説明

ロータ制動面の加工装置および加工方法並びにロータ制動面の加工装置の制御プログラム

【課題】 広い適用範囲を有し、良好な面精度を達成できるロータ制動面の加工装置を提供する。
【解決手段】 ロータ10Aと、ハブおよびベアリング16のケージを有するベアリング保持体10Bとが一体に組み込まれたアセンブリ10におけるロータ制動面11,12の加工装置である。当該加工装置は、アセンブリ10を回転駆動するための駆動手段と、ロータ制動面11,12を加工するための工具141,145と、車体取付け面を基準として、ベアリング保持体10Bをベアリング中心BCで支持するためのマウント手段132と、ベアリング中心BCと駆動中心DCとを一致させるための求芯機構112とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ制動面の加工装置および加工方法並びにロータ制動面の加工装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロータは、フランジが取付けられた状態で、制動面が加工される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、ドライブシャフト嵌合部をワークドライブに利用して、回転させながら制動面を加工するものもある(例えば、特許文献2および特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2000−301401号公報
【特許文献2】特開2001−259902号公報
【特許文献3】特開2002−263904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている方法においては、加工後にベアリングが組付けられる。したがって、ベアリング回転軸と加工軸との組付け精度が、ロータ面振れに影響を及ぼす問題を有している。
【0005】
特許文献2,3に開示されている方法においては、ドライブシャフト嵌合部を有するワーク、つまり、駆動輪が対象であり、適用範囲が狭い問題を有している。また、設備が高価であり、管理および保全費用も大きい。
【0006】
また、特許文献1〜3に開示されている方法においては、工具の動きが制限されるため、加工制御が複雑であり、精度の維持管理が煩雑である。
【0007】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、広い適用範囲を有し、良好な面精度を達成できるロータ制動面の加工装置および加工方法並びにロータ制動面の加工装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、
ロータと、ハブおよびベアリングのケージを有するベアリング保持体とが一体に組み込まれたアセンブリにおけるロータ制動面の加工装置であって、
前記アセンブリを回転駆動するための駆動手段と、
前記ロータ制動面を加工するための工具と、
車体取付け面を基準として、前記ベアリング保持体をベアリング中心で支持するためのマウント手段と、
前記ベアリング中心と駆動中心とを一致させるための求芯機構と
を有することを特徴とするロータ制動面の加工装置である。
【0009】
上記目的を達成するための請求項19に記載の発明は、
ロータと、ハブおよびベアリングのケージを有するベアリング保持体とが一体に組み込まれたアセンブリにおけるロータ制動面の加工方法であって、
車体取付け面を基準として、ベアリング保持体をベアリング中心で支持するためのステ
ップと、
アセンブリを、回転駆動するためのステップと、
ベアリング中心と駆動中心とを一致させるためのステップと、
ロータ制動面を加工するためのステップと
を有することを特徴とするロータ制動面の加工方法である。
【0010】
上記目的を達成するための請求項31に記載の発明は、
請求項1に記載のロータ制動面の加工装置を制御するための制御プログラムであって、
前記マウント手段が、車体取付け面を基準として、ベアリング保持体をベアリング中心で支持するための手順と、
前記駆動手段が、アセンブリを、回転駆動するための手順と、
前記求芯機構が、ベアリング中心と駆動中心とを一致させるための手順と、
前記工具が、ロータ制動面を加工するための手順とを、
前記ロータ制動面の加工装置に実行させるための制御プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明は以下の効果を奏する。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、ベアリング中心と駆動中心とを一致させるための求芯機構を有するため、ドライブシャフト嵌合部を有する駆動輪に加えて、軸心を有しない従動輪を加工することが可能である。ロータとベアリング保持体とが一体に組み込まれたアセンブリの状態で、ロータ制動面を加工するため、ベアリング回転軸と加工軸との組付け精度は、ロータ面振れに影響を及ぼさない。車体取付け面を基準として、ベアリング保持体をベアリング中心で支持し、ベアリング中心と駆動中心とを一致させて、ロータ制動面を加工するため、平行度が確保され、面振れによるガタツキの発生を抑制し、面粗度を安定化させることが可能である。つまり、広い適用範囲を有し、良好な面精度を達成できるロータ制動面の加工装置を提供することができる。
【0013】
請求項19に記載の発明によれば、ロータ制動面の加工に際し、ベアリング中心と駆動中心とを一致させるため、ドライブシャフト嵌合部を有する駆動輪に加えて、軸心を有しない従動輪を加工することが可能である。ロータとベアリング保持体とが一体に組み込まれたアセンブリの状態で、ロータ制動面を加工するため、ベアリング回転軸と加工軸との組付け精度は、ロータ面振れに影響を及ぼさない。車体取付け面を基準として、ベアリング保持体をベアリング中心で支持し、ベアリング中心と駆動中心とを一致させて、ロータ制動面を加工するため、平行度が確保され、面振れによるガタツキの発生を抑制し、面粗度を安定化させる。つまり、広い適用範囲を有し、良好な面精度を達成できるロータ制動面の加工方法を提供することができる。
【0014】
請求項31に記載の発明によれば、制御プログラムによって、請求項1に記載のロータ制動面の加工装置の各部を制御し、ロータ制動面の加工に際し、ベアリング中心と駆動中心とを一致させるための動作を実行させることができるため、ドライブシャフト嵌合部を有する駆動輪に加えて、軸心を有しない従動輪を加工することが可能である。ロータとベアリング保持体とが一体に組み込まれたアセンブリの状態で、ロータ制動面を加工するための手順を実行させるため、ベアリング回転軸と加工軸との組付け精度は、ロータ面振れに影響を及ぼさない。車体取付け面を基準として、ベアリング保持体をベアリング中心で支持し、ベアリング中心と駆動中心とを一致させて、ロータ制動面を加工するための各手順を実行させるため、平行度が確保され、面振れによるガタツキの発生を抑制し、面粗度を安定化させることが可能である。つまり、広い適用範囲を有し、良好な面精度を達成できるロータ制動面の加工装置の制御プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、実施の形態1に係る加工装置の側面図、図2は、実施の形態1に係るワークを説明するための拡大断面図、図3は、図1の加工装置のミリングカッタを説明するための側面図、図4は、ミリングカッタのチップ構成に係る比較例を説明するための側面図、図5(A)および図5(B)は、カッター目の差異を説明するための平面図であり、ミリングカッタおよびバイト(旋盤)の場合を示している。
【0017】
図1に示す加工装置100は、連続通路数値制御式のフライス盤であり、ワーク支持部110と、フライス工具140と、工具支持部160と、台座部190と、NC制御部(不図示)とを有する。
【0018】
ワーク支持部110は、ワーク10を把持するための上部マウント手段112および下部マウント手段131と、上部マウント手段112を回転駆動するためのワークドライブ部111と、下部マウント手段131を回転自在に支持するための支持部130とを有する。
【0019】
図2に示すワーク10は、例えば、駆動輪あるいは従動輪のロータ10Aと、ハブおよびベアリングのケージを有するベアリング保持体10Bとが一体に組み込まれたアセンブリである。ロータ10Aとベアリング保持体10Bとは、実機相当のナット13によって締結(固定)されている。なお、符号14および15は、ロケートピンおよびベアリングを示している。
【0020】
上部マウント手段112は、駆動中心DCとベアリング中心BCとを一致させるための求芯機構を有する。求芯機構は、ロータ10Aとベアリング保持体10Bとを締結するためのハブボルト部に関し、回転方向の移動を規制し、半径方向は移動自在に支持する。ハブボルト部は、ロータ10Aとベアリング保持体10Bとを締結するためのボルトおよびナット13を含んでいる。ワークドライブ部111は、例えば、可変式モータおよび減速機を有し、ワーク10を低速(例えば、2rpm)で回転駆動する。
【0021】
下部マウント手段131は、対向する位置に配置されるスイングクランプ132,133を有し、車体取付け面を基準として、ベアリング保持体10Bをベアリング中心BCで支持する。スイングクランプ132,133は、爪が90度回転し、引き込むことで、ベアリングケージのフランジ部を固定し、また、爪が90度回転し、フランジ部から逃げることで、固定を解除することが可能である。つまり、下部マウント手段131は、ワーク10を着脱自在に保持している。なお、下部マウント手段131は、スイングクランプを適用するものに限定されない。
【0022】
ワーク支持部110は、ワーク10の着脱の際に、ワークドライブ部111の配置位置を変更するための位置変更手段(不図示)を有する。位置変更手段は、例えば、ワークドライブ部111を上方に移動させる油圧シリンダである。
【0023】
フライス工具140は、一対のミリングカッタ141,145を有し、ワーク10の両側に位置する加工面(ロータ制動面)を同時に加工することができる。ワーク10は、ミリングカッタ141,145によって相互に押さえられるため、びびりの発生が抑制される。
【0024】
ミリングカッタ141,145は、カッタボディ150および複数のチップ151,142を有する。ミリングカッタ141,145は、ワーク10に向かって斜め方向から接
近するため、後ろ歯(チップ142)は、アプローチ角が大きくなるように設定されている。
【0025】
つまり、図4の比較例に示されるように、後ろ歯(チップ342)のアプローチ角が小さい場合、ワーク310との接触面が大きく、切削抵抗が増加するため、びびりが発生しやすい。一方、ミリングカッタ141,145のチップ142のアプローチ角は、大きいため、切削抵抗が減少し、びびりの発生が抑制される。したがって、面振れや粗度などの面精度の安定化を図ることが可能である。なお、カッタボディ150は、チップ142の外周側に、チップ142を支持するための補強構造を有することが好ましい。
【0026】
工具支持部160は、ミリングカッタ141,145を回転駆動させるための駆動部と、ミリングカッタ141,145を所定の工具パスを経由して移動させるための送り手段と、送り手段が取付けられる支柱部169とを有する。
【0027】
工具支持部160の駆動部は、駆動源であるモータ162と、ミリングカッタ141が回転自在に取付けられている主軸上部(第1主軸部)161と、ミリングカッタ145が回転自在に取付けられている主軸下部(第2主軸部)165とを有する。
【0028】
主軸上部161は、モータ162に連結されており、ミリングカッタ141を回転駆動する。主軸下部165は、スプライン軸(連結手段)164によって主軸上部161に連結されており、ミリングカッタ145は、モータ162によって、例えば、2000rpmで回転駆動される。したがって、ミリングカッタ141,145は、モータ162によって、位相一定かつ同一回転数で駆動される。
【0029】
したがって、加工装置100は、独立した軸移動が可能であり、ミリングカッタ141,145の回転周期を同期化することができる回転同期機構を有している。したがって、例えば、ジャダーの主因と言われているロータ肉厚差(DTV)を抑制あるいは調整することが可能である。なお、ミリングカッタ141,145の刃の位相は、スプライン軸164の嵌合位置を変更することで、調整可能である。
【0030】
工具支持部160に設けられる送り手段は、スライドベース170,171,172を有する。スライドベース170は、主軸上部161およびモータ162が固定され、また、スライドガイド175を介して、スライドベース171に連結されている。スライドベース171の上部には、往復動駆動手段である油圧シリンダ176が配置されており、スライドベース170を上下方向に独立して駆動自在である。フライス工具140(ミリングカッタ141,145)の交換は、油圧シリンダ176によって、スライドベース170を上昇させ、スプライン軸164を引き離すことによって、実行可能である。
【0031】
スライドベース171は、直進運動ユニット181に連結され、また、支柱部169に取付けられたスライドガイド178に案内される。直進運動ユニット181は、例えば、ボールスクリューなどのナットシステムからなり、支柱部169の上部に配置されるモータ180に連結される。したがって、モータ180は、主軸上部161が固定されるスライドベース171を、スライドガイド178に沿って上下に移動させることが可能である。
【0032】
スライドベース171の下部には、この下部に螺合するボルト173aなどのストッパ173が配置されている。スライドベース170の下限位置は、ストッパ173の突出量を螺合状態により調整して、スライドベース170に突き当てて、調整可能である。つまり、ストッパ173は、スライドベース170に固定されている主軸上部161を位置調整するために使用される。
【0033】
スライドベース172は、主軸下部165が取付けられる一方、直進運動ユニット183に連結され、また、支柱部169に取付けられたスライドガイド178に案内される。直進運動ユニット183は、カップリング182を介して、直進運動ユニット181に連結されており、互いに同量で逆方向にミリングカッタ141,145を接近・離反動作するように設定されている。したがって、モータ180は、主軸上部161および主軸下部165の位置を変更可能であり、また、主軸下部165と主軸上部161とは、対称に駆動される。
【0034】
なお、スライドベース170,171、スライドガイド175、油圧シリンダ176、ストッパ173により、調整ユニット179が構成される。
【0035】
ここで、ワーク10の厚さ幅寸法が変化した際には、ワーク10の下部を支持する下部マウント手段131の位置は固定なので、ワーク10上部のロータ制動面11の高さだけが変化する。
【0036】
そこで、上側の調整ユニット179をロータ制動面の高さ変化に応じ位置調整することにより、ロータ制動面11,12の両面を同量で逆方向に精度良く同時加工ができるので、ワーク種類を変更した際の段取り作業が容易となり、時間も短縮できる。
【0037】
なお、調整ユニット179は、上側のロータ制動面11を加工する上側の直進運動ユニット181側に設けたが、これに代えて下側の直進運動ユニット183に設けても良く、その際には、ワーク10の上部位置を固定する必要がある。
【0038】
台座部190は、支柱部169が連結される直進運動ユニット191と、直進運動ユニット191を駆動するためのモータ192とを有する。モータ192は、フライス工具140および工具支持部160を、ワーク支持部110に向かって近接離間可能である。
【0039】
NC制御部は、加工装置100の各部110,130,160,190を数値制御するために使用され、記憶部、演算部および入出力部を有する。
【0040】
記憶部は、ROMなどの読取り専用の記憶装置、RAMなどの高速のランダムアクセス記憶装置、ハードディスクドライブなどの大容量のランダムアクセス記憶装置などを必要に応じて有しており、ワーク10の寸法、送り速度、工具パス等の加工に必要とされるNCデータや制御プログラムを記憶する。
【0041】
演算部は、中央処理装置(CPU)を有し、記憶部に記憶されているNCデータや制御プログラム並びに各部110,130,160,190からの出力信号などに基づいて、各部110,130,160,190を連続的に制御するため制御信号を生成する。
【0042】
入出力部は、各部110,130,160,190からの出力信号を演算部に転送し、また、演算部によって生成された制御信号を、各部110,130,160,190に転送するためのインターフェースを有する。
【0043】
以上のように、実施の形態1に係る加工装置100は、ベアリング中心と駆動中心とを一致させるための求芯機構を有するため、ドライブシャフト嵌合部を有する駆動輪に加えて、軸心を有しない従動輪を加工することが可能である。また、ロータとベアリング保持体とが一体に組み込まれたアセンブリの状態で、ロータ制動面を加工するため、ベアリング回転軸と加工軸との組付け精度は、ロータ面振れに影響を及ぼさない。
【0044】
さらに、車体取付け面を基準として、ベアリング保持体をベアリング中心で支持し、ベアリング中心と駆動中心とを一致させて、ロータ制動面を加工するため、平行度が確保され、面振れによるガタツキの発生を抑制し、面粗度を安定化させることが可能である。つまり、広い適用範囲を有し、良好な面精度を達成できるロータ制動面の加工装置を提供することができる。
【0045】
なお、ロータ制動面の加工にフライス工具が適用されるため、旋削や研削の場合と異なり、ドライ加工が可能である点で好ましい。例えば、旋削は、大量の熱を生じ、大きな熱歪を発生させるため、ドライ加工の適用が困難であり、また、ベアリングのラジアル方向への負荷が大きく、ワークを歪ませるため、精度を維持しながら高速加工することは難しい。一方、研削は、大量の粉塵を伴うため、ドライ加工の適用が困難であり、かつ、設備が高価であり、管理および保全費用も大きい。
【0046】
さらに、フライス工具の適用は、カッター目(面性状)に関しても好ましい。例えば、フライス工具のミリングカッタの場合、加工後のロータ制動面に残留するカッター目は、図5(A)に示されるように、放射状である。一方、バイト(旋盤)による旋削の場合、図5(B)に示されるように、レコード盤状である。
【0047】
ブレーキパッドをロータ制動面に押圧する場合、レコード盤状のカッター目は、ブレーキパッドを内周に向かって引き込み、あるいは外周に向かって押し出し、ブレーキパッドの可動限界点に達すると、ブレーキパッドを解放する。ブレーキパッドの引き込みおよび解放は、振動を引き起こすため、レコード盤状のカッター目は、例えば、ローラバニッシュ等の仕上げ加工によって除去することが必要である。そのため、旋削の適用は、製造コストおよび設備コストの上昇を引き起こす。
【0048】
一方、放射状のカッター目は、ブレーキパッドの引き込みおよび解放を引き起こさないため、フライス工具による加工後のロータ制動面は、仕上げ加工のための追加工程を必要としない。したがって。フライス工具の適用は、製造コストおよび設備コストを低減することを可能とする。
【0049】
次に、制御プログラムに基づいてNC制御部によって実行される加工装置100の加工動作を説明する。なお、図6(A)および(B)は、初期位置を示している平面図および側面図、図7(A)および(B)は、前進位置を示している平面図および側面図、図8(A)および(B)は、ロータ制動面の加工終了直後の待避位置を示している平面図および側面図、図9(A)および(B)は、初期位置への復帰を示している平面図および側面図である。
【0050】
まず、ロータと、ハブおよびベアリングのケージを有するベアリング保持体とが一体に組み込まれたアセンブリであるワーク10を、下部マウント手段によって、車体取付け面を基準として、ベアリング保持体をベアリング中心で支持する。一方、求芯機構が設けられた上部マウント手段112によって、ワーク10のハブボルト部に関し、回転方向の移動を規制し、半径方向は移動自在に支持する。
【0051】
直進運動ユニット183が、カップリング182を介して、直進運動ユニット181に逆に動作するよう連結されているため、モータ180の駆動に基づく主軸上部161および主軸下部165の移動量は同一である。したがって、ワーク10の幅寸法に対応し、ストッパ173の位置を調整し、スライドベース170を位置決めすることによって、主軸上部161に取付けられているミリングカッタ141と、主軸下部165に取付けられているミリングカッタ145とは、ワーク10のロータ制動面11,12に対し、対称に動作することが可能になる。
【0052】
つまり、ミリングカッタ141,145の一方のみの制御で十分であるため、制御が容易である。また、ワーク10の厚さ幅寸法の変化にも、容易に対応することが可能である。
【0053】
スライドベース170の位置決め後、モータ162を駆動することによって、ミリングカッタ141,145を、例えば、2000rpm(V=1200m/s)で回転させる。また、ワーク支持部110のワークドライブ部111によって、ワーク10を、切削条件に合わせて、例えば、2rpmで回転させる。
【0054】
台座部190のモータ192を駆動することで、直進運動ユニット191は、工具支持部160の支柱部169をワーク支持部110に向かって徐々に移動させる。同時に、モータ180を駆動することで、ミリングカッタ141,145は、互いに徐々に近接する。つまり、送り手段によって、ミリングカッタ141,145を、ロータ制動面11,12に向かって斜め方向から接近させる。
【0055】
したがって、ミリングカッタ141,145は、回転駆動されながら、図6に示される初期位置から図7に示される前進位置に、送られる。そして、上部マウント手段および下部マウント手段によって支持されているワーク10のロータ制動面11,12に、ミリングカッタ141,145によって、フライス加工が施される。
【0056】
この際、ベアリング中心と駆動中心とが一致するため、ワーク10として、ドライブシャフト嵌合部を有する駆動輪に加えて、軸心を有しない従動輪を加工することが可能である。ワーク10は、ロータとベアリング保持体とが一体に組み込まれたアセンブリからなるため、ベアリング回転軸と加工軸との組付け精度は、ロータ面振れに影響を及ぼさない。車体取付け面を基準として、ベアリング保持体をベアリング中心で支持し、ベアリング中心と駆動中心とを一致させて、フライス加工が施されるため、平行度が確保され、面振れによるガタツキの発生が抑制され、面粗度を安定化する。
【0057】
また、ミリングカッタ141,145とワーク10のロータ制動面11,12との接触時において生じる食いつきは、その後のフライス加工によって除去される。したがって、面振れや粗度などの面精度を安定化させることが可能である。
【0058】
さらに、ワーク10は、ミリングカッタ141,145によって両側から押さえられるため、びびりの発生が抑制される。さらに、ワーク10の両面(ロータ制動面11,12)が同時に加工されるため、押圧力がバランスされ、均等となるため、過度の切削痕の発生が抑制される。
【0059】
ロータ制動面11,12のフライス加工は、例えば、ワーク10が2回転する間、継続させる。加工終了後、モータ180を駆動することで、図8に示されるように、ミリングカッタ141,145をワーク10のロータ制動面11,12に対して垂直方向に離間させて待避位置に移動させる。つまり、送り手段によって、ミリングカッタ141,145を、ロータ制動面11,12から所定の工具パスを経由して移動させる。これにより、ミリングカッタ141,145の抜け時におけるカッタ痕形成が抑制され、面振れや粗度などの面精度を安定化させることができる。
【0060】
そして、モータ162によるミリングカッタ141,145の回転およびワークドライブ部111によるワーク10の回転を停止させる。一方、台座部190のモータ192を駆動することで、工具支持部160の支柱部169をワーク支持部110から離間するように移動させ、図9に示されるように、ミリングカッタ141,145を初期位置へ復帰
させる。
【0061】
以上のように、実施の形態1においては、広い適用範囲を有し、良好な面精度を達成できるロータ制動面の加工方法を提供することができる。また、ロータ制動面を加工するための各動作(手順)は、制御プログラムによって、加工装置100の各部を制御することで、実行される。つまり、広い適用範囲を有し、良好な面精度を達成できるロータ制動面の加工装置の制御プログラムを提供することができる。
【0062】
次に、駆動中心とベアリング中心とを一致させるための求芯機構を説明する。図10は、求芯機構が設けられた上部マウント手段を説明するための分解図、図11は、求芯機構におけるY軸調整部を説明するための底面図、図12は、Y軸調整部を説明するための断面図である。
【0063】
上部マウント手段112は、ワークドライブ部111に連結される第1ユニット113と、ワーク10を把持するための第2ユニット120とを有し、求芯機構は、第1ユニット113と第2ユニット120とを組み合わせることによって構成される。
【0064】
第1ユニット113は、第2ユニット120に向かって突出した、1対の断面L字状のフック部材114を有する。フック部材114は、向かい合って、第1ユニット113の中央部に配置される。フック部材114の相対する先端部には、スプリング116によって付勢されたベアリング115が配置される。ベアリング115は、X軸方向に沿って配置され、先端部から若干突出している。
【0065】
第2ユニット120は、第1ユニット113に向かって突出した断面T字状の異形部材117を有する。異形部材117の配置位置は、フック部材114の配置位置に対応している。異形部材117は、フック部材114の間に形成される隙間に、側方から挿入自在とするための段差部118を有する。段差部118の両側面は、X軸方向に沿って配置されるベアリング115と接触し支持されることで、X軸方向の動きが規制されるが、Y軸方向(ベアリング115の作動方向)の移動は、自由である。
【0066】
つまり、フック部材114および異形部材117は、第2ユニット120をY軸に関して移動可能に支持しており、駆動中心DCとベアリング中心BCに関するY軸方向のずれを吸収することが可能であるY軸調整部を構成している。
【0067】
図13は、求芯機構におけるX軸調整部を説明するための平面図、図14は、X軸調整部の第1ロック部材を説明するための断面図、図15は、X軸調整部の第2ロック部材を説明するための断面図、図16は、4穴ワークを支持するための動作を説明するための平面図である。
【0068】
第2ユニット120のワーク10に相対する側には、矩形状の第1ロック部材121および第2ロック部材122が配置される。第1ロック部材121および第2ロック部材122は、それぞれ、一対であり、溝部123が向かい合って形成される。
【0069】
溝部123には、プレート124と、プレート124を移動自在に支持するベアリング125と、プレート124の動きを調整するためのスプリング126と、プレート124の脱落を防止するための保持プレート128とが配置される。なお、第2ロック部材122は、三角状部材127を有する。また、ベアリング125の作動方向(X軸方向)と、第1ユニット113のフック部材114に配置されるベアリング115の作動方向(Y軸方向)とは、直角に交差している。
【0070】
ワーク10は、4穴であり、ハブボルト部14A〜14Dを有する。ハブボルト部14A〜14Dは、ワーク10の中心に関し、90度間隔で配置されているため、ハブボルト部14Aおよびハブボルト部14Cを結ぶ線と、ハブボルト部14Bおよびハブボルト部14Dを結ぶ線とは、ワーク10の中心で直角に交差する。
【0071】
第2ユニット120の第1ユニット113に相対する側には、第1ロック部材121および第2ロック部材122を駆動するためのチャック129が配置される。チャック129は、例えば、空気圧シリンダを駆動源としており、空気を供給するためのチューブは、適当なカップリング機構を使用して、外部の高圧空気源に接続されている。チャック129の駆動源は、空気圧に限定されず、例えば、油圧やスプリングを利用することも可能である。
【0072】
第1ロック部材121のプレート124は、チャック129によって第1ロック部材121が互いに近接するように駆動することで、例えば、4穴のワーク10におけるハブボルト部14Aの両側面と接触し、把持することが可能である。同様に、第2ロック部材122のプレート124は、チャック129によって第2ロック部材122が互いに近接するように駆動することで、4穴のワーク10におけるハブボルト部14Cの両側面と接触し、把持することが可能である(図16参照)。
【0073】
したがって、プレート124は、ベアリング125によって移動自在に支持されているため、ワーク10は、円周方向の移動は規制されるが半径方向(X軸)の移動は可能である。つまり、第1ロック部材121、第2ロック部材122およびチャック129は、ワーク10をX軸方向(ベアリング125の作動方向)に関して移動可能に支持しており、駆動中心DCとベアリング中心BCに関するX軸方向のずれを吸収することが可能であるX軸調整部を構成している。
【0074】
なお、スプリング126の付勢力は、ガタの発生を抑制するために、精度に影響を及ぼさない範囲において適宜大きくすることが好ましい。
【0075】
以上のように、求芯機構は、Y軸方向のずれを吸収するためのY軸調整部と、X軸方向のずれを吸収するためのX軸調整部とが組み合わさって構成されており、駆動中心DCとベアリング中心BCとを一致させることが可能である。
【0076】
図17は、5穴ワークを支持するための動作を説明するための平面図である。
【0077】
5穴ワークにおいては、4穴ワークの場合と異なり、ハブボルト部24A〜24E中の3個(24A,24C,24D)を利用して、ワークを支持する。なお、ハブボルト部24Aは、ハブボルト部24Cとハブボルト部24Dとを結ぶ線の中央から延長する垂線上に位置する。
【0078】
第1ロック部材121のプレート124は、チャック129によって第1ロック部材121が互いに近接するように駆動することで、ハブボルト部24Aの両側面と接触し、把持する。一方、第2ロック部材122は、チャック129によって第2ロック部材122が互いに離間するように駆動することで、第2ロック部材122の三角状部材127の斜面が、ハブボルト部24C,24Dの側面と接触する。
【0079】
したがって、5穴ワークは、円周方向の移動は規制されるが、半径方向(X軸)の移動は可能である。つまり、実施の形態1に係るX軸調整部は、4穴ワークおよび5穴ワークの双方に適用可能である。なお、第2ロック部材122は、4穴ワークおよび5穴ワークに兼用可能な構造を有するものに限定されず、例えば、4穴ワーク専用とする場合は、三
角状部材127を省略することが可能である。
【0080】
以上のように実施の形態1においては、広い適用範囲を有し、良好な面精度を達成できるロータ制動面の加工装置および加工方法並びにロータ制動面の加工装置の制御プログラムを提供することができる。
【0081】
図18は、実施の形態2に係るミリングカッタの回転同期機構を説明するための側面図である。
【0082】
実施の形態2に係る加工装置が有する回転同期機構240は、ミリングカッタ141,145の位相および回転数を調整するための変速ユニット242,246と、ミリングカッタ141,145を回転駆動させるための駆動手段260と、ミリングカッタ141,145を移動させるための駆動手段280,281とを有する。駆動手段260は、例えば、インダクションモータである。駆動手段280,281は、例えば、サーボモータである。
【0083】
変速ユニット242は、ミリングカッタ141の軸に固定されたギア243と、駆動手段260の軸261に固定されたギア245と、ギア243とギア245とを連結して回転数を調整するためのギア244とを有する。変速ユニット246は、ミリングカッタ145の軸に固定されたギア247と、駆動手段260の軸261に固定されたギア249と、ギア247とギア249とを連結して回転数を調整するためのギア248とを有する。なお、ギア243〜245,247〜249は、ベアリングによって保持されている。
【0084】
駆動手段280は、ワーク10のロータ制動面11に対してミリングカッタ141および変速ユニット242を移動(降下)させるために使用される。駆動手段281は、ワーク10のロータ制動面12に対してミリングカッタ145および変速ユニット246を移動(上昇)させるために使用される。駆動手段280,281は、電気的に同期制御(2軸同時制御)される。
【0085】
以上のように、実施の形態2においても、ミリングカッタ141,145を位相一定かつ同一回転数で駆動することが可能である。なお、必要に応じて、ギアを介さずに直接的に駆動することも可能である。
【0086】
図19は、実施の形態3に係るミリングカッタの回転同期機構を説明するための側面図である。
【0087】
実施の形態3に係る加工装置が有する回転同期機構340は、ミリングカッタ141,145の位相および回転数を調整するための変速ユニット342,346と、ミリングカッタ141,145を回転駆動させるための駆動手段360,362と、ミリングカッタ141,145を移動させるための駆動手段380,381とを有する。駆動手段360,362,380,381は、例えば、サーボモータであり、電気的に同期制御される。
【0088】
変速ユニット342は、ミリングカッタ141の軸に固定されたギア343と、駆動手段360の軸361に固定されたギア345と、ギア343とギア345とを連結して回転数を調整するためのギア344とを有する。変速ユニット346は、ミリングカッタ145の軸に固定されたギア347と、駆動手段362の軸363に固定されたギア349と、ギア347とギア349とを連結して回転数を調整するためのギア348とを有する。なお、ギア343〜345,347〜349は、ベアリングによって保持されている。
【0089】
駆動手段380は、ワーク10のロータ制動面11に対してミリングカッタ141およ
び変速ユニット342を移動(降下)させるために使用される。駆動手段381は、ワーク10のロータ制動面12に対してミリングカッタ145および変速ユニット346を移動(上昇)させるために使用される。
【0090】
以上のように、実施の形態3においても、ミリングカッタ141,145を位相一定かつ同一回転数で駆動することが可能である。また、変速ユニット342,346毎に駆動手段360,362を設けているため、図18に示されるミリングカッタの回転同期機構240に比べて、振動を抑制することが可能である。
【0091】
図20は、実施の形態4に係るX軸調整部を説明するための平面図である。
【0092】
実施の形態4に係る加工装置が有するX軸調整部は、第2ユニット420のワーク10に相対する側に配置される矩形状の第1ロック部材421および第2ロック部材422を有する。第1ロック部材421は、向かい合っている側面(内側面)に溝部423が形成され、第2ロック部材422は、両方の側面(内側面および外側面)に溝部423が形成されている。溝部423には、プレート424と、プレート424を移動自在に支持するベアリング425と、プレート424の動きを調整するためのスプリング426と、プレート424の脱落を防止するための保持プレート428とが配置されている。
【0093】
第2ユニット420の第1ユニットに相対する側には、第1ロック部材421および第2ロック部材422を駆動するためのチャック429が配置される。
【0094】
ワーク10が4穴である場合、第2ロック部材421の内側面のプレート424は、チャック429によって第1ロック部材421が互いに近接するように駆動することで、ハブボルト部14Aの両側面と接触し、把持することが可能である。同様に、第2ロック部材422の内側面のプレート424は、チャック429によって第2ロック部材422が互いに近接するように駆動することで、ハブボルト部14Cの両側面と接触し、把持することが可能である。したがって、実施の形態4に係るX軸調整部は、4穴ワークにおける駆動中心DCとベアリング中心BCに関するX軸方向のずれを吸収することが可能である。
【0095】
5穴ワークの場合、第1ロック部材421の内側面のプレート424は、チャック429によって第1ロック部材421が互いに近接するように駆動することで、ハブボルト部24Aの両側面と接触し、把持する。一方、第2ロック部材422の外側面のプレート424は、チャック429によって第2ロック部材422が互いに離間するように駆動することで、ハブボルト部24C,24Dの側面と接触する。したがって、実施の形態4に係るX軸調整部は、5穴ワークにおける駆動中心DCとベアリング中心BCに関するX軸方向のずれを吸収することが可能である。
【0096】
以上のように、実施の形態4に係るX軸調整部は、実施の形態1に係るX軸調整部と同様に、4穴および5穴のワークに兼用可能である。
【0097】
図21は、実施の形態5に係るびびり除去機構を説明するための側面図である。
【0098】
実施の形態1に係る加工装置100においては、ミリングカッタ141,145によってワーク10の両面が押さえられるため、びびりの発生が抑制される。しかし、びびりの発生を除去するための機構をさらに有することは好ましい。
【0099】
実施の形態5に係る加工装置が有するびびり除去機構510は、振動検出手段511、押圧手段512、制御部515を有する。
【0100】
振動検出手段511は、ミリングカッタ141,145による加工時におけるワーク10の振動(移動量)を検出するために使用される。振動検出手段511は、例えば、圧電素子を利用する接触式振動センサや、レーザドップラ方式の非接触振動センサを有する。
【0101】
押圧手段512は、両側のロータ制動面を押圧するための上下一対からなり、押圧力を発生させるための押圧力発生手段513と、押圧力発生手段513の先端に回転自在に配置される球状の回転体514とを有する。回転体514は、ロータ制動面11,12の外周部に配置されている。押圧力発生手段513は、ロータ制動面に、回転体514を当接かつ押圧させることで、びびりの発生源である振動を抑制する。
【0102】
押圧力発生手段513が発生する押圧力は、回転体514を経由して伝達されるため、押圧手段512は、ワーク10のラジアル方向に関し、負荷を及ぼさない。押圧力発生手段513は、例えば、油圧シリンダや空気圧シリンダ等の油空圧式の往復動駆動手段を有する。
【0103】
制御部515は、振動検出手段511によって検出されるワーク10の振動(移動量)に応じて、押圧力発生手段513を調整し、回転体514が発揮する押圧力を制御する。例えば、押圧力発生手段513が油圧シリンダを有する場合、油圧(作動流体の圧力)が調整される。
【0104】
以上のように、実施の形態5に係るびびり除去機構510は、必要最低限の力でワーク10の両側のロータ制動面を均等に押さえ、かつワーク10の軸方向に負荷を及ぼさない。そのため、びびりを除去し、面振れや粗度などの面精度のさらなる安定化を図ることが可能である。なお、押圧手段512は、ロータ制動面の円周方向に沿って複数配置することで、びびりの除去効果を向上させることも可能である。
【0105】
図22は、実施の形態6に係る加工装置の要部側面図、図23は、図22の加工装置の主軸上部に係る傾斜角調整機構を説明するための側面図、図24は、図23の傾斜角調整機構の平面図、図25は、図22の加工装置の主軸下部に係る傾斜角調整機構を説明するための側面図、図26は、図25の傾斜角調整機構の平面図、図27は、図23および図25の傾斜角調整機構に係る調整手段を説明するための平面図である。
【0106】
実施の形態6に係る加工装置は、主軸上部161(第1主軸部)および主軸下部165(第2主軸部)の傾斜角を3次元的に微調整するための傾斜角調整機構610,660を有する点で、実施の形態1に係る加工装置100と概して異なる。なお、実施の形態1と同様の機能を有する部材については類似する符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
【0107】
傾斜角調整機構610は、スライドベース615、連結ベース620、支持プレート625、主軸上部161が固定されるマウントプレート630を有する。スライドベース615は、支持ピン635および調整治具640を有する点で、実施の形態1に係るスライドベース170と異なっている。支持ピン635は、下方中央端部616に配置される。調整治具640は、上部側方端部617の両側に配置される。
【0108】
なお、スライドベース615は、スライドベース170と同様に、モータ162が固定され、また、スライドガイド175を介して、スライドベース171に連結されている。
【0109】
調整治具640は、スライドベース615に固定されるベース641と、連結ベース620の上方側面部624A,624Bを押圧するための駆動部材642と、駆動部材64
2のロック手段644とを有する(図27参照)。
【0110】
駆動部材642は、ボルトからなり、ベース641を貫通している軸部と、連結ベース620の上方側面部624A,624Bに固定される先端部643とを有する。ロック手段644は、駆動部材642が貫通しているロックナットからなり、ベース641の両側および連結ベース620の上方側面部624A,624Bに配置される。駆動部材642は、回転駆動されることで、連結ベース620の上方側面部624A,624Bを移動させることが可能に構成されている。
【0111】
連結ベース620は、支持ピン635が嵌合される開口部622が配置されている下方中央端部621と、スライドベース615に連結するためのボルト穴623A,623Bが形成される4隅部とを有する。ボルト穴623A,623Bは、例えば、長円形状あるいは拡径形状を有しており、挿入されるボルトが移動可能であり、連結ベース620は、回転基準として機能する開口部622(支持ピン635)を中心として旋回可能である。
【0112】
一方、上方側面部624A,624Bは、調整治具640の駆動部材先端部643が連結されている。したがって、一方の調整治具640の駆動部材642を前進させ、他方の調整治具640の駆動部材642を後退させる場合、連結ベース620は、駆動部材642の移動に対応して、開口部622(支持ピン635)を中心として旋回する。
【0113】
つまり、調整治具640の駆動部材642を調整することで、スライドベース615に対する連結ベース620の傾斜角を変更可能である。なお、上部のボルト穴623Aは、旋回中心である開口部622(支持ピン635)からの距離が、下部のボルト穴623Bに比べて長い。そのため、上部のボルト穴623Aのサイズは、下部のボルト穴623Bのサイズより適宜大きく設定されている。また、調整治具640は、加工時におけるずれ防止機能を有する。
【0114】
支持プレート625は、連結ベース620に対して直角方向に固定され、また、支持ピン636および調整治具645を有する。支持ピン636は、下方中央端部626に配置される。調整治具645は、上部側方端部627の両側に配置される。
【0115】
調整治具645は、調整治具640と同一構造を有し、支持プレート625に固定されるベースと、マウントプレート630の上方側面部634A,634Bを移動させるための駆動部材と、駆動部材のロック手段とを有する。
【0116】
マウントプレート630は、支持ピン636が嵌合される開口部632が配置されている下方中央端部631と、支持プレート625に連結するためのボルト穴633A,633Bが形成される4隅部とを有する。ボルト穴633A,633Bは、例えば、長円形状あるいは拡径形状を有しており、挿入されるボルトが移動可能であり、マウントプレート630は、回転基準として機能する開口部632(支持ピン636)を中心として旋回可能である。
【0117】
一方、上方側面部634A,634Bは、調整治具645の駆動部材先端部が連結されている。したがって、調整治具645の駆動部材を調整することで、支持プレート625に対するマウントプレート630の傾斜角を変更可能である。なお、上部のボルト穴633Aは、旋回中心である開口部632(支持ピン636)からの距離が、下部のボルト穴633Bに比べて長い。そのため、上部のボルト穴633Aのサイズは、下部のボルト穴633Bのサイズより適宜大きく設定されている。
【0118】
以上のように、主軸上部161が固定されるマウントプレート630は、支持プレート
625に対する傾斜角を変更可能であり、支持プレート625が直角方向に固定されている連結ベース620は、スライドベース615に対する傾斜角を変更可能である。したがって、傾斜角調整機構610は、主軸上部161の傾斜角を3次元的に微調整することが可能である。
【0119】
傾斜角調整機構660は、スライドベース665、連結ベース670、支持プレート675、主軸下部165が固定されるマウントプレート680を有する。スライドベース665は、支持ピン685および調整治具690を有する点で、実施の形態1に係るスライドベース172と異なっている。支持ピン685は、上方中央端部666に配置される。調整治具690は、下部側方端部667の両側に配置される。
【0120】
なお、スライドベース665は、スライドベース172と同様に、直進運動ユニット183に連結され、また、支柱部169に取付けられたスライドガイド178に案内される(図1参照)。
【0121】
調整治具690は、調整治具640と同一構造を有し、スライドベース665に固定されるベースと、連結ベース670の下方側面部674A,674Bを移動させるための駆動部材と、駆動部材のロック手段とを有する。
【0122】
連結ベース670は、支持ピン685が嵌合される開口部672が配置されている上方中央端部671と、スライドベース665に連結するためのボルト穴673A,673Bが形成される4隅部とを有する。ボルト穴673A,673Bは、例えば、長円形状あるいは拡径形状を有しており、挿入されるボルトが移動可能であり、連結ベース670は、回転基準として機能する開口部672(支持ピン685)を中心として旋回可能である。
【0123】
一方、下方側面部674A,674Bは、調整治具690の駆動部材先端部が連結されている。したがって、調整治具690の駆動部材を調整することで、スライドベース665に対する連結ベース670の傾斜角を変更可能である。なお、上部のボルト穴673Aは、旋回中心である開口部672(支持ピン685)からの距離が、下部のボルト穴673Bに比べて短い。そのため、上部のボルト穴673Aのサイズは、下部のボルト穴673Bのサイズより適宜小さく設定されている。
【0124】
支持プレート675は、連結ベース670に対して直角方向に固定され、また、支持ピン686および調整治具695を有する。支持ピン686は、上方中央端部676に配置される。調整治具695は、下部側方端部677の両側に配置される。
【0125】
調整治具695は、調整治具640と同一構造を有し、支持プレート675に固定されるベースと、マウントプレート680の下方側面部684A,684Bを移動させるための駆動部材と、駆動部材のロック手段とを有する。
【0126】
マウントプレート680は、支持ピン686が嵌合される開口部682が配置されている上方中央端部681と、支持プレート675に連結するためのボルト穴683A,683Bが形成される4隅部とを有する。ボルト穴683A,683Bは、例えば、長円形状あるいは拡径形状を有しており、挿入されるボルトが移動可能であり、マウントプレート680は、回転基準として機能する開口部682(支持ピン686)を中心として旋回可能である。
【0127】
一方、下方側面部684A,684Bは、調整治具695の駆動部材先端部が連結されている。したがって、調整治具695の駆動部材を調整することで、支持プレート675に対するマウントプレート680の傾斜角を変更可能である。なお、上部のボルト穴68
3Aは、旋回中心である開口部682(支持ピン686)からの距離が、下部のボルト穴683Bに比べて短い。そのため、上部のボルト穴683Aのサイズは、下部のボルト穴683Bのサイズより適宜小さく設定されている。
【0128】
以上のように、主軸下部165が固定されるマウントプレート680は、支持プレート675に対する傾斜角を変更可能であり、支持プレート675が直角方向に固定されている連結ベース670は、スライドベース665に対する傾斜角を変更可能である。そのため、傾斜角調整機構660は、主軸下部165の傾斜角を3次元的に微調整することが可能である。
【0129】
実施の形態6は、上述のように、主軸上部161および主軸下部165の傾斜角を3次元的に微調整するための傾斜角調整機構610,660を有する。したがって、製造誤差によるバラツキによって、ワーク10のベアリング軸が微小な傾斜を有する場合、当該傾斜に対応させて、主軸上部161および主軸下部165の傾斜角を適切に微調整することが可能である。
【0130】
そのため、加工目を一定方向とすることで、アヤメ模様や片目模様の発生を抑制し、面粗度を安定させ、円周方向の肉厚差の精度を向上させることができる。さらに、ロータ制動面の平面度悪化を最小限に止めることが可能である。
【0131】
図28は、実施の形態7に係る主軸下部および主軸下部を連結するための連結手段を説明するための断面図、図29は、図28の線XXIX−線XXIXに関する断面図、図30は、図28のXXX−線XXXに関する断面図、図31は、図28のXXXI−線XXXIに関する断面図である。
【0132】
実施の形態7に係る加工装置は、主軸上部161および主軸下部165を連結するための連結手段が、万能継手機構720を有する点で、実施の形態6に係る加工装置と概して異なる。
【0133】
万能継手機構720は、傾斜角調整機構610,660によって設定される主軸上部161および主軸下部165の傾斜を吸収するための弾性体730と、主軸上部161から延長し、かつミリングカッタ141が回転自在に取付けられている上方先端部740と、主軸下部165から延長し、かつミリングカッタ145が回転自在に取付けられている下方先端部750とによって形成される。
【0134】
上方先端部740は、相対して配置される突出部741,746を有する。突出部741,746は、扇形断面を有し、外周部は、上方先端部740の基端側外周から連続的に延長している。下方先端部750は、相対して配置される突出部751,756を有する。突出部751,756は、扇形断面を有し、外周部は、下方先端部750の基端側外周から連続的に延長している。
【0135】
上方先端部740および下方先端部750は、突出部741,746,751,756が嵌合することで連結され、自在軸継手を構成する。なお、上方先端部740の突出部741,746および下方先端部750の突出部751,756は、それぞれの基端側に向かってテーパ形状に形成されている(図29〜図31参照)。この場合、嵌合がより強固となるため、例えば、主軸上部161および主軸下部165の回転によって嵌合状態が解消されることを、確実に防ぐことが可能である。
【0136】
弾性体730は、例えば、耐圧ゴムであり、突出部741,746,751,756の嵌合面の隙間に配置される。弾性体730の配置方法は、特に限定されない。例えば、主
軸上部161および主軸下部165を位置決めした状態で、上方先端部740および下方先端部750の突出部741,746,751,756の嵌合面の隙間に、弾性体730を注入して配置することが可能である。この場合、軸精度を良好に確保することができる。
【0137】
以上のように、実施の形態7は、主軸上部161および主軸下部165を連結するための連結手段が万能継手機構720を有しており、主軸上部161および主軸下部165の傾斜角を吸収し、滑らかに動作させることが可能である。
【0138】
したがって、実施の形態6に係る傾斜角調整機構610,660と組み合わせる場合、主軸上部161および主軸下部165の駆動手段を共通とし、例えば、1軸の回転モータで駆動することが可能である。そのため、主軸上部161および主軸下部165を完全に独立させる場合に比べ、設備のコンパクト化、低価格化および保全性の向上を図ることが可能である。なお、万能継手機構720は、弾性体730を利用する形態に限定されず、例えば、流体を適用することも可能である。
【0139】
図32は、実施の形態8に係るびびり除去機構を説明するための側面図、図33は、図32に示される押圧手段を説明するための斜視図である。なお、実施の形態1と同様の機能を有する部材については類似する符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
【0140】
実施の形態8に係るびびり除去機構810は、複数の押圧手段820、共通フレーム840および支柱部850を有する。押圧手段820の各々は、ロータ制動面11,12を押圧するための上下一対からなり、圧力を発生させるための押圧力発生手段830と、ロータ制動面11,12と当接する環状の回転体838とを有する。
【0141】
押圧力発生手段830は、共通フレーム840に固定される基部831、基部831から突出しているロッド832、ロッド832の先端に固定される移動部833、および移動部833の往復動をガイドするための案内ロッド834を有する。なお、基部831には、ロッド832を往復動自在とするための油空圧式の往復動駆動手段が配置される。案内ロッド834の一端は、移動部833に固定され、案内ロッド834の他端は、基部831に形成される貫通孔835にスライド自在に配置される。
【0142】
回転体838の中心は、移動部833に配置されるピン836によって軸支され、回転自在である。回転体838は、ロータ制動面11,12の周方向に配向されている。つまり、回転体838は、押圧力発生手段830の先端に回転自在に配置されており、押圧力発生手段830が発生する押圧力は、回転体838を経由して伝達される。
【0143】
そのため、ロータ制動面11,12に、回転体838を当接かつ押圧させることで、びびりの発生源である振動を抑制可能であり、かつ、押圧手段820は、ワーク10のラジアル方向に関し、負荷を及ぼさない。回転体838の材質は、ロータ制動面11,12を傷つけない適当な硬度を有し、かつ十分な耐摩耗性を発揮することが可能であれば、特に限定されない。
【0144】
また、押圧手段820は、共通フレーム840を介して、支柱部850に連結される。支柱部850は、工具支持部160が配置される端部の逆側に位置する端部に配置され、下部マウント手段131を回転自在に支持するための支持部130に隣接している。
【0145】
図34は、押圧手段の配置を説明するための平面図である。
【0146】
実施の形態8においては、押圧手段820は4セット(820A〜820D)設けられている。押圧手段820Aと押圧手段820Bとの間の周長によって規定される角度θは、120度である。押圧手段820Bと押圧手段820Cとの間の周長によって規定される角度θは、90度である。押圧手段820Cと押圧手段820Dとの間の周長によって規定される角度θは、35度である。押圧手段820Dと押圧手段820Aとの間の周長によって規定される角度θは、115度である。
【0147】
角度θ〜θは、互いにn倍あるいは1/nにならない値であり、押圧手段820A〜820Dは、ロータ制動面11,12の円周方向に沿って、不等配位置に配置されている。したがって、押圧手段820は、実施の形態5に係るびびり除去機構が備える押圧手段512に比べて、対応可能である振動の周波数が増加しており、抑制力が向上している。
【0148】
なお、不等配位置は、上記例に限定されず、フライス工具140の進入経路などを考慮し、適宜設定することが可能である。また、振動に含まれる周波数の分布やコストを考慮して、押圧手段のセット数や不等配位置を設定することも好ましい。
【0149】
図35は、図34の押圧手段の制御を説明するための概念図である。
【0150】
押圧手段820の押圧力発生手段830に配置される油空圧式の往復動駆動手段を駆動するための作動流体の供給装置860は、圧力調整バルブ862,867が配置される配管系を経由し、押圧力発生手段830の基部831に連結される。
【0151】
圧力調整バルブ862は、供給装置860の作動流体出口861と基部831の作動流体入口863との間の配管に配置され、供給される作動流体の圧力を調整し、押圧手段820の押圧力を制御することが可能である。一方、圧力調整バルブ867は、供給装置860の作動流体入口868と基部831の作動流体出口866との間の配管に配置され、作動流体の流出量を調整することが可能である。
【0152】
したがって、入口側における圧力調整バルブ862を一定に維持する一方、出口側における圧力調整バルブ867によって流量を調整する場合、作動流体が発揮する圧力の追従性に影響を及ぼし、びびりの発生源である振動に対する押圧手段820の押圧力の減衰性に影響を及ぼすことが可能である。
【0153】
そのため、ダンパーによる振動の減衰効果と同様な効果を得ることが可能であり、振動の発生に基づいて押圧力の上下バランスがずれた場合において、回転軸方向にアオリの力が発生することを抑制し、面振れを制御することが可能である。
【0154】
圧力調整バルブ862,867は、設定頻度およびコストを考慮し、手動式が好ましいが、自動式とすることも可能である。また、出口側の圧力調整バルブ867による流量調整は、簡易である点で好ましいが、例えば、圧力調整バルブ862,867の両方を操作し、圧力および流量を制御することで、押圧手段820の押圧力の追従性に影響を及ぼすことも可能である。この場合、制御の自由度が大きくなる点で好ましい。
【0155】
以上のように、実施の形態8に係るびびり除去機構810は、実施の形態5に係るびびり除去機構510に比べ、びびりの除去効果に優れており、面振れや粗度などの面精度のさらなる安定化を図ることが可能である。
【0156】
なお、実施の形態5に係る振動検出による制御を適宜組み合わせることも可能である。また、押圧力発生手段830および作動流体の供給装置860等を、必要に応じて共通化
して、製造コストを適宜低減することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】実施の形態1に係る加工装置の側面図である。
【図2】実施の形態1に係るワークを説明するための拡大断面図である。
【図3】図1の加工装置のミリングカッタを説明するための側面図である。
【図4】ミリングカッタのチップ構成に係る比較例を説明するための側面図である。
【図5】(A)および(B)は、カッター目の差異を説明するための平面図であり、ミリングカッタおよびバイト(旋盤)の場合を示している。
【図6】(A)および(B)は、図1の加工装置の加工動作を説明するための平面図および側面図であり、初期位置を示している。
【図7】(A)および(B)は、図1の加工装置の加工動作を説明するための平面図および側面図であり、前進位置を示している。
【図8】(A)および(B)は、図1の加工装置の加工動作を説明するための平面図および側面図であり、ロータ制動面の加工終了直後の待避位置を示している。
【図9】(A)および(B)は、図1の加工装置の加工動作を説明するための平面図および側面図であり、初期位置への復帰を示している。
【図10】求芯機構が設けられた上部マウント手段を説明するための分解図である。
【図11】求芯機構におけるY軸調整部を説明するための底面図である。
【図12】Y軸調整部を説明するための断面図である。
【図13】求芯機構におけるX軸調整部を説明するための平面図である。
【図14】X軸調整部の第1ロック部材を説明するための断面図である。
【図15】X軸調整部の第2ロック部材を説明するための断面図である。
【図16】4穴ワークを支持するための動作を説明するための平面図である。
【図17】5穴ワークを支持するための動作を説明するための平面図である。
【図18】実施の形態2に係るミリングカッタの回転同期機構を説明するための側面図である。
【図19】実施の形態3に係るミリングカッタの回転同期機構を説明するための側面図である。
【図20】実施の形態4に係るX軸調整部を説明するための断面図である。
【図21】実施の形態5に係るびびり除去機構を説明するための側面図である。
【図22】実施の形態6に係る加工装置の要部側面図である。
【図23】図22の加工装置の主軸上部に係る傾斜角調整機構を説明するための側面図である。
【図24】図23の傾斜角調整機構の平面図である。
【図25】図22の加工装置の主軸下部に係る傾斜角調整機構を説明するための側面図である。
【図26】図25の傾斜角調整機構の平面図である。
【図27】図23および図25の傾斜角調整機構に係る調整手段を説明するための平面図である。
【図28】実施の形態7に係る主軸下部および主軸下部を連結するための連結手段を説明するための断面図である。
【図29】図28の線XXIX−線XXIXに関する断面図である。
【図30】図28のXXX−線XXXに関する断面図である。
【図31】図28のXXXI−線XXXIに関する断面図である。
【図32】実施の形態8に係るびびり除去機構を説明するための側面図である。
【図33】図32に示される押圧手段を説明するための斜視図である。
【図34】押圧手段の配置を説明するための平面図である。
【図35】押圧手段の制御を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0158】
10・・ワーク(アセンブリ)、
10A・・ロータ、
10B・・ベアリング保持体、
11,12・・ロータ制動面、
13・・ナット、
14,14A〜14D,24A〜24D・・ハブボルト部、
15・・ロケートピン、
16・・ベアリング、
100・・加工装置、
110・・ワーク支持部、
111・・ワークドライブ部、
112・・上部マウント手段、
113・・第1ユニット、
114・・フック部材、
115・・ベアリング、
116・・スプリング、
117・・異形部材、
118・・段差部、
120・・第2ユニット、
121・・第1ロック部材、
122・・第2ロック部材、
123・・溝部、
124・・プレート、
125・・ベアリング、
126・・スプリング、
127・・三角状部材、
128・・保持プレート、
129・・チャック、
130・・支持部、
131・・下部マウント手段、
132,133・・スイングクランプ、
140・・フライス工具、
141,145・・ミリングカッタ、
150・・カッタボディ、
151,152・・チップ、
160・・工具支持部、
161・・主軸上部(第1主軸部)、
162・・モータ、
164・・スプライン軸(連結手段)、
165・・主軸下部(第2主軸部)、
169・・支柱部、
170,171,172・・スライドベース、
173・・ストッパ、
175・・スライドガイド、
176・・油圧シリンダ、
178・・スライドガイド、
179・・調整ユニット、
180・・モータ、
181・・直進運動ユニット、
182・・カップリング、
183・・直進運動ユニット、
190・・台座部、
191・・直進運動ユニット、
192・・モータ、
240・・回転同期機構、
242・・変速ユニット、
243〜245・・ギア、
246・・変速ユニット、
247〜249・・ギア、
260・・駆動手段、
261・・軸、
280,281・・駆動手段、
340・・回転同期機構、
342・・変速ユニット、
343〜345・・ギア、
346・・変速ユニット、
347〜349・・ギア、
360・・駆動手段、
361・・軸、
362・・駆動手段、
363・・軸、
380,381・・駆動手段、
421・・第1ロック部材、
422・・第2ロック部材、
423・・溝部、
424・・プレート、
425・・ベアリング、
426・・スプリング、
427・・三角状部材、
428・・保持プレート、
429・・チャック、
510・・びびり除去機構、
511・・振動検出手段、
512・・押圧手段、
513・・押圧力発生手段、
514・・回転体、
515・・制御部、
610・・傾斜角調整機構、
615・・スライドベース、
616・・下方中央端部、
617・・上部側方端部、
620・・連結ベース、
621・・下方中央端部、
622・・開口部、
623A,623B・・ボルト穴、
624A,624B・・上方側面部、
625・・支持プレート、
626・・下方中央端部、
627・・上部側方端部、
630・・マウントプレート、
631・・下方中央端部、
632・・開口部、
633A,633B・・ボルト穴、
634A,634B・・上方側面部、
635,636・・支持ピン、
640・・調整治具、
641・・ベース、
642・・駆動部材、
643・・先端部、
644・・ロック手段、
645・・調整治具、
660・・傾斜角調整機構、
665・・スライドベース、
666・・上方中央端部、
667・・下部側方端部、
670・・連結ベース、
671・・上方中央端部、
672・・開口部、
673A,673B・・ボルト穴、
674A,674B・・下方側面部、
675・・支持プレート、
676・・上方中央端部、
677・・下部側方端部、
680・・マウントプレート、
681・・上方中央端部、
682・・開口部、
683A,683B・・ボルト穴、
684A,684B・・下方側面部、
685,686・・支持ピン、
690,695・・調整治具、
720・・万能継手機構、
730・・弾性体、
740・・上方先端部、
741,746・・突出部、
750・・下方先端部、
751,756・・突出部、
810・・びびり除去機構、
820,820A,820B,820C,820D・・押圧手段、
830・・押圧力発生手段、
831・・基部、
832・・ロッド、
833・・移動部、
834・・案内ロッド、
835・・貫通孔、
836・・ピン、
838・・回転体、
840・・共通フレーム、
850・・支柱部、
860・・作動流体供給装置、
861・・作動流体出口、
863・・作動流体入口、
866・・作動流体出口、
868・・作動流体入口、
DC・・駆動中心、
BC・・ベアリング中心、
θ〜θ・・角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、ハブおよびベアリングのケージを有するベアリング保持体とが一体に組み込まれたアセンブリにおけるロータ制動面の加工装置であって、
前記アセンブリを回転駆動するための駆動手段と、
前記ロータ制動面を加工するための工具と、
車体取付け面を基準として、前記ベアリング保持体をベアリング中心で支持するためのマウント手段と、
前記ベアリング中心と駆動中心とを一致させるための求芯機構と
を有することを特徴とするロータ制動面の加工装置。
【請求項2】
前記求芯機構は、ロータとベアリング保持体とを締結するためのハブボルト部に関し、回転方向の移動を規制し、半径方向は移動自在に支持することを特徴とする請求項1に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項3】
前記工具は、フライス工具であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項4】
前記フライス工具は、両側に位置するロータ制動面を同時に加工するためのミリングカッタを有することを特徴とする請求項3に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項5】
前記フライス工具は、両側に位置するロータ制動面に対し、ミリングカッタを互いに同量で逆方向に接近・離反動作させる直進運動ユニットをそれぞれ設け、前記直進運動ユニットのいずれか一方に、前記ミリングカッタを接近・離反方向に位置調整し得る調整ユニットを設けたことを特徴とする請求項4に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項6】
前記ミリングカッタを、ロータ制動面に向かって斜め方向から接近させ、ロータ制動面の加工後、ロータ制動面に対して垂直方向に離間させるための送り手段を有することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項7】
前記ミリングカッタは、アプローチ角が大きい後ろ歯を有することを特徴とする請求項6に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項8】
前記ミリングカッタを、位相一定かつ同一回転数で駆動するための回転同期機構を有することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項9】
ロータ制動面の加工時に発生するびびりを除去するためのびびり除去機構を有することを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項10】
前記びびり除去機構は、両側に位置するロータ制動面を押圧するための押圧手段を有することを特徴とする請求項9に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項11】
前記押圧手段は、複数設けられ、ロータ制動面の円周方向に沿って、不等配位置に配置されることを特徴とする請求項10に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項12】
前記押圧手段は、押圧力を発生させるための押圧力発生手段と、前記押圧力発生手段の先端に回転自在に配置され、ロータ制動面と当接する回転体とを有し、前記回転体を介して押圧力が伝達されることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項13】
前記びびり除去機構は、ロータ制動面の加工時におけるアセンブリの振動を検出するための振動検出手段を有し、前記押圧手段の押圧力を、前記振動検出手段によって検出されるアセンブリの振動に基づいて、制御することを特徴とする請求項10又は請求項11のいずれか1項に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項14】
前記押圧力発生手段は、油空圧式の往復動駆動手段を有し、前記往復動駆動手段の作動流体の圧力を調整することで、前記押圧手段の押圧力を制御することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項15】
前記押圧力発生手段は、油空圧式の往復動駆動手段を有し、前記往復動駆動手段の作動流体の流量を調整することで、前記押圧手段の押圧力を制御することを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項16】
一方の側のロータ制動面を加工するための工具が回転自在に取付けられている第1主軸部の傾斜角、および他方の側のロータ制動面を加工するための工具が回転自在に取付けられている第2主軸部の傾斜角を、3次元的に調整するための傾斜角調整機構を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項17】
前記第1主軸部および前記第2主軸部を連結するための連結手段を有し、前記連結手段は、前記第1主軸部および前記第2主軸部の傾斜を吸収するための万能継手機構を有することを特徴とする請求項16に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項18】
前記万能継手機構は、前記第1主軸部および前記第2主軸部の傾斜を吸収する弾性体を有することを特徴とする請求項17に記載のロータ制動面の加工装置。
【請求項19】
ロータと、ハブおよびベアリングのケージを有するベアリング保持体とが一体に組み込まれたアセンブリにおけるロータ制動面の加工方法であって、
車体取付け面を基準として、ベアリング保持体をベアリング中心で支持するためのステップと、
アセンブリを、回転駆動するためのステップと、
ベアリング中心と駆動中心とを一致させるためのステップと、
ロータ制動面を加工するためのステップと
を有することを特徴とするロータ制動面の加工方法。
【請求項20】
ロータ制動面を加工するため工具は、フライス工具であることを特徴とする請求項19に記載のロータ制動面の加工方法。
【請求項21】
前記フライス工具は、両側に位置するロータ制動面を同時に加工するためのミリングカッタを有することを特徴とする請求項20に記載のロータ制動面の加工方法。
【請求項22】
前記ミリングカッタを、ロータ制動面に向かって斜め方向から接近させるためのステップと、ロータ制動面の加工後、ロータ制動面に対して垂直方向に離間させるためのステップとを有することを特徴とする請求項21に記載のロータ制動面の加工方法。
【請求項23】
押圧力を発生させるための押圧力発生手段と、前記押圧力発生手段の先端に回転自在に配置され、かつロータ制動面と当接する回転体とを有する押圧手段により、ロータ制動面を押圧することで、ロータ制動面の加工時に発生するびびりを除去するためのステップを有することを特徴とする請求項21又は請求項22に記載のロータ制動面の加工方法。
【請求項24】
前記押圧手段は、複数設けられ、ロータ制動面の円周方向に沿って、不等配位置に配置
されることを特徴とする請求項23に記載のロータ制動面の加工方法。
【請求項25】
ロータ制動面の加工時において検出されるアセンブリの振動に基づいて、前記押圧手段の押圧力を制御するためのステップを有することを特徴とする請求項23又は請求項24に記載のロータ制動面の加工方法。
【請求項26】
前記押圧力発生手段は、油空圧式の往復動駆動手段を有し、前記往復動駆動手段の作動流体の圧力を調整することで、前記押圧手段の押圧力を制御することを特徴とする請求項23〜25のいずれか1項に記載のロータ制動面の加工方法。
【請求項27】
前記押圧力発生手段は、油空圧式の往復動駆動手段を有し、前記往復動駆動手段の作動流体の流量を調整することで、前記押圧手段の押圧力を制御することを特徴とする請求項23〜25のいずれか1項に記載のロータ制動面の加工方法。
【請求項28】
一方の側のロータ制動面を加工するための工具が回転自在に取付けられている第1主軸部の傾斜角、および他方の側のロータ制動面を加工するための工具が回転自在に取付けられている第2主軸部の傾斜角を、3次元的に調整するためのステップを有することを特徴とする請求項19〜27のいずれか1項に記載のロータ制動面の加工方法。
【請求項29】
前記第1主軸部および前記第2主軸部を連結している連結手段が有する万能継手機構によって、前記第1主軸部および前記第2主軸部の傾斜を吸収するステップを有することを特徴とする請求項28に記載のロータ制動面の加工方法。
【請求項30】
前記万能継手機構は、前記第1主軸部および前記第2主軸部の傾斜を吸収する弾性体を有することを特徴とする請求項29に記載のロータ制動面の加工方法。
【請求項31】
請求項1に記載のロータ制動面の加工装置を制御するための制御プログラムであって、
前記マウント手段が、車体取付け面を基準として、ベアリング保持体をベアリング中心で支持するための手順と、
前記駆動手段が、アセンブリを、回転駆動するための手順と、
前記求芯機構が、ベアリング中心と駆動中心とを一致させるための手順と、
前記工具が、ロータ制動面を加工するための手順とを、
前記ロータ制動面の加工装置に実行させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2006−43865(P2006−43865A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258977(P2004−258977)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】