説明

レーザ装置、極端紫外光生成装置、およびメンテナンス方法

【課題】メンテナンス時の作業スペースを確保しつつ有限のスペース内に収めることを可能にする。
【解決手段】収容スペース100内に設置され、収容スペース100外に配置されたチャンバ内に供給された極端紫外光の発生源となるターゲットに照射するレーザ光を出力するレーザ装置1は、マスタオシレータ11から出力されたレーザ光を増幅する第3〜第5増幅器ユニットPA3〜PA5と、第3〜第5増幅器ユニットに励起エネルギーを供給する第3〜第5電源ユニットD3〜D5と、外部電力を第3〜第5電源ユニットD3〜D5へ配電する配電盤50と、第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5を配電盤50に対して移動可能にするレールR1およびR2と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ装置、極端紫外光生成装置、およびメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って、半導体プロセスの光リソグラフィにおける転写パターンの微細化が急速に進展している。次世代においては、70nm〜45nmの微細加工、さらには32nm以下の微細加工が要求されるようになる。このため、たとえば32nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度の極端紫外光光源装置と縮小投影反射光学系とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光源装置としては、ターゲット物質にレーザビームを照射することによって生成されるプラズマを用いたLPP(Laser Produced Plasma:レーザ励起プラズマ)光源装置と、放電によって生成されるプラズマを用いたDPP(Discharge Produced Plasma)光源装置と、軌道放射光を用いたSR(Synchrotron Radiation)光源装置との3種類がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−128157号公報
【概要】
【0005】
本開示の一態様によるレーザ装置は、所定空間内に、かつ所定の床面積範囲内に配置されるレーザ装置であって、マスタオシレータと、前記マスタオシレータから出力されたレーザ光を増幅する、少なくとも1つの増幅器ユニットと、前記少なくとも1つの増幅器ユニットのそれぞれに励起エネルギーを供給する少なくとも1つの電源ユニットと、前記少なくとも1つ増幅器ユニットおよび前記少なくとも1つの電源ユニットの少なくともいずれか一方を床と略平行な方向へ移動可能にする移動機構と、を備えてもよい。
【0006】
本開示の他の態様による極端紫外光生成装置は、マスタオシレータ、前記マスタオシレータから出力されたレーザ光を増幅する少なくとも1つの増幅器ユニット、前記少なくとも1つの増幅器ユニットのそれぞれに励起エネルギーを供給する少なくとも1つの電源ユニット、外部電力を前記少なくとも1つの電源ユニットへ配電する配電盤、前記少なくとも1つ増幅器ユニット及び前記少なくとも1つの電源ユニットの少なくともいずれか一方を前記配電盤に対して移動可能にする移動機構、を含む、所定空間内に配置されるレーザ装置と、前記所定空間外に配置され、その内部で極端紫外光の発生源となるターゲットに前記レーザ装置から出力されたレーザ光が照射されるチャンバと、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本開示の一実施の形態によるレーザ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施の形態による配電盤の構成例を示す模式図である。
【図3】図3は、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置の稼働時のレイアウト例を示す斜視図である。
【図4】図4は、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置の稼働時のレイアウト例を上から見た図である。
【図5A】図5Aは、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置のメンテナンス時のレイアウト例を上から見た図である(その1)。
【図5B】図5Bは、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置のメンテナンス時のレイアウト例を上から見た図である(その2)。
【図6】図6は、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置の他のレイアウト例を上から見た図である。
【図7】図7は、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置の他のレイアウト例を上から見た図である。
【図8A】図8Aは、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置の他のレイアウト例を上から見た図である(その1)。
【図8B】図8Bは、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置の他のレイアウト例を上から見た図である(その2)。
【図9A】図9Aは、本実施の形態による第4および第5電源ユニットならびに移動機構をこれの移動方向から見た側面図である。
【図9B】図9Bは、本実施の形態による第4および第5電源ユニットならびに移動機構をこれの移動方向と垂直な方向から見た側面図である。
【図10】図10は、本実施の形態の変形例による第4および第5電源ユニットならびに移動機構をこれの移動方向と垂直な方向から見た側面図である。
【図11】図11は、本実施の形態による移動補助機構の第1の構成例を示す側面図である。
【図12】図12は、本実施の形態による移動補助機構の第2の構成例を示す側面図である。
【図13】図13は、本実施の形態による移動補助機構の第3の構成例を示す側面図である。
【図14A】図14Aは、本実施の形態による光学ユニットを床面に固定した場合の構成例を示す上視図である。
【図14B】図14Bは、本実施の形態による光学ユニットを床面に固定した場合の構成例を示す側視図(その1)である。
【図14C】図14Cは、本実施の形態による光学ユニットを床面に固定した場合の構成例を示す側視図(その2)である。
【図15】図15は、本実施の形態による光学ユニットをOSCユニット等に固定した場合の構成例を示す側視図である。
【図16】図16は、本実施の形態による光学ユニットを第4および第5増幅器ユニットに固定した場合の構成例を示す側視図である。
【図17A】図17Aは、本実施の形態による光学ユニットの概略構成を示す側面図である。
【図17B】図17Bは、本実施の形態による光学ユニットの概略構成を示す背面図である。
【図18A】図18Aは、本実施の形態による光学ユニットにおける第1リレー光学系の構成例を示す図である。
【図18B】図18Bは、本実施の形態による光学ユニットにおける第2リレー光学系の構成例を示す図である。
【図18C】図18Cは、本実施の形態による光学ユニットにおける第3リレー光学系の構成例を示す図である。
【図19】図19は、本実施の形態による光学ユニットの他の概略構成を示す外観図である。
【図20】図20は、本実施の形態による光学ユニットにおける第2リレー光学系の他の構成例を示す図である。
【図21】図21は、本実施の形態による光学ユニットの他の概略構成を示す外観図である。
【図22】図22は、本実施の形態による光学ユニットにおける第1リレー光学系の他の構成例を示す図である。
【図23】図23は、本実施の形態による光学ユニットの他の概略構成を示す外観図である。
【図24】図24は、本実施の形態による光学ユニットにおける第3リレー光学系の他の構成例を示す図である。
【図25】図25は、本実施の形態における第4増幅器ユニットおよび第5増幅器ユニットからの出力をモニタリングする構成の一例を示す模式図である。
【図26】図26は、本実施の形態による第4増幅器ユニットまたは第5増幅器ユニットの外観構成を示す斜視図である。
【図27】図27は、本実施の形態による第4増幅器ユニットの内部概略構成を示す側視図である。
【図28】図28は、図27に示す第4増幅器ユニットの分解図である。
【図29】図29は、図27に示す第4増幅器ユニットの上段に位置するガス流路の概略構成を示す上視図である。
【図30】図30は、図27に示す第4増幅器ユニットの中段に位置する増幅光路の概略構成を示す上視図である。
【図31A】図31Aは、本実施の形態による増幅器内部の振動防止機構の一例を示す内部側視図である。
【図31B】図31Bは、本実施の形態による増幅器内部の振動防止機構の一例を示す一部配置図である。
【図31C】図31Cは、本実施の形態による増幅器内部の振動防止機構の一例を示す部分断面図である。
【図32】図32は、本実施の形態において2段に縦積みされた第4および第5増幅器ユニットの概略構成を示す斜視図である。
【図33】図33は、本実施の形態によるフレームの概略構成を示す斜視図である。
【図34A】図34Aは、図33に示すフレームの上面図である。
【図34B】図34Bは、図33に示すフレームの前面図である。
【図34C】図34Cは、図33に示すフレームの側面図である。
【図35A】図35Aは、本実施の形態における光学ユニットと第4および第5増幅器ユニットとの接続を示す上面図である。
【図35B】図35Bは、本実施の形態における光学ユニットと第4および第5増幅器ユニットとの接続を示す正面図である。
【図35C】図35Cは、本実施の形態における光学ユニットと第4および第5増幅器ユニットとの接続を示す側面図である。
【図35D】図35Dは、本実施の形態における光学ユニットと第4および第5増幅器ユニットとの接続を示す背面図である。
【図36A】図36Aは、本実施の形態における光学ユニットと第4および第5増幅器ユニットとの他の接続を示す上面図である。
【図36B】図36Bは、本実施の形態における光学ユニットと第4および第5増幅器ユニットとの他の接続を示す側面図である。
【図37】図37は、本実施の形態において増幅器を3段に縦積みした場合の構成例を示す斜視図である。
【図38】図38は、本実施の形態において増幅器を3段に縦積みした場合の構成例を示す正面図である。
【図39】図39は、本実施の形態における稼働時からのメンテナンス手順を示す。
【実施の形態】
【0008】
以下、本開示を実施するための形態を図面を参照に詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図は本開示の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本開示は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。また、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。さらに、後述において例示する数値は、本開示の好適な例に過ぎず、従って、本開示は例示された数値に限定されるものではない。
【0009】
以下、本開示の一実施の形態によるレーザ装置、極端紫外光生成装置、およびメンテナンス方法を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態によるレーザ装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態によるレーザ装置1は、共振器(OSC)ユニット10と、プリアンプPAと、多段のメインアンプMAと、光学ユニット30と、を備える。また、レーザ装置1は、OSC電源D1と、第3〜第5電源ユニットD3〜D5と、配電盤50と、を備える。レーザ装置1における各ユニットは、レーザガス、光路パージガス、空圧機器用ガスおよび温調または冷却用の冷却水を必要とする場合がある。この場合、レーザ装置1はこれらを各ユニットへ分配するガス・冷却水分配器60(たとえば図3参照)をさらに備えてもよい。
【0010】
OSCユニット10は、パルス状のレーザ光をシード光LSとして出力する。プリアンプPAは、OSCユニット10から出力されたシード光LSを増幅してレーザ光L1として出力する第3増幅器ユニットPA3を含んでもよい。多段のメインアンプMAは、プリアンプPAから出力されたレーザ光L1を増幅してレーザ光L2として出力する第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5を含んでもよい。光学ユニット30は、第3〜第5増幅器ユニットPA3〜PA5から出力されたレーザ光L1およびL2をそれぞれ下流側の増幅器(第4/第5増幅器ユニットPA4/PA5)または不図示のチャンバへ導く。OSC電源D1および第3〜第5電源ユニットD3〜D5は、OSCユニット10、プリアンプPAおよびメインアンプMAそれぞれへ励起エネルギーを供給する。配電盤50は、OSC電源D1および第3〜第5電源ユニットD3〜D5へ電力を分配する。
【0011】
ここで、COガスを増幅媒体とする場合、励起エネルギーの供給は、COガスを含むガス中で電極に高電圧を印加することで行われる。電極に高電圧が印加されると、電極間で放電が発生する。これにより、COガスが励起される。なお、COガス中で高周波放電させるための電極に高周波を印加させてもよい。また、COTEAレーザの場合は、電極に高電圧パルスを印加してもよい。
【0012】
OSCユニット10は、マスタオシレータ11と、第1増幅器PA1および第2増幅器PA2と、を一体化したユニットである。マスタオシレータ11は、特定波長のレーザ光をシード光LSとして出力する。第1増幅器PA1および第2増幅器PA2は、このマスタオシレータ11から出力されたシード光LSを増幅する。
【0013】
OSCユニット10のうちマスタオシレータ11は、OSC電源D1から供給された電気エネルギーによってシングル縦モードまたはマルチ縦モードでシード光LSを発振する。このシード光LSは、下流側の各増幅器(PA1〜PA5)におけるパルス幅や繰返し周波数を決定する。なお、シード光LSに含まれるそれぞれの波長成分は、下流側の増幅器(PA1〜PA5)における1つ以上の増幅ラインのいずれかに対応する。このようなシード光LSを出力可能なマスタオシレータ11としては、量子カスケードレーザなどの半導体レーザや、COガスレーザや、固体レーザなどが存在する。
【0014】
第1増幅器PA1および第2増幅器PA2は、マスタオシレータ11から出力された特定波長のシード光LSを順次増幅する。OSCユニット10の第2増幅器PA2から出力されたシード光LSは、下流側のプリアンプPAに入力される。プリアンプPAにおける第3増幅器ユニットPA3は、OSCユニット10から出力されたシード光LSを増幅する。増幅後のシード光LSは、レーザ光L1としてプリアンプPAから出力される。
【0015】
プリアンプPAから出力されたレーザ光L1は、たとえば光学ユニット30を介して下流側のメインアンプMAに入力される。なお、光学ユニット30は、たとえば高反射ミラー31〜33の他、部分反射ミラーや軸外放物面ミラーや可飽和吸収体や波面補正器や光品位計測装置など(不図示)を含んでもよい。可飽和吸収体は、チャンバから戻ってくるレーザ光(戻り光)やメインアンプMAからの寄生発振光や自励発振光等を吸収する。これにより、プリアンプPAやOSCユニット10の破損を防止できる。波面補正器は、レーザ光L1のビーム角度と波面の曲率とがメインアンプMAにおいて高効率で増幅されるのに有効なビーム角度と波面の曲率となるように、レーザ光L1のビーム径を拡大するとともにビームプロファイルを整える。以上のように、可飽和吸収体や波面補正器等の光学素子を光学ユニット30に設けることで、増幅対象のレーザ光の波面を補正することが可能となる。これにより、たとえばメインアンプMAでの増幅効率を向上させることが可能となる。この結果、高出力のレーザ光L2を得ることが可能となる。
【0016】
光学ユニット30を介してメインアンプMAに入力されたレーザ光L1は、まず、第4増幅器ユニットPA4において増幅される。第4増幅ユニットPA4で増幅されたレーザ光L1は、つぎに第5増幅器ユニットPA5において増幅される。この結果、第5増幅器ユニットPA5からは、たとえば、波長が10.6μm、エネルギーが100〜200mJ、パワーが10kW〜20kWのシングル横モードのレーザ光L2が出力される。レーザ光L2は、たとえば繰返し周波数が100kHzのパルス状のレーザ光である。
【0017】
第5増幅器ユニットPA5から出力されたレーザ光L2は、たとえば光学ユニット30を介してチャンバに導かれ、その後、チャンバ内に供給されたターゲット物質に照射される。これにより、レーザ光L2が照射されたターゲット物質が励起されてプラズマ化する。この生成されたプラズマからは、EUV光が放出される。このようなチャンバは、たとえばレーザ装置1が設置される収容スペース100(たとえば図3参照)の上階の部屋に設けられる。
【0018】
各増幅器(PA1〜PA5)は、少なくともCOガスを成分とするCOガス増幅媒体AG1が充填された増幅領域を有する。この増幅領域には、それぞれの増幅器(PA1〜PA5)に接続されたOSC電源D1および第3〜第5電源ユニットD3〜D5から供給された高周波電力を用いて所定の電位差が与えられる。シード光LSおよびレーザ光L1は、所定の電位差が与えられた増幅領域中を通過する際に増幅される。
【0019】
たとえばマスタオシレータ11を半導体レーザとした場合、OSCユニット10が電流制御アクチュエータ(不図示)を備えることが好ましい。この電流制御アクチュエータは、マスタオシレータ11を発振させるための電流信号を生成し、この電流信号をマスタオシレータ11に入力する。このように、マスタオシレータ11に半導体レーザを用いた場合、半導体レーザに供給される電流の波形および電流値を電流制御アクチュエータによって制御することで、マスタオシレータ11から出力されるシード光LSのパルス幅や波形や強度や周波数を容易に制御することが可能となる。この結果、所望のレーザ光を容易に得ることが可能となる。
【0020】
以上のような構成において、OSC電源D1、第3〜第5電源ユニットD3〜D5には、配電盤50を介して電力が分配される。ここで図2に、本実施の形態による配電盤の構成例を示す。図2に示すように、配電盤50は、たとえば両開きの扉51Aおよび51Bにて開閉可能なキャビネット51を備える。キャビネット51内には、トランス54bおよび56bや、ブレーカ53、54a、54c、56a、56cおよび56dや、不図示のコンタクタなどが設けられる。この配電盤50には、外部の工場設備などの電源から配線52を介して外部電力が供給される。供給された外部電力は、各電源(D1、D3〜D5)にそれぞれ対応付けられた配線52上のトランス54bおよび56bによって適宜昇圧される。その後、昇圧された外部電力は、配線57を介して各電源(D1、D3〜D5)へ供給される。各電源(D1、D3〜D5)は、配線57を介して供給された電力を所定の電圧まで昇圧および変調する。この昇圧・変調された電力は、各増幅器(PA1〜PA5)へ供給される。
【0021】
配電盤50の前(扉51Aおよび51B側)には、少なくとも停止またはメンテナンス時に、ブレーカを落とすなどの作業をするための作業スペースSPを確保しておくことが要求される(たとえばNFPA70(米国電気工事基準)参照)。以下の説明では、簡略化のため、この要求される作業スペースSPの幅を1mとする。一方、レーザ装置1を設置する空間(部屋)の大きさ(床面積や容積)は有限である。このため、配電盤50の前に幅1mの作業スペースSPを確保しつつ全ユニットを収めることが困難な場合が存在する。特に、高スループットおよび高出力を実現するために個々のユニットが大型化されている場合、各ユニットをメンテナンスするための作業スペースを確保しつつ有限の収容スペース100内にレーザ装置1を収めることが非常に困難である場合が存在する。
【0022】
そこで本実施の形態では、少なくとも配電盤50の前に配置されるユニットを移動可能にする。これにより、収容スペース100内の空き領域でそれらのユニットを移動させることが可能となる。この結果、必要に応じて配電盤50の前に作業スペースSPを確保することが可能となる。以下、これを、図面を参照して詳細に説明する。図3は、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置の稼働時のレイアウト例を示す斜視図である。図4は、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置の稼働時のレイアウト例を上から見た図である。図5Aは、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置のメンテナンス時のレイアウト例を上から見た図である(その1)。図5Bは、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置のメンテナンス時の別のレイアウト例を上から見た図である(その2)。
【0023】
図3〜図5Bに示すレイアウト例において、配電盤50、ガス・冷却水分配器60、OSC電源D1および第4増幅器ユニットPA4は、たとえば収容スペース100内の床に固定される。光学ユニット30は、収容スペース100の床に固定される。ただし、これに限らず、光学ユニット30を第3増幅器ユニットPA3に固定してもよいし、第4増幅器ユニットPA4および第4増幅器ユニットPA4上の第5増幅器ユニットPA5に固定してもよい。
【0024】
OSCユニット10、第3増幅器ユニットPA3およびOSC電源D1は、縦積みされてもよい。同様に、第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5は、縦積みされてもよい。各ユニットを縦積みすることで、レーザ装置1の延べ床面積を縮小できる。
【0025】
レイアウト例において、OSCユニット10、第3増幅器ユニットPA3、OSC電源D1、光学ユニット30、第4増幅器ユニットPA4、第5増幅器ユニットPA5、および第3電源ユニットD3は、第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5を取り囲むように配置されている。また、OSCユニット10、第3増幅器ユニットPA3、OSC電源D1、光学ユニット30、第4増幅器ユニットPA4、第5増幅器ユニットPA5、および第3電源ユニットD3の外側には、これらをメンテナンスするための作業スペース70が確保されている。
【0026】
本実施の形態において、配電盤50の前には、第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5が配置される。この第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5は、配電盤50の作業面、すなわち扉51Aおよび51Bによって開閉される面に対して垂直な方向に移動可能である。第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5を配電盤50の作業面から最も遠ざけた際に配電盤50の前に確保される作業スペースSPの幅は、上述のように、少なくとも1mである。この結果、図4に示すように、レーザ装置1の停止またはメンテナンス中は、配電盤50の前に幅1mの作業スペースSPを確保することが可能となる。
【0027】
第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5の移動は、たとえば収容スペース100の床に配電盤50の作業面と垂直な方向へ延在する2本のレールR1および不図示のキャスタによって実現される。第4電源ユニットD4の第5電源ユニットD5側の面のカバーまたは第5電源ユニットD5の第4電源ユニットD4側の面のカバーを開けてユニット内部の部品等をメンテナンスする際は、図5Aに示すように、第4電源ユニットD4をレールR1に沿って配電盤50側へスライドさせる。これにより、第4電源ユニットD4と第5電源ユニットD5との間に作業スペース71が確保される。また、第5電源ユニットD5のOSCユニット10側の面のカバーまたはOSCユニット10、第3増幅器ユニットPA3およびOSC電源D1(以下、OSCユニット10等という)の第5電源ユニットD5側の面のカバーを開けてユニット内部の部品等をメンテナンスする際は、図5Bに示すように、第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5をレールR1に沿って配電盤50側へスライドさせる。これにより、第5電源ユニットD5とOSCユニット10等との間に作業スペース72が確保される。
【0028】
同様に、第3電源ユニットD3にもこれをスライドさせるためのレールR2を床に設けてもよい。これにより、図5Aおよび図5Bから明らかなように、第3電源ユニットD3の周囲にメンテナンス用の作業スペース73および74を確保することが可能となる。
【0029】
図4〜図5Bに示す例では、第3〜第5電源ユニットD3〜D5が移動可能である場合を例に挙げた。しかし、本開示はこれに限定されない。たとえば図6に示すように、縦積みされた第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5が、たとえば第4電源ユニットD4と同様のレールR31およびR32ならびに不図示のキャスタを用いた構成によって移動可能なように構成されてもよい。これにより、第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5と光学ユニット30との間に、必要に応じて作業スペース75を確保することが可能となる。なお、図6は、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置の他のレイアウト例を上から見た図である。
【0030】
また、たとえば図7に示すように、縦積みされたOSCユニット10、第3増幅器ユニットPA3およびOSC電源D1、ならびに光学ユニット30が、たとえば第4電源ユニットD4と同様のレールR41およびR42ならびに不図示のキャスタ、ならびに、レールR43およびR44ならびに不図示のキャスタを用いた構成によってそれぞれ移動可能なように構成されてもよい。これにより、OSCユニット10、第3増幅器ユニットPA3およびOSC電源D1が収容スペース100の壁に近接して配置された場合でも、必要に応じて各ユニットと壁との間に作業スペースを確保することができるようになる。同様に、光学ユニット30が収容スペース100の壁に近接して配置された場合でも、必要に応じて光学ユニット30と壁との間に作業スペースを確保することができるようになる。結果として、より狭いスペースにレーザ装置1を収容することが可能となる。なお、図7は、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置の他のレイアウト例を上から見た図である。
【0031】
さらに、たとえば図8Aおよび図8Bに示すように、収容スペース100に収容された各ユニット(以下の例では縦積みされた第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5)は、クロスするレールR31およびR32とレールR33およびR34とからなる2次元移動機構によって、2次元的に移動可能なように構成されてもよい。なお、図8Aは、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置の他のレイアウト例を上から見た図である(その1)。図8Bは、本実施の形態による収容スペース内に収容されたレーザ装置の他のレイアウト例を上から見た図である(その2)。
【0032】
図8Aおよび図8Bに示すように、レールR33およびR34には、たとえばキャスタが設けられる。レールR33およびR34は、このキャスタがレールR31およびR32上に置かれることにより、レールR31およびR32に沿って(図面中、上下方向)移動可能となる。また、第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5は、同じくキャスタを備える。このキャスタがレールR33およびR34上に配置されることで、第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5がレールR33およびR34に沿って(図面中、左右方向)移動可能となる。
【0033】
このような構成を備えることで、各ユニットが収容スペース100の壁に近接して配置された場合でも、必要に応じて各ユニットと壁との間に作業スペースを確保することが可能となる。
【0034】
ここで図9Aおよび図9Bを用いて、本実施の形態による第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5のレールR1を用いた移動機構を詳細に説明する。図9Aは、本実施の形態による第4および第5電源ユニットならびに移動機構をこれらの移動方向から見た側面図である。図9Bは、本実施の形態による第4および第5電源ユニットならびに移動機構をこれらの移動方向と垂直な方向から見た側面図である。なお、第5電源ユニットD5の移動機構は、第4電源ユニットD4の移動機構と同様であるため、図9Aでは、第4電源ユニットD4に着目する。また、図9Bは、第4電源ユニットD4を配電盤50側へスライドさせ、第5電源ユニットD5をOSCユニット10等側へスライドさせた状態を示す。さらに、第3電源ユニットD3のレールR2を用いた移動機構は、第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0035】
図9Aおよび図9Bに示すように、第4電源ユニットD4の底面のたとえば四隅には、回転可能なキャスタC1が設けられている。各キャスタC1は、レールR1の溝に嵌まった状態で回転する。これにより、キャスタC1に支えられた第4電源ユニットD4がレールR1に沿って移動する。同様に、第5電源ユニットD5の底面のたとえば四隅にも、回転可能なキャスタC1が設けられている。これにより、第5電源ユニットD5は、キャスタC1に支えられた状態でレールR1に沿って移動する。たとえば、稼働時の状態(図4参照)から第4電源ユニットD4のみを配電盤50側へスライドさせた場合、図9Bに示すように、第4電源ユニットD4と第5電源ユニットD5との間には、作業スペース71が確保される。
【0036】
第4電源ユニットD4の底部には、L字金具A1が固定されている。また、稼働時に第4電源ユニットD4を配置する位置の床面には、L字金具A1と当接するストッパA2が固定されている。ストッパA2は、たとえば金属製であり、位置決め部として機能する。第4電源ユニットD4をレールR1に沿ってOSCユニット10等側へスライドさせてゆくと、稼働時に第4電源ユニットD4を配置する位置に到達した時点でL字金具A1とストッパA2とが当接する。これにより、第4電源ユニットD4が所定の位置に位置決めされる。同様に、第5電源ユニットD5の底部には、L字金具A1が固定されている。加えて、稼働時に第5電源ユニットD5を配置する位置の床面には、第5電源ユニットD5のL字金具A1と当接するストッパA2が固定されている。第5電源ユニットD5をレールR1に沿ってOSCユニット10等側へスライドさせてゆくと、稼働時に第5電源ユニットD5を配置する位置に到達した時点でL字金具A1とストッパA2とが当接する。これにより、第5電源ユニットD5が所定の位置に位置決めされる。
【0037】
L字金具A1とストッパA2とには、それぞれが当接した際に連通する貫通孔が設けられている。この貫通孔は、L字金具A1とストッパA2とを当接した状態に固定する固定具A3を嵌装するための貫通孔である。固定具A3には、たとえばボルトA31、ワッシャA32およびナットA33などの一般的な部品を用いることが可能である。ユニット底面に固定されたL字金具A1と床面に固定されたストッパA2とを固定具A3によって固定することで、第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5をそれぞれ所定の位置に固定することが可能である。この結果、たとえば稼働時に第4電源ユニットD4や第5電源ユニットD5が移動してしまうという不具合を低減することが可能となる。また、地震やその他の要因によって第4電源ユニットD4や第5電源ユニットD5が振動してしまうという不具合の発生も低減できる。すなわち、L字金具A1とストッパA2と固定具A3とは、第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5の位置決め用金具の他、耐震用の固定金具としても機能する。第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5をより確実に固定するために、図9Bに示すように、キャスタC1がレールR1上を移動しないようにタイヤ止めA4を配置してもよい。
【0038】
また、図10に示すように、第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5は、レールR1に設けた窪みによってもその位置を位置決めすることが可能である。図10は、本実施の形態の変形例による第4および第5電源ユニットならびに移動機構を示す。ただし、図10は、第4および第5電源ユニットを移動方向と垂直な方向から見た側面図である。なお、図10では、説明の簡略化のため、第5電源ユニットD5およびこれを位置決めするための構成については省略する。図10に示すように、本変形例では、第4電源ユニットD4の複数のキャスタC1のうち配電盤50側またはOSCユニット10等側のキャスタC11の軸受けが他方のキャスタC1の軸受けよりも長い。ここで、軸受けとは、キャスタにおけるホイールの回転軸を支持する部材である。また、レールR1において、配電盤50側に第4電源ユニットD4を位置決めする箇所に、V字状または凹型の溝R1aが設けられている。同様に、OSCユニット10等側に第4電源ユニットD4を位置決めする箇所に、V字状または凹型の溝R1aが設けられている。キャスタC11の軸受けは、キャスタC1の軸受けよりも、溝R1aの深さ分だけ長い。したがって、軸受けの長いキャスタC11が溝R1aに嵌まると、第4電源ユニットD4が水平を維持しつつ位置決めされる。
【0039】
第4電源ユニットD4および第5電源ユニットD5は、それぞれの移動を補助するための移動補助機構を備えてもよい。ここで、図11〜図13を用いて、本実施の形態による移動補助機構の構成例を詳細に説明する。図11は、本実施の形態による移動補助機構の第1の構成例を示す側面図である。図12は、本実施の形態による移動補助機構の第2の構成例を示す側面図である。図13は、本実施の形態による移動補助機構の第3の構成例を示す側面図である。
【0040】
図11に示すように、本実施の形態による移動補助機構の第1の構成例では、第4電源ユニットD4が手動にて自走可能なように構成されている。具体的には、第1の構成例による移動補助機構は、第4電源ユニットD4の側面に設けられたディスクC13およびハンドルC14と、第4電源ユニットD4の少なくとも1つのキャスタC1に設けられたローラC16aとを備える。ディスクC13は、たとえば、第4電源ユニットD4の側面であってレールR1の延在方向と垂直な軸に対して回転可能に設けられる。ハンドルC14は、ディスクC13を手動にて回転させるための構成であり、ディスクC13に固定されている。ローラC16aは、キャスタC1におけるタイヤC12aの回転軸に固定される。ディスクC13およびローラC16aには、ベルトC15が掛架される。ハンドルC14によってディスクC13に与えられた回転力は、ベルトC15によってローラC16aへ伝達される。この結果、第4電源ユニットD4が自走する。また、タイヤC12aに生じた回転力は、これと同一レールR1上に置かれるキャスタC1のタイヤC12bに伝達されてもよい。この場合、タイヤC12bの回転軸にローラC16bが固定されると共に、ローラC16aおよびC16bにベルトC12が掛架される。
【0041】
また、図12に示すように、本実施の形態による移動補助機構の第2の構成例は、図11に示す第1の構成例と同様の構成を備える。ただし、第1の構成例におけるレールR1が、上面に規則的な凹凸を備えたスライドギアレールR11に置き換えられる。加えて、各キャスタC1のタイヤC12aおよびC12bがスライドギアレールR11の凹凸と噛み合うギアC22aおよびC22bにそれぞれ置き換えられる。この構成により、第1の構成例と同様に、ハンドルC14を手動にて回転させることで生じた回転力がベルトC15を介してギアC22aに伝達される。この結果、第4電源ユニットD4が自走する。なお、ギアC22aおよびC22bならびにスライドギアレールR11は、第4電源ユニットD4における片側のみに設けられてもよい。
【0042】
さらに、図13に示すように、本実施の形態による移動補助機構の第3の構成例では、ディスクC13およびハンドルC14が、たとえば、第4電源ユニットD4の側面であってレールR1の延在方向と平行な軸に対して回転可能に設けられる。また、レールR1がスライドギアレールR11に置き換えられる。さらに、第4電源ユニットD4の底面に、同一のスライドギアレールR11上に置かれる1つ以上のキャスタC1の代わりに、回転軸がスライドギアレールR11と平行なスクリューギアC33が設けられる。このスクリューギアC33の回転軸C31は、第4電源ユニットD4の底面に設けられた軸受けC32aおよびC32bによって回転可能に支持される。この構成により、第1および第2の構成例と同様に、ハンドルC14を手動にて回転させることで生じた回転力がベルトC15を介してスクリューギアC33に伝達される。この結果、第4電源ユニットD4が自走する。なお、スクリューギアC33およびスライドギアレールR11は、第4電源ユニットD4における片側のみに設けられてもよい。
【0043】
つづいて、本実施の形態による光学ユニット30について図面を用いて詳細に説明する。図14Aは、本実施の形態による光学ユニットを床面に固定した場合の構成例を示す上視図である。図14Bは、本実施の形態による光学ユニットを床面に固定した場合の構成例を示す側視図(その1)である。図14Cは、本実施の形態による光学ユニットを床面に固定した場合の構成例を示す側視図(その2)である。
【0044】
図14A〜図14Cに示すように、光学ユニット30は、収容スペース100(たとえば図3参照)の床面に設置される。この際、光学ユニット30を支える支持部材には、それぞれ高さを調節することが可能なレベルアジャスタ301を用いるとよい。これにより、光学ユニット30を水平に調整して支持することが可能となる。また、光学ユニット30は、上述したL字金具A1、ストッパA2および固定具A3よりなる耐震固定金具と同様の耐震固定金具302を用いて床面に固定されるとよい。
【0045】
光学ユニット30は、収容スペース100の床面の他、図15に示すように、たとえば、OSCユニット10等にボルト311を用いて固定されてもよい。または、図16に示すように、光学ユニット30は、たとえば第4および第5増幅器ユニットPA4およびPA5にボルト311を用いて固定されてもよい。この際、第4および第5増幅器ユニットPA4およびPA5は、フレーム400によって上下に縦積みされていてもよい。図15は、本実施の形態による光学ユニットをOSCユニット等に固定した場合の構成例を示す側視図である。図16は、本実施の形態による光学ユニットを第4および第5増幅器ユニットに固定した場合の構成例を示す側視図である。
【0046】
つづいて、本実施の形態による光学ユニット30の構成について、図面を用いて詳細に説明する。図17Aおよび図17Bは、本実施の形態による光学ユニットの概略構成を示す外観図である。また、図18Aは、本実施の形態による光学ユニットにおける第1リレー光学系の構成例を示す図である。図18Bは、本実施の形態による光学ユニットにおける第2リレー光学系の構成例を示す図である。図18Cは、本実施の形態による光学ユニットにおける第3リレー光学系の構成例を示す図である。
【0047】
図17Aおよび図17Bに示すように、光学ユニット30は、第1リレー光学系30−1と、第2リレー光学系30−2と、第3リレー光学系30−3と、を備える。第1リレー光学系30−1は、第3増幅器ユニットPA3から出力されたレーザ光を第4増幅器ユニットPA4へ導く。第2リレー光学系30−2は、第4増幅器ユニットPA4から出力されたレーザ光を第5増幅器ユニットPA5へ導く。第3リレー光学系30−3は、第5増幅器ユニットPA5から出力されたレーザ光を不図示のチャンバへ導く。
【0048】
図18Aに示すように、第1リレー光学系30−1は、たとえば、入射ウィンドウW1と、軸外放物面ミラーM1と、を備える。入射ウィンドウW1は、第3増幅器ユニットPA3から出射したレーザ光を光学系内部に導入する。軸外放物面ミラーM1は、入射ウィンドウW1から入射したレーザ光を平行光化すると共に、平行光化されたレーザ光を第4増幅器ユニットPA4へ向けて反射する。
【0049】
軸外放物面ミラーM1は、補償光学素子(Adaptive Optics:AO)に置き換えることもできる。軸外放物面ミラーM1で反射されたレーザ光は、第4増幅器ユニットPA4の入射ウィンドウW41(図26参照)を介して第4増幅器ユニットPA4に入射する。補償光学素子には、たとえば、焦点距離を自由に調整できるデフォーマブルミラー等がある。デフォーマブルミラーは、たとえば、トロイダル形状や球面形状の鏡面の形状を変化させることで、焦点距離を所望の焦点距離に調節することができる。
【0050】
図18Bに示すように、第2リレー光学系30−2は、たとえば、平面ミラーM2と、軸外放物面ミラーM3と、を備える。平面ミラーM2は、第4増幅器ユニットPA4の出射ウィンドウW42(図26参照)から出射したレーザ光を反射する。軸外放物面ミラーM3は、平面ミラーM2で反射されたレーザ光を平行光化すると共に第4増幅器ユニットPA4の上段に配置された第5増幅器ユニットPA5へ向けて反射する。この軸外放物面ミラーM3は、補償光学素子(AO)に置き換えることもできる。軸外放物面ミラーM3で反射されたレーザ光は、第5増幅器ユニットPA5の入射ウィンドウW51(図26参照)を介して第5増幅器ユニットPA5に入射する。
【0051】
図18Cに示すように、第3リレー光学系30−3は、たとえば、軸外放物面ミラーM4を備える。軸外放物面ミラーM4は、第5増幅器ユニットPA5の出射ウィンドウW52(図26参照)から出射したレーザ光を平行光化すると共に、平行光化されたレーザ光を不図示のチャンバへ向けて反射する。この軸外放物面ミラーM4は、平面ミラーに置き換えることもできる。軸外放物面ミラーM4で反射されたレーザ光は、その後、チャンバ内におけるターゲット物質が到達または通過するプラズマ生成領域に集光される。なお、プラズマ生成領域とは、ターゲット物質にレーザ光を照射する位置周囲を含む空間である。EUV光の放射源であるプラズマは、このプラズマ生成領域で生成される。
【0052】
本実施の形態による光学ユニット30は、図19および図20に示すようにも構成することが可能である。図19は、本実施の形態による光学ユニットの他の概略構成を示す外観図である。図20は、本実施の形態による光学ユニットにおける第2リレー光学系の他の構成例を示す図である。図19に示すように、光学ユニット30の他の構成例では、第2リレー光学系30−2が第2リレー光学系30−12に置き換えられている。第2リレー光学系30−12は、たとえば、平面ミラーM11およびM12と、球面ミラーM13と、平面ミラーM14およびM15と、を備える。平面ミラーM11およびM12は、第4増幅器ユニットPA4の出射ウィンドウW42から出射したレーザ光を反射する。球面ミラーM13は、平面ミラーM12で反射されたレーザ光を平行光化しつつ反射する。平面ミラーM14およびM15は、球面ミラーM13で反射されたレーザ光を第5増幅器ユニットPA5へ導く。球面ミラーM13は、補償光学素子(AO)に置き換えることが可能である。また、第1リレー光学系30−1における軸外放物面ミラーM1は、平面ミラーに置き換えられてもよい。さらに、第3リレー光学系30−3における軸外放物面ミラーM4を平面ミラーに置き換えることもできる。
【0053】
また、本実施の形態による光学ユニット30は、図21および図22に示すようにも構成することが可能である。図21は、本実施の形態による光学ユニットの他の概略構成を示す外観図である。図22は、本実施の形態による光学ユニットにおける第1リレー光学系の他の構成例を示す図である。図21に示すように、光学ユニット30の他の構成例では、第1リレー光学系30−1が第1リレー光学系30−21に置き換えられている。第1リレー光学系30−21は、たとえば、平面ミラーM21と、球面ミラーM22と、平面ミラーM23と、を備える。平面ミラーM21は、入射ウィンドウW1から入射した第3増幅器ユニットPA3からのレーザ光を反射する。球面ミラーM22は、平面ミラーM21で反射されたレーザ光を平行光化しつつ反射する。平面ミラーM23は、球面ミラーM22で反射されたレーザ光を第4増幅器ユニットPA4へ向けて反射する。球面ミラーM22は、補償光学素子(AO)に置き換えることも可能である。また、第2リレー光学系には、図20に示した第2リレー光学系30−12を用いることができる。この場合、平面ミラーM11に代えて補償光学素子(AO)を用いてもよい。
【0054】
さらに、本実施の形態による光学ユニット30は、図23および図24に示すようにも構成することが可能である。図23は、本実施の形態による光学ユニットの他の概略構成を示す外観図である。図24は、本実施の形態による光学ユニットにおける第3リレー光学系の他の構成例を示す図である。図23に示すように、光学ユニット30の他の構成例では、第3リレー光学系30−3が第3リレー光学系30−33に置き換えられている。第3リレー光学系30−33は、たとえば、平面ミラーM31、M32およびM33を備える。平面ミラーM31、M32およびM33は、第5増幅器ユニットPA5の出射ウィンドウW52から出射したレーザ光をチャンバへ導く。
【0055】
また、本実施の形態による光学ユニット30は、第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5から出力されたレーザ光の光強度をモニタリングするように構成してもよい。この場合、モニタリング対象の第4増幅器ユニットPA4から出力されたレーザ光を反射するミラー(平面ミラーM2、M11に相当)がビームスプリッタに置き換えられる。同様に、第5増幅器ユニットPA5から出力されたレーザ光を反射するミラー(軸外放物面ミラーM4、平面ミラーM31に相当)がビームスプリッタに置き換えられる。ここで図25に、本実施の形態における第4増幅器ユニットおよび第5増幅器ユニットからの出力をモニタリングする構成の一例を示す。
【0056】
図25に示すように、第4増幅器ユニットおよび第5増幅器ユニットからの出力をモニタリングする構成は、平面ミラーM41、補償光学素子(AO)M42および平面ミラーM43よりなる第1リレー光学系30−41を含む。第1リレー光学系30−41は、第3増幅器ユニットPA3から出力されたレーザ光を第4増幅器ユニットPA4へ導く。
【0057】
加えて、図25のモニタリング構成は、たとえば、ビームスプリッタM44、補償光学素子(AO)M45および平面ミラーM46よりなる第2リレー光学系30−42を含む。ビームスプリッタM44は、第4増幅器ユニットPA4から出射したレーザ光の一部を透過させつつ残りを反射する。補償光学素子(AO)は、ビームスプリッタM44で反射されたレーザ光を第5増幅器ユニットPA5へ導く。
【0058】
また、図25のモニタリング構成は、たとえば、ビームスプリッタM47よりなる第3リレー光学系30−43を含む。ビームスプリッタM47は、第5増幅器ユニットPA5から出射したレーザ光の一部を透過させつつ残りをチャンバへ向けて反射する。
【0059】
さらに、図25のモニタリング構成は、たとえば、モニタボックスB1と、モニタボックスB2とを含む。モニタボックスB1は、第2リレー光学系30−42のビームスプリッタM44を透過したレーザ光をモニタリングする。モニタボックスB2は、第3リレー光学系30−43のビームスプリッタM47を透過したレーザ光をモニタリングする。
【0060】
第2リレー光学系30−42のビームスプリッタM44を透過したレーザ光の一部は、モニタボックスB1の入力段に設けられたビームスプリッタB11を透過した後、出力モニタB12に入射する。出力モニタB12は、入射したレーザ光の強度を測定する。これにより、出力モニタB12は、第4増幅器ユニットPA4から出力されたレーザ光の強度(エネルギー)および第4増幅器ユニットPA4による増幅率等を検出する。また、ビームスプリッタB11で反射されたレーザ光は、ビームプロファイラB13に入射する。ビームプロファイラB13は、入射したレーザ光のビーム形状や強度分布等を測定する。これにより、ビームプロファイラB13は、第4増幅器ユニットPA4から出力されたレーザ光のプロファイルを測定する。
【0061】
同様に、第3リレー光学系30−43のビームスプリッタM47を透過したレーザ光の一部は、モニタボックスB2の入力段に設けられたビームスプリッタB21を透過した後、出力モニタB22に入射する。これにより、出力モニタB22によって、第5増幅器ユニットPA5から出力されたレーザ光の強度(エネルギー)および第5増幅器ユニットPA5による増幅率等が検出される。また、ビームスプリッタB21で反射されたレーザ光は、ビームプロファイラB23に入射する。これにより、ビームプロファイラB23によって、第5増幅器ユニットPA5から出力されたレーザ光のプロファイルが測定される。
【0062】
つぎに、本実施の形態による第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5について、図面を用いて詳細に説明する。図26は、本実施の形態による第4増幅器ユニットまたは第5増幅器ユニットの外観構成を示す斜視図である。図26に示すように、第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5の外観は、たとえば、略立方体の形状である。第4増幅器ユニットPA4の側面の1つには、増幅対象のレーザ光が入射する入射ウィンドウW41と、増幅後のレーザ光が出射する出射ウィンドウW42とが設けられている。同様に、第5増幅器ユニットPA5の側面の1つには、増幅対象のレーザ光が入射する入射ウィンドウW51と、増幅後のレーザ光が出射する出射ウィンドウW52とが設けられている。
【0063】
つづいて、本実施の形態による第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5の内部構成について、図面を参照に詳細に説明する。ただし、第5増幅器ユニットPA5の内部構成は、第4増幅器ユニットPA4の内部構成と同様であるため、ここでは第4増幅器ユニットPA4について説明する。図27は、本実施の形態による第4増幅器ユニットの内部概略構成を示す側視図である。図28は、図27に示す第4増幅器ユニットの分解図である。図29は、図27に示す第4増幅器ユニットの上段に位置するガス流路の概略構成を示す上視図である。図30は、図27に示す第4増幅器ユニットの中段に位置する増幅光路の概略構成を示す上視図である。
【0064】
図27〜図30に示すように、第4増幅器ユニットPA4は、上下に配置された2つのガス流路72aおよび72bと、2つのガス流路72aおよび72bの間に配置された共振器フレーム77と、を含む。
【0065】
図29に示すように、下段のガス流路72bは、4つの第1ガス流路72xと、4つの第2ガス流路72yと、を備える。4つの第1ガス流路72xは、たとえば十字状に配置されている。また、4つの第2ガス流路72yは、第1ガス流路72xに対して45°傾いた×字状に配置されている。各ガス流路72xおよび72yは、たとえば断面が四角形または円形(楕円を含む)である中空のパイプより構成される。各ガス流路72xおよび72yの内部には、増幅媒体としてのCO混合ガスが充填される。各ガス流路72xおよび72yが集合する中心の下部には、第1ガス流路72x中のCO混合ガスを第2流路72yへ循環させる循環ポンプ71bが設けられてもよい。
【0066】
図27および図28に示すように、循環ポンプ71bによって第2ガス流路72yに送り込まれたCO混合ガスは、第2ガス流路72bの端部に接続された縦配管75bを介して、中段(図28(b)参照)における下段側の増幅光路74bへ流入する。増幅光路74bは、円筒状の配管の組立体である。図30に示すように、この増幅光路74bは、四角形または長方形の共振器フレーム77の外周に配置される。増幅光路74bは、たとえばアルミブロック76Aおよび76Bによって共振器フレーム77に固定される。図28〜図30に示すように、この増幅光路74b内に送り込まれたCO混合ガスは、増幅光路74bを各辺の中央付近で分岐する縦配管73bを介して第1ガス流路72xへ流入し、その後、循環ポンプ71bによって再び第2ガス流路72yへ送り出される。
【0067】
また、図30に示すように、下段側の増幅光路74b内を、入射ウィンドウW41から入射したレーザ光が通過する。そこで、増幅光路74bの各コーナを共振器フレーム77に固定するアルミブロック76A内には、レーザ光のビーム軸を増幅光路74bに沿って90°屈折させる平面ミラーが設けられる。入射ウィンドウW41から入射後、増幅光路74b内をたとえば反時計回りに一周したレーザ光は、入射ウィンドウW41を備えるアルミブロック76Aに設けられたリターンミラー78で反射されることで、上段側の増幅光路74aへ導かれる。これにより、下段で増幅されたレーザ光が上段の増幅光路74a内に入射する。
【0068】
増幅光路74a内には、上段のガス流路72aから送り込まれたCO混合ガスが充填されている。なお、ガス流路72a、縦配管73aおよび75aならびに増幅光路74aが形成する流路におけるCO混合ガスの循環は、上述したガス流路72b、縦配管73bおよび75bならびに増幅光路74bが形成する流路におけるCO混合ガスの循環と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0069】
下段側の増幅光路74bから上段側の増幅光路74a内に入射したレーザ光は、この増幅光路74a内を通過する。そこで、増幅光路74aの各コーナを共振器フレーム77に固定するアルミブロック76A内には、レーザ光のビーム軸を増幅光路74aに沿って90°屈折させる平面ミラーが設けられる。増幅光路74a内をたとえば時計回りに一周したレーザ光は、その後、入射ウィンドウW41を備えるアルミブロック76Aに設けられた出射ウィンドウW42より外部(光学ユニット30)へ出射する。
【0070】
以上のような構成を備えた第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5は、それぞれ2つの循環ポンプ71aおよび71bを備える。このため、第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5は、共振器の振動を防止するための構成を備えるとよい。図31A〜図31Cは、本実施の形態による増幅器内部の振動防止機構の一例を示す模式図である。なお、第5増幅器ユニットPA5の振動防止機構の構成は、第4増幅器ユニットPA4の内部構成と同様であるため、ここでは第4増幅器ユニットPA4について説明する。
【0071】
図31A〜図31Cに示すように、第4増幅器ユニットPA4の内部構成は、外部筐体の底部であるメインアンプフレーム80上に載置される。メインアンプフレーム80の下面には、たとえば複数のダンパ83が設けられる。内部構成における下段のガス流路72bは、振動吸収部であるダンパ81bを介してメインアンプフレーム80上に置かれる。上段のガス流路72aは、振動吸収部である支持部材81aによって下段のガス流路72bに対して支持される。ガス流路72b,72aからの振動がアルミブロック76A、76Bに伝達しないように、接続される縦配管73b,75b,73a,75aは、ベローズ配管で構成されている。
【0072】
一方、共振器フレーム77は、振動吸収部であるダンパ機構82によってメインアンプフレーム80に対して支持される。図31Cに示すように、ダンパ機構82は、迂回部82aを含む支持部と、ダンパ82bとを含む。迂回部82aは、ガス流路72bに接触せずに迂回する。ダンパ82bは、メインアンプフレーム80から伝達した振動が共振器フレーム77へ入力されることを防止する。
【0073】
このように、循環ポンプ71aおよび71bを備えたガス流路72aおよび72bと増幅光路74aおよび74bが固定された共振器フレーム77とを、個別の振動吸収機構によってそれぞれメインアンプフレーム80に対して支持する。これにより、循環ポンプ71aおよび71bで発生した振動によって共振器フレーム77が振動することを効率的に低減できる。この結果、増幅器内部の光路を構成する光学素子に発生する振動を低減できる。
【0074】
また、本実施の形態による第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5は、上述したように、占有床面積を縮小するために、上下に縦積みされる。この際、たとえば図32に示すように、下段の第4増幅器ユニットPA4に対して振動分離されたフレーム90を用いて、第5増幅器ユニットPA5を第4増幅器ユニットPA4上に設置するとよい。図32は、本実施の形態において2段に縦積みされた第4および第5増幅器ユニットの概略構成を示す斜視図である。また、図33は、本実施の形態によるフレームの概略構成を示す斜視図である。図34A〜図34Cは、図33に示すフレームの外観図である。なお、図34Aは、フレーム90の上面図であり、図34Bは、フレーム90の前面図であり、図34Cは、フレーム90の側面図である。図32に示すように、第5増幅器ユニットPA5を第4増幅器ユニットPA4上に直接載置しない構成とすることで、第4増幅器ユニットPA4と第5増幅器ユニットPA5との間で伝達される振動を低減することが可能となる。
【0075】
また、図33および図34に示すように、フレーム90は、たとえば、梁92aおよび92bと、桁92cと、ガイド部材92dと、スライダレール91aおよび91bと、支柱94と、すじかい95とを備える。梁92aは、互いに離間した状態で支柱94の下段に平行に2本並べられる。同様に、梁92bは、互いに離間した状態で支柱94の上段に平行に2本並べられる。2本の桁92cは、下段の2本の梁92aの間隔および上段の2本の梁92bの間隔をそれぞれ固定する。ガイド部材92dは、第4増幅器ユニットPA4または第5増幅器ユニットPA5の底面から突出した循環ポンプ71bを収容するポンプ収容部93aまたは93bを形成する。スライダレール91aは、下段の2本の梁92aとそれぞれ平行に設けられる。スライダレール91bは、上段の2本の梁92bとそれぞれ平行に設けられる。4本の支柱94およびすじかい95は、下段の2本の梁92aに対して上段の2本の梁92bを支持する。
【0076】
下段の第4増幅器ユニットPA4は、下段のスライダレール91a上に載置される。これにより、第4増幅器ユニットPA4がフレーム90に対して容易に出し入れ可能となる。同様に、上段の第5増幅器ユニットPA5は、上段のスライダレール91b上に載置され、これにより、第5増幅器ユニットPA5がフレーム90に対して容易に出し入れ可能となる。
【0077】
図35A〜図35Dに示すように、以上のようなフレーム90を用いて縦積みされた第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5は、入射ウィンドウW41およびW51と出射ウィンドウW42およびW52とが光学ユニット30に向くように配置される。この場合、第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5は、光学ユニット30の対向面に対して垂直な方向(引出し方向d1)へ引き出し可能である。なお、図35A〜図35Dは、本実施の形態における光学ユニットと第4および第5増幅器ユニットとの接続を示す外観図である。図35Aは、その上視図である。図35Bは、その正面図である。図35Cは、その側面図である。図35Dは、その背面図である。
【0078】
また、図36Aおよび図36Bに示すように、本実施の形態による第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5は、正対する光学ユニット30の対向面に平行な方向(引出し方向d2)へ引き出せるように構成されてもよい。なお、図36Aおよび図36Bは、本実施の形態における光学ユニットと第4および第5増幅器ユニットとの他の接続を示す外観図である。図36Aは、その上視図である。図36Bは、その側面図である。
【0079】
また、本実施の形態では、増幅器を2段に積み上げた場合(第4増幅器ユニットPA4および第5増幅器ユニットPA5)を例に挙げた。しかし、たとえば図37および図38に示すように、下段のフレーム90−1の上に上段のフレーム90−2を積み重ねることで、3つの増幅器(第4〜第6増幅器ユニットPA4〜PA6)を縦積みすることも可能である。さらに、4つ以上の増幅器を縦積みすることも可能である。なお、図37は、本実施の形態において3つの増幅器を縦積みした場合の構成例を示す斜視図である。図38は、本実施の形態において3つの増幅器を縦積みした場合の構成例を示す背面図である。図37および図38において、フレーム90−1および90−2は、それぞれフレーム90と同様の構成を備える。
【0080】
また、本実施の形態では、下段の第4増幅器ユニットPA4と上段の第5増幅器ユニットPA5とが一体のフレーム90に載置される場合を例に挙げた。しかし、これに限定されない。たとえば、下段の第4増幅器ユニットPA4が載置されるフレームを、上段の第5増幅器ユニットPA5が載置されるフレームとは別体のフレームとしてもよい。この場合、第4増幅器ユニットPA4が載置されるフレームは、たとえばフレーム90における下段の梁92a、桁92c、ガイド部材92dおよびスライダレール91aによって構成される。一方、第5増幅器ユニットPA5が載置されるフレームは、たとえばフレーム90における下段の桁92cの1つ、ガイド部材92dおよびスライダレール91aが省略された構成となる。ただし、第4増幅器ユニットPA4が載置されるフレームは、第5増幅器ユニットPA5が載置されるフレームの内側に接触せずに収容できるように、一回り小さく構成されるとよい。
【0081】
以上のように、本実施の形態によれば、少なくとも1つのユニットが移動可能な状態で収容スペース100内に配置されるため、レーザ装置1を停止またはメンテナンス時の作業スペースを確保しつつ有限のスペース内に収めることが可能となる。さらに、このようなレーザ装置1を備えた極端紫外光生成装置を実現することが可能となる。
【0082】
ここで図39に、本実施の形態における装置停止時からのメンテナンス手順を示す。図39に示すように、装置停止時からのメンテナンスでは、まず、配電盤50の前に確保されている作業スペースSPに進入して、配電盤50のブレーカを落とす(ステップS101)。つぎに、メンテナンス対象のユニット(たとえば第5電源ユニットD5)に対する作業スペースを確保するために、ユニット(たとえば第4電源ユニットD4)を移動させる(ステップS102)。このように、メンテナンス対象のユニットに対して作業スペースを確保し、つぎに、このユニットに対するメンテナンスを実行する(ステップS103)。その後、別のユニットをメンテナンスする必要があるか否かを確認し(ステップS104)、別のメンテナンス対象のユニットがある場合(ステップS104のNO)、ステップS102に戻り、次のメンテナンス対象のユニットに対する作業を実行する(ステップS102〜S103)。また、別のユニットに対するメンテナンスが必要でなければ(ステップS104のYES)、メンテナンスのために移動したユニットを稼働時の配置に戻し(ステップS106)、その後、配電盤50のブレーカを上げて(ステップS106)、作業を終了する。
【0083】
また、上記実施の形態およびその変形例は本開示を実施するための例にすぎず、本開示はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本開示の範囲内であり、更に本開示の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。例えば各実施の形態に対して適宜例示した変形例は、他の実施の形態に対して適用することも可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0084】
1 レーザ装置
10 OSCユニット
11 マスタオシレータ
30−1、30−21、30−41 第1リレー光学系
30−2、30−12、30−42 第2リレー光学系
30−3、30−33、30−43 第3リレー光学系
30 光学ユニット
31〜33 高反射ミラー
50 配電盤
51 キャビネット
51A、51B 扉
52 配線
53、54a、54c、56a、56c、56d ブレーカ
54b、56b トランス
57 配線
60 ガス・冷却水分配器
70、71 作業スペース
71a、71b 循環ポンプ
72 作業スペース
72a、72b ガス流路
72x 第1ガス流路
72y 第2ガス流路
73、74 作業スペース
73a、73b、75a、75b 縦配管
74a、74b 増幅光路
75 作業スペース
76A、76B アルミブロック
77 共振器フレーム
78 リターンミラー
80 メインアンプフレーム
81a 支持部材
81b、82b ダンパ
82 ダンパ機構
82a 迂回部
90、90−1、90−2、90A フレーム
91a、91b スライダレール
92a、92b 梁
92c 桁
92d ガイド部材
93a、93b ポンプ収容部
94 支柱
95 すじかい
D1 OSC電源
D3 第3電源ユニット
D4 第4電源ユニット
D5 第5電源ユニット
d1、d2 引出し方向
100 収容スペース
301 レベルアジャスタ
302 耐震固定金具
311 ボルト
400 フレーム
A1 L字金具
A2 ストッパ
A3 固定具
A4 タイヤ止め
A31 ボルト
A32 ワッシャ
A33 ナット
AG1 COガス増幅媒体
B1、B2 モニタボックス
B11、B21 ビームスプリッタ
B12、B22 出力モニタ
B13、B23 ビームプロファイラ
C1、C11 キャスタ
C12a、C12b タイヤ
C13 ディスク
C14 ハンドル
C15、C17 ベルト
C16a、C16b ローラ
C22a、C22b ギア
C31 回転軸
C32a、C32b 軸受け
C33 スクリューギア
L1、L2 レーザ光
LS シード光
M1、M3、M4 軸外放物面ミラー
M2、M11、M12、M14、M15、M21、M23、M31、M32、M33、M41、M43 平面ミラー
M13、M22 球面ミラー
M42、M45 補償光学素子
M44、M47 ビームスプリッタ
M46 平面ミラー
MA メインアンプ
PA プリアンプ
PA1 第1増幅器
PA2 第2増幅器
PA3 第3増幅器ユニット
PA4 第4増幅器ユニット
PA5 第5増幅器ユニット
PA6 第6増幅器ユニット
R1、R2、R31、R32、R33、R34、R41、R42、R43、R44 レール
R11 スライドギアレール
R1a 溝
SP 作業スペース
W1、W41、W51 入射ウィンドウ
W42、W52 出射ウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間内に、かつ所定の床面積範囲内に配置されるレーザ装置であって、
マスタオシレータと、
前記マスタオシレータから出力されたレーザ光を増幅する、少なくとも1つの増幅器ユニットと、
前記少なくとも1つの増幅器ユニットのそれぞれに励起エネルギーを供給する少なくとも1つの電源ユニットと、
前記少なくとも1つ増幅器ユニットおよび前記少なくとも1つの電源ユニットの少なくともいずれか一方を床と略平行な方向へ移動可能にする移動機構と、
を備えるレーザ装置。
【請求項2】
前記所定空間内には、外部電力を前記少なくとも1つの電源ユニットへ配電する配電盤が設置され、
前記移動機構は、前記少なくとも1つの増幅器ユニットおよび前記少なくとも1つの電源ユニットの少なくともいずれか一方を前記配電盤に対して移動可能にする、
請求項1記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記配電盤の前に配置される前記少なくとも1つの増幅器ユニットおよび前記少なくとも1つの電源ユニットの少なくともいずれか一方を、前記配電盤の前に所定幅の作業スペースを確保するように移動させることを可能にする、
請求項2記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記移動機構は、
前記所定空間内の床面に設置される少なくとも1つのレールと、
前記少なくとも1つの増幅器ユニットおよび前記少なくとも1つの電源ユニットの少なくともいずれか一方の下面に設置され、前記少なくとも1つのレールと滑動可能に係合する少なくとも1つの部材と、
を含む、請求項1記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの部材はキャスタである、請求項4記載のレーザ装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのレールはスライドギアレールであり、
前記少なくとも1つの部材はスライドギアである、
請求項4記載のレーザ装置。
【請求項7】
前記移動機構が移動可能にするユニットのメンテナンス時の位置と、非メンテナンス時の位置とをそれぞれ規定する位置決め部をさらに備える、請求項1記載のレーザ装置。
【請求項8】
前記移動機構は、前記ユニットの移動を補助する動力を発生させる移動補助機構を含む、請求項1記載のレーザ装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの増幅器ユニットは、COガスを含む増幅媒体が充填された領域を含む、請求項1記載のレーザ装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの増幅器ユニットから出力されたレーザ光の光路を調整する光学ユニットをさらに備える請求項1記載のレーザ装置。
【請求項11】
マスタオシレータ、前記マスタオシレータから出力されたレーザ光を増幅する少なくとも1つの増幅器ユニット、前記少なくとも1つの増幅器ユニットのそれぞれに励起エネルギーを供給する少なくとも1つの電源ユニット、外部電力を前記少なくとも1つの電源ユニットへ配電する配電盤、前記少なくとも1つ増幅器ユニット及び前記少なくとも1つの電源ユニットの少なくともいずれか一方を前記配電盤に対して移動可能にする移動機構、を含む、所定空間内に配置されるレーザ装置と、
前記所定空間外に配置され、その内部で極端紫外光の発生源となるターゲットに前記レーザ装置から出力されたレーザ光が照射されるチャンバと、
を備える極端紫外光生成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図14C】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate

【図18A】
image rotate

【図18B】
image rotate

【図18C】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31A】
image rotate

【図31B】
image rotate

【図31C】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34A】
image rotate

【図34B】
image rotate

【図34C】
image rotate

【図35A】
image rotate

【図35B】
image rotate

【図35C】
image rotate

【図35D】
image rotate

【図36A】
image rotate

【図36B】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate


【公開番号】特開2011−192961(P2011−192961A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280981(P2010−280981)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】