説明

不織パネルおよびその作成方法

構造パネルおよび/または音響パネルおよび/または熱パネルを形成するための、不織材料ならびに使用済み混合アジア製ボール紙から不織材料を作成する方法が提供される。当該方法は、使用済み混合アジア製ボール紙を供給するステップと、ボール紙を所定の寸法の断片に粉砕するステップとを含む。さらに、縮小された寸法のボール紙の断片を熱接合可能な生地材料と混合させて、実質的に均質な混合物を形成し、乾式不織ウェブ処理において所定の厚さの混合物のウェブを形成する。その後、ウェブを加熱して熱接合可能な材料を縮小された寸法の混合アジア製ボール紙の断片に接合させ、不織材料を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2007年1月10日提出の米国仮出願連続番号第60/884,368号および2007年1月11日提出の米国仮出願連続番号第60/884,534号の権利を主張し、それらの全体を引用によって本明細書に援用する。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、概して不織パネルおよびそれらの作成方法に関し、特に、通常は再処理に好適でない廃棄物材料成分、特にアジア製のボール紙を含む混合物から少なくとも部分的に作成される音響パネル、熱パネルおよび/または構造パネルに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
不織布地および材料の製造に関連する費用を削減し、かつ環境に対する潜在的に負の効果を最小化するために、多くの民生品がリサイクルされた成分を使用して作成されている。たとえば、米国の自動車製造業者は、吸音材料および/または断熱材料を含む、さまざまな利用法を有する不織布地および材料を作成するのにリサイクル材料を使用している。吸音性の車両用パネルを作成するのに用いられる一部の回収材料またはリサイクル材料には、たとえば、綿、ポリエステル、ナイロン、またはリサイクル布地繊維の混紡などの布地再生毛糸が含まれる。綿再生毛糸は、混合されかつ縫われて不織布地を形成する未使用のまたはリサイクルされた布地スクラップからなる。油を吸収するために限られた基準で用いられるリサイクルされた標準的なボール紙用紙または繊維から作成される他の製品は、エコペーパー(Ecco paper)である。エコペーパーを作成する方法では、従来の湿式リサイクル技術を用いて標準的なボール紙繊維が分解され、リサイクルされたボール紙の成分結合材要素が廃棄物流に流れ込み、残りの繊維がさまざまな添加物と混合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
米国の商社および民生品製造業者、たとえば自動車用構成部品および相手先製品製造業者は、低級な「アジア製のボール紙」からなるボックスまたはコンテナにて中国および韓国などのさまざまなアジアの国からの多くの積荷を受取る。アジア製のボール紙は、予めリサイクルされた松材製ボール紙からの非常に短くかつ非常に微細な繊維と、竹および米繊維とでなる成分を有する。したがって、製紙処理によってアジア製のボール紙を紙、ボール紙または他の構造パネル製品にリサイクルしようとする試みは失敗しており、アジア製ボール紙の非常に微細な成分は、紙/ボール紙製造プロセスにおいてパルプを搬送するのに使用される篩または網目を通り抜け、結果として生じるリサイクル処理の廃棄物流によって環境に流れ込んでしまう。したがって、アジア製のボール紙は廃棄物であると典型的に考えられ、比較的高い労働コストにて標準的なボール紙から分類されて埋立地に送られる(分類の際、アジア製のボール紙は構造が比較的脆く色が薄茶または緑であるため、標準的なボール紙と容易に識別可能である)かまたは、1ベイルのリサイクルされたボール紙に5%を上回るアジア製のボール紙が混合されている場合はベイル全体が擦り落とされる。これも製品製造業者と環境とに比較的高いコストを生じさせる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
発明の一局面によれば、使用済み混合アジア製ボール紙から不織シート材料を作成する方法が提供される。シート材料は、構造パネルおよび/または音響パネルおよび/または熱パネルを形成するのに有用である。当該方法は、使用済み混合アジア製ボール紙を供給するステップと、ボール紙を所定の縮小された寸法の断片に粉砕するステップとを含む。さらに、縮小された寸法の断片を熱接合可能な生地材料と混合させて、実質的に均質な混合物を形成し、乾式不織ウェブ処理において所定の厚さの混合物のウェブを形成する。次に、ウェブを加熱して熱接合可能な材料を縮小された寸法の断片に接合させ、不織シートを形成する。
【0006】
本発明の別の局面によれば、音響パネルにおいて所定の定量的な音響ダンピング特性を与える方法が提供される。当該方法は、ボール紙材料をボール紙破片または「ニット」に粉砕するステップと、ポリマー材料(たとえばリサイクルされたポリプロピレンの屑)の破片を供給するステップと、乾式不織ウェブ処理においてボール紙破片をポリマー材料の破片に混合させることによってウェブを形成するステップとを含む。さらに、当該方法は、ウェブに混合されるボール紙破片の寸法およびウェブに混合されるボール紙破片の重量%を制御するステップを含む。次に、ウェブを加熱し、ポリマー破片をボール紙破片に接合させる。
【0007】
本発明のさらに別の局面によれば、構造不織製品が提供される。当該構造不織製品は、より熱接合可能な生地材料と、粉砕されたボール紙材料とを含む。ボール紙材料は、熱接合可能な生地材料と接合されて構造不織製品を構成する。
【0008】
本発明のさらに別の局面によれば、回収されたボール紙から車両用部品を製造する方法が提供される。当該方法は、商品の積荷をボール紙コンテナで受取るステップと、ボール紙コンテナの少なくとも一部分を回収するステップとを含む。次に、回収されたボール紙コンテナを乾いた繊維状態に研磨または細断することによって、回収されたボール紙コンテナを縮小し、縮小された回収ボール紙を結合材材料に混合させる。その後、混合された縮小回収ボール紙および結合材材料を成形して、車両用部品を形成する。
【0009】
したがって、本発明は、音響、熱または構造用途において使用するのに好適な不織パネルなどの不織パネルとそれらの作成方法とを提供することによって上記の制約を本明細書において克服する。選択された種類のボール紙材料をリサイクルし、かつそれらを熱接合可能な生地材料と混合して使用し、さまざまな用途、たとえば自動車において使用することができる不織音響パネル、熱パネルまたは他の構造パネルを生成することによる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のこれらおよび他の局面、特徴および利点は、現在好ましい実施形態およびベストモードについての以下の詳細な説明、添付の請求項および添付の図面と関連して考慮されると容易に理解されるであろう。
【図1】発明の現在好ましい一局面に従って作成される不織パネルの斜視図である。
【図2A】図1の不織パネルの拡大断面図であって、異なる重量%のパネル成分を示す図である。
【図2B】図1の不織パネルの拡大断面図であって、異なる重量%のパネル成分を示す図である。
【図3】発明の一局面に係る不織材料を作成する方法を示すプロセスフローチャートである。
【図4】本発明に従って作成された不織材料の吸音特性を示すグラフである。
【図5】本発明に従って作成された不織材料の吸音特性を示すグラフである。
【図6】本発明に従って作成された不織材料の吸音特性を示すグラフである。
【図7】本発明に従って作成された不織材料の吸音特性を示すグラフである。
【図8】本発明に従って作成された不織材料の吸音特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
現在好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照して、図1は、発明の一局面に従って作成された構造部材またはパネル10を示す。当該パネルは、任意の数の用途において使用されるように、たとえば自動車用部品などのために構成することができる。パネル10は、成形可能な構造部材を提供することができるだけでなく、ノイズダンピング特性または減衰特性を有し、したがって音響パネルとして機能するように製造することができる。さらに、パネル10は、たとえば排気システム付近または車両エンジン室内などの高温環境での使用を目的とする場合には、難燃性を有して作成することができる。パネル10は、混合されたアジア製ボール紙、充填材繊維および異相構造繊維から作成され、処理済みのボール紙材料が、低温熱接合可能生地繊維および/または他の好適な結合材材料によってパネル10の形態に接合されている。パネル10が使用済みのまたはリサイクルされたボール紙材料12から少なくとも部分的に作成されることで環境に恩恵がもたらされ、回収されたボール紙が埋立地に送られたり焼却されたりすることがない。
【0012】
混合されたリサイクルボール紙材料12は、アジア製(アジアの国、たとえば中国および韓国で一般に製造され、コネチカット州、ニューハンプシャー州およびマサチューセッツ州などの環境局では典型的にリサイクル不可能と見なされている粗悪なボール紙)と(松などの木材からなり米国では典型的な)標準的なボール紙材料との任意の混合物として供給され得る。リサイクル業者は典型的にアジア製ボール紙を5%しか「標準的なボール紙」に混合させないことから、本発明は、5%から100%のアジア製ボール紙によるリサイクルボール紙を焦点とする。この「標準」および「アジア製」混合物を以下「混合アジア製ボール紙」と称する。したがって、本発明の一局面に係る、車両用部品を製造するのに使用されるボール紙材料をリサイクルする方法によれば、アジア製ボール紙を含む粗悪で低級なボール紙材料を、米国で製造されたボール紙などのより高級なボール紙から分離することが不要となる。したがって、ボール紙製コンテナの標準的な高級ボール紙材料の積層物、束または混合物を、2種類のボール紙材料を互いに分離することなく、アジア製ボール紙と混合した状態で容易にリサイクルすることができる。混合されていようと100%アジア製であろうと、ボール紙の成分は、作成されるパネル10の所望の特徴に依存して、全ウェブ重量の約25〜99重量%であることが好ましい。一般には、「リサイクル」製品と見なされるには、新たな製品中におけるリサイクル材料は約25%必要とされる。
【0013】
アジア製ボール紙は、粗悪な成分要素、たとえば低品質なリサイクル繊維、竹繊維、ジュート、米繊維、および/または他のスクラップ/廃棄物材料などから構成されているため、低級でリサイクル不可能なボール紙であると見なされている。したがって、アジア製ボール紙は、そのままであろうと、ベイル化されるなどして回収された使用済みボール紙積荷に含まれていようと、深刻なリサイクル不可能な汚染物質であると典型的に見なされている。したがって、アジア製ボール紙が標準的な米国製ボール紙とともにベイル化されている場合、ベイルまたは積荷全体がリサイクル不可能な廃棄物(5%を上回るアジア製ボール紙成分を典型的に含む)であると典型的に見なされる。アジア製ボール紙は、その脆さと特徴的な薄茶色、黄色または緑色とによって、より高品質な米国製ボール紙と区別することができる。したがって、アジア製ボール紙は、より高品質な米国製ボール紙から典型的に分離され、埋立地に送られ、焼却されるなどして廃棄される。
【0014】
アジア製ボール紙がリサイクル不可能であるのは、アジア製ボール紙の作成において使用される、一般に非常に短くしたがって非常に弱い粗悪な繊維の成分要素に由来する。アジア製ボール紙の比較的微細な寸法の繊維と他の粉末状要素とに鑑みると、アジア製ボー
ル紙が繊維長が長い標準的なボール紙とともに公知の湿式リサイクル処理において処理される場合、アジア製ボール紙の構成要素は篩を通り抜け、廃棄物流に流され、および/または目詰まりするなどしてリサイクル機器に損傷を与える。したがって、本発明によれば、パネル10の作成は乾式処理で行なわれ、それにより製造の際に0.2ミリ未満の長さの繊維(「微粒」と称する)とともに粗悪なアジア製ボール紙を利用することが可能となる。
【0015】
熱接合可能な生地材料は、たとえば、ポリエチレン、PETまたはナイロンの繊維などの低融点ポリマー材料として供給され得る。融点を超えて加熱されるとたとえばポリプロピレンなどの外側被覆が溶融する熱可塑性異相構造繊維などの他の低融点ポリマー材料が使用され得ると認識すべきである。この溶融した樹脂は、存在するいずれかの生地繊維およびボール紙繊維の混合物と、リサイクルボール紙材料からの残りの結合材とに融合する。一例として、PET低融点繊維の外側部分の融点は、250℃で溶融する中心と比べて、ほぼ110℃〜180℃であり得る。当業者は、所望の結果を得るために低融点繊維の代わりに他のコーティングまたは充填材および充填材繊維を使用し得ることと、結合材と混合させてまたは結合材の代わりとして、熱接合可能な材料14を使用することができる(たとえば、生地の手触りを硬くするために結合材が使用される場合は、使用する低融点繊維を少なくしてもよい)こととを認識するであろう。Tgが+41℃であるSBRは、使用され得る結合材の一例である。さらに、熱接合可能な生地材料は、他の有機繊維または無機繊維と混合させることができ、および/または耐熱性コーティングもしくは難燃性(FR)コーティング(たとえば硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウムもしくはホウ酸)でコーティングすることができ、および/または熱接合可能な生地材料もしくはリサイクルボール紙材料の少なくとも一方の上において抗菌コーティング(たとえばポリフェーズ678、ロシマ(登録商標)200またはUF−15)でコーティングすることができる。これは、繊維化プロセスにおいて、FR処理を紙に施しかつ白カビ成長阻害剤(mildeweide)を付加するセルロース断熱材業界と同様である。
【0016】
発明の別の局面によれば、音響パネル、および/または熱パネル10を製造する方法が提供される。当該方法は、上記のように、たとえば自動車用部品製造業者などの製造業者に出荷された商品を運ぶコンテナからボール紙材料を回収することなどによって、回収またはリサイクルボール紙材料12を供給するステップを含む。次に、チョッピング、細断および/または研磨処理などにおいて、ボール紙材料12を所望の寸法の断片および/または乾燥した繊維状態に粉砕する。これらの断片は、混合アジア製ボール紙が使用される際には、ハンマーミル法を用いる際の3/32インチ〜1/2インチの篩寸法を用いて繊維化されることが意図される。これにより、吹込み用断熱材業界におけるのと同様の寸法の繊維およびそのニット(nit)が生じる。求められる特性、たとえば音響ダンピング特性または構造的特性に依存して、粉砕される断片またはニットの寸法を変更することができる。断片の寸法を変更することによってパネル10の吸音特性が変化することがわかっている。ハンマーミルを使用してボール紙を繊維化すると、ボール紙の粒度は、使用される篩の寸法によって決まる。この篩の寸法は、形成されるボール紙粒子またはニットの実際の寸法ではない。最も大きい断片の実際の寸法は、篩の寸法の半分により近い。しかし、ある分類寸法内におけるボール紙の多くはまた、篩の寸法の半分より小さく、粉塵に至るまでの寸法の(「微粒」とも称する)粒度を有する。各分類寸法におけるボール紙の質量の約2分の1は「大きな」断片であり(つまり篩の寸法の半分)、残りの半分は多くの粉塵を含む小さい方の断片である。図4に示すように、ボール紙を50%、低融点PETを30%、再生毛糸を20%含み、コーティングまたは結合材を含まない試験サンプルは、ボール紙の粒度と吸音値との間に相関性を示す。基本的に、「ニット」の寸法が小さければ、断熱材の吸音性が高くなる。生地製造プロセスは、どの寸法の粒子が最も効果的かつ現実的に流れるかについても考慮に入れなければならない。これにより、繊維化システムにおいて生じる大部分の「粉塵」の使用は、「粉塵を出す」という要件にマイナス効
果も及ぼし得るが環境の点では最良の選択肢であることに留意しながら、どの寸法の繊維ニットが用途に最もよく適合すると決定されるかに依存して、最終的なエアレイド(aid−laid)システムが変化し得る。ハンマーミルを用いるならば、篩はさまざまな方向に向けられ得る、または、円形、縦型もしくは横型を含むさまざまな形状を取り得る。摩砕された/ハンマーで粉砕された混合物が生地繊維と混合される場合には、生地繊維との混合を容易にするために毛羽立たせる。
【0017】
本発明の別の局面は、最終的なパネルの吸音曲線を個別化するために、パネルにおいて使用されるボール紙の割合を変化させるステップを含む。どの「充填材」繊維が使用されるかに依存して、ボール紙は吸音値を上昇させ得る、または最終的なパネルの吸音値を実際には低下させ得る。図5から図8は、繊維化された混合ボール紙の量が増大すると、異なる充填材繊維によって吸音曲線がどのように異なるかについての例を示す。充填材繊維について、ジュート、リサイクルカーペット、リサイクル再生毛糸およびリサイクル白色PET繊維がすべて使用された。これらの特定のテストにおいて、ボール紙の使用量は全パネル重量の25%および50%であった。これらのテストによれば、繊維化された混合アジア製ボール紙の割合が多いほど、ジュート、リサイクルカーペットおよびリサイクル再生毛糸についてテストされた周波数範囲内の吸音性が高まることがわかった。リサイクル白色PET繊維は、混合アジア製ボール紙をより多く加えると吸音性が低下することを示した。これにより、性能が低い繊維に多くの混合アジア製ボール紙を加えると吸収値が向上し、性能が高い繊維により多くの混合アジア製ボール紙を加えると不織布の吸収値が低下すると考えられる。しかしこれは、ニット/粉塵の寸法も吸収値に影響を及ぼすことから、確かな規則ではない。これらのテストでは、3/8インチで篩にかけたハンマーミル製品を使用した。何らかの予備テストによって、微粒を伴う高い割合のごく小さいニット混合アジア製ボール紙によって、PET繊維に比して吸音性が優れたパネルが生じ得ると考える根拠がある。ニットの寸法とともに、パネルにおいて使用される混合アジア製ボール紙の割合を変化させることによって、廃棄物流を減少させつつ、用途によって必要とされるいずれかの吸収曲線を有するようにパネルを設計することができる。
【0018】
ボール紙12のハンマーで粉砕された繊維および破片は、次にいずれかの所望のリサイクルされたまたは未使用の生地繊維と混合され、上記のように、低融点繊維14または他の結合材材料を含み得る。ボール紙12のハンマーで粉砕された繊維および破片の、生地繊維14に対する割合は、最終的なパネル10の約25〜99重量%(wt%)の間で変えることができる。低融点繊維14のリサイクルボール紙繊維12に対する割合は、パネル10の利用目的に最もよく適合するように変えることができるが、低融点繊維14がある場合は、概してパネル10の約5%〜45重量%の間となるように供給される。
【0019】
混合物は次に、たとえばランドーマシーン(Rando machine)で行なわれ得る不織ウェブ処理に供される。ウェブ処理によって、均質に混合された繊維/紙マットまたはウェブが形成される。ボール紙12の繊維はランダムに配向される。ウェブは次に熱接合炉に通されて低融点繊維を溶融させるかまたは、利用目的のために所望であれば、ウェブをニードル織機に供給して針穿孔を行うことができる。ウェブをいずれかの好適な炉に送り込むもしくは炉を通過させることによって、または1つ以上の加熱ローラを介して供給することによって行なわれ得る。その結果得られるウェブは、加熱後に冷却ローラの間を通過させて、その厚さおよび密度を制御し得る。ウェブを針穿孔する場合には、ボール紙繊維または断片のいずれかが針上に蓄積するのを防ぐために、引裂抵抗を有する薄い不織布またはスクリム層をウェブの一方もしくは両側に貼付けてもよい。これは、針上にボール紙が蓄積するのは望ましくなく、針が折れる場合があるためである。スクリム層は「ネット」としても機能し、粉塵がウェブから放出されるのを抑える。リーメイ(登録商標)布地は、この目的で使用することができるスクリムの一例である。布地のスクリムまたは保護層は追加的にウェブに強度を付加し、ウェブ処理を容易にし得る。ウェブは、
すべての繊維および紙を適所にさらに結合させかつ粉塵が形成されることを防ぐ結合材でコーティングすることもできる(SBR、アクリル製またはラテックス結合材が、使用することができる結合材の一部の例である)。引火遅延添加剤をコーティングに付加することもできる。結合材を加えた後、好ましくは乾燥させ硬化させる。
【0020】
次にウェブを巻上げるかまたは所望の長さに切断することができる。切断装置または類似の装置を使用して、ロール/シートを、繊維製品の用途によって要求されるとおりにパネルもしくは部品に分離することができる。
【0021】
結果として得られる不織繊維パネル10は、一方もしくは両側に取付けられたもしくは接合された薄い不織布地またはスクリム層を有し得る、またはスクリム層は不織繊維パネル10の層同士の間に挟まれ得る。スクリム層は好適な耐熱接着剤、スクリム内の繊維の低融点混合物を用いて接合することができる、またはステッチボンディングによって取付けられ得る。
【0022】
本発明に従って作成された不織パネル10は、自動車の音響パネルおよび熱パネルを含むさまざまな用途において使用するのに好適である。このような用途は、より具体的には、完成した室内パネルと、天井材、サイドドアパネル、トランクを含む車の鋼材との間、およびカーペット下の音響パネルを含む。熱用途は、たとえば、排気システム部品付近またはエンジン室内などにおける反射層を加えた熱シールドを含む。
【0023】
本発明の多くの修正および変更が上記の教示に鑑みて可能である。したがって、具体的に説明した以外の方法で本発明を実施し得ることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み混合アジア製ボール紙から不織シート材料を作成する方法であって、前記シート材料は、構造パネルおよび/または音響パネルおよび/または熱パネルを形成するのに有用であり、前記方法は、
使用済み混合アジア製ボール紙を供給するステップと、
前記ボール紙を所定の縮小された寸法の断片に粉砕するステップと、
前記縮小された寸法の断片を熱接合可能な生地材料と混合させて、実質的に均質な混合物を形成するステップと、
乾式不織ウェブ処理において所定の厚さの前記混合物のウェブを形成するステップと、
前記ウェブを加熱して前記熱接合可能な材料を前記縮小された寸法の断片に接合させ、前記不織シートを形成するステップとを含む、方法。
【請求項2】
少なくとも5%から100%までのアジア製ボール紙を有する前記ボール紙の少なくとも一部分を供給するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも25%のアジア製ボール紙を有する前記ボール紙を供給するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
縮小された寸法の断片の寸法を粉砕中に制御して、前記不織シート材料において所望の吸音特性を得るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
充填材繊維を均質な混合物に混合させ、熱接合可能な生地材料および充填材繊維に対する回収ボール紙の百分率含有量を制御して、前記不織シート材料において所望の音響性能特性を得るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱接合可能な生地材料をポリマー材料として供給するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
加熱されたローラを使用して加熱ステップを行なうステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
エアレイド機械を使用してウェブ形成ステップを行うステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱ステップの前に前記ウェブを針穿孔するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物に引火遅延成分を付加するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記混合物に抗菌成分を付加するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物に結合材成分を付加するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
加熱ステップ後に冷却ローラの間に前記不織シートを通過させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
熱接合可能な生地材料と、
リサイクルされた使用済みアジア製ボール紙とを備え、前記リサイクルボール紙材料は前記熱接合可能な生地材料に接合される、不織車両用パネル。
【請求項15】
前記アジア製ボール紙材料は、前記車両用パネルの少なくとも5重量%を構成する、請求項14に記載の車両用パネル。
【請求項16】
前記アジア製ボール紙材料は、前記車両用パネルの少なくとも25重量%を構成する、請求項15に記載の車両用パネル。
【請求項17】
前記熱接合可能な生地材料または前記リサイクル使用済みアジア製ボール紙材料の少なくとも一方上において、引火遅延コーティングをさらに備える、請求項14に記載の車両用パネル。
【請求項18】
前記熱接合可能な生地材料または前記リサイクル使用済みアジア製ボール紙材料の少なくとも一方上において、抗菌コーティングをさらに備える、請求項14に記載の車両用パネル。
【請求項19】
前記熱接合可能な生地材料はPETである、請求項14に記載の車両用パネル。
【請求項20】
音響パネルにおいて所定の定量的な音響ダンピング特性を与える方法であって、
ボール紙材料をボール紙破片に粉砕するステップと、
ポリマー材料の破片を供給するステップと、
乾式不織ウェブ処理において前記ボール紙破片をポリマー材料の前記破片に混合させることによってウェブを形成するステップと、前記ウェブに混合される前記ボール紙破片の寸法および前記ウェブに混合される前記ボール紙破片の重量%を制御するステップと、
前記ウェブを加熱し、前記ポリマー破片を前記ボール紙破片に接合させるステップとを含む、方法。
【請求項21】
前記ウェブに混合される前記ボール紙破片の寸法を、長さ約1ミリから12.5ミリの間となるように制御するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリマー材料としてPET、PPまたはPEを供給するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
使用済みアジア製ボール紙として前記ボール紙材料の前記少なくとも5重量%を供給するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記ボール紙材料の重量%を、前記音響パネルの約25から99重量%の間に制御するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
構造不織製品であって、
熱接合可能な生地材料と、
リサイクルされた使用済み混合アジア製ボール紙材料とを備え、前記リサイクルされたボール紙材料は前記熱接合可能な生地材料と接合されている、構造不織製品。
【請求項26】
前記混合アジア製ボール紙材料は、前記構造パネルの少なくとも25重量%を構成する、請求項25に記載の構造パネル。
【請求項27】
回収されたボール紙から車両用部品を製造する方法であって、
商品の積荷をボール紙コンテナで受取るステップを含み、前記ボール紙コンテナの少なくとも一部は湿式リサイクル処理でリサイクル可能な第1の種類の材料として作成され、前記ボール紙コンテナの少なくとも一部は、湿式リサイクル処理でリサイクル不可能な第
2の種類の材料として作成され、さらに、
共同の収集場所において前記ボール紙コンテナを相互に混合するステップと、
第1の種類の材料を第2の種類の材料から分離することなく、混合されたボール紙コンテナの少なくとも一部分を収集場所からランダムに回収するステップと、
回収されたボール紙コンテナを乾いた繊維状態に研磨または細断することによって、回収されたボール紙コンテナを乾式縮小処理において縮小するステップと、
縮小された回収ボール紙を繊維材料および低融点結合材材料に混合させるステップと、
混合された縮小回収ボール紙、繊維材料および結合材材料を加熱および成形して、車両用部品を形成するステップとを含む、方法。
【請求項28】
アジア製ボール紙コンテナと非アジア製ボール紙コンテナとの両方にて商品の積荷を受取り、前記アジア製ボール紙コンテナと前記非アジア製ボール紙とを互いに分離することなく、前記アジア製ボール紙コンテナおよび非アジア製ボール紙の少なくとも一部を回収するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
縮小するステップ中に前記回収ボール紙コンテナのいずれかの成分結合材を保持し、前記成分結合材を車両用部品に組込むステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記アジア製ボール紙コンテナは、前記回収ボール紙コンテナの少なくとも5重量%を構成する、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−531392(P2010−531392A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545670(P2009−545670)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/050698
【国際公開番号】WO2008/086458
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(503170721)フェデラル−モーグル パワートレイン インコーポレイテッド (32)
【氏名又は名称原語表記】Federal−Mogul Powertrain, Inc.
【住所又は居所原語表記】26555 Northwestern Highway, Southfield, Michigan 48034, U.S.A.
【Fターム(参考)】