説明

一成分現像方式の画像形成方法とこれに用いられるトナーおよび該トナーを用いた現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】高速画像形成で良好な帯電立ち上がり性を保持するトナーを用いた一成分現像方式の画像形成方法、現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなるトナーを一成分現像剤として使用し、現像ローラ、供給部材、規制部材を備えた現像手段により現像する。トナーは、オープンロール型混練機で溶融混練して得たトナー母体に外添剤を付与したものとし、離型剤分散粒子径WA(μm)と荷電制御剤表面露出量CA(%)、および平均帯電量Q1(現像ローラ1周時のトナー帯電量)と、Q6(現像ローラ5周時のトナー帯電量)が[0.1≦WA≦0.6…(1)]、[0.1×WA+0.14≦CA≦0.1×WA+0.29…(2)]、[|Q1−Q6|≦20…(3)]、[Q6≧-30…(4)]を満たすものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスによる画像形成技術に関し、詳しくは、一成分現像方式の画像形成方法とこれに用いられるトナーおよび該トナーを用いた現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ローエンドレーザビームプリンタ(LBP)は近年SOHOおよびコンシューマーをターゲットにするべく低コスト化、小型化、高速化の傾向にあり、小型化および低コスト化のためには各部品の小型化ならびに装置の簡略化が望まれる。
電子写真、静電記録、静電印刷等において使用される現像剤は、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている感光体等の像担持体に一旦付着され、次に転写工程において感光体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において該転写媒体に定着される。その際、潜像保持面上に形成される静電荷像を現像するための現像剤として、キャリアとトナーから成る二成分系現像剤や、キャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。現像方式としては、低コスト化の観点から、キャリアを用い部品点数の多い二成分現像方式に比べて、一成分現像方式を用いることが主流である。現像剤を構成するトナーに関しては、繰り返し画像形成における帯電性などの性能向上のために種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、負帯電トナーのトナー母粒子に外添される外添剤に、平均一次粒子径が小、大粒子径の疎水性の負帯電性シリカ、疎水性ルチルアナターゼ型酸化チタン、および負帯電性シリカの粒子径と同径またはほぼ同径の疎水性の正帯電性シリカを使用し、疎水性の正帯電性シリカは、トナー母粒子に対して正帯電性を有する材料で表面処理され、かつ全体の仕事関数がトナー母粒子の仕事関数より小さくなるように設定することにより、カブリトナーを少なくし、逆転写トナーの発生をより効果的に抑制しつつ帯電特性を安定にすることが提案されている(特許文献1参照)。
また、トナー表面に2種類以上の同極性の荷電制御剤を存在させ、外添剤が外添されていて、かつトナーの体積平均粒径を10μm以下、形状係数SF−2を180以下とする静電潜像現像用トナーにより、長期間の使用でも帯電量が安定していて、高精細な画像を得ることができ、トナーの帯電量の変化を小さくすることで外添剤の量を少なくしてトナーの定着性の低下を抑えることが提案されている(特許文献2参照)。
また、少なくとも結着樹脂と着色剤とからなる球形のトナー母粒子に、BET比表面積が規定された負帯電性疎水性シリカ微粒子、BET比表面積および個数平均一次粒子径が規定された負帯電性疎水性の球形シリカ微粒子、個数平均一次粒子径が規定された疎水性酸化チタン微粒子、BET比表面積が規定されたα型アルミナ微粒子、および個数平均一次粒子径が規定された金属石鹸粒子を外添処理することによって、長時間連続印字においてカブリ、トナー飛散、トナー漏れ、転写効率の低下が無い負帯電性一成分トナーを得ることが提案されている(特許文献3参照)。
また、少なくとも着色剤と樹脂を含み、湿式外添によりトナー母体粒子表面に帯電制御剤成分を担持した形態を有する母体粒子と、材料と平均粒子径との両方が異なる2種以上の硬質微粒子(大径粒子の体積固有抵抗Rと小径粒子の体積固有抵抗RsがR>Rs)を混合して製造したトナーにより、帯電立ち上り性、帯電量保持性、画像濃度安定性、耐オフセット性に優れ、カブリのない画像形成を可能とし、トナーによるキャリア表面汚染がなく長期にわたり安定な画像を得ることが提案されている(特許文献4参照)。
【0004】
上記特許文献1〜特許文献4の場合、ほとんどが外添剤による帯電改善手法であり、トナー母体そのものにより特性改善(例えば、立ち上がり帯電性)を図る手法ではない。
外添剤による帯電特性の改善の場合、初期の帯電特性と、繰り返し使用後における帯電特性の変化が大きいこと、外添材のトナー母体への埋まりこみ、および離脱によってトナー母体表面の荷電性能が発現するため、結局母体そのものの改善が必然的に要求される。
なお、特許文献5に、現像剤坦持体に坦持されたトナーを、規制部材により押圧規制して負帯電させた後、像坦持体上に形成された静電潜像に付与してトナー像として可視像化する現像方法において、前記規制部材により押圧規制された後のトナーをレーザードップラー法により個々のトナー粒子の粒径と帯電量を測定した場合の粒径分布の中心値A[μm]と、帯電量分布の幅B[fC]と、帯電量の最大値Bmax[fC]と、帯電量の最小値Bmin[fC]を規定・制御することにより、ドット形成不良、散り、カブリ、地汚れなどの問題を少なくすることが提案されている。特許文献5では帯電量分布規定が記載されているが、一成分帯電性の立ち上がり性に対して考慮されたものではなく、帯電性の立ち上がり性の直接的な規定にもなっていない。
【0005】
その他、特許文献6参照には、少なくとも樹脂、磁性体および離型剤とからなる着色粒子と無機微粒子とからなり、該着色粒子表面における離型剤表面存在量(ESCA分析)が0.1〜0.3であり、着色粒子内の離型剤ドメイン径が0.1〜1.0μmの範囲とする一成分現像用磁性トナーにより、トナー粒子への無機微粒子の付着を均一にし、弱帯電および逆極性トナーの発生を防止し、画像カブリおよびトナー飛散を低減することが提案されている。
特許文献6では、離型剤の表面存在量のみに着目しており、この場合、部材汚染性等の観点から離型剤をトナー中に均一に微分散させるのが好ましいが、これに伴ってトナー中に分散させる荷電制御剤が微分散の状態になるとトナー表面に存在する荷電制御材量が減少して帯電能十分に発揮できないという問題が生ずる。
また、特許文献7には、潜像坦持体と、摩擦帯電を用いてトナーを負極性に帯電させる現像手段とを備え、トナーにより潜像担持体上の静電潜像を可視像化する画像形成装置において、前記トナーの仕事関数(φt)を前記潜像坦持体表面の仕事関数(φopc)より大きくした構成により、現像時における感光体の非画像部におけるカブリを少なくし、転写効率を向上させることが提案されている。特許文献6では、トナーの繰り返し高速画像形成における帯電立ち上がり性に着目していないため、一成分現像方式で、各部品の小型化および装置の簡略化に伴う現像ローラの小径化と高速への対応が難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、電子写真方式による画像形成において、低コスト化、高速化、装置各部品の小型化、簡略化が要望され、現像方式として一成分現像方式が注目されている。通常、一成分現像方式は以下のステップからなる。
(1)現像ローラ(感光体表面に形成された静電潜像にトナーを付着させるローラ)に供給部材(供給ローラ)によりトナーを供給する工程
(2)供給部材から供給されるトナーを規制部材(規制ブレード)により現像ローラ上でトナー薄層(以降、「薄層」と略称することがある)を形成する工程
(3)薄層が形成された現像ローラから、感光体表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像する工程
(4)現像した後の現像ローラ上の残トナーを除電する工程
(5)除電したトナーをリセットする工程
【0007】
上記ステップを繰り返し、感光体上にトナー像を現像して画像形成を行うが、近年は更なる小型化の要求により、現像ローラの更なる小径化が望まれている。その場合、特にベタ画像を印刷(現像)する際に上記繰り返しステップにおいてリセット性が悪いと、除電したトナーが現像ローラ上に残ったまま供給工程を通過し、次の薄層形成時まで残り、トナー薄層の量(搬送量)およびトナー帯電量が安定せず、ベタ画像濃度にムラが生じてしまう。更にシステムスピードが高速化した場合、上記課題は顕著に表れる。
また規制部材による摩擦力により薄層を形成するので、二成分現像方式の場合に比べてトナーにかかるストレスはかなり大きくなり、トナーの「割れ」や「欠け」によって微粉が増加し、この微粉が現像ローラ上に蓄積されて、より上記課題が顕著に表れる。
また、トナーの製造方法としては近年、湿式にて製造する重合トナーおよび従来の粉砕トナーが挙げられるが、既存設備の転用可能なこと、大量の水または溶媒等の副材料を使用しなくて済むこと等の観点から、低コスト化に優れている粉砕トナーを用いることが望ましい。
さらに、定着機構において画像定着後に紙が定着部材に巻き付かない様、従来のオイル塗布機構ではマシンの低コスト化および小型化に不利なため、その対策としてトナー中に離型剤を含有させる手段が講じられている。粉砕トナーの場合、部材汚染性等の観点から離型剤をトナー中に均一に微分散させるのが好ましいが、その際、同様にトナー中に分散させている荷電制御剤が微分散の状態になるとトナー表面に存在する荷電制御材量が減少し、帯電能を発現することができないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、電子写真方式による画像形成において要望される装置各部品の小型化および簡略化に伴う現像ローラの更なる小径化に対応でき、繰り返し高速画像形成においても帯電立ち上がり性を保持し、ベタ画像濃度にムラなどの発生がない一成分現像方式の画像形成用トナー(以降、「トナー」と略称することがある。)と、これを用いた画像形成方法、現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することを目的とする。なお、前記一成分現像方式の画像形成用トナーは、オイルレス定着が可能で、かつ環境に配慮した製造方法により得られるものを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の〔1〕〜〔7〕に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
【0010】
〔1〕:上記課題は、少なくとも感光体表面に形成された静電潜像に、トナーを付着させる現像ローラと、該現像ローラにトナーを供給する供給部材と、該供給部材から供給されるトナーを現像ローラ表面で薄層とする規制部材を備えた現像手段により、トナーを付着させてトナー像とする工程を含む一成分現像方式の画像形成方法であって、
前記トナーが、樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなると共に一成分現像剤として使用され、
かつ、前記離型剤のトナー中における平均分散粒子径[トナーの個数分布をTEMで測定](μm)をWAとし、前記荷電制御剤のトナー表面露出量[(蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度)×100](%)をCAとしたとき、下記式(1)、(2)で示される関係を満たすと共に、
0.1≦WA≦0.6 ・・・(1)
0.1×WA+0.14≦CA≦0.1×WA+0.29 ・・・(2)
前記現像ローラ表面に形成されるトナー薄層の下記測定方法で測定される平均帯電量Q1とQ6が下記式(3)、(4)で示される関係を満たすことを特徴とする一成分現像方式の画像形成方法により解決される。
|Q1−Q6|≦20 ・・・(3)
6≧−30 ・・・(4)
〈平均帯電量Q1とQ6の測定方法〉
1の測定:現像ローラ、供給部材(供給ローラ)、規制部材、除電シートおよび感光体の取り付けられたプロセスカートリッジにバイアスをかけながら1周させて現像ローラ表面にトナー薄層を形成する。トナー薄層が形成された現像ローラのみを取り外し、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
6の測定:Q1の測定と同様に現像ローラを1周させてトナー薄層を形成させた後、現像ローラに規制部材のみ取り付けた状態で5周させ、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
【0011】
〔2〕:上記〔1〕に記載の一成分現像方式の画像形成方法において、前記トナー母体中に含まれる荷電制御剤の含有量が、0.5〜2.0重量%であることを特徴とする。
【0012】
〔3〕:上記〔1〕または〔2〕に記載の一成分現像方式の画像形成方法において、前記トナー母体中に含まれる離型剤の含有量が、2〜8重量%であることを特徴とする。
【0013】
〔4〕:上記課題は、〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の一成分現像方式の画像形成方法の現像工程において用いられ、感光体表面に形成された静電潜像に、前記式(1)〜(4)で示される関係を満たすトナーを付着させる現像ローラ、該現像ローラにトナーを供給する供給部材、該供給部材から供給されるトナーを現像ローラ表面で薄層とする規制部材を備えたことを特徴とする現像手段により解決される。
【0014】
〔5〕:上記課題は、〔1〕乃至〔3〕請求項1乃至3のいずれかに記載の一成分現像方式の画像形成方法において用いられ、樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなると共に一成分現像剤として使用され、かつ、離型剤のトナー中における平均分散粒子径WAと、荷電制御剤のトナー表面露出量CAが前記式(1)、(2)で示される関係を満たすと共に、前記現像ローラ表面に形成されるトナー薄層の前記方法で測定される平均帯電量Q1とQ6が前記式(3)、(4)で示される関係を満たすことを特徴とするトナーにより解決される。
【0015】
〔6〕:上記課題は、少なくとも感光体と、感光体の表面を帯電する帯電手段、帯電された感光体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段、形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像とする現像手段、現像されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段、転写後に感光体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選択される一つの手段と、が一体化した画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、
前記現像手段は、トナーを付着させる現像ローラと、該現像ローラにトナーを供給する供給部材と、該供給部材から供給されるトナーを現像ローラ表面で薄層とする規制部材を備え、
前記トナーが、樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなると共に一成分現像剤として使用され、
かつ、該離型剤のトナー中における個数分布の平均分散粒子径[トナーの個数分布をTEMで測定](μm)をWAとし、該荷電制御剤のトナー表面露出量[蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度](%)をCAとしたとき、下記式(1)、(2)で示される関係を満たすと共に、
0.1≦WA≦0.6 ・・・(1)
0.1×WA+0.14≦CA≦0.1×WA+0.29 ・・・(2)
前記現像ローラ表面に形成されるトナー薄層の下記測定方法で測定される平均帯電量Q1とQ6が下記式(3)、(4)で示される関係を満たすことを特徴とするプロセスカートリッジにより解決される。
|Q1−Q6|≦20 ・・・(3)
6≧−30 ・・・(4)
〈平均帯電量Q1とQ6の測定方法〉
1の測定:現像ローラ、供給部材(供給ローラ)、規制部材、除電シートおよび感光体の取り付けられたプロセスカートリッジにバイアスをかけながら1周させて現像ローラ表面にトナー薄層を形成する。トナー薄層が形成された現像ローラのみを取り外し、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
6の測定:Q1の測定と同様に現像ローラを1周させてトナー薄層を形成させた後、現像ローラに規制部材のみ取り付けた状態で5周させ、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
【0016】
〔7〕:上記課題は、少なくとも感光体と、この感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された感光体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段と、形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像とする現像手段と、現像されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段とを具備してなる画像形成装置であって、
前記現像手段は、トナーを付着させる現像ローラと、該現像ローラにトナーを供給する供給部材と、該供給部材から供給されるトナーを現像ローラ表面で薄層とする規制部材を備え、
前記トナーが、樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなると共に一成分現像剤として使用され、
かつ、該離型剤のトナー中における個数分布の平均分散粒子径[トナーの個数分布をTEMで測定](μm)をWAとし、該荷電制御剤のトナー表面露出量[蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度](%)をCAとしたとき、下記式(1)、(2)で示される関係を満たすと共に、
0.1≦WA≦0.6 ・・・(1)
0.1×WA+0.14≦CA≦0.1×WA+0.29 ・・・(2)
前記現像ローラ表面に形成されるトナー薄層の下記測定方法で測定される平均帯電量Q1とQ6が下記式(3)、(4)で示される関係を満たすことを特徴とする画像形成装置により解決される。
|Q1−Q6|≦20 ・・・(3)
6≧−30 ・・・(4)
〈平均帯電量Q1とQ6の測定方法〉
1の測定:現像ローラ、供給部材(供給ローラ)、規制部材、除電シートおよび感光体の取り付けられたプロセスカートリッジにバイアスをかけながら1周させて現像ローラ表面にトナー薄層を形成する。トナー薄層が形成された現像ローラのみを取り外し、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
6の測定:Q1の測定と同様に現像ローラを1周させてトナー薄層を形成させた後、現像ローラに規制部材のみ取り付けた状態で5周させ、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像形成方法において用いられるトナーは、離型剤の平均分散粒子径と荷電制御剤のトナー表面露出量が前記式(1)、(2)を満たすと共に、トナー薄層の平均帯電量(Q1、Q6)が前記式(3)、(4)を満たしているため、樹脂と離型剤の界面で起こるトナー割れなどがなく、荷電立ち上がり性に優れ、リセット性が高く良好なベタ追従性(ベタ画像濃度にムラなどの発生がない)を発揮することができ、搬送量の暴走がなく、また規制部材(規制ブレード)への固着等が発生せず、一成分トナーを用いた現像方式において好適な帯電特性が維持される。また、本発明のトナーはオイルレス定着が可能である。
また、上記トナーは、例えば、既存設備を転用して、大量の水や溶媒等の副材料を使用せずに粉砕法(例えば、トナー原料を予備混練で溶融混合した後、開放系ロール型混練機で溶融混練し、粉砕、分級してトナー母体とし、これに外添剤を付与)により製造できることから、環境へ配慮しつつコスト低減を図ることができる。
本発明の画像形成方法によれば、上記トナーを一成分現像剤として用いるため、繰り返し高速画像形成においても帯電立ち上がり性を保持し、ベタ画像濃度にムラなどの発生がなく安定した画像を出力することができる。
本発明の現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置によれば、上記荷電立ち上がり性に優れたトナーを一成分現像剤として用いるため、プロセス線速が高速でも異常画像の発生がなく安定した画像を出力することができる。また、現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置の小型化、簡便化などの要求に応えることができる。ここで、プロセスカートリッジとすれば、保存、搬送等が容易であり、交換を短時間に行うことができるなど取扱性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成方法と画像形成装置を説明するための概略図である。
【図2】比較例1〜4の評価用トナー製造においてトナー原料の溶融混練に用いた臼式混練機の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
前述のように本発明における一成分現像方式の画像形成方法は、少なくとも感光体表面に形成された静電潜像に、トナーを付着させる現像ローラと、該現像ローラにトナーを供給する供給部材と、該供給部材から供給されるトナーを現像ローラ表面で薄層とする規制部材を備えた現像手段により、トナーを付着させてトナー像とする工程を含む一成分現像方式の画像形成方法であって、
前記トナーが、樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなると共に一成分現像剤として使用され、
かつ、前記離型剤のトナー中における平均分散粒子径[トナーの個数分布をTEMで測定](μm)をWAとし、前記荷電制御剤のトナー表面露出量[(蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度)×100](%)をCAとしたとき、下記式(1)、(2)で示される関係を満たすと共に、
0.1≦WA≦0.6 ・・・(1)
0.1×WA+0.14≦CA≦0.1×WA+0.29 ・・・(2)
前記現像ローラ表面に形成されるトナー薄層の下記測定方法で測定される平均帯電量Q1とQ6が下記式(3)、(4)で示される関係を満たすことを特徴とするものである。
|Q1−Q6|≦20 ・・・(3)
6≧−30 ・・・(4)
〈平均帯電量Q1とQ6の測定方法〉
1の測定:現像ローラ、供給部材(供給ローラ)、規制部材、除電シートおよび感光体の取り付けられたプロセスカートリッジにバイアスをかけながら1周させて現像ローラ表面にトナー薄層を形成する。トナー薄層が形成された現像ローラのみを取り外し、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
6の測定:Q1の測定と同様に現像ローラを1周させてトナー薄層を形成させた後、現像ローラに規制部材のみ取り付けた状態で5周させ、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
以降、「荷電制御剤のトナー表面露出量)」を「荷電制御剤表面露出量」と呼称し、「離型剤のトナー中における平均分散粒子径」を「離型剤分散粒子径」と呼称することがある。
【0020】
本発明の画像形成方法で用いられるトナーは、その離型剤(例えば、ワックス)の離型剤分散粒子径WAが前記式(1)を満たし、荷電制御剤(CCA)の荷電制御剤表面露出量CAが前記式(2)を満たすことによって、離型剤の微分散により樹脂と離型剤の界面で起こるトナー割れを改善し、かつトナー表面における荷電制御剤の露出量を大きくし、良好な荷電立ち上がり性を実現することができる。これにより、リセット性が向上し、ベタ画像濃度にムラなどの発生がなく良好なベタ追従性を発揮することができる。また、トナー付着性が良好であることからトナー搬送量の暴走がなく、フィルミング発生も抑制されて、規制部材(規制ブレード)への固着なども生じない。
【0021】
従来の混練方法においては通常、離型剤のトナー表面露出量を抑制すると、荷電制御剤の表面露出量も同時に抑制され、所望の帯電立ち上がり性を達成することができず、リセット性低下によるベタ追従性不良等が発生する。また、従来の混練条件で荷電制御剤の規定の表面露出量を達成した場合、離型剤の表面露出量が規定範囲よりも大きくなり、付着性悪化によるトナー搬送量の暴走もしくは規制部材(規制ブレード)内固着が発生する。
前記式(1)で示される離型剤のトナー中における離型剤分散粒子径WA(μm)が0.1未満の場合、離型剤が本来の定着助剤としての効果を発現することができない。また、離型剤分散粒子径WA(μm)が0.6を超える場合は離型剤がトナー表面に多量に存在することによって付着力が増大し、トナー搬送量暴走の要因となり、またフィルミング発生による規制部材(規制ブレード)内固着が発生する。
【0022】
上記離型剤の表面露出量を抑制(離型剤分散粒子径WAを維持)しつつ、荷電制御剤表面露出量CA〔荷電制御剤(CCA)の分散径に密接に関係する〕を一定の状態に保つためには、従来の混練方法では難しい。すなわち、本発明において採用する、開放系ロール型混練機と予備混練システムを用いることにより、上記式(1)と式(2)を両立しつつ、併せて上記式(3)と式(4)を満たすことによって、所望とする荷電立ち上がり性を達成することができ、一成分トナーを用いた現像方式において好適な帯電特性が発揮される。
予備混練システムを用いる理由は、開放系のオープンロールの特性上、トナー原料(樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤など)の混合物を直接投入すると低融点の材料はロールに巻きつき易いが、逆に荷電制御剤の様な高融点の材料はロールに巻きつかず、ロール下に落下したり、あるいはロール上で暴れ、仕込み量に対して規定の荷電制御剤表面露出量CAが得られなくなるため、トナー原料混合後に樹脂(バインダー樹脂)の軟化点以上の温度で予め溶融した後、オープンロールに投入するのが好ましい。これを行わない場合、規定の荷電制御剤表面露出量が得られにくい。
【0023】
上記のように、離型剤分散粒子径と荷電制御剤表面露出量が前記式(1)、(2)を満たすと共に、平均帯電量Q1とQ6が前記式(3)、(4)を満たすことにより、荷電立ち上がり性に優れ、一成分トナーを用いた現像方式において好適な帯電特性が維持される。すなわち、本発明者らは、荷電立ち上がり性と密接に相関がある評価法として前記式(1)、(2)に加え、前記式(3)、(4)を用いることを見出した。
これにより、荷電立ち上がり性を評価することで、トナー単独の一成分帯電立ち上がり性能を直接的に評価することが可能になり、従来のブローオフ等の二成分法では相関が得られないベタ追従性等の、所謂荷電立ち上がり性に要因のある品質課題と密接に相関付けることが可能となった。
具体的には以下の手順で評価を行う。
〈平均帯電量Q1とQ6の測定方法〉
ステップ1〔Q1の測定〕:
現像ローラ、供給部材(供給ローラ)、規制部材(規制BL:ブレード)、除電シートおよび感光体の取り付けられたプロセスカートリッジ(この時点で、現像ローラ上にはトナーが乗っていない状態)にバイアスをかけながら1周させて現像ローラ表面にトナー薄層を形成する。
現像ローラ表面にトナー薄層を形成した時点で現像ローラのみを取り外し、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)をホソカワミクロン社製Espartにて測定する。
ステップ2〔Q6の測定〕:
現像ローラ、供給部材(供給ローラ)、規制部材、除電シートおよび感光体の取り付けられたプロセスカートリッジ(この時点で、現像ローラ上にはトナーが乗っていない状態)にバイアスをかけながら1周させて現像ローラ表面にトナー薄層を形成する。
現像ローラのみ取り外し、規制部材(規制BL)のみ取り付けられた別のカートリッジ(供給ローラ、除電シート、感光体を外した状態)にトナー薄層が形成された現像ローラを取り付け、バイアスをかけながら外部駆動機にて5周回転させる。回転後のトナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を吸引法およびホソカワミクロン社製Espartにて測定する。
なお、後述する本発明の実施例においては以下の条件で測定を行った。
・環境:23℃・50%RH
・バイアス:現像ローラ、供給現像ローラ、規制BL(ブレード)、除電シートそれぞれ同電位(−100V)のバイアスを印加
・現像ローラ:ウレタン製、表面粗さ(Ra)1.0のものを使用
・供給ローラ:ウレタン製
・徐電シート:導電性シート使用
・規制部材:SUS製
・回転数(システムスピード):160mm/sec
・感光体:有機感光体使用
【0024】
以下、本発明の画像形成方法において用いられるトナーのトナー母体を構成する原料(樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤等)、および外添剤について説明する。
[樹脂]
本発明において、トナー母体の原料として用いられる樹脂(以降、「結着樹脂」、あるいは「バインダー樹脂」と呼称することがある)としてはポリエステル樹脂が好適である。特に、ポリエステル樹脂は酸価の好ましい樹脂を容易に選択することができ、離型剤(ワックス)分散の観点から好ましくは5mgKOH/g以上、環境特性の観点から30mgKOH/gの樹脂を用いるのが好ましい。また、熱特性の制御の観点からも、フルカラー用として好ましく用いられている。
【0025】
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、下記の多価アルコールと多価カルボン酸成分とから合成することができる。
多価アルコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物等の2価アルコールを挙げることができる。
【0026】
また、ポリマーをテトラヒドロフラン不溶分が発生しない程度に非線状化するために3価以上の多価アルコールを使用することができる。3価以上のアルコール成分としては、グリセリン、ソルビトール、1,2,3,6−へキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0027】
また、多価カルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロへキサンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アルキルコハク酸(例えば、n−オクチルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸)等の2塩基性カルボン酸、それらの酸無水物およびアルキルエステルを挙げることができる。
【0028】
[色材]
トナーの色材(着色剤)としては、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色について、公知のものを種々用いることができる。
イエロートナーの着色剤としては、例えば、カラーインデックスにより分類ささるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15若しくはC.I.ピグメントイエロー17等のアゾ系顔料、または、黄色酸化鉄若しくは黄土等の無機系顔料を用いることができる。
また、染料としては、例えば、C.I.アジットイエロー1等のニトロ系染料、または、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19若しくはC.I.ソルベントイエロー21等の油溶性染料を用いることができる。
特に、C.I.ピグメントイエロー17等のベンジジン系顔料が色味の点から好ましい。
【0029】
マゼンタトナーの着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10またはC.I.ディスパーズレッド15等を用いることができ、特に、C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料が色味の点から好ましい。
【0030】
シアントナーの着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25またはC.I.ダイレクトブルー86等を用いることができ、特に、C.I.ピグメントブルー15等の銅フタロシアニン顔料が色味の点から好ましい。
【0031】
ブラックトナーの着色剤としては、カーボンブラックが好適である。カーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ロースブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、アセチレンブラックなどの、従来公知の様々なカーボンブラックの中から、適宜選択することができる。
【0032】
[荷電制御剤]
本発明の実施形態に用いるトナーには、トナーの摩擦帯電性を制御する目的で、電荷制御剤を配合することができる。この電荷制御剤は、トナーの帯電特性に応じて、正電荷制御用および負電荷制御用がある。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、塩基性窒素原子を有する有機化合物、例えば、塩基性染料、第4級アンモニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン類またはニグロシンベース等を用いることができる。
負帯電用の電荷制御剤としては、オイルブラック若しくはスピロンブラック等の油溶性染料、含金属アゾ染料、ナフテン酸金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、ホウ素系錯体、脂肪酸石鹸または樹脂酸石鹸等を用いることができる。
本発明においては、帯電立ち上がり性の制御が容易なことからホウ素錯体を用いることが好ましい。
電荷制御剤の添加量は、樹脂(結着樹脂)100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部が好ましい。つまり、前記トナー母体中に含まれる荷電制御剤の含有量は0.5〜2.0重量%であることが望ましい。0.5重量%よりも少ないと荷電制御剤が所望の帯電性を発現せず、2.0重量%よりも多いと、トナー製造過程において、荷電制御剤がトナーから遊離する量が多くなり、製造安定性に乏しく、トナー中における荷電制御剤の量及び分散径が所望値に至らない。
【0033】
[離型剤]
離型剤としてはワックスが挙げられるが、一般に極性の低いワックスの方が定着部材(定着ローラ)との離型性に優れている。本発明において用いられるワックスとしては、極性の低い炭化水素系ワックスが好ましい。
炭化水素系ワックスとは、炭素原子と水素原子のみからなるワックスであり、エステル基、アルコール基、アミド基などを含まない。具体的な炭化水素系ワックスとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンの共重合体、などのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックス、フィッシャートロプシュワックス、などの合成ワックスなどが挙げられる。このうち、本発明において好ましいものは、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスであり、さらに好ましくはポリエチレンワックス、パラフィンワックスである。
また、前記トナー母体中に含まれる離型剤の含有量は2〜8重量%であることが望ましい。2重量%よりも少ないとトナー定着工程において所望の離型効果を発現せず、8重両%よりも多いと、トナー中に遊離ワックスが増え、製造安定性及び部材にフィルミングし、また所望の分散径を得られない。
【0034】
離型剤(ワックス)の融点は、70℃〜90℃の範囲にあることが好ましい。90℃よりも高いと、定着プロセスにおけるワックスの溶融が不十分になり、定着部材との分離性が確保できなくなる。また70℃よりも低いと、高温高湿環境においてトナー粒子同士が融着するなど、保存安定性に問題が生じる。低温での定着分離性に余裕を持たせるためには、ワックスの融点は70℃〜85℃がより好ましく、さらに好ましくは70℃〜80℃の範囲である。
【0035】
〈離型剤の融点〉
ここで、離型剤(ワックス)の融点は、示差走査型熱量計(DSC)にて測定される昇温時のワックスの吸熱ピークである。ワックス吸熱ピークの半値幅は、7℃以下であることが好ましい。本発明におけるワックスの融点は比較的低いため、吸熱ピークがブロード、つまり低温域から溶融するようなワックスは、トナーの保存安定性に悪影響を及ぼす。
【0036】
[その他の成分]
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等が挙げられる。
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
クリーニング性向上剤は、感光体や中間転写体に残存する転写後のトナーを除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のポリマー微粒子などが挙げられる。
【0037】
[外添剤]
本発明の実施例形態に係る画像形成方法(例えば、非磁性一成分現像方法)に用いるトナー母体と外添剤からなるトナーの外添剤として、例えば、無機微粒子および樹脂微粒子が外添される。
無機微粒子としては、例えば、脂肪酸金属塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、酸化亜鉛粉末、酸化アルミ粉末、酸化チタン粉末または微粉末シリカ等を用いることができる。また、樹脂微粒子としては、メラミン系樹脂を用いることができる。なお、外添剤としては表面処理したものも使用可能である。あるいは疎水化処理した無機微粒子も使用することができる。
前記外添剤の添加量は、前記トナーに対し、0.5重量%〜4重量%が好ましい。
また、前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、6nm〜40nmが好ましい。この範囲より平均粒径が小さいと、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくく、この範囲より大きいと、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけ好ましくない。
【0038】
本発明の実施例形態に係る画像形成方法に用いるトナーの粒子径としては、平均粒径3μm〜15μmのものが好ましく用いられる。特に高画質画像を得るためには、平均粒径が9μm以下の小粒径トナーを用い、画質の向上を図るためには5μm〜8μmの小粒径トナーが好適である。
【0039】
本発明において用いられる前記トナーは、粉砕法により製造することができる。粉砕法は、混合工程、溶融混練工程、冷却工程、粗砕工程、粉砕工程、分級工程によりトナー母体を製造した後、トナー母体表面に外添剤を付与する外添工程からなるが、本発明では、混合工程でトナー原料を予備混練(溶融混合)した後、開放系ロール型混練機(オープンロール)で溶融混練する(予備混練システム)。すなわち、本発明における予備混練システムではトナー原料を樹脂(バインダー樹脂)の軟化点以上の温度で予め溶融混合した後、オープンロールに投入するのが好ましい。
溶融混練機としては、開放式のロール型混練機、バレル内にスクリューを要する押し出し混練機などがあるが、本発明の溶融混練はトナー中に含有される原料の分散が目的であるため、低温高粘度で混練することができる開放型のロール式混練機を用いる。これによって、離径剤を微分散化(離型剤分散粒子径WAを制御)し、かつ荷電制御剤を本発明規定の分散径に制御(荷電制御剤表面露出量CAを制御)することが可能となる。
前述のように、予備混練システムを用いることにより、開放系ロール型混練機で混合原料を溶融混練する際、原料成分の落下やロール上での暴れなどが回避され、均一に混練される。これによって、前記式(1)と式(2)を満足し、さらに、前記式(3)と式(4)を満たし、所望とする荷電立ち上がり性を達成することができ、一成分トナーによる現像方式において良好な帯電特性を維持することができる。
上記粉砕法によれば、既存設備を転用することが可能であり、各工程において大量の水や溶媒等の副材料を使用することなく製造できることから、コスト低減を図ることができ、さらに環境に対する負荷を軽減することができる。
上記荷電制御剤表面露出量CA、および離型剤分散粒子径WAは、以下の手順にて算出される。
【0040】
〈荷電制御剤表面露出量CA〉
(1)50%エタノール水溶液中にトナー0.5gを加え、スクリュー管に入れた後ロールミルにて回転数150rpmにて5分間攪拌する。
(2)攪拌後、遠沈管に移し遠心分離を行い、上澄み液をフィルターろ過し、ろ液をマイクロキャリーに滴下後乾燥を行い、蛍光X線にて定量を行う。
(3)蛍光X線定量にて算出した元素定量値を試料濃度(%)で割った量に100を掛けた量を荷電制御剤表面露出量CA (%)として算出する(下記式による)。
荷電制御剤表面露出量CA(%)=(蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度)×100
【0041】
〈離型剤分散粒子径〉
本発明においては、離型剤のトナー中における平均分散粒子径(離型剤分散粒子径)として、個数分布の平均分散粒子径を算出して用いた。
具体的には、トナーをエポキシ樹脂に包埋して約100μmに超薄切片化し、四酸化ルテニウムで染色したものを、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて倍率1万倍で観察し、写真撮影により得られる画像から個々の離型剤の平均粒子径を100個ランダムに観察し、それらの平均粒径の個数分布比率をヒストグラムの0.05μm幅を単位として離型剤の分散粒子径の分布とした。但し、分散粒子径の形状が球形ではなく、紡錘状等の非球形の場合は長軸と短軸との和を2で割ったものを平均粒子径とした。
【0042】
[画像形成方法および画像形成装置]
前述のように本発明に係る画像形成装置は、
少なくとも感光体と、この感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された感光体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段と、形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像とする現像手段と、現像されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段とを具備してなる画像形成装置であって、
前記現像手段は、トナーを付着させる現像ローラと、該現像ローラにトナーを供給する供給部材と、該供給部材から供給されるトナーを現像ローラ表面で薄層とする規制部材を備え、
前記トナーが、樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなると共に一成分現像剤として使用され、
かつ、該離型剤のトナー中における個数分布の平均分散粒子径[樹脂に包埋したトナーをTEMで測定](μm)をWAとし、該荷電制御剤のトナー表面露出量[蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度](%)をCAとしたとき、前記式(1)、(2)で示される関係を満たすと共に、前記現像ローラ表面に形成されるトナー薄層の前記測定方法で測定される平均帯電量Q1とQ6が前記式(3)、(4)で示される関係を満たすことを特徴とするものである。
【0043】
また、本発明に係るプロセスカートリッジは、少なくとも感光体と、感光体の表面を帯電する帯電手段、帯電された感光体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段、形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像とする現像手段、現像されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段、転写後に感光体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選択される一つの手段と、が一体化した画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、
前記現像手段は、トナーを付着させる現像ローラと、該現像ローラにトナーを供給する供給部材と、該供給部材から供給されるトナーを現像ローラ表面で薄層とする規制部材を備え、
前記トナーが、樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなると共に一成分現像剤として使用され、かつ、該離型剤のトナー中における個数分布の平均分散粒子径[樹脂に包埋したトナーをTEMで測定](μm)をWAとし、該荷電制御剤のトナー表面露出量[蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度](%)をCAとしたとき、前記式(1)、(2)で示される関係を満たすと共に、前記現像ローラ表面に形成されるトナー薄層の前記測定方法で測定される平均帯電量Q1とQ6が前記式(3)、(4)で示される関係を満たすことを特徴とするものである。
【0044】
以下に、図面を用いて本発明の画像形成方法と画像形成装置を説明する。
図1は、本発明の画像形成方法(電子写真プロセス)と画像形成装置を説明するための概略図である。
図1において、画像形成装置101には、複数の感光体(感光体ドラム)110が配備されており、複数の感光体(感光体ドラム)110には、回転方向の順に帯電手段108、露光手段(光走査装置)106、現像手段102、転写手段112、113、クリーニング手段107、がそれぞれ配設されている。
帯電手段108は、ローラ状に形成された導電性ローラで、このローラに帯電バイアス電圧が不図示の電源装置から供給され、感光体ドラム表面を一様に帯電させる。露光手段(光走査装置)106は、画像データに基づいて、点灯/消灯するレーザ光を感光体ドラム表面に照射し、感光体ドラム上に静電潜像を形成する。現像手段102は、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像剤にて顕像化する。転写手段112は、感光体上の顕像を感光体から転写する。クリーニング手段107は、転写後に感光体上に残留する現像剤を除去する。
現像手段102は、感光体表面に形成された静電潜像にトナーを付着させる現像ローラ120と、該現像ローラにトナーを供給する供給部材121と、該供給部材から供給されるトナーを現像ローラ表面で薄層とする規制部材122を備えている。
ここで用いられるトナーは、樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなり、前記式(1)、(2)および前記式(3)、(4)を満たすものであり、一成分現像剤として使用される。
図1では、複数の感光体上の像を中間転写体111に各々転写した後、転写手段113によって紙等の転写材に転写する構成の例である。転写材103aは給紙手段103のローラ103bにより1枚ずつ分離されてレジストローラ103cに搬送され、更に上記の転写手段113に搬送される。なお図1中、符号104は定着ユニットであり、符号15、16はコントローラユニットおよび電源ユニットを示す。
【実施例】
【0045】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制約を受けるものではない。
【0046】
(実施例1〜5)
実施例1〜5において用いる評価用トナーを下記条件で製造した。
結着樹脂としてのポリエステル樹脂100重量部に対し、融点75℃、針入度1のパラフィンワックス4重量部、色材としての銅フタロシアニン顔料(Pig.15−3)4重量部、および帯電制御剤としてのホウ素系錯体(LR147)1重量部をヘンシェルミキサーにて予め溶融混合(140℃)した。混合物をオープンロール型混練機に供給して、溶融混練(120℃)し、冷却後に流動床式粉砕機で粉砕し、その後ローター式分級機で分級して平均粒子径8μmのトナー母体を得た。得られたトナー母体に流動化剤として12nmのHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理したシリカおよび40nmのHMDS処理をしたシリカを外添し、評価用トナーとした。
オープンロール混練条件に関しては、上記トナー原料を単に混合した混合物をオープンロール型混練機に直接投入すると開放系のオープンロールの特性上、低融点の材料はロールに巻きつき易いが、逆に荷電制御剤の様な高融点の材料はロールに巻きつかず、ロール下に落下もしくはロール上で暴れる。このため、仕込み量に対して所望の荷電制御剤表面露出量CAが得られなくなる。このため、本発明においては、トナー原料混合後に結着樹脂の軟化点以上の温度で予め溶融混合し、この溶融混合物をオープンロール型混練機に直接投入するのが好ましい。これを行わない場合、規定の荷電制御剤露出量としたトナー母体が得られにくい。
なお、パラフィンワックスの針入度は、東科精機(株)社製 自動針入度ちょう度試験器PNR10型により測定されるものである。
【0047】
(比較例8)
比較例8においては実施例1〜5で行ったトナー原料の溶融混合を行わず、前記トナー原料を単に混合した後混合物をオープンロール型混練機に供給して溶融混練し、実施例1〜5と同様に粉砕、分級して評価用トナーとした。
【0048】
実施例1〜5および比較例8の製造条件、および離型剤(ワックス)の添加量(ポリエステル樹脂100重量部に対するパラフィンワックスの添加重量部)を下記表1にまとめて示す。
また、実施例1〜5および比較例8の評価用トナーについて、前述の評価方法に則って測定した離型剤分散粒子径WA[樹脂に包埋したトナーをTEMで測定](μm)、および荷電制御剤表面露出量CA[(蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度)×100](%)を下記表1に併せて示す。
【0049】
【表1】

【0050】
(比較例1〜4)
比較例1〜4においては、図2の概略構成図に示すような臼式混練機を使用してトナー原料の溶融混練を行った。
実施例1〜5と同様のトナー原料が、供給フィーダ11から投入され、搬送スクリュー12Aを経て、外部砥石13と内部砥石14との薄膜間隙で混練され、再度送り部12Bを経た後、シリンダ15の中にある搬送スクリュー12Cを経て、排出口16から排出され、その後プレスローラ17で圧延冷却される。
なお、図2のような臼式混練機を使用する場合、混練条件としては、外部砥石13と内部砥石14との薄膜間隙、各砥石構成部の内部温度、スクリュー回転数を適宜選択すればよい。一般的には、外部砥石13と内部砥石14との薄膜間隙を狭くしたりすると、離型剤(ワックス)の粒子径は、小さくなる。逆に、外部砥石13と内部砥石14との薄膜間隙を広くしたりすると、ワックスの粒子径は、逆に大きくなる。
シリンダの内部温度は、バインダー樹脂の軟化点以上であることが好ましく、樹脂(バインダー樹脂)の軟化点より10℃高い温度程度が、ワックスや顔料の分散を考慮すると、特に好ましい。シリンダの内部温度は、通常、60℃以上180℃以下であり、70℃以上140℃以下が好適である。なお、軟化点としては、2種類以上の樹脂が混合されているバインダー樹脂を使用する場合は、混合樹脂の軟化点を用い、ワックスが添加されているバインダー樹脂を使用する場合は、ワックスを含むバインダー樹脂の軟化点を用いる。
スクリューの回転数は、通常、50rpm以上100rpm以下であり、60rpm以上90rpm以下が適度なトルクがかかり好適である。
【0051】
シリンダ温度、スクリュー回転数等の条件を変えてそれぞれ混練し、粉砕、分級してトナー母体とし、このトナー母体に実施例1〜5と同様に外添剤を外添して比較例1〜4の評価用トナーとした。
比較例1〜4における混練条件(外部砥石と内部砥石の薄膜間隙、シリンダの内部温度、スクリュー回転数等)、および離型剤の添加量(ポリエステル樹脂100重量部に対するパラフィンワックスの添加重量部)につきまとめて下記表2に示す。
また、比較例1〜4の評価用トナーについて、実施例1〜5と同様にして離型剤分散粒子径WA[樹脂に包埋したトナーをTEMで測定](μm)、および荷電制御剤表面露出量CA[(蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度)×100](%)を測定した結果を下記表2に併せて示す。
【0052】
【表2】

【0053】
(比較例5〜7)
比較例5〜7においては、二軸混練機を用いて溶融混練を行い、シリンダの内部温度、スクリュー回転数の条件を変えてそれぞれ混練し、粉砕、分級してトナー母体とし、これに実施例1〜5と同様に外添剤を外添して比較例5〜7の評価用トナーとした。
【0054】
比較例5〜7における混練条件(シリンダの内部温度、スクリュー回転数等)および離型剤の添加量(ポリエステル樹脂100重量部に対するパラフィンワックスの添加重量部)につきまとめて下記表3に示す。
また、比較例5〜7の評価用トナーについて、実施例1〜5と同様にして離型剤分散粒子径WA[樹脂に包埋したトナーをTEMで測定](μm)、および荷電制御剤表面露出量CA[(蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度)×100](%)を測定した結果を下記表3に併せて示す。
【0055】
【表3】

【0056】
上記で製造した実施例1〜5および比較例1〜8の評価用トナーを用いて、前述の測定方法に基づいて平均帯電量Q1とQ6を測定し、|Q1−Q6|を算出した。結果を下記表4に示す。
なお、評価に関しては、リコー社製IPSIO SP220のプロセスカートリッジをバイアス設定等可能な様に改造したものを使用。荷電立ち上がり性を、初期トナーを用い、プロセスカートリッジ改造品を使用して外部駆動機にて評価した。
測定条件は下記による。
・環境:23℃・50%RH
・バイアス:現像ローラ、供給現像ローラ、規制BL(ブレード)、除電シートそれぞれ同電位(−100V)のバイアス印加
・現像ローラ:ウレタン製、Ra1.0のものを使用
・供給ローラ:ウレタン製
・徐電シート:導電性シート使用
・規制部材:SUS製
・回転数(システムスピード):160mm/sec
・感光体:有機感光体使用
【0057】
上記で製造した実施例1〜5および比較例1〜8の評価用トナーを用いて、実機により、評価方法に基づきベタ追従性とLL暴走を評価した。結果を下記表4に示す。なお、表4には比較参照し易くするため、離型剤分散粒子径WAと荷電制御剤表面露出量CAを併記した。
<評価方法>
ベタ追従性:32℃/80%RHにて5%チャートを1000枚連続印字した後、黒ベタ画像上の追従性不良による画像カスレを目視評価
LL暴走:10℃/15%RHにて5%チャートを1000枚連続印字した後、ハーフトーン画像上の搬送ムラを目視評価
〔評価基準〕
○:全く問題のないレベル
△:若干のムラ/カブリが見られるが画像品質上問題のないレベル
×:ムラ/カブリがひどく実使用上問題のあるレベル
【0058】
【表4】

【0059】
上記評価結果からわかるように、前記式(1)、(2)および、式(3)、(4)を満たす本発明の実施例1〜5のトナーはベタ追従性およびLL暴走においていずれも全く問題のないレベルにある。これに対して、前記式(1)、(2)、(3)、(4)の少なくともいずれかを満たさない比較例1〜8ではベタ追従性かLL暴走において実使用上問題のあるレベルである。
前記式(1)、(2)、(3)、(4)を満たす本発明のトナーは、前述のように、混合工程でトナー原料を予備混練(溶融混合)した後、開放系ロール型混練機(オープンロール)で溶融混練する予備混練システムを使用して製造されていることがわかる。一方、比較例8のようにトナー原料を溶融混合しない場合には、荷電制御剤表面露出量CAが規定値を満たさず、ベタ追従性が実使用上問題のあるレベルとなっている。比較例1〜4の臼式混練機を使用した場合、比較例5〜7の二軸混練機を使用した場合には、比較例4(CAのみ規定内)を除きいずれの規定式も満たさない結果となっている。
【0060】
本発明の画像形成方法において用いられるトナーは、樹脂と離型剤の界面で起こるトナー割れなどがなく、荷電立ち上がり性に優れ、リセット性が高く良好なベタ追従性(ベタ画像濃度にムラなどの発生がない)を発揮でき、搬送量の暴走がなく、規制部材(規制ブレード)への固着等が発生せず、一成分トナーを用いた現像方式において好適な帯電特性が発揮される。荷電立ち上がり性に優れたトナーを一成分現像剤として用いる本発明の現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置によれば、プロセス線速が高速でも異常画像の発生がなく安定した画像を出力することができる。また、ローエンドレーザビームプリンタ(LBP)等において要望されている小型化および低コスト化を実現可能とする。また、本発明のトナーはオイルレス定着が可能であり、更に小型化および低コスト化において効果的である。
【符号の説明】
【0061】
(図1の符号)
15、16 コントローラユニット、電源ユニット
101 画像形成装置
102 現像手段
103 給紙手段
103a 転写材
103b ローラ
103c レジストローラ
104 定着ユニット
106 露光手段(光走査装置)
107 クリーニング手段
108 帯電手段
110 感光体(感光体ドラム)
111 中間転写体
112 転写手段
113 転写手段
120 現像ローラ
121 供給部材
122 規制部材
(図2の符号)
11 供給フィーダ11
12A 搬送スクリュー12A
12B 送り部
12C 搬送スクリュー
13 外部砥石
14 内部砥石
15 シリンダ
16 排出口
17 プレスローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2003−91102号公報(特許第3698203号公報)
【特許文献2】特開2005−55783号公報
【特許文献3】特開2007−147979号公報
【特許文献4】特開2006−220674号公報
【特許文献5】特開2005−62277号公報
【特許文献6】特開平7−168391号公報(特許第3353168号公報)
【特許文献7】特開2003−107770号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも感光体表面に形成された静電潜像に、トナーを付着させる現像ローラと、該現像ローラにトナーを供給する供給部材と、該供給部材から供給されるトナーを現像ローラ表面で薄層とする規制部材を備えた現像手段により、トナーを付着させてトナー像とする工程を含む一成分現像方式の画像形成方法であって、
前記トナーが、樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなると共に一成分現像剤として使用され、
かつ、前記離型剤のトナー中における平均分散粒子径[トナーの個数分布をTEMで測定](μm)をWAとし、前記荷電制御剤のトナー表面露出量[(蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度)×100](%)をCAとしたとき、下記式(1)、(2)で示される関係を満たすと共に、
0.1≦WA≦0.6 ・・・(1)
0.1×WA+0.14≦CA≦0.1×WA+0.29 ・・・(2)
前記現像ローラ表面に形成されるトナー薄層の下記測定方法で測定される平均帯電量Q1とQ6が下記式(3)、(4)で示される関係を満たすことを特徴とする一成分現像方式の画像形成方法。
|Q1−Q6|≦20 ・・・(3)
6≧−30 ・・・(4)
〈平均帯電量Q1とQ6の測定方法〉
1の測定:現像ローラ、供給部材(供給ローラ)、規制部材、除電シートおよび感光体の取り付けられたプロセスカートリッジにバイアスをかけながら1周させて現像ローラ表面にトナー薄層を形成する。トナー薄層が形成された現像ローラのみを取り外し、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
6の測定:Q1の測定と同様に現像ローラを1周させてトナー薄層を形成させた後、現像ローラに規制部材のみ取り付けた状態で5周させ、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
【請求項2】
前記トナー母体中に含まれる荷電制御剤の含有量が、0.5〜2.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の一成分現像方式の画像形成方法。
【請求項3】
前記トナー母体中に含まれる離型剤の含有量が、2〜8重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の一成分現像方式の画像形成方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の一成分現像方式の画像形成方法の現像工程において用いられ、感光体表面に形成された静電潜像に、前記式(1)〜(4)で示される関係を満たすトナーを付着させる現像ローラ、該現像ローラにトナーを供給する供給部材、該供給部材から供給されるトナーを現像ローラ表面で薄層とする規制部材を備えたことを特徴とする現像手段。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の一成分現像方式の画像形成方法において用いられ、樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなると共に一成分現像剤として使用され、かつ、離型剤のトナー中における平均分散粒子径WAと、荷電制御剤のトナー表面露出量CAが前記式(1)、(2)で示される関係を満たすと共に、前記現像ローラ表面に形成されるトナー薄層の前記方法で測定される平均帯電量Q1とQ6が前記式(3)、(4)で示される関係を満たすことを特徴とするトナー。
【請求項6】
少なくとも感光体と、感光体の表面を帯電する帯電手段、帯電された感光体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段、形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像とする現像手段、現像されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段、転写後に感光体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選択される一つの手段と、が一体化した画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、
前記現像手段は、トナーを付着させる現像ローラと、該現像ローラにトナーを供給する供給部材と、該供給部材から供給されるトナーを現像ローラ表面で薄層とする規制部材を備え、
前記トナーが、樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなると共に一成分現像剤として使用され、
かつ、該離型剤のトナー中における個数分布の平均分散粒子径[トナーの個数分布をTEMで測定](μm)をWAとし、該荷電制御剤のトナー表面露出量[蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度](%)をCAとしたとき、下記式(1)、(2)で示される関係を満たすと共に、
0.1≦WA≦0.6 ・・・(1)
0.1×WA+0.14≦CA≦0.1×WA+0.29 ・・・(2)
前記現像ローラ表面に形成されるトナー薄層の下記測定方法で測定される平均帯電量Q1とQ6が下記式(3)、(4)で示される関係を満たすことを特徴とするプロセスカートリッジ。
|Q1−Q6|≦20 ・・・(3)
6≧−30 ・・・(4)
〈平均帯電量Q1とQ6の測定方法〉
1の測定:現像ローラ、供給部材(供給ローラ)、規制部材、除電シートおよび感光体の取り付けられたプロセスカートリッジにバイアスをかけながら1周させて現像ローラ表面にトナー薄層を形成する。トナー薄層が形成された現像ローラのみを取り外し、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
6の測定:Q1の測定と同様に現像ローラを1周させてトナー薄層を形成させた後、現像ローラに規制部材のみ取り付けた状態で5周させ、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
【請求項7】
少なくとも感光体と、この感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された感光体表面に露光を行い静電潜像を形成する露光手段と、形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像とする現像手段と、現像されたトナー像を記録媒体に転写させる転写手段とを具備してなる画像形成装置であって、
前記現像手段は、トナーを付着させる現像ローラと、該現像ローラにトナーを供給する供給部材と、該供給部材から供給されるトナーを現像ローラ表面で薄層とする規制部材を備え、
前記トナーが、樹脂、色材、荷電制御剤、離型剤を含むトナー母体と外添剤からなると共に一成分現像剤として使用され、
かつ、該離型剤のトナー中における個数分布の平均分散粒子径[トナーの個数分布をTEMで測定](μm)をWAとし、該荷電制御剤のトナー表面露出量[蛍光X線法で求めた元素定量値/試料濃度](%)をCAとしたとき、下記式(1)、(2)で示される関係を満たすと共に、
0.1≦WA≦0.6 ・・・(1)
0.1×WA+0.14≦CA≦0.1×WA+0.29 ・・・(2)
前記現像ローラ表面に形成されるトナー薄層の下記測定方法で測定される平均帯電量Q1とQ6が下記式(3)、(4)で示される関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。
|Q1−Q6|≦20 ・・・(3)
6≧−30 ・・・(4)
〈平均帯電量Q1とQ6の測定方法〉
1の測定:現像ローラ、供給部材(供給ローラ)、規制部材、除電シートおよび感光体の取り付けられたプロセスカートリッジにバイアスをかけながら1周させて現像ローラ表面にトナー薄層を形成する。トナー薄層が形成された現像ローラのみを取り外し、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。
6の測定:Q1の測定と同様に現像ローラを1周させてトナー薄層を形成させた後、現像ローラに規制部材のみ取り付けた状態で5周させ、トナー薄層部分の平均帯電量(μC/g)を測定する。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−164599(P2010−164599A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4287(P2009−4287)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】