b…入力側スライド部
53…出力側構造体部分
53a…雄ねじ部
53b…出側スライド部
54…空間部
56…圧電アクチュエータ
71…回転角検出手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、三次元空間における複雑な加工や物品の取り回し等の作業を高速かつ精密に実行するパラレルリンク機構やロボット関節等のリンク機構に利用されるリンク作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パラレルリンク機構を具備する作業装置の一例が、特許文献1に開示されている。この作業装置は、ツールを取付けたトラベリングプレートの位置および姿勢をパラレルリンク機構により変更するようにしたものである。パラレルリンク機構は、下端にトラベリングプレートが連結された複数のリンクを備え、これらリンクの上部が自在継手により角度変更可能に支持されると共に、リンクごとに、自在継手よりも下方へ位置する有効長さを変更可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−94245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のパラレルリンク機構は、各リンクの作動角が小さいため、トラベリングプレートの作動範囲を大きく設定するためには、リンク長さを長くする必要がある。それにより、機構全体の寸法が大きくなって、装置が大型になってしまうという問題があった。また、リンク長さを長くすると、機構全体の剛性の低下を招く。そのため、トラベリングプレートに搭載されるツールの重量、つまりトラベリングプレートの可搬重量も小さいものに制限されるという問題もあった。
【0005】
この発明は、コンパクトでありながら、可動部の可動範囲が広く、かつ姿勢調整精度が高く、しかも剛性が高いリンク作動装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のリンク作動装置は、入力部材に対し出力部材を、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各リンク機構は、それぞれ前記入力部材および出力部材に一端が回転可能に連結された入力側および出力側の端部リンク部材と、これら入力側および出力側の端部リンク部材の他端をそれぞれ回転可能に連結した中央リンク部材とでなり、前記各リンク機構は、このリンク機構を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する入力側部分と出力側部分とが対称を成す形状である。言い換えると、この発明のリンク作動装置は、入力側および出力側のそれぞれに設けた入力部材および出力部材に対して回転可能に端部リンク部材を連結し、入力側と出力側のそれぞれの端部リンク部材を中央リンク部材に対して回転可能に連結したリンク機構を3組以上有し、各リンク機構の中央部における横断面に関して入力側と出力側を幾何学的に同一としたものである。
この発明は、上記リンク作動装置において、前記3組以上のリンク機構のすべてに、前記入力部材に対して前記出力部材を任意の姿勢で静止させることが可能な静止機構を設け、前記入力部材および出力部材にそれぞれ形成された被接触部に接触して入力部材と出力部材とを互いに連結する構造体を設けたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、入力部材と、出力部材と、3組以上のリンク機構とで、入力部材に対し出力部材が直交2軸方向に移動自在な2自由度機構が構成される。この2自由度機構は、コンパクトでありながら、出力部材の可動範囲を広くとれる。例えば、入力部材の中心軸と出力部材の中心軸の最大折れ角は約±90°であり、入力部材に対する出力部材の旋回角を0°〜360°の範囲に設定できる。
【0008】
入力部材と出力部材とを互いに連結する構造体を設けたことにより、リンク作動装置のガタつきを抑える効果および剛性を高める効果が得られる。また、3組以上のリンク機構のすべてに静止機構を設けたため、例えば構造体により入力部材と出力部材との間に力を発生させた場合に、その力を逃すリンク機構が無く、リンク作動装置全体に予圧がかかる。そのため、リンク作動装置のガタつきが減少し、かつ剛性が向上する。構造体により入力部材と出力部材との間に力を発生させない場合でも、出力部材に力が作用したときに、角度制御されていないフリーのリンク機構が存在しないため、リンク作動装置全体の剛性が向上し、出力部材の姿勢調整精度が向上する。
【0009】
この発明において、前記静止機構は、前記入力側の端部リンク部材に直接または間接的に連結され、前記入力部材に対する前記入力側の端部リンク部材の回転を拘束するように作用するアクチュエータを有するのが良い。
静止部材が上記アクチュエータを有すると、入力部材に対する出力部材の姿勢を安定して保持できるだけでなく、入力部材に対する出力部材の姿勢を変更することが可能である。
【0010】
静止部材が上記アクチュエータを有する場合、前記静止機構により前記入力部材に対し前記出力部材を任意の姿勢で静止させるとき、前記入力部材および出力部材の被接触部と前記構造体との間に作用する接触力が大きくなるように前記アクチュエータを制御する制御手段を設けると良い。
制御手段により、入力部材および出力部材の被接触部と前記構造体との間に作用する接触力が大きくなるように、すなわち入力部材と出力部材間に力が発生するようにアクチュエータを制御して、入力部材および出力部材のリンク球面中心間の距離を微小に変動させると、被接触部に作用する接触力の大きさが変わる。接触力が大きくなると、この接触力に抗してリンク作動装置を一定の動作位置に保とうとするため、姿勢調整時におけるリンク作動装置全体の剛性が向上する。
【0011】
前記制御手段は、前記静止機構により前記入力部材に対し前記出力部材を任意の姿勢で静止させるとき、前記各アクチュエータを、それぞれが発生する力が互いに干渉し合う方向に駆動させるように制御すると良い。
各アクチュエータの発生する力が互いに干渉し合えば、入力部材に対する出力部材の姿勢変化が抑制され、リンク作動装置全体に力が作用する。それにより、入力部材および出力部材のリンク球面中心間の距離が微小に変動するため、被接触部に作用する接触力の大きさが変わり、リンク作動装置全体の剛性が向上する。
【0012】
また、前記制御手段は、前記入力部材に対し前記出力部材を姿勢変更するとき、前記各アクチュエータのうち2つのアクチュエータについては、これらアクチュエータの動作位置が定められた制御目標位置となるように制御し、残りのアクチュエータについては、このアクチュエータが発生するトルクが定められた制御目標位置となるように制御しても良い。
少なくとも2つのアクチュエータを位置制御することにより、入力部材に対する出力部材の位置が決定される。残りのアクチュエータをトルク制御することで、前記2つのアクチュエータの駆動力を低減することができ、アクチュエータを小型・コンパクト化できる。また、すべてのアクチュエータを位置制御した場合、すべてのアクチュエータの位置を協調させながら駆動する必要があるため、動作速度が遅くなるが、2つのアクチュエータだけを位置制御させれば、アクチュエータのスムーズな動作が可能になり、動作速度も速くなる。
【0013】
また、前記各アクチュエータと前記各入力側の端部リンク部材との間に相互に力の伝達が可能な力伝達機構を有する場合、前記制御手段は、前記入力部材に対し前記出力部材を姿勢変更するとき、前記各アクチュエータのうち2つのアクチュエータについては、これらアクチュエータの動作位置が定められた制御目標位置となるように制御し、残りのアクチュエータについては、このアクチュエータが発生するトルクが定められた制御目標位置となるように制御するか、またはフィードバック制御機能をオフした状態であるサーボオフ状態で駆動しても良い。
各アクチュエータと各入力側の端部リンク部材との間に相互に力の伝達が可能な力伝達機構を有すると、位置制御されるアクチュエータで駆動される入力側の端部リンク部材のトルクが、力伝達機構を介して残りのアクチュエータに伝達されるため、この残りのアクチュエータについては、トルク制御による駆動に限らず、サーボオフ状態でも駆動が可能である。
【0014】
前記各アクチュエータがロータリアクチュエータである場合、このロータリアクチュエータの回転軸の回転をロックするブレーキ装置を有し、前記入力部材に対し前記出力部材を任意の姿勢で静止させるとき、前記ブレーキ装置を作動させても良い。
アクチュエータの回転軸にブレーキをかけることにより、アクチュエータにトルクが伝達されても一定の角度を保てるため、姿勢調整時におけるリンク作動装置全体の剛性が向上する。
【0015】
前記入力部材に対する前記入力側の端部リンク部材の回転角をβn、前記入力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸と、前記出力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸とが成す角度をγ、基準となる入力側の端部リンク部材に対する各入力側の端部リンク部材の円周方向の離間角をδn、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した垂直角度をθ、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した水平角度をφとした場合に、
cos(θ/2)sinβn−sin(θ/2)sin(φ+δn)cosβn+sin(γ/2)=0
で表される式を逆変換することで、前記入力部材に対する前記出力部材の姿勢を制御するのが良い。
入力部材に対する出力部材の姿勢を指定すると、上記式より、各入力側の端部リンク部材の回転角を計算できる。その計算値に基づき、各入力側の端部リンク部材を駆動するアクチュエータに出力することにより、入力部材に対する出力部材の姿勢を制御できる。
【0016】
この発明において、前記構造体は、前記入力部材と出力部材との間に力を発生させるものであるのが良い。
構造体により入力部材と出力部材との間に力を発生させると、リンク作動装置のガタが無くなり、剛性が向上する。その結果、入力部材に対する出力部材の姿勢調整精度が向上する。
【0017】
この発明において、前記入力部材および出力部材は、外周面から突出する前記リンク機構と同数の軸部を有し、これら軸部に各リンク機構の前記入力側および出力側の端部リンク部材をそれぞれ回転可能に連結し、かつ前記軸部よりも内径側に前記被接触部を配置するのが良い。
この構成によると、入力部材および出力部材の外周面から軸部を突出させたことにより、入力側および出力側の端部リンク部材に設けた軸受により前記軸部を回転自在に支持する構造となる。この構造であると、入力部材および出力部材の中央部に広いスペースを確保することが可能であり、その広いスペースに被接触部を容易に形成することができる。
【0018】
この発明において、前記入力部材および出力部材の各被接触部は、前記各リンク機構のリンク球面中心を中心とする球面形状であり、前記構造体は、両端に前記被接触部に摺動自在に嵌る球体状の接触部を有するのが良い。
入力部材および出力部材の球面形状の被接触部と、構造体の球体状の接触部とを互いに接触させることにより、リンク作動装置の動作位置に変わっても、リンク作動装置の動作に影響を与えることなく、被接触部と接触部が常に接触する状態に維持できる。
【0019】
前記構造体は、前記入力部材の被接触部に嵌る接触部を有する入力側構造体部分と、前記出力部材の被接触部に嵌る出力側構造体部分とでなり、これら入力側構造体部分および出力側構造体部分の各接触部の中心間距離を変更可能としたものであって良い。
入力側構造体部分および出力側構造体部分の各接触部の中心間距離を変更可能であると、構造体により入力部材と出力部材間に発生させる力の大きさを調整できる。
【0020】
例えば、前記入力側構造体部分および出力側構造体部分のうち一方の部材は雄ねじ部を有し、他方の部材は前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、これら雄ねじ部と雌ねじ部のねじ込み量を変えることで、前記入力側構造体部分および出力側構造体部分の各接触部の中心間距離を変更するものとするのが良い。
この構成であると、構造体により入力部材と出力部材間に発生させる力の大きさの調整が容易である。
【0021】
また、前記入力側構造体部分および出力側構造体部分に、これら入力側構造体部分および出力側構造体部分の球体状の接触部の中心を結ぶ直線に沿って互いにスライド自在な入力側スライド部および出力側スライド部をそれぞれ設けても良い。その場合、前記入力側構造体部分と出力側構造体部分とで空間部を形成し、この空間部に流体を出し入れすることで、前記入力側スライド部および出力側スライド部を互いにスライドさせる手法や、前記入力側スライド部および出力側スライド部を互いにスライドさせる圧電アクチュエータを設ける手法を採用できる。
このように、入力側構造体部分および出力側構造体部分に入力側スライド部および出力側スライド部をそれぞれに設けても、前記同様に、構造体により入力部材と出力部材間に発生させる力の大きさの調整が容易になる。
【0022】
この発明において、前記入力部材は前記出力部材側の端面に、また前記出力部材は前記入力部材側の端面に、それぞれ円すい状に先狭まりとなる凹部を有し、これら凹部の最奥部を前記被接触部とするのが良い。
この構成にすると、構造体と入力部材および出力部材とが干渉することを有効に回避することができ、リンク作動装置の動作範囲を広くできる。
【0023】
上記構成とする場合、前記入力部材の中心線と前記出力部材の中心線とがなす角度である折れ角の最大折れ角がθmaxであり、前記入力部材における前記凹部の内周面の母線と前記入力部材の中心線とがなす角度、および前記出力部材における前記凹部の内周面の母線と前記出力部材の中心線とがなす角度を、共にθmax/2とすると良い。
この構成であると、前記折れ角が最大折れ角を超えると、構造体が、入力部材における凹部の内周面および出力部材における凹部の内周面の両方に接触する。そのため、リンク作動装置の動作範囲が規制され、安全性が向上する。
【0024】
この発明において、前記3組以上のリンク機構うちのの2組以上に、前記入力側の端部リンク部材の回転角を検出する回転角検出手段を設けると良い。
回転角検出手段を設ければ、この回転角検出手段の検出値を用いてフィードバック制御を行うことができる。それにより、静止機構のガタや剛性の影響が小さくなり、入力部材に対する出力部材の姿勢調整精度が向上する。
【0025】
前記入力部材に対する前記入力側の端部リンク部材の回転角をβn、前記入力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸と、前記出力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸とが成す角度をγ、基準となる入力側の端部リンク部材に対する各入力側の端部リンク部材の円周方向の離間角をδn、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した垂直角度をθ、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した水平角度をφとした場合に、
cos(θ/2)sinβn−sin(θ/2)sin(φ+δn)cosβn+sin(γ/2)=0
で表される式を順変換することで、前記入力部材に対する前記出力部材の姿勢を推定すると良い。
回転角検出手段によって検出される2つ以上の入力側の端部リンク部材の回転角から、入力部材に対する出力部材の姿勢を推定できる。
【発明の効果】
【0026】
この発明のリンク作動装置は、入力部材に対し出力部材を、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各リンク機構は、それぞれ前記入力部材および出力部材に一端が回転可能に連結された入力側および出力側の端部リンク部材と、これら入力側および出力側の端部リンク部材の他端をそれぞれ回転可能に連結した中央リンク部材とでなり、前記各リンク機構は、このリンク機構を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する入力側部分と出力側部分とが対称を成す形状であるリンク作動装置において、前記3組以上のリンク機構のすべてに、前記入力部材に対して前記出力部材を任意の姿勢で静止させることが可能な静止機構を設け、前記入力部材および出力部材にそれぞれ形成された被接触部に接触して入力部材と出力部材とを互いに連結する構造体を設けたため、コンパクトでありながら、可動部の可動範囲が広く、かつ姿勢調整精度が高く、しかも剛性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態にかかるリンク作動装置の一部を省略した正面図に制御系のブロック図を加えた図である。
【図2】同リンク作動装置の異なる状態を示す一部を省略した正面図である。
【図3】同リンク作動装置の斜視図である。
【図4】同リンク作動装置のリンク機構の一つを直線で表現した図である。
【図5】同リンク作動装置の入力部材、入力側の端部リンク部材、および中央リンク部材の断面図である。
【図6】同リンク作動装置の一部の破断側面図である。
【図7】同リンク作動装置の一部を拡大した破断側面図である。
【図8】同リンク作動装置の構造体の断面図である。
【図9】この発明の異なる実施形態にかかるリンク作動装置の構造体の断面図である。
【図10】この発明のさらに異なる実施形態にかかるリンク作動装置の構造体の断面図である。
【図11】この発明のさらに異なる実施形態にかかるリンク作動装置の入力部材、入力側の端部リンク部材、および中央リンク部材の断面図に制御系のブロック図を加えた図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施形態を図1〜図8と共に説明する。図1および図2に示すように、このリンク作動装置1は、基台2と、この基台2に入力側が支持されたリンク機構部3とを備え、リンク機構部3の出力側に、医療用アクチュエータ等の駆動装置が装着される。リンク作動装置1は、他に、リンク機構部3を一定の状態に静止させる静止機構4、リンク機構部3の入力部材14と出力部材15とを連結する構造体5、および制御手段6を備える。
【0029】
基台2は、ベース部材7、モータ取付部材8、およびリンク取付部材9からなる3層構造である。下層のベース部材7は、下端に設けた円板等の板状部7aにより、水平な設置面F上に設置される。中層のモータ取付部材8は、下端に円板等の板状部8aを有し、ベース部材7の上に設置される。上層のリンク取付部材9は、円板等の板状であり、モータ取付部材8の上に設置される。
【0030】
図3に示すように、リンク機構部3は、3組のリンク機構11,12,13(以下、「11〜13」と表記する)を具備する。なお、図1および図2では、1組のリンク機構11のみを表示している。これら3組のリンク機構11〜13のそれぞれは幾何学的に同一形状をなす。すなわち、各リンク機構11〜13は、後述の各リンク部材11a〜13a,11b〜13b,11c〜13cを直線で表現した幾何学モデルが、中央リンク部材11b〜13bの中央部に対する入力側部分と出力側部分が対称を成す形状である。
【0031】
各リンク機構11,12,13は、入力側の端部リンク部材11a,12a,13a(以下、「11a〜13a」と表記する)、中央リンク部材11b,12b,13b(以下、「11b〜13b」と表記する)、および出力側の端部リンク部材11c,12c,13c(以下、「11c〜13c」と表記する)で構成され、4つの回転対偶からなる3節連鎖のリンク機構をなす。入力側および出力側の端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cはL字状をなし、基端がそれぞれ入力部材14および出力部材15に回転自在に連結されている。中央リンク部材11b〜13bは、両端に入力側および出力側の端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cの先端がそれぞれ回転自在に連結されている。
【0032】
入力側および出力側の端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cは球面リンク構造で、3組のリンク機構11〜13における球面リンク中心PA,PC(図1、図2)は一致しており、また、その球面リンク中心PA,PCからの距離も同じである。端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cと中央リンク部材11b〜13bとの連結部となる回転対偶軸は、ある交差角をもっていてもよいし、平行であってもよい。
【0033】
つまり、3組のリンク機構11〜13は、幾何学的に同一形状をなす。幾何学的に同一形状とは、各リンク部材11a〜13a,11b〜13b,11c〜13cを直線で表現した幾何学モデルが、中央リンク部材11b〜13bの中央部に対する入力側部分と出力側部分が対称を成す形状であることを言う。図4は、一つのリンク機構11を直線で表現した図である。
【0034】
この実施形態のリンク機構11〜13は回転対称タイプで、入力部材14および入力側の端部リンク部材11a〜13aと、出力部材15および出力側の端部リンク部材11c〜13cとの位置関係が、中央リンク部材11b〜13bの中心線Aに対して回転対称となる位置構成になっている。図1は、入力部材14の中心軸Bと出力部材15の中心軸Cとが同一線上にある状態を示し、図2は、入力部材14の中心軸Bに対して出力部材15の中心軸Cが所定の作動角をとった状態を示す。各リンク機構11〜13の姿勢が変化しても、入力側と出力側の球面リンク中心PA,PC間の距離Lは変化しない。
【0035】
入力部材14および出力部材15は六角柱状で、外周面を構成する6つの側面16のうちの1つ置きに離れた3つの側面16に、入力側および出力側の端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cがそれぞれ回転自在に連結されている。
図5は、入力部材14と入力側の端部リンク部材11a〜13aの連結部を示す断面図である。入力部材14の側面16から軸部18が突出し、この軸部18に複列の軸受17の内輪(図示せず)が外嵌し、入力側の端部リンク部材11a〜13aの入力部材側の端部に軸受17の外輪(図示せず)が内嵌している。つまり、内輪は入力部材14に固定され、外輪が入力側の端部リンク部材11a〜13aと共に回転する構造である。軸受17は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受であって、ナット19による締付けでもって所定の予圧量を付与して固定されている。軸受17としては、図示例のように玉軸受を複列で配列する以外に、ローラ軸受や滑り軸受を用いてもよい。出力部材15と出力側の端部リンク部材11c〜13cの連結部も、同様の構造である。
【0036】
また、入力側の端部リンク部材11a〜13aと中央リンク部材11b〜13bの連結部も複列の軸受20を介して互いに回転自在に連結されている。すなわち、入力側の端部リンク部材11a〜13aに軸受20の外輪(図示せず)が外嵌し、中央リンク部材11b〜13bに設けた軸部21に軸受20の内輪(図示せず)が外嵌している。軸受20は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受であって、ナット22による締付けでもって所定の予圧量を付与して固定されている。軸受20としては、図示例のように玉軸受を複列で配列する以外に、ローラ軸受や滑り軸受を用いてもよい。出力側の端部リンク部材11c〜13cと中央リンク部材11b〜13bの連結部も、同様の構造である。
【0037】
前記リンク機構11〜13において、端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cの軸部18の角度、長さ、および端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cの幾何学的形状が入力側と出力側で等しく、また、中央リンク部材11b〜13bについても入力側と出力側で形状が等しいとき、中央リンク部材11b〜13bの対称面に対して中央リンク部材11b〜13bと、入出力部材14,15と連結される端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cとの角度位置関係を入力側と出力側で同じにすれば、幾何学的対称性から入力部材14および入力側の端部リンク部材11a〜13aと、出力部材15および出力側の端部リンク部材11c〜13cとは同じに動き、入力側と出力側は同じ回転角になって等速で回転することになる。この等速回転するときの中央リンク部材11b〜13bの対称面を等速二等分面という。
【0038】
このため、入力部材14および出力部材15を共有する同じ幾何学形状のリンク機構11〜13を円周上に複数配置させることにより、複数のリンク機構11〜13が矛盾なく動ける位置として中央リンク部材11b〜13bが等速二等分面上のみの動きに限定され、これにより入力側と出力側は任意の作動角をとっても等速回転が得られる。
【0039】
各リンク機構11〜13における4つの回転対偶の回転部、つまり、入力部材14と入力側の端部リンク部材11a〜13aとの連結部分、出力部材15と出力側の端部リンク部材11c〜13cとの連結部分、および入力側および出力側の端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cと中央リンク部材11b〜13bとの2つの連結部分を軸受構造とすることにより、その連結部分での摩擦抵抗を抑えて回転抵抗の軽減を図ることができ、滑らかな動力伝達を確保できると共に耐久性を向上できる。
【0040】
このリンク機構部3の構成によれば、入力部材14に対する出力部材15の可動範囲を広くとれる。例えば、入力部材14の中心軸Bと出力部材15の中心軸Cの折れ角θの最大値(最大折れ角)を約±90°とすることができる。また、入力部材14に対する出力部材15の旋回角φを0°〜360°の範囲で設定できる。折れ角θは、入力部材14の中心軸Bに対して出力部材15が傾斜した垂直角度のことであり、旋回角φは、入力部材14の中心軸Bに対して出力部材15が傾斜した水平角度のことである。
【0041】
静止機構4は、リンク機構部3を一定の状態に静止させることで、入力部材14に対して出力部材15を任意の姿勢で静止させる。静止機構4は3組のリンク機構11〜13のすべてに設けられ、各静止機構4は、ブレーキ装置29付きのロータリアクチュエータ30を有する。ブレーキ装置29は、例えば電磁ブレーキであって、ロータリアクチュエータ30の回転軸の回転をロックする機構である。ロータリアクチュエータ30およびブレーキ装置29は、前記モータ取付部材8の板状部8aに縦向きに取付けられている。
【0042】
図6に示すように、ロータリアクチュエータ30の出力軸30aは上方に突出し、この出力軸30aとピニオン軸31とが、カップリング32を介して互いに連結されている。ピニオン軸31は、出力軸30aと同軸上に配置され、前記リンク取付部材9に設けた複列の軸受33により回転自在に支持されている。詳しくは、リンク取付部材9に形成されたホルダ嵌合孔9aに筒状のピニオン軸支持ホルダ34が嵌合し、このピニオン軸支持ホルダ34内に複列の軸受33が収容されている。ピニオン軸支持ホルダ34は、ボルト35によりリンク取付部材9に固定されている。複列の軸受34は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受であり、ピニオン軸31のつば部31aと、ピニオン軸31のねじ部31bに螺合するナット36とにより、内輪(図示せず)の軸方向位置が位置決めされ、軸支持ホルダ34のつば部34aと、前記ボルト35により軸支持ホルダ34と共にリンク取付部材9に固定された位置決め部材37とにより、外輪(図示せず)の軸方向位置が位置決めされている。
【0043】
ピニオン軸31の前記つば部31aよりも上側の部分は、外周に螺旋状のギア歯が形成されたピニオン40とされている。一方、前記出力側の端部リンク部材11a〜13aにおける前記軸部18との回転対偶部に連結部材41が固定して取付けられ、この連結部材41に、前記ピニオン40と噛み合う螺旋状のギア歯が形成された扇形ギア42が設けられている。扇形ギア42の中心軸は、軸部18の中心軸と一致する。ピニオン40の中心軸と扇形ギア42の中心軸とは、正面視で直角の角度を持ち、かつ互いに前後にオフセットされている。すなわち、ピニオン40および扇形ギア42はハイポイドギアであり、両者で力伝達機構43を構成する。ハイポイドギアからなる力伝達機構43は、高い減速比をとることができ、正逆両方向に力の伝達が可能である。なお、連結部材41は、図5に示すように、ボルト44,45により出力側の端部リンク部材11a〜13aに固定されている。
【0044】
構造体5は、両端を入力部材14および出力部材15の被接触部にそれぞれ接触させて、入力部材14と出力部材15との間に力を発生させるものである。図7は、入力部材14の被接触部を示す。図示は省略するが、出力部材15の被接触部も同様である。入力部材14(出力部材15)における出力部材15(入力部材14)と対向する側の端面に、円すい状に先狭まりとなる凹部50が形成されており、この凹部50の最奥部が球面状の被接触部51とされている。球面状の被接触部51の中心は、前記入力側(出力側)の球面リンク中心PA(PC)と一致する。構造体5の両端の接触部5aは、上記被接触部51に摺動自在に嵌る球体状である。
【0045】
前記凹部50の内周面の母線Dと入力部材14(出力部材15)の中心線B(C)とがなす角度αは、入力部材14の中心線Bと出力部材15の中心線Cとがなす角度である折れ角θ(図3)の最大折れ角をθmaxとした場合、α=θmax/2としてある。
【0046】
図8に示すように、構造体5は、入力部材14の被接触部51に嵌る接触部5aを有する入力側構造体部分52と、出力部材15の被接触部51に嵌る接触部5aを有する出力側構造体部分53とでなり、入力側構造体部分52の雌ねじ部52aと出力側構造体部分53の雄ねじ部53aとが螺合している。これら雄ねじ部52aと雌ねじ部53aのねじ込み量を変えることで、入力側構造体部分52および出力側構造体部分53の各接触部5aの中心間距離Mが変更される。入力側構造体部分52に雄ねじ部(図示せず)を設け、出力側構造体部分53に雌ねじ部(図示せず)を設けた構成としてもよい。
【0047】
構造体5は、入力側構造体部分52と出力側構造体部分53とが互いにスライドさせることで、前記中心間距離Mを変更する構成であっても良い。
図9に示す構造体5は、入力側構造体部分52に筒状の入力側スライド部52bを設け、出力側構造体部分53に前記入力側スライド部52bにスライド自在な出力側スライド部53bを設けて、入力側構造体部分52および出力側構造体部分53を互いにスライド可能としている。入力側スライド部52bと出力側スライド部53bとで形成された空間部54には空気、水、油等の流体が封入されており、この流体の圧力により、入力部材14と出力部材15との間に発生する力を制御している。空間部54には、管継手55を介して外部から流体を供給可能である。空間部54内に流体を出し入れすることで、入力側スライド部52bおよび出力側スライド部53bを互いに摺動させて、前記中心間距離Mを変更する。入力側スライド部52bと出力側スライド部53bとの接触面は、例えば滑り軸受構造になっている。両スライド部52b,53bの隙間が小さいほど、空間部54からの流体の漏れが少ないため、大きな力を発生できる。
【0048】
図10に示す構造体5も、前記同様に、入力側構造体部分52に筒状の入力側スライド部52bを設け、出力側構造体部分53に前記入力側スライド部52bにスライド自在な出力側スライド部53bを設けて、入力側構造体部分52および出力側構造体部分53を互いにスライド可能としている。入力側スライド部52bと出力側スライド部53bとの間の空間に、圧電アクチュエータ56が設けられている。圧電アクチュエータ56は、配線57により外部の電源に繋がっている。圧電アクチュエータ56に電圧をかけることにより、この圧電アクチュエータ56が伸縮し、前記中心間距離Mが変更する。
【0049】
図1において、制御手段6は、コンピュータによる数値制御式のものであり、入力部材14に対する出力部材15の姿勢を設定する姿勢設定手段60と、入力部材14に対する出力部材15の姿勢を検出する姿勢検出手段61と、ロータリアクチュエータ30のトルクを検出するトルク検出手段62とからの信号に基づき、各静止機構4のロータリアクチュエータ30および電磁ブレーキ29に出力指令を与える。姿勢設定手段60は、例えば折れ角θ(図3)および旋回角φ(図3)を規定することで、出力部材15の姿勢を設定する。姿勢検出手段61は、例えば入力側の端部リンク部材11a〜13aの回転角βn(図3におけるβ1,β2)を検出する。折れ角θおよび旋回角φと、各回転角βnとは相互関係があり、一方の値から他方の値を導くことができる。
【0050】
入力部材14に対し出力部材15を任意の姿勢で静止させる場合は、入力部材14および出力部材15の各被接触部51と構造体5の接触部5aとの間に作用する接触力が大きくなるように各ロータリアクチュエータ30を制御する。言い換えると、入力部材14と出力部材15間に力が発生するように各ロータリアクチュエータ30を制御する。それにより、入力部材14および出力部材15のリンク球面中心PA,PC間の距離Lが微小に変動し、入力部材14および出力部材15の被接触部51に作用する接触力の大きさが変わる。具体的には、接触力が大きくなる。この接触力に抗してリンク作動装置1を一定の動作位置に保とうとするため、姿勢調整時におけるリンク作動装置1全体の剛性が向上する。
【0051】
また、上記各ロータリアクチュエータ30の制御において、それぞれが発生する力が互いに干渉し合う方向に各ロータリアクチュエータ30を駆動させる。各ロータリアクチュエータ30の発生する力が互いに干渉し合えば、入力部材14に対する出力部材15の姿勢変化が抑制され、リンク作動装置1全体に力が作用する。それにより、リンク球面中心PA,PC間の距離Lの変動が抑えられて、リンク作動装置1全体の剛性がより一層向上する。
【0052】
入力部材14に対し出力部材15を姿勢変更する場合は、姿勢設定手段60により設定された出力部材15の姿勢に応じて、入力側の端部リンク部材11a〜13aの回転角βnの制御目標値を計算する。上記回転角βnは、ロータリアクチュエータ30の動作位置を意味する。βnの計算は、下記の式1を逆変換することで行われる。逆変換とは、折れ角θおよび旋回角φから端部リンク部材11a〜13aの回転角βnを算出する変換のことである。
cos(θ/2)sinβn−sin(θ/2)sin(φ+δn)cosβn+sin(γ/2)=0
…(式1)
ここで、γ(図3)は、入力側の端部リンク部材11a〜13aに回転自在に連結された中央リンク部材11b〜13bの連結端軸と、出力側の端部リンク部材11c〜13cに回転自在に連結された中央リンク部材11b〜13bの連結端軸とが成す角度である。δn(図3におけるδ1,δ2,δ3)は、基準となる入力側の端部リンク部材11aに対する各入力側の端部リンク部材11a〜13aの円周方向の離間角である。
【0053】
回転角βnの制御目標値を計算したなら、3つのロータリアクチュエータ30のうち2つのロータリアクチュエータ30については、前記回転角βnが制御目標値となるように、姿勢検出手段61の信号を利用してフィードバック制御する。残りの1つのロータリアクチュエータ30については、このロータリアクチュエータ30の発生するトルクが定められた制御目標値となるように、トルク検出手段62の信号を利用してフィードバック制御する。
【0054】
このように、2つのロータリアクチュエータ30を位置制御することにより、入力部材14に対する出力部材15の姿勢が決定される。残りのアクチュエータ40はトルク制御とすることで、前記2つのロータリアクチュエータ30の駆動力を低減することができ、ロータリアクチュエータ30を小型・コンパクト化できる。すべてのロータリアクチュエータ30を位置制御した場合、すべてのロータリアクチュエータ30の位置を協調させながら駆動する必要があるため、動作速度が遅くなるが、2つのロータリアクチュエータ30だけを位置制御させるのであれば、ロータリアクチュエータ30のスムーズな動作が可能になり、動作速度が速くなる。
【0055】
この実施形態のように、力伝達機構43が設けられている場合、上記制御に代えて、以下のように制御してもよい。すなわち、3つのロータリアクチュエータ30のうち2つのロータリアクチュエータ30については、前記同様に位置制御し、残りの1つのロータリアクチュエータ30については、フィードバック制御機能をオフした状態であるサーボオフ状態で動作させる。位置制御される2つのロータリアクチュエータ30で駆動される入力側の端部リンク部材11a〜13aのトルクが、力伝達機構43を介して残りの1つのロータリアクチュエータ30に伝達されるため、残りの1つのロータリアクチュエータ30をサーボオフ状態でも動作させることが可能である。
【0056】
姿勢変更中の出力部材15を静止させるときは、ブレーキ装置29によりロータリアクチュエータ30の回転軸にブレーキをかけて、各ロータリアクチュエータ30を回転停止させる。それにより、ロータリアクチュエータ30にトルクが伝達されても一定の角度を保てるため、姿勢調整時におけるリンク作動装置1全体の剛性が向上する。
【0057】
このリンク作動装置1は、入力部材14に対し出力部材15が直交2軸方向に移動自在な2自由度機構として構成されており、コンパクトでありながら、出力部材15の可動範囲を広くとれる。そのため、出力部材15に搭載される医療用アクチュエータ等の駆動装置の操作性が良い。また、3組のリンク機構11〜13のすべてに静止機構4を設けたことにより、構造体5により入力部材14と出力部材15との間に力を発生させた場合に、リンク作動装置1全体に予圧がかかった状態となり、リンク作動装置1のガタつきが少なく、かつ剛性が高い。構造体5により入力部材14と出力部材15との間に力を発生させない場合でも、出力部材15に力が作用したときに、角度制御されていないフリーのリンク機構11〜13が存在しないため、リンク作動装置1全体の剛性が高く、出力部材15の姿勢調整精度が良い。
【0058】
また、このリンク作動装置1には、入力部材14および出力部材15の被接触部51にそれぞれ接触して入力部材14と出力部材15を連結する構造体5が設けられているため、この構造体5により入力部材14と出力部材15との間に力を発生、すなわち予圧を与えることにより、リンク作動装置1のガタを無くし、剛性を向上させることができる。その結果、入力部材14に対する出力部材15の姿勢調整精度が向上する。構造体5は、両端の各接触部5aの中心間距離Mを変更可能であるため、上記予圧量を容易に調整できる。
【0059】
入力部材14および出力部材15の外周面から軸部18を突出し、この軸部18と、入力側および出力側の端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cとを互いに回転可能に連結させたため、入力部材14および出力部材15の中央部に広いスペースを確保することができる。そのため、その広いスペースに被接触部51を容易に形成することができる。
【0060】
入力部材14および出力部材15の各被接触部51は、各リンク機構11〜13のリンク球面中心PA,PCを中心とする球面形状であり、構造体5の接触部5aは上記被接触部51に摺動自在に嵌る球体状であるため、入力部材14に対する出力部材15の姿勢が変わっても、被接触部51と接触部5aが常に接触する状態に維持され、リンク作動装置1の動作に影響を与えない。
【0061】
図11は、前記姿勢検出手段61の一例の概略構成図である。この姿勢検出手段61は、リンク機構部3の3つの入力側の端部リンク部材11a〜13aのうち2つ以上に設けられた回転角検出手段71を有する。図例では、2つの回転角検出手段71により、入力側の端部リンク部材11a,12aの回転角を検出する。例えば、回転角検出手段71はロータリエンコーダであり、その回転軸71aが、入力部材14の軸部18に設けた孔74に固定状態で挿入されている。
【0062】
上記2つの回転角検出手段71の出力信号は、角度算出手段75に送られる。角度算出手段75は、上記出力信号より、出力部材15の位置および姿勢を表す折れ角θ(図3)および旋回角φ(図3)を算出し、それを制御手段6に送る。
【0063】
なお、上記角度算出手段75による折れ角θおよび旋回角φの算出は、前記式1を順変換することで行われる。順変換とは、入力側の端部リンク部材11a〜13aの回転角度から折れ角θおよび旋回角φを算出する変換のことである。
【符号の説明】
【0064】
1…リンク作動装置
4…静止機構
5…構造体
5a…接触部
6…制御手段
11,12,13…リンク機構
11a,12a,13a…入力側の端部リンク部材
11b,12b,13b…中央リンク部材
11c,12c,13c…出力側の端部リンク部材
14…入力部材
15…出力部材
29…ブレーキ装置
30…ロータリアクチュエータ
43…力伝達機構
50…凹部
51…被接触部
52…入力側構造体部分
52a…雌ねじ部
52b…入力側スライド部
53…出力側構造体部分
53a…雄ねじ部
53b…出側スライド部
54…空間部
56…圧電アクチュエータ
71…回転角検出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部材に対し出力部材を、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各リンク機構は、それぞれ前記入力部材および出力部材に一端が回転可能に連結された入力側および出力側の端部リンク部材と、これら入力側および出力側の端部リンク部材の他端をそれぞれ回転可能に連結した中央リンク部材とでなり、前記各リンク機構は、このリンク機構を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する入力側部分と出力側部分とが対称を成す形状であるリンク作動装置において、
前記3組以上のリンク機構のすべてに、前記入力部材に対して前記出力部材を任意の姿勢で静止させることが可能な静止機構を設け、
前記入力部材および出力部材にそれぞれ形成された被接触部に接触して入力部材と出力部材とを互いに連結する構造体を設けたことを特徴とするリンク作動装置。
【請求項2】
請求項1において、前記静止機構は、前記入力側の端部リンク部材に直接または間接的に連結され、前記入力部材に対する前記入力側の端部リンク部材の回転を拘束するように作用するアクチュエータを有するリンク作動装置。
【請求項3】
請求項2において、前記静止機構により前記入力部材に対し前記出力部材を任意の姿勢で静止させるとき、前記入力部材および出力部材の被接触部と前記構造体との間に作用する接触力が大きくなるように前記アクチュエータを制御する制御手段を設けたリンク作動装置。
【請求項4】
請求項3において、前記制御手段は、前記静止機構により前記入力部材に対し前記出力部材を任意の姿勢で静止させるとき、前記各アクチュエータを、それぞれが発生する力が互いに干渉し合う方向に駆動させるように制御するリンク作動装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4において、前記制御手段は、前記入力部材に対し前記出力部材を姿勢変更するとき、前記各アクチュエータのうち2つのアクチュエータについては、これらアクチュエータの動作位置が定められた制御目標位置となるように制御し、残りのアクチュエータについては、このアクチュエータの発生するトルクが定められた制御目標位置となるように制御するリンク作動装置。
【請求項6】
請求項3または請求項4において、前記各アクチュエータと前記各入力側の端部リンク部材との間に相互に力の伝達が可能な力伝達機構を有し、前記制御手段は、前記入力部材に対し前記出力部材を姿勢変更するとき、前記各アクチュエータのうち2つのアクチュエータについては、これらアクチュエータの動作位置が定められた制御目標位置となるように制御し、残りのアクチュエータについては、このアクチュエータの発生するトルクが定められた制御目標位置となるように制御するか、またはフィードバック制御機能をオフした状態であるサーボオフ状態で駆動するリンク作動装置。
【請求項7】
請求項2ないし請求項6のいずれか1項において、前記各アクチュエータはロータリアクチュエータであって、このロータリアクチュエータの回転軸の回転をロックするブレーキ装置を有し、前記入力部材に対し前記出力部材を任意の姿勢で静止させるとき、前記ブレーキ装置を作動させるリンク作動装置。
【請求項8】
請求項2ないし請求項7のいずれか1項において、前記入力部材に対する前記入力側の端部リンク部材の回転角をβn、前記入力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸と、前記出力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸とが成す角度をγ、基準となる入力側の端部リンク部材に対する各入力側の端部リンク部材の円周方向の離間角をδn、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した垂直角度をθ、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した水平角度をφとした場合に、
cos(θ/2)sinβn−sin(θ/2)sin(φ+δn)cosβn+sin(γ/2)=0
で表される式を逆変換することで、前記入力部材に対する前記出力部材の姿勢を制御するリンク作動装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記構造体は、前記入力部材と出力部材との間に力を発生させるリンク作動装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、前記入力部材および出力部材は、外周面から突出する前記リンク機構と同数の軸部を有し、これら軸部に各リンク機構の前記入力側および出力側の端部リンク部材をそれぞれ回転可能に連結し、かつ前記軸部よりも内径側に前記被接触部を配置したリンク作動装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、前記入力部材および出力部材の各被接触部は、前記各リンク機構のリンク球面中心を中心とする球面形状であり、前記構造体は、両端に前記被接触部に摺動自在に嵌る球体状の接触部を有するリンク作動装置。
【請求項12】
請求項11において、前記構造体は、前記入力部材の被接触部に嵌る接触部を有する入力側構造体部分と、前記出力部材の被接触部に嵌る接触部を有する出力側構造体部分とでなり、これら入力側構造体部分および出力側構造体部分の各接触部の中心間距離を変更可能としたリンク作動装置。
【請求項13】
請求項12において、前記入力側構造体部分および出力側構造体部分のうち一方の部材は雄ねじ部を有し、他方の部材は前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、これら雄ねじ部と雌ねじ部のねじ込み量を変えることで、前記入力側構造体部分および出力側構造体部分の各接触部の中心間距離を変更するものとしたリンク作動装置。
【請求項14】
請求項12において、前記入力側構造体部分および出力側構造体部分に、これら入力側構造体部分および出力側構造体部分の球体状の接触部の中心を結ぶ直線に沿って互いにスライド自在な入力側スライド部および出力側スライド部をそれぞれ設けたリンク作動装置。
【請求項15】
請求項14において、前記入力側構造体部分と出力側構造体部分とで空間部を形成し、この空間部に流体を出し入れすることで、前記入力側スライド部および出力側スライド部を互いにスライドさせるものとしたリンク作動装置。
【請求項16】
請求項14において、前記入力側スライド部および出力側スライド部を互いにスライドさせる圧電アクチュエータを設けたリンク作動装置。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のいずれか1項において、前記入力部材は前記出力部材側の端面に、また前記出力部材は前記入力部材側の端面に、それぞれ円すい状に先狭まりとなる凹部を有し、これら凹部の最奥部を前記被接触部としたリンク作動装置。
【請求項18】
請求項17において、前記入力部材の中心線と前記出力部材の中心線とがなす角度である折れ角の最大折れ角がθmaxであり、前記入力部材における前記凹部の内周面の母線と前記入力部材の中心線とがなす角度、および前記出力部材における前記凹部の内周面の母線と前記出力部材の中心線とがなす角度を、共にθmax/2としたリンク作動装置。
【請求項19】
請求項1ないし請求項18のいずれか1項において、前記3組以上のリンク機構うちのの2組以上に、前記入力側の端部リンク部材の回転角を検出する回転角検出手段を設けたリンク作動装置。
【請求項20】
請求項19において、前記入力部材に対する前記入力側の端部リンク部材の回転角をβn、前記入力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸と、前記出力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸とが成す角度をγ、基準となる入力側の端部リンク部材に対する各入力側の端部リンク部材の円周方向の離間角をδn、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した垂直角度をθ、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した水平角度をφとした場合に、
cos(θ/2)sinβn−sin(θ/2)sin(φ+δn)cosβn+sin(γ/2)=0
で表される式を順変換することで、前記入力部材に対する前記出力部材の姿勢を推定するリンク作動装置。
【請求項1】
入力部材に対し出力部材を、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各リンク機構は、それぞれ前記入力部材および出力部材に一端が回転可能に連結された入力側および出力側の端部リンク部材と、これら入力側および出力側の端部リンク部材の他端をそれぞれ回転可能に連結した中央リンク部材とでなり、前記各リンク機構は、このリンク機構を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する入力側部分と出力側部分とが対称を成す形状であるリンク作動装置において、
前記3組以上のリンク機構のすべてに、前記入力部材に対して前記出力部材を任意の姿勢で静止させることが可能な静止機構を設け、
前記入力部材および出力部材にそれぞれ形成された被接触部に接触して入力部材と出力部材とを互いに連結する構造体を設けたことを特徴とするリンク作動装置。
【請求項2】
請求項1において、前記静止機構は、前記入力側の端部リンク部材に直接または間接的に連結され、前記入力部材に対する前記入力側の端部リンク部材の回転を拘束するように作用するアクチュエータを有するリンク作動装置。
【請求項3】
請求項2において、前記静止機構により前記入力部材に対し前記出力部材を任意の姿勢で静止させるとき、前記入力部材および出力部材の被接触部と前記構造体との間に作用する接触力が大きくなるように前記アクチュエータを制御する制御手段を設けたリンク作動装置。
【請求項4】
請求項3において、前記制御手段は、前記静止機構により前記入力部材に対し前記出力部材を任意の姿勢で静止させるとき、前記各アクチュエータを、それぞれが発生する力が互いに干渉し合う方向に駆動させるように制御するリンク作動装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4において、前記制御手段は、前記入力部材に対し前記出力部材を姿勢変更するとき、前記各アクチュエータのうち2つのアクチュエータについては、これらアクチュエータの動作位置が定められた制御目標位置となるように制御し、残りのアクチュエータについては、このアクチュエータの発生するトルクが定められた制御目標位置となるように制御するリンク作動装置。
【請求項6】
請求項3または請求項4において、前記各アクチュエータと前記各入力側の端部リンク部材との間に相互に力の伝達が可能な力伝達機構を有し、前記制御手段は、前記入力部材に対し前記出力部材を姿勢変更するとき、前記各アクチュエータのうち2つのアクチュエータについては、これらアクチュエータの動作位置が定められた制御目標位置となるように制御し、残りのアクチュエータについては、このアクチュエータの発生するトルクが定められた制御目標位置となるように制御するか、またはフィードバック制御機能をオフした状態であるサーボオフ状態で駆動するリンク作動装置。
【請求項7】
請求項2ないし請求項6のいずれか1項において、前記各アクチュエータはロータリアクチュエータであって、このロータリアクチュエータの回転軸の回転をロックするブレーキ装置を有し、前記入力部材に対し前記出力部材を任意の姿勢で静止させるとき、前記ブレーキ装置を作動させるリンク作動装置。
【請求項8】
請求項2ないし請求項7のいずれか1項において、前記入力部材に対する前記入力側の端部リンク部材の回転角をβn、前記入力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸と、前記出力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸とが成す角度をγ、基準となる入力側の端部リンク部材に対する各入力側の端部リンク部材の円周方向の離間角をδn、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した垂直角度をθ、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した水平角度をφとした場合に、
cos(θ/2)sinβn−sin(θ/2)sin(φ+δn)cosβn+sin(γ/2)=0
で表される式を逆変換することで、前記入力部材に対する前記出力部材の姿勢を制御するリンク作動装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記構造体は、前記入力部材と出力部材との間に力を発生させるリンク作動装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、前記入力部材および出力部材は、外周面から突出する前記リンク機構と同数の軸部を有し、これら軸部に各リンク機構の前記入力側および出力側の端部リンク部材をそれぞれ回転可能に連結し、かつ前記軸部よりも内径側に前記被接触部を配置したリンク作動装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、前記入力部材および出力部材の各被接触部は、前記各リンク機構のリンク球面中心を中心とする球面形状であり、前記構造体は、両端に前記被接触部に摺動自在に嵌る球体状の接触部を有するリンク作動装置。
【請求項12】
請求項11において、前記構造体は、前記入力部材の被接触部に嵌る接触部を有する入力側構造体部分と、前記出力部材の被接触部に嵌る接触部を有する出力側構造体部分とでなり、これら入力側構造体部分および出力側構造体部分の各接触部の中心間距離を変更可能としたリンク作動装置。
【請求項13】
請求項12において、前記入力側構造体部分および出力側構造体部分のうち一方の部材は雄ねじ部を有し、他方の部材は前記雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有し、これら雄ねじ部と雌ねじ部のねじ込み量を変えることで、前記入力側構造体部分および出力側構造体部分の各接触部の中心間距離を変更するものとしたリンク作動装置。
【請求項14】
請求項12において、前記入力側構造体部分および出力側構造体部分に、これら入力側構造体部分および出力側構造体部分の球体状の接触部の中心を結ぶ直線に沿って互いにスライド自在な入力側スライド部および出力側スライド部をそれぞれ設けたリンク作動装置。
【請求項15】
請求項14において、前記入力側構造体部分と出力側構造体部分とで空間部を形成し、この空間部に流体を出し入れすることで、前記入力側スライド部および出力側スライド部を互いにスライドさせるものとしたリンク作動装置。
【請求項16】
請求項14において、前記入力側スライド部および出力側スライド部を互いにスライドさせる圧電アクチュエータを設けたリンク作動装置。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のいずれか1項において、前記入力部材は前記出力部材側の端面に、また前記出力部材は前記入力部材側の端面に、それぞれ円すい状に先狭まりとなる凹部を有し、これら凹部の最奥部を前記被接触部としたリンク作動装置。
【請求項18】
請求項17において、前記入力部材の中心線と前記出力部材の中心線とがなす角度である折れ角の最大折れ角がθmaxであり、前記入力部材における前記凹部の内周面の母線と前記入力部材の中心線とがなす角度、および前記出力部材における前記凹部の内周面の母線と前記出力部材の中心線とがなす角度を、共にθmax/2としたリンク作動装置。
【請求項19】
請求項1ないし請求項18のいずれか1項において、前記3組以上のリンク機構うちのの2組以上に、前記入力側の端部リンク部材の回転角を検出する回転角検出手段を設けたリンク作動装置。
【請求項20】
請求項19において、前記入力部材に対する前記入力側の端部リンク部材の回転角をβn、前記入力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸と、前記出力側の端部リンク部材に回転自在に連結された中央リンク部材の連結端軸とが成す角度をγ、基準となる入力側の端部リンク部材に対する各入力側の端部リンク部材の円周方向の離間角をδn、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した垂直角度をθ、前記入力部材の中心軸に対して前記出力部材が傾斜した水平角度をφとした場合に、
cos(θ/2)sinβn−sin(θ/2)sin(φ+δn)cosβn+sin(γ/2)=0
で表される式を順変換することで、前記入力部材に対する前記出力部材の姿勢を推定するリンク作動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−82937(P2012−82937A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231433(P2010−231433)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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