説明

ロアボデー構造体とその製造方法

【課題】 Aピラー、ロッカー、Bピラー、リアサイドメンバーを含む車体部分の捩じり剛性アップをはかったロアボデー構造体とその製造方法の提供。
【解決手段】 Aピラー11、ロッカー12、Bピラー13、リアサイドメンバー14が一体に形成されたロアボデー構造体10であって、繊維強化樹脂製の外壁部材20と、内リブ30Aを有する繊維強化樹脂製の内リブ構造体30とを有している。これによって、ロアボデー構造体10の捩じり剛性が向上する。内リブ構造体は中空断面構造を有する。軽量となる。内リブ30Aは、前突対応部30A1 と後突対応部A3 と側突対応部A2 とを含み、これらは一体につながっている。これによって、あらゆる方向の衝突に対応できる。内リブ構造体30にフォームコア40を組合せ、シート20Aを積層して熱硬化させ、外壁部材20とするとともに、外壁部材20と内リブ構造体30とを一体化するロアボデー構造体10の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車車体の、Aピラー、ロッカー、Bピラー、リアサイドメンバーを含む、FRP(繊維強化樹脂)製のロアボデー構造体(アンダーボデー構造体といってもよい)とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フロアレインフォースでサイドシル、クロスメンバ、ダッシュパネルを連結し、サイドシル前端部での前面衝突時の前後方向および幅方向の抗力を確保した車体フロア構造を開示している。
また、特許文献2は輸送機器や各種形状の容器などとして好適に使用できる、非回転構造体形状の、中空FRP構造体とその製造方法を開示している。
【特許文献1】特開2005−319830号公報
【特許文献1】国際公開、WO 00/18566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の構造にはつぎの課題がある。
イ)サイドシル、クロスメンバ、ダッシュパネルの結合に別部材のフロアレインフォースを必要とし、かつ一体構造ではないためサイドシル、または車体の捩じり剛性アップに有効に効かない。
ロ)フロアレインフォースが金属部材で、かつ中実構造のため、重量大。
ハ)サイドシル前端部での前面衝突時の前後方向および幅方向の抗力を確保しただけで、ロッカーや、Bピラー部位での側面衝突や、Bピラーやリアサイドメンバー部位での後突に対する抗力は十分には確保されていない。
【0004】
本発明の目的は、Aピラー、ロッカー、Bピラー、リアサイドメンバーを含む車体部分(その部分を含む車体でもよい)の捩じり剛性アップをはかったロアボデー構造体とその製造方法を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、Aピラー、ロッカー、Bピラー、リアサイドメンバーを含む車体部分(その部分を含む車体でもよい)の捩じり剛性アップをはかるとともに、軽量化をはかったロアボデー構造体とその製造方法を提供することにある。
本発明のさらにもう一つの目的は、Aピラー、ロッカー、Bピラー、リアサイドメンバーを含む車体部分(その部分を含む車体でもよい)の捩じり剛性アップをはかるとともに、軽量化と、ロッカーや、Bピラー部位での側面衝突や、Bピラーやリアサイドメンバー部位での後突に対する抗力増大をはかったロアボデー構造体とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する、または上記目的を達成する本発明の自動車車体のロアボデー構造体とその製造方法はつぎのとおりである。
(1) Aピラー、ロッカー、Bピラー、リアサイドメンバーが一体に形成されたロアボデー構造体であって、該ロアボデー構造体の表面部を構成する繊維強化樹脂製の外壁部材と、前記外壁部材よりロアボデー構造体の内部側に位置する内リブを有する繊維強化樹脂製の内リブ構造体とを有し、前記外壁部材と前記内リブ構造体とは互いに一体結合されているロアボデー構造体。
(2) 前記内リブ構造体は中空断面構造を有する(1)記載のロアボデー構造体。
(3) 前記内リブは、前突に対する内リブ構造体の剛性を増大させる前突対応部と、後突に対する内リブ構造体の剛性を増大させる後突対応部と、側突に対する内リブ構造体の剛性を増大させる側突対応部とを含み、前記前突対応部と前記後突対応部と前記側突対応部とを一体につなげた(1)または(2)記載のロアボデー構造体。
(4) Aピラー、ロッカー、Bピラー、リアサイドメンバーが一体に形成されたロアボデー構造体の製造方法であって、
内部上壁と内部下壁と一対の内部側壁を含む断面が閉じ構造の中空断面を有する、繊維強化樹脂製の内リブ構造体を製作する第1の工程と、
ついで前記内リブ構造体の前記内部上壁の上側と前記内部下壁の下側にフォームコアを配置する第2の工程と、
ついで前記内リブ構造体と前記フォームコアとの組合体のまわりに熱硬化前の繊維強化樹脂製のシートを貼付する第3の工程と、
ついで前記繊維強化樹脂製のシートが貼付された、前記内リブ構造体とフォームコアとの組合体を加熱し、前記シートを熱硬化させてロアボデー構造体の表面部を構成する繊維強化樹脂製の外壁部材とするとともに、該外壁部材と前記内リブ構造体とを前記内リブ構造体の前記一対の内部側壁部位で一体に結合する第4の工程と、
を有するロアボデー構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
上記(1)のロアボデー構造体によれば、Aピラー、ロッカー、Bピラー、リアサイドメンバーが一体に形成されたロアボデー構造体であって、該ロアボデー構造体は、該ロアボデー構造体の表面部を構成する繊維強化樹脂製の外壁部材と、外壁部材よりロアボデー構造体の内部側に位置する内リブを有する繊維強化樹脂製の内リブ構造体とを有し、外壁部材と内リブ構造体とは互いに一体結合されているので、一体化による車(少なくともロアボデー構造体を含む部分)の捩じり剛性アップをはかることができる。また、Aピラー、ロッカー、Bピラー、リアサイドメンバーが一体に形成されていることと、内リブが配置されていることにより、衝突に対する剛性、抗力アップをはかることができる。
【0007】
上記(2)のロアボデー構造体によれば、内リブ構造体は中空断面構造を有するので、内リブ構造体が中実構造である場合や内リブ構造体の中空断面部位にフォームコアが充填されている場合に比べて、ロアボデー構造体は軽量化されている。
【0008】
上記(3)のロアボデー構造体によれば、内リブが、前突に対する内リブ構造体の剛性を増大させる前突対応部と、後突に対する内リブ構造体の剛性を増大させる後突対応部と、側突に対する内リブ構造体の剛性を増大させる側突対応部とを含み、前突対応部と後突対応部と側突対応部とを一体につなげたので、内リブ構造体はあらゆる方向の衝突に対して有効に働く。
【0009】
上記(4)のロアボデー構造体の製造方法によれば、上記第1、第2、第3、第4の工程を含むので、ロアボデー構造体を内側から順に形成でき、最後に内リブと外壁部材とを一体化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の自動車車体のロアボデー構造体とその製造方法を、図1〜図9を参照して説明する。
【0011】
まず、本発明の自動車車体のロアボデー構造体を説明する。
図1は、アッパ構造体およびロアボデー構造体を含む自動車車体のうちの、ロアボデー構造体10を示している。ロアボデー構造体10は、車両幅方向の両端部にそれぞれ設けられており、FRP(繊維強化樹脂)製である。FRPはカーボン繊維のCFRPでもよいし、ガラス繊維のGFRPでもよい。
【0012】
ロアボデー構造体10は、車両前側から後側に向かって、順に、Aピラー11、ロッカー12、Bピラー13、リアサイドメンバー14を有する。Aピラーはロッカー12の前端部から上方に延びており、ロッカー12はAピラー11下端とBピラー13との間にわたって車両前後方向に延びており、Bピラー13はロッカー12の後端部から斜め後方上方に延びており、リアサイドメンバー14はBピラー13から後方に向かって延びている。リアサイドメンバー14の下方には後輪が配置されている。
Aピラー11、ロッカー12、Bピラー13、リアサイドメンバー14が一体に、単一部材として、形成されている。Bピラー13とリアサイドメンバー14の車両幅方向内側には、ルームパーティションパネル50が位置する。
【0013】
図2〜図8に示すように、ロアボデー構造体10は、ロアボデー構造体10の表面部を構成する繊維強化樹脂(FRP)製の外壁部材20と、FRP製の内リブ構造体30と、フォームコア40とを有する。ただし、図7、図8では内部側壁33と外部側壁23を除去して示してある。内リブ構造体30は、外壁部材20よりロアボデー構造体10の内部側に位置する内リブ30Aを有する。フォームコア40は、上下方向に外壁部材20と内リブ構造体30との間に配置されている。
【0014】
外壁部材20は、外部上壁21と外部下壁22と一対の外部側壁23とを有する。外壁部材20は四辺形の閉じ断面構造を有する。
内リブ構造体30は、内部上壁31と内部下壁32と一対の内部側壁33とを有する。内リブ構造体30は四辺形の閉じ断面構造を有する。
内リブ30Aは内リブ構造体30の上壁31と下壁32とによって構成される。
内リブ構造体30は、一対の内部側壁33部位で、外壁部材20の一対の外部側壁23と一体結合されている。この一体結合は、望ましくは熱融着で行われるが、接着材による接着でもよい。内リブ構造体30の内部側壁33の外面と外壁部材20の外部側壁23の内面とが密着される。
内リブ構造体30の内部上壁31と内部下壁32とは、それぞれ1枚壁構造である。内リブ構造体30の内部側壁33部位では、内リブ構造体30の内部側壁33の外面に外壁部材20の外部側壁23が密着しているので、内リブ構造体30の内部側壁33と外壁部材20の外部側壁23とで2枚壁構造を構成している。
【0015】
内リブ構造体30は中空断面構造を有する。内リブ構造体30は、内部上壁31と内部下壁32との間の空間が中空となっている。内リブ構造体30と外壁部材20との間には、フォームコア40が配置されている。
【0016】
内リブ30Aは、図2に示すように、前突(前面衝突)に対する内リブ構造体30の剛性を増大させる前突対応部30A1 と、後突(後方からの衝突)に対する内リブ構造体30の剛性を増大させる後突対応部30A3 と、側突(側方からの衝突)に対する内リブ構造体30の剛性を増大させる側突対応部30A2 とを含む。前突対応部30A1 と側突対応部30A2 と後突対応部30A3 とは、順に、一体につながっている。
【0017】
前突対応部30A1 は、ロアボデー構造体10の、Aピラー11の下端部とロッカー12部との内部に位置して車両前後方向に延びるており、ほぼ水平に延びる1つの内部上壁31とほぼ水平に延びる1つの内部下壁32とを含む。前突対応部30A1 の内部上壁31と内部下壁32とは、それぞれの前端部で、Aピラー11の下端部にある上下方向に延びる内部立壁34を介して、つながっている。
前突対応部30A1 は、内部上壁31と内部下壁32とを含むことによって、内部上壁31と内部下壁32とを含まないで外壁部材20だけの場合に比べて、車両前後方向の圧縮力(前突時の荷重)に対する、Aピラー11およびロッカー12の剛性を高めている。
【0018】
後突対応部30A3 は、ロアボデー構造体10の、Bピラー13の後端から車両後方に延びる部分の内部に位置し、ほぼ水平に延びる1つの内部上壁31と、斜め上方かつ後方に延びる1つの内部下壁32とを含む。後突対応部30A3 の内部上壁31と内部下壁32とはそれぞれの後端部で直接つながっている。
後突対応部30A3 は、内部上壁31と内部下壁32とを含むことによって、内部上壁31と内部下壁32とを含まないで外壁部材20だけの場合に比べて、車両前後方向の圧縮力(後突時の荷重)と、モーメント(後突時の荷重によってBピラー13をロッカー12の後端に対して前倒しさせようとするモーメント)に対する、リアサイドメンバ14の剛性を高めている。
【0019】
側突対応部30A2 は、ロアボデー構造体10の、Bピラー13の部分の内部に位置する。側突対応部30A2 は、1つの内部上壁31と、1つの内部下壁32とを含む。側突対応部30A2 の内部上壁31は、ロッカー12から斜め上方かつ後方に立ち上がり、この立ち上がり部の上端でUターンし、Uターン後斜め下方かつ前方に下降し、この下降部の下端でUターンし、Uターン後斜め上方かつ後方に立ち上がって後突対応部30A3 の内部上壁31の前端につながる。側突対応部30A2 の内部下壁32は、前突対応部30A1 の内部下壁32の後端に接続して後方に延び、途中までは水平に延び、途中から湾曲して緩やかに斜め上方に延び、後突対応部30A3 の内部下壁32の後端部につながっている。 側突対応部30A2 は、内部上壁31が屈曲していることにより、屈曲しないでまっすぐに延びる場合に比べて、内部上壁31の数または量が多くなり、側突に対するBピラー13の抗力と剛性を高めている。
【0020】
ロアボデー構造体10をAピラー11部位で鉛直面60で切断した断面では、図3に示すように、外壁部材20の一対の外部側壁23の間にわたって、外部上壁21と外部下壁22と内部上壁31と内部下壁32の、4枚の壁が車両幅方向に水平に延びており、この4枚の壁と一対の外部側壁23とは、「目」の字状の構造を呈している。外部上壁21と内部上壁31との間、および外部下壁22と内部下壁32との間は、フォームコア40で埋められている。内部上壁31と内部下壁32との間は、空間である。
【0021】
ロアボデー構造体10をロッカー12部位で鉛直面61で切断した断面では、図4に示すように、外壁部材20の一対の外部側壁23の間にわたって、外部上壁21と外部下壁22と内部上壁31と内部下壁32の、4枚の壁が車両幅方向に水平に延びており、この4枚の壁と一対の外部側壁23とは、「目」の字状の構造を呈している。外部上壁21と内部上壁31との間、および外部下壁22と内部下壁32との間は、フォームコア40で埋められている。内部上壁31と内部下壁32との間は、空間である。
【0022】
ロアボデー構造体10をリアサイドメンバー14部位で鉛直面62で切断した断面では、図5に示すように、外壁部材20の一対の外部側壁23の間にわたって、外部上壁21と外部下壁22と内部上壁31と内部下壁32の、4枚の壁が車両幅方向に水平に延びており、この4枚の壁と一対の外部側壁23とは、「目」の字状の構造を呈している。外部上壁21と内部上壁31との間、および外部下壁22と内部下壁32との間は、フォームコア40で埋められている。内部上壁31と内部下壁32との間は、空間である。
【0023】
ロアボデー構造体10をBピラー13とリアサイドメンバー14部位で斜面63(Bピラー13からリアサイドメンバー14にかけて斜め下方に延びる斜面)で切断した断面では、図6に示すように、外壁部材20の一対の外部側壁23の間にわたって、外部上壁21と外部下壁22と3枚の内部上壁31と1枚の内部下壁32の、6枚の壁が車両幅方向に水平に延びており、この6枚の壁と一対の外部側壁23とは、「梯子」状の構造を呈している。外部上壁21と内部上壁31との間、および外部下壁22と内部下壁32との間、および、内部上壁31の屈曲部のうち内部上壁31の外側にある部分は、フォームコア40で埋められている。内部上壁31と内部下壁32との間、および、内部上壁31の屈曲部のうち内部上壁31の内側にある部分は、空間である。
【0024】
本発明のロアボデー構造体10の作用、効果を説明する。
本発明のロアボデー構造体10が、Aピラー11、ロッカー12、Bピラー13、リアサイドメンバー14の一体構造となっているので、ロアボデー構造体10と車体の捩じり剛性アップをはかることができる。また、ロアボデー構造体10が、外壁部材20と、内リブ30Aをもつ内リブ構造体30とを有し、外壁部材20と内リブ構造体30とが互いに一体化されているので、これによっても、ロアボデー構造体10と車体の捩じり剛性を増加することができる。また、Aピラー11、ロッカー12、Bピラー13、リアサイドメンバー14の一体構造と、内リブ30Aが配置されていることにより、衝突に対するロアボデー構造体10の剛性、抗力を増加することができる。
【0025】
また、内リブ構造体30が中空断面となっているので、仮に内リブ構造体が中実構造である場合や仮に内リブ構造体の中空断面部位にフォームコアが充填されている場合に比べて、ロアボデー構造体30は軽量化される。
【0026】
また、内リブ30Aが、前突対応部30A1 と側突対応部30A2 と後突対応部30A3 とを含み、前突対応部30A1 と側突対応部30A2 と後突対応部30A3 とが一体につながっているので、内リブ構造体30は前突、側突、後突を含むあらゆる方向の衝突に対してロアボデー構造体10の剛性をあげるのに有効に働く。
【0027】
つぎに、本発明のロアボデー構造体10の製造方法を説明する。
本発明のロアボデー構造体10の製造方法は、Aピラー11、ロッカー12、Bピラー13、リアサイドメンバー14が一体に形成されたロアボデー構造体10の製造方法である。本発明のロアボデー構造体10の製造方法は、図9に示すように、以下の、第1、第2、第3、第4の工程を、第1、第2、第3、第4の工程順に実行する方法からなる。
【0028】
第1の工程は、内部上壁31と内部下壁32と一対の内部側壁33を含む断面が閉じ構造の中空断面を有する、繊維強化樹脂製の内リブ構造体30を製作する工程である。第1の工程では、閉じ断面の繊維強化樹脂材の内部に風船をいれてふくらませ、繊維強化樹脂材をその外部に位置する型に押し付けることにより、図9の(イ)に示す中空断面の内リブ構造体30を製作する。
【0029】
第2の工程は、図9の(ロ)に示すように、内リブ構造体30の内部上壁31の上側と、内部下壁32の下側にフォームコア40を配置する工程である。フォームコア40は内部上壁31と内部下壁32に密着する。内リブ構造体30の一対の内部側壁33と外壁部材20の一対の外部側壁23の間には、フォームコア40は配置されない。フォームコア40は、つぎの第3の工程でシート20Aを貼付する時のシートの形状を保持するためのコア(中子)となる。フォームコア40は発泡樹脂材などから構成される。
【0030】
第3の工程は、図9の(ハ)に示すように、内リブ構造体30とフォームコア40との組合体のまわりに、熱硬化前は柔軟性がある繊維強化樹脂製(熱硬化性樹脂製)のシート20A(熱硬化後、外壁部材20となる部材)を貼付する工程である。シート20Aは、内リブ構造体30とフォームコア40との組合体に、複数層に積層してもよいし、あるいは、1層だけ巻き掛けてもよい。
【0031】
第4の工程は、図9の(ハ)に、第3の工程と合わせて示すように、繊維強化樹脂製のシート20Aが貼付された、内リブ構造体30とフォームコア40との組合体を加熱し、シート20Aを熱硬化させてロアボデー構造体10の表面部を構成する繊維強化樹脂製の外壁部材20とするとともに、外壁部材20と内リブ構造体30とを、内リブ構造体30の一対の内部側壁33部位で一体に結合する工程である。外壁部材20と内リブ構造体30との結合は、熱融着である。
【0032】
本発明のロアボデー構造体10の製造方法の作用、効果については、第1、第2、第3、第4の工程を順に実行していくので、ロアボデー構造体10を内側から外側に向かって順に形成することができ、最後に加熱して内リブ30Aと外壁部材20とを一体化できるので、ロアボデー構造体10を容易にかつ確実に形成できる。
【0033】
また、風船を用いて内リブ構造体30を形成することにより、内リブ構造体30を容易に中空断面に形成できる。
また、内リブ構造体30とフォームコア40との組合体に、シート20Aを巻き付けて、または積層して、加熱硬化させて外壁部材20とするので、容易に外壁部材20の必要形状を出すことができる。また、外壁部材20の内部に中空断面の内リブ構造体30を埋設したロアボデー構造体10を容易にかつ確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例のロアボデー構造体を有する自動車車体の透視斜視図である。
【図2】本発明の実施例のロアボデー構造体の、外部側壁と内部側壁を外して見た、側面図である。
【図3】図2のロアボデー構造体の、鉛直面60で切断して見た、断面図である。
【図4】図2のロアボデー構造体の、鉛直面61で切断して見た、断面図である。
【図5】図2のロアボデー構造体の、鉛直面62で切断して見た、断面図である。
【図6】図2のロアボデー構造体の、斜面63で切断して見た、断面図である。
【図7】自動車の左右の一側に配置された本発明の実施例のロアボデー構造体の、外部側壁と内部側壁を外して見た、斜視図である。
【図8】図7の外部側壁と内部側壁を外して見たロアボデー構造体とルームパーティションパネルとの位置関係を示す斜視図である。
【図9】(イ)は本発明の実施例のロアボデー構造体の製造方法の第1の工程を示す内リブ構造体の斜視図であり、(ロ)は本発明の実施例のロアボデー構造体の製造方法の第2の工程を示す内リブ構造体とフォームコアの斜視図であり、(ハ)は本発明の実施例のロアボデー構造体の製造方法の第3の工程の、内リブ構造体とフォームコアの組合体にシートを貼付した状態の斜視図、兼、本発明の実施例のロアボデー構造体の製造方法の第4の工程の、加熱して外壁部材と内リブ構造体を熱融着した状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
10 ロアボデー構造体
11 Aピラー
12 ロッカー
13 Bピラー
14 リアサイドメンバ
20 外壁部材
20A シート
21 外部上壁
22 外部下壁
23 外部側壁
30 内リブ構造体
31 内部上壁
32 内部下壁
33 内部側壁
34 内部立壁
30A 内リブ
30A1 前突対応部
30A2 側突対応部
30A3 後突対応部
40 フォームコア
50 ルームパーティションパネル
60〜62 鉛直面
63 斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Aピラー、ロッカー、Bピラー、リアサイドメンバーが一体に形成されたロアボデー構造体であって、該ロアボデー構造体の表面部を構成する繊維強化樹脂製の外壁部材と、前記外壁部材よりロアボデー構造体の内部側に位置する内リブを有する繊維強化樹脂製の内リブ構造体とを有し、前記外壁部材と前記内リブ構造体とは互いに一体結合されているロアボデー構造体。
【請求項2】
前記内リブ構造体は中空断面構造を有する請求項1記載のロアボデー構造体。
【請求項3】
前記内リブは、前突に対する内リブ構造体の剛性を増大させる前突対応部と、後突に対する内リブ構造体の剛性を増大させる後突対応部と、側突に対する内リブ構造体の剛性を増大させる側突対応部とを含み、前記前突対応部と前記後突対応部と前記側突対応部とを一体につなげた請求項1または請求項2記載のロアボデー構造体。
【請求項4】
Aピラー、ロッカー、Bピラー、リアサイドメンバーが一体に形成されたロアボデー構造体の製造方法であって、
内部上壁と内部下壁と一対の内部側壁を含む断面が閉じ構造の中空断面を有する、繊維強化樹脂製の内リブ構造体を製作する第1の工程と、
ついで前記内リブ構造体の前記内部上壁の上側と前記内部下壁の下側にフォームコアを配置する第2の工程と、
ついで前記内リブ構造体と前記フォームコアとの組合体のまわりに熱硬化前の繊維強化樹脂製のシートを貼付する第3の工程と、
ついで前記繊維強化樹脂製のシートが貼付された、前記内リブ構造体とフォームコアとの組合体を加熱し、前記シートを熱硬化させてロアボデー構造体の表面部を構成する繊維強化樹脂製の外壁部材とするとともに、該外壁部材と前記内リブ構造体とを前記内リブ構造体の前記一対の内部側壁部位で一体に結合する第4の工程と、
を有するロアボデー構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−30609(P2008−30609A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206349(P2006−206349)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】