説明

ロータリドレッサ及びその製造方法

【課題】切れ味が良好で精度良くドレッシングを行なえるロータリドレッサ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ロータリドレッサ10は、芯金12と電鋳層16と電鋳層16の外周面17に固着された超砥粒20とを備え、複数の超砥粒20が集合した島領域21が外周面17に間隔をおいて複数設けられる。複数の超砥粒20が集合した島領域21が間隔をおいて複数設けられるため、安価な小さな超砥粒で高価な大きな超砥粒を低密度で固着した場合と同様のドレッシング精度が得られ、一個の超砥粒の接触面積は小さくでき良好な切れ味が得られる。また同じ粒径の超砥粒を用いた場合において、外周面の面積に対して同じ砥粒数でも、超砥粒が外周面に一様に分散している場合に比べ、ロータリドレッサの回転時に一個の島領域の超砥粒と次の島領域の超砥粒との間隔を広げ、砥粒のない領域を広くでき、切れ味を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転することにより、WA砥石、GC砥石等の研削砥石あるいは超砥粒砥石の状態を整えるドレッシングに用いられるロータリドレッサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリドレッサは、外周面にダイヤモンド砥粒を埋め込み固定した回転式のドレッサである。ロータリドレッサを回転させながらWA砥石、GC砥石等の研削砥石や超砥粒砥石に押し当てることにより、これらの砥石にドレッサの形状を転写させながらドレッシングするためのものである。ロータリドレッサはドレッシング時間を大幅に短縮でき、ドレッシング精度の再現性が高く、高度な自動化が容易であり、研削コストを低減できるので、広く使用されるようになっている。
【0003】
電鋳ロータリドレッサは、ダイヤモンド砥粒を電気メッキ法により金属で固着したものである。電鋳ロータリドレッサは、精密に仕上げた母型の形状をそのまま表面に反転できるので、精細な形状のものを高精度に製作できる。電鋳ロータリドレッサは、ダイヤモンド砥粒を母型内周面に充填し、電気メッキによりダイヤモンド砥粒の一層分を母型内周面に仮固定したのち余剰のダイヤモンド砥粒を除去し、さらに電気メッキにより電鋳してダイヤモンド砥粒を固着する。そのため、ダイヤモンド砥粒は一層分が密に充填し、集中度が非常に高くなる。これにより砥粒間隔は狭くなり、研削砥石への切り込みがかかりにくく、砥石表面の砥粒が切れ刃の少ない平らな状態となり、結果として研削抵抗が高くなるという問題があった。
【0004】
そこで、ロータリドレッサのダイヤモンド砥粒の集中度を調整し、性能を向上するために、これまでにいくつかの方法が試みられている。特許文献1には、母型の壁面に接着剤を塗布し、ダイヤモンド砥粒の粒径よりもいくらか大きな網目を有するネットを母型に貼付し、このネットの網目にダイヤモンド砥粒を散布してその粒径相互間に適当な空隙を有する間隔でダイヤモンド砥粒を格子状に配列固定する技術が開示されている。この技術では、網目に入り込んだダイヤモンド砥粒のみが接着剤で接着保持され、その他のダイヤモンド砥粒は接着されないようにするものである。これにより、網目の1つにつき1個のダイヤモンド砥粒が規則的にかつ所望の分布密度で配列される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭56−163879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の技術では砥粒間隔が網目の線径程度しか広がらず、その結果、砥石への切り込み時、砥石との接触部分では同時に接触しているダイヤモンド砥粒の数が多くなり、切れ味の向上があまり望めない。また、同時に接触するダイヤモンド砥粒の数を減らすためには大きなダイヤモンド砥粒を使用し、更に砥粒間隔を広げることが考えられるが、そもそも大きなダイヤモンド砥粒は高価であるため、コスト高を招く。また、大きなダイヤモンド砥粒では一個の砥粒の接触面積が大きくなるため良好な切れ味が得られない。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、切れ味が良好で、かつ精度良くドレッシングすることが可能なロータリドレッサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、回転軸周りに回転可能な芯金と、芯金の外周側のボンド層と、ボンド層の外周面に固着された複数の超砥粒とを備え、複数の超砥粒が集合した島領域がボンド層の外周面に間隔をおいて複数設けられたことを特徴とするロータリドレッサである。
【0009】
この構成によれば、複数の超砥粒が集合した島領域がボンド層の外周面に間隔をおいて複数設けられている。このため、安価な小さな超砥粒を用いたとしても高価な大きな超砥粒を低密度で固着した場合と同様のドレッシング精度が得られ、且つ一個の超砥粒の接触面積は小さくできるので、良好な切れ味が得られる。また、同じ粒径の超砥粒を用いた場合において、外周面の面積に対して同じ砥粒数であっても、超砥粒が外周面に一様に分散して固着されている場合に比べて、ロータリドレッサの回転時に一個の島領域に属する超砥粒と次の島領域に属する超砥粒との間隔を広げることにより、砥粒のない領域を広くでき、切れ味を向上させることができる。
【0010】
また、島領域は、ロータリドレッサの回転方向に対して傾斜した複数の列をなして配置されていることが好適である。
【0011】
この構成によれば、島領域は、ロータリドレッサの回転方向に対して傾斜した複数の列をなして配置されている。このため、ロータリドレッサの回転時に一つの列に属する島領域の超砥粒が砥石に接触してから次の列に属する島領域の超砥粒が砥石に接触するまでの時間や距離が長くなり、切れ味を向上させることができる。
【0012】
この場合、島領域の複数の列それぞれは、断続的に配置されていることが好適である。
【0013】
この構成によれば、島領域の複数の列それぞれは、断続的に配置されている。そのため、それぞれの列に属する島領域の超砥粒が外周面の様々な箇所で砥石に作用し易くなり、精度よくドレッシングを行うことができる。
【0014】
また、島領域は、回転方向と直交する方向に千鳥状に配置されていることが好適である。
【0015】
この構成によれば、島領域は、回転方向と直交する方向に千鳥状に配置されている。このため、島領域の超砥粒が外周面の様々な箇所で砥石に作用し易くなり、精度よくドレッシングを行うことができる。
【0016】
また、島領域には2〜15個の超砥粒が集合していることが好適である。
【0017】
この構成によれば、島領域には2個以上の超砥粒が集合しているため、安価な小さな超砥粒を複数用いて島領域を形成することができる。また島領域には15個以下の超砥粒が集合しているため、島領域の超砥粒が多過ぎて砥石のドレッシング時に抵抗が大きくなり過ぎることを防止することができる。
【0018】
また、島領域の全面積は、ボンド層の外周面の全面積の30〜80%であることが好適である。
【0019】
この構成によれば、島領域の全面積はボンド層の外周面の全面積の30%以上であるため、島領域に属する超砥粒が砥石に接触してから次の島領域に属する超砥粒が砥石に接触するまでの時間や距離が長くなるため、切れ味を向上させることができる。また島領域の全面積はボンド層の外周面の全面積の80%以下であるため、島領域の面積が大き過ぎ、砥石のドレッシング時に抵抗が上昇することを防止することができる。
【0020】
また、ボンド層の外周面は、ドレッシングを行う砥石の所望の形状に合わせた起伏を有することが好適である。
【0021】
この構成によれば、ボンド層の外周面は、ドレッシングを行う砥石の所望の形状に合わせた起伏を有する。本発明ではボンド層の外周面を所望の形状とすることが容易であるため、このようなロータリドレッサにより砥石のドレッシングを行うことにより、砥石を高精度で所望の形状にドレッシングすることができる。
【0022】
また、本発明は、母型の内周面に複数の超砥粒が集合した島領域が間隔をおいて複数設けられるように超砥粒を母型の内周面に1層分仮固着し、仮固着した超砥粒を電鋳又は焼結のいずれかにより母型の内周面に固着させることにより超砥粒層を形成し、母型の超砥粒層が形成された内周面の側に芯金を挿入し、超砥粒層と芯金との間を接合した後に母型を除去するロータリドレッサの製造方法である。
【0023】
この構成によれば、超砥粒の粒径や形状にばらつきがある場合でも超砥粒の先端高さを高精度に揃えることができるため、精度よくドレッシングを行うことができるロータリドレッサを製造することができる。また、製造されるロータリドレッサは、複数の超砥粒が集合した島領域が間隔をおいて複数設けられるため、切れ味が良好で、かつ精度良くドレッシングを行なうことが可能なものとなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のロータリドレッサ及びその製造方法によれば、切れ味が良好で、かつ精度良くドレッシングを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態のロータリドレッサを示す斜視図である。
【図2】第1実施形態のロータリドレッサを示す正面図である。
【図3】図2の部分Bの拡大視である。
【図4】第1実施形態のロータリドレッサの周面近傍の縦断面視である。
【図5】図4のロータリドレッサの石出し後を示す縦断面視である。
【図6】(a)〜(f)は、第1実施形態のロータリドレッサの製造方法を示す図である。
【図7】第2実施形態の超砥粒の配置を示す図である。
【図8】第3実施形態の超砥粒の配置を示す図である。
【図9】第4実施形態の超砥粒の配置を示す図である。
【図10】第5実施形態の超砥粒の配置を示す図である。
【図11】第6実施形態の超砥粒の配置を示す図である。
【図12】第7実施形態の超砥粒の配置を示す図である。
【図13】第8実施形態の超砥粒の配置を示す図である。
【図14】第9実施形態の超砥粒の配置を示す図である。
【図15】実施例及び比較例の法線ドレス抵抗を示す表である。
【図16】実施例及び比較例の法線ドレス抵抗を示すグラフである。
【図17】実施例及び比較例の法線研削抵抗を示す表である。
【図18】実施例及び比較例の法線研削抵抗を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照して、本発明の実施形態に係るロータリドレッサの一例について説明する。図1及び図2に示すように本発明の第1実施形態のロータリドレッサ10は、芯金12、接合層14及び電鋳層16を備え、電鋳層の外周面にはダイヤモンド、CBN等の複数の超砥粒20が固着されている。本実施形態のロータリドレッサ10は、回転方向Rに回転させられることにより、超砥粒20がWA砥石、GC砥石等の研削砥石や超砥粒砥石を所望の形状にドレッシングする。
【0027】
芯金12は、回転軸Aを軸とする回転体であり、既存の動力工具の回転軸に固定され、回転軸A周りに回転可能とされている。接合層14は、低融点金属からなる層であり、後述するように芯金12と電鋳層16とを接合する。電鋳層16は、後述するようにNi等の金属が電気メッキにより形成されている層である。電鋳層16の外周面には複数の超砥粒20が固着されている。また、電鋳層16の外周面には、ドレッシングを行う砥石の所望の形状に合わせた凹部11等の起伏が設けられている。
【0028】
図2のB部の拡大視である図3に示すように、電鋳層16の外周面には、2〜15個の超砥粒20が集合した島領域21が間隔をおいて複数設けられている。島領域21は、回転方向Rに対して傾斜した複数の島領域配列線22に沿った列をなしている。島領域配列線22同士の間には所定の距離dの間隔が設けられている。複数の島領域21それぞれを合計した面積は、電鋳層16の外周面の30〜80%とされている。
【0029】
図4の電鋳層16の外周面近傍の断面視に示すように、本実施形態のロータリドレッサ10は、芯金12の外周側に接合層14及び電鋳層16が順次積層されて構成されている。図4は、後述する母型を外した直後の様子を示す。この状態では、全ての超砥粒20は、超砥粒20それぞれの回転軸A(芯金12、接合層14)から最も遠方に位置する部位が電鋳層16の外周面17に接するように固定されている。本実施形態のロータリドレッサ10により砥石のドレッシングを行う際には、電鋳層16の外周面17はわずかに研磨がなされ、図5に示すように、超砥粒20の先端が電鋳層16の外周面17から突出した状態となる。
【0030】
以下、本実施形態のロータリドレッサ10の製造方法について説明する。図6(a)に示すような導電性の母型30を用意する。母型30は内周面31を有する。図6(b)に示すように内周面31を総形加工し、製造するロータリドレッサ10の凹部11の形状に対応した凸部32を形成する。
【0031】
図6(c)に示すように、超砥粒20を2〜15個ずつ集中させた島領域21が形成されるように超砥粒20を母型30の内周面31に仮固着する。この場合、島領域21は図3に示す島領域配列線22に沿うように形成される。
【0032】
図6(d)に示すように、電気メッキにより電鋳層16を形成する。これにより、超砥粒20は全て母型30の内周面31上に仮固着されていたため、それぞれの超砥粒20の先端高さを高精度に揃えることができる。
【0033】
図6(e)に示すように、芯金12が母型30の内周面31側に挿入され、芯金12と電鋳層16との間に低融点金属が溶融したものが流し込まれて冷却することにより、芯金12と電鋳層16との間が接合層14により固定される。図6(f)に示すように、母型30が除去され、芯金12を仕上げて、ロータリドレッサ10が形成される。その後、図5に示すように電鋳層16の外周面17を研磨して超砥粒20の先端を露出させることにより、ロータリドレッサ10が完成する。
【0034】
本実施形態では、回転軸A周りに回転可能な芯金12と、芯金12の外周側の電鋳層16と、電鋳層16の外周面に固着された複数の超砥粒20とを備え、複数の超砥粒20が集合した島領域21が電鋳層16の外周面17に間隔をおいて複数設けられている。このため、安価な小さな超砥粒を用いたとしても高価な大きな超砥粒を低密度で固着した場合と同様のドレッシング精度が得られ、且つ一個の超砥粒の接触面積は小さくできるので、良好な切れ味が得られる。また、外周面の面積に対して同じ砥粒数であっても、超砥粒が外周面に一様に分散して固着されている場合に比べて、ロータリドレッサの回転時に一個の超砥粒が砥石に接触してから次の超砥粒が砥石に接触するまでの時間や距離が長くなるため、切れ味を向上させることができる。
【0035】
また、島領域21は、ロータリドレッサの回転方向に対して傾斜した複数の列をなして配置されている。このため、芯金12の回転時に一つの列に属する島領域21の超砥粒20が砥石に接触してから次の列に属する島領域21の超砥粒20が砥石に接触するまでの時間や距離dが長くなるため、切れ味を向上させることができる。
【0036】
また、島領域21には2個以上の超砥粒20が集合しているため、安価な小さな超砥粒20を複数用いて島領域21を形成することができる。また、島領域21には15個以下の超砥粒20が集合しているため、島領域21の超砥粒20が多過ぎて砥石20のドレッシング時に抵抗が大きくなり過ぎることを防止することができる。
【0037】
また、島領域21の全面積は電鋳層16の外周面17の全面積の30%以上であるため、島領域21に属する超砥粒20が砥石に接触してから次の島領域21に属する超砥粒20が砥石に接触するまでの時間や距離dが長くなるため、切れ味を向上させることができる。また、島領域21の全面積は電鋳層16の外周面17の全面積の80%以下であるため、島領域21の面積が大き過ぎて砥石のドレッシング時に抵抗が大きくなり過ぎることを防止することができる。
【0038】
また、電鋳層16の外周面17は、ドレッシングを行う砥石の所望の形状に合わせた凹部11等の起伏を有する。本実施形態では電鋳層16の外周面17を所望の形状とすることが容易であるため、このようなロータリドレッサ10により砥石のドレッシングを行うことにより、砥石を高精度で所望の形状にドレッシングを行うことができる。
【0039】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。図7に示す本発明の第2実施形態では、島領域21は、千鳥状に配置されている。このため、島領域21の超砥粒20が外周面17の様々な箇所で砥石に作用し易くなり、精度よくドレッシングを行うことができる。
【0040】
また、図8に示す本発明の第3実施形態では、島領域21の複数の列それぞれは、電鋳層16の外周面17の一部を横切る長さである。すなわち、島領域21の列は断続的に配置されている。そのため、それぞれの列に属する島領域21の超砥粒20が外周面17の様々な箇所で砥石に作用し、精度よくドレッシングを行うことができる。
【0041】
また、図9に示す本発明の第4実施形態では、島領域21がV字状をなして配置されている。図10に示す本発明の第5実施形態では、島領域21が円形あるいは楕円形をなして配置されている。図11に示す本発明の第6実施形態では、島領域21が菱形に配置されている。図12に示す本発明の第7実施形態では、島領域21が十字型に配置されている。このように島領域21の配置を変えることで、砥石への作用を適宜変更することができる。
【0042】
また、図13に示す本発明の第8実施形態では、島領域21’と島領域21”とで島領域21’,21”それぞれの面積と超砥粒20の数が変更されている。また、図14に示す本発明の第9実施形態では、島領域21’と島領域21”とで島領域21’,21”それぞれの面積は同じであるが、超砥粒20の数が変更されている。このように島領域21〜21”の面積や超砥粒20の数を変更することにより、電鋳層16の外周面17の各部位において選択的に砥石に対する作用を適宜変更することができる。
【0043】
本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。例えば、上記実施形態では、電鋳層16に電鋳により超砥粒20を固着した態様を中心に説明した。しかし、本発明のロータリドレッサは、上記実施形態と同様に母型30の内周面に超砥粒20を島状に仮固定した後に、樹脂、金属粉等を流し込んで焼結させることによって超砥粒20を固着した焼結ロータリドレッサにも適用可能である。
【実施例1】
【0044】
以下、本発明の実施例について説明する。図1〜6に示す本発明の第1実施形態のロータリドレッサを製造した。ロータリドレッサは、直径100mm、外周面の幅30mmのものを製造した。また、比較例として、実施例と同様の直径100mm、外周面の幅30mmのロータリドレッサであって、外周面に一様に超砥粒が固着されたロータリドレッサを用意した。
【0045】
実施例及び比較例それぞれのロータリドレッサによりドレッシングされる研削ホイールとして、直径200mm、外周面の幅7mmのビトリファイドCBNホイールをそれぞれ用意した。ドレス方式は湿式プランジドレスとし、ロータリドレッサ及びビトリファイドCBNホイールの外周面が同じ方向に回転するダウンドレスとした。ドレッサの送り速度は200μm/minであり、ロータリドレッサの周速は503m/minとした。ビトリファイドCBNホイールの周速は、以下の(1)〜(3)の3通りにした。このときの法線ドレス抵抗を圧電型動力計(日本キスラー株式会社製)にて測定した。
(1)2000m/min,周速比(ロータリドレッサの周速/ビトリファイドCBNホイールの周速)=0.25
(2)1000m/min,周速比(ロータリドレッサの周速/ビトリファイドCBNホイールの周速)=0.5
(3)667m/min,周速比(ロータリドレッサの周速/ビトリファイドCBNホイールの周速)=0.75
【0046】
また、実施例及び比較例それぞれのロータリドレッサによりドレッシングされたビトリファイドCBNホイールにより被削材の研削をそれぞれ行った。研削方式は湿式クリープフィード研削とした。ビトリファイドCBNホイールの周速は2000m/minとした。被削材の送り速度は、50mm/minとした。切り込み量は0.5mmとした。被削材としては、高速度工具鋼であるSKH−51(日本工業規格)であって、HRC(焼入焼戻し硬度)が60の物を用意した。このときの法線研削抵抗を圧電型動力計(日本キスラー株式会社製)にて測定した。
【0047】
図15及び図16に示すように、ロータリドレッサとビトリファイドCBNホイールとのいずれの周速比においても、実施例のロータリドレッサの法線ドレス抵抗は比較例よりも減少し、切れ味が向上していることが判る。また、図17及び図18に示すように、実施例のロータリドレッサによりドレッシングされたビトリファイドCBNホイールの法線研削抵抗は比較例より減少し、ロータリドレッサによりドレッシングされたビトリファイドCBNホイールの切れ味も向上していることが判る。
【符号の説明】
【0048】
10…ロータリドレッサ、11…凹部、12…芯金、14…接合層、16…電鋳層、17…外周面、18…仮想周面、20…超砥粒、21,21’,21”…島領域、22…島領域配列線、30…母型、31…内周面、32…凸部、A…回転軸、R…回転方向、d…距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸周りに回転可能な芯金と、
前記芯金の外周側のボンド層と、
前記ボンド層の外周面に固着された複数の超砥粒と、
を備え、
複数の前記超砥粒が集合した島領域が前記ボンド層の前記外周面に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする、ロータリドレッサ。
【請求項2】
前記島領域は、前記ロータリドレッサの回転方向に対して傾斜した複数の列をなして配置されている、請求項1に記載のロータリドレッサ。
【請求項3】
前記島領域の複数の列それぞれは、断続的に配置されている、請求項2に記載のロータリドレッサ。
【請求項4】
前記島領域は、回転方向と直交する方向に千鳥状に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のロータリドレッサ。
【請求項5】
前記島領域には2〜15個の前記超砥粒が集合している、請求項1〜4のいずれか1項に記載のロータリドレッサ。
【請求項6】
前記島領域の全面積は、前記ボンド層の前記外周面の全面積の30〜80%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のロータリドレッサ。
【請求項7】
前記ボンド層の前記外周面は、ドレッシングを行う前記砥石の所望の形状に合わせた起伏を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のロータリドレッサ。
【請求項8】
母型の内周面に複数の超砥粒が集合した島領域が間隔をおいて複数設けられるように前記超砥粒を前記母型の前記内周面に1層分仮固着し、仮固着した前記超砥粒を電鋳又は焼結のいずれかにより前記母型の前記内周面に固着させることにより超砥粒層を形成し、前記母型の前記超砥粒層が形成された前記内周面の側に芯金を挿入し、前記超砥粒層と前記芯金との間を接合した後に前記母型を除去するロータリドレッサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−94907(P2013−94907A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241038(P2011−241038)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000116781)旭ダイヤモンド工業株式会社 (99)
【Fターム(参考)】