説明

下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法

下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法は、以下の、(a)有機試剤によって調整する工程(3)、(b)有機試剤によって調整される残余汚泥を重力濃縮する工程(5)、(c)無機試剤によって調整する工程(7)、(d)機械的に脱水する工程(8)、(e)破砕および分散する工程(10)、および(f)好気的に空気乾燥する工程(11)、を含む。この方法は以下の利点を有する。(i)残余汚泥の沈降性能を向上させ、その結果、汚泥の濃縮効率を向上させて濃縮時間を減らし、かつ、濃縮プールの容積を減らす。(ii)脱水された汚泥の量を相応に減少し、その結果、その後の熱処理量が減る。(iii)乾燥のためのより少ないエネルギー消費量を有する。(iv)乾燥プロセスの間、汚泥粒子は遅い速度で動き、その結果、ちりを生じずに安定且つ安全に製造される。(v)水で洗浄した後の乾燥した排気は、環境に優しい排出基準に達することができる。(vi)生産される汚泥粒子は圧縮されておらず、再生利用に好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水汚泥処理の分野、より具体的には残余汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、ほとんどの地方自治体の下水処理施設において、下水を処理するために活性汚泥プロセスが用いられている。有機物、ウイルス、バクテリアおよび金属汚染物質は、このプロセスの間に下水から活性汚泥へ移される。99.9%を超える水分含有量および高含有量の有機物を有する残余汚泥は、下水処理施設における主な廃棄物である。下水汚泥の処理および廃棄は複雑な問題であり、街の建造および発展を制限する。
【0003】
下水汚泥を処理するのに一般的に用いられている従来の方法によれば、99%の水分含有量の残余汚泥は、最初に重力濃縮タンクに注ぎ込まれる。上澄みは12〜24時間後に取り除かれる。残余汚泥は濃縮されて97%の水分含有量を有する。そして、濃縮された汚泥は、陽イオン性ポリアクリルアミドで化学的に調整され、次いで遠心脱水機、ベルト型乾燥機または板枠式圧濾機に注ぎ込まれる。濾液は取り除かれ、80〜75%の水分含有量を有する汚泥が残る。脱水された汚泥は粒子およびストリップに予め分散され、次いで、乾燥機の中で乾燥されて、40〜30%の水分含有量を有する乾燥した汚泥を得る。乾燥した汚泥は、さらに埋め立てられるか、焼却されるか、あるいはセメント、れんが、菜園用の肥料および低発熱量の燃料として再生利用されることができる。
【0004】
しかし、一般に使用される汚泥処理方法は以下の不利な点を有する。(1)汚泥の濃縮効率が低い。重力濃縮には12時間以上掛かり、膨大な容積の濃縮プールおよび濃縮プロセス中の汚泥の腐敗をもたらす。(2)汚泥の脱水効率が低い。脱水された汚泥は膨大な量であり、かつ、高い水分含有量を有している。したがって、後続の熱処理において蒸発する必要がある水分の量は膨大であり、熱処理設備に対する高額な投資および運営費の原因となる。(3)80〜75%の水分含有量の脱水された汚泥は、高粘度の半固体であり、その結果、乾燥プロセスの間に分散させるのが難しい。ビスコース段階における汚泥(60〜40%の水分含有量を有する)は、低い熱および物質移動効率を有することが知られている。乾燥するとき、そのような汚泥は高いエネルギー消費量を必要とし、表面が乾燥しているが内部が湿っている「軟心(糖心)現象」にさらされる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法を提供することによって、上述の問題を克服することである。この方法は下水処理施設からの残余汚泥を、下水汚泥の濃縮および脱水に関する高い効率、低いエネルギー消費量での乾燥、排ガスからの低い汚染、設備に対する低額の投資および運営費、ならびに高い安全性で処理するのに適している。
【0006】
本発明は下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法として具体化するものであり、以下の工程を含む。
(1)有機試剤によって調整する工程。98〜99.8%の水分含有量の残余汚泥へ、有機試剤を加える。この混合物を10〜180秒間完全に攪拌して残余汚泥の沈降性能を向上させる。
(2)有機試剤によって調整された残余汚泥を重力濃縮する工程。上澄みを分離して、後処理のために下水処理施設に持ち込む。
(3)無機試剤によって調整する工程。Fe3+を含む可溶性化合物を濃縮された残余汚泥に加える。この混合物を10〜180秒間攪拌して反応させる。そして石灰粒子を混合物に加える。混合物を30〜300秒間攪拌して、汚泥の圧縮率および疎水性を向上させて汚泥中の細胞水分の一部を放出する。
(4)機械的に脱水する工程。無機試剤によって調整された残余汚泥を板枠式濾過脱水機に押し入れる。濾液を取り除き、後処理のために下水処理施設に持ち込み、脱水された汚泥濾過ケーキを得る。
(5)破砕および分散する工程。濾過ケーキを破砕および分散して汚泥粒子にし、汚泥の比表面積を増やし、乾燥効率を向上させる。
(6)好気的に空気乾燥する工程。90℃未満の乾燥空気を、固定されたか、動いているかあるいはひっくり返っている汚泥粒子に吹き込んで、好気性かつ発熱性の反応を起こす。汚泥粒子中の水分を、外部および内部の熱の両方の下で蒸発し、汚泥粒子の水分含有量を38%未満にする。
【0007】
工程(6)において、汚泥粒子は物理的殺菌または化学的殺菌に付される。物理的殺菌または化学的殺菌は、汚泥の再生利用のための要件に応じて採用されてよい。物理的殺菌は、UV放射であってよい。化学的殺菌は、オゾン消毒、高塩素物質または高酸素物質による消毒であってよい。他の殺菌方法が用いられてもよい。
【0008】
工程(6)において、好気的空気乾燥において発生した排ガスは、水で洗浄された後に排出される。洗浄用の水は、好気性発酵によって発生した浸食性の酸性ガスを取り除くために、中性またはアルカリ性であってよく、あるいは、潜在的なアンモニアガスを取り除くために酸性であってもよい。水源は、好ましくは冷交換器から排出された凝縮水である。外部水供給源が補助として使用されてもよい。
【0009】
工程(6)の後に、乾燥した汚泥粒子は、再生利用のための要件を満たすように、さらに粉砕される。更なる粉砕は、汚泥粒子を互いに圧縮させ、摩擦させることによって、スクリュー破砕装置で達成される。スクリュー破砕装置は、シングルスクリューまたは2つ以上のスクリューのセットを有していてよい。
【0010】
工程(1)において踏み固められる残余汚泥は、汚水処理施設の稼働中に発生し、98〜99.8%の水分含有量を有する。有機試剤として、分子量が800〜1500の陽イオン性ポリアクリルアミドを使用し、加えるときに0.05〜0.5%の濃度の溶液に調合する。加えられたポリアクリルアミドの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は0.05〜0.5%である。ポリアクリルアミドは、汚泥の沈降性能を向上して濃縮時間を減少し、かつ、濃縮効率を向上する、帯電の中和、吸着および架橋などの機能を有する。加えられたポリアミドの好ましい濃度は0.15%である。
【0011】
工程(2)における汚泥の重力濃縮は自然沈降である。重力濃縮のための時間は30〜150分間である。重力濃縮により、汚泥中の間隙水および吸着水が取り除かれる。重力濃縮された汚泥は86〜95%の水分含有量を有する。
【0012】
工程(3)においてFe3+を含む可溶性化合物は、好ましくは35%を超える濃度の三塩化鉄の溶液である。加えられた三塩化鉄の、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は0.3〜10%であり、好ましくは5%である。石灰粒子は60%を超える有効酸化カルシウムを含む。加えられた酸化カルシウムの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は3〜150%である。帯電の中和、吸着型凝集、骨格供給、汚泥の圧縮率および疎水性の向上、ならびに細胞水分の一部の放出などのそれらの機能により、三塩化鉄溶液および石灰粒子は、汚泥の脱水効率の向上を促進し、より低い水分含有量を有する脱水された汚泥を得る。石灰粒子の粒径は、60メッシュ以上である。
【0013】
工程(4)において汚泥を押し込むのに使用する圧力は、0.5〜2.5MPaである。汚泥中の毛細管結合水分および細胞水分の一部の両方を取り除くために、板枠式圧濾機が用いられる。脱水後の汚泥濾過ケーキの水分含有量は、41〜69%である。
【0014】
工程(5)における汚泥濾過ケーキの破砕は、汚泥濾過ケーキを破砕する手段において達成される。その手段は、スクリュー、ケージ、スクリュー駆動モーターおよびハウスを備える。スクリュー駆動モーターはコネクタによってスクリューに接続されている。スクリュー上には破砕ブレードがある。スクリューは、ハウスに囲まれたケージに囲まれている。ケージは多孔性である。汚泥濾過ケーキは、汚泥濾過ケーキを破砕する手段の多孔性ケージの中でひっくり返される。汚泥濾過ケーキは、それらの間の摩耗および衝突によって破砕される。ケージの穴の径よりも小さい径の汚泥粒子は、ケージを突破し、それにより汚泥濾過ケーキの破砕および分散が達成される。
【0015】
ケージの穴の径は3〜30mmである。この範囲内で得られる汚泥粒子は、自由沈降した場合、比較的小さい嵩密度を有し、ガスが出入りするのを促進するであろう。ケージ内の汚泥濾過ケーキをひっくり返すことは、固定されたケージ内のスクリューおよびその上に配置されたブレードによってか、またはケージ自体の回転によって行なわれる。
【0016】
ケージ内で汚泥濾過ケーキをひっくり返すスピードは、汚泥濾過ケーキの水分含有量および生産要求によって調整される。これは、(1)汚泥濾過ケーキの水分含有量が高いほど、ひっくり返す速度が低く、汚泥濾過ケーキの水分含有量が低いほど、ひっくり返す速度が高いこと、に従う。この原理は、後続の好気的空気乾燥プロセスに役立つために、汚泥粒子を比較的ゆるい状態に保ってより大きな比表面積を有するように、汚泥濾過ケーキ内部に既に形成された毛細管経路の剪断応力による破壊を最小限にするものである。(2)ひっくり返す速度が高いほど、汚泥濾過ケーキを破砕する手段が大きい生産量を有し、ひっくり返す速度が低いほど、汚泥濾過ケーキを破砕する手段が小さい生産量を有する。好ましくは、汚泥濾過ケーキの破砕および分散におけるひっくり返す速度は、最外径点での線速度で5mm/sと100mm/sの間である。スクリュー駆動モーターの出力は0〜20KWである。
【0017】
工程(6)における乾燥空気は、冷交換器内で冷媒をさらすことによって熱を吸収する工程と、コンプレッサーの作用の下、熱交換器中で熱を放出する工程、および送風機によって取り出された常温の空気を当てて冷却し、冷交換器中で凝縮水を凝結させる工程であって、冷却のための温度が0℃と15℃の間であって、その後、熱交換器中で0℃〜90℃の範囲に温度を上げて不飽和乾燥空気を得る工程、によって作り出される。
【0018】
上述の方法は以下の利点を有する。(1)有機試剤による残余汚泥の調整により、残余汚泥の沈降性能が向上し、その結果、汚泥の濃縮効率が向上し、濃縮時間が減り、さらに濃縮プールの容積が減る。(2)無機試剤による残余汚泥の調整により、濃縮された汚泥の凝縮可能性および疎水性が向上し、汚泥中の細胞水分の一部が放出される。これにより高圧板枠式濾過脱水の脱水効率が向上し、より低い水分含有量の汚泥濾過ケーキが得られる。脱水された汚泥の量は相応に減少し、そして、その後の熱処理量が減る。(3)乾燥工程前の汚泥濾過ケーキの破砕および分散に際し、得られる汚泥粒子はより大きな比表面積を有し、これは乾燥するときの熱伝導および物質移動においてより効率的であり、それにより、より少ないエネルギー消費量で乾燥を行える。(4)破砕された汚泥粒子の好気性発熱反応は、乾燥のためのエネルギー消費量をさらに減らし、乾燥速度を速め、汚泥の脱臭を達成する。(5)乾燥している間、汚泥粒子は比較的遅い速度で動き、ちりを生じず、プロセスをより安定且つ安全にする。(6)汚泥を低温で乾燥するため、有機物の熱分解反応が起きない。したがって、洗浄工程後の乾燥した排ガスは、環境に優しい排出基準を満たすことができる。(7)排出および破砕する手段は、破砕の追加機能を有し、これは得られる汚泥粒子をゆるくすることができ、再生利用され易くする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に従って、下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法を説明する模式的なフローチャートである。
【図2】本発明に従って、汚泥濾過ケーキを好気的空気乾燥する装置の構造の模式的な図である。
【図3】本発明に従って、汚泥濾過ケーキを好気的空気乾燥する装置のA‐Aにおける断面構造の模式的な図である。
【図4】本発明に従って、汚泥濾過ケーキを好気的空気乾燥する装置のB‐Bにおける断面構造の模式的な図である。
【図5】本発明の一態様に従って、汚泥濾過ケーキを好気的空気乾燥する装置のC部分の拡大図である。
【好ましい態様の説明】
【0020】
本発明を、図および説明された例に言及することで、本明細書の以下の項で説明する。
【0021】
図1に示されるように、下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法は、以下の工程を含む:
(1)有機試剤によって調整する工程。水分含有量が98〜99.8%の残余汚泥に対して、有機試剤が加えられる。この混合物は10〜180秒間完全に混合されて、残余汚泥の沈降性能を向上する。残余汚泥は下水処理場の稼働中に発生し、98〜99.8%の水分含有量を有する。分子量800〜1500の陽イオン性ポリアクリルアミド(PAM)が有機試剤として使用され、加えられるときに0.05〜0.5%の濃度の溶液に調合される。加えられたポリアクリルアミドの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は0.05〜0.5%である。加えられたポリアクリルアミド溶液の好ましい濃度は0.1〜0.2%である。乾燥重量に基づく、加えられたポリアクリルアミドの好ましいレベルは0.15%である。ポリアクリルアミドは、汚泥の沈降性能を向上して濃縮時間を減少し、かつ、濃縮効率を向上する、帯電の中和、吸着および架橋などの機能を有する。
(2)有機試剤によって調整された残余汚泥を重力濃縮する工程。上澄みは単離され、後処理のために下水処理施設に持ち込まれる。後処理は、通常の下水処理である。汚泥の重力濃縮は、自然沈降である。重力濃縮のための時間は30〜150分である。重力濃縮によって、汚泥中の間隙水および吸着水が取り除かれる。重力濃縮後の汚泥の水分含有量は、86〜95%である。
(3)無機試剤によって調整する工程。Fe3+を含む可溶性化合物が、残余汚泥を濃縮するために加えられる。混合物は10〜180秒間撹拌されて反応する。そして、石灰粒子が混合物に加えられる。混合物が30〜300秒間撹拌されることで、汚泥の圧縮率および疎水性が向上し、汚泥中の細胞水分の一部を放出する。Fe3+を含む可溶性化合物は、好ましくは35%を超える濃度の三塩化鉄の溶液である。加えられた三塩化鉄の、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は0.3〜10%、好ましくは5%である。石灰粒子内の有効酸化カルシウムのレベルは、60%を超える。加えられた酸化カルシウムの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は3〜150%である。帯電の中和、吸着型凝集、骨格供給、汚泥の圧縮率および疎水性の向上、ならびに細胞水分の一部の放出などのそれらの機能により、三塩化鉄溶液および石灰粒子は、汚泥の脱水効率の向上を促進し、より低い水分含有量を有する脱水された汚泥を得る。石灰粒子の粒径は、60メッシュ以上である。
(4)機械的に脱水する工程。無機試剤で調整した残余汚泥が、板枠式濾過脱水機に押し入れられる。炉液が除去されて、後処理のために下水処理施設に持ち込まれ、脱水された汚泥濾過ケーキが残る。汚泥を押し込むのに使用する圧力は、0.5〜2.5MPaである。汚泥中の毛細管結合水分および細胞水分の一部の両方を取り除くために、板枠式圧濾機が用いられる。脱水された汚泥濾過ケーキは、41〜69%の水分含有量を有する。
(5)破砕および分散する工程。汚泥濾過ケーキは破砕され、汚泥粒子に分散されて汚泥の比表面積を増加させ、乾燥効率を向上させる。
【0022】
汚泥濾過ケーキの破砕は、汚泥濾過ケーキを破砕する手段において達成される。その手段は、スクリュー、ケージ、スクリュー駆動モーターおよびハウスを備える。スクリュー駆動モーターはコネクタによってスクリューに接続されている。スクリュー上には破砕ブレードがある。スクリューは、ハウスに囲まれたケージに囲まれている。ケージは多孔性である。汚泥濾過ケーキは、汚泥濾過ケーキを破砕する手段の多孔性ケージの中でひっくり返される。汚泥濾過ケーキは、それらの間の摩耗および衝突によって破砕される。ケージの穴の径よりも小さい径の汚泥粒子は、ケージを突破し、それにより汚泥濾過ケーキの破砕および分散が達成される。ケージ内で汚泥濾過ケーキをひっくり返す速度は、ケージの最外径点での線速度で5mm/sと100mm/sの間である。スクリュー駆動モーターの出力は0〜20KWである。
【0023】
ケージの穴の径は3〜30mmである。この範囲内で得られた汚泥粒子は、自由沈降した場合、比較的小さい嵩密度を有し、ガスが出入りするのを促進するであろう。ケージ内の汚泥濾過ケーキをひっくり返すことは、固定されたケージ内のスクリューおよびその上に配置されたブレードによってか、またはケージ自体の回転によって行なわれる。
【0024】
ケージ内で汚泥濾過ケーキをひっくり返すスピードは、以下の規則に従い、汚泥濾過ケーキの水分含有量および生産要求によって調整される。(1)汚泥濾過ケーキの水分含有量が高いほど、ひっくり返す速度が低く、汚泥濾過ケーキの水分含有量が低いほど、ひっくり返す速度が高い。この原理は、後続の好気的空気乾燥プロセスに役立つために、汚泥粒子を比較的ゆるい状態に保ってより大きな比表面積を有するように、汚泥濾過ケーキ内部に既に形成された毛細管経路の剪断応力による破壊を最小限にするものである。(2)ひっくり返す速度が高いほど、汚泥濾過ケーキを破砕する手段が大きい生産量を有し、ひっくり返す速度が低いほど、汚泥濾過ケーキを破砕する手段が小さい生産量を有する。
【0025】
(6)好気的に空気乾燥する工程。90℃未満の乾燥空気が、固定されたか、動いているかまたはひっくり返っている汚泥粒子の中へと吹き込まれ、好気性発熱反応を起こす。汚泥粒子中の水分は、外部熱と内部熱の両方の下で蒸発する。乾燥空気は、冷交換器内で冷媒をさらすことによって熱を吸収する工程と、コンプレッサーの作用の下、熱交換器中で熱を放出する工程、および送風機によって取り出された常温の空気を当てて冷却し、冷交換器中で凝縮水を凝結させる工程であって、冷却のための温度が0℃と15℃の間であって、その後、熱交換器中で0℃〜90℃の範囲に温度を上げて不飽和乾燥空気を得る工程、によって作り出される。汚泥粒子は、0〜10KWの間の出力で、0〜0.2m/sの水平移動速度または0〜1r/sの回転角速度に設定される。乾燥空気流速は、0〜50KWの間の出力で、0〜20000m/hに設定される。
【0026】
工程(6)において、汚泥粒子は物理的殺菌または化学的殺菌に付される。物理的殺菌または化学的殺菌は、汚泥の再生利用のための要件に応じて採用されてよい。物理的殺菌は、UV放射であってよい。化学的殺菌は、オゾン消毒、高塩素物質または高酸素物質による消毒であってよい。他の殺菌方法が用いられてもよい。
【0027】
工程(6)において、好気的空気乾燥において発生した排ガスは、水で洗浄された後に排出される。洗浄水は、好気性発酵によって発生する浸食性の酸性ガスを取り除くために、中性またはアルカリ性であってよく、あるいは、潜在的なアンモニアガスを取り除くために酸性であってもよい。洗浄水の源は、好ましくは冷交換器から排出される凝縮水である。外部水源が補助として使用されてもよい。
【0028】
工程(6)の後に、乾燥した汚泥粒子は、再生利用のための要件を満たすように、さらに粉砕される。再生利用は、肥料としての使用、れんが製造における使用、燃料としておよび充填材としての使用であってよい。更なる粉砕は、汚泥粒子を互いに衝突させ、摩擦させることによって、スクリュー破砕装置で達成される。スクリュー破砕装置は、シングルスクリューまたは2つ以上のスクリューのセットを有していてよい。スクリューの輸送速度は、0〜10KWの間の出力で、0〜10KM/sである。
【0029】
工程(5)および(6)は、汚泥濾過ケーキを好気的に空気乾燥するための装置内で行なわれる。
【0030】
汚泥濾過ケーキを好気的空気乾燥するための装置は、図(2)、(3)および(4)に示されるように、汚泥濾過ケーキ2を破砕および分散する手段、汚泥を好気的に空気乾燥する手段、排出および破砕する手段、乾燥空気を作り出す手段、排ガスを回収および洗浄する手段を備える。汚泥濾過ケーキ2を破砕および分散する手段は、汚泥を好気的に空気乾燥する手段の上方に配置される。汚泥濾過ケーキのための供給口1は、汚泥濾過ケーキ2を破砕および分散する手段の上方に配置される。汚泥濾過ケーキ2を破砕および分散する手段において、汚泥濾過ケーキは汚泥粒子へと破砕される。そして、汚泥粒子は、汚泥を好気的に空気乾燥させる手段の中のコンベヤーベルト12の最上層の上に、排出口を通って落下した。汚泥濾過ケーキ2を破砕および分散する手段の排出口の下方で、排出口からの全ての汚泥粒子がコンベヤーベルト12の最上層の上に確実に落下するように、泥よけ14がコンベヤーベルト12の最上層の開始部分に設置された。汚泥濾過ケーキ2を破砕および分散する手段は、スクリュー、ケージ、スクリュー駆動モーターおよびハウスを備える。スクリュー駆動モーターはコネクタによってスクリューに接続されている。スクリュー上には破砕ブレードがある。スクリューは、ハウスに囲まれたケージに囲まれている。ケージは多孔性である。汚泥濾過ケーキは、汚泥濾過ケーキを破砕および分散する手段である多孔性ケージの中でひっくり返される。汚泥濾過ケーキは、それらの間の摩耗および衝突によって破砕される。ケージの穴の径よりも小さい径の汚泥粒子は、ケージを突破し、それにより汚泥濾過ケーキの破砕が達成される。
【0031】
汚泥を好気的空気乾燥する手段は、コンベヤーベルト12、駆動装置15、汚泥厚さ調整器13および紫外線ランプ19を備える。コンベヤーベルトの両端は駆動装置15に接続されており、この駆動装置は軸および速度調整モーターによってコンベヤーベルト12を駆動する。コンベヤーベルト12のメッシュベルト20は、接続ピン21によって繋がれたチェーンの上に設置される。汚泥厚さ調整器13はコンベヤーベルト12の第一層の上に設置され、高い乾燥効率のために、コンベヤーベルト12上の汚泥粒子の厚さを調節する。汚泥粒子の厚さは、好ましくは10mmと500mmの間に制御される。コンベヤーベルト12は、例えば4つ以上の層として、上から下まで層として並べられる。一層のコンベヤーベルトは、隣接する層と反対方向に向かって動く。コンベヤーベルト12は、スチールメッシュ、フィルタークロスおよび/またはプラスチックメッシュのような、荷重に耐えることができ、換気を行えるいかなる材料から製造されてもよい。コンベヤーベルトの上位層の端に送られた汚泥粒子が、反対方向に動く下位層の上に落下することができるように、コンベヤーベルトの下位層は一端において上位層を越えている。汚泥粒子が落下している間、コンベヤーベルトの各層の端に向かい合う壁に設置された紫外線ランプ19に暴露されて殺菌される。排出および破砕する手段16は、汚泥を空気乾燥する手段の底部に配置される。排出口17は、排出および破砕する手段16の末端に配置される。コンベヤーベルト12の最下層上の乾燥した汚泥粒子は、排出および破砕する手段16の上へと落下し、排出および破砕する手段16に沿って前進するときに破砕され、最終的に排出口17から排出される。排出および破砕する手段16は、少なくとも1つの破砕スクリューを備える2軸スクリューコンベヤーであってよい。好ましくは、排出および破砕する手段16は2つの破砕スクリューを有する。
【0032】
乾燥空気を製造する手段は、汚泥を好気的空気乾燥する手段の上方に配置される。乾燥空気を製造する手段は、冷交換器、コンプレッサー、送風機および熱交換器を備える。送風機7は冷交換器8と熱交換器6の間にある。冷交換器8は空気流入口9に接続されている。冷交換器8で凝縮された水は、凝縮物分離器によって分離されて回収され、その後、凝縮水ポンプ10によって排ガス洗浄装置5に送られる。乾燥空気経路18を通って、乾燥空気はコンベヤーベルト12の間の乾燥空気流入口11へと送られ、コンベヤーベルト12上の汚泥粒子を乾燥させる。乾燥空気流入口11は、上向きにも下向きにも吹くことができる。
【0033】
排ガスを回収して洗浄する手段は、汚泥を好気的空気乾燥する手段の上方に配置される。排ガスを回収して洗浄する手段は、誘引通風機3および排ガス洗浄装置5を備える。誘引通風機3はその空気流入口で、汚泥濾過ケーキ2を破砕および分散する手段と空気経路を通じて接続し、その排出口で排ガス洗浄装置5と空気経路を通じて接続している。洗浄された排ガスは、排ガス洗浄装置5の頂上の排気管から排出され、一方で、廃水は排ガス洗浄装置5の中央にある越流口4から排出される。
【0034】
水分含有量が70%〜50%の汚泥濾過ケーキが、供給口1から汚泥濾過ケーキ2を破砕および分散する手段に供給される。破砕された汚泥粒子は、線速度が1mm/s〜10mm/sの間に設定されたコンベヤーベルト12上のスチールメッシュの上に落下する。コンベヤーベルト12のスチールメッシュ上の汚泥粒子の厚さは、汚泥厚さ調節器13によって10mm〜500mmの範囲に制御される。コンベヤーベルトの層の終端に送られた汚泥粒子は、反対方向に動いている下位層の上に落下し、その落下する間に汚泥粒子は紫外線ランプ19に暴露されて殺菌され、これが繰り返された。最後に、汚泥は排出および破砕する手段16の上に落下し、前進するときに破砕され、排出および破砕する手段16の終端に設置された排出口17から排出される。コンベヤーベルトの速度を調節することによって、汚泥を好気的空気乾燥する手段における汚泥粒子の滞留時間が、5h〜50hの範囲で制御され、得られる物質の水分含有量が50%〜5%の範囲で制御される。
【0035】
常温の空気が空気流入口9を通って、乾燥空気を製造する手段内の冷交換器8へ送られ、ここでその水分は凝縮されて分離され、その後、送風機7によって熱交換器6にくみ上げられて、ここで暖められて不飽和乾燥空気になる。乾燥空気の温度は0〜90℃の範囲に調整される。凝縮水は冷交換器8の中の凝縮物分離器から排出され、その後、洗浄用の水源として凝縮水ポンプによって排ガス洗浄装置5へ送られる。空気経路18を通って、乾燥空気はコンベヤーベルト12の上側と下側のスチールメッシュの間にある各々の乾燥空気排出口11へ送られ、乾燥した好気性空気をコンベヤーベルトの上の汚泥粒子に供給する。コンベヤーベルト12の各層の方々に、数個の乾燥空気排出口11がある。汚泥粒子は、乾燥空気と共に熱伝導および物質移動に付され、脱水される。誘引通風機3を通って、乾燥した排ガスが汚泥濾過ケーキ2を破砕および分散する手段によって回収され、排ガス洗浄装置5に注ぎ込まれ、バブリング洗浄後に排出される。洗浄における下水は、越流口4から下水管に注ぎ込まれる。
【実施例】
【0036】
例1
99.8%の水分含有量の残余汚泥を、有機調整攪拌槽に移した。1200万の分子量を有し、濃度が0.1%である陽イオン性ポリアクリルアミドの溶液を汚泥に加えた。加えたポリアクリルアミドの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は0.2%であった。そして、有機調整された汚泥を重力濃縮槽に送った。120分間の重力濃縮の後に、上澄みを取り除いた。濃縮された汚泥は95%の水分含有率を有しており、これを脱水処理に移した。
【0037】
濃縮された汚泥を無機調整攪拌槽に移した。濃縮された汚泥に、38%の濃度の三塩化鉄の溶液を加えて、この混合物を10秒間完全に攪拌した。加えた三塩化鉄の、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は2.3%であった。そして、70%の有効酸化カルシウムを有する石灰粒子を加え、この混合物を60秒間完全に攪拌した。加えた酸化カルシウムの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は12%であった。調整された汚泥をねじポンプで板枠式圧濾機に押し入れた。ねじポンプの注入圧力は1MPaであった。濾液を取り除き、61%の水分含有量の濾過ケーキを残した。
【0038】
汚泥濾過ケーキを汚泥粒子として粉砕した。汚泥粒子はコンベヤーベルトへ落下し、分散して汚泥粒子の層となった。汚泥濾過ケーキの粉砕は、汚泥濾過ケーキを破砕および分散する手段において達成した。85℃の温度の乾燥空気を、ゆっくりと動くコンベヤーベルト上の汚泥粒子の層へと正圧で吹き込んだ。乾燥空気は、常温の空気を冷交換器中での水分の凝縮および分離に付し、熱交換器中で暖めることで発生させた。乾燥空気を、スチールメッシュのコンベヤーベルトの上層と下層の間にある乾燥空気排出口へ、空気経路を通して送った。汚泥粒子の下部から上部まで横切る際に、乾燥空気が好気性反応に酸素を供給し、同様に、そこから水分を奪い去ることで汚泥粒子を脱水した。コンベヤーベルトを層のように配置し、汚泥厚さ調整器を第一層の上に備えた。汚泥粒子の厚さは200mmであり、コンベヤーベルトの線速度は2mm/sであった。コンベヤーベルト上での汚泥粒子の総滞留時間は20hであった。コンベヤーベルトの上位層の末端まで送られた汚泥粒子は、下位層の上に落下し、反対方向に向かって動いた。落下する汚泥粒子を物理的または化学的殺菌に付した。汚泥の水分を運ぶ排ガスを、汚泥粒子の層から負圧によって吸い出し、水で洗浄した後で排出した。洗浄水の水源は、冷交換器から排出された凝縮水である。外部の水供給源は補助として使用した。末端に送られると、コンベヤーベルトの最下層上の汚泥粒子は、コンベヤーベルトの最下層の下方に配置されたらせん状の破砕機に落下し、さらに破砕された。得られた汚泥粒子の水分含有量は、36%であった。
【0039】
例2
99.5%の水分含有量の残余汚泥を、有機調整攪拌槽に移した。1500万の分子量を有し、濃度が0.1%である陽イオン性ポリアクリルアミドの溶液を汚泥に加えた。加えたポリアクリルアミドの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は0.15%であった。そして、有機調整された汚泥を重力濃縮槽に送った。2時間の重力濃縮の後に、上澄みを取り除いた。濃縮された汚泥は93%の水分含有率を有しており、これを脱水処理に移した。
【0040】
濃縮された汚泥を無機調整攪拌槽に移した。濃縮された汚泥に、38%の濃度の三塩化鉄の溶液を加えて、この混合物を2分間完全に攪拌した。加えた三塩化鉄の、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は5.5%であった。この混合物に石灰粒子が加えられ、12分間完全に攪拌された。石灰粒子は72%の酸化カルシウムを含んでいた。加えた酸化カルシウムの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は12%であった。調整された汚泥をねじポンプで板枠式圧濾機に押し入れた。ねじポンプの注入圧力は1MPaであった。濾液を取り除き、58%の水分含有量の濾過ケーキを残した。汚泥濾過ケーキを汚泥粒子として粉砕した。汚泥粒子はコンベヤーベルトへ落下し、分散して汚泥粒子の層となった。汚泥濾過ケーキの粉砕は、汚泥濾過ケーキを破砕および分散する手段において達成した。60℃の温度の乾燥空気を、ゆっくりと動くコンベヤーベルト上の汚泥粒子の層へと正圧で吹き込んだ。乾燥空気は、常温の空気を冷交換器中での水分の凝縮および分離に付し、熱交換器中で暖めることで発生させた。乾燥空気を、スチールメッシュのコンベヤーベルトの上層と下層の間にある乾燥空気排出口へ、空気経路を通して送った。汚泥粒子の下部から上部まで横切る際に、乾燥空気が好気性反応に酸素を供給し、同様に、そこから水分を奪い去ることで汚泥粒子を脱水した。コンベヤーベルトを層のように配置し、汚泥厚さ調整器を第一層の上に備えた。汚泥粒子の厚さは200mmであり、コンベヤーベルトの線速度は2.5mm/sであった。コンベヤーベルト上での汚泥粒子の総滞留時間は18hであった。コンベヤーベルトの上位層の末端まで送られた汚泥粒子は、下位層の上に落下し、反対方向に向かって動いた。落下する汚泥粒子を物理的または化学的殺菌に付した。汚泥の水分を運ぶ排ガスを、汚泥粒子の層から負圧によって吸い出し、水で洗浄した後で排出した。洗浄水の水源は、冷交換器から排出された凝縮水である。外部の水供給源は補助として使用した。末端に送られると、コンベヤーベルトの最下層上の汚泥粒子は、コンベヤーベルトの最下層の下方に配置されたらせん状の破砕機に落下し、さらに破砕された。得られた汚泥粒子の水分含有量は、34%であった。
【0041】
例3
99.3%の水分含有量の残余汚泥を、有機調整攪拌槽に移した。1200万の分子量を有し、濃度が0.1%である陽イオン性ポリアクリルアミドの溶液を汚泥に加えた。加えたポリアクリルアミドの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は0.1%であった。そして、有機調整された汚泥を重力濃縮槽に送った。1時間の重力濃縮の後に、上澄みを取り除いた。濃縮された汚泥は93%の水分含有率を有しており、これを脱水処理に移した。
【0042】
濃縮された汚泥を無機調整攪拌槽に移した。濃縮された汚泥に、38%の濃度の三塩化鉄の溶液を加えて、この混合物を1分間完全に攪拌した。加えた三塩化鉄の、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は4.5%であった。そして、75%の有効酸化カルシウムを有する石灰粒子を加え、この混合物を15分間完全に攪拌した。加えた酸化カルシウムの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は15.5%であった。調整された汚泥をねじポンプで板枠式圧濾機に押し入れた。ねじポンプの注入圧力は1MPaであった。濾液を取り除き、53%の水分含有量の濾過ケーキを残した。
【0043】
汚泥濾過ケーキを汚泥粒子として粉砕した。汚泥粒子はコンベヤーベルトへ落下し、分散して汚泥粒子の層となった。汚泥濾過ケーキの粉砕は、汚泥濾過ケーキを破砕および分散する手段において達成した。48℃の温度の乾燥空気を、ゆっくりと動くコンベヤーベルト上の汚泥粒子の層へと正圧で吹き込んだ。乾燥空気は、常温の空気を冷交換器中での水分の凝縮および分離に付し、熱交換器中で暖めることで発生させた。乾燥空気を、スチールメッシュのコンベヤーベルトの上層と下層の間にある乾燥空気排出口へ、空気経路を通して送った。汚泥粒子の下部から上部まで横切る際に、乾燥空気が好気性反応に酸素を供給し、同様に、そこから水分を奪い去ることで汚泥粒子を脱水した。コンベヤーベルトを層のように配置し、汚泥厚さ調整器を第一層の上に備えた。汚泥粒子の厚さは200mmであり、コンベヤーベルトの線速度は1.5mm/sであった。コンベヤーベルト上での汚泥粒子の総滞留時間は25hであった。コンベヤーベルトの上位層の末端まで送られた汚泥粒子は、下位層の上に落下し、反対方向に向かって動いた。落下する汚泥粒子を物理的または化学的殺菌に付した。汚泥の水分を運ぶ排ガスを、汚泥粒子の層から負圧によって吸い出し、水で洗浄した後で排出した。洗浄水の水源は、冷交換器から排出された凝縮水である。外部の水供給源は補助として使用した。末端に送られると、コンベヤーベルトの最下層上の汚泥粒子は、コンベヤーベルトの最下層の下方に配置されたらせん状の破砕機に落下し、さらに破砕された。得られた汚泥粒子の水分含有量は、33%であった。
【0044】
例4
99%の水分含有量の残余汚泥を、有機調整攪拌槽に移した。1000万の分子量を有し、濃度が0.1%である陽イオン性ポリアクリルアミドの溶液を汚泥に加えた。加えたポリアクリルアミドの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は0.08%であった。そして、有機調整された汚泥を重力濃縮槽に送った。1.5時間の重力濃縮の後に、上澄みを取り除いた。濃縮された汚泥は90%の水分含有率を有しており、これを脱水処理に移した。
【0045】
濃縮された汚泥を無機調整攪拌槽に移した。濃縮された汚泥に、38.8%の濃度の三塩化鉄の溶液を加えて、この混合物を30秒間完全に攪拌した。加えた三塩化鉄の、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は6.5%であった。そして、70%の有効酸化カルシウムを有する石灰粒子を加え、この混合物を10分間完全に攪拌した。加えた酸化カルシウムの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比は8.4%であった。調整された汚泥をねじポンプで板枠式圧濾機に押し入れた。ねじポンプの注入圧力は1MPaであった。濾液を取り除き、51%の水分含有量の濾過ケーキを残した。
【0046】
汚泥濾過ケーキを汚泥粒子として粉砕した。汚泥粒子はコンベヤーベルトへ落下し、分散して汚泥粒子の層となった。汚泥濾過ケーキの粉砕は、汚泥濾過ケーキを破砕および分散する手段において達成した。25℃の温度の乾燥空気を、ゆっくりと動くコンベヤーベルト上の汚泥粒子の層へと正圧で吹き込んだ。乾燥空気は、常温の空気を冷交換器中での水分の凝縮および分離に付し、熱交換器中で暖めることで発生させた。乾燥空気を、スチールメッシュのコンベヤーベルトの上層と下層の間にある乾燥空気排出口へ、空気経路を通して送った。汚泥粒子の下部から上部まで横切る際に、乾燥空気が好気性反応に酸素を供給し、同様に、そこから水分を奪い去ることで汚泥粒子を脱水した。コンベヤーベルトを層のように配置し、汚泥厚さ調整器を第一層の上に備えた。汚泥粒子の厚さは200mmであり、コンベヤーベルトの線速度は0.2mm/sであった。コンベヤーベルト上での汚泥粒子の総滞留時間は45hであった。コンベヤーベルトの上位層の末端まで送られた汚泥粒子は、下位層の上に落下し、反対方向に向かって動いた。落下する汚泥粒子を物理的または化学的殺菌に付した。汚泥の水分を運ぶ排ガスを、汚泥粒子の層から負圧によって吸い出し、水で洗浄した後で排出した。洗浄水の水源は、冷交換器から排出された凝縮水である。外部の水供給源は補助として使用した。末端に送られると、コンベヤーベルトの最下層上の汚泥粒子は、コンベヤーベルトの最下層の下方に配置されたらせん状の破砕機に落下し、さらに破砕された。得られた汚泥粒子の水分含有量は、31%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法であって、
(1)有機試剤によって調整する工程であって、98〜99.8%の水分含有量の残余汚泥中へ有機試剤を加え、この混合物を10〜180秒間攪拌する工程と、
(2)前記有機試剤によって調整された前記残余汚泥を重力濃縮し、上澄みを分離して後処理のために下水処理施設に持ち込む工程と、
(3)無機試剤によって調整する工程であって、前記濃縮された残余汚泥中にFe3+を含む可溶性化合物を加え、この混合物を10〜180秒間攪拌し、さらに石灰粒子を加え、さらに30〜300秒間攪拌する工程と、
(4)機械的に脱水する工程であって、前記無機試剤によって調整された前記残余汚泥を板枠式濾過脱水機に押し入れ、濾液を取り除き、脱水された汚泥濾過ケーキを得る工程と、
(5)破砕および分散する工程であって、前記濾過ケーキを破砕および分散して汚泥粒子にする工程と、
(6)好気的に空気乾燥する工程であって、固定されたか、動いているかあるいはひっくり返っている前記汚泥粒子に乾燥空気を吹き込んで、好気性発熱反応を起こす工程と
を含む、方法。
【請求項2】
工程(6)において、前記汚泥粒子を物理的殺菌または化学的殺菌に付し、その際、前記物理的殺菌がUV放射であり、前記化学的殺菌がオゾン消毒、高塩素物質または高酸素物質による消毒である、請求項1に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。
【請求項3】
工程(6)において、前記好気的空気乾燥において発生した排ガスを、水で洗浄した後に排出する、請求項1に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。
【請求項4】
工程(6)の後に、前記乾燥した汚泥粒子をさらに粉砕して、再生利用のための要件を満たす、請求項1に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。
【請求項5】
前記さらなる粉砕を、前記汚泥粒子をお互いに圧縮および摩擦させることでスクリュー破砕装置で達成する方法であって、前記スクリュー破砕装置が、シングルスクリューまたは2つ以上のスクリューのセットを有する、請求項4に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。
【請求項6】
工程(1)において加えられる前記有機試剤として、陽イオン性ポリアクリルアミドを使用し、加えるときに0.05〜0.5%の濃度の溶液に調合する方法であって、前記加えたポリアクリルアミドの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比が0.05〜0.5%である、請求項1に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。
【請求項7】
工程(2)における汚泥の前記重力濃縮が自然沈降である方法であって、重力濃縮のための時間が30〜150分間であり、前記重力濃縮された汚泥が86〜95%の水分含有量を有する、請求項1に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。
【請求項8】
工程(3)においてFe3+を含む前記可溶性化合物が、35%を超える濃度の三塩化鉄の溶液である方法であって、前記加えられた三塩化鉄の、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比が0.3〜10%であり、前記石灰粒子が60%を超える有効酸化カルシウムを含み、前記加えられた酸化カルシウムの、汚泥に対する乾燥重量に基づく質量比が3〜150%である、請求項1に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。
【請求項9】
前記石灰粒子の粒径が60メッシュ以上である、請求項8に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。
【請求項10】
工程(4)において汚泥を押し込むのに使用する圧力が0.5〜2.5MPaであり、前記脱水後の汚泥濾過ケーキの前記水分含有量が41〜69%である、請求項1に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。
【請求項11】
工程(5)における汚泥濾過ケーキの破砕工程が、汚泥濾過ケーキを破砕する手段を用いることで達成され、前記汚泥濾過ケーキを破砕する手段がスクリュー、ケージ、スクリュー駆動モーターおよびハウスを備え、前記スクリュー駆動モーターが前記スクリューにコネクタによって接続しており、前記スクリュー上に破砕ブレードがあり、前記スクリューが、前記ハウスに囲まれた前記ケージに囲まれており、前記ケージが多孔性であり、汚泥濾過ケーキが前記汚泥濾過ケーキを破砕する手段の前記多孔性ケージの中でひっくり返され、それらの間の摩耗および衝突によって破砕され、前記ケージの前記穴の径よりも小さい径の前記汚泥粒子は、前記ケージを突破し、それにより汚泥濾過ケーキの破砕および分散が達成される、請求項1に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。
【請求項12】
前記ケージの前記孔の径が3〜30mmである、請求項1に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。
【請求項13】
工程(6)における前記乾燥空気が、冷交換器内で冷媒をさらして熱を吸収する工程と、コンプレッサーの作用の下、熱交換器中で熱を放出する工程、および送風機によって取り出された常温の空気を当てて冷却し、前記冷交換器中で凝縮水を凝結させる工程であって、冷却のための温度が0℃と15℃の間であって、その後、前記熱交換器中で0℃〜90℃の範囲に温度を上げて不飽和乾燥空気を得る工程、によって作り出される、請求項1に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。
【請求項14】
洗浄用の前記水が中性、アルカリ性、または酸性であり、前記水の源が冷交換器から排出される凝縮水であり、外部水資源が補助として使用される、請求項3に記載の下水汚泥の濃縮‐脱水および好気的空気乾燥を統合する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−505816(P2013−505816A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530071(P2012−530071)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【国際出願番号】PCT/CN2009/001280
【国際公開番号】WO2011/035460
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512078801)グアンチョウ、ピュデ、エンバイロンメンタル、プロテクション、エキップメント、リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU PUDE ENVIRONMENTAL PROTECTION EQUIPMENT LTD.
【Fターム(参考)】