説明

ロボット及びロボットの接触検出方法

【課題】ロボットが操作対象物を取り落とさずに正確に把持するためロボットハンドと操作対象物の接触具合を正確に検知できるロボットを提供する。
【解決手段】基部30と、基部30上に配置される2つのリンク機構6,7と、リンク機構6,7を屈曲伸展可能な駆動手段3,4,5とを備えたロボットにおいて、光透過性があってかつ複数の特徴点を備えた透過膜(ゴムメッシュ)21を基部30の操作対象物11に接する面に設け、透過膜21越しに操作対象物11を撮像する撮像手段16を設け、操作対象物11把持時の透過膜21の特徴点の歪みを撮像手段16で撮像し、画像処理して操作対象物11との接触具合を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドリング作業を行うロボットに関するもので、特に基部と基部上に配置されるリンク機構とリンク機構を屈曲伸展させる駆動手段と駆動手段を制御する制御手段とを備えたフィンガ付きロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
図10は公知のロボットの構成を表す図である。
図10において、2はロボットハンドであり、マニピュレータ41の先端に固定されている。マニピュレータ41の他端はロボット本体40に固定されている。
制御部35はロボット制御部37とマニピュレータ制御部36とハンド制御部29および画像処理部23から成り、それぞれロボット40、マニピュレータ41、ロボットハンド2の制御およびカメラで撮像した画像を画像処理する。
図10に示すように、多種の小部品の組み立てなど器用な動作を行う産業用ロボットやサービスロボット等のロボット40のマニピュレータ41の先端には、人間と同様の多指多関節構造を持つロボットハンド2が具備されており、さらに前記ロボットハンドおよび操作対象物の位置関係を把握するための画像を撮像するカメラ16が具備されている。
マニピュレータ41を構成するマニピュレータ関節軸(駆動手段)42が駆動制御されることでロボット40に対するロボットハンド2の位置および姿勢を変えることができる。ロボットハンド2は操作対象物11を把持開放することでハンドリングなどの作業を行う。また、ロボットハンド2は操作対象物11を把持開放するだけでなく、先端部を使用してボタンを押したりするなど、多様な作業ができる。
【0003】
図11は図10のロボットを構成するロボットフィンガの機構を表す図で、(a)はロボットフィンガ1の伸展状態での側面図、(b)は上面図、(c)はロボットフィンガ1の屈曲状態での側面図である。
図11において、30はマニピュレータに接続される基部、1は基部30に接続されるロボットフィンガである。ロボットフィンガ1は関節軸を介して複数のリンクが連結されて成り、各関節軸を駆動することによりロボットフィンガ1を伸展および屈曲する。図11(a)記載のロボットフィンガ1において第1リンク6は第1関節軸3を介して基部30に接続されており、第1関節軸3は第1アクチュエータ13で駆動される。第2リンク7は第2関節軸4を介して第1リンク6に接続されており、第2関節軸4は第2アクチュエータ14で駆動される。指先リンク8は第3関節軸5を介して第2リンク7に固定されており、第3関節軸5は第3アクチュエータ15で駆動される。ケーブル10の一端は第1アクチュエータ、第2アクチュェータ、第3アクチュエータに接続されており、他端は図示しないフィンガ制御部9に接続されている。ケーブル10はフィンガ制御部9と各アクチュエータ間で動力および信号を接続する。
このような構成でフィンガ制御部9が各アクチュエータを駆動制御することにより、ロボットフィンガ1を図11(a)のように伸展、また図11(b)のように屈曲するのである。
【0004】
図12は基部に複数のロボットフィンガを配置したロボットハンドの構成を示す図で、(a)はロボットフィンガの伸展時の側面図、(b)はロボットフィンガの伸展時の上面図、(c)はロボットフィンガ1の屈曲時の側面図である。
図12(a)において2はロボットハンド、30はマニピュレータ31に接続される基部、1は前記基部30に接続される複数のロボットフィンガである。ロボットフィンガ1は複数のリンクが関節軸を介して回動自在に接続された構成になっている。関節軸に設けられたアクチュエータを回動制御することでリンク間の相対角度を変化させ、図12(b)のように操作対象物11を把持することができるようになっている。
ロボットハンド2は基部30にロボットフィンガ1を複数配置したものである。ここでは例として、2本のロボットフィンガが略対称に配置されかつ屈曲しても干渉しないように配置している。
このような構成で各ロボットフィンガ1を屈曲・伸展することでロボットハンド2を開閉し、操作対象物11を把持開放する。
また、図12に示したようにロボットフィンガ1全体を操作対象物11に接触させる把持方法だけでなく、ロボットフィンガ1の先端を使用して小さい物体をつまみあげたり、片方のロボットフィンガ1だけを使用してボタンを押したりするなど、多様な作業を実施する機能を有している。
【0005】
このような構成で、カメラ16で撮像された画像を基に前記ロボットハンド2と操作対象物11の位置関係を把握しながら前記ロボットハンド2を制御して操作対象物11を掴むなどの作業を実施する。さらに、ロボットフィンガ1の先端の力センサ12の値を制御装置に入力することで、ロボットフィンガ1の先端が操作対象物11に接触しているかどうかを判定する。
そこで、ロボットハンド2が操作対象物11に近づくと、カメラ16で撮像された画像には操作対象物11がロボットハンド2に隠れてしまって映らず、この撮像された画像に基づいてロボットハンド2と操作対象物11の位置関係を把握することが困難となり、ロボットハンド2の制御が不正確になるという問題があった。
また、ロボットフィンガ1の先端の力センサ12への配線ケーブルが存在するため、ロボットフィンガ1が太くなり、したがって装置が大型化・重量化し、また外観が悪くなってしまうという問題があった。
このような問題に対して、ロボットハンドの親指基部または手のひら部に撮像手段を固定して撮像することで各指と対象物の位置関係を把握し、各指の制御を正確に行う多自由度多指ハンドが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−349490号(第15−16頁、図120)
【0006】
特許文献1記載の発明は、カメラ側から撮像された画像に操作対象物を常に映し、かつ、カメラにより撮像された画像に基づいてハンドの制御を容易に行えるようにするもので、カメラを手の平側で、親指の親指フレームの上に支持するようにして、関節周りを親指フレームと共に手の平に対して平行回転するようにしたことで、多自由度多指ハンドが操作対象物に接近したときでも、各指と操作対象物の位置関係を明確に撮像することができ、各指の制御を正確に行なうことができる、という発明である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の発明においては、ロボットハンドと操作対象物が接触しているか、またロボットハンドが操作対象物を掴んでいるか、といった接触・把持の判定ができず、操作対象物を取り落としてしまう場合があった。
また、各指の先端が対象物に接触しているかどうかは画像だけでは判定することができないので、別途、カセンサを配置して、これにより接触したかどうかを判定しようとすると、配線ケーブルが必要となり、したがって装置が大型化・重量化し、また外観が悪くなってしまうという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、把持しているかどうかを判定でき、さらにロボットハンドと操作対象物の接触具合を検知でき、しかも装置が大型化・重量化することのないロボットハンドおよびロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するため、本発明は次のように構成したものである。
請求項1記載のロボットの発明は、基部と、前記基部上に配置される少なくとも2つのリンク機構と、前記リンク機構を屈曲伸展可能な駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段とを備えたロボットにおいて、光透過性があってかつ複数の特徴点を備えた透過膜を前記基部の操作対象物に接する面に設けたことを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のロボットにおいて、加圧によって変色する感圧変色素材を前記透過膜の表面に設けたことを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載のロボットにおいて、加圧によって変色する感圧変色素材を前記リンク機構の表面に設けたことを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載のロボットにおいて、前記透過膜に対して前記操作対象物の反対側に撮像手段を設けて、前記透過膜越しに前記操作対象物を撮像することを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項4記載のロボットにおいて、前記撮像手段の撮像した画像データから前記特徴点の位置変化又は前記感圧変色素材の色変化を計測することにより、前記基部と又は前記リンク機構と前記操作対象物との接触を検出する画像処理部を設けたことを特徴している。
請求項6記載のロボットの接触検出方法の発明は、基部と、前記基部上に配置される少なくとも2つのリンク機構と、前記リンク機構を屈曲伸展可能な駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段とを備えたロボットの接触検出方法において、光透過性があってかつ複数の特徴点を備えた透過膜を前記基部の操作対象物に接する面に設け、前記透過膜に対して前記操作対象物の反対側に撮像手段を設け、前記透過膜越しに前記操作対象物を前記撮像手段で撮像した画像データから前記特徴点の位置変化を計測することにより、前記基部と前記操作対象物との接触を検出することを特徴としている。
請求項7記載のロボットの接触検出方法の発明は、基部と、前記基部上に配置される少なくとも2つのリンク機構と、前記リンク機構を屈曲伸展可能な駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段とを備えたロボットの接触検出方法において、加圧によって変色する感圧変色素材を操作対象物に接触する予定の接触部位の表面に設け、前記操作対象物を撮像する撮像手段を設け、前記操作対象物を前記撮像手段で撮像した画像データから前記感圧変色素材の色変化を計測することにより、前記接触部位と前記操作対象物との接触を検出することを特徴としている。
請求項8記載の発明は、請求項7記載のロボットの接触検出方法において、光透過性があってかつ複数の特徴点を備えた透過膜を前記基部の操作対象物に接する面に設け、前記透過膜に対して前記操作対象物の反対側に撮像手段を設け、前記透過膜越しに前記操作対象物を前記撮像手段で撮像した画像データから前記特徴点の位置変化を計測することにより、前記基部と前記操作対象物との接触を検出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によると、光透過性があってかつ複数の特徴点を備えた透過膜を基部の操作対象物に接する面に設けたので、ロボットハンドが操作対象物をしっかり把持しているかどうかを判定するのに用いることができる。
請求項2および3記載の発明によると、加圧によって変色する感圧変色素材を前記透過膜の表面又はリンク機構の表面に設けたので、指先に力センサを配置することなくロボットフィンガの先端と操作対象物とに干渉があることを検知することができるため、ロボットフィンガに付随する配線を減少することができ、さらに外観を向上させることができるようになる。
請求項4記載の発明によると、透過膜に対して操作対象物の反対側に撮像手段を設けて、前記透過膜越しに前記操作対象物を撮像することで、正確な把持の検知や、操作対象物が透過膜に接触している部分の形状を検知に役立てることができる。
請求項5記載の発明によると、撮像手段の撮像した画像データから特徴点の位置変化又は感圧変色素材の色変化を画像処理部で処理することにより、正確な把持の検知や、操作対象物が透過膜に接触している部分の形状を検知できるので、ロボットハンドに対する操作対象物の位置姿勢を把握し、正確に作業できるようになる。
請求項6記載の発明によると、光透過性があってかつ複数の特徴点を備えた透過膜を基部の操作対象物に接する面に設けたので、ロボットハンドが操作対象物をしっかり把持しているかどうかを判定するのに用いることができる。
請求項7記載の発明によると、加圧によって変色する感圧変色素材を設けたので、指先に力センサを配置することなくロボットフィンガの先端と操作対象物とに干渉があることを検知することができるようになる。
請求項8記載の発明によると、撮像手段の撮像した画像データから特徴点の位置変化又は感圧変色素材の色変化を画像処理部で処理することにより、正確な把持の検知や、操作対象物が透過膜に接触している部分の形状を検知できるので、ロボットハンドに対する操作対象物の位置姿勢を把握し、正確に作業できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1はカメラおよび透過膜を配置したロボットハンドを示す図で、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図において、1はロボットフィンガ、2はロボットハンド、3は第1関節軸(第1駆動手段)、4は第2関節軸(第2駆動手段)、5は第3関節軸(第3駆動手段)、6は第1リンク、7は第2リンク、8は指先リンクである。16はカメラ、21は本発明で使用されるゴムメッシュ(特徴点付き透過膜)、22はゴムメッシュ22の固定部、23は画像処理部である。なお、11はロボットハンド2の前方にある操作対象物である。
図1はロボットフィンガ1が伸展した状態で、ロボットハンド2の前方に操作対象物11がある状態である。
カメラ16はゴムメッシュ21越しにロボットハンド2の前方を撮像できる位置に配置されている。カメラ16は撮像した画像を画像処理部23に出力する。ゴムメッシュ21は弾力性のある格子状の平板であり、固定部22を介して対向する2辺を基部30に固定されており、加えられた力に応じて変形する。
この構成で、カメラ16はゴムメッシュ21越しにロボットハンド2前方を撮像するのである。
図1の本発明が図11の従来例と異なる点は、基部30に撮像手段であるカメラ16および透過膜であるゴムメッシュ21を配置した点である。本実施例で用いるゴムメッシュ21は、透明の弾性膜に格子模様が施されたものであり、格子模様の交点を特徴点として説明する。
図2は図1(b)の矢印Aの方向からの断面図である。図において、1はロボットフィンガ、16はカメラ、21は本発明で使用されるゴムメッシュ、22はゴムメッシュ22の固定部、30は基部である。
図3は図1の状態でカメラ16がゴムメッシュ21越しに操作対象物11を撮像した画像を示す図である。図において、1はロボットフィンガ、11は操作対象物、21はゴムメッシュ、24はゴムメッシュ22の交点、30は基部である。この図では、図1のようにロボットフィンガ1がまだ操作対象物11を把持していない状態であるので、ゴムメッシュ21は歪んでおらず、メッシュは正方形を保っている。
一方、図4はロボットハンド1が操作対象物11を把持した状態を示す図で、(a)は上面図、(b)は側面図である。図において、ロボットフィンガ1は操作対象物11を両指で把持しているので、固定部22に固定されたゴムメッシュ21は操作対象物11に接触して、圧迫され、操作対象物11の輪郭に沿って引っ張られるため、歪み、そのゴムメッシュ22の交点24は正方形を保持できなくなる。
画像処理部23(図4)では図3の画像から画像の特徴量として、特徴点であるゴムメッシュ21の交点24の位置を求める。また、ロボットハンド2に対する操作対象物11の位置と姿勢を算出し、ロボットフィンガ1および基部30で構成された把持部の内側に操作対象物11が入るようにロボットハンド2の位置を制御する。その後、ロボットフィンガ1を屈曲させて操作対象物11を把持するのであるが、このとき、操作対象物11がゴムメッシュ21に押し付けられるので前述のようにゴムメッシュ21が図4のように変形する。
図5は図4の状態でカメラ16が撮像した画像を示す図である。図から判るように、ゴムメッシュ21が変形した画像が得られる。
画像処理部23では図5の画像の特徴量であるゴムメッシュ21の交点24の位置を求め、図3で得られた位置と比較して変化していることから、操作対象物11がゴムメッシュ21に押さえつけられていることを認識できる。
また、ゴムメッシュ21の交点24の位置から、そのゴムメッシュ21に加えられている力が測定できる。
さらに、操作対象物11とゴムメッシュ21が接触している部分の形状を検知できるので、ロボットハンド2に対する操作対象物11の位置姿勢を把握できるようになっている。
これにより、操作対象物11に加えられている把持力を測定できるとともに、操作対象物11を把持した状態でマニピュレータ41を動作させた際のゴムメッシュ21の形状の変化を監視できるので、操作対象物11を把持できているかどうかを判定できることとなる。すなわち、ロボットハンド2が操作対象物11を把持しているかどうかを判定できるので、取り落とさずに把持することができる。
さらに、操作対象物11をテーブル上の目標位置に設置する際に、操作対象物11の傾きなどを調整し、正確に作業ができるようになる。
【実施例2】
【0012】
次に、本発明の実施例2について、ロボットフィンガ1の先端で操作対象物11を押す作業を例にとって説明する。
実施例2が実施例1と異なる点は、ロボットフィンガ1の先端に圧力の強さに応じて色が変化する感圧変色素材から成る感圧変色部(液晶板)25を設けた点である。感圧変色素材25の例として液晶板が挙げられる。ここでは例として、圧力がかかっていない状態では白色で、圧力の強さに応じて灰色を通して徐々に黒色に変化していく液晶板25をロボットフィンガ1の先端に配置している。また、操作対象物の例として、ボタン26を用いて説明する。
図6は本発明のロボットハンドの構成を表す図であり、ロボットフィンガの先端が操作対象物であるボタンにまだ接触していない状態を示している。
図において、1はロボットフィンガ、2はロボットハンド、16はカメラ、23は画像処理部、30は基部である。25は実施例2でロボットフィンガ1の先端に設けられた液晶板、26はボタンである。
図7は図6の状態でカメラ16が撮像した画像を示す図である。
図6では、ロボットフィンガ1がまだボタン26を押圧していない状態であるので、図7の液晶板25は白色を呈している。
【0013】
図8は実施例2のロボットハンド2のロボットフィンガ1の先端と操作対象物であるボタン26が接触している状態を示す。
この構成で、図8に示すようにロボットフィンガ1の先端がボタン26に接触すると液晶板25が白色から灰色、黒色に変色する。図9は図8の状態でカメラ16が撮像した画像であり、図7では液晶板25の色が変化していなかったのが、図9では液晶板25の色が黒く変化している画像が得られる。
そこで、画像処理部23(図8)は液晶板25の色の濃淡によってロボットフィンガ1の先端に加わっている力の大きさを判断し、その判断結果をロボットの制御装置に出力する。
このようにして実施例2では、ロボットフィンガ1の先端に加わる力を色の変化で検知できるため、従来のような指先に力センサを配置するようなことをしなくても、ロボットフィンガ1の先端とボタン26とに干渉があることを検知することができるので、ロボットフィンガ1に付随する配線を減少することができ、したがってまた、装置が大型化・重量化し、また外観が悪くなってしまうといった問題も一切なくなる。
また、本発明は液晶板をロボットフィンガ先端に配置するだけではなくて、透過膜やリンク上に配置しても同様な効果が得られるものである。
例えば、透過膜に固定した液晶板25によれば、カメラ16で撮像された画像の色の変化から透過膜と操作対象物に加わっている握力を検知できるので、圧力センサや力センサを接続する際に必要なロボットハンドに付随する配線を減少することができ、さらに外観を向上させることができる。
以上、本発明によれば、ロボットハンドと操作対象物が接触しているか、またロボットハンドが操作対象物を掴んでいるか、といった接触・把持の判定が正確にでき、したがってまた、操作対象物を取り落としてしまうといったことの起きないロボットが得られる。
また、力センサにより接触したかどうかを判定する必要もなくなるので、配線ケーブルが不要となり、したがって装置が小型化・軽量化ができ、外観が良くなる。
なお、本発明はロボットに限らず、家電製品などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1のロボットの構成を表す図である。
【図2】本発明の実施例1のロボットの断面図である。
【図3】ロボットハンド未把持時に撮像された実施例1のカメラ画像である。
【図4】本発明の実施例1のロボットの構成を表す図である。
【図5】ロボットハンド把持時に撮像された実施例1のカメラ画像である。
【図6】本発明の実施例2のロボットの構成を表す図である。
【図7】ロボットハンド未把持時に撮像された実施例2のカメラ画像である。
【図8】本発明の実施例2のロボットの構成を表す図である。
【図9】ロボットハンド把持時に撮像された実施例2のカメラ画像である。
【図10】従来の一般的なロボットの構成を表す図である。
【図11】従来の一般的な多指多軸ロボットハンドの構成を表す図である。
【図12】図10のロボットのロボットフィンガの構成を表す図である。
【符号の説明】
【0015】
1 ロボットフィンガ
2 ロボットハンド
3 第1関節軸(第1駆動手段)
4 第2関節軸(第2駆動手段)
5 第3関節軸(第3駆動手段)
6 第1リンク
7 第2リンク
8 指先リンク
9 フィンガ制御部
10 ケーブル
11 操作対象物
12 力センサ
13 第1アクチュエータ
14 第2アクチュエータ
15 第3アクチュエータ
16 カメラ
21 ゴムメッシュ
22 固定部
23 画像処理部
24 交点
25 液晶板
26 ボタン
29 ハンド制御部
30 基部
35 制御部
36 ロボット制御部
37 マニピュレータ制御部
40 ロボット
41 マニピュレータ
42 マニピュレータ関節軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、前記基部上に配置される少なくとも2つのリンク機構と、前記リンク機構を屈曲伸展可能な駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段とを備えたロボットにおいて、光透過性があってかつ複数の特徴点を備えた透過膜を前記基部の操作対象物に接する面に設けたことを特徴とするロボット。
【請求項2】
加圧によって変色する感圧変色素材を前記透過膜の表面に設けたことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項3】
加圧によって変色する感圧変色素材を前記リンク機構の表面に設けたことを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項4】
前記透過膜に対して前記操作対象物の反対側に撮像手段を設けて、前記透過膜越しに前記操作対象物を撮像することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のロボット。
【請求項5】
前記撮像手段の撮像した画像データから前記特徴点の位置変化又は前記感圧変色素材の色変化を計測することにより、前記基部と又は前記リンク機構と前記操作対象物との接触を検出する画像処理部を設けたことを特徴とする請求項4記載のロボット。
【請求項6】
基部と、前記基部上に配置される少なくとも2つのリンク機構と、前記リンク機構を屈曲伸展可能な駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段とを備えたロボットの接触検出方法において、光透過性があってかつ複数の特徴点を備えた透過膜を前記基部の操作対象物に接する面に設け、前記透過膜に対して前記操作対象物の反対側に撮像手段を設け、前記透過膜越しに前記操作対象物を前記撮像手段で撮像した画像データから前記特徴点の位置変化を計測することにより、前記基部と前記操作対象物との接触を検出することを特徴とするロボットの接触検出方法。
【請求項7】
基部と、前記基部上に配置される少なくとも2つのリンク機構と、前記リンク機構を屈曲伸展可能な駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段とを備えたロボットの接触検出方法において、加圧によって変色する感圧変色素材を操作対象物に接触する予定の接触部位の表面に設け、前記操作対象物を撮像する撮像手段を設け、前記操作対象物を前記撮像手段で撮像した画像データから前記感圧変色素材の色変化を計測することにより、前記接触部位と前記操作対象物との接触を検出することを特徴とするロボットの接触検出方法。
【請求項8】
光透過性があってかつ複数の特徴点を備えた透過膜を前記基部の操作対象物に接する面に設け、前記透過膜に対して前記操作対象物の反対側に撮像手段を設け、前記透過膜越しに前記操作対象物を前記撮像手段で撮像した画像データから前記特徴点の位置変化を計測することにより、前記基部と前記操作対象物との接触を検出することを特徴とする請求項7記載のロボットの接触検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−233776(P2009−233776A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80805(P2008−80805)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】