説明

レベルシフト回路

【課題】レベルシフト回路における、低電圧動作、高耐圧、低消費電流、高速動作、検査容易化を目的とする。
【解決手段】第1のレベルシフト要素(1)として、低い電圧の場合に電源ONで動作状態として用い、電源電圧が高い場合には素子の耐圧を確保して電源OFFし停止状態で用いる低電源電圧用レベルシフト回路を備え、第2のレベルシフト要素(2)として、電源電圧が低い場合には電源OFFし停止状態で用い、電源電圧が高い場合に、素子の耐圧を確保して電源ONし動作状態で用いる高電源電圧用レベルシフト回路とを備え、電源電圧によって切り替えられるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低電源電圧側の信号を高電源電圧側へ伝達するレベルシフト回路において、MOSトランジスタのゲート酸化膜を厚くすることなくレベルシフト回路の高耐圧化を実現する技術に関し、例えばスイッチング・レギュレータ等に用いられるレベルシフト回路及び半導体装置に利用して有用な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレベルシフト回路は、図13に示されるような構成を有していた。
【0003】
図13は特許文献1(第11項、図6)で開示されている、公知のレベルシフト回路を示している。
【0004】
図13を用いて、公知のレベルシフト回路について説明する。
【0005】
図13において、76,81はインバータ、79,80はPMOSトランジスタ(以下、PMOSと略称)、77,78はNMOSトランジスタ(以下、NMOSと略称)、Vdd1は第1の高電位側電源、Vdd2は第2の高電位側電源、Vss1は低電位側電源、VINは信号入力端子、VOUTは信号出力端子である。
【0006】
公知のレベルシフト回路として、信号入力端子VINをNMOS(78)のゲート及び、Vss1に接地端を接続し、Vdd1に電源端を接続するインバータ(76)の入力端に接続し、インバータ(76)の出力端は、NMOS(77)のゲートに接続される。Vdd2にソースを接続するPMOS(79)、PMOS(80)のゲートをそれぞれのドレインに相互接続し、PMOS(79)のドレインはNMOS(77)を介してVss1に接続し、PMOS(80)のドレインはNMOS(78)を介してVss1に接続する。PMOS(80)のドレインは、Vss1に接地端を接続し、Vdd2に電源端を接続するインバータ(81)の入力端にも接続し、インバータ(81)の出力を信号出力端子VOUTに接続して構成する。
【0007】
電源電圧[Vdd1−Vss1(GND)]により生成される入力信号VINを、電源電圧[Vdd1−Vss1]とは異なる電源電圧[Vdd2−Vss1]によって入力信号VINとは異なる振幅出力信号VOUTにレベルシフトする回路である。
【0008】
図13に示すレベルシフト回路は、Vdd2がVdd1より低い電位で動作が可能である半面、Vdd2が高くなった場合、PMOS(79),PMOS(80)のゲート・ソース間電圧VGSに、[Vdd2−Vss1]の高い電位差が印加されるため、素子の高耐圧化を図る必要があった。一般に素子のゲート酸化膜を厚く形成することで、ゲート・ソース間に大きな電圧がかかっても素子破壊が生じないように高耐圧化を図っているが、ゲート酸化膜を厚くすると、素子サイズが大きくなり、ICのコストが高くなってしまうと共に、MOSトランジスタの閾値電圧Vth、すなわち動作電圧が高くなったり、MOSトランジスタの反転スピードが遅くなるなどの不都合が生じる問題があった。
【0009】
図13に示す回路の課題を解決すべく、特許文献1においては、図12に示すような構成が提案されている。図12は特許文献1(第10項、図1)で開示されている、公知のレベルシフト回路を示している。
【0010】
図12を用いて、公知のレベルシフト回路について説明する。
【0011】
図12において、59,73はインバータ、68,69はPMOS、60,61,63,64,65,71,72はNMOS、66,67はドレイン高耐圧NMOSトランジスタ(以下、ドレイン高耐圧NMOSと略称)、62,70は抵抗、74は第1定電流回路、75は第2定電流回路、Vdd1は第1の高電位側電源、Vdd2は第2の高電位側電源、Vss1は第1の低電位側電源、Vss2は第2の低電位側電源、VINは信号入力端子、VOUTは信号出力端子である。
【0012】
ここで、ドレイン高耐圧NMOSは、ドレインが高耐圧に形成されていることで、ゲート・ドレイン間やソース・ドレイン間に高い電圧が印加されても、素子の破壊が回避されるNMOSトランジスタである。
【0013】
電源電圧[Vdd1−Vss1]により生成される入力信号VINを、電源電圧[Vdd1−Vss1]より電位の高い電源電圧[Vdd2−Vss2]によって入力信号VINよりも中心電位の高い出力信号VOUTにレベルシフトする回路である。
【0014】
図12に示す回路が動作する条件は、特許文献1によると、以下の通りである。
【0015】
第3項の段落番号0009には以下の記載がある。
【0016】
「上記電源電圧[Vdd2−Vss2]は、例えば10V−5Vのようなロジック系の電源電圧[Vdd1−Vss1(GND)]と電位差がほぼ同じで電位のみ高くされた電圧である。」
第5項の段落番号0016には以下の記載がある。
【0017】
「高電位側の基準電位(低い方の電源電圧)Vss2」
この動作条件は、Vdd1(低い方の電源電圧)とVss2(高電位側の基準電位)が同じ電圧であり、電源電圧[Vdd2−Vss2]は、電源電圧[Vdd1−Vss1]と電位差がほぼ同じで電位のみ高くされた電圧であり、電源電圧[Vdd2−Vss1]の電位差は電源電圧[Vdd1−Vss1]のほぼ2倍が必要なことを示し、Vdd2はVdd1より高い電位での動作を条件としている。
【0018】
図12のレベルシフト回路は、入力信号VINとその反転信号をゲートに受ける一対の入力MOSトランジスタNMOS(60),NMOS(61)と、Vdd2にソースが接続されたカレントミラー接続の負荷MOSトランジスタPMOS(68),PMOS(69)と、上記入力MOSトランジスタNMOS(60),NMOS(61)と負荷MOSトランジスタPMOS(68),PMOS(69)との間にそれぞれ直列に接続されたドレイン高耐圧NMOS(66),NMOS(67)およびNMOS(66),NMOS(67)に流れる電流を制限する電流制限用MOSトランジスタNMOS(64),NMOS(65)と、この電流制限用MOSトランジスタNMOS(64),NMOS(65)の電流量を決定する第1定電流回路(74)と、上記ドレイン高耐圧MOSトランジスタNMOS(67)のドレイン電位が下がり過ぎないように電流を供給する電流供給用MOSトランジスタNMOS(71)と、このNMOS(71)の電流量を決定する第2定電流回路(75)と、負荷MOSトランジスタPMOS(69)のドレインに生成された出力電圧を波形整形して出力するインバータ(73)等から構成される。
【0019】
上記のNMOS(60),NMOS(61)は、ソースがVss1に接続され、その一方のゲートには入力信号VINが直接入力されている。また、他方のゲートにはインバータ(59)を介して反転された信号が入力され、入力信号VINの信号レベルに応じてNMOS(60),NMOS(61)がオン・オフ動作するようになっている。
【0020】
PMOS(68),PMOS(69)は、ソースがVdd2に接続され、PMOS(68)のゲート・ドレイン間が結合され、PMOS(69)のゲートにはPMOS(68)のドレイン電圧が印加されている。
【0021】
ドレイン高耐圧NMOS(66),ドレイン高耐圧NMOS(67)は、それぞれドレインがPMOS(68),PMOS(69)側に、ソースがNMOS(60),NMOS(61)側に接続され、且つ、ゲートにはVdd1が印加されるように接続されている。このようなNMOS(66),NMOS(67)によれば、そのドレインに高い電圧が印加された場合でも、ソース電位がゲート電位(Vdd1)とMOSトランジスタの閾値電圧Vthにより決定されるクランプ電圧(Vdd1−Vth)に固定され、高い電圧がソース側の素子NMOS(64),NMOS(65),NMOS(60),NMOS(61)に印加されないようにされる。
【0022】
NMOS(64),NMOS(65)は、NMOS(60),NMOS(61)とそれらに対応するNMOS(66),NMOS(67)との間にそれぞれ直列に接続されるとともに、第1定電流回路(74)を構成するNMOS(63)とカレントミラー接続され、NMOS(60),NMOS(61)の何れかがオン状態の場合に、対応するNMOS(66),NMOS(67)に流れる電流を定電流回路(74)により決定される電流量に制限する。
【0023】
第1定電流回路(74)は、ゲート・ドレインを結合したNMOS(63)と抵抗(62)とをVdd1,Vss1間に直列に接続したものである。
【0024】
NMOS(71)は、第2定電流回路(75)のNMOS(72)とカレントミラー接続され、出力ノードN11の電位が下がったときに第2定電流回路(75)により決定される電流を出力ノードN11に供給してN11の電位を高電位側の基準電位(低い方の電源電圧)Vss2より低くならないように制御する。なお、NMOS(64),NMOS(65)による電流の制限等により、N11の電位が基準電位Vss2より低くならないように構成されていれば、NMOS(71)や第2定電流回路(75)は省略することが出来る。第2定電流回路(75)は、抵抗(70)とNMOS(72)とがVdd2,Vss2間に直列に接続されている。上記構成のレベルシフト回路によれば、入力信号VINがHレベルのときには、一方の入力NMOS(61)がオンされてPMOS(69),NMOS(67),NMOS(65)に電流が流されるとともに、他方の入力NMOS(60)がオフされてPMOS(68),NMOS(66),NMOS(64)に流れる電流が遮断される。その結果、N11の電位が低い状態にされてインバータ(73)の出力信号VOUTはVdd2に近いレベルの信号となる。
【0025】
逆に、入力信号VINがLレベルのときには、一方の入力NMOS(61)がオフされてNMOS(67),NMOS(65)の電流が遮断されるとともに、他方の入力NMOS(60)がオンされてPMOS(68),NMOS(66),NMOS(64)に電流が流される。そして、PMOS(68)とPMOS(69)とがカレントミラー接続されているため、PMOS(69)のドレイン電圧はN11に接続されるノードを充電しながら非飽和領域に入り、その結果、N11の電位がVdd2に近いレベルにされてインバータ(73)の出力がVss2に近いレベルの信号となる。
【0026】
ここで、非飽和領域とは、図10に符号56として示す、MOSトランジスタの静特性でドレイン・ソース間電圧VDSが低く、ドレイン電流IDも低く、VDSに対するIDの変化が大きい領域を示す。同図10中、符号57は飽和領域である。
【0027】
このように構成されたレベルシフト回路によれば、NMOS(66),NMOS(67)のゲート・ドレイン間やソース・ドレイン間にのみVss1とVdd2との電位差に相当する大きな電圧がかかるが、NMOS(66),NMOS(67)のドレインが高耐圧に形成されていることで、素子の破壊が回避される。すなわち、レベルシフト回路のレベルシフト量が大きくなっても素子のゲート酸化膜を厚くする必要がなく、これによってゲート酸化膜を厚くして耐圧を図るレベルシフト回路に較べて、回路の占有面積の縮小や動作速度の向上を図ることが出来る。
【0028】
しかしながら、図12の提案では、ゲート酸化膜を厚くすることなく素子の耐圧を確保できる反面、Vdd2はVdd1よりも低い電圧では動作せず、低電圧で動作できない問題があった。加えて、最終段であるインバータ(73)の入力部を電流源で充電して動作させる構成により、動作を早くするには消費電流が増大する問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2004−72829号公報(第3、5、10−11頁、第1、6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
図13に示す従来のレベルシフト回路は、Vdd2がVdd1より低い電圧で動作が可能である半面、Vdd2が高くなった場合、耐圧を確保するためにレベルシフト回路の構成素子のゲート酸化膜を厚くする必要があった。ゲート酸化膜を厚くすると、それに伴って素子サイズが大きくなることから回路全体の占有面積が大きくなり、ICのコストが高くなってしまう。さらに、MOSトランジスタの閾値電圧Vthすなわち動作電圧が高くなったり、MOSトランジスタの反転スピードが遅くなるなどの不都合が生じる問題があった。
【0031】
さらに、図12に示す従来のレベルシフト回路は、前述の通り、電源電圧[Vdd2−Vss1]の電位差は電源電圧[Vdd1−Vss1]のほぼ2倍であることが動作条件であり、Vdd2をVdd1よりも低い電圧で動作させられない問題点を有していた。
【0032】
加えて、最終段であるインバータ(73)の入力部、N11の電位をLレベルからHレベルに立ち上げる時間は、N11に接続されるノードをPMOS(69)が、出力する電流によって充電しながら非飽和領域に入る動作で決定されるため、立ち上がり時間を短くするには、PMOS(63),PMOS(64),PMOS(65)で構成されるカレントミラー回路の電流を増やす必要があり、消費電流が増加する問題点をも有していた。
【0033】
本発明は上記従来の問題点を解決するものであり、Vdd2がVdd1よりも低い電圧の場合にも動作でき、Vdd2が高くなった場合には、使用する素子の耐圧を超えない状態で動作でき、且つ、消費電流を増加させることなく、動作速度を高速にすることのできる、低電圧動作、高耐圧、低消費電流、高速動作のレベルシフト回路及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
以下の課題を解決するための手段においては、後述する実施例との関連性を示すと共に、発明を理解しやすくするために、括弧内に後述する実施例において用いた参照符号等を記載した。但し、これらの参照符号等は本発明を後述する実施例の構成に限定するものではなく、本発明には後述する実施例に記載した機能、構成と同様の機能、構成を示す各種要素が含まれる。
【0035】
本発明の第1の観点のレベルシフト回路は、電源電圧[Vdd1−Vss1(GND)]により生成される、第1の振幅の入力信号VINを、電源電圧[Vdd2−Vss1]により生成される、第2の振幅の出力信号VOUTにレベルシフトする回路であって、上記目的を達成するために、第1のレベルシフト要素(1)として、Vdd2がVdd1よりも低い電圧の場合に電源ONで動作状態として用い、Vdd2の電圧が高い場合には素子の耐圧を確保して電源OFFし停止状態で用いる低電源電圧用レベルシフト回路を備え、第2のレベルシフト要素(2)として、Vdd2の電圧が低い場合には電源OFFし停止状態で用い、Vdd2の電圧が高い場合に、素子の耐圧を確保して電源ONし動作状態で用いる高電源電圧用レベルシフト回路とを備え、コンパレータ回路(3)と抵抗(4)、抵抗(5)及び、基準電圧源(6)で構成されるレベルシフト回路であって、前記第1のレベルシフト要素(1)と前記第2のレベルシフト要素(2)の電源ON/OFFは前記コンパレータ回路(3)の出力により決定され、前記コンパレータ回路(3)は前記基準電圧源(6)より与えられる基準電圧と、Vdd2を抵抗(4)、抵抗(5)で分割した電圧を比較した結果を出力するように構成されている。
【0036】
このように構成された第1の観点のレベルシフト回路は、前記第1のレベルシフト要素(1)と前記第2のレベルシフト要素(2)の電源ON/OFF動作状態を、Vdd2の電圧によって切り替えられるように構成されており、Vdd2がVdd1よりも低い低電圧では、前記第1のレベルシフト要素(1)によって動作でき、Vdd2が高い電圧の場合には、前記第2のレベルシフト要素(2)によって素子の耐圧が確保された状態で動作することができ、低電圧動作、高耐圧のレベルシフト回路及び半導体装置を提供することができる。
【0037】
本発明の第2の観点のレベルシフト回路は、第1のレベルシフト要素(1)と、第2のレベルシフト要素(2)と、コンパレータ回路(3)と抵抗(4)、抵抗(5)及び、基準電圧源(6)で構成されるレベルシフト回路であって、前記の第1の観点における第1のレベルシフト要素(1)が、第1の振幅の入力信号VINを、第2の振幅の出力信号VOUTにレベルシフトする回路であって、第2の振幅の信号が出力される回路は、高い電位差が発生するノードにON/OFF動作が可能なドレイン高耐圧MOSトランジスタ(以下、ドレイン高耐圧MOSと略称)を設け、前記ドレイン高耐圧MOSのドレイン又はソースに定電圧を印加するように構成されている。
【0038】
ここで、ドレイン高耐圧MOSは、ドレインが高耐圧に形成されていることで、ゲート・ドレイン間やソース・ドレイン間に高い電圧が印加されても、素子の破壊が回避されるMOSトランジスタである。
【0039】
このように構成された第2の観点のレベルシフト回路は、第1のレベルシフト要素(1)が、Vdd2がVdd1よりも低い電圧の場合にも動作でき、Vdd2が高くなった場合には、電源OFFで停止状態になることで、前記ドレイン高耐圧MOSにより素子の耐圧が確保される。さらに電源OFF時には、ドレイン高耐圧MOSに印加する定電圧をモニタすることで、新たに回路を追加することなく、第1のレベルシフト要素(1)が停止していることを確認できる。
【0040】
本発明の第3の観点のレベルシフト回路は、第1のレベルシフト要素(1)と、第2のレベルシフト要素(2)と、コンパレータ回路(3)と抵抗(4)、抵抗(5)及び、基準電圧源(6)で構成されるレベルシフト回路であって、前記の第1の観点における、第2のレベルシフト要素(2)が、第1の振幅の入力信号VINを、第2の振幅の出力信号VOUTにレベルシフトする回路であって、出力段のPMOSトランジスタのゲートに、電流供給能力を切替える機能を有した電流供給能力UP切換要素(55)を備え、前記電流供給能力UP切換要素(55)を含む、回路で使用する素子の耐圧を確保して動作させることができる構成としたものである。
【0041】
このように構成された第3の観点のレベルシフト回路は、第2のレベルシフト要素(2)が、Vdd2が高くなった場合に、使用するトランジスタの耐圧を超えない状態で動作でき、電流供給能力UP切換要素(55)の作用により、低消費電流で高速動作することができる。
【0042】
本発明の第4の観点のレベルシフト回路は、前記第2の観点のレベルシフト回路における第1のレベルシフト要素(1)を単独で使用するレベルシフト回路であり、Vdd2がVdd1よりも低い電圧の場合にも動作でき、Vdd2が高くなった場合には、電源OFFで停止状態になることで、素子の耐圧が確保される。さらに電源OFF時には、定電圧をモニタすることで、新たに回路を追加することなく、第4の観点のレベルシフト回路が停止していることを確認できる。
【0043】
本発明の第5の観点のレベルシフト回路は、前記第3の観点のレベルシフト回路における第2のレベルシフト要素(2)を単独で使用するレベルシフト回路である。Vdd2が高くなった場合に、使用するトランジスタの耐圧を超えない状態で動作でき、電流供給能力UP切換要素(55)の作用により、低消費電流で高速動作することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明においては、低電源電圧用レベルシフト回路と、高電源電圧用レベルシフト回路をコンパレータ回路により切替える構成にしており、印加される電源電圧により使用するレベルシフト回路を切替えられ、Vdd2がVdd1よりも低い電源電圧でも動作でき、Vdd2が高い電源電圧の場合でも素子の耐圧を確保し、低消費電流、高速動作を実現できるレベルシフト回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例1の構成図
【図2】実施例2及び、実施例4の構成図
【図3A】図2に示すレベルシフト回路の動作の説明図
【図3B】図2に示すレベルシフト回路の動作の説明図
【図4】図2に示すレベルシフト回路の動作の説明図
【図5】実施例3及び、実施例5の構成図
【図6】図5から電流供給能力UP切換機能(55)を除いた構成図
【図7】図5に示すレベルシフト回路の動作の説明図
【図8A】図5に示すレベルシフト回路の動作の説明図
【図8B】図5に示すレベルシフト回路の動作の説明図
【図9】実施例1のコンパレータ回路(3)の入出力特性
【図10】MOSトランジスタの静特性VDS−ID特性図
【図11】図5及び、図6に示すレベルシフト回路のVOUT出力波形図
【図12】特許文献1 第10項 図1で開示されている公知のレベルシフト回路
【図13】特許文献1 第11項 図6で開示されている公知のレベルシフト回路
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明のレベルシフト回路の好適な実施例について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施例の説明において同じ符号を付した構成要素は実質的に同様の機能、構成、動作を示すものであり、記載が重複するときにはその説明を省略する場合がある。また、実施例の説明は例示として示したものであり、同様の技術的思想に基づく同様のレベルシフト回路は本発明に含まれるものである。
【実施例1】
【0047】
図1は、本発明に係る実施例1のレベルシフト回路の構成を示す図である。
【0048】
図1において、符号1は第1のレベルシフト要素、符号2は第2のレベルシフト要素、符号3はコンパレータ回路、符号4,5は抵抗、符号6は基準電圧源、Vdd1は第1の高電位側電源、Vdd2は第2の高電位側電源、Vss1は低電位側電源、VINは信号入力端子、VOUは信号出力端子、TOUTはON/OFF判別端子である。
【0049】
第1のレベルシフト要素(1)は、電源電圧[Vdd1−Vss1]により生成される、第1の振幅の入力信号VINを、電源電圧[Vdd2−Vss1]により生成される、第2の振幅の出力信号VOUTにレベルシフトする回路であって、SW端より入力される信号により、電源ON/OFF動作を切替えでき、Vdd2がVdd1よりも低い電圧の場合にもVOUT端子から信号を出力することができ、Vdd2が高い電源電圧の場合には、SW端より入力される信号により素子の耐圧を確保して電源OFFし停止状態になる機能を有する。
【0050】
さらに、TOUT端子は回路内部の電圧をモニタでき、電源OFFの停止状態で定電圧が出力され、電源ONの動作状態でVOUT信号とほぼ同じ振幅の信号を出力する機能を有する。
【0051】
第2のレベルシフト要素(2)は、第1の振幅の入力信号VINを、第2の振幅の出力信号VOUTにレベルシフトする回路であって、SWB端より入力される信号により、第1のレベルシフト要素(1)と反転の動作で電源OFF/ON動作を切替えでき、Vdd2が高い電源電圧の場合に、素子の耐圧を確保して電源ONし動作できる機能を有する。
【0052】
コンパレータ回路(3)は基準電圧源(6)より与えられる基準電圧V6と、電源電圧[Vdd2−Vss1]を抵抗(4)、抵抗(5)で分割した入力電圧を比較し、基準電圧と入力電圧の差異により出力をLレベル/Hレベルに変化させる機能を有する。
【0053】
コンパレータ回路(3)の出力端は、第1のレベルシフト要素(1)のSW端及び、第2のレベルシフト要素(2)のSWB端に接続される。VIN信号入力端子は、第1のレベルシフト要素(1)のVIN端及び、第2のレベルシフト要素(2)のVIN端に接続される。VOUT信号出力端子は第1のレベルシフト要素(1)のVOUT端及び、第2のレベルシフト要素(2)のVOUT端に接続される。
【0054】
第1のレベルシフト要素(1)のVdd1端は第1の高電位側電源であるVdd1に接続され、Vdd2端は第2の高電位側電源であるVdd2に接続され、接地端は低電位側電源に接続される。
【0055】
第2のレベルシフト要素(2)のVdd1端は第1の高電位側電源であるVdd1に接続され、Vdd2端は第2の高電位側電源であるVdd2に接続され、接地端は低電位側電源に接続するように構成されている。
【0056】
以上のように構成される図1のレベルシフト回路について、その動作を詳細に説明する。
【0057】
コンパレータ回路(3)の入出力特性を、具体的な例を挙げて図9に示す。
【0058】
図9における条件は、前記基準電圧V6を式(1)に掲載される電圧とし、Vdd2=5Vの時に基準電圧V6と前記入力電圧とが一致するとし、入力電圧が基準電圧V6よりも低い場合は、コンパレータ回路(3)の出力はLレベル、逆に入力電圧が基準電圧V6よりも高い場合はHレベルが出力されるものとした例である。
【0059】
なお、式(1)におけるR5は抵抗(5)の抵抗値、R4は抵抗(4)の抵抗値を示す。
【0060】
基準電圧V6=5[V]×R5/(R4+R5)・・・(1)
コンパレータ出力がLレベルからHレベル、またはその逆に切替わる基準電圧V6は、Vdd1よりもVdd2の電圧が高く、Vdd2が半導体装置内で使用する素子の耐圧を超えない電圧に設定する。表1は、後述する具体的な回路例で使用する各素子の耐圧を示した例である。
【0061】
【表1】

【0062】
表1に掲載の耐圧で最も低い値は6[V]である。図9ではVdd1よりもVdd2の電圧が高く、Vdd2が6[V]を超えない電圧を5Vとして例示している。
【0063】
以上のように構成されたレベルシフト回路は、Vdd2の電圧値により、第1のレベルシフト要素(1)と第2のレベルシフト要素(2)の電源ON/OFF動作状態を切り替えられるように構成されており、Vdd2がVdd1よりも低い低電圧では第1のレベルシフト要素(1)が電源ONで動作し、第1の振幅の入力信号VINを、第2の振幅の出力信号にレベルシフトしてVOUT端子に出力すると共に、TOUT端子からは、VOUTに出力される信号とほぼ同じ振幅の信号が出力される。この時、第2のレベルシフト要素(2)は、電源OFFで停止状態になっている。
【0064】
次に、Vdd2が高くなり、コンパレータへの入力電圧が基準電圧V6よりも高い電圧になった場合、第1のレベルシフト要素(1)は電源OFFで素子の耐圧を確保して停止状態となり、TOUT端子からは定電圧が出力され、停止状態であることが確認できる。さらに、第2のレベルシフト要素(2)は素子の耐圧が確保された状態で電源ONし動作状態となり、前記第1の振幅の入力信号VINを、前記第2の振幅の出力信号にレベルシフトし、VOUT端子に出力するという動作を実現している。
【0065】
上記の動作を行うことにより、Vdd2がVdd1よりも低い低電圧の場合でも動作でき、Vdd2が高い電圧の場合でも素子の耐圧を確保した上で動作でき、さらに切替えて停止した第1のレベルシフト要素(1)の電源OFF状態を容易に判別できる効果を奏する。
【実施例2】
【0066】
図2は実施例2におけるレベルシフト回路の構成を示し、実施例1における第1のレベルシフト要素(1)での使用に好適な具体的構成を示す図である。
【0067】
図2において、符号7,9はインバータ、符号8はAND、符号10,11,28,29,32,33は抵抗、符号13,14,18,23,31はPMOS、符号17,22,24はドレイン高耐圧PMOSトランジスタ(以下、ドレイン高耐圧PMOSと略称)、符号12,15,16,19,20,21,26,27,30,34はNMOS、符号25はドレイン高耐圧NMOS、Vdd1は第1の高電位側電源、Vdd2は第2の高電位側電源、Vss1は低電位側電源、SWは電源ON/OFF切替え端子、VINは信号入力端子、VOUTは信号出力端子、TOUTはON/OFF判別端子である。
【0068】
ここで、ドレイン高耐圧PMOSは、ドレインが高耐圧に形成されていることで、ゲート・ドレイン間やソース・ドレイン間に高い電圧が印加されても、素子の破壊が回避されるPMOSトランジスタである。
【0069】
インバータ(7),インバータ(9),AND(8)の電源端はVdd1に接続され、接地端はVss1に接続される。
【0070】
SW端子はインバータ(7)の入力とNMOS(20),NMOS(21),NMOS(27),NMOS(30),NMOS(34)のゲートに入力され、インバータ(7)の出力はAND(8)の片方の入力とNMOS(12),ドレイン高耐圧NMOS(25)のゲートに接続される。
【0071】
NMOS(12)のドレインは抵抗(11),抵抗(10)を介してVdd2に接続され、抵抗(11),抵抗(10)が互いに接続されるノードはドレイン高耐圧PMOS(17),ドレイン高耐圧PMOS(22),ドレイン高耐圧PMOS(24)のゲートに接続される。
【0072】
ドレイン高耐圧PMOS(17),ドレイン高耐圧PMOS(22)のソースはVdd2に接続される。
【0073】
VIN端子はAND(8)のもう片方の入力に接続され、AND(8)の出力とインバータ(9)によりその反転信号とされた出力とをゲートに受ける、一対の入力MOSトランジスタNMOS(15),NMOS(16)に接続され、NMOS(15),NMOS(16)はソースがVss1に接続され、NMOS(15)のドレインはPMOS(13)のドレインに接続され、NMOS(16)のドレインはPMOS(14)のドレインに接続され、PMOS(13),PMOS(14)のゲートはそれぞれのドレインに相互接続される。
【0074】
NMOS(16)のドレインはPMOS(18),NMOS(19)のゲートに接続され、NMOS(19)のソースはVss1に接続され、PMOS(18),NMOS(19)のドレインはそれぞれが接続され、PMOS(23),NMOS(26)のゲートに入力される。
【0075】
NMOS(26)のソースは、Vss1に接続され、ドレインはドレイン高耐圧NMOS(25),ドレイン高耐圧PMOS(24)を介してPMOS(23)のドレインに接続される。
【0076】
Vdd2が高くなった場合に、ドレイン高耐圧MOSトランジスタを介することで電源OFFの停止状態で各素子の耐圧を確保するため、PMOS(13),PMOS(14),PMOS(18)のソースをドレイン高耐圧PMOS(17)のドレインに接続し、PMOS(23)のソースをドレイン高耐圧PMOS(22)のドレインに接続し、VOUT端子をドレイン高耐圧NMOS(25),ドレイン高耐圧PMOS(24)のドレインに接続する。
【0077】
ドレイン高耐圧MOSトランジスタをOFF状態にした時のドレイン及び、ソース電圧を決定するため、NMOS(20)のドレインはドレイン高耐圧PMOS(17)のドレインに接続され、NMOS(21)のドレインはNMOS(26)のゲートに接続され、NMOS(27)のドレインはドレイン高耐圧NMOS(25)のソースに接続される。
【0078】
ドレイン高耐圧MOSトランジスタをOFF状態にした時のドレイン及び、ソース電圧を決定すると共に、実施例2を用いた実施例1の第1のレベルシフト要素(1)が電源OFFで停止状態にあるとき、TOUT端子に定電圧を出力するため、NMOS(30)のドレインは抵抗(29),抵抗(28)を介してVdd2に接続され、抵抗(29),抵抗(28)が互いに接続されるノードはPMOS(31)のゲートに接続され、NMOS(34)のドレインは抵抗(33),抵抗(32),PMOS(31)を介してVdd2に接続され、抵抗(33),抵抗(32)が互いに接続されるノードはドレイン高耐圧PMOS(24)のソース及び、TOUT端子に接続される。
【0079】
NMOS(12),NMOS(20),NMOS(21),NMOS(27),NMOS(30),NMOS(34)のソースはVss1に接続される。
【0080】
以上のように構成された実施例2の第1のレベルシフト要素(1)の動作について説明する。
【0081】
図3Aは、SW端子にLレベルの信号が入力され、かつVIN端子にHレベルの信号が入力された場合のレベルシフト回路の状態を説明するための図である。図3Bは、SW端子にLレベルの信号が入力され、かつVIN端子にLレベルの信号が入力された場合のレベルシフト回路の状態を説明するための図である。図3A及び図3Bに示される太線は、Hレベルにアサートされた信号経路及びトランジスタがオンすることによって形成された電流経路を表している。
【0082】
SW端子に第1の振幅の入力信号でLレベルが入力されている場合、NMOS(20),NMOS(21),NMOS(27),NMOS(30),NMOS(34)はOFF動作し、NMOS(12),ドレイン高耐圧NMOS(25)はON動作し、NMOS(12)のON動作により、ドレイン高耐圧PMOS(17),ドレイン高耐圧PMOS(22),ドレイン高耐圧PMOS(24)がON動作し、第1のレベルシフト要素(1)は電源ONし動作状態となる。
【0083】
NMOS(15)のゲートには、VIN端子に入力される、第1の振幅の信号がAND(8)を介して入力され、NMOS(16)のゲートには、VIN端子に入力される信号がAND(8)とインバータ(9)を介し、反転された信号として入力され、入力信号VINの信号レベルに応じてNMOS(15),NMOS(16)がON/OFF動作する。
【0084】
NMOS(15),NMOS(16)は、それぞれのON/OFF動作により、ドレインに接続される負荷PMOS(13),PMOS(14)を駆動し、そのドレイン電圧を、電源電圧[Vdd2−Vss1]により生成される、第2の振幅で変化させる。NMOS(16)のドレインに出力される振幅は、PMOS(18),NMOS(19)で構成されるインバータと、PMOS(23),NMOS(26),ドレイン高耐圧PMOS(24),ドレイン高耐圧NMOS(25)で構成されるインバータを介し、VOUT端子及び、TOUT端子に出力される。
【0085】
実施例2の回路が電源ONの動作状態にある時、動作可能なVdd2の電圧について説明する。
【0086】
Vdd2動作可能下限電圧は、ドレイン高耐圧PMOS(17)のドレインから、PMOS(13),PMOS(14)及び、NMOS(15),NMOS(16)を介してVss1に接続される部位で決定され、式(2)のように決定されており、Vdd1に依存していないため、Vdd2はVdd1より低い電圧でも動作が可能である。
【0087】
なお、VDS(17)はドレイン高耐圧PMOS(17)のドレイン・ソース間電圧、VGS(13)はPMOS(13)のゲート・ソース間電圧、VDS(16)はNMOS(16)のドレイン・ソース間電圧である。
【0088】
また、式(2)において、VGS(13)はVGS(14)に、VDS(16)はVDS(15)に置き換えても同じVdd2動作可能下限電圧を示す式となる。
【0089】
Vdd2動作可能下限電圧=VDS(17)+VGS(13)+VDS(16) ・・・(2)
図4は、SW端子にHレベルの信号が入力され、かつVIN端子にHレベルの信号が入力された場合のレベルシフト回路の状態を説明するための図である。図4に示される太線は、Hレベルにアサートされた信号経路及びトランジスタがオンすることによって形成された電流経路を表している。
【0090】
SW端子に第1の振幅の入力信号でHレベルが入力されている場合、実施例2の回路は電源OFFし停止状態となる。
【0091】
NMOS(20),NMOS(21),NMOS(27),NMOS(30),NMOS(34)はON動作し、NMOS(12),ドレイン高耐圧NMOS(25)はOFF動作し、NMOS(12)のOFF動作により、ドレイン高耐圧PMOS(17),ドレイン高耐圧PMOS(22),ドレイン高耐圧PMOS(24)がOFF動作する。この状態において、ドレイン高耐圧PMOS(17)のドレインにはNMOS(20)を介してVss1の電圧が印加され、ドレイン高耐圧PMOS(24)のソースにはNMOS(34),抵抗(33),抵抗(32),PMOS(31)によりVdd2をインピーダンス分割して生成される定電圧が印加され、TOUTに出力される。
【0092】
この時、ドレイン高耐圧PMOS(24),ドレイン高耐圧NMOS(25)がOFF動作していることにより、VOUT端子からTOUT端子に信号が出力されることはない。
【0093】
実施例2の回路が電源OFFの停止状態にある時、耐圧が確保される状態を表1を用いて説明する。
【0094】
電源電圧[Vdd1−Vss1]=3V、電源電圧[Vdd2−Vss1]=7Vとして説明する。
表1は各素子の耐圧の一例を示す。表1において、VGSはゲート・ソース間耐圧、VGDはゲート・ドレイン間耐圧、VDSはドレイン・ソース間耐圧を示す。ドレイン高耐圧MOSのVGD,VDS以外は全て耐圧は6Vとし、ドレイン高耐圧MOSのVGD,VDSは15Vとした。
【0095】
図2において、電源OFFの停止状態にある場合、ドレイン高耐圧PMOS(17)のドレインはNMOS(20)を介してVss1に近い電圧になるため、ドレイン高耐圧PMOS(17)のドレインとVss1との間に接続される素子にはVdd2=7Vが印加されることはなくなる。ドレイン高耐圧PMOS(17)のVDSは[Vdd2−Vss1]=7Vの電圧が印加されることになるが、ここは、VDS耐圧が15Vあるため耐圧は確保されている。
【0096】
ドレイン高耐圧NMOS(25)のソースはNMOS(27)を介してVss1に近い電圧が印加され、ドレイン高耐圧PMOS(22)のドレインにはNMOS(34),抵抗(33),抵抗(32),PMOS(31)によりVdd2をインピーダンス分割して生成される定電圧が、PMOS(23)が非飽和領域に入ることで印加される。
【0097】
抵抗(33),抵抗(32)を調整しTOUT=5Vの定電圧にすることで、VOUT端子が第2のレベルシフト要素(2)の出力により電源電圧[Vdd2−Vss1]=7Vにより生成される、第2の振幅で振れた場合でも、ドレイン高耐圧PMOS(24),ドレイン高耐圧NMOS(25)がOFFしていることにより、表1にある耐圧を超えることなく各素子の耐圧を確保することができる。
【0098】
ON/OFF判別信号を出力するTOUT端子は、第1のレベルシフト要素(1)が電源ONの動作状態にある時、NMOS(16)のドレインに生成される振幅を、PMOS(18),NMOS(19)で構成されるインバータと、PMOS(23),NMOS(26),ドレイン高耐圧PMOS(24),ドレイン高耐圧NMOS(25)で構成されるインバータを介して出力しているが、電源OFFの停止状態にある時は、NMOS(34),抵抗(33),抵抗(32),PMOS(31)によりVdd2をインピーダンス分割して生成される定電圧が印加され、ドレイン高耐圧PMOS(24),ドレイン高耐圧NMOS(25)がOFFしていることにより、VOUT端子が、第2の振幅で振れている場合でも、振幅のない定電圧を出力することができ、第1のレベルシフト要素(1)の動作/停止状態を、電源ONの動作状態で第2の振幅で振れる信号を出力しているか、電源OFFの停止状態で振幅のない定電圧を出力しているかによって、簡単に判別することができる。
【0099】
上記の構成により、実施例2における第1のレベルシフト要素(1)は電源ON状態ではVdd2が低電圧から動作でき、電源OFF状態では、Vdd2が高い電圧でも素子の耐圧を確保でき、SW端子からの入力により電源ON/OFFを切替えた時に、その動作/停止状態を容易に判別できる効果を奏する。
【実施例3】
【0100】
図5は実施例3におけるレベルシフト回路の構成を示し、実施例1における第2のレベルシフト要素(2)での使用に好適な具体的構成を示す図である。
【0101】
図5において、符号35はインバータ、符号36はNOR、符号37はAND、符号38,39は抵抗、符号41,44,45,46,48,49,51,52はPMOS、符号42はNMOS、符号53はドレイン高耐圧PMOS、符号40,47,50,54はドレイン高耐圧NMOS、符号43は電流源、符号55は電流供給能力UP切換要素、Vdd1は第1の高電位側電源、Vdd2は第2の高電位側電源、Vss1は低電位側電源、SWBは電源OFF/ON切替え端子、VINは信号入力端子、VOUTは信号出力端子である。
【0102】
インバータ(35),NOR(36),AND(37)の電源端はVdd1に接続され、接地端はVss1に接続される。
【0103】
VIN端子はNOR(36)の片方の入力及び、AND(37)の片方の入力に接続され、NOR(36)の出力はドレイン高耐圧NMOS(50),ドレイン高耐圧NMOS(54)のゲートに入力され、AND(37)の出力はドレイン高耐圧NMOS(47)のゲートに接続される。
【0104】
ドレイン高耐圧NMOS(47),ドレイン高耐圧NMOS(50),ドレイン高耐圧NMOS(54)のソースはVss1に接続される。
【0105】
ドレイン高耐圧PMOS(53)はソースがVdd2に接続され、ドレインはドレイン高耐圧NMOS(54)のドレイン及び、VOUT端子に接続される。
【0106】
ドレイン高耐圧PMOS(53)のゲート電圧下限を式(3)に制限する構成として、ドレイン高耐圧NMOS(47)のドレインは、PMOS(46),PMOS(45)を介してVdd2に接続され、PMOS(46)のソースは、ドレイン高耐圧PMOS(53)のゲート,PMOS(51)のドレイン,PMOS(52)のドレインに接続され、ゲートはVdd1に接続される。式(3)において、VGS(46)はPMOS(46)のゲート・ソース間電圧である。
【0107】
ドレイン高耐圧PMOS(53)のゲート電圧下限=Vdd1+VGS(46)・・・(3)
電流供給能力UP切換要素(55)の構成として、PMOS(51)のソースはVdd2に接続され、ドレイン高耐圧NMOS(50)のドレインは、PMOS(49),PMOS(48)を介してVdd2に接続され、PMOS(49)のソースは、PMOS(51)のゲートに接続され、ゲートはVdd1に接続される。
【0108】
電流供給能力UP切換要素(55)はPMOS(51)のゲート電圧下限を式(4)に制限する構成になっており、Vdd2が高い電圧でも素子の耐圧が確保でき、低消費電流、高速動作を可能とする構成となっている。
【0109】
式(4)において、VGS(49)はPMOS(49)のゲート・ソース間電圧である。
【0110】
PMOS(51)のゲート電圧下限=Vdd1+VGS(49)・・・(4)
SWB端子はAND(37)のもう片方の入力,インバータ(35)の入力及び、NMOS(42)のゲートに接続され、インバータ(35)の出力は、NOR(36)のもう片方の入力及び、ドレイン高耐圧NMOS(40)のゲートに接続される。
【0111】
NMOS(42)のソースは電流源(43)を介してVss1に接続され、ドレインはPMOS(41)を介してVdd2に接続される。PMOS(41)のドレイン及びゲートはPMOS(45)のゲート,PMOS(48)のゲートに接続され、カレントミラー回路となっており、PMOS(41)のゲートはPMOS(44)のドレインにも接続される。
【0112】
ドレイン高耐圧NMOS(40)のソースはVss1に接続され、ドレインは抵抗(39),抵抗(38)を介してVdd2に接続される。抵抗(39),抵抗(38)が互いに接続されるノードは、PMOS(44),PMOS(52)のゲートに接続され、PMOS(44),PMOS(52)のソースはVdd2に接続される。
【0113】
以上の接続により、低消費電流で高速動作を可能とする、電流供給能力を切替える機能を有した電流供給能力UP切換要素(55)を備え、前記電流供給能力UP切換要素(55)を含む、回路で使用する素子の耐圧を確保して動作させることができる。
【0114】
以上のように構成された実施例3のレベルシフト回路について動作を説明する。
【0115】
図7は、SWB端子にLレベルの信号が入力され、かつVIN端子にHレベルの信号が入力された場合のレベルシフト回路の状態を説明するための図である。図7に示される太線は、Hレベルにアサートされた信号経路及びトランジスタがオンすることによって形成された電流経路を表している。
【0116】
SWB端子に電源電圧[Vdd1−Vss1]により生成される、第1の振幅の入力信号でLレベルが入力されている場合、NMOS(42)はOFF動作し、電流源(43)からの電流が遮断される。ドレイン高耐圧NMOS(40)のゲートにはインバータ(35)により反転したSWBの信号が入力されON動作し、PMOS(44),PMOS(52)のゲートに抵抗(38),抵抗(39)でVdd2を分圧した電圧を印加し、それぞれをON動作させ、ドレイン高耐圧PMOS(53)をOFF状態とする。
【0117】
SWBより入力されたLレベルの信号は、インバータ(35),NOR(36)を介してドレイン高耐圧NMOS(50),ドレイン高耐圧NMOS(54)のゲートに入力されOFF状態とし、AND(37)を介してドレイン高耐圧NMOS(47)のゲートに入力されOFF状態として実施例3の回路は電源OFFし停止状態となる。
【0118】
図8Aは、SWB端子にHレベルの信号が入力され、かつVIN端子にHレベルの信号が入力された場合のレベルシフト回路の状態を説明するための図である。図8Bは、SWB端子にHレベルの信号が入力され、かつVIN端子にLレベルの信号が入力された場合のレベルシフト回路の状態を説明するための図である。図8A及び図8Bに示される太線は、Hレベルにアサートされた信号経路及びトランジスタがオンすることによって形成された電流経路を表している。
【0119】
SWB端子に第1の振幅の入力信号でHレベルが入力されている場合、NMOS(42)はON動作し、PMOS(41)に電流源(43)の出力電流が供給され、インバータ(35)を介して反転した信号がドレイン高耐圧NMOS(40)のゲートに入力され、OFF状態となることで、PMOS(44),PMOS(52)がOFFし、実施例3の回路は電源ONし動作状態となる。
【0120】
PMOS(41),PMOS(45),PMOS(48)はカレントミラー回路を構成しており、電流源(43)の出力電流がNMOS(42)のON動作により、PMOS(41)の接続されたゲート・ドレインに入力され、PMOS(45),PMOS(48)から、PMOS(41)とPMOS(45),PMOS(48)のトランジスタサイズ比に応じた電流を出力する。
【0121】
ドレイン高耐圧NMOS(50),ドレイン高耐圧NMOS(54)のゲートには、VIN端子に入力される第1の振幅の信号がNOR(36)を介して反転された信号として入力され、ドレイン高耐圧NMOS(47)のゲートには、VIN端子に入力される信号がAND(37)を介して入力され、入力信号VINの信号レベルに応じてドレイン高耐圧NMOS(47)がON/OFF動作し、反転された信号でドレイン高耐圧NMOS(50),ドレイン高耐圧NMOS(54)がOFF/ON動作する。
【0122】
入力信号VINがHレベルのときには、NOR(36)を介して反転された信号により、ドレイン高耐圧NMOS(54),ドレイン高耐圧NMOS(50)がOFFされてPMOS(49)に流れる電流が遮断され、PMOS(48)はその出力電流でPMOS(51)のゲートに接続されるノードを充電しながら非飽和領域に入りPMOS(51)のゲート電圧をVdd2に近い値としOFFさせ、AND(37)を介した信号によりドレイン高耐圧NMOS(47)がONされてPMOS(46)にPMOS(45)から出力される電流が流され、ドレイン高耐圧PMOS(53)のゲートは、式(3)の電圧に固定され、ドレイン高耐圧PMOS(53)がONされ、VOUT端子にはVdd2に近い電圧が出力される。
【0123】
入力信号VINがLレベルのときには、ドレイン高耐圧NMOS(47)がOFFされてPMOS(46)に流れる電流が遮断され、PMOS(45)はその出力電流でドレイン高耐圧PMOS(53)のゲートに接続されるノードを充電しながら非飽和領域に入り、ドレイン高耐圧PMOS(53)のゲートをVdd2に近い電圧としOFFさせる。
【0124】
さらに、電流供給能力UP切換要素(55)も動作しており、ドレイン高耐圧NMOS(50)がONされてPMOS(49)に、PMOS(48)から出力される電流が流れ、PMOS(51)のゲート電圧を式(4)の電圧に固定し、PMOS(51)をONさせ、ドレイン高耐圧PMOS(53)のゲートへの電流供給能力を増加させてドレイン高耐圧PMOS(53)のゲートがVdd2に近い電圧になりOFFする時間を早くする。
【0125】
このとき、ドレイン高耐圧NMOS(54)がONされて、VOUT端子にはVss1に近い電圧が出力される。
【0126】
ここで、電流供給能力UP切換要素(55)についてその効果を詳細に説明する。電流供給能力UP切換要素(55)は、入力信号VINがHレベルからLレベルに変化する場合に、VOUT出力がHレベルからLレベルに立ち下がるスピードを早くするための要素である。
【0127】
図6は、比較のために図5から電流供給能力UP切換要素(55)を除いた回路図である。各部の符号、接続、動作は、電流供給能力UP切換要素(55)が除かれている以外は図5と同じであるため、説明は省略する。
【0128】
図6は、出力トランジスタであるドレイン高耐圧PMOS(53)のゲートが接続されるノードをカレントミラー回路のPMOS(45)がその出力電流で充電しながら非飽和領域に入りVdd2に近い値にする構成であり、図12に示す公知のレベルシフト回路が、インバータ(73)の入力をカレントミラー回路のPMOS(69)が出力する電流で充電してVdd2に近い値にする動作と同じである。
【0129】
VOUT信号の立下り時間については、図6 PMOS(45),図12 PMOS(69)の出力電流を同じとし、その負荷を同じ値とした場合には、図6は図12の立下り時間と同等の時間となる構成である。
【0130】
表2は図5及び、図6を用いたVOUT信号の立下り時間のシミュレーション結果である。
【0131】
【表2】

【0132】
図11は表2における立下り時間がVOUT信号のどの部位を差すか示した図である。図11中、符号58が立下り時間であり、VOUT信号の高電位ピークから10%下がった電圧と、低電位ピークに至るよりも10%高い電圧との間の立下り時間を指す。
【0133】
表3は表2の結果を得たシミュレーションの条件である。条件は、Vdd1=3.0V、Vdd2=7.0V、温度=27℃、VIN振幅=3.0Vpp、SWB=3.0Vとした。
【0134】
【表3】

【0135】
表4は表2の結果を得たシミュレーションにおける、図5、図6の抵抗値を示している。
抵抗(38)は250kΩ、抵抗(39)は25kΩとした。
【0136】
【表4】

【0137】
表5は、表2の結果を得たシミュレーションにおける、図5、図6のトランジスタサイズを示している。
【0138】
【表5】

【0139】
ドレイン高耐圧NMOS(40)はL=0.25μm,W=19.6μm、
PMOS(41)はL=1.5μm,W=12.5μm、
NMOS(42)はL=1.5μm,W=12.5μm、
PMOS(44)はL=0.6μm,W=0.9μm、
PMOS(45)はL=1.5μm,W=12.5μm、
PMOS(46)はL=1.5μm,W=25μm、
ドレイン高耐圧NMOS(47)はL=0.25μm,W=19.6μm、
PMOS(48)はL=1.5μm,W=12.5μm、
PMOS(49)はL=1.5μm,W=25μm、
ドレイン高耐圧NMOS(50)はL=0.25μm,W=19.6μm、
PMOS(52)はL=0.6μm,W=0.9μm、
ドレイン高耐圧PMOS(53)はL=1.6μm,W=240μm、
ドレイン高耐圧NMOS(54)はL=0.25μm,W=78.4μmとした。
【0140】
表2より、図5に示す、実施例3のレベルシフト回路の立下り時間はSIM No.1に示す7.3nsecと、最も短い時間で立ち下がっている。図6に示す図5中の電流供給能力UP切換要素(55)を除いた構成を用いた回路では、SIM No.2に示す106.3nsecと、図5の回路に比べ、14.6倍の時間を要している。SIM No.3は、図6において電流源(43)の電流値をSIM No.1の15倍にした結果である。立下り時間は7.6nsecと図5に示す、実施例3のレベルシフト回路には及ばないものの、0.3nsec差まで立下り時間が早くなっているが、15倍の電流を要することを示しており、図5に示す、実施例3のレベルシフト回路は、電流供給能力UP切換要素(55)の動作により低消費電流で高速動作を行う効果を奏する。
【0141】
ここで、図5に示す、実施例3のレベルシフト回路が電源ONの動作状態にある時、耐圧が確保される状態を表1を用いて説明する。
【0142】
電源電圧[Vdd1−Vss1]=3V、電源電圧[Vdd2−Vss1]=7Vとして説明する。
【0143】
表1は各素子の耐圧の一例を示している。
【0144】
電流供給能力UP切換要素(55)の状態から説明する。
【0145】
入力信号VINがHレベルのときには、ドレイン高耐圧NMOS(50)がOFFされてPMOS(49)に流れる電流が遮断され、PMOS(48)はその出力電流でPMOS(51)のゲートに接続されるノードを充電しながら非飽和領域に入りPMOS(49)を介してドレイン高耐圧NMOS(50)のドレインをVdd2に近い電圧とし、ドレイン高耐圧NMOS(50)のドレイン・ソース間電圧VDSは[Vdd2−Vss1]=7Vに近い電圧が印加されているが、ドレイン高耐圧NMOS(50)のVDS耐圧は15Vであり、耐圧は確保されている。
【0146】
入力信号VINがLレベルのときには、ドレイン高耐圧NMOS(50)がONされてPMOS(49)にPMOS(48)から出力される電流が流されることで、PMOS(51)のゲートは、式(4)の電圧に固定され、ゲート・ソース間電圧VGSに[Vdd2−Vss1]=7Vの電位差が印加されることはなく、耐圧が確保される。
【0147】
以上より、電流供給能力UP切換要素(55)は耐圧を確保した上で、ドレイン高耐圧PMOS(53)のゲートが接続されるノードへの電流供給能力を切替える機能を実現しており、高耐圧、低消費電流、高速動作を行うための要素となっている。
【0148】
次に、電流供給能力UP切換要素(55)以外の耐圧確保の状態を説明する。
【0149】
入力信号VINがHレベルのときに、ドレイン高耐圧NMOS(47)がONされてPMOS(46)にPMOS(45)から出力される電流が流されることで、ドレイン高耐圧PMOS(53)のゲートは、式(3)の電圧に固定され、ゲート・ソース間電圧VGSに[Vdd2−Vss1]=7Vの電位差が印加されることはなく、耐圧が確保される。
【0150】
VOUT端子にはVdd2に近い電圧が出力されるが、ドレイン高耐圧NMOS(54)のVDS耐圧は15Vであり、耐圧は確保されている。
【0151】
入力信号VINがLレベルのときには、ドレイン高耐圧NMOS(47)がOFFされてPMOS(46)に流れる電流が遮断され、PMOS(45)はその出力電流でドレイン高耐圧PMOS(53)のゲートに接続されるノードを充電しながら非飽和領域に入り、PMOS(46)を介してドレイン高耐圧NMOS(47)のドレインをVdd2に近い電圧とし、ドレイン高耐圧NMOS(47)のドレイン・ソース間電圧VDSは[Vdd2−Vss1]=7Vに近い電位差が印加されているが、ドレイン高耐圧NMOS(47)のVDS耐圧は15Vであり、耐圧は確保されている。
【0152】
さらに、ドレイン高耐圧NMOS(54)がONされて、VOUT端子にはVss1に近い電圧が出力されるが、ドレイン高耐圧PMOS(53)のVDS耐圧は15Vであり、耐圧は確保されている。
【0153】
SWBがHレベル状態では、ドレイン高耐圧NMOS(40)はOFF状態にあり、ドレインはVdd2に近い電圧となり、このとき、ドレイン高耐圧NMOS(40)のドレイン・ソース間電圧VDSは[Vdd2−Vss1]=7Vに近い電位差が印加されているが、ドレイン高耐圧NMOS(40)のVDS耐圧は15Vであり、耐圧は確保されている。
【0154】
以上より、図5に示す、実施例3のレベルシフト回路は電源ONの動作状態にある時、Vdd2が高い電圧でも素子の耐圧が確保され、高耐圧、低消費電流、高速動作が可能という優れた効果を奏する。
【実施例4】
【0155】
図2は実施例4におけるレベルシフト回路の構成を示し、図2の回路を単独で使用する構成を示す図でもある。
【0156】
実施例1のレベルシフト回路における、第1のレベルシフト要素(1)に使用することも可能であるが、Vdd2が低電圧の場合に動作させ、Vdd2が高い電圧になった場合には停止させて耐圧を確保する動作に好適なレベルシフト回路として単独での使用にも適する。
【0157】
構成と動作説明については、実施例2と同じであるため省略する。
【0158】
実施例4におけるレベルシフト回路は電源ON状態ではVdd2が低電圧から動作でき、電源OFF状態では、Vdd2が高い電圧でも素子の耐圧を確保でき、SW端子からの入力により電源ON/OFFを切替えた時に、その動作/停止状態を容易に判別できる効果を奏する。
【実施例5】
【0159】
図5は実施例5におけるレベルシフト回路の構成を示し、図5の回路を単独で使用する構成を示す図でもある。
【0160】
実施例1のレベルシフト回路における、第2のレベルシフト要素(2)に使用することも可能であるが、Vdd2が高い電圧になった場合に素子の耐圧を確保した上で、低消費電流、高速動作に好適なレベルシフト回路として単独での使用にも適する。
【0161】
構成と動作説明については、実施例3と同じであるため省略する。
【0162】
実施例5のレベルシフト回路では、Vdd2が高い電圧でも素子の耐圧が確保でき、高耐圧、低消費電流、高速動作が可能という優れた効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明のレベルシフト回路は、スイッチング・レギュレータに用いられる半導体装置の構成要素として低電圧動作、高耐圧、低消費電流、動作周波数の向上、検査容易化を実現するものとして有用である。
【符号の説明】
【0164】
1 第1のレベルシフト要素
2 第2のレベルシフト要素
3 コンパレータ回路
4 抵抗
5 抵抗
6 基準電圧源
7 インバータ
8 AND
9 インバータ
10 抵抗
11 抵抗
12 NMOS
13 PMOS
14 PMOS
15 NMOS
16 NMOS
17 ドレイン高耐圧PMOS
18 PMOS
19 NMOS
20 NMOS
21 NMOS
22 ドレイン高耐圧PMOS
23 PMOS
24 ドレイン高耐圧PMOS
25 ドレイン高耐圧NMOS
26 NMOS
27 NMOS
28 抵抗
29 抵抗
30 NMOS
31 PMOS
32 抵抗
33 抵抗
34 NMOS
35 インバータ
36 NOR
37 AND
38 抵抗
39 抵抗
40 ドレイン高耐圧NMOS
41 PMOS
42 NMOS
43 電流源
44 PMOS
45 PMOS
46 PMOS
47 ドレイン高耐圧NMOS
48 PMOS
49 PMOS
50 ドレイン高耐圧NMOS
51 PMOS
52 PMOS
53 ドレイン高耐圧PMOS
54 ドレイン高耐圧NMOS
55 電流供給能力UP切換要素
56 非飽和領域
57 飽和領域
58 立下り時間
59 インバータ
60 NMOS
61 NMOS
62 抵抗
63 NMOS
64 NMOS
65 NMOS
66 ドレイン高耐圧NMOS
67 ドレイン高耐圧NMOS
68 PMOS
69 PMOS
70 抵抗
71 NMOS
72 NMOS
73 インバータ
74 第1定電流回路
75 第2定電流回路
76 インバータ
77 NMOS
78 NMOS
79 PMOS
80 PMOS
81 インバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレベルシフト要素と、第2のレベルシフト要素と、コンパレータ回路と、基準電圧源とを備えるレベルシフト回路であって、VIN端子は、前記第1のレベルシフト要素と、前記第2のレベルシフト要素のVIN端に接続され、前記第1のレベルシフト要素の第1の電源端は第1の高電位側電源に接続され、第2の電源端は第2の高電位側電源に接続され、接地端は低電位側電源に接続され、前記第2のレベルシフト要素の第1の電源端は第1の高電位側電源に接続され、第2の電源端は第2の高電位側電源に接続され、接地端は低電位側電源に接続され、前記第1のレベルシフト要素と前記第2のレベルシフト要素の電源ON/OFF動作は、前記コンパレータの出力により制御され、前記コンパレータは基準電圧源の出力電圧と外部より入力される第2の高電位側電源電圧とを比較するよう構成されたレベルシフト回路。
【請求項2】
前記第1のレベルシフト要素と、前記第2のレベルシフト要素と、前記コンパレータ回路と、前記基準電圧源とを備えるレベルシフト回路であって、前記第1のレベルシフト要素は、インバータ(7),インバータ(9),AND(8)の電源端は第1の高電位側電源に接続され、接地端は低電位側電源に接続され、SW端子はインバータ(7)の入力とNMOS(20),NMOS(21),NMOS(27)のゲートに入力され、インバータ(7)の出力はAND(8)の片方の入力とNMOS(12),ドレイン高耐圧NMOS(25)のゲートに接続され、NMOS(12)のドレインは抵抗(11),抵抗(10)を介して第2の高電位側電源に接続され、抵抗(11),抵抗(10)が互いに接続されるノードはドレイン高耐圧PMOS(17),ドレイン高耐圧PMOS(22),ドレイン高耐圧PMOS(24)のゲートに接続され、ドレイン高耐圧PMOS(17),ドレイン高耐圧PMOS(22)のソースは第2の高電位側電源に接続され、VIN端子はAND(8)のもう片方の入力に接続され、AND(8)の出力とインバータ(9)によりその反転信号とされた出力とをゲートに受ける、一対の入力MOSトランジスタNMOS(15),NMOS(16)に接続され、NMOS(15),NMOS(16)はソースが低電位側電源に接続され、NMOS(15)のドレインはPMOS(13)のドレインに接続され、NMOS(16)のドレインはPMOS(14)のドレインに接続され、PMOS(13),PMOS(14)のゲートはそれぞれのドレインに相互接続され、NMOS(16)のドレインはPMOS(18),NMOS(19)のゲートに接続され、NMOS(19)のソースは低電位側電源に接続され、PMOS(18),NMOS(19)のドレインはそれぞれが接続され、PMOS(23),NMOS(26)のゲートに入力され、NMOS(26)のソースは、低電位側電源に接続され、ドレインはドレイン高耐圧NMOS(25),ドレイン高耐圧PMOS(24)を介してPMOS(23)のドレインに接続され、PMOS(13),PMOS(14),PMOS(18)のソースはドレイン高耐圧PMOS(17)のドレインに接続され、PMOS(23)のソースはドレイン高耐圧PMOS(22)のドレインに接続され、VOUT端子はドレイン高耐圧NMOS(25),ドレイン高耐圧PMOS(24)のドレインに接続され、NMOS(20)のドレインはドレイン高耐圧PMOS(17)のドレインに接続され、NMOS(21)のドレインはNMOS(26)のゲートに接続され、NMOS(27)のドレインはドレイン高耐圧NMOS(25)のソースに接続され、NMOS(12),NMOS(20),NMOS(21),NMOS(27)のソースは低電位側電源に接続され構成された、請求項1に記載のレベルシフト回路。
【請求項3】
NMOS(30)のドレインは抵抗(29),抵抗(28)を介して第2の高電位側電源に接続され、抵抗(29),抵抗(28)が互いに接続されるノードはPMOS(31)のゲートに接続され、NMOS(34)のドレインは抵抗(33),抵抗(32),PMOS(31)を介して第2の高電位側電源に接続され、抵抗(33),抵抗(32)が互いに接続されるノードはドレイン高耐圧PMOS(24)のソース及び、TOUT端子に接続され、NMOS(30),NMOS(34)のソースは低電位側電源に接続され、ゲートはSW端子に接続され、構成された、請求項2に記載のレベルシフト回路。
【請求項4】
前記第1のレベルシフト要素と、前記第2のレベルシフト要素と、前記コンパレータ回路と、前記基準電圧源とを備えるレベルシフト回路であって、前記第2のレベルシフト要素は、インバータ(35),NOR(36),AND(37)の電源端は第1の高電位側電源に接続され、接地端は低電位側電源に接続され、VIN端子はNOR(36)の片方の入力及び、AND(37)の片方の入力に接続され、NOR(36)の出力はドレイン高耐圧NMOS(50),ドレイン高耐圧NMOS(54)のゲートに入力され、AND(37)の出力はドレイン高耐圧NMOS(47)のゲートに接続され、ドレイン高耐圧NMOS(47),ドレイン高耐圧NMOS(50),ドレイン高耐圧NMOS(54)のソースは低電位側電源に接続され、ドレイン高耐圧PMOS(53)はソースが第2の高電位側電源に接続され、ドレインはドレイン高耐圧NMOS(54)のドレイン及び、VOUT端子に接続され、ドレイン高耐圧NMOS(47)のドレインは、PMOS(46),PMOS(45)を介して第2の高電位側電源に接続され、PMOS(46)のソースは、ドレイン高耐圧PMOS(53)のゲート,PMOS(51)のドレイン,PMOS(52)のドレインに接続され、ゲートは第1の高電位側電源に接続され、PMOS(51)のソースは第2の高電位側電源に接続され、ドレイン高耐圧NMOS(50)のドレインは、PMOS(49),PMOS(48)を介して第2の高電位側電源に接続され、PMOS(49)のソースは、PMOS(51)のゲートに接続され、ゲートは第1の高電位側電源に接続され、SWB端子はAND(37)のもう片方の入力,インバータ(35)の入力及び、NMOS(42)のゲートに接続され、インバータ(35)の出力は、NOR(36)のもう片方の入力及び、ドレイン高耐圧NMOS(40)のゲートに接続され、NMOS(42)のソースは電流源(43)を介して低電位側電源に接続され、ドレインはPMOS(41)を介して第2の高電位側電源に接続され、PMOS(41)のドレイン及びゲートはPMOS(45)のゲート,PMOS(48)のゲートに接続され、PMOS(41)のゲートはPMOS(44)のドレインに接続され、ドレイン高耐圧NMOS(40)のソースは低電位側電源に接続され、ドレインは抵抗(39),抵抗(38)を介して第2の高電位側電源に接続され、抵抗(39),抵抗(38)が互いに接続されるノードは、PMOS(44),PMOS(52)のゲートに接続され、PMOS(44),PMOS(52)のソースは第2の高電位側電源に接続され構成された、請求項1に記載のレベルシフト回路。
【請求項5】
前記第1のレベルシフト要素を単独で使用するレベルシフト回路であって、請求項2と同じ前記第1のレベルシフト要素で構成され、電源ON/OFF動作は、外部より入力される信号で制御されるよう構成された、請求項2又は3に記載のレベルシフト回路。
【請求項6】
前記第2のレベルシフト要素を単独で使用するレベルシフト回路であって、請求項4と同じ前記第2のレベルシフト要素で構成され、電源ON/OFF動作は、外部より入力される信号で制御されるよう構成された、請求項4に記載のレベルシフト回路。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−80207(P2012−80207A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221400(P2010−221400)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】