説明

三次元測定機

【課題】測定条件を変更した場合であってもプローブの移動量を適切に補正することができる三次元測定機の提供。
【解決手段】三次元測定機は、一定の範囲内で移動可能に構成される測定子を有するプローブと、プローブを移動させる移動機構と、移動機構を制御する制御装置とを備える。制御装置は、移動機構の移動量、及びプローブの移動量に基づいて測定子の位置を算出する測定値算出部53を備える。測定値算出部53は、被測定物を測定するときの測定条件に基づいて、プローブの移動量を補正するための補正パラメータを算出する補正パラメータ算出部531と、補正パラメータに基づいて、プローブの移動量を補正する補正部532と、移動機構の移動量と、補正部532にて補正されたプローブの移動量とを合成することで測定子の位置を算出する移動量合成部533とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一定の範囲内で移動可能に構成され、被測定物に接触する測定子を有するプローブと、プローブを保持するとともに、移動させる移動機構と、移動機構を制御する制御装置とを備え、プローブを被測定物に押し込んだ状態で被測定物の表面に倣って測定子を移動させることによって被測定物を測定する三次元測定機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の表面形状測定装置(三次元測定機)では、プローブを被測定物に押し込んだ状態で被測定物の表面に倣って測定子を移動させることで駆動機構(移動機構)の移動量、及びプローブの移動量を取得し、取得した各移動量を合成することで測定子の位置(測定値)を検出している。また、表面形状測定装置は、検出した測定値に基づいて被測定物の表面形状等を測定している。
【0003】
ここで、表面形状測定装置にて取得されるプローブの移動量と、実際のプローブの移動量との間に誤差がある場合には、測定値にも誤差が含まれることになる。このため、従来では、例えば、以下の式(1)に示すように、表面形状測定装置にて取得されるプローブの移動量を所定の補正パラメータで補正することで測定誤差を低減させている。
【0004】
【数1】

【0005】
式(1)は、補正後のプローブの移動量XPA,YPA,ZPAを、プローブの移動量XPB,YPB,ZPBに係る多項式で近似したときの係数を補正パラメータCX〜CX,CY〜CY,CZ〜CZとした式である。なお、補正パラメータCX〜CX,CY〜CY,CZ〜CZは、所定の測定条件(例えば、押し込み量、測定方向、及び測定速度など)において、半径既知の基準球を測定することで得ることができる。
ここで、押し込み量とは、プローブを被測定物に押し込んだ状態で被測定物を測定するときのプローブの変位量をいうものとし、測定方向とは、プローブの移動経路を分割し、分割された移動経路を円弧で近似した場合の回転方向をいうものとする。
【0006】
【特許文献1】特開2008−89578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、プローブの移動量を所定の補正パラメータで補正すると、補正パラメータを取得したときとは異なる測定条件で測定をする場合には、三次元測定機は、プローブの移動量を適切に補正をすることができなくなり、測定誤差が大きくなるという問題がある。以下、図面を参照して具体的に説明する。
【0008】
図8は、押し込み量の測定条件のみを変更した場合における測定結果を示す図である。図9は、測定方向の測定条件のみを変更した場合における測定結果を示す図である。なお、図8、及び図9は、補正後のプローブの移動量をプローブの移動量に係る3次の多項式で近似したときの係数を補正パラメータとした場合(前述した式(1)においてn=3の場合)に、測定条件を異ならせて円筒状の基準器の側面形状を測定したときの測定結果を示す図である。
【0009】
また、図8においては、押し込み量を相対的に小、及び大の2段階で示し、補正パラメータを取得したとき(プローブ校正時)の押し込み量、及び測定をするとき(倣い測定時)の押し込み量を、(A)は、ともに小とし、(B)は、小、及び大とし、(C)は、大、及び小とし、(D)は、ともに大とした場合における測定結果を示している。図9においては、プローブ校正時の測定方向、及び倣い測定時の測定方向を、(A)は、ともに左回りとし、(B)は、左回り、及び右回りとし、(C)は、右回り、及び左回りとし、(D)は、ともに右回りとした場合における測定結果を示している。
【0010】
プローブ校正時、及び倣い測定時の測定条件を同じにした場合には、図8(A),(D)、及び図9(A),(D)に示すように、三次元測定機は、プローブの移動量を適切に補正をすることができ、測定誤差を低減させることができる。
しかしながら、プローブ校正時、及び倣い測定時の測定条件を異ならせた場合には、図8(B),(C)、及び図9(B),(C)に示すように、三次元測定機は、プローブの移動量を適切に補正をすることができなくなり、測定誤差が大きくなるという問題がある。なお、図8、及び図9では、押し込み量、及び測定方向を変更した場合を例示したが、測定速度を変更した場合も同様である。
【0011】
本発明の目的は、測定条件を変更した場合であってもプローブの移動量を適切に補正することができ、測定誤差を低減させることができる三次元測定機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の三次元測定機は、一定の範囲内で移動可能に構成され、被測定物に接触する測定子を有するプローブと、前記プローブを保持するとともに、移動させる移動機構と、前記移動機構を制御する制御装置とを備え、前記プローブを前記被測定物に押し込んだ状態で前記被測定物の表面に倣って前記測定子を移動させることによって前記被測定物を測定する三次元測定機であって、前記制御装置は、前記移動機構の移動量、及び前記プローブの移動量を取得する移動量取得部と、前記移動量取得部にて取得された前記プローブの移動量を補正するための補正パラメータを算出する補正パラメータ算出部と、前記補正パラメータに基づいて、前記移動量取得部にて取得された前記プローブの移動量を補正する補正部と、前記移動機構の移動量と、前記補正部にて補正された前記プローブの移動量とを合成することで前記測定子の位置を算出する移動量合成部とを備え、前記補正パラメータ算出部は、前記被測定物を測定するときの測定条件に基づいて、前記補正パラメータを算出することを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、三次元測定機は、プローブの移動量を補正するための補正パラメータを算出する補正パラメータ算出部を備え、補正パラメータ算出部は、被測定物を測定するときの測定条件に基づいて、補正パラメータを算出するので、補正部は、測定条件に応じた補正パラメータでプローブの移動量を補正することができる。したがって、三次元測定機は、測定条件を変更した場合であってもプローブの移動量を適切に補正することができ、測定誤差を低減させることができる。
【0014】
本発明では、前記補正パラメータ算出部は、前記プローブの押し込み量、及び測定方向に基づいて、前記補正パラメータを算出することが好ましい。
このような構成によれば、補正部は、プローブの押し込み量、及び測定方向に応じた補正パラメータでプローブの移動量を補正することができる。したがって、三次元測定機は、測定条件を変更した場合であってもプローブの移動量を適切に補正することができ、測定誤差を低減させることができる。
【0015】
本発明では、前記補正パラメータ算出部は、前記プローブを前記移動機構にて移動させるための位置指令値に基づいて、前記測定方向を検出することが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、補正パラメータ算出部は、自動的に測定方向を検出することができるので、例えば、移動機構にてプローブを自由移動させる場合であっても測定方向を容易に検出することができる。したがって、三次元測定機は、測定条件を変更した場合であってもプローブの移動量を適切に補正することができ、測定誤差を低減させることができる。
【0017】
本発明では、前記補正パラメータ算出部は、前記プローブの移動量を直交座標系の3つの平面内でそれぞれ補正するための3つの前記補正パラメータを算出し、前記補正部は、前記各平面内における前記プローブの移動量を前記各補正パラメータにてそれぞれ補正した後、補正後の前記プローブの移動量を軸方向の成分ごとに合成することで前記プローブの移動量を補正することが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、補正パラメータ算出部は、各平面内でプローブの移動量をそれぞれ補正するための各補正パラメータを算出するので、三次元空間内でプローブの移動量を補正するための補正パラメータを算出する場合と比較して、算出された各補正パラメータによる補正の効果を各平面内で容易に確認することができる。
また、補正部は、補正後のプローブの移動量を軸方向の成分ごとに合成することでプローブの移動量を補正するので、平均化による効果で補正パラメータの誤差を低減させることができる。したがって、三次元測定機は、測定条件を変更した場合であってもプローブの移動量を適切に補正することができ、測定誤差を低減させることができる。
【0019】
本発明では、前記各補正パラメータは、前記補正後のプローブの移動量を前記プローブの移動量に係る多項式で近似したときの係数とされていることが好ましい。
このような構成によれば、補正の影響度に応じて各平面内で異なる次数の多項式を用いることができるので、補正処理にかかる時間を低減させることができる。
【0020】
本発明では、前記各補正パラメータは、前記補正後のプローブの移動量を前記プローブの移動量に係る円の式で近似したときの係数とされていることが好ましい。
このような構成によれば、各補正パラメータを多項式の係数とした場合と比較して補正パラメータの数を低減させることができるので、補正処理にかかる時間を低減させることができる。
【0021】
本発明では、1つ、または2つの前記補正パラメータは、前記補正後のプローブの移動量を前記プローブの移動量に係る多項式で近似したときの係数とされ、他の前記補正パラメータは、前記補正後のプローブの移動量を前記プローブの移動量に係る円の式で近似したときの係数とされていることが好ましい。
【0022】
ここで、補正パラメータは、例えば、測定条件を変更しながら半径既知の基準球を測定することで得ることができる。そして、基準球を測定したときに測定子の描く軌跡が円の式で十分に近似することができる場合には、補正後のプローブの移動量をプローブの移動量に係る円の式で近似したときの係数を補正パラメータとすることによって、少ない補正パラメータの数でプローブの移動量を適切に補正することができる。しかしながら、このような場合以外には、補正後のプローブの移動量をプローブの移動量に係る円の式で近似したときの係数を補正パラメータとすると、プローブの移動量を適切に補正することができないという問題がある。
本発明によれば、補正の影響度、及び基準球を測定したときに測定子の描く軌跡に応じて各平面内で異なる次数の多項式、及び円の式を用いることができるので、プローブの移動量を適切に補正しつつ、補正処理にかかる時間を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔三次元測定機の概略構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る三次元測定機1を示す全体模式図である。図2は、三次元測定機1の概略構成を示すブロック図である。なお、図1では、上方向を+Z軸方向とし、このZ軸に直交する2軸をそれぞれX軸、及びY軸として説明する。以下の図面においても同様である。
【0024】
三次元測定機1は、図1に示すように、三次元測定機本体2と、三次元測定機本体2の駆動制御を実行するモーションコントローラ3と、操作レバー等を介してモーションコントローラ3に指令を与え、三次元測定機本体2を手動で操作するための操作手段4と、モーションコントローラ3に所定の指令を与えるとともに、三次元測定機本体2上に設置された被測定物Wの形状解析等の演算処理を実行するホストコンピュータ5と、ホストコンピュータ5に接続される入力手段61、及び出力手段62とを備える。なお、入力手段61は、三次元測定機1における測定条件等をホストコンピュータ5に入力するものであり、出力手段62は、三次元測定機1による測定結果を出力するものである。
【0025】
三次元測定機本体2は、被測定物Wを測定するための測定子211Aを先端側(−Z軸方向側)に有するプローブ21と、プローブ21の基端側(+Z軸方向側)を保持するとともに、プローブ21を移動させる移動機構22と、移動機構22が立設される定盤23とを備える。なお、定盤23には、三次元測定機本体2のキャリブレーションをするための半径既知の基準球231が設置され、この基準球231は、定盤23上の複数位置に設置することができる。
移動機構22は、プローブ21の基端側を保持するとともに、プローブ21のスライド移動を可能とするスライド機構24と、スライド機構24を駆動することでプローブ21を移動させる駆動機構25とを備える。
【0026】
スライド機構24は、定盤23におけるX軸方向の両端から+Z軸方向に延出し、Y軸方向に沿ってスライド移動可能に設けられる2つのビーム支持体241と、各ビーム支持体241にて支持され、X軸方向に沿って延出するビーム242と、Z軸方向に沿って延出する筒状に形成され、ビーム242上をX軸方向に沿ってスライド移動可能に設けられるコラム243と、コラム243の内部に挿入されるとともに、コラム243内をZ軸方向に沿ってスライド移動可能に設けられるスピンドル244とを備える。したがって、移動機構22は、X,Y,Z軸の各軸方向にプローブ21を移動させる複数の移動軸を備えている。そして、スピンドル244は、−Z軸方向側の端部においてプローブ21の基端側を保持している。なお、プローブ21としては、複数の種類のプローブが用意されており、これらのプローブの中から選択してスピンドル244に保持させることができる。
【0027】
駆動機構25は、図1、及び図2に示すように、各ビーム支持体241のうち、+X軸方向側のビーム支持体241を支持するとともに、Y軸方向に沿ってスライド移動させるY軸駆動部251Yと、ビーム242上をスライドさせてコラム243をX軸方向に沿って移動させるX軸駆動部251X(図1において図示略)と、コラム243内をスライドさせてスピンドル244をZ軸方向に沿って移動させるZ軸駆動部251Z(図1において図示略)とを備える。
【0028】
X軸駆動部251X、Y軸駆動部251Y、及びZ軸駆動部251Zには、図2に示すように、コラム243、各ビーム支持体241、及びスピンドル244の各軸方向の位置を検出するためのX軸スケールセンサ252X、Y軸スケールセンサ252Y、及びZ軸スケールセンサ252Zがそれぞれ設けられている。なお、各スケールセンサ252X,252Y,252Zは、コラム243、各ビーム支持体241、及びスピンドル244の移動量に応じたパルス信号を出力する位置センサである。
【0029】
図3は、スピンドル244にてプローブ21を保持している部分の拡大模式図である。
プローブ21は、図3に示すように、測定子211Aを先端側に有するスタイラス211と、スタイラス211の基端側を支持する支持機構212と、支持機構212をスピンドル244に対して回転可能とする回転機構213とを備える。
支持機構212は、スタイラス211をX,Y,Z軸の各軸方向に付勢することで所定位置に位置決めするように支持するとともに、外力が加わった場合、すなわち被測定物Wに当接した場合には、スタイラス211を一定の範囲内でX,Y,Z軸の各軸方向に移動可能としている。この支持機構212は、図2に示すように、スタイラス211の各軸方向の位置を検出するためのX軸プローブセンサ212X、Y軸プローブセンサ212Y、及びZ軸プローブセンサ212Zを備える。なお、各プローブセンサ212X,212Y,212Zは、各スケールセンサ252X,252Y,252Zと同様にスタイラス211の各軸方向の移動量に応じたパルス信号を出力する位置センサである。
【0030】
回転機構213は、支持機構212、及びスタイラス211を回転させることでプローブ21の向き(プローブ21の基端側から先端側に向かう方向)、すなわちプローブ21の姿勢を変更する機構である。なお、回転機構213は、基準点Rを中心としてX,Y,Z軸の各軸回りに支持機構212、及びスタイラス211を回転可能としている。
【0031】
モーションコントローラ3は、図2に示すように、操作手段4、またはホストコンピュータ5からの指令に応じて駆動機構25を制御する駆動制御部31と、各スケールセンサ252X,252Y,252Z、及び各プローブセンサ212X,212Y,212Zから出力されるパルス信号を計数するカウンタ部32とを備える。
カウンタ部32は、各スケールセンサ252X,252Y,252Zから出力されるパルス信号をカウントしてスライド機構24の移動量(X、Y、Z)を計測するスケールカウンタ321と、各プローブセンサ212X,212Y,212Zから出力されるパルス信号をカウントしてプローブ21の移動量(XPB、YPB、ZPB)を計測するプローブカウンタ322とを備える。そして、スケールカウンタ321、及びプローブカウンタ322にて計測されたスライド機構24の移動量(以下、スケール値Sとする)、及びプローブ21の移動量(以下、プローブ値PBとする)は、ホストコンピュータ5に出力される。
【0032】
制御装置としてのホストコンピュータ5は、CPU(Central Processing Unit)や、メモリ等を備えて構成され、モーションコントローラ3に所定の指令を与えることで三次元測定機本体2を制御するものであり、移動指令部51と、移動量取得部52と、測定値算出部53と、形状解析部54と、記憶部55とを備える。
移動指令部51は、モーションコントローラ3の駆動制御部31に所定の指令を与え、三次元測定機本体2のスライド機構24に倣い移動をさせる。具体的に、移動指令部51は、プローブ21を被測定物Wに押し込んだ状態で被測定物Wの表面に倣って測定子211Aを移動させるための位置指令値を出力する。なお、本実施形態では、移動指令部51は、円柱状の被測定物Wの輪郭データに基づいて被測定物Wの側面に沿って測定子211Aが円軌跡を描くように角速度一定で円運動するための位置指令値を順次出力する。
【0033】
移動量取得部52は、スケールカウンタ321、及びプローブカウンタ322にて計測されたスケール値S、及びプローブ値PBを所定のサンプリング間隔で取得する。すなわち、移動量取得部52は、移動機構22の移動量、及びプローブ21の移動量を取得する。
測定値算出部53は、移動量取得部52にて取得されたスケール値S、及びプローブ値PBに基づいて測定値、すなわち測定子211Aの位置を算出する。なお、スケール値Sは、プローブ21の向きが−Z軸方向であり、支持機構212内におけるスタイラス211の移動が全く生じていない場合における測定子211Aの位置を示すように調整されている。
【0034】
形状解析部54は、測定値算出部53にて算出された測定値を合成して被測定物Wの表面形状データを算出し、算出された被測定物Wの表面形状データを輪郭データと対比することで誤差や歪みなどを求める等の形状解析を行う。
記憶部55は、ホストコンピュータ5で用いられるデータを記憶するものであり、例えば、入力手段61を介して入力される測定条件や、出力手段62を介して出力される測定結果等を記憶する。なお、入力手段61を介して入力される測定条件としては、押し込み量、測定方向、及び測定速度の他、例えば、移動指令部51、及び形状解析部54にて用いられる被測定物Wの輪郭データや、移動量取得部52にてスケール値S、及びプローブ値PBを取得するサンプリング間隔等がある。
【0035】
〔測定値算出部の詳細構成〕
図4は、測定値算出部53の詳細構成を示すブロック図である。
測定値算出部53は、図4に示すように、移動量取得部52にて取得されたプローブ値PBを補正するための補正パラメータを算出する補正パラメータ算出部531と、補正パラメータ算出部531にて算出された補正パラメータに基づいて、移動量取得部52にて取得されたプローブ値PBを補正する補正部532と、移動量取得部52にて取得されたスケール値Sと、補正部532にて補正されたプローブ値PBとを合成することで測定値を算出する移動量合成部533とを備える。
【0036】
補正パラメータ算出部531は、被測定物Wを測定するときの測定条件に基づいて、プローブ値PBを直交座標系の3つの平面(XY平面、XZ平面、及びYZ平面)内でそれぞれ補正するための3つの補正パラメータを算出する。なお、本実施形態では、補正パラメータ算出部531は、押し込み量、及び測定方向に基づいて、各補正パラメータを算出する。
具体的に、補正パラメータ算出部531は、プローブ値PBをXY平面内で補正するための補正パラメータを以下の式(2−1)〜(2−3)によって算出する。
【0037】
【数2】

【0038】
式(2−1)は、プローブ値PBをXY平面内で補正するための補正パラメータCXm_XY〜CY0_XY(以下、補正パラメータCXYとする)を求める式であり、補正パラメータCXYは、押し込み量Dに係る多項式にて算出される。また、押し込み量Dに係る多項式の係数ベクトルMXm_n_XY〜MY0_0_XY(以下、係数ベクトルMXYとする)は、測定方向が右回りの場合と、左回りの場合とで異なり、右回りの場合には、式(2−2)によって算出され、左回りの場合には、式(2−3)によって算出される。なお、係数ベクトルMXYの算出方法については後に説明する。
【0039】
ここで、押し込み量Dは、プローブ21を被測定物Wに押し込んだ状態で被測定物Wを測定するときのプローブ21の変位量をいうものとし、以下の式(3)によって算出される。
【0040】
【数3】

【0041】
また、測定方向は、プローブ21の移動経路を分割し、分割された移動経路を円弧で近似した場合の回転方向をいうものとし、移動指令部51にて出力される位置指令値に基づいて検出される。具体的に、補正パラメータ算出部531は、以下の式(4),(5)によって角度θ1,θ2を算出することで測定方向を検出する。ここで、X,Yは、XY平面内における現在の位置指令値であり、X1,Y1は、1サンプリング前の位置指令値であり、X2,Y2は、2サンプリング前の位置指令値である。
【0042】
【数4】

【0043】
図5は、測定方向が左回りの場合、及び右回りの場合において、補正パラメータ算出部531にて算出される2つの角度θ1,θ2の関係を示す図である。なお、図5(A)は、XY平面内における測定方向が左回りの場合を示し、図5(B)は、XY平面内における測定方向が右回りの場合を示している。
補正パラメータ算出部531は、算出したθ1,θ2を比較し、θ1>θ2の場合には、測定方向を左回りとして検出し(図5(A)参照)、θ1<θ2の場合には、測定方向を右回りとして検出する(図5(B)参照)。
【0044】
また、補正パラメータ算出部531は、プローブ値PBをXZ平面内で補正するための補正パラメータを以下の式(6−1)〜(6−3)によって算出し、YZ平面内で補正するための補正パラメータを以下の式(7−1)〜(7−3)によって算出する。なお、押し込み量Dの算出、及び測定方向の検出については、補正パラメータ算出部531は、補正パラメータCXYを算出する場合と同様に、式(3)〜(5)によって算出、及び検出する。
【0045】
【数5】

【0046】
【数6】

【0047】
式(6−1)は、プローブ値PBをXZ平面内で補正するための補正パラメータCXm_XZ〜CZ0_XZ(以下、補正パラメータCXZとする)を求めるための式であり、補正パラメータCXZは、押し込み量Dに係る多項式にて算出される。また、押し込み量Dに係る多項式の係数ベクトルMXm_n_XZ〜MZ0_0_XZ(以下、係数ベクトルMXZとする)は、測定方向が右回りの場合と、左回りの場合とで異なり、右回りの場合には、式(6−2)によって算出され、左回りの場合には、式(6−3)によって算出される。なお、係数ベクトルMXZの算出方法については後に説明する。
【0048】
式(7−1)は、プローブ値PBをYZ平面内で補正するための補正パラメータCYm_YZ〜CZ0_YZ(以下、補正パラメータCYZとする)を求めるための式であり、補正パラメータCYZは、押し込み量Dに係る多項式にて算出される。また、押し込み量Dに係る多項式の係数ベクトルMYm_n_YZ〜MZ0_0_YZ(以下、係数ベクトルMYZとする)は、測定方向が右回りの場合と、左回りの場合とで異なり、右回りの場合には、式(7−2)によって算出され、左回りの場合には、式(7−3)によって算出される。なお、係数ベクトルMYZの算出方法については後に説明する。
【0049】
補正部532は、補正パラメータ算出部531にて算出された補正パラメータCXY,CXZ,CYZに基づいて、プローブ値PBを各平面内で補正する。具体的に、補正部532は、以下の式(8−1)〜(8−3)に示すように、プローブ値PBに係る多項式にて各平面内における補正後のプローブ値(XPA_XY,YPA_XY,XPA_XZ,ZPA_XZ,YPA_YZ,ZPA_YZ)を算出する。すなわち、補正パラメータCXY,CXZ,CYZは、補正後のプローブ値XPA_XY〜ZPA_YZをプローブ値PBに係る多項式で近似したときの係数とされている。
【0050】
【数7】

【0051】
そして、補正部532は、各平面内における補正後のプローブ値XPA_XY〜ZPA_YZをX成分、Y成分、Z成分ごとに合成することで補正後のプローブ値PA(XPA,YPA、ZPA)を算出する。具体的に、補正部532は、以下の式(9)によってプローブ値PAを算出する。
【0052】
【数8】

【0053】
ここで、補正部532は、式(9)に示すように、各平面内における補正後のプローブ値XPA_XY〜ZPA_YZにA,A,Aを乗じて重み付けをしてX成分、Y成分、Z成分ごとに合成することで補正後のプローブ値PAを算出する。なお、A,A,Aは、移動指令部51にて出力される位置指令値のX,Y,Z軸方向の振幅である。
このように合成すれば、例えば、本実施形態のように、測定子211Aが被測定物Wの側面に沿ってXY平面内で円軌跡を描くように角速度一定で円運動する場合には、XY平面内における補正パラメータCXYの影響は、XZ,YZ平面内における補正パラメータCXZ,CYZの影響と比較して大きくなるのでプローブ21の移動量を効果的に補正することができる。
なお、本実施形態のように、測定子211Aが角速度一定で円運動する場合の位置指令値は、X,Y,Z軸方向においては正弦波状のデータ列となるので、例えば、特開平10−009848に記載されるような方法を利用して振幅A,A,Aを算出することができる。
【0054】
そして、移動量合成部533は、移動量取得部52にて取得されたスケール値Sと、補正部532にて補正されたプローブ値PAとを合成することで測定値を算出する。以下、補正パラメータ算出部531、補正部532、及び移動量合成部533の関係について、図面を参照して説明する。
【0055】
図6は、補正パラメータ算出部531、補正部532、及び移動量合成部533の関係を示す図である。
補正パラメータ算出部531は、図6に示すように、被測定物Wを測定するときの測定条件に基づいて、プローブ値PBを直交座標系の3つの平面内でそれぞれ補正するための3つの補正パラメータCXY,CXZ,CYZを算出する。
補正部532は、補正パラメータ算出部531にて算出された補正パラメータCXY,CXZ,CYZに基づいて、プローブ値PBを各平面内で補正した後、補正後のプローブ値XPA_XY〜ZPA_YZを軸方向の成分ごとに合成することで補正後のプローブ値PAを算出する。
移動量合成部533は、移動量取得部52にて取得されたスケール値Sと、補正部532にて補正されたプローブ値PAとを合成することで測定値を算出する。
【0056】
次に、係数ベクトルMXY,MXZ,MYZの算出方法について、測定方向が右回りの場合における係数ベクトルMXY(式(2−2)参照)を例示して説明する。
係数ベクトルMXPm_n_XY〜MYP0_0_XYは、基準球231を右回りの測定方向で予め測定することで算出される。具体的に、ホストコンピュータ5は、押し込み量Dを変更しながら基準球231を測定して押し込み量Dごとの補正パラメータを式(8−1)に基づいて算出する。そして、ホストコンピュータ5は、算出された補正パラメータを押し込み量Dに係る多項式で近似することで係数ベクトルMXPm_n_XY〜MYP0_0_XYを算出する。
【0057】
なお、ホストコンピュータ5は、測定方向が左回りの場合における係数ベクトルMXY(式(2−3)参照)、係数ベクトルMXZ(式(6−2),(6−3)参照)、及び係数ベクトルMYZ(式(7−2),(7−3)参照)についても測定方向が右回りの場合における係数ベクトルMXYと同様に算出する。
そして、ホストコンピュータ5は、算出された係数ベクトルMXY,MXZ,MYZを記憶部55に記憶させる。
【0058】
ここで、係数ベクトルMXPm_n_XY〜MYP0_0_XYは、基準球231を右回りの測定方向で予め測定したときに測定子211Aの描く軌跡が円の式で十分に近似することができる場合には、以下の式(10)に基づいて算出してもよい。具体的に、ホストコンピュータ5は、押し込み量Dを変更しながら基準球231を測定して押し込み量Dごとの補正パラメータを式(10)に基づいて算出する。そして、ホストコンピュータ5は、算出された補正パラメータを押し込み量Dに係る多項式で近似することで係数ベクトルMXPm_n_XY〜MYP0_0_XYを算出する。
なお、ホストコンピュータ5は、測定方向が左回りの場合における係数ベクトルMXY、係数ベクトルMXZ、及び係数ベクトルMYZについても測定方向が右回りの場合における係数ベクトルMXYと同様に算出する。
【0059】
【数9】

【0060】
以下、式(10)の導出について説明する。
基準球231を右回りの測定方向で予め測定したときに測定子211Aの描く軌跡が円の式で十分に近似することができる場合には、プローブ値XPB,YPBは、以下の円の式(11−1),(11−2)で近似することができる。
【0061】
【数10】

【0062】
なお、Rは、プローブ値XPBの振幅であり、Rは、プローブ値YPBの振幅である。また、φは、プローブ値XPBの位相であり、φは、プローブ値YPBの位相である。
ここで、振幅の真値をRとすると、補正後のプローブ値XPA_XY,YPA_XYは、以下の式(12−1),(12−2)で表される。
【0063】
【数11】

【0064】
そして、式(12−1),(12−2)を式(11−1),(11−2)に代入すれば、以下の式(13−1),(13−2)を導出することができる。
【0065】
【数12】

【0066】
さらに、式(13−1),(13−2)を行列で表現すれば、以下の式(14)を導出することができる。
【0067】
【数13】

【0068】
また、式(14)を更に変形してプローブ値XPA_XY,YPA_XYを左辺に移動すれば、前述した式(10)を導出することができる。
【0069】
したがって、基準球231を予め測定したときに測定子211Aの描く軌跡が円の式で十分に近似することができる場合には、補正パラメータCXY,CXZ,CYZは、補正後のプローブ値XPA_XY〜ZPA_YZをプローブ値PBに係る円の式で近似したときの係数とされていてもよい。また、補正パラメータCXY,CXZ,CYZのうち、1つ、または2つの補正パラメータは、補正後のプローブ値をプローブ値PBに係る多項式で近似したときの係数とされ、他の補正パラメータは、補正後のプローブ値をプローブ値PBに係る円の式で近似したときの係数とされていてもよい。
【0070】
図7は、補正部532にてプローブ値PBを補正して被測定物Wの表面形状を測定した場合に、測定条件を異ならせて被測定物Wの側面形状を測定したときの測定結果を示す図である。図7においては、押し込み量Dを相対的に小、及び大の2段階で示し、(A)は、倣い測定時の押し込み量Dを小とした場合、(B)は、大とした場合における測定結果を示している。また、(C)は、倣い測定時の測定方向を左回りとした場合、(D)は、右回りとした場合における測定結果を示している。
各測定結果は、図7に示すように、いずれの場合においても略同じ形状の測定結果となっている。すなわち、三次元測定機1は、測定条件を変更した場合であってもプローブ値PBを適切に補正することができ、測定誤差を低減させることができている。
【0071】
このような本実施形態によれば以下の効果がある。
(1)三次元測定機1は、プローブ値PBを補正するための補正パラメータCXY,CXZ,CYZを算出する補正パラメータ算出部531を備え、補正パラメータ算出部531は、被測定物Wを測定するときの押し込み量D、及び測定方向に基づいて、補正パラメータCXY,CXZ,CYZを算出するので、補正部532は、押し込み量D、及び測定方向に応じた補正パラメータCXY,CXZ,CYZでプローブ値PBを補正することができる。したがって、三次元測定機1は、押し込み量D、及び測定方向を変更した場合であってもプローブ値PBを適切に補正することができ、測定誤差を低減させることができる。
(2)補正パラメータ算出部531は、プローブ21を移動機構22にて移動させるための位置指令値に基づいて、自動的に測定方向を検出することができるので、例えば、移動機構22にてプローブ21を自由移動させる場合であっても測定方向を容易に検出することができる。
【0072】
(3)補正パラメータ算出部531は、各平面内でプローブ値PBをそれぞれ補正するための各補正パラメータCXY,CXZ,CYZを算出するので、算出された各補正パラメータCXY,CXZ,CYZによる補正の効果を各平面内で容易に確認することができる。また、補正部532は、補正後のプローブ値XPA_XY〜ZPA_YZを軸方向の成分ごとに合成することでプローブ値PBを補正するので、平均化による効果で補正パラメータCXY,CXZ,CYZの誤差を低減させることができる。
【0073】
(4)各補正パラメータCXY,CXZ,CYZが、補正後のプローブ値XPA_XY〜ZPA_YZをプローブ値PBに係る多項式で近似したときの係数とされている場合には、補正の影響度に応じて各平面内で異なる次数の多項式を用いることができるので、補正処理にかかる時間を低減させることができる。
(5)各補正パラメータCXY,CXZ,CYZが、補正後のプローブ値XPA_XY〜ZPA_YZをプローブ値PBに係る円の式で近似したときの係数とされている場合には、補正パラメータの数を低減させることができるので、補正処理にかかる時間を低減させることができる。
【0074】
(6)補正パラメータCXY,CXZ,CYZのうち、1つ、または2つの補正パラメータが、補正後のプローブ値をプローブ値PBに係る多項式で近似したときの係数とされ、他の補正パラメータが、補正後のプローブ値をプローブ値PBに係る円の式で近似したときの係数とされている場合には、補正の影響度、及び基準球231を測定したときに測定子211Aの描く軌跡に応じて各平面内で異なる次数の多項式、及び円の式を用いることができるので、プローブ値PBを適切に補正しつつ、補正処理にかかる時間を低減させることができる。
【0075】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、補正パラメータ算出部531は、プローブ値PBに基づいて、押し込み量Dを算出し(式(3)参照)、移動指令部51にて出力される位置指令値に基づいて、測定方向を検出していた(式(4),(5)参照)。そして、補正パラメータ算出部531は、式(3)〜(5)によって算出、及び検出した押し込み量D、及び測定方向に基づいて、補正パラメータCXY,CXZ,CYZを算出していた。
これに対して、例えば、補正パラメータ算出部531は、例えば、入力手段61を介して入力される押し込み量、及び測定方向に基づいて、補正パラメータを算出してもよい。
【0076】
前記実施形態では、補正パラメータ算出部531は、押し込み量D、及び測定方向に基づいて、補正パラメータCXY,CXZ,CYZを算出していた。これに対して、補正パラメータ算出部は、例えば、測定速度などの他の測定条件に基づいて、補正パラメータを算出するように構成されていてもよい。要するに、補正パラメータ算出部は、被測定物を測定するときの測定条件に基づいて、補正パラメータを算出するように構成されていればよい。
【0077】
前記実施形態では、補正パラメータ算出部531は、プローブ値PBを直交座標系の3つの平面内でそれぞれ補正するための3つの補正パラメータCXY,CXZ,CYZを算出し、補正部532は、補正パラメータCXY,CXZ,CYZに基づいて、プローブ値PBを各平面内で補正した後、各平面内における補正後のプローブ値XPA_XY〜ZPA_YZをX成分、Y成分、Z成分ごとに合成することで補正後のプローブ値PAを算出していた。
これに対して、補正パラメータ算出部は、プローブの移動量を三次元空間内で補正するための補正パラメータを算出するように構成され、補正部は、プローブ値を三次元空間内で補正するように構成されていてもよい。
【0078】
前記各実施形態では、移動機構22は、それぞれ直交するX,Y,Z軸の各軸方向にプローブ21を移動させる3つの移動軸を備えていた。これに対して、移動機構は、1つ、または2つの移動軸を備えていてもよく、各移動軸は、直交していなくてもよい。要するに、移動機構は、プローブを倣い移動させることができればよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態に係る三次元測定機を示す全体模式図。
【図2】前記実施形態における三次元測定機の概略構成を示すブロック図。
【図3】前記実施形態におけるスピンドルにてプローブを保持している部分の拡大模式図。
【図4】前記実施形態における測定値算出部の詳細構成を示すブロック図。
【図5】前記実施形態における測定方向が左回りの場合、及び右回りの場合において、補正パラメータ算出部にて算出される2つの角度の関係を示す図。
【図6】前記実施形態における補正パラメータ算出部、補正部、及び移動量合成部の関係を示す図。
【図7】前記実施形態における補正部にてプローブ値を補正して被測定物の表面形状を測定した場合に、測定条件を異ならせて被測定物の側面形状を測定したときの測定結果を示す図。
【図8】押し込み量の測定条件のみを変更した場合における測定結果を示す図。
【図9】測定方向の測定条件のみを変更した場合における測定結果を示す図。
【符号の説明】
【0080】
1…三次元測定機
5…ホストコンピュータ(制御装置)
21…プローブ
22…移動機構
52…移動量取得部
211A…測定子
531…補正パラメータ算出部
532…補正部
533…移動量合成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の範囲内で移動可能に構成され、被測定物に接触する測定子を有するプローブと、前記プローブを保持するとともに、移動させる移動機構と、前記移動機構を制御する制御装置とを備え、前記プローブを前記被測定物に押し込んだ状態で前記被測定物の表面に倣って前記測定子を移動させることによって前記被測定物を測定する三次元測定機であって、
前記制御装置は、
前記移動機構の移動量、及び前記プローブの移動量を取得する移動量取得部と、
前記移動量取得部にて取得された前記プローブの移動量を補正するための補正パラメータを算出する補正パラメータ算出部と、
前記補正パラメータに基づいて、前記移動量取得部にて取得された前記プローブの移動量を補正する補正部と、
前記移動機構の移動量と、前記補正部にて補正された前記プローブの移動量とを合成することで前記測定子の位置を算出する移動量合成部とを備え、
前記補正パラメータ算出部は、
前記被測定物を測定するときの測定条件に基づいて、前記補正パラメータを算出することを特徴とする三次元測定機。
【請求項2】
請求項1に記載の三次元測定機において、
前記補正パラメータ算出部は、前記プローブの押し込み量、及び測定方向に基づいて、前記補正パラメータを算出することを特徴とする三次元測定機。
【請求項3】
請求項2に記載の三次元測定機において、
前記補正パラメータ算出部は、前記プローブを前記移動機構にて移動させるための位置指令値に基づいて、前記測定方向を検出することを特徴とする三次元測定機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の三次元測定機において、
前記補正パラメータ算出部は、前記プローブの移動量を直交座標系の3つの平面内でそれぞれ補正するための3つの前記補正パラメータを算出し、
前記補正部は、前記各平面内における前記プローブの移動量を前記各補正パラメータにてそれぞれ補正した後、補正後の前記プローブの移動量を軸方向の成分ごとに合成することで前記プローブの移動量を補正することを特徴とする三次元測定機。
【請求項5】
請求項4に記載の三次元測定機において、
前記各補正パラメータは、前記補正後のプローブの移動量を前記プローブの移動量に係る多項式で近似したときの係数とされていることを特徴とする三次元測定機。
【請求項6】
請求項4に記載の三次元測定機において、
前記各補正パラメータは、前記補正後のプローブの移動量を前記プローブの移動量に係る円の式で近似したときの係数とされていることを特徴とする三次元測定機。
【請求項7】
請求項4に記載の三次元測定機において、
1つ、または2つの前記補正パラメータは、前記補正後のプローブの移動量を前記プローブの移動量に係る多項式で近似したときの係数とされ、他の前記補正パラメータは、前記補正後のプローブの移動量を前記プローブの移動量に係る円の式で近似したときの係数とされていることを特徴とする三次元測定機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−159981(P2010−159981A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−675(P2009−675)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】