説明

レール錆取り機

【課題】 研磨粉(錆)の飛散を確実に防止しながら、レールの錆取り作業を行えるレール錆取り機を提供する。
【解決手段】 レールR上を転動して前進する前後の車輪2,3に受支された機台1に、集塵装置5を搭載し、該集塵装置5の集塵ダクト5cを、前記車輪の前進方向と反対方向に回動して前記レール上の錆を除去する研磨材8aの前方の隣接位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管期間が長いとき等に発生し勝ちな鉄道レール上面(頭面)の赤錆を研磨して取り除くために用いる、レール錆取り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レール上面に赤錆が付着すると、これが絶縁体となって信号電流の流れに支障を来たし、車輌の運行の障害となる。このため、この赤錆を取り除くための機器が種々用いられ、概し、赤錆を取り除くための研磨(削)材をレール上面上を転動させているのが一般である。
【0003】
従来は、研磨材によって錆をいわば擦り取るので研磨粉が飛散し、作業員の健康管理上問題がある。このため、研磨材の周辺に防塵カバーを設けて研磨粉の飛散防止を図った構造のものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−3804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
防塵カバーを設けて研磨粉の飛散防止を図る構造のものは、それなりの効果を期待できるとしても、結局の処、レール周辺に研磨粉を撒いておくだけにすぎないから、強風時に舞い上がり、飛散し、周辺に種々の支障を来たす。
【0006】
本発明は、斯様な常況を勘案し、研磨粉の飛散を確実に防ぎながら、レールの錆取り作業を行える、レール錆取り機を提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
レール上を転動して前進する前後の車輪に受支された機台に、集塵装置を搭載し、該集塵装置の集塵ダクトを、前記車輪の前進方向と反対方向に回動して前記レール上の錆を除去する研磨材の前方の隣接位置に配置した構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レールから取り除かれた研磨(錆)粉は集塵室に集められ、従って、錆取り作業を支障なく行え、有益である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一部欠截略示正面図。
【実施例】
【0010】
図面は本発明に係るレール錆取り機の一部欠截略示正面図である。
【0011】
図中、1はレールR上を転動する前後の車輪2,3に受支された機台で、機台1は前記後輪3の上方に立設したハンドル枠4の手押しハンドル部4aにおいて押されて前記前輪2側を前側として前進する。
【0012】
この機台1の前方側にはガソリンエンジン7に連けいした集塵装置5を搭載する一方、前記後輪3側の後方には揺動台6によって受支された前記ガソリンエンジン7に連けいした研磨装置8を配設してある。
【0013】
集塵装置5は、前記ガソリンエンジン7を駆動源として内部のファンが作動する集塵機5aの一側に集塵室を構成する集塵バック5bを、他の一側に集塵ダクト5cを設けて構成し、集塵ダクト5cで吸引した研磨粉は集塵機5aを通じて集塵バック5bに集塵される。
【0014】
なお、集塵バック5bの集塵室内には集塵袋が着脱自在にして収納され、集塵した研磨粉の処理に好適にしてある。
【0015】
また、前記集塵ダクト5cは、前、後壁の下部と底壁を省略して設けた、レールRの頭部Raを係合できる程度の開口部9を備えた箱形体で成り、開口部9を通じて吸引された研磨粉を上部の連通口9´を通じて前記集塵機5aへと案内し、集塵パック5b内に集塵させるようにしてある。
【0016】
前記揺動台6は、先端を前記前輪2の車軸2aに揺動(回動)自在に軸支させ、後端を前記ハンドル枠4に支持させた高さ調整杆10に、該調整杆10に螺合したナット材11を介して支持させた、上下二段の階段状の枠体で成り、下段部6bに設けた窓口18には前記集塵ダクト5cを嵌通させ、上段部6aには前記ガソリンエンジン7とこれに連けいした研削装置8を支持させてある。
【0017】
揺動台6の後端を取付けた前記ナット材11は、高さ調整杆10の下部に設けたねじ杆部10aに螺合し、高さ調整杆10を回動させることによりねじ杆部10aに沿って強制的に縦動し、その縦動により揺動台6は車軸2aを中心に揺動する。
【0018】
高さ調整杆10は、前記ハンドル枠4の上部に設けた腕部片4bの先端に取付けた受け座12に、その上端に設けた操作ハンドル13において支持されたもので、受座12上に載せた操作ハンドル13を回動させることにより、回動し、その回動に伴って、前記の通り、ナット材11はねじ杆部10aに沿って縦動する。
【0019】
揺動台6の上段部6aに受支させた前記エンジン7はその回動軸7aにおいて第一ベルト伝達機構14Aを介して前記集塵機5aに連けいし、第二ベルト伝達機構14Bを介して研磨装置8の研磨材8aの回動支軸16に支持させた伝達輪17に連けいさせてある。
【0020】
研磨装置8は、ガソリンエンジン7の外装枠7Aに吊設した基板8bの下部に前記車輪2,3の前進方向に回動する前記回動支軸16を装置し、該回動支軸16に前記研磨材8aを着脱自在に組付ける一方、第二ベルト伝達機構14Bを構成する前記伝達輪17を組み付けて構成する。
【0021】
なお、研磨材8aは、実施例ではポリアミド繊維でなるリング体で構成してあるが、要は、レール頭部Raに付着した錆をかき取るものであれば良い。
【0022】
そして、操作ハンドル13を操作して調整杆10を回動させると、ナット材11は調整杆10のねじ杆部10aに沿って縦動して上下方向に位置を変え、この位置変えによって揺動台6は車軸2aを中心に揺動し、研磨材8aはレール頭部Ra上面に適宜圧接され、ハンドル枠4において押圧してレールRに沿って機台1を移動させつつガソリンエンジン7を稼動させると、研磨材8aによるレール頭部Ra上に付着した錆取りが行われ、研磨粉(錆)は、集塵装置5によって集塵(粉)されることになる。殊に、集塵ダクト5cの開口部9に隣接して車輪2,3の前進方向と反対方向に回動する研磨材8aによって、錆はかき落とされるから、飛散することなく、直ちに集塵装置5に吸引される。
【符号の説明】
【0023】
1 機台
2 前車輪
3 後車輪
5c 集塵ダクト
8a 研磨材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を転動して前進する前後の車輪に受支された機台に、集塵装置を搭載し、該集塵装置の集塵ダクトを、前記車輪の前進方向と反対方向に回動して前記レール上の錆を除去する研磨材の前方の隣接位置に配置した、レール錆取り機。

【図1】
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【公開番号】特開2010−240813(P2010−240813A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95610(P2009−95610)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(591075641)東鉄工業株式会社 (36)
【出願人】(391030125)保線機器整備株式会社 (39)
【Fターム(参考)】