説明

上水道管

【課題】 外周面に傷が付きにくい非開削工法用の上水道管を提供する。
【解決手段】 上水道管10を、ポリエチレンからなる管本体11と、この管本体11の外周面11aに被覆した同じポリエチレンからなるさや12とにより構成する。さや12の色を青色とし、管本体11の外周面の黒色と異ならせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポリエチレン管等の合成樹脂からなるとともに非開削工法を用いて地中に埋設される上水道管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、上水道用の水道管として、ポリエチレン管が用いられている。このポリエチレン管としては、例えば特許文献1に記載されるようなものが存在する。
【特許文献1】特開2002−36464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来、水道管の埋設は、埋設域全体を掘り起こす開削工法によって行われてきた。しかし、開削工法は交通の障害等となるので、近年は、地盤全体を掘り起こさない非開削工法が用いられている。この非開削工法において、水道管を新設する場合は、掘削機にてあらかじめ貫通させた貫通孔にポリエチレン管を挿通させ、また、水道管を更新する場合には、鉛管などの既設管を引き抜いた後の貫通孔にポリエチレン管を挿通させる。
【0004】
ところが、ポリエチレン管を地中の貫通孔に挿通させると、その外周面に地中の石等が擦れて傷が付く。この傷が大きいと、ポリエチレン管の耐圧能力が低下したり、ジョイントと接続したときにその接続部の水密性が低下したりする問題がある。
【0005】
この発明の目的は、合成樹脂からなるとともにその外周面に傷が付きにくい上水道管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、非開削工法を用いて地中に埋設される上水道管であって、合成樹脂からなる管本体の外周面に、同管本体とは別体のさやを易剥離可能に被覆したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記さやを合成樹脂により形成するとともに、締まり嵌め状態となるように前記管本体に被覆させたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記さやの色を、管本体の外周面の色と異ならせたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ポリエチレン等の合成樹脂からなる管本体の外周面がさやにより覆われているので、非開削工法下で地中に挿通されるときに管本体の外周面に傷がつかない。また、さやが管本体に対して易剥離可能であるため、ジョイントに接続する場合、管本体の端部からさやの端部を切断して容易に剥ぎ取ることができる。従って、合成樹脂からなるとともにその外周面に傷が付きにくい非開削工法に適した上水道管を提供することができる。
【0010】
また、さやを合成樹脂により形成するとともに押出被覆成形により管本体に被覆したので、例えば、管本体に合成樹脂テープを巻き付けてさやを構成した場合に較べて、より少ない工数で管本体の外周面をさやで被覆することができる。
【0011】
さらに、さやの色を、管本体の外周面の色と異ならせたので、保管時等に、従来のさやを有しないポリエチレン管と容易に見分けるすることができる。また、管本体の端部からさやの端部を剥がしたことが明確に分るので、さやが被覆されたままの管本体に継手を接続するなどのミスを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、この発明を具体化した一実施形態を図1及び図2に従って説明する。
図1に示すように、この実施形態の上水道管10は、ポリエチレンからなる管本体11と、この管本体11を被覆するさや12とから構成されている。なお、図1は、上水道管10の端部から、さや12の端部を取り除いている状態を示す。
【0013】
管本体11は、図1及び図2に示すように、水路を形成する内層管状部13と、この内層管状部13を内包する外層管状部14とを有し、外層管状部14には、耐候性を付与するためのカーボンブラックが添加されている。
【0014】
前記さや12は、管本体11の外周面11aに対して押出被覆成形されたものである。従って、さや12は管本体11に対して締まり嵌め状態となっており、管本体11とは別体であるため、管本体11から易剥離可能である。また、さや12は、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene)により0.7〜1.1mmの厚さに形成されている。これにより、さや12は、後述のように地中の貫通孔に上水道管10を挿通させるときに管本体11の外周面11aに傷が付かないように管本体11を保護可能であるとともに、作業者が管本体11の端部からさや12を手で簡単に引き裂きながら剥ぎ取ることができる強度(5kgf程度)となっている。また、さや12の色は例えば青色とされ、カーボンブラックにより黒色を帯びた管本体11(外層管状部14)の外周面11aの色とは異ならせてある。
【0015】
以上のように構成されたこの上水道管10は、地中において横方向に延びるように形成された貫通孔に挿通され、周知の継ぎ手を介して水道メータ等の水道器具が接続される。
上水道管10を地中の貫通孔に挿通させるときに、管本体11を被覆するさや12の外周面に傷が付くが、さや12に被覆された管本体11の外周面11aには傷が付かない。このため、上水道管10の耐圧能力を低下することなく維持できる。
【0016】
貫通孔から外部に延出された上水道管10の端部をジョイントに接続するときには、上水道管10の端部からさや12の端部を剥ぎ取る。このとき、さや12は、管本体11と別体であるため、切断により管本体11から容易に剥ぎ取られる。そして、上水道管10の端部に露出した管本体11にジョイントが接続される。このとき、管本体11の端部の外周面11aに傷がないので、ジョイントとの接続部分の水密性が低下することがなく、接続を確実に行うことができる。
【0017】
従って、上記したこの実施形態によれば、非開削工法に適した上水道管10を提供することができる。
また、さや12を、押出被覆成形により管本体11の外周面11aに被覆したので、例えば、管本体11に合成樹脂テープを巻き付けてさや12を構成した場合に較べて、より少ない工数で管本体11の外周面11aをさや12で被覆することができる。
【0018】
さらに、さや12の色を、管本体11の外周面11aの色と異ならせたので、保管時等に、従来のさやを有しないポリエチレン管と容易に見分けることができる。また、管本体11の端部からさや12の端部を剥がしたことが明確に分るので、さや12が被覆されたままの管本体11に継手を接続するなどのミスを防止することができる。
【0019】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することもできる。
・ さや12を、テープ状のポリエチレン樹脂を管本体11に巻き付けて構成すること。
【0020】
・ 管本体11やさや12を、ポリエチレンとは別の材質、例えばポリプロピレン、塩化ビニル等とすること。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態の上水道管の部を示す斜視図。
【図2】上水道管の縦断面図。
【符号の説明】
【0022】
10…上水道管、11…管本体、11a…外周面、12…さや、13…内層管状部、14…外層管状部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非開削工法を用いて地中に埋設される上水道管であって、
合成樹脂からなる管本体の外周面に、同管本体とは別体のさやを易剥離可能に被覆したことを特徴とする上水道管。
【請求項2】
前記さやを合成樹脂により形成するとともに、締まり嵌め状態となるように前記管本体に被覆させたことを特徴とする請求項1に記載の上水道管。
【請求項3】
前記さやの色を、管本体の外周面の色と異ならせたことを特徴とする請求項1又は2に記載の上水道管。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−292045(P2006−292045A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112245(P2005−112245)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】