説明

不審対象検知システム、不審対象検知装置、不審対象検知方法及びプログラム

【課題】異なる特性を有する画像処理方法の結果を統合的に利用し、特にセキュリティレベルに応じた有効な不審者検知処理を行なうことができる不審者検知システムを提供することにある。
【解決手段】実施形態によれば、不審者検知システムは、監視範囲内の監視対象を撮影する複数のカメラと、前記各カメラから出力される映像を画像処理する手段であって、異なる検出特性を有する複数の画像処理部と、前記各画像処理部からの画像処理結果のいずれか、あるいは当該各画像処理結果を統合した統合処理結果を使用して前記監視対象の挙動を検知する検知部と、前記検知部から出力される挙動情報に基づいて、前記監視対象が不審者であるか否かを判定する判定部とを具備し、前記複数の画像処理部は、前記各カメラから出力される映像を単眼画像処理する単眼画像処理部と、前記各カメラから出力される映像をステレオ画像処理するステレオ画像処理部とを含む構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、カメラの映像を使用する不審者検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラにより撮影された映像(動画像)を利用して、不審者などを監視するための監視システムが開発されている。監視システムには、各種の方式が提案されているが、複数のカメラから得られる映像を画像処理して、物体を追跡する侵入者監視システムが提案されている。この侵入者監視システムは、ステレオ画像処理で物体の追跡を行なう3次元認識処理と、単眼画像処理で物体の追跡を行なう2次元認識処理のいずれかを選択する手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−61075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、カメラからの映像を画像処理した結果を利用して、不審者や侵入者などを検知する場合に、画像処理方法として単眼画像処理を行なう方法では、監視対象である人の正確な位置情報や歩行軌跡を検出(算出)することは困難である。一方、ステレオ画像処理を行なう方法では、正確な位置情報や歩行軌跡の検出は可能であるが、監視範囲が単眼画像処理方法と比較して狭域になる傾向がある。
【0005】
従って、単眼画像処理方法とステレオ画像処理方法のそれぞれの検出特性の長所を生かして、各画像処理結果を統合的に利用し、特に、セキュリティレベルに応じた有効な不審者検知性能を実現するシステムの構築が望まれる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、異なる特性を有する画像処理方法の結果を統合的に利用し、特にセキュリティレベルに応じた有効な不審者検知処理を行なうことができる不審者検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の観点に従った不審者検知システムは、監視範囲内の監視対象を撮影する複数のカメラと、前記各カメラから出力される映像を画像処理する手段であって、異なる検出特性を有する複数の画像処理手段と、前記各画像処理手段からの画像処理結果のいずれか、あるいは当該各画像処理結果を統合した統合処理結果を使用して前記監視対象の挙動を検知する検知手段と、前記検知手段から出力される挙動情報に基づいて、前記監視対象が不審者であるか否かを判定する判定手段とを具備し、前記複数の画像処理手段は、前記各カメラから出力される映像を単眼画像処理する単眼画像処理手段と、前記各カメラから出力される映像をステレオ画像処理するステレオ画像処理手段とを含む構成である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に関する不審者検知システムの要部を示すブロック図。
【図2】本実施形態に関する画像処理部の構成を説明するためのブロック図。
【図3】本実施形態に関する不審者検知システムの具体的適用例を説明するための図。
【図4】本実施形態に関する不審者検知システムの処理手順を説明するためのフローチャート。
【図5】本実施形態に関する不審者検知システムの具体的適用例で、広域の監視範囲に適用した場合を説明するための図。
【図6】第2の実施形態に関する不審者検知システムの要部を示すブロック図。
【図7】第2の実施形態に関する不審者検知システムの処理手順を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、実施形態を説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に関する不審者検知システムの要部を示すブロック図である。
【0011】
本システムは、図1に示すように、複数のビデオカメラ(ここでは、3台とする)10A〜10Cと、不審者検知装置11と、監視処理装置15とを有する。各カメラ10A〜10Cはそれぞれ、監視範囲内の各場所に設置されて、撮影により得られる映像を不審者検知装置11に伝送する。
【0012】
不審者検知装置11は、画像処理部12と、コントローラ13と、出力部14とを有する。画像処理部12は、異なる検出特性を有する画像処理手法を使用する複数の画像処理部(ここでは、4種類の画像処理部とする)20A〜20Dからなる。各画像処理部20A〜20Dは、カメラ10A〜10Cから伝送される各映像を、それぞれの画像処理手法を使用して画像処理を実行する。
【0013】
コントローラ13は、画像処理部12から出力される各画像処理結果を利用して、監視範囲内に存在する人(監視対象)の挙動を検知する検知機能、及び当該検知機能により得られる挙動情報に基づいて挙動不審を示す不審者であるか否かを最終的に判定する判定機能を有する。後述するように、コントローラ13は、各画像処理結果のそれぞれ、または統合した統合結果を、監視形態(セキュリティレベルなど)に応じて選択的に使用する。
【0014】
出力部14は、コントローラ13により判定された判定結果、即ち不審者として特定した監視対象である人を示す情報を監視処理装置15に出力する。監視処理装置15は、出力部14からの情報を画面上に表示したり、不審者の存在を発報するアラーム処理を実行する装置である。
【0015】
(画像処理部の構成)
以下、図2を参照して、画像処理部12の具体的構成を説明する。
【0016】
画像処理部12は、図2に示すように、単眼画像処理部20A及びステレオ画像処理部20Bを有する。単眼画像処理部20Aは、カメラ10A〜10Cからの映像を画像処理して、実空間上の2次元位置情報(座標情報と時間情報を含む)を算出する演算処理部120A、及び当該2次元位置情報を使用して監視対象である人の動きを追跡する追跡処理部121Aを有する。即ち、単眼画像処理部20Aは、2次元空間での人の存在、動き、背景差分、フレーム間差分、オプティカルフロー等の情報を生成する。
【0017】
一方、ステレオ画像処理部20Bは、例えば2台のカメラ10A,10Bからの映像をステレオ画像処理して、実空間上の3次元位置情報を算出する演算処理部120B、及び当該3次元位置情報を使用して監視対象である人の動きを追跡する追跡跡処理部121Bを有する。即ち、ステレオ画像処理部20Bは、3次元空間での人の存在、動き、両眼視差法等の情報を生成する。
【0018】
なお、画像処理部12は、他の検出特性を有する画像処理部として、例えばRGBカラー画像処理を実行して、監視対象の色相や彩度などの情報を生成する画像処理部20C、及び例えば3次元空間での形状に基づいた3Dモデルマッチングなどのカテゴリ化などの処理を実行する画像処理部20Dを有する。
【0019】
(不審者検知動作)
以下、図3から図5を参照して、本実施形態のシステムの動作を説明する。
【0020】
図3は、本実施形態のシステムを適用する監視範囲の一例を示す図である。ここでは、2台のカメラ10A,10Bにより、複数の監視領域300,310,320を監視している場合を想定する。監視領域300は、例えばサーバルームなどの入口で、部外者以外の立ち入りが厳重に制限されており、セキュリティレベルが高い領域とする。また、この監視領域300から外れた領域310,320は、相対的にセキュリティレベルがそれ程高くない領域とする。
【0021】
図4に示すように、不審者検知装置11は、各カメラ10A,10Bから撮影された映像を入力する(ステップS1)。画像処理部12では、単眼画像処理部20Aは、カメラ10A,10Bからの各映像を単眼画像処理し、その画像処理結果をコントローラ13に出力する。また、ステレオ画像処理部20Bは、2台のカメラ10A,10Bからの映像をステレオ画像処理して、画像処理結果をコントローラ13に出力する。
【0022】
コントローラ13は、相対的にセキュリティレベルが低い監視領域310,320に対しては、単眼画像処理部20Aからの単眼画像処理結果を利用して、不審者検知処理を実行する(ステップS2,S5,S4)。即ち、コントローラ13は、単眼画像処理部20Aからの2次元位置情報を使用した追跡処理結果から、人の挙動を示す挙動情報を生成し、当該挙動情報に基づいて不審者が存在するか否かを判定する。
【0023】
ここで、一般的に、単眼画像処理は、ステレオ画像処理と比較して人物の検知精度が劣るが、有効な監視範囲を広く取れる。従って、相対的にセキュリティレベルが低い監視領域310,320に対しては、検知精度よりも、監視範囲の広さを優先させた単眼画像処理結果を利用する検知処理が有効である。
【0024】
一方、ステレオ画像処理は、相対的に人物の検知精度が高いが、その反面、有効な監視範囲が狭くなる。そこで、コントローラ13は、カメラ10A,10Bの各撮影範囲が重なり、相対的に狭い監視範囲として、セキュリティレベルが高い監視領域300に対しては、ステレオ画像処理結果を利用した不審者検知処理を実行する(ステップS2,S3,S4)。
【0025】
即ち、コントローラ13は、単眼画像処理部20A及びステレオ画像処理部20Bの各画像処理結果を統合した統合画像処理結果を利用して、人の挙動を示す挙動情報を生成し、当該挙動情報に基づいて不審者が存在するか否かを判定する。具体的な方法として、コントローラ13は、図2に示すように、ステレオ画像処理部20Bで算出した3次元位置情報を、単眼画像処理部20Aでの追跡処理部121Aに供給して、人の動きを追跡する追跡処理に伴う演算を再計算させる。これにより、人の動きを高精度に追跡することが可能となる。
【0026】
ここで、単眼画像処理部20Aは、一般的な背景差分により人物の抽出を実行し、2次元上の抽出領域をクラスタリングして追跡処理を実行する。一方、ステレオ画像処理部20Bは、両眼視差法により3次元上の抽出領域をクラスタリングして追跡処理を実行する。コントローラ13は、単眼画像処理部20Aでの追跡処理において、ステレオ画像処理部20Bにより算出された3次元位置情報を2次元情報にコンバートさせる。
【0027】
出力部14は、コントローラ13により判定された判定結果、即ち不審者として特定した監視対象である人を示す情報を監視処理装置15に出力する。これにより、監視処理装置15は、出力部14からの情報を画面上に表示したり、不審者の存在を発報するアラーム処理を実行する。
【0028】
以上のようにして、例えばサーバルームなどの入口の近傍であるセキュリティレベルが高い監視領域300に対しては、単眼画像処理結果とステレオ画像処理結果とを統合した統合処理結果を利用して、人の挙動を検知する挙動情報を生成し、当該挙動情報に基づいて不審者であるか否かを判定する。従って、有効な監視範囲が狭くなるが、人物の検知精度を高くできるステレオ画像処理結果を利用して、人数の計測や人の挙動を高精度で検知することができる。これにより、高いセキュリティレベルに応じた高い精度で、不審者の検知処理を行なうことができる。
【0029】
また、セキュリティレベルが相対的に低い監視領域310,320に対しては、検知精度よりも、監視範囲の広さを優先させた単眼画像処理結果を利用して、不審者の検知処理を行なうことができる。
【0030】
(変形例)
図5は、本実施形態のシステムを適用する監視範囲の一例を示す図であり、図3に示す例と比較して広域の監視範囲に適用した場合である。ここでは、4台のカメラ10A〜10Dにより、複数の監視領域400,410,420,430,440,450を監視している場合を想定する。監視領域430は、例えばサーバルームなどの入口で、部外者以外の立ち入りが厳重に制限されており、セキュリティレベルが高い領域とする。また、監視領域400,410,420,440,450は、相対的にセキュリティレベルがそれ程高くない領域とする。なお、監視領域400は、カメラ10Aの撮影範囲に対応する領域である。監視領域410は、カメラ10Bの撮影範囲に対応する領域である。監視領域420は、2台のカメラ10A,10Bの撮影範囲が重なった領域である。
【0031】
次に、画像処理部12は、本実施形態での単眼画像処理部20A及びステレオ画像処理部20B以外に、前述したように、他の検出特性を有する画像処理部20C,20Dを有する。コントローラ13は、これらの画像処理部20C,20Dからの各画像処理結果を統合した結果を利用して、例えば検知した人物の例えば身長、体格(痩せ型、ぽっちゃり型)、年齢、服の色、服装、帽子、サングラス等の着用備品などの属性や特徴を抽出して、不審氏や検知の判定での補完情報として使用してもよい。
【0032】
また、コントローラ13は、監視状況、又はオペレータからの指示情報に基づいて、画像処理部12の各画像処理結果に対して不審者の判定基準に重みを設定し、この重み情報を最終判定処理に活用する方式でもよい。例えば、不審者の判定基準として、人の挙動における位置が重要である場合には、コントローラ13は、単眼画像処理部20A及びステレオ画像処理部20Bの各画像処理結果に重みを付ける。一方、不審者の判定基準として、人の特徴が重要である場合には、コントローラ13は、画像処理部20C,20Dからの各画像処理結果に重みを付ける。具体的には、コントローラ13は、画像処理部12の各画像処理結果に対して重み係数を掛ける演算処理を実行する。
【0033】
さらに、コントローラ13は、不審者の監視領域内で認証者と設定された人間の追跡をキャンセルできる仕組みを具備する。認証の仕組みは、例えば顔認証や無線による認証方式を採用し、人間が認証された時間情報と認証可否の情報を認証装置から入手する。コントローラ13は、その認証装置の場所に存在した人間の特定結果から、以降はその人間の追跡をキャンセルし、システム的な誤発報の抑制並びに計算コストの削減を実現する。なお、認証処理時に、認証装置の周辺に複数の人間が存在して、認証者の特定が難しい場合には、この追跡のキャンセル処理を実行しない。
【0034】
また、セキュリティレベルは、監視する場所に応じて異なるものとなるが、例えば、一般的に人間が通る通路などではセキュリティレベルは低く、侵入禁止通路だとセキュリティレベルは高く設定される。これに対して、人間が通る通路でも守らなければならない領域に関しては、例えばその近傍か否かにより、同じ振舞いをしていても注意または警告のグレードを変化させるようにしてもよい。具体的には、例えば、ある人間が、ある時間停滞しているような状況を想定した場合、その把握した事象と論理的に設定したセキュリティレベルの領域とで整合をとり、設定したセキュリティレベルが低い領域で発見した場合には管理者に注意を促す。一方、セキュリティレベルが高い領域で発見した場合には、管理者に警告を促すことができる。この場合、注意や警告は管理者だけでなく、当事者に対しても発報することができる。
【0035】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に関する不審者検知システムの要部を示すブロック図である。図7は、その不審者検知動作を説明するためのフローチャートである。
【0036】
本実施形態のシステムは、行動分析装置16を有する構成であり、これ以外の構成は図1に示すシステムと同様のため、同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
行動分析装置16は、コントローラ13により検知された人の挙動情報に基づいて行動分析処理を実行して、当該行動分析結果と、実際に不審者であるか否かを示す情報とを使用して不審者の判定処理をルール化した学習情報を生成してコントローラ13にフィードバックする構成である。具体的には、行動分析装置16は、パターン認識や機械学習などの手法(例えばSVM:Support Vector Machine等)による行動分析処理を実行して、明確になっていないルールを明確化する。
【0038】
以下、図7のフローチャートを参照して、本実施形態の不審者検知システムの処理手順を説明する。
【0039】
まず、不審者検知装置11は、各カメラ10A〜10Cから撮影された映像を入力する(ステップS11)。画像処理部12は、例えば、単眼画像処理部20A及びステレオ画像処理部20Bの各画像処理を統合した統合画像処理を実行し、画像処理結果をコントローラ13に出力する(ステップS12)。コントローラ13は、画像処理部12からの画像処理結果を利用して、不審者検知処理を実行する(ステップS13)。即ち、コントローラ13は、画像処理結果を利用して人の挙動を示す挙動情報を生成し、当該挙動情報に基づいて不審者が存在するか否かを判定する。監視処理装置15は、コントローラ13の判定結果に基づいて、不審者として特定した監視対象である人を示す情報を画面上に表示したり、不審者の存在を発報するアラーム処理を実行する。
【0040】
一方、本実施形態の行動分析装置16は、コントローラ13からの人の挙動情報に基づいて行動分析処理を実行する(ステップS14)。行動分析装置16は、行動分析結果と、実際に不審者であるか否かを示す情報とを使用して不審者の判定処理を、ルールとして記述できる場合には、そのルール化した判定ロジックを学習情報としてコントローラ13に設定する(ステップS15,S16)。また、ルールとして記述できない場合には、行動分析装置16は、行動識別機能をコントローラ13に設定する(ステップS15,S16)。
【0041】
具体的には、コントローラ13から人の挙動情報として、例えば、不審者のうろうろ行動を示す情報を取得する。この情報に基づいて、10回往復したときに不審者として記述できた場合には、行動分析装置16は、コントローラ13に対して不審者の判定ロジックとして「10回往復したとき」のルールを学習情報として設定する。一方、ルールとして記述ができない場合は、行動分析装置16は、コントローラ13に対して不審者のうろうろ行動識別機能をコントローラ13に設定する。
【0042】
なお、オペレータが画面上での人物をGUI入力操作により指定すると、行動分析装置16は、ルール化した新たな判定ロジックを学習情報としてコントローラ13に設定してもよい。これにより、ある特定の挙動を示す人物を見付けたい場合に、画面上において、判別ロジックを示す学習情報を自動で作成し、コントローラ13に追加することができる。
【0043】
例えば、通路を右に曲がる人を見付けたい場合に、撮影されて蓄積された映像から、右に曲がる人を指定すると、「通路を右に曲がる」という判別ロジックを示す学習情報を自動で作成して、コントローラ13に追加することができる。これにより、コントローラ13は、後、挙動情報に基づいて、通路を右に曲がる人を見付けることが可能となる
なお、前述の第1及び第2の実施形態において、セキュリティレベルの設定は監視する場所に応じて異なるものとなるが、このセキュリティレベルに応じて、不審行動のセンシング感度をコントロールしてもよい。例えば、一定時間、そこの留まっている場合に不審者と判別するような場合には、その把握した事象と論理的に設定したセキュリティレベルの領域とで整合をとる。そして、セキュリティレベルが低い領域では、例えば10秒間留まっていたら注意を促す。また、セキュリティレベルが高い領域で発見した場合には、例えば5秒で管理者に警告を促すことができる。この場合、注意や警告は管理者だけでなく、当事者に対しても発報することができる。感度に関しては、移動距離や挙動の激しさを判定するためのパラメータそれぞれについて設定できるようにしてもよい。
【0044】
さらに、前述の第1及び第2の実施形態において、音圧センサまたは音声認識センサを装備し、奇声を発生するような人間が居た場合には、セキュリティレベルに依存した感度コントロールの他、その人間に対する不審行動のセンシング感度をコントロールしてもよい。声と人間が対応できない場合には、領域としてセンシング感度をコントロールする、或いは、全ての領域の感度を上げてもよい。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10A〜10D…ビデオカメラ、11…不審者検知装置、12…画像処理部、
13…コントローラ、14…出力部、15…監視処理装置、
16…行動分析装置、20A…単眼画像処理部、20B…ステレオ画像処理部、
300,310,320…監視領域、
400,410,420,430,440,450…監視領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視範囲内の監視対象を撮影する複数のカメラと、
前記各カメラから出力される映像を画像処理する手段であって、異なる検出特性を有する複数の画像処理手段と、
前記各画像処理手段からの画像処理結果のいずれか、あるいは当該各画像処理結果を統合した統合処理結果を使用して前記監視対象の挙動を検知する検知手段と、
前記検知手段から出力される挙動情報に基づいて、前記監視対象が不審者であるか否かを判定する判定手段とを具備し、
前記複数の画像処理手段は、
前記各カメラから出力される映像を単眼画像処理する単眼画像処理手段と、
前記各カメラから出力される映像をステレオ画像処理するステレオ画像処理手段と
を含むことを特徴とする不審者検知システム。
【請求項2】
前記監視範囲内が、異なるセキュリティレベルを設定された複数の監視領域に分割されている場合に、
前記検知手段は、特定のセキュリティレベルを設定された監視領域において、前記統合処理結果を使用して前記監視対象の挙動を検知することを特徴とする請求項1に記載の不審者検知システム。
【請求項3】
前記監視範囲内が、異なるセキュリティレベルを設定された複数の監視領域に分割されている場合に、
前記検知手段は、特定のセキュリティレベルを設定された監視領域において、前記単眼画像処理と前記ステレオ画像処理の統合処理結果を使用して、前記監視対象の挙動を検知することを特徴とする請求項1に記載の不審者検知システム。
【請求項4】
前記検知手段は、
前記監視範囲内で、前記各カメラの撮像範囲が重なる監視領域において、前記単眼画像処理と前記ステレオ画像処理の統合処理結果を使用して前記監視対象の挙動を検知することを特徴とする請求項1に記載の不審者検知システム。
【請求項5】
前記判定手段は、
予め人の挙動情報に基づいて不審者の特徴をルール化した不審者識別機能を有し、前記不審者識別機能により、前記検知手段からの前記挙動情報を使用して前記監視対象が不審者であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の不審者検知システム。
【請求項6】
前記各画像処理手段からの画像処理結果を、前記各画像処理手段に対して相互に補完またはフィードバックして、前記各画像処理手段において算出した画像処理結果を異なるパラメータとして使用する画像処理演算を再実行させる制御手段を、更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の不審者検知システム。
【請求項7】
前記単眼画像処理手段は、前記監視対象の2次元位置情報を算出する手段、及び当該2次元位置情報を使用した前記監視対象の追跡処理を実行する手段を含み、
前記ステレオ画像処理手段は、前記監視対象の3次元位置情報を算出する手段、及び当該3次元位置情報を使用した前記監視対象の追跡処理を実行する手段を含み、
前記ステレオ画像処理手段により算出された前記3次元位置情報を前記単眼画像処理手段に供給して、前記単眼画像処理手段において、前記3次元位置情報を使用した前記監視対象の追跡処理を再実行させる制御手段を、更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の不審者検知システム。
【請求項8】
前記検知手段から出力される前記挙動情報に基づいて前記監視対象の行動分析処理を実行して、当該行動分析結果と実際に不審者であるか否かを示す情報とを使用して不審者の判定処理をルール化した学習情報を生成して、前記判定手段に反映させるための行動分析手段を、更に備えていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の不審者検知システム。
【請求項9】
前記判定手段の判定結果が不審者である場合に、発報処理を実行する手段を更に備えていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の不審者検知システム。
【請求項10】
監視範囲内の監視対象を撮影する複数のカメラを使用する不審者検知システムに適用する不審者検知方法であって、
前記各カメラから出力される映像を、異なる検出特性を有する単眼画像処理方法及びステレオ画像処理方法の複数の画像処理方法により画像処理するステップと、
前記各画像処理方法の画像処理結果のいずれか、あるいは当該各画像処理結果を統合した統合処理結果を使用して前記監視対象の挙動を検知するステップと、
前記監視対象の挙動を示す挙動情報に基づいて、前記監視対象が不審者であるか否かを判定するステップと
を有する手順を実行することを特徴とする不審者検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−79340(P2012−79340A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−283321(P2011−283321)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2007−62615(P2007−62615)の分割
【原出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】