説明

ローラタペットおよびローラタペットのためのローラボルト

【課題】燃料ポンプの新式のローラタペットと、ローラタペットのための新式のローラボルトと、新式の燃料ポンプとを提供する。
【解決手段】カムシャフトのカムのための座面(14)を提供する、ローラボルト(11)に回転可能に軸受けされたローラ(13)を有する、燃料ポンプのローラタペット(10)であって、ローラボルト(11)は軸受材料から作られている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書きに記載の、燃料噴射ポンプあるいは燃料高圧ポンプのローラタペットに関する。さらに本発明は、請求項4のおいて書きに記載の、燃料ポンプのローラタペットのためのローラボルトと、請求項5のおいて書きに記載の燃料ポンプとに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ポンプの基本的な構造は、たとえば特許文献1の従来技術から知られている。この従来技術は、ローラボルトと当該ローラボルトに軸受けされたローラとを備えたローラタペットを有する燃料ポンプを開示し、ローラはカムシャフトのカムのための座面を形成する。カムシャフトから、燃料ポンプは、ローラタペットを介して操作され得る。
【0003】
ローラボルトと当該ローラボルトに軸受けされたローラとを備えたローラタペットを有するさらなる燃料ポンプは、特許文献2の従来技術から知られている。ここで開示されているローラタペットのローラも、カムシャフトのカムのための座面を形成する。
【0004】
従来技術から知られる燃料ポンプもしくは燃料ポンプのためのローラタペットでは、ローラが軸受けされているローラボルトは、鋼から作られている。このような鋼製ローラボルトの耐久年数を上げるために、当該鋼製ローラボルトは焼入れされ場合によってはコーティングされている。付加的に、場合によっては、鋼製ローラボルトのための軸受ブッシュが用いられる。このような鋼製ローラボルトは、製造技術上および構造上コストがかかる。
【0005】
それゆえ、構造上と製造技術上、よりコストのかからない、ローラタペットと、ローラタペットのためのローラボルトと、燃料ポンプとが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第1100380号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102006052484号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上より、本発明の課題は、燃料ポンプの新式のローラタペットと、ローラタペットのための新式のローラボルトと、新式の燃料ポンプとを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の、燃料ポンプのローラタペットによって解決される。本発明に従えば、ローラボルトは、軸受材料から作られている。本発明に従ってローラボルトが軸受材料から作られていれば、ローラボルトの焼入れもコーティングも必要ない。さらに、従来技術では必要な軸受ブッシュがなくてもよい。これによって、構造上と製造技術上、よりコストのかからない、ローラボルトとひいてはローラタペットと燃料ポンプとが実現可能である。
【0009】
本発明に係るローラボルトは請求項4において定義され、本発明に係る燃料ポンプは請求項5において定義されている。
【0010】
本発明の好ましいさらなる形態は、従属請求項と以下の記述とからもたらされる。本発明の実施例は、図に基づいてより詳細に説明されるが、それに限定されることはない。図で示されるのは以下である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】燃料ポンプのローラタペットの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は燃料ポンプのローラタペット10の断面図を示しており、図1のローラタペット10はコモンレール船舶用ディーゼル燃料供給設備の高圧燃料ポンプのローラタペットである。ローラタペット10はローラボルト11を備えており、当該ローラボルト11は、示されている図1の実施例においてボルトあるいは虫ネジ12を介してローラタペット10と回転不能に接続されている。ローラボルト11にはローラ13が回転可能に軸受けされており、ローラ13は、図示されていないカムシャフトの図示されていないカムのための座面14を提供する。燃料ポンプのローラタペットのこの基本的な構造は、ここで呼びかけられる当業者にはよく知られている。
【0013】
本発明に従えば、ローラボルト11は軸受材料から作られている。これによって、軸受ボルト11を充分に摩耗しにくくするために、当該軸受ボルト11の焼入れもコーティングも必要ない。
【0014】
好適には、ローラボルト11は軸受メタルあるいは銅とアルミニウムの合金から作られている。
【0015】
ローラボルト11に軸受けされたローラ13に注油するために、ローラタペット10には、潤滑油用の孔15が付けられており、その結果潤滑油をローラ13に供給することができ、ローラ13とローラボルト11との間に、潤滑油膜が形成され得る。
【0016】
さらに本発明は、燃料ポンプのローラタペットのためのそのようなローラボルト11と、そのようなローラボルト11を備えるローラタペット10を有する燃料ポンプとに関し、燃料ポンプは好適には、コモンレール船舶用ディーゼル内燃機関の高圧燃料ポンプとして実施されている。
【符号の説明】
【0017】
10 ローラタペット
11 ローラボルト
12 ボルトあるいは虫ネジ
13 ローラ
14 座面
15 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ポンプのローラタペットであって、カムシャフトのカムのための座面を提供する、ローラボルトに回転可能に軸受けされたローラを有するローラタペットにおいて、
前記ローラボルト(11)は軸受材料から作られていることを特徴とするローラタペット。
【請求項2】
前記ローラボルト(11)は、軸受メタルから作られていることを特徴とする請求項1に記載のローラタペット。
【請求項3】
前記ローラボルト(11)は、銅とアルミニウムの合金から作られていることを特徴とする請求項1に記載のローラタペット。
【請求項4】
燃料ポンプのローラタペットのためのローラボルトにおいて、
軸受材料、特に軸受メタルあるいは銅とアルミニウムの合金から作られていることを特徴とするローラボルト。
【請求項5】
ローラタペットを有する燃料ポンプであって、
前記ローラタペットは、カムシャフトのカムのための座面を提供する、ローラボルトに回転可能に軸受けされたローラを備える燃料ポンプにおいて、
前記ローラボルト(11)は、軸受材料、特に軸受メタルあるいは銅とアルミニウムの合金から作られていることを特徴とする燃料ポンプ。
【請求項6】
コモンレール船舶用ディーゼル燃料供給設備の高圧燃料ポンプであることを特徴とする請求項5に記載の燃料ポンプ。

【図1】
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【公開番号】特開2012−97727(P2012−97727A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136188(P2011−136188)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(510153962)マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー (65)
【Fターム(参考)】