説明

レンズシート製造装置および製造方法

【課題】長尺状のシートへの床面からの異物の付着を防止することができるレンズシートの製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】レンズシート製造装置は、少なくとも一方の面に微少レンズ部が形成されたレンズシートを連続的に製造するレンズシート製造装置であって、長尺状の原反シート20の表面に微少レンズ部を連続的に形成して長尺状のレンズシートとするレンズ形成部6と、長尺状の保護フィルム36を長尺状のレンズシートの表面に貼り付ける保護フィルム貼り付け部と、長尺状のレンズシートを一定長に切断する切断部と、長尺状の原反シートまたはレンズシートが床面に沿って搬送される部分に配置され、床面に設置された導電部材によって床面Gに沿って搬送される長尺状のレンズシート52の帯電を防止する帯電防止部と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズシートの製造装置およびレンズシートの製造方法に関し、詳細には、表面に微少なレンズ形状が形成されたレンズシートを連続的に製造するレンズシート製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に使用されるバックライトの導光板の出射面等には、一方の面にプリズム状のレンズ形状が連続的に形成されたレンズシートが配置されている。このようなレンズシートの製造方法として、紫外線硬化樹脂を介在させた状態で長尺の樹脂製の原反シート(基材シート)を円筒状レンズ金型の周りに巻き付け、紫外線で紫外線硬化樹脂を硬化させて、一方の面に微少レンズ部が形成された長尺状のレンズシートを製造し、この長尺状のレンズシートを所定長に切断するという方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−67058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のレンズシートは液晶表示装置等に光学部品として組み込まれるものであるため、異物が付着していると組み込まれる光学部品の性能を低下させてしまうので、製造段階において異物の付着を回避する必要がある。
【0005】
しかしながら、この種のレンズシートは静電気を帯び易い樹脂製の原反シートから製造されるので、製造工程において静電気によって異物が吸引・付着しやすいという問題があった。
さらに、上述した長尺状の原反シートに連続的に微小レンズ部を形成する方法では、製造装置のレイアウトの関係から、製造装置が設置されている床面に沿って長尺状のシートが搬送される構成が採られる場合がある。このような構成では、床面に存在している異物が、長尺状のシートに静電気によって付着するという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、長尺状のシートへの床面からの異物の付着を防止することができるレンズシートの製造装置および製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、少なくとも一方の面に微少レンズ部が形成されたレンズシートを連続的に製造するレンズシート製造装置であって、長尺状の原反シートの表面に前記微少レンズ部を連続的に形成して長尺状のレンズシートとするレンズ形成部と、長尺状の保護フィルムを前記長尺状のレンズシートの表面に貼り付ける保護フィルム貼り付け部と、前記長尺状のレンズシートを一定長に切断する切断部と、前記長尺状の原反シートまたはレンズシートが床面に沿って搬送される部分に配置され、床面に設置された導電部材によって床面に沿って搬送される前記長尺状のレンズシートの帯電を防止する帯電防止部と、を備えていることを特徴とするレンズシート製造装置が提供される。
【0008】
このような構成によれば、床面に設置された導電部材によって、床面に沿って搬送されるレンズシートの帯電が防止されるので、床面からレンズシートへの異物の付着が防止される。
【0009】
本発明の好ましい態様によれば、前記帯電防止部が、前記保護フィルム貼り付け部と切断部との間に配置されている。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記導電部材が、導電マットである。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記導電部材が、導電フィルムである。
【0010】
本発明の他の態様によれば、少なくとも一方の面に微少レンズ部が形成されたレンズシートを連続的に製造するレンズシート製造方法であって、長尺状の原反シートの表面に前記微少レンズ部を連続的に形成して長尺状のレンズシートとするステップと、長尺状の保護フィルムを前記長尺状のレンズシートの表面に貼り付ける保護フィルム貼り付けステップと、前記長尺状のレンズシートを一定長に切断する切断ステップと、前記長尺状の原反シートまたはレンズシートが床面に沿って搬送されているとき、床面に配置した導電部材によって床面に沿って搬送される前記長尺状の原反シートまたはレンズシートの帯電を防止する帯電防止ステップを備えていることを特徴とするレンズシート製造方法。
【0011】
このような構成によれば、床面に設置された導電部材によって、床面に沿って搬送されるレンズシートの帯電が防止されるので、床面からレンズシートへの異物の付着が防止される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長尺状のシートへの床面からの異物の付着を防止することができるレンズシートの製造装置および製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の保護フィルム供給方法が実施されるレンズシート製造装置1の構成について説明する。図1は、レンズシート製造装置1の概略的な構成を示す模式的な図面である。
【0014】
図1に示すように、レンズシート製造装置1は、製造工程の上流側から下流側に向かって、原反フィルム巻出し部2と、アキューム部4と、重合賦型部6と、上側保護フィルム巻き出し部8と、下側保護フィルム巻き出し部10と、連続送り部12と、間欠送り部14と、切断部16とを備えている。
【0015】
原反フィルム巻出し部2は、レンズシートの原料となる長尺状の透明基材フィルムがロール状に巻かれた原反フィルムロール18を備え、この原反フィルムロール18から巻き出された基材フィルム20を、アキューム部4を経て重合賦型部6へ送るように構成されている。
【0016】
アキューム部4は、複数のアキュームダンサーロール22を備え、これらの複数のアキュームダンサーロール22が上下することにより、重合賦型部6へ送られる基材フィルム20の張力を調整するように構成されている。
【0017】
重合賦型部6は、ほぼ円筒形状のレンズ金型24と、モノマー供給ノズル26と、紫外線照射装置28とを備えている。この重合賦型部6では、透明フィルムシートである基材フィルム20の一方の面に微少レンズ部を構成するプリズム列が賦型される。
【0018】
レンズ金型24は、その外周面の全体にレンズシートに賦型される三角柱の微少プリズム形状と相補的な形状が連続的に形成された回転式金型であり、一定の回転速度で回転させられる。このレンズ金型24の近傍には、レンズ金型24の回転周期を検出する近接センサ30が配置されている。
【0019】
重合賦型部6に送られた基材フィルム20は、回転するレンズ金型24の外周面に接触して走行する。基材フィルム20がレンズ金型24と接触する位置より上流にモノマー供給ノズル26が配置され、基材フィルム20とレンズ金型24の間に、モノマー供給ノズル26から紫外線硬化材料であるモノマー32が供給される。基材フィルム20とレンズ金型24の間に供給されたモノマー32は、レンズ金型24と基材フィルム20との間で挟持され、レンズ金型の表面のプリズム形状に対応した形状とされる。
【0020】
モノマー供給ノズル26よりレンズ金型24の回転方向下流側の外方位置に紫外線照射装置28が設けられている。レンズ金型の表面のプリズム形状に沿った形状とされたモノマー32は、レンズ金型24の回転によって紫外線照射装置28の前を通過し、紫外線照射を受け硬化する。この結果、基材フィルム20は、片面(一方の面)に硬化したモノマー32によって形成されたプリズム状の微少レンズ部が形成された長尺のレンズシート34となる。
【0021】
上側保護フィルム巻き出し部8は、レンズシート34にポリエチレン等で形成され一方の面が粘着面とされている上側保護フィルム(レンズ部保護フィルム)36を供給する二軸ターレット38を備える。上側保護フィルム36はレンズシート34の微少レンズ部が形成されている面に貼り付ける一対にニップロール40に送られる。
【0022】
上側保護フィルムラミネート部8で、微少レンズ部が形成されている一方の面に上側保護フィルム36が貼り付けられたレンズシート42は、その後、第1ダンサーロール44を経てニップロール50へ送られる。
【0023】
下側保護フィルム巻き出し部10は、レンズシート42に一方の面が粘着面とされている下側保護フィルム46を供給する、上側保護フィルム巻き出し部8と同様の二軸ターレット48と、レンズシート42および下側保護フィルム46を重ねて挟持し、下側保護フィルム46をレンズシート42の微少レンズ部が形成されてない面(マット面)に貼り付ける一対にニップロール50を備えている。
【0024】
下側保護フィルム巻き出し部10で、微少レンズ部が形成されていない側の面に下側保護フィルム46が貼り付けられたレンズシート52は、その後、第2ダンサーロール60を経て下側保護フィルムラミネート部10へ送られる。
【0025】
下側保護フィルムラミネート部10から送り出された両面に保護フィルムが貼り付けられたレンズシート52は、連続送り部12の第2ダンサーロール54を経て、連続送りローラ56へ供給される。さらに、レンズシート52は、間欠送り部14の第3ダンサーロール58を経て、間欠送り部14の間欠送りローラ60へ供給される。さらに、レンズシート52は、間欠送りローラ60によって所定長づつ切断部16に送り出され、切断部16のカッター62によって所定長さに切断される。
【0026】
次に、図2に沿って、帯電防止部について説明する。図2は、帯電防止部64の構成を概略的に示す図面である。
【0027】
本実施形態のレンズシート製造装置は、下側保護フィルムラミネート部10と切断部16との間において、レンズシート52が床面Gに沿って搬送される構成となっている。レンズシート製造装置1は、レンズシート52が床面Gに沿って搬送されるこの部分に帯電防止部62を備えている。図2に示されているように、帯電防止部62には、レンズシート42が近傍を搬送される床面に導電マット64が配置されている。
【0028】
上記導電マット64としては、例えば、導電塗工を両面に有した軟質塩化ビニールフィルムおよびシート、または導電性ポリマーにて成形されたフィルムおよびシート等が用いられる。具体的には、アキレス株式会社のアキレスブラックセイデンF(商品名)、導電性粘着フィルム ST-SFフィルム(商品名)などが使用される。
【0029】
また、導電マットとレンズシートの距離は10mm〜200mm程度に設定されるのが好ましい。
【0030】
このような構成によれば、導電マット64によってレンズシート52の帯電が防止されるので、床面に異物が存在していても、この異物が静電気によってレンズシート52に付着することが防止される。また、レンズシート52が帯電している場合には、除電され、帯電によって付着していた異物が取り除かれる。
【0031】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【0032】
また、上記実施形態では、下側保護フィルムラミネート部10と切断部16との間においてフィルムシート52が床面に沿って搬送され、この区間の床面Gに導電マット64が配置されている構成であったが、原反フィルム巻出し部2、アキューム部4、重合賦型部6、上側保護フィルムラミネート部8、下側保護フィルムラミネート部10、連続送り部12、間欠送り部14、切断部16の各部間または各部内にフィルムシート42、52が、床面に沿って搬送される区間があり、この区間の1または2以上に床面に導電マット64が配置されている構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の好ましい実施形態のレンズシート製造方法を実施するレンズシート製造装置の構成を模式的に示す図面である。
【図2】本発明の好ましい実施形態の帯電防止部の構成を示す模式的な図面である。
【符号の説明】
【0034】
1:レンズシート製造装置
2:原反フィルム巻出し部
4:アキューム部
6:重合賦型部
8:上側保護フィルム巻き出し部
10:下側保護フィルム巻き出し部
12:連続送り部
14:間欠送り部
16:切断部
52:レンズシート
62:帯電防止部
64:導電マット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面に微少レンズ部が形成されたレンズシートを連続的に製造するレンズシート製造装置であって、
長尺状の原反シートの表面に前記微少レンズ部を連続的に形成して長尺状のレンズシートとするレンズ形成部と、
長尺状の保護フィルムを前記長尺状のレンズシートの表面に貼り付ける保護フィルム貼り付け部と、
前記長尺状のレンズシートを一定長に切断する切断部と、
前記長尺状の原反シートまたはレンズシートが床面に沿って搬送される部分に配置され、床面に設置された導電部材によって床面に沿って搬送される前記長尺状のレンズシートの帯電を防止する帯電防止部と、を備えている、
ことを特徴とするレンズシート製造装置。
【請求項2】
前記帯電防止部が、前記保護フィルム貼り付け部と切断部との間に配置されている、
請求項1に記載のレンズシート製造装置。
【請求項3】
少なくとも一方の面に微少レンズ部が形成されたレンズシートを連続的に製造するレンズシート製造方法であって、
長尺状の原反シートの表面に前記微少レンズ部を連続的に形成して長尺状のレンズシートとするステップと、
長尺状の保護フィルムを前記長尺状のレンズシートの表面に貼り付ける保護フィルム貼り付けステップと、
前記長尺状のレンズシートを一定長に切断する切断ステップと、
前記長尺状の原反シートまたはレンズシートが床面に沿って搬送されているとき、床面に配置した導電部材によって床面に沿って搬送される前記長尺状の原反シートまたはレンズシートの帯電を防止する帯電防止ステップを備えている、
ことを特徴とするレンズシート製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−110591(P2008−110591A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296668(P2006−296668)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】