説明

リーダ用アンテナならびにアンテナ付き物品載置棚およびアンテナ付き物品載置台

【課題】 書籍類の表表紙面、裏表紙面、背表紙面などに取付けられる電子タグと交信するために書架などの棚板などのアンテナ形成対象部材5に設けられるリーダ用アンテナ15が、書籍類などの物品を収納する物品収納空間などについて無駄なスペースを生じることなく、上記電子タグと良好に交信し得るようにすることである。
【解決手段】 書架などの棚板などのアンテナ形成対象部材5に形成されているアンテナパターン23を有するリーダ用アンテナ15において、導電性で多孔性のシート状部材51が、上記アンテナ形成対象部材5に設けられ、上記多孔性シート状部材51の外周囲が、平面的に見て、上記アンテナパターン23の外周囲にほぼ沿って延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書架、その他の物品載置棚の棚板、物品載置台の台板などのアンテナ形成対象部材に設けられているアンテナパターンを有するリーダ用アンテナに関するものである。また、本発明は、このようなリーダ用アンテナが設けられる棚板および台板をそれぞれ備えているアンテナ付き書架、その他のアンテナ付き物品載置棚およびアンテナ付き物品載置台にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、書類、CD、DVDなどの光ディスク類、その他の光記録媒体、ビデオテープ、オーディオテープなどの磁気テープ類、その他の磁気記録媒体などのほぼ直方体形状の物品、瓶などのほぼ円筒形状の容器類、不定形状の衣料などの各種の商品または各種の所蔵品のような各種の物品が、陳列棚、商品棚、書架、書類管理棚、物品所蔵棚などの物品載置棚や、図書館などの受付カウンタ台などのカウンタ台、テーブル、机などの物品載置台に、陳列、収納、管理などのために載置される。そして、上述のような各種の物品に電子タグを取り付けるとともに、このような電子タグと交信するリーダライタ用アンテナを備えるRFID(Radio Frequency Identification)システムを用いて、上述のような各種の物品を管理することが期待されている。このような電子タグは、無線タグまたはICタグとも呼ばれていて、情報が記録されるメモリが組み込まれているICチップと、小型アンテナとをそれぞれ含む通信回路から成っている。上述のように電子タグと交信するリーダライタ用アンテナは、物品を載置する棚板面に沿って配設される場合や、物品の脱落を防止することを主目的として物品載置棚の背面側に配される背板面に沿って配設される場合が多く、通常はループアンテナとして構成される。
【0003】
近年、上述のような電子タグおよびリーダライタ用アンテナから成るアンテナシステムの応用技術が図書館を中心に導入されている。このような応用技術は、書籍類の一部に電子タグを貼付するとともに、図書館などの受付けカウンタで据え置き型のリーダライタ用アンテナにより電子タグを非接触で一括して読み取ることによって、書籍類の貸出しおよび返却の作業を効率化する技術や、図書館などの出入口に設けられたリーダライタ用アンテナとしてのゲートアンテナによって、書籍類が無断で持ち出されるのを防止する技術を含んでいる。また、上記応用技術は、図書館などの書架に配置される電子タグ付きの書籍類を図書館などの職員がリーダライタとしてのハンディリーダでスキャニングすることによって、図書館などの蔵書を点検する技術も含んでいる。この点検技術によれば、書籍類を一冊一冊取り出してスキャニングする必要があったバーコードシステムによる従来の方法に較べて、飛躍的に効率があがるから、蔵書の点検のために必要な閉館期間が著しく短縮される。なお、本文において、「書籍類」とは、書籍のみならず、新聞、雑誌、資料、書類、その他の紙製媒体や、このような紙製媒体をバインダなどにより綴じ込むことによって作成された書類綴じ込みファイルや、CD、DVDなどの光記録媒体や、ビデオテープ、オーディオテープなどの磁気記録媒体も、含んでいる。
【0004】
一方、最近の図書館では、各図書館の間でのネットワーク化によって、各図書館での書籍類の相互の貸借が盛んに行われている。したがって、図書館の利用者は、近くにある図書館に行けば、その図書館が所蔵していない書籍類も借り出すことができる。しかし、利用者は、書籍類を利用した後に、この書籍類を元々あった書架の棚板の位置に戻すとは限らない。このために、リーダライタ用アンテナとしての従来のハンディリーダによるスキャニングでは、所望の書籍類がどの書架のどの棚板にあるのかが分からない。したがって、上述のように各図書館での書籍類の相互の貸借が増えることによって、図書館の職員には、利用者から要望のあった書籍類を書架の棚板から探し出す作業が日々増えている。よって、図書館の職員は、利用者から要望のあった書籍類がどの書架のどの書棚に配置されているのかを管理および把握して、所望の書籍類を短時間で探し出せるようにすることによって、上記相互貸借に迅速に対応できるようにすることが強く求められている。
【0005】
上述のような問題に対応するための従来技術として、書架の棚板や背板にリーダライタ用アンテナを設けたり、ブックエンド形式のリーダライタ用アンテナを用いて書架の棚板上の書籍類をリアルタイムで管理したりする書架管理システムが知られている。例えば特許文献1には、電子タグを表表紙または裏表紙に貼付した書籍類を管理する書架管理システムが開示されている。また、例えば特許文献2には、書籍類の背表紙に貼付した電子タグと交信するほぼ長方形状のリーダライタ用アンテナが設けられた棚板を有する書架において、上下の棚板間での干渉を防止するようにした書架管理システムが開示されている。
【特許文献1】特開2003−72919号公報
【特許文献2】特開2001−225921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
主要な図書館のなかでは、書籍類の表表紙または裏表紙に電子タグを貼付する図書館が多い。その理由としては、書籍類の表表紙または裏表紙は、電子タグを貼付するための面積が最も大きくかつ書籍類のサイズや厚みの影響を受けにくいことが挙げられる。しかし、書籍類の背表紙に電子タグを貼付する図書館も存在している。したがって、多数の図書館の間で書籍類を相互に貸借するためには、書籍類に貼付する電子タグの向き(換言すれば、電子タグが表表紙または裏表紙に貼付されているのか、あるいは、背表紙に貼付されているのか)に関係なく、リーダライタ用アンテナが書籍類に貼付されている電子タグを読み取ることができる必要がある。
【0007】
一方、リーダライタ用アンテナから放出される磁界は、書架の棚板面の真上だけではなくて、上下、左右および前後の各方向にもそれぞれ放出されてしまう。このために、1つの棚板における給電中のリーダライタ用アンテナから放出される磁界を受けることによって、別の棚板上に載置されている書籍類に貼付されている電子タグが反応することがある。この結果、上記別の棚板上に載置されている書籍類が上記1つの棚板上に載置されているかのように誤って認識されることがある。したがって、リーダライタ用アンテナの磁界放出方向(すなわち、リーダライタ用アンテナの敷設面または棚板面に対する垂直方向)における上下のリーダライタ用アンテナ間の距離(換言すれば、上段の棚板に敷設されているリーダライタ用アンテナと、1つ下の段の棚板に敷設されている別のリーダライタ用アンテナとの間の距離)を、磁界の相互の影響を受けないように、一定以上の距離にする必要がある。よって、特許文献1に開示されている書架管理システムを適用した従来の書架の場合には、例えば図1に示すように、書籍類1のうちのA4サイズ(高さ29.7mm)の週刊誌1aの場合であっても、A6サイズ(高さ14.8mm)の文庫本1bの場合であっても、書架2の上下の棚板3〜7の間隔をほぼ同じだけ空ける必要がある。このために、文庫本1bの場合には、週刊誌1aの場合に較べて、余分な空間が2倍程度必要であるから、書架2における書籍類1の収納能力に大きな問題が生じる。なお、図1に示す書架2のうちのリーダライタ用アンテナに関連する部分を除く構造自体は、本発明の第1の実施例である図2に示す書架2の場合と実質的に同一であってよいから、上記構造自体については、図2についての後述の説明を参照されたい。
【特許文献1】特開2003−72919号公報
【0008】
また、特許文献2に開示されているリーダライタ用アンテナでは、書籍類の表表紙または裏表紙に貼付された電子タグは、棚板上の大部分で読み取りが不可能である。そして、特許文献2に開示されている上下の棚板についての干渉防止法によれば、書籍類の表表紙または裏表紙に貼付された電子タグにとって必要な間口方向の磁界成分が大幅に低減される。したがって、特許文献2の技術は、書籍類の表表紙または裏表紙に貼付された電子タグを読み取るリーダライタ用アンテナには、応用することができなかった。
【特許文献2】特開2001−225921号公報
【0009】
本発明は、上述のような問題点に着目してこのような問題点を解決するために発明されたものであって、書籍類の表表紙面、裏表紙面、背表紙面などに取付けられる電子タグと交信するためにアンテナ形成対象部材に設けられるリーダライタ用アンテナが、書籍類などの物品を収納する物品収納空間などについて無駄なスペースを生じることなく、上記電子タグと良好に交信し得るようにすることを主目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、その第1の観点によれば、アンテナ形成対象部材に形成されているアンテナパターンを有するリーダライタ用アンテナにおいて、導電性で多孔性のシート状部材が、上記アンテナ形成対象部材に設けられ、上記多孔性シート状部材の外周囲が、平面的に見て、上記アンテナパターンの外周囲にほぼ沿って延在していることを特徴とするリーダ用アンテナに係るものである。この場合、上記多孔性シート状部材が、導電性の線条体をメッシュ状に編組したメッシュ構造のものであることができる。また、上記多孔性シート状部材の小開孔のピッチは、好ましくは、50〜2,000μm(さらに好ましくは、100〜1,200μm)の範囲である。また、上記多孔性シート状部材の多数個の小開孔の1個当りの面積は、好ましくは、4,000〜1,800,000μm(さらに好ましくは、8,000〜800,000μm)の範囲である。また、上記多孔性シート状部材の、そこに形成されている多数個の小開孔についての開口率は、好ましくは、70〜95%(さらに好ましくは、80〜92%)の範囲である。また、上記多孔性シート状部材と上記アンテナパターンとの相互の間隔は、好ましくは、5〜35mm(さらに好ましくは、8〜30mm)の範囲である。さらに、上記アンテナパターンの端部のうちのいずれか1つの端部付近と重複(例えば、このいずれか1つの端部付近のほぼコ字状に突出している突出部分と少なくとも重複)している導電性で多孔性の第2のシート状部材が、上記アンテナ形成対象部材のうちの上記いずれか1つの端部付近に対応する箇所に少なくとも設けられているのが好ましい。
【0011】
本発明の上記第1の観点においては、導電性で多孔性の第3のシート状部材が、平面的に見て上記アンテナパターンの外周囲にほぼ沿ってループ形状に延在するように、上記アンテナ形成対象部材に設けられているのが好ましい。この場合、その中央開口を含む上記第3の多孔性シート状部材の大きさに対する上記中央開口の大きさの比は、好ましくは、20〜80%(さらに好ましくは、30〜70%)の範囲である。また、上記第3の多孔性シート状部材の外周囲は、平面的に見て、上記リーダライタ用アンテナの上記アンテナパターンの外周囲またはその外側に沿って延在し、上記第3の多孔性シート状部材の内周囲は、平面的に見て、つぎの(a)項〜(d)項に記載の条件を満足しているのが好ましい。
(a)上記第3の多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の第1の方向(例えば、奥行き方向)における第1の側の内周囲が、上記第1の方向とは直交する第2の方向(例えば、間口方向)にほぼ沿って延在しているパターン部分のうちの上記第1の方向における上記第1の側の最外周を延在しているパターン部分の内側端またはその内側にほぼ沿って延在していること、
(b)上記第3の多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の上記第1の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側の内周囲が、上記第2の方向にほぼ沿って延在している上記パターン部分のうちの上記第1の方向における上記第2の側の最外周を延在しているパターン部分の内側端またはその内側にほぼ沿って延在していること、
(c)上記第3の多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の上記第2の方向における第1の側の内周囲が、上記第1の方向にほぼ沿って延在しているパターン部分のうちの上記第2の方向における上記第1の側の最外周を延在しているパターン部分の外側端またはその外側にほぼ沿って延在していること、および
(d)上記第3の多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の上記第2の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側の内周囲が、上記第1の方向にほぼ沿って延在しているパターン部分のうちの上記第2の方向における上記第2の側の最外周を延在しているパターン部分の外側端またはその外側にほぼ沿って延在していること。
【0012】
さらに、上述の場合、上記第3の多孔性シート状部材は、平面的に見て、上記アンテナ形成対象部材の第2の方向にほぼ延在しているパターン部分のうちの上記第1の方向における上記第1の側の端部付近および上記第2の側の端部付近をそれぞれ延在しているパターン部分とほぼ重複していてよい。また、上記第3の多孔性シート状部材は、平面的に見て、上記第2の方向にほぼ沿って延在しているすべてのパターン部分とほぼ重複していてよい。また、上記第3の多孔性シート状部材は、平面的に見て、上記第1の方向にほぼ沿って延在しているいずれのパターン部分とも実質的に重複していなくてよい。
【0013】
また、本発明の上記第1の観点においては、上記リーダ用アンテナが、互いに絶縁されかつ互いに重ね合わせられた状態で上記アンテナ形成対象部材にそれぞれ設けられている第1および第2のループアンテナを備えているのが好ましい。また、上記第1および第2のループアンテナのそれぞれは、ほぼループ形状のアンテナパターンを備え、上記第1のループアンテナの上記ほぼループ形状のアンテナパターンと、上記第2のループアンテナの上記ほぼループ形状のアンテナパターンとのそれぞれは、上記アンテナ形成対象部材の第1の方向における第1の側に設けられた第1のパターン部分と、上記アンテナ形成対象部材の上記第1の方向とは直交する第2の方向における第1の側に設けられた第2のパターン部分と、上記アンテナ形成対象部材の上記第1の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第3のパターン部分と、上記アンテナ形成対象部材の上記第2の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第4のパターン部分とを備え、上記第1のループアンテナの上記第3のパターン部分と、上記第2のループアンテナの上記第1のパターン部分とのそれぞれは、互いに間欠的に配置されている複数本のベースライン部と、これら複数本のベースライン部の間に設けられている少なくとも1個の屈曲部とをそれぞれ備え、上記屈曲部のそれぞれは、第1の立上り部および第2の立上り部をそれぞれ備えるほぼ凸形状に構成され、上記第1のループアンテナの上記第1の立上り部または上記第2の立上り部が上記第2のループアンテナのこれと対応する第1の立上り部とこれと対応する第2の立上り部との間に配置されるように、上記第1のループアンテナが上記第2のループアンテナに対して上記第2の方向にずれているのが好ましい。この場合、上記第1のループアンテナは、好ましくは、上記複数本のベースライン部の1本当りの平均的な長さの0.25〜0.75(さらに好ましくは、0.3〜0.6)の範囲だけ上記第2のループアンテナに対して上記第2の方向にずれている。また、上記第1のループアンテナは、好ましくは、上記第1のループアンテナの上記第1および第2の立上り部および上記第2のループアンテナの上記第1および第2の立上り部の1本当りの平均的な長さの0.05〜0.5(さらに好ましくは、0.1〜0.4)の範囲だけ、上記第2のループアンテナに対して上記第1の方向にずれている。さらに、上記リーダ用アンテナがリーダライタ用アンテナとして構成されているのが好ましい。
【0014】
さらに、本発明は、その第2の観点によれば、上記第1の観点によるリーダ用アンテナが形成されている棚板を上記アンテナ形成対象部材として備えていることを特徴とするアンテナ付き物品載置棚に係るものである。この場合、上記アンテナ付き物品載置棚がアンテナ付き書架であるのが好ましい。また、上記棚板のうちの少なくとも1枚の棚板(好ましくは、底板兼用の棚板を必要に応じて除く総ての棚板)が上下方向における取付け位置を変更し得るように構成されているのが好ましい。また、本発明は、その第3の観点によれば、上記第1の観点によるリーダ用アンテナが形成されている台板を上記アンテナ形成対象部材として備えていることを特徴とするアンテナ付き物品載置台に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、リーダ用アンテナのアンテナパターンのうちの所定のアンテナ成分で発生される必要以上に大きい磁界(磁束)を、導電性で多孔性の第1のシート状部材によって、棚板などのアンテナ形成対象部材の外部(具体的には、アンテナ形成対象部材の一定の距離以上の上方部分やアンテナ形成対象部材の上方以外の部分)に限ってかなりの程度で弱めるようにすることが可能であるから、上記リーダ用アンテナと、これと上下方向、水平方向などで隣接する別のリーダ用アンテナとの間で干渉を生じる可能性がほとんどなくて、物品収納空間などに無駄なスペースを生じることがない。それでいて、導電性の第1のシート状部材が多孔性であるから、リーダ用アンテナのアンテナパターンでそれぞれ発生される磁界(磁束)が、電子タグとの相互の交信に有効に機能する。したがって、比較的簡単な構成であるにもかかわらず、リーダ用アンテナを電子タグと良好に交信させることができる。
【0016】
また、請求項7に係る発明によれば、リーダ用アンテナのアンテナパターンのうちの所定のアンテナ成分で発生される必要以上に大きい磁界(磁束)を、第2の多孔性シート状部材によっても、棚板などのアンテナ形成対象部材の外部に限ってさらに弱めるようにすることが可能であるから、上記リーダ用アンテナと、これと上下方向、水平方向などで隣接する別のリーダ用アンテナとの間で干渉を生じる可能性がさらに少なくなる。
【0017】
また、請求項8〜13に係る発明によれば、リーダ用アンテナのアンテナパターンのうちの所定のアンテナ成分で発生される必要以上に大きい磁界(磁束)を、第3の多孔性シート状部材によっても、棚板などのアンテナ形成対象部材の外部に限ってさらに弱めるようにすることが可能であるから、上記リーダ用アンテナと、これと上下方向、水平方向などで隣接する別のリーダ用アンテナとの間で干渉を生じる可能性がさらに少なくなる。
【0018】
また、請求項15に係る発明によれば、第1および第2のアンテナのそれぞれのほぼ上記第1の方向に沿って延在する通信不能領域を、比較的少ないアンテナ数でかつ比較的簡単なアンテナパターン形状でもって、互いに補うことができる。このために、種々の向きの電子タグ(例えば、書籍類の表表紙または裏表紙に貼付されている電子タグや、書籍類の背表紙に貼付されている電子タグ)との良好な交信が可能であるリーダ用アンテナを提供することができる。
【0019】
また、請求項16に係る発明によれば、共通のアンテナでもって電子タグへの書込みと電子タグからの読み出しとの両方を行うことができるから、リーダライタ全体の構成を簡単にすることができる。
【0020】
また、請求項17および20に係る発明によれば、リーダ用アンテナと、これと上下方向、水平方向などで隣接する別のリーダ用アンテナとの間で干渉を生じる可能性がほとんどなくて、無駄なスペースを生じることがなく、また、リーダ用アンテナを比較的簡単な構成にすることができるにもかかわらず、電子タグと良好に交信することが可能であるリーダ用アンテナを備えた書架などの物品載置棚および物品載置台を提供することができる。
【0021】
さらに、請求項19に係る発明によれば、上記少なくとも1枚の棚板上に載置される物品のうちの高さのサイズが最大の物品の頂部(書籍類の場合には、天)と、上記少なくとも1枚の棚板上の物品収納空間の頂部(例えば、1つ上の段の棚板の下面)との隙間を、常にほぼ一定の間隔(例えば、10mmまたはそれ以上)に設定することができる。したがって、文庫本のように高さのサイズが比較的小さい物品のみを載置する棚板の場合には、物品収納空間の高さのサイズをできるだけ小さくすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
つぎに、本発明を書架管理システムにそれぞれ適用した第1および第2の実施例を、「1、第1の実施例」、「2、第2の実施例」、「3、第3の実施例」、「4、第4の実施例」および「5、リーダライタ用アンテナの動作実験」にそれぞれ項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
1、第1の実施例
まず、本発明の第1の実施例を、「(1)書架全体の概略的構成」、「(2)リーダライタ用アンテナ付き棚板」、「(3)リーダライタ用アンテナのパターン形状」、「(4)干渉防止用部材」および「(5)リーダライタ用アンテナへの給電方法」に項分けして、図2〜図8を参照しつつ説明する。
【0024】
(1)書架全体の概略的構成
本発明の第1の実施例における書架2は、図1に示す書架2が上下5段の棚板3〜7を有しているのに対し、図2に示すように、上下6段の棚板3〜8を有している。具体的には、書架2は、最上段の棚板3、2段目の棚板4、3段目の棚板5、4段目の棚板6、5段目の棚板7および底板兼用の最下段の棚板8を有している。これらの棚板3〜8は、木、合成樹脂、ガラスなどの適当な非金属材料(換言すれば、透明または不透明の非導電体)を主要構成要素としてそれぞれ構成されることができる。また、書架2は、図2に示すように、向って左側の側板11、向って右側の側板12、背板13、天板14および最下段の棚板兼用の底板8から構成されたほぼ箱蓋形状(換言すれば、ほぼ直方体形状)を有している。これら左右一対の側板11、12、背板13および天板14も、木、合成樹脂、ガラスなどの適当な材料からそれぞれ構成されることができる。書架2は、ガラス、合成樹脂などからほぼ透明に構成されているのが好ましい前面板(図示せず)をさらに備えていてもよく、このような前面板は、例えば、左右一対の引き戸構造であってよい。
【0025】
棚板3〜7は、適当な棚板支持具(図示せず)によって、左右一対の側縁部および/または背板13側の側縁部を左右一対の側板11、12および/または背板13に支持されることができる。上記棚板支持具は、左右一対の側板11、12および/または背板13とは別体に構成されることができ、これら左右一対の側板11、12および/または背板13に着脱自在にかつ上下方向における取付け位置を連続的または段階的に変更し得るようにそれぞれ取付けられていてよい。また、上記棚板支持具は、棚板3〜7と一体に構成されていてもよいし、これらの棚板3〜7を支持し得るように別体に構成されていてもよい。このために、棚板3〜7は、天板14と底板8との間で上下方向における取付け位置を連続的または段階的に変更することができる。したがって、各棚板3〜7同士の間隔、天板14と最上段の棚板3との間隔および5段目の棚板7と最下段の棚板兼用の底板8との間隔は、連続的にまたは段階的に変更されることができる。図2に示す書架2の各棚板3〜8のそれぞれには、棚板面に対してほぼ平行になるように、図3および図4に示すリーダライタ用アンテナ15が敷設されている。そして、これらのリーダライタ用アンテナ15の第1および第2のアンテナA、Bは、マッチング調整器(図示せず)を経由してから同軸ケーブル(図示せず)によってアンテナ切換器(図示せず)に接続されている。そして、このアンテナ切換器は、同軸ケーブル(図示せず)によってリーダライタ本体(図示せず)および制御用コンピュータ(図示せず)に順次接続されている。このリーダライタ本体は、リーダライタ用アンテナ15と電気信号などの情報をやり取りするためのものである。上記リーダライタ本体は、書架2に配置することができ、例えば、書架2の天板14上に配置されていてよい。また、上記アンテナ切替器も、必要に応じて、書架2に同様に配置されることができる。
【0026】
図2に示す書架2の各棚板3〜8上には、種々のサイズの書籍類1が混載されている。なお、これらの書籍類1には、図5Aおよび図5Bに示すように、シート形状であってよい電子タグ16がそれぞれ設けられている。そして、この電子タグ16は、図5Aに示す一つの例では書籍類1の表表紙17または裏表紙18に貼り付けられ、図5Bに示す別の一つの例では背表紙19に貼り付けられている。これらいずれの場合でも、電子タグ16は、図示の実施例においては、表紙17〜19の外側面に貼付されているが、書籍カバーの内側面などの内側に貼付されていてもよくて、各棚板3〜8の面に対して特定の位置や特定の向きである必要は特にない。図5Aに示す電子タグ16は、図6に示すように、この電子タグ16の中心とその中心がほぼ一致している1回巻きまたは複数回巻きのほぼループ形状の小型アンテナ21と、情報が記録されるメモリ(図示せず)が組み込まれかつほぼループ形状の小型アンテナ21の中央開口に配置されたICチップ22とを含む通信回路を備えていてよい。また、図5Bに示す電子タグ16は、図5Aに示す電子タグ16が横長であるのに対して縦長に構成されていることを除いて、図5Aに示す電子タグ16と実質的に同一の構成であってよい。
【0027】
(2)リーダライタ用アンテナ付き棚板
図2および図3に示す書架2の各棚板3〜8は、例えば、間口方向xの長さL(図3参照)が約850mmで奥行き方向yの長さL(図3参照)が約170mmの横長のほぼ長方形状であってよい。各棚板3〜8には、図3および図4に示すように、第1および第2のループアンテナA、Bから成るリーダライタ用アンテナ15が設けられている。図3は、第1および第2のループアンテナA、Bの両方を投影して示す、例えば3段目の棚板5の平面図である。棚板5以外の各棚板3、4、6〜8にも、図3および図4に示す棚板5と実質的に同一のリーダライタ用アンテナ15が設けられていてもよいし、第1および第2のループアンテナA、Bのうちのいずれか一方または両方の形状が棚板5の場合とは異なっているリーダライタ用アンテナ15が設けられていてもよい。なお、図3およびこれに類似する総ての図面(後述の第2の実施例の場合を含む。)において、図示の都合上、第1のループアンテナAを実線で示し、第2のループアンテナBを破線で示している。また、第1および第2のループアンテナA、Bのアンテナパターン23の各パターン部分の幅も、図示の都合上、実際より太く示している。さらに、第1および第2のループアンテナA、Bのアンテナパターン23の各パターン部分の実際の幅は、実質的に互いに同一であってよい。
【0028】
リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、B(具体的には、図3および図7に示すほぼループ形状のアンテナパターン23と一対の端子部24a、24bとの両方)は、図4および図8に示すように、木、合成樹脂、ガラスなどの適当な非金属材料から成る基板25上に導電性塗料(例えば、銀ペースト)を例えば約5mmの幅でそれぞれ印刷および焼成したものであってよい。この場合、第1および第2のループアンテナA、Bの間には、図4および図8に示すように、PVB樹脂などの非導電性フィルムから成りかつ厚さL(図4および図8参照)が例えば約300μmであってよい中間膜26を介在させることができる。また、第1および第2のループアンテナA、Bは、断面形状がほぼ円形で断面径が0.1mmの銅線から構成されたものであってもよい。この場合、上記銅線は、所定のパターン形状に屈曲成形されてから基板25に適当な接着剤により部分的または全体的に接着されることによって取付け配置されればよい。さらに、第1および第2のループアンテナA、Bのうちの一対の端子部24a、24bは、上述のように、導電性塗料を印刷および焼成することによって構成した導電性パターンから構成されるとともに、ほぼループ形状のアンテナパターン23は、上述のように、銅線から構成されていてもよい。この場合、アンテナパターン23の両端部は、適当な導電性接着剤による接着、半田付けなどにより一対の端子部24a、24bに電気的に接続されればよい。また、基板25は、例えば、厚さ約15mmの木板であってよい。第1および第2のループアンテナA、Bを構成する材料も、必ずしも導電性塗料である必要はなく、導電性フィルム、導電性金属箔、上述のような銅線などの金属線、その他のワイヤ導線であってもよい。さらに、図示の実施例においては、図4に示すように、第1および第2のループアンテナA、Bが各棚板3〜8の基板25の上面に形成されているから、各棚板3〜8上に配置される書籍類1に接触する機会を減らすために、第1および第2のループアンテナA、Bを含む各棚板3〜8の上面を適当な絶縁材料から成る被覆膜27でもって被覆することができる。
【0029】
(3)リーダライタ用アンテナのパターン形状
書籍類1に設けられている電子タグ16と無線通信により交信するためのリーダライタ用アンテナ15は、図3、図4、図7および図8に示すように、第1のループアンテナAと第2のループアンテナBとから成っている。これら第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれは、ほぼループ形状のアンテナパターン23と、このほぼループ形状のアンテナパターン23の両端部にそれぞれ連設されて互いに近接している一対の端子部24a、24bとから成っている。これら一対の端子部24a、24bの間には、隙間31が設けられているので、ほぼループ形状のアンテナパターン23の両端部の間にも、同様に隙間31が存在している。これら一対の端子部24a、24bは、ツイストケーブル(図示せず)によって前記マッチング調整器(図示せず)に接続されていてよい。
【0030】
図3、図4、図7および図8に示すリーダライタ用アンテナ15を構成している第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのほぼループ形状のアンテナパターン23は、図3および図7に示すように、前後対称的であることを除いて互いに実質的にほぼ同一の形状または互いに実質的に類似した形状であってよい。第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのほぼループ形状のアンテナパターン23は、給電用などの端子部24aが必要に応じて連設されかつ棚板5の後縁部32の側に位置する第1のパターン部分33と、棚板5に向って左側の縁部34の側に位置する第2のパターン部分35と、棚板5の前縁部(換言すれば、書籍類1の取出し側の縁部)36の側に位置する第3のパターン部分37と、給電用などの端子部24aおよび/または24bが必要に応じて連設されかつ棚板5の向って右側の縁部38の側に位置する第4のパターン部分39とが、順次連設されたものであってよく、全体として、一対の端子部24a、24bの間に対応する隙間31を除いてループ形状に構成されていてよい。これら第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれは、その一部分と別の部分とが交差する交差部位を有していないワンループのものであるのが好ましい。本文において、上記「交差」とは、電気的には接続交差していないが、棚板5などのアンテナ形成対象部材を上面からみた投影図において(換言すれば、平面的に見て)交差していることを意味している。
【0031】
第1のループアンテナAの第1のパターン部分33は、図3および図7に示すように、棚板5の後縁部32から多少離れかつこの後縁部32にほぼ平行な状態(換言すれば、棚板5の開口方向xにほぼ平行な状態であって、図示の実施例においては、ほぼ直線的−以下、同じ)でもって棚板5の間口方向xのほぼ全長にわたって延在している。第1および第2のループアンテナAおよびBのそれぞれの第2のパターン部分35は、棚板5の向って左側の縁部34に近接または或る程度離れかつこの左側縁部34にほぼ平行な状態(換言すれば、棚板5の奥行き方向yにほぼ平行な状態であって、図示の実施例においては、ほぼ直線的−以下、同じ)でもってそれぞれ延在している。第2のループアンテナBの第3のパターン部分37は、棚板5の前縁部36に近接しかつこの前縁部36にほぼ平行な状態(換言すれば、棚板5の間口方向xにほぼ平行な状態)でもって棚板5の間口方向xのほぼ全長にわたって延在している。第1および第2のループアンテナAおよびBのそれぞれの第4のパターン部分39は、その前後方向における後端部32側の部分または中間部分が端子部24aおよび/または24bの接続のために隙間31によって途切れていることを除いて、棚板5の向って右側の縁部38から或る程度または多少離れかつこの右側縁部38にほぼ平行な状態(換言すれば、棚板5の奥行き方向yにほぼ平行な状態)でもってそれぞれ延在している。
【0032】
第1のループアンテナAの第3のパターン部分37は、棚板5の前縁部36から多少離れかつこの前縁部36にほぼ平行な状態(換言すれば、棚板5の間口方向xのほぼ平行な状態)でもって相互の間に間欠部分41が生じるように間欠的に延在している複数本(図示の実施例においては5本)のベースライン部42と、これら間欠的に延在している複数本のベースライン部42の間(換言すれば、間欠部分41)にそれぞれ延在している1個または複数個(好ましくは複数個であって、図示の実施例においては4個)の屈曲部43とから成っている。各ベースライン部42は、リーダライタ用アンテナ15の奥行き方向yにおける中心に沿って棚板5の間口方向xに延在するリーダライタ用アンテナ15の仮想の中心線(以下、「アンテナ中心線」という。)44よりも前縁部36側で第2のループアンテナBの第3のパターン部分37の後縁部32側を延在している。第2のループアンテナBの第1のパターン部分33は、棚板5の後縁部32から或る程度離れかつこの後縁部32にほぼ平行な状態(換言すれば、棚板5の間口方向xにほぼ平行な状態)でもって相互の間に間欠部分41が生じるように間欠的に延在している複数本(図示の実施例においては5本)のベースライン部42と、これら間欠的に延在している複数本のベースライン部42の間(換言すれば、間欠部分41)にそれぞれ存在している1個または複数個(好ましくは複数個であって、図示の実施例においては4個)の屈曲部43とから成っている。各ベースライン部42は、アンテナ中心線44よりも後縁部32側で第1のループアンテナAの第1のパターン部分33の前縁部36側を延在している。なお、図示の実施例においては、棚板5の奥行き方向yにおける中心線に沿って棚板5の間口方向xに延在する棚板5の仮想の中心線(すなわち、棚板中心線)は、アンテナ中心線44とほぼ一致している。
【0033】
第1のループアンテナAの各屈曲部43は、図3および図7に示すように、向って左側のベースライン部42の向って右側の端部にその基端部を連設されかつ棚板5のほぼ後縁部32に向って立上っている第1の立上り部45と、向って右側のベースライン部42の向って左側の端部にその基端部を連設されかつ棚板5のほぼ後縁部32に向って立上がっている第2の立上がり部46と、これら第1および第2の立上り部45、46の先端部をそれぞれ連結するように間口方向xにほぼ平行に延在している連結部47とから成り、全体として、ほぼ長方形状の凸形状部分であるのが好ましい。この場合、連結部47は、アンテナ中心線44よりも棚板5の後縁部32の側で第1のループアンテナAの第1のパターン部分33の前縁部36側を間口方向xにほぼ平行に延在しているのが好ましい。したがって、第1および第2の立上り部45、46は、アンテナ中心線44によって二分される棚板5の一方の側(具体的には、棚板5の前縁部36側の部分)から他方の側(具体的には、棚板5の後縁部32側の部分)までアンテナ中心線44にほぼ直交するように交差して延在しているのが好ましい。
【0034】
第2のループアンテナBの各屈曲部43は、図3および図7に示すように、向って左側のベースライン部42の向って右側の端部にその基端部を連設されかつ棚板5のほぼ前縁部36に向って立上がっている第1の立上がり部45と、向って右側のベースライン部42の向って左側の端部にその基端部を連設されかつ棚板5のほぼ前縁部36に向って立上がっている第2の立上り部46と、これら第1および第2の立上り部45、46の先端部をそれぞれ連結するように間口方向xにほぼ平行に延在している連結部47とから成り、全体として、ほぼ長方形状の凸形部分であるのが好ましい。この場合、連結部47は、アンテナ中心線44よりも棚板5の前縁部36の側で第2のループアンテナBの第3のパターン部分37の後縁部32側を間口方向xにほぼ平行に延在しているのが好ましい。したがって、第1および第2の立上り部45、46は、アンテナ中心線44によって二分される棚板5の一方の側(具体的には、棚板5の後縁部32側の部分)から他方の側(具体的には、棚板5の前縁部36側の部分)までアンテナ中心線44にほぼ直交するように交差して延在しているのが好ましい。
【0035】
リーダライタ用アンテナ15は、図3および図7に示すように、第1のループアンテナAと第2のループアンテナBとを組み合わせて配置したものである。第2のループアンテナBは、アンテナ中心線44を対称軸として前後対称的であることを除いて、第1のループアンテナAのほぼループ形状のアンテナパターン23と実質的にほぼ同一であるほぼループ形状のアンテナパターン31を有していて、一対の端子部24a、24bの位置だけが第1のループアンテナAとは異なっている。したがって、第1のループアンテナAと第2のループアンテナBとは、全体として、実質的に互いにほぼ同一または実質的に互いに類似したアンテナパターン形状を有している。
【0036】
第1および第2のループアンテナA、Bを図3および図7に示すように互いに組み合わせて配置することによって、リーダライタ用アンテナ15が構成されている。この組み合せに当たっては、第2のループアンテナBは、第1のループアンテナAに対して間口方向xには連結部47の長さに相当する間隔L(図7参照)のほぼ1/2(すなわち、ほぼ0.5Lであって、図示の実施例においては約45mm)だけ右側にずれた状態で配置されるとともに奥行き方向yには第1または第2の立上り部45、46の長さに相当する間隔L(図7参照)のほぼ1/8(すなわち、ほぼ0.125Lであって、図示の実施例においては約15mm)だけ手前にずらして配置されている。
【0037】
(4)干渉防止用部材
図7および図8に示す遮蔽材なしの棚板5の下面に遮蔽材(換言すれば、干渉防止用部材)としての導電性で多孔性のシート状部材51を取付けることによって、図3および図4に示す遮蔽材付きの棚板5を製造することができる。このような取付けは、遮蔽材なしの棚板5の基板25の下面に導電性で多孔性のシート状部材51を適当な接着剤により部分的または全体的に接着することなどによって、達成することができる。この場合、図4に示すように、棚板5の基板25の下面に接着された多孔性シート状部材51の下面を適当な絶縁材料から成る被覆膜52でもって被覆することができる。このような被覆膜52は、PET(ポリテレフタル酸エチレン)などの適当な非導電性材料から成るフィルムであってもよく、多孔性シート状部材51の一方または両方の面に予め接合されていてよい。なお、図3およびこれに類似する総ての図面(後述の第2の実施例の場合を含む。)において、図示の都合上、多孔性シート状部材51を一点鎖線で示している。そして、この多孔性シート状部材51の間口方向xにおける長さは、例えば、棚板5の間口方向xにおける長さL(換言すれば、850mm)と実質的に同一であってよい。また、多孔性シート状部材51の奥行き方向yの長さは、例えば、棚板5の奥行き方向yにおける長さL(換言すれば、170mm)と実質的に同一であってよい。
【0038】
多孔性シート状部材51の外周形状は、図3に示すように、ほぼ長方形状であって、リーダライタ用アンテナ15の外周囲を一回り大きくしたものであってよい。したがって、多孔性シート状部材51は、リーダライタ用アンテナ15(特に、ほぼループ形状のアンテナパターン23)のほぼ全部のパターン部分を全面被覆していて、上記ほぼ全部のパターン部分と重複する重複部位を有している。本文において、上記「重複」とは、電気的には接続重複していないが、棚板5などのアンテナ形成対象部材を上面から見た投影図において(換言すれば、平面的に見て)重複していることを意味している。なお、図示の実施例においては、多孔性シート状部材51と第2のループアンテナB(特に、そのアンテナパターン31)との相互の間隔は、図4に示すように、基板25の厚みとほぼ等しくて、約15mmである。また、多孔性シート状部材51と第1のループアンテナA(特に、そのアンテナパターン31)との相互の間隔は、図4に示すように、基板25の厚み(約15mm)、第2のアンテナパターンBの厚み、中間膜26の厚み(約300μm)などの和とほぼ等しくて、約16mmである。
【0039】
導電性で多孔性のシート状部材51は、その第1の態様においては、金属線などの導電性線条体をメッシュ状に編組したメッシュ構造のものであってよい。図示の実施例においては、多孔性シート状部材51は、銅線、鉄線などの金属線からそれぞれ成る多数本の縦線と多数本の横線とを碁盤の目状に組編した金属メッシュから構成されている。上記金属線の線径は、例えば約20μmであってよく、上記金属メッシュのメッシュピッチは、例えば約300μmであってよい。したがって、1個の碁盤の目に相当する小開孔(すなわち、貫通孔)の縦および横のそれぞれの長さは、例えば約280μmであってよく、このために、この多孔性シート状部材51の小開孔の最大長は、例えば約396μmであってよく、上記小開孔の1個当りの面積は、例えば約78,400μmであってよく、多孔性シート状部材51の開口率は、例えば約87%であってよい。また、導電性で多孔性のシート状部材51は、その第2の態様においては、ステンレス、その他の金属製の薄板などの導電性の薄板に上記メッシュ構造の場合と同様に多数個の小開孔(すなわち、貫通孔)が形成されているマイクロメッシュメタルなどのマイクロメッシュ構造の薄板であってよい。そして、上記第1および第2の態様のいずれにおいても、導電性で多孔性のシート状部材51は、磁性材料から成っていてもよいし、非磁性材料から成っていてもよい。さらに、上記第1および第2の態様のいずれにおいても、多孔性シート状部材51に形成される小開孔は、ほぼ正方形状、ほぼ長方形状、ほぼ菱形状、ほぼ台形状、ほぼ六角形状、ほぼ円形状、ほぼ楕円形状、ほぼ長円形状、これらの形状の任意の数の組み合せから成る形状、その他の任意の形状であってよい。なお、銅線から構成された上記金属メッシュ51のシート抵抗は、例えば約0.18Ω/□であってよいが、本発明においては、実用性の観点から言って一般的に、上記金属メッシュ51のシート抵抗は、0.5Ω/□以下であるのが好ましく、0.3Ω/□以下であるのがさらに好ましい。また、これらの好ましい数値範囲およびさらに好ましい数値範囲は、上記マイクロメッシュ構造の多孔性シート状部材51についても当てはまる。
【0040】
上記第1および第2の態様のいずれにおいても(換言すれば、本発明においては)、多孔性シート状部材51は、実用性の観点から言って一般的に、つぎの(ア)項〜(カ)項に記載する1個または複数個もしくは全部の数値範囲を満足しているのが好ましい。なお、つぎの(ア)項〜(カ)項に記載するカッコ内の数値範囲は、本発明において満足しているのがさらに好ましい数値範囲である。
(ア)多孔性シート状部材51と第1のループアンテナA(特に、そのアンテナパターン23)との相互の間隔および多孔性シート状部材51と第2のループアンテナB(特に、そのアンテナパターン23)との相互の間隔(換言すれば、多孔性シート状部材51とリーダライタ用アンテナ15(特に、そのアンテナパターン23)との相互の間隔)のそれぞれ:5〜35mm(8〜30mm)の範囲、
(イ)多孔性シート状部材51が導電性線条体をメッシュ状に編組したものであるときの多孔性シート状部材51の導電性線条体の最大線幅(断面がほぼ円形であれば、線径):4〜200μm(8〜100μm)の範囲、
(ウ)多孔性シート状部材51の小開孔のピッチ(シート状部材51が導電性条体をメッシュ状に編組したものであるときには、具体的には、メッシュピッチ):50〜2,000μm(100〜1,200μm)の範囲、
(エ)多孔性シート状部材51の各小開孔の最大長:60〜3,000μm(120〜1,600μm)の範囲、
(オ)多孔性シート状部材51の多数個の小開孔の1個当りの面積:4,000〜1,800,000μm(8,000〜800,000μm)の範囲、および
(カ)多孔性シート状部材51の開口率(換言すれば、シート状部材51の多数個の小開孔についての開口率):70〜95%(80〜92%)の範囲。
【0041】
導電性で多孔性のシート状部材51は、図3および図4に示す実施例においては、上記多数個の小開孔以外には中央開口、切り込みなどの開口部分を有していない。そして、多孔性シート状部材51は、ほぼ長方形状、ほぼ正方形状、ほぼ菱形状、ほぼ台形状などのほぼ四角形状、ほぼ長円形状、ほぼ楕円形状、ほぼ円形状のような短冊形状、色紙形状、その他の任意の形状であってよい。また、多孔性シート状部材51がリーダライタ用アンテナ15を棚板5の下面側から被覆している被覆部位(換言すれば、両者の重複部位)は、図3に示す図示の実施例においては、つぎの(キ)項〜(ス)項に記載するとおりである。そして、本発明においては、実用性の観点から言って一般的に、つぎの(キ)項〜(ス)項に記載するアンテナ部分のうちの1個または複数個もしくは全部のアンテナ部分が多孔性シート状部材51によって被覆されているのが好ましい。
(キ)第1のループアンテナAの第1のパターン部分33および第2のループアンテナBの第3のパターン部分37、
(ク)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのベースライン部42、
(ケ)第1のおよび第2のループアンテナA、Bのそれぞれの連結部47、
(コ)第1のおよび第2のループアンテナA、Bのそれぞれの第2のパターン部分35(換言すれば、その前後両端部およびこれらの前後両端部の間の中間部分)、
(サ)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの第4のパターン部分39(換言すれば、その前後両端部およびこれらの前後両端部の間の中間部分)、
(シ)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの第1および第2の立上り部45、46(換言すれば、それらの前後両端部およびこれらの前後両端部の間の中間部分)、ならびに
(ス)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの一対の端子部24a、24b。
【0042】
上述のとおりであるから、リーダライタ用アンテナ15においては、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのアンテナパターン23でそれぞれ発生される部分的に強い磁界(磁束)は、多孔性シート状部材51によってかなりの程度で弱められる。このために、図2に示す書架2の例えば棚板5のリーダライタ用アンテナ15が、その上下の棚板4、6や、その左側または右側に隣接して配置される別の同様の書架の棚板や、後側に背中合わせで配置されるさらに別の同様の書架の棚板のリーダライタ用アンテナとの間で干渉を生じる可能性は、少ない。したがって、図1に示す従来の書架2の場合のように、棚板3〜8の相互の間隔を比較的大きくする必要は、特にない。そして、書籍類1のサイズに特に関係なく、書籍類1の天20とそのすぐ上の棚板3〜7との相互の間隔をほぼ一定にすることが可能である。よって、A6サイズの文庫本1bのみを載置する棚板6の場合には、その上段の棚板5との間隔をA4サイズの週刊誌1aのみを載置する棚板4の場合に較べて、十分小さくすることができる。この結果、A6サイズの文庫本1bのみを載置する棚板6上に余分な空間を必要としないから、図1に示すように5段の棚板3〜7を有する従来の書架2と同じサイズであっても、図2に示す本発明の実施例の場合には書架2の棚板3〜8の数を6段に増やすことができ、このために、図2に示す書架2の場合には、図1に示す書架2に較べて、多くの書籍類1を収納することが可能である。それでいて、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのアンテナパターン23のうちのほぼ奥行き方向yに沿って延在するアンテナ成分(すなわち、上記(コ)項〜(シ)項に記載のアンテナ成分35、39、45、46)でそれぞれ発生される磁界(磁束)が、書籍類1の表表紙17および裏表紙18に貼付された電子タグ16とリーダライタ用アンテナ15との相互の交信に有効に機能する。また、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのアンテナパターン23のうちのほぼ間口方向xに沿って延在するアンテナ成分(すなわち、上記(キ)項〜(ケ)項に記載のアンテナ成分33、37、42、47)でそれぞれ発生される磁界が、書籍類1の背表紙19に貼付された電子タグ16とリーダライタ用アンテナ15との相互の交信に有効に機能する。このために、書籍類1に対する電子タグ16の貼付位置がそれぞれ異なっている多数の図書館の間で書籍類1を相互に貸借するときにも、このような相互貸借に対して十分に対応することができる。
【0043】
(5)リーダライタ用アンテナの給電方法
第1および第2のループアンテナA、Bのうちの一方のループアンテナに給電することによって、他方のループアンテナに発生する誘導電流が一方向(換言すれば、共通の電流方向)に流れるので、一方のループアンテナのみに給電するだけでリーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、Bの両方を電子タグ16と交信させることができる。しかし、第1および第2のループアンテナA、Bに交互に給電することによって、リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、Bの両方をさらに安定した状態で電子タグ16と良好に通信させることができる。
【0044】
2、第2の実施例
図9および図10に示す第2の実施例における書架2においては、棚板3〜8に設けられる干渉防止用部材(換言すれば、遮蔽材)として、図3および図4に示す第1の実施例の場合のように棚板3〜8の下面のほぼ全体(換言すれば、第1および第2のループアンテナA、Bのアンテナパターン23のほぼ全体)を被覆している導電性で多孔性の第1のシート状部材51に加えて、比較的形状が小さい導電性で多孔性の第2のシート状部材53が設けられている。なお、図9および図10に示す第2の実施例における書架2は、以下において記載する点を除いて、上述の第1の実施例における書架2と実質的に同一の構成であっよい。また、この第2の実施例における書籍類1は、上述の第1の実施例における書籍類1と実質的に同一の構成であってよい。したがって、図9および図10において、図1〜図8と共通の部分には、同一の符号を付してその説明を必要に応じて省略する。また、以下においては、3段目の棚板5についてのみ説明するが、残りの棚板3、4、6〜8は、必要に応じて、棚板5と実質的に同一の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0045】
図9および図10に示す棚板5においては、干渉防止用部材(換言すれば、遮蔽材)として、第1の多孔性シート状部材51とは別に、第2の多孔性シート状部材53が設けられている。このような第2の多孔性シート状部材53は、図10に示すように、第2のループアンテナBの下面(換言すれば、基板25の上面側)に、前記1(2)項において記述した中間膜26と同様のものであってよい第2の中間膜54を用いて貼り合せられることなどによって、取り付けられることができる。なお、図9において、図示の都合上、第2の多孔性シート状部材53を二点鎖線で示している。
【0046】
第2の多孔性シート状部材53は、ほぼ長方形状、ほぼ正方形状、ほぼ菱形状、ほぼ台形状などのほぼ四角形状、ほぼ長円形状、ほぼ楕円形状、ほぼ円形状のような、短冊形状、色紙形状、その他の任意の形状であってよい。そして、第2の多孔性シート状部材53は、図示の実施例においては、図9に示すようにほぼ長方形状に形成されている。なお、第2の多孔性シート状部材53の奥行き方向yにおける長さは、例えば、第1の多孔性シート状部材51の奥行き方向yにおける長さ(換言すれば、棚板5の奥行き方向yにおける長さッすなわち、約170mm)と実質的に同一であってよい。また、第2の多孔性シート状部材53の間口方向xの長さ(換言すれば、幅)は、例えば、約55mmであってよい。
【0047】
第2の多孔性シート状部材53は、その左側の端部が第1の多孔性シート状部材51の向って左側の端部から向って右側に例えば約10mmずれるとともに、その前端部および後端部が第1の多孔性シート状部材51の前端部および後端部にそれぞれほぼ一致するように、第2の中間膜54を介して第1の多孔性シート状部材51に重複していてよい。このような第2の中間膜54は、PETなどの適当な非導電性材料から成るフィルムであってよく、第2の多孔性シート状部材53の一方または両方の面に予め接合されていてよい。換言すれば、第2の多孔性シート状部材53は、その向って左側の端部が第1の多孔性シート状部材51の向って左側の端部から右側に例えば約10mmずれている。したがって、第2の多孔性シート状部材53は、図9に示すように、第1のループアンテナAの第2のパターン部分35と、第1のループアンテナAの第1のパターン部分33のうちの左側の端部付近と、第1のループアンテナAの一番左側のベースライン部42に向って左側の一半部分とから成りかつ向って左側の縁部34の近傍においてほぼコ字状に突出している向って左側の突出部分と重複するとともに、第2のループアンテナBの第2のパターン部分35とも重複している。換言すれば、第2の多孔性シート状部材53は、第1の多孔性シート状部材51の向って左側の端部付近と少なくとも部分的に重複している。さらに、第2の多孔性シート状部材53は、前記1(4)項において記述した第1の多孔性シート状部材51と同様の材質および組成のものであってよい。そして、第2の多孔性シート状部材53は、実用性の観点から言って一般的に、前記1(4)項において第1の多孔性シート状部材51について記述した前記(イ)項〜(カ)項に記載した数値範囲(さらに好ましい数値範囲を含む。)と同一の1個または複数個もしくは全部の数値範囲を満足しているのが好ましい。また、第2の多孔性シート状部材51も、図9および図10に示すように、多数個の小開孔以外には中央開口、切り込みなどの開口部分を有していないのが好ましい。
【0048】
上述のとおりであるから、図9および図10に示す第2の実施例におけるリーダライタ用アンテナ15においては、図1〜図8に示す第1の実施例における場合よりも、第1のループアンテナAのうちの上記ほぼコ字状の左側突出部分35、33、42と第2のループアンテナBのうちの第2のパターン部分35とでそれぞれ発生される磁界(磁束)は、第1の多孔性シート状部材51によってだけではなく、第2の多孔性シート状部材53によってもさらに弱められる。それでいて、棚板5上に載置されている書籍類1に対しては、棚板5全体にわたって、書籍類1に貼付された電子タグ16とリーダライタ用アンテナ15との相互の交信をやはり有効に行うことができる。
【0049】
3、第3の実施例
図11〜図13に示す第3の実施例における書架2においては、棚板3〜8に設けられる干渉防止用部材(換言すれば、遮蔽材)として、図3および図4に示す第1の実施例の場合のように棚板3〜8の下面のほぼ全体(換言すれば、第1および第2のループアンテナA、Bのアンテナパターン23のほぼ全体)を被覆している導電性で多孔性の第1のシート状部材51に加えて、閉ループ形状に構成された導電性で多孔性の第3のシート状部材55が設けられている。なお、図11〜図13に示す第3の実施例における書架2は、以下において記載する点を除いて、上述の第1の実施例における書架2と実質的に同一の構成であっよい。また、この第3の実施例における書籍類1は、上述の第1の実施例における書籍類1と実質的に同一の構成であってよい。したがって、図11〜図13において、図1〜図8と共通の部分には、同一の符号を付してその説明を必要に応じて省略する。また、以下においては、3段目の棚板5についてのみ説明するが、残りの棚板3、4、6〜8は、必要に応じて、棚板5と実質的に同一の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0050】
図11〜図13に示す棚板5においては、干渉防止用部材(換言すれば、遮蔽材)として、第1の多孔性シート状部材51とは別に、第3の多孔性シート状部材55が設けられている。このような第3の多孔性シート状部材55は、図12に示すように、第2のループアンテナBの下面(換言すれば、基板25の上面側)に、第3の中間膜56を用いて貼り合せられることなどによって、取り付けられることができる。このような第3の中間膜56は、PETなどの適当な非導電性材料から成りかつ厚さが例えば約300μmのフィルムであってよく、第3の多孔性シート状部材55の一方または両方の面に予め接合されていてよい。なお、図11において、図示の都合上、第3の多孔性シート状部材55を三点鎖線で示している。そして、この第3の多孔性シート状部材55の間口方向xにおける長さは、例えば、棚板5の間口方向xにおける長さL(換言すれば、850mm)と実質的に同一であってよい。また、第3の多孔性シート状部材55の奥行き方向yの長さは、例えば、棚板5の奥行き方向yにおける長さL(換言すれば、170mm)と実質的に同一であってよい。
【0051】
第3の多孔性シート状部材55は、図11および図13に示すように、中央部分がほぼ長方形状に欠如することによって形成された中央開口(すなわち、貫通開口)57を有する閉ループ形状に構成されている。そして、第3の多孔性シート状部材55の外周形状は、ほぼ長方形状であって、リーダライタ用アンテナ15の外周囲を一回り大きくしたものであってよい。また、第3の多孔性シート状部材55の内周形状(換言すれば、中央開口57の形状)も、ほぼ長方形状であって、リーダライタ用アンテナ15の外周囲を少なくとも奥行き方向yにおいて一回り小さくしたものであってよい。なお、第3の多孔性シート状部材55の大きさ(すなわち、中央開口57を含む大きさ)に対する中央開口57の大きさの比(換言すれば、第3の多孔性シート状部材55の、中央開口57についての開口率)は、図示の実施例においては、約50%である。また、第3の多孔性シート状部材55の各辺の幅(換言すれば、第3の多孔性シート状部材55の外周囲の四辺のうちの各辺から中央開口57までの最短距離)は、約35mm(後縁部32側の辺)、約10mm(向って左側の縁部34側の辺)、約35mm(前縁部36側の辺)および約25mm(向って右側の縁部38側の辺)である。
【0052】
したがって、第3の多孔性シート状部材55は、リーダライタ用のアンテナ15の外周囲部分と重複する重複部位を有している。また、図示の実施例においては、第3の多孔性シート状部材55と第2のループアンテナB(特に、そのアンテナパターン31)との相互の間隔は、図12に示すように、第3の中間膜56の厚みとほぼ等しくて、約300μmである。また、多孔性シート状部材41と第1のループアンテナA(特に、そのアンテナパターン23)との相互の間隔は、図12に示すように、中間膜56の厚み(約300μm)、第2のアンテナパターンBの厚み、中間膜26の厚み(約300μm)などの和とほぼ等しくて、約1mmである。
【0053】
第3の多孔性シート状部材55は、前記1(4)項において記述した第1の多孔性シート状部材51と同様の材質および組成のものであってよい。そして、第3の多孔性シート状部材55は、実用性の観点から言って一般的に、つぎの(ア)項〜(ク)項に記載する1個または複数個もしくは全部の数値範囲を満足しているのが好ましい。なお、つぎの(ア)項〜(ク)項に記載するカッコ内の数値範囲は、本発明において満足しているのがさらに好ましい数値範囲である。
(ア)第3の多孔性シート状部材55の大きさ(すなわち、中央開口57を含む大きさ)に対する中央開口57の大きさの比:20〜80%(30〜70%)の範囲、
(イ)第3の多孔性シート状部材55の1個の辺の幅:2〜80mm(4〜60mm)の範囲、
(ウ)第3の多孔性シート状部材55と第1のループアンテナA(特に、そのアンテナパターン31)との相互の間隔および第3の多孔性シート状部材55と第2のループアンテナB(特に、そのアンテナパターン23)との相互の間隔(換言すれば、第3の多孔性シート状部材55とリーダライタ用アンテナ15(特に、そのアンテナパターン23)との相互の間隔)のそれぞれ:0.1〜20mm(0.2〜15mm)の範囲、
(エ)第3の多孔性シート状部材55が導電性線条体をメッシュ状に編組したものであるときの第3の多孔性シート状部材55の導電性線条体の最大線幅(断面がほぼ円形であれば、線径):4〜200μm(8〜100μm)の範囲、
(オ)第3の多孔性シート状部材55の小開孔のピッチ(第3の多孔性シート状部材55が導電性条体をメッシュ状に編組したものであるときには、具体的には、メッシュピッチ):50〜2,000μm(100〜1,200μm)の範囲、
(カ)第3の多孔性シート状部材55の各小開孔の最大長:60〜3,000μm(120〜1,600μm)の範囲、
(キ)第3の多孔性シート状部材55の多数個の小開孔の1個当りの面積:4,000〜1,800,000μm(8,000〜800,000μm)の範囲、および
(ク)第3の多孔性シート状部材55の、中央開口57を除く部分の開口率(換言すれば、多数個の小開孔についての開口率):70〜95%(80〜92%)の範囲。
【0054】
導電性で多孔性の第3のシート状部材55がリーダライタ用アンテナ15を棚板5の下面側から被覆している被覆部位(換言すれば、両者の重複部位)は、図11〜図13に示す図示の実施例においては、つぎの(a)項〜(g)項に記載するとおりである。
(a)第1のループアンテナAの第1のパターン部分33および第2のループアンテナBの第3のパターン部分37、
(b)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのベースライン部42、
(c)第1のおよび第2のループアンテナA、Bのそれぞれの連結部47、
(d)第1のおよび第2のループアンテナA、Bのそれぞれの第2のパターン部分35の前後両端部、
(e)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの第4のパターン部分39の前後両端部、
(f)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの第1および第2の立上り部45、46のそれぞれの前後両端部、ならびに
(g)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの一対の端子部24a、24b。
【0055】
本発明においては、実用性の観点から言って一般的に、上記(a)項〜(g)項に記載するアンテナ部分のうちの1個または複数個もしくは全部のアンテナ部分が第3の多孔性シート状部材55によって被覆されているのが好ましい。また、本発明においては、実用性の観点から言って一般的に、つぎの(h)項〜(k)項に記載するアンテナ部分のうちの1個または複数個もしくは全部のアンテナ部分が第3の多孔性シート状部材55によって被覆されることができる。
(h)第1のループアンテナAの第2のパターン部分35、
(i)第2のループアンテナBの第4のパターン部分39、
(j)第2のループアンテナBの第2のパターン部分35、および
(k)第1のループアンテナAの第4のパターン部分39。
【0056】
上述のとおりであるから、図11〜図13に示す第3の実施例におけるリーダライタ用アンテナ15においては、図1〜図8に示す第1の実施例における場合よりも、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのアンテナパターン23のうちのほぼ間口方向xに沿って延在するアンテナ成分(すなわち、上記(a)項〜(c)項に記載のアンテナ成分)でそれぞれ発生される磁界(磁束)は、第1の多孔性シート上部材51によってだけではなく、第3の多孔性シート状部材55によってもさらに弱められる。特に、上述のように、第3の多孔性シート状部材55の後縁部32側の辺は、比較的広幅(すなわち、約35mm)になっている。したがって、図2に示す書架2と同様の第2の書架が図2に示す書架2の後ろ側に背中合わせで配置されている場合でも、図2に示す書架2のリーダライタ用アンテナ15が上記第2の書架の同様のリーダライタ用アンテナとの間で干渉を生じる可能性は、少ない。それでいて、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのアンテナパターン23のうちのほぼ奥行き方向yに沿って延在するアンテナ成分(すなわち、上記(d)項〜(f)項に記載のアンテナ成分35、39、45、46)でそれぞれ発生される磁界(磁束)が、棚板5上に載置されている書籍類1に貼付された電子タグ16とリーダライタ用アンテナ15との相互の交信にやはり有効に機能する。したがって、図示の実施例においては、電子タグ16がリーダライタ用アンテナ15と良好に交信し得るようにするために、電子タグ16が図5Aに示すように書籍類1の表表紙17または裏表紙18(特に、その下端寄り)に設けられているのが好ましい。
【0057】
4、第4の実施例
図14〜図16に示す第4の実施例における書架2は、図11〜図13に示す第3の実施例における書架2において、棚板3〜8に設けられる干渉防止用部材(換言すれば、遮蔽材)として、図9および図10に示す第2の実施例における書架2に設けられている第2の多孔性シート材部材53をさらに設けたものである。なお、図14〜図16に示す第4の実施例における書架2は、以下において記載する点を除いて、上述の第3の実施例における書架2と実質的に同一の構成であっよい。また、この第4の実施例における書籍類1は、上述の第1の実施例における書籍類1と実質的に同一の構成であってよい。したがって、図14〜図16において、図1〜図13と共通の部分には、同一の符号を付してその説明を必要に応じて省略する。また、以下においては、3段目の棚板5についてのみ説明するが、残りの棚板3、4、6〜8は、必要に応じて、棚板5と実質的に同一の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0058】
図14〜図16に示す棚板5においては、干渉防止用部材(換言すれば、遮蔽材)として、第1の多孔性シート状部材51および第3の多孔性シート状部材55とは別に、図9および図10に示す第2の多孔性シート状部材53が設けられている。このような第2の多孔性シート状部材53は、図15に示すように、第3の多孔性シート状部材55の下面(換言すれば、基板25の上面側)に、前記2項において記述した第2の中間膜54と同様のものであってよい第2の中間膜54を用いて貼り合せられることなどによって、取り付けられることができる。なお、図14においても、図示の都合上、第2の多孔性シート状部材53を二点鎖線で示している。さらに、第2の多孔性シート状部材53は、大きさ、形状、棚板5(換言すれば、リーダライタ用アンテナ15のアンテナパターン23)に対する平面的に見た配置関係、材質、組成などの構成が、図9および図10に示す第2の実施例の場合と実質的に同一であってよい。また、第2の中間膜54は、PETなどの適当な非導電性材料から成るフィルムであってよく、第2の多孔性シート状部材53の一方または両方の面に予め接合されていてよい。
【0059】
上述のとおりであるから、図14〜図16に示す第4の実施例におけるリーダライタ用アンテナ15においては、図11〜図13に示す第3の実施例における場合よりも、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのアンテナパターン23のうちのほぼ間口方向xに沿って延在するアンテナ成分(すなわち、前記3項における前記(a)項〜(c)項に記載のアンテナ成分)でそれぞれ発生される磁界(磁束)は、第1の多孔性シート状部材51および第3の多孔性シート状部材55によってだけではなく、第2の多孔性シート状部材53によってもさらに弱められる。それでいて、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのアンテナパターン23のうちのほぼ奥行き方向yに沿って延在するアンテナ成分(すなわち、前記3項における前記(d)項〜(f)項に記載のアンテナ成分35、39、45、46)でそれぞれ発生される磁界(磁束)が、棚板5上に載置されている書籍類1に貼付された電子タグ16とリーダライタ用アンテナ15との相互の交信にやはり有効に機能する。したがって、図示の実施例においては、電子タグ16がリーダライタ用アンテナ15と良好に交信し得るようにするために、電子タグ16が図5Aに示すように書籍類1の表表紙17または裏表紙18(特に、その下端寄り)に設けられているのが好ましい。
【0060】
5、リーダライタ用アンテナの動作実験
つぎに、リーダライタ用アンテナの動作実験について、「(1)第1の実施例」、「(2)第4の実施例」および「(3)多孔性シート状部材の長さ」に項分けして、図17〜図33を参照して説明する。
【0061】
(1)第1の実施例
図17〜図20は、図2〜図8に示す第1の実施例の場合とほぼ同一のリーダライタ用アンテナ15の電子タグ16との間口方向xの位置(横軸)に応じたアンテナ中心線44から上方に向う方向(換言すれば、間口方向xと奥行き方向yとの両方にそれぞれ直交する方向)における最大通信可能距離(縦軸)を示している。この場合、最大通信可能距離とは、棚板5(換言すれば、被覆膜27)の上面から上方に向う方向に沿って上方に向う電子タグ16の下辺部までの距離を示している。また、間口方向xの位置(横軸)におけるマイナスの領域は、棚板11の向って左側の外部での読み取り範囲を示している。これらの図17〜図20において、参考例1の折線グラフは、前記1項において記述した第1の実施例における図7および図8に示す遮蔽材なしの棚板5の場合とほぼ同一のリーダライタ用アンテナ15についてのものである。そして、実施例1の折線グラフは、前記1項において記述した第1の実施例における図3および図4に示す遮蔽材付きの棚板5の場合とほぼ同一のリーダライタ用アンテナ15についてのものである。したがって、参考例1の折線グラフは、図17〜図20のいずれにおいても、実質的に互いに同一である。
【0062】
図17〜図20は、図2および図3に示す書架2の棚板5に対応するように記載されている。これらの図17〜図20において、間口方向xの位置0mmにおける破線35は、棚板5の向って左側の縁部34を示している。また、間口方向xの位置10mmにおける破線35aは、リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのアンテナパターン23のうちの向って左側の縁部(換言すれば、第1のループアンテナAの第2のパターン部分35の向って左側の縁部)35aを示している。そして、図17〜図20において、折線グラフは、間口方向xの位置450mm(換言すれば、棚板5の間口方向xにおける中心位置)まで示されている。
【0063】
図17〜図20は、第1の多孔性シート状部材51とリーダライタ用アンテナ15のアンテナパターン23(具体的には、第2のループアンテナBのアンテナパターン23)との距離(図4における基板25の厚みにほぼ相当)が3mm、13mm、23mmおよび33mmの場合をそれぞれ示している。また、図17〜図20は、棚板5のリーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、Bに交互に給電したときの最大通信可能距離(具体的には、上述のように棚板5の上面から上方に向う方向における最大通信可能距離)を示している。そして、これらの図17〜図20に示す最大通信可能距離のグラフから、つぎの(ア)項〜(ウ)項に記載する事項が判る。
(ア)図7および図8に示す参考例1としての棚板5の場合には、棚板5のリーダライタ用アンテナ15に給電したときに、この棚板5のリーダライタ用アンテナ15で発生される磁界(磁束)が、この棚板5の1つ上の段の棚板4やこの棚板5の左側に隣接する別の書架2の同様の棚板5のリーダライタ用アンテナ15で発生される磁界(磁束)にかなりの程度で干渉すること、
(イ)図3および図4に示す第1の実施例における棚板5の場合には、第1の多孔性シート状部材51とリーダライタ用アンテナ15のアンテナパターン23との間の距離にもよるが、上記(ア)項に記載した干渉がかなりの程度で生じなくなること、および
(ウ)図3および図4に示す第1の実施例における棚板5の場合でも、棚板5上に載置されている書籍類1に対しては、第1の多孔性シート状部材51とリーダライタ用アンテナ15のアンテナパターン23との間の距離にもよるが、棚板5全体にわたって、書籍類1に貼付された電子タグ16とリーダライタ用アンテナ15との相互の交信をやはり有効に行うことができること。
【0064】
図21は、図17〜図20にそれぞれ示す参考例1および実施例1のグラフを要約した第1のグラフを示すものである。そして、この図21においては、横軸は、図17〜図20にそれぞれ示す参考例1を示すとともに、図17〜図20にそれぞれ示す実施例1のグラフにおける第1の多孔性シート状部材51とアンテナパターン23との間の棚板5面に直交する方向における距離を示している。また、縦軸は、図17〜図20の場合の縦軸と同様の通信距離を示している。そして、図21において、折線グラフ自体は、図3および図4に示す棚板5のリーダライタ用アンテナ15の第1のループアンテナAのアンテナパターン23の第2のパターン部分35の向って左側の縁部35aから棚板5の間口方向xにおける中心位置(すなわち、10mm〜450mmの範囲)における平均値を示している。さらに、図21において、上記平均値を通って上下方向に沿って延在する実線は、横軸方向における該当する距離(すなわち、第1の多孔性シート状部材51とアンテナパターン23との間の距離)における最小値と最大値とを結ぶ線分である。さらに、図22は、図17〜図20にそれぞれ示す参考例1および実施例1のグラフを要約した第2のグラフを示すものである。そして、この図22においても、横軸は、図17〜図20にそれぞれ示す参考例1を示すとともに、図17〜図20にそれぞれ示す実施例1のグラフにおける第1の多孔性シート状部材51とアンテナパターン23との間の棚板5に直交する方向における距離を示している。また、縦軸は、棚板5の向って左側の外部についての、図17〜図20の場合の縦軸と同様の通信距離(すなわち、最大通信可能距離)を示している。したがって、上記縦軸におけるマイナスの値は、棚板11の向って左側の端部34からさらに左方に向う距離を示している。そして、図17〜図20ならびに図21および図22に示す最大通信可能距離のグラフから、つぎの(エ)項に記載する事項が判る。
(エ)第1の多孔性シート状部材51と第1のループアンテナA(特に、そのアンテナパターン23)との相互の間隔および第1の多孔性シート状部材51と第2のループアンテナB(特に、そのアンテナパターン23)との相互の間隔(換言すれば、第1の多孔性シート状部材51とリーダライタ用アンテナ15(特に、そのアンテナパターン23)との相互の間隔)のそれぞれは、実用性の観点から言って一般的に、5〜35mmの範囲であるのが好ましく、8〜30mmの範囲であるのがさらに好ましいこと。
【0065】
(2)第4の実施例
図23〜図26は、図14〜図16に示す第4の実施例の場合とほぼ同一のリーダライタ用アンテナ15の電子タグ16との間口方向xの位置(横軸)に応じたアンテナ中心線44から上方に向う方向(換言すれば、間口方向xと奥行き方向yとの両方にそれぞれ直交する方向)における最大通信可能距離(縦軸)を示している。この場合、最大通信可能距離とは、棚板5(換言すれば、被覆膜27)の上面から上方に向う方向に沿って上方に向う電子タグ16の下辺部までの距離を示している。また、間口方向xの位置(横軸)におけるマイナスの領域は、棚板11の向って左側の外部での読み取り範囲を示している。これらの図23〜図26において、参考例1の折線グラフは、前記1項において記述した第1の実施例における図7および図8に示す遮蔽材なしの棚板5の場合とほぼ同一のリーダライタ用アンテナ15についてのものである。そして、実施例4の折線グラフは、前記4項において記述した第4の実施例における図14〜図16に示す遮蔽材付きの棚板5の場合とほぼ同一のリーダライタ用アンテナ15についてのものである。したがって、参考例1の折線グラフは、図23〜図26(さらには、図17〜図20)のいずれにおいても、実質的に互いに同一である。また、図23〜図26のグラフは、図17〜図20のグラフとそれぞれ実質的に同一の手法で描かれている。そして、これらの図23〜図26に示す最大通信可能距離のグラフから、つぎの(ア)項および(イ)項に記載する事項が判る。
(ア)図14および図16に示す第4の実施例における棚板5の場合には、棚板5のリーダライタ用アンテナ15に給電したときに、この棚板5のリーダライタ用アンテナ15で発生される磁界(磁束)が、この棚板5の1つ上の段の棚板4やこの棚板5の左側に隣接する別の書架2の同様の棚板5のリーダライタ用アンテナ15で発生される磁界(磁束)にほとんど干渉しないこと、および
(イ)図14および図16に示す第4の実施例における棚板5の場合でも、棚板5上に載置されている書籍類1に対しては、第1の多孔性シート状部材51とリーダライタ用アンテナ15のアンテナパターン23との間の距離にもよるが、棚板5全体にわたって、書籍類1に貼付された電子タグ16とリーダライタ用アンテナ15との相互の交信をやはり有効に行うことができること。
【0066】
図27は、図23〜図26にそれぞれ示す参考例1および実施例4のグラフを要約した第1のグラフを示すものである。そして、この図27においては、横軸は、図23〜図26にそれぞれ示す参考例1を示すとともに、図23〜図26にそれぞれ示す実施例4のグラフにおける第1の多孔性シート状部材51とアンテナパターン23との間の棚板5面に直交する方向における距離を示している。また、図27のグラフは、図21のグラフと実質的に同一の手法で描かれている。さらに、図28は、図23〜図26にそれぞれ示す参考例1および実施例4のグラフを要約した第2のグラフを示すものである。そして、この図28においても、横軸は、図23〜図26にそれぞれ示す参考例1を示すとともに、図23〜図26にそれぞれ示す実施例4のグラフにおける第1の多孔性シート状部材51とアンテナパターン23との間の棚板5に直交する方向における距離を示している。また、図28のグラフは、図22のグラフと実質的に同一の手法で描かれている。そして、図23〜図26ならびに図27および図28に示す最大通信可能距離のグラフから、上記(1)項の上記(エ)項に記載する事項が、この場合にももっともであることが判る。
【0067】
(3)多孔性シート状部材の長さ
図29〜図33は、参考例1〜6の棚板5のリーダライタ用アンテナ15の電子タグ16との間口方向xの位置に応じたアンテナ中心線44から上方に向う方向(換言すれば、間口方向xと奥行き方向yとの両方にそれぞれ直交する方向)における最大通信可能距離(縦軸)を示している。この縦軸は、図17〜図20(ひいては、図23〜図26)の場合の縦軸と同様の通信距離を示している。そして、これらの図29〜図33において、参考例1の折線グラフは、これらの図29〜図33に示す範囲内では、図17〜図20(ひいては、図23〜図26)に示すものと実質的に同一である。
【0068】
図29〜図33に示す参考例2〜6のグラフは、第1の多孔性シート状部材51の間口方向xにおける幅を20.3cm、15.3cm、10.3cm、9cmおよび5.3cmと順次小さくすることによって、間口方向xにおける幅が順次小さくなっている第1の多孔性シート状部材51をそれぞれ用いた場合を示している。これらの図29〜図33のいずれにおいても、第1の多孔性シート状部材51の向って左側の縁部51aは、棚板5の向って左側の縁部34とほぼ一致している。また、第1の多孔性シート状部材51の向って右側の縁部51bは、図29〜図33において、実線51bで示されている。したがって、図3および図4に示す第1の実施例における棚板5の場合には、リーダライタ用アンテナ15のアンテナパターン23の総てのパターン部分が、第1の多孔性シート状部材51と重複しているのに対し、図29〜図33に示す参考例2〜6の場合には、つぎの(a)項〜(e)項に記載するパターン部分が第1の多孔性シート状部材51と重複している。そして、図31に示す参考例4の場合の第1の多孔性シート状部材51が重複するパターン部分は、図9に示す第2の実施例(ひいては、図14に示す第4の実施例)における第2の多孔性シート状部材53が重複するパターン部分と実質的に同一である。
(a)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの第2のパターン部分35、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの向って一番左側の第1の立上り部45、第1のループアンテナAの第1のパターン部分33の向って左側の端部付近、第2のループアンテナBの第3のパターン部分37の向って左側の端部付近、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの向って一番左側のベースライン部42および第1のループアンテナAの向って一番左側の連結部47の向って左側の一半部分(図29に示す参考例2の場合)、
(b)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの第2のパターン部分35、第1のループアンテナAの向って一番左側の第1の立上り部45、第1のループアンテナAの第1のパターン部分33の向って左側の端部付近、第2のループアンテナBの第3のパターン部分37の向って左側の端部付近、第1のループアンテナAの向って一番左側のベースライン部42および第2のループアンテナBの向って一番左側のベースライン部42の向って左側の一半部分(図30に示す参考例3の場合)、
(c)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの第2のパターン部分35、第1のループアンテナAの第1のパターン部分33の向って左側の端部付近および第1のループアンテナAの向って一番左側のベースライン部42の向って左側の一半部分(図31に示す参考例4の場合)、
(d)第1のループアンテナAの第2のパターン部分35、第1のループアンテナAの第1のパターン部分33の向って左側の端部付近および第1のループアンテナAの向って一番左側のベースライン部42の向って左側の端部付近(図32に示す参考例5の場合)、ならびに
(e)第1のループアンテナAの第2のパターン部分35(図33に示す参考例6の場合)。
【0069】
そして、図7〜図20および図29〜図32に示す最大通信可能距離のグラフから、つぎの(オ)項に記載する事項が判る。
(オ)第1の多孔性シート状部材51は、リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのほぼループ形状のアンテナパターン23のうちのできるだけ多くのパターン部分と重複しているのが好ましく、上記パターン部分のほぼ全部と重複しているのがさらに好ましいこと。
【0070】
以上において、本発明の第1および第2の実施例について詳細に説明したが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて、各種の変更および修正が可能である。
【0071】
例えば、既述の第1〜第4の実施例においては、図2に示すように、上下6段の棚板3〜8を書架2に設けたが、棚板は必ずしも上下に6段設けられる必要はなく、5段以下または7段以上の別の複数段を上下に設けてもよく、場合によっては、1段だけでもよい。
【0072】
また、既述の第1〜第4の実施例においては、本発明を書架2に適用した。しかし、本発明は、陳列棚、商品棚、書類管理棚、物品所蔵棚などの他の物品載置棚や、図書館などの受付カウンタ台などのカウンタ台、テーブル、机などのような、各種の物品が載置される物品載置台に適用することができ、また、製造ラインにおける物流用読み取りアンテナとしても、使用することができる。したがって、本発明によるリーダ用アンテナは、書架2の棚板3〜8のようなほぼ長方形状の基板25に限らず、ほぼ正方形状、ほぼ平行四辺形状、ほぼ台形状、ほぼ長円形状、その他の各種の形状を有する基板などに組み込まれることができる。
【0073】
また、既述の第1〜第4の実施例においては、リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のアンテナA、Bのほぼループ形状のアンテナパターン23は、一回巻きのものとしたが、渦巻き状などに複数回巻回させた複数回巻きのものであってもよい。
【0074】
また、既述の第1〜第4の実施例においては、リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のアンテナA、Bの各アンテナパターン要素33、35、37、39、42、45〜47などの相互の間のつながり部位の大部分をあまり丸みのないほぼ尖った形状に構成した。しかし、これらのつながり部位の一箇所または複数箇所もしくは全部の箇所が、さらに丸みを帯びた形状に構成されていてもよい。
【0075】
また、既述の第1〜第4の実施例においては、リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のアンテナA、Bのそれぞれの屈曲部43の個数をそれぞれ4個にした。しかし、上記屈曲部43の個数は、それぞれ4個である必要は必ずしもなくて、それよりも多いかあるいは少ないかの任意の個数であってよく、場合によっては、1個であってもよい。
【0076】
また、既述の第1〜第4の実施例においては、第1のループアンテナAの一対の端子部24a、24bおよび第2のループアンテナBの一対の端子部24a、24bのそれぞれを、棚板5の向って右側の縁部38付近に設けた。しかし、これら第1および第2のループアンテナA、Bの一対の端子部24a、24bのそれぞれは、棚板5の後縁部32、向って左側の縁部34、前縁部36および向って右側の縁部38のうちの任意の縁部付近に設けられることができる。例えば、図3に示す棚板5において、第2のループアンテナBの一対の端子部24a、24bが第1のループアンテナAの一対の端子部24a、24bとほぼ左右対称的になるように、第2のループアンテナBの一対の端子部24a、24bを向って左側の縁部34付近に設けてもよい。
【0077】
また、既述の第1〜第4の実施例においては、第1の多孔性シート状部材51の開口率(すなわち、前記1(4)項における前記(カ)項に記載の開口率)を全体的に一様なものにした。しかし、第1の多孔性シート状部材51の開口率は、全体的に一様である必要は必ずしもなく、部分的に異なっていてもよい。例えば、既述の第1の実施例において、第1の多孔性シート状部材51の一部分(具体的には、既述の第2の実施例において第2の多孔性シート状部材53と重複する部位や、既述の第3の実施例において第3の多孔性シート状部材55と重複する部位)の開口率を小さくすることによって、第1の多孔性シート状部材51を干渉防止用部材として用いるだけでもって、既述の第2の実施例の場合や既述の第3の実施例の場合と類似した効果を奏することもできる。
【0078】
また、既述の第2〜第4の実施例においては、第2の多孔性シート状部材53および第3の多孔性シート状部材55の開口率を第1の多孔性シート状部材51の開口率とほぼ同一にするとともに全体的に一様なものにした。しかし、第2の多孔性シート状部材53および第3の多孔性シート状部材55のそれぞれの開口率は、第1の多孔性シート状部材51の開口率とほぼ同一である必要は必ずしもなく、また、全体的に一様である必要も必ずしもない。
【0079】
また、既述の第3および第4の実施例においては、第3の多孔性シート状部材55に単一の中央開口57を設けた。しかし、第3の多孔性シート状部材55に設けられる中央開口57は、1個である必要は必ずしもなく、2個以上であってもよい。例えば、図11および図13に示す中央開口57においてほぼ奥行き方向yに沿って延在する1本または複数本の帯状部や、上記中央開口57においてほぼ間口方向xに沿って延在する1本または複数本の帯状部を、第3の多孔性シート状部材55に設けることなどによって、第3の多孔性シート状部材55に2個以上の中央開口57を設けることができる。
【0080】
また、既述の第1〜第4の実施例においては、第1の多孔性シート状部材51を棚板5などのアンテナ形成対象部材の下面に配設した。しかし、第1の多孔性シート状部材51は、用途などに応じて、リーダライタ用アンテナ15と上下を入れ換えることなどによって、アンテナ形成対象部材の上面側に配設することもでき、さらに、アンテナ形成対象部材の上面側と下面側とに上下一対配設することもできる。
【0081】
また、既述の第2〜第4の実施例においては、第2の多孔性シート状部材53および第3の多孔性シート状部材55のそれぞれを棚板5などのアンテナ形成対象部材の上面側に配設した。しかし、第2の多孔性シート状部材53および第3の多孔性シート状部材55のそれぞれは、用途などに応じて、アンテナ形成対象部材の下面側に配設することができ、さらに、アンテナ形成対象部材の上面側と下面側とに上下一対配設することもできる。
【0082】
また、既述の第2〜第4の実施例においては、第2の多孔性シート状部材53および第3の多孔性シート状部材55のそれぞれを第2の中間膜54および第3の中間膜56のそれぞれを介してリーダライタ用アンテナ15に貼り合わせるようにした。しかし、第2の多孔性シート状部材53および第3の多孔性シート状部材55のそれぞれを適当な接着剤によって第1の多孔性シート状部材51に直接に接着することもできる。
【0083】
また、既述の第2〜第4の実施例においては、第2の多孔性シート状部材53および第3の多孔性シート状部材55のそれぞれを基板25のうちの第1の多孔性シート状部材51とは反対側の面に配設した。しかし、第2の多孔性シート状部材53および第3の多孔性シート状部材55のそれぞれは、必要に応じて、第1の多孔性シート状部材51の上側面または下側面に配設することもできる。
【0084】
また、既述の第4の実施例においては、第2の多孔性シート状部材53を第3の多孔性シート状部材55の下側面に配設した。しかし、第2の多孔性シート状部材53は、必要に応じて、第3の多孔性シート状部材55の上側面(具体的には、第2のループアンテナBと第3の多孔性シート状部材55との間)に配設することもでき、また、第3の多孔性シート状部材55とは反対側の基板25面(具体的には、基板25の下側面)に配設することもできる。
【0085】
さらに、既述の第2および第4の実施例においては、第2の多孔性シート状部材53をリーダライタ用アンテナ15のアンテナパターン23の長さ方向xにおける一方の端部付近(具体的には、向って左側の端部付近)のみに配設した。しかし、第2の多孔性シート状部材53は、リーダライタ用アンテナ15のアンテナパターン23の長さ方向xにおける他方の端部付近のみに配設することもでき、さらには、両方の端部付近(具体的には、向って左側の端部付近および向って右側の端部付近)のそれぞれに一対配設することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】従来の書架管理システムが適用されている書架の正面図である。(従来例1)
【図2】本発明を書架管理システムに適用した第1の実施例における書架の正面図である。(実施例1)
【図3】図2の3段目の棚板の平面図である。(実施例1)
【図4】図3の棚板の一部分の拡大縦断図である。(実施例1)
【図5A】図2の書籍類の一例の拡大斜視図である。(実施例1)
【図5B】図2の書籍類の別の一例の拡大斜視図である。(実施例1)
【図6】図5Aの電子タグの拡大平面図である。(実施例1)
【図7】導電性で多孔性のシート状部材が取付けられていない遮蔽材なしの状態での、図3の棚板の平面図である。(実施例1)
【図8】図7の遮蔽材なしの棚板の一部分の拡大縦断面図である。(実施例1)
【図9】本発明を書架管理システムに適用した第2の実施例における書架の3段目の棚板の平面図である。(実施例2)
【図10】図9の棚板の一部分の拡大縦断面図である。(実施例2)
【図11】本発明を書架管理システムに適用した第3の実施例における書架の3段目の棚板の平面図である。(実施例3)
【図12】図11の棚板の一部分の拡大縦断面図である。(実施例3)
【図13】図11の棚板に取付けられている第1および第3の多孔性シート状部材の分解斜視図である。(実施例3)
【図14】本発明を書架管理システムに適用した第4の実施例における書架の3段目の棚板の平面図である。(実施例4)
【図15】図11の棚板の一部分の拡大縦断面図である。(実施例4)
【図16】図11の棚板に取付けられている第1、第2および第3の多孔性シート状部材の分解斜視図である。(実施例4)
【図17】第1の多孔性シート状部材とアンテナパターンとの間の距離が3mmでの、第1の実施例のリーダライタ用アンテナの電子タグとの間口方向の位置に応じた上下方向における最大通信可能距離を、参考例1の場合とともに示すグラフである。(実施例1および参考例1)
【図18】第1の多孔性シート状部材とアンテナパターンとの間の距離が13mmでの、図17に示す場合と同様のグラフである。(実施例1および参考例1)
【図19】第1の多孔性シート状部材とアンテナパターンとの間の距離が23mmでの、図17に示す場合と同様のグラフである。(実施例1および参考例1)
【図20】第1の多孔性シート状部材とアンテナパターンとの間の距離が33mmでの、図17に示す場合と同様のグラフである。(実施例1および参考例1)
【図21】第1の実施例のリーダライタ用アンテナの電子タグとの、第1の多孔性シート状部材とアンテナパターンとの間の距離に応じた上下方向における最大通信可能距離を、参考例1の場合とともに示すグラフである。(実施例1および参考例1)
【図22】第1の実施例のリーダライタ用アンテナの電子タグとの、第1の多孔性シート状部材とアンテナパターンとの間の距離に応じた左右方向における最大通信可能距離を、参考例1の場合とともに示すグラフである。(実施例1および参考例1)
【図23】第1の多孔性シート状部材とアンテナパターンとの間の距離が3mmでの、第4の実施例のリーダライタ用アンテナの電子タグとの間口方向の位置に応じた上下方向における最大通信可能距離を、参考例1の場合とともに示すグラフである。(実施例4および参考例1)
【図24】第1の多孔性シート状部材とアンテナパターンとの間の距離が13mmでの、図23に示す場合と同様のグラフである。(実施例4および参考例1)
【図25】第1の多孔性シート状部材とアンテナパターンとの間の距離が23mmでの、図23に示す場合と同様のグラフである。(実施例4および参考例1)
【図26】第1の多孔性シート状部材とアンテナパターンとの間の距離が33mmでの、図23に示す場合と同様のグラフである。(実施例4および参考例1)
【図27】第4の実施例のリーダライタ用アンテナの電子タグとの、第1の多孔性シート状部材とアンテナパターンとの間の距離に応じた上下方向における最大通信可能距離を、参考例1の場合とともに示すグラフである。(実施例4および参考例1)
【図28】第4の実施例のリーダライタ用アンテナの電子タグとの、第1の多孔性シート状部材とアンテナパターンとの間の距離に応じた左右方向における最大通信可能距離を、参考例1の場合とともに示すグラフである。(実施例4および参考例1)
【図29】参考例2のリーダライタ用アンテナの電子タグとの間口方向に応じた上下方向における最大通信可能距離を、参考例1の場合とともに示すグラフである。(参考例1および2)
【図30】参考例3のリーダライタ用アンテナについての、図19に示す場合と同様のグラフである。(参考例1および3)
【図31】参考例4のリーダライタ用アンテナについての、図19に示す場合と同様のグラフである。(参考例1および4)
【図32】参考例5のリーダライタ用アンテナについての、図19に示す場合と同様のグラフである。(参考例1および5)
【図33】参考例6のリーダライタ用アンテナについての、図19に示す場合と同様のグラフである。(参考例1および6)
【符号の説明】
【0087】
A 第1のループアンテナ
B 第2のループアンテナ
x 間口方向(第2の方向)
y 奥行き方向(第1の方向)
2 書架(物品載置棚)
3 最上段の棚板(アンテナ形成対象部材)
4 2段目の棚板(アンテナ形成対象部材)
5 3段目の棚板(アンテナ形成対象部材)
6 4段目の棚板(アンテナ形成対象部材)
7 5段目の棚板(アンテナ形成対象部材)
8 最下段の棚板(アンテナ形成対象部材)
15 リーダライタ用アンテナ
23 ほぼループ形状のアンテナパターン
33 第1のパターン部分
35 第2のパターン部分
37 第3のパターン部分
39 第4のパターン部分
42 ベースライン部
43 屈曲部
45 第1の立上り部
46 第2の立上り部
51 導電性で多孔性の第1のシート状部材
53 導電性で多孔性の第2のシート状部材
55 導電性で多孔性の第3のシート状部材
57 中央開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ形成対象部材に形成されているアンテナパターンを有するリーダライタ用アンテナにおいて、
導電性で多孔性のシート状部材が、上記アンテナ形成対象部材に設けられ、
上記多孔性シート状部材の外周囲が、平面的に見て、上記アンテナパターンの外周囲にほぼ沿って延在していることを特徴とするリーダ用アンテナ。
【請求項2】
上記多孔性シート状部材が、導電性線条体をメッシュ状に編組したメッシュ構造のものであることを特徴とする請求項1に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項3】
上記多孔性シート状部材の小開孔のピッチが50〜2,000μmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項4】
上記多孔性シート状部材の多数個の小開孔の1個当りの面積が4,000〜1,800,000μmの範囲であることを特徴とする請求項1、2または3に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項5】
上記多孔性シート状部材の、そこに形成されている多数個の小開孔についての開口率が70〜95%の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項6】
上記多孔性シート状部材と上記アンテナパターンとの相互の間隔が5〜35mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項7】
上記アンテナパターンの端部のうちのいずれか1つの端部付近と重複している導電性で多孔性の第2のシート状部材が、上記アンテナ形成対象部材のうちの上記いずれか1つの端部付近に対応する箇所に少なくとも設けられていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項8】
導電性で多孔性の第3のシート状部材が、平面的に見て上記アンテナパターンの外周囲にほぼ沿ってループ形状に延在するように、上記アンテナ形成対象部材に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項9】
その中央開口を含む上記第3の多孔性シート状部材の大きさに対する上記中央開口の大きさの比が20〜80%の範囲であることを特徴とする請求項8に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項10】
上記第3の多孔性シート状部材の外周囲が、平面的に見て、上記リーダライタ用アンテナの上記アンテナパターンの外周囲またはその外側に沿って延在し、
上記第3の多孔性シート状部材の内周囲が、平面的に見て、つぎの(a)項〜(d)項に記載の条件を満足していることを特徴とする請求項8または9に記載のリーダ用アンテナ。
(a)上記第3の多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の第1の方向における第1の側の内周囲が、上記第1の方向とは直交する第2の方向にほぼ沿って延在しているパターン部分のうちの上記第1の方向における上記第1の側の最外周を延在しているパターン部分の内側端またはその内側にほぼ沿って延在していること、
(b)上記第3の多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の上記第1の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側の内周囲が、上記第2の方向にほぼ沿って延在している上記パターン部分のうちの上記第1の方向における上記第2の側の最外周を延在しているパターン部分の内側端またはその内側にほぼ沿って延在していること、
(c)上記第3の多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の上記第2の方向における第1の側の内周囲が、上記第1の方向にほぼ沿って延在しているパターン部分のうちの上記第2の方向における上記第1の側の最外周を延在しているパターン部分の外側端またはその外側にほぼ沿って延在していること、および
(d)上記第3の多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の上記第2の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側の内周囲が、上記第1の方向にほぼ沿って延在しているパターン部分のうちの上記第2の方向における上記第2の側の最外周を延在しているパターン部分の外側端またはその外側にほぼ沿って延在していること。
【請求項11】
上記第3の多孔性シート状部材が、平面的に見て、上記アンテナ形成対象部材の第2の方向にほぼ延在しているパターン部分のうちの上記第1の方向における上記第1の側の端部付近および上記第2の側の端部付近をそれぞれ延在しているパターン部分とほぼ重複していることを特徴とする請求項10に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項12】
上記第3の多孔性シート状部材が、平面的に見て、上記第2の方向にほぼ沿って延在しているすべてのパターン部分とほぼ重複していることを特徴とする請求項10に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項13】
上記第3の多孔性シート状部材が、平面的に見て、上記第1の方向にほぼ沿って延在しているいずれのパターン部分とも実質的に重複していないことを特徴とする請求項10、11または12に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項14】
上記リーダ用アンテナが、互いに絶縁されかつ互いに重ね合わせられた状態で上記アンテナ形成対象部材にそれぞれ設けられている第1および第2のループアンテナを備えていることを特徴とする請求項1〜13のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項15】
上記第1および第2のループアンテナのそれぞれは、ほぼループ形状のアンテナパターンを備え、
上記第1のループアンテナの上記ほぼループ形状のアンテナパターンと、上記第2のループアンテナの上記ほぼループ形状のアンテナパターンとのそれぞれは、上記アンテナ形成対象部材の第1の方向における第1の側に設けられた第1のパターン部分と、上記アンテナ形成対象部材の上記第1の方向とは直交する第2の方向における第1の側に設けられた第2のパターン部分と、上記アンテナ形成対象部材の上記第1の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第3のパターン部分と、上記アンテナ形成対象部材の上記第2の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第4のパターン部分とを備え、
上記第1のループアンテナの上記第3のパターン部分と、上記第2のループアンテナの上記第1のパターン部分とのそれぞれは、互いに間欠的に配置されている複数本のベースライン部と、これら複数本のベースライン部の間に設けられている少なくとも1個の屈曲部とをそれぞれ備え、
上記屈曲部のそれぞれは、第1の立上り部および第2の立上り部をそれぞれ備えるほぼ凸形状に構成され、
上記第1のループアンテナの上記第1の立上り部または上記第2の立上り部が上記第2のループアンテナのこれと対応する第1の立上り部とこれと対応する第2の立上り部との間に配置されるように、上記第1のループアンテナが上記第2のループアンテナに対して上記第2の方向にずれていることを特徴とする請求項14に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項16】
上記リーダ用アンテナがリーダライタ用アンテナとして構成されていることを特徴とする請求項1〜15のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項17】
請求項1〜16のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナが形成されている棚板を上記アンテナ形成対象部材として備えていることを特徴とするアンテナ付き物品載置棚。
【請求項18】
上記アンテナ付き物品載置棚がアンテナ付き書架であることを特徴とする請求項17に記載のアンテナ付き物品載置棚。
【請求項19】
上記棚板のうちの少なくとも1枚の棚板が上下方向における取付け位置を変更し得るように構成されていることを特徴とする請求項17または18に記載のアンテナ付き物品載置棚。
【請求項20】
請求項1〜16のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナが形成されている台板を上記アンテナ形成対象部材として備えていることを特徴とするアンテナ付き物品載置台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2008−61003(P2008−61003A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236765(P2006−236765)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】