説明

不飽和基含有化合物の製造方法および不飽和基化合物を含む樹脂溶液

【課題】 析出物の発生を抑制することができる不飽和基含有化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】 エポキシアクリレートと酸無水物とを溶剤中にて反応させて得られる不飽和基含有化合物の製造方法において、上記溶剤は、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含む。上記ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、下記式(1)
−O−C2n−O−C2n−OH (1)
(ここで、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基、またはアリール基を示し、nは2〜5の整数を示す)
で表される溶剤が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和基含有化合物の製造方法、および不飽和基含有化合物溶液に関する。特に、ブラックマトリクスやカラーフィルタを形成するための感光性組成物に好適な不飽和基含有化合物の製造方法、および該不飽和基含有化合物を含む樹脂溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネル、特にTN方式、STN方式等の液晶パネルには、画像のコントラストを強調するためのブラックマトリクスや一般に赤(R)、緑(G)、青(B)の各色からなるRGBの着色層が形成されたカラーフィルタを備えている。このブラックマトリクスや着色層は、黒色または各色の着色剤、不飽和基含有化合物を含む感光性組成物を基板に塗布し、乾燥した後、得られた塗膜を露光、現像し、所望のパターンを形成することの繰り返しにより形成される。上記不飽和基含有化合物として好ましいものとしては、例えば、特許文献1,2に記載されているものが挙げられる。
ところで、上記感光性組成物を基板に塗布する際には、基板上に異物が発生するという問題が生じている。この異物は、ブラックマトリクスおよび/またはカラーフィルタの欠陥となり、製品として使用できなくなってしまうという問題が発生している。
上記異物は、不飽和基含有化合物の製造時に生じる析出物のために発生する。この析出物は、上記不飽和基含有化合物の溶剤への溶解性が悪いことに起因する反応残分等であると考えられる。
【特許文献1】特開平5−339356号
【特許文献2】特開2001−354735
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、析出物の発生を抑制することができる不飽和基含有化合物の製造方法、および不飽和基含有化合物を含む樹脂溶液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の不飽和基含有化合物の製造方法は、エポキシアクリレートと酸無水物とを溶剤中にて反応させて得られる不飽和基含有化合物の製造方法であって
前記溶剤は、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含むことを特徴としている。
上記ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、下記式(1)
−O−C2n−O−C2n−OH (1)
(ここで、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基、またはアリール基を示し、nは2〜5の整数を示す)
で表される溶剤が好ましい。
また、本発明の樹脂溶液は、エポキシアクリレートと酸無水物とを反応させて得られる不飽和基含有化合物を含む樹脂溶液であって、溶剤として、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
上記の不飽和機含有化合物の製造方法によれば、不飽和基含有化合物における析出物の発生を抑制することができる。したがって、この不飽和基含有化合物を用いることにより、塗布時、特にスリットノズルを用いた塗布法による塗布時に、異物の発生を抑制することができる。これにより、品質の高いブラックマトリクスおよびカラーフィルタを提供でき、ひいては品質の高い液晶パネルを提供することができる。
また、上記樹脂溶液によれば、エポキシアクリレートと酸無水物とを反応させて得られる不飽和基含有化合物のジアルキレングリコールモノアルキルエーテルに対する溶解性が高く、析出物等の発生を抑制することができる。したがって、この樹脂溶液を用いることにより、塗布時、特にスリットノズルを用いた塗布法による塗布時に、異物の発生を抑制することができる。これにより、品質の高いブラックマトリクスおよびカラーフィルタを提供でき、ひいては品質の高い液晶パネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の不飽和基含有化合物の製造方法は、エポキシアクリレートと酸無水物とを溶剤中にて反応させて得られる不飽和基含有化合物の製造方法であって、溶剤はジアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含むことを特徴としている。
【0007】
上記溶剤は、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルを必須成分として含んでいる。
上記ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等が挙げられる。また、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルの異性体も含まれることとする。
【0008】
このジアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、下記式(1)
−O−C2n−O−C2n−OH (1)
(ここで、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐鎖あるいは環状アルキル基、またはアリール基を示し、nは2〜5の整数を示す)
で表される溶剤が好ましい。
としては、特に、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基が好ましく、炭素数1〜4の直鎖状アルキル基がより好ましい。さらに、nは2または3であることが好ましい。
上記の溶剤の中でも、特に、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
【0009】
また、上記ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル以外の溶剤と混合してもよい。
該溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート(MBA)、4−メトキシブチルアセテート、2−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート(EEP)、エチル−3−プロポキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート、イソプロピル−3−メトキシプロピオネート、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸エチルヘキシル、ベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等を挙げることができる。これら溶剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中で好ましいものとしては、製造される不飽和基含有化合物を後にカラーフィルタやブラックマトリクスを形成するための感光性組成物に用いるための性能(感光性組成物の塗布性の改善、保存安定性)ことを考慮して、3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチル−3−エトキシプロピオネートが挙げられる。特に経時安定性の点で、3−メトキシブチルアセテートを含むことが好ましい。
また、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、反応溶剤中1〜95質量%含まれることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
さらに、3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチル−3−エトキシプロピオネートは、それぞれ反応溶剤中15〜85質量%含まれることが好ましい。
【0010】
上記エポキシアクリレートは、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸との反応生成物である。
【0011】
上記エポキシアクリレートとしては、上記エポキシ化合物と、不飽和モノカルボン酸として好ましいアクリル酸あるいはメタクリル酸とを反応させたものが挙げられ、下記式(i)
【化9】

(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、ハロゲン原子を示し、Wは単結合、−CO−、−SO−、−C(CF−、−Si(CH−、−CH−、−C(CH−、−O−、または
【化10】

を表す。
このエポキシ化合物は、下記ビスフェノール成分の誘導体が挙げられる。
Wとして単結合のものとしては4,4’−ビフェノール、3,3’−ビフェノール等、
Wとして−CO−を含むビスフェノール成分としてはビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ケトン等、Wとして−SO−を含むビスフェノール成分としてはビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)スルホン等、
Wとして−C(CF−を含むものとしてはビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン等から、また、Wとして−Si(CH−を含むものとしてはビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ジメチルシラン等、
Wとして−CH−を含むものとしてはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン等、
Wとして−C(CH−を含むものとしては2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン等、
Wとして−O−を含むものとしてはビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)エーテル等、
また、Wとして
【化11】

を含むものとしては9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等、から誘導されるものを挙げることができる。
【0012】
ここで、式(i)で表されるエポキシアクリレートは、下記式(ii)
【化12】

で表されるエポキシ基を有するエポキシ化合物に常法に従い、アクリル酸またはメタクリル酸を反応させて合成することができる。この式(ii)で表されるエポキシ化合物は、例えば、ビスフェノール化合物(上記ビスフェノール成分に相当する)にエピクロルヒドリンなどのエピハロヒドリンを反応させることにより容易に得ることができる。
【0013】
これらエポキシアクリレートとして特に好ましいものとしては、例えば、下記式(ia)
【化13】

の化合物(9,9−ビス[4−{(2−ヒドロキシ−3−アクリロキシ)プロポキシエトキシ}フェニル]フルオレン)が挙げられる。
【0014】
ここで、本願の不飽和基含有化合物の製造方法について、下記式(I)
【化14】

(式中、Xは下記式
【化15】

で表される基、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、ハロゲン原子を表し、Rはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Wは単結合、−CO−、−SO−、−C(CF−、−Si(CH−、−CH−、−C(CH−、−O−、または
【化16】

を表し、Yはジカルボン酸無水物の酸無水物基を除いた残基、Zはテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基を除いた残基であり、mは0〜20の整数である)
で表される不飽和基含有化合物を例にして説明する。
まず、上記式(i)で表されるエポキシアクリレートに、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含む溶剤中において、下記式
【化17】

(ここで、Zはテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基を除いた残基である)
で表されるテトラカルボン酸二無水物を反応させ、次いで下記式
【化18】

(ここで、Yはジカルボン酸無水物の酸無水物基を除いた残基である)
で表されるジカルボン酸無水物を反応させる。
上記反応における反応温度としては、テトラカルボン酸二無水物及びジカルボン酸無水物とエポキシアクリレートにおける水酸基とが定量的に反応する温度であればよい。例えばテトラカルボン酸二無水物との反応においては、通常100〜130℃の範囲で選定され、ジカルボン酸無水物との反応においては、通常80〜120℃の範囲で選定される。
上記反応においてエポキシアクリレートにおける水酸基100モル部に対して、テトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸無水物における酸無水物基の合計が、60〜100モル部の割合になるように反応させることが好ましい。
酸無水物基の合計量を60モル部以上にすることにより、製造される不飽和基含有化合物の分子量を十分に増加させて高感度を得るのに必要な重合性二重結合を十分に導入することができる。
また、酸無水物基の合計量を100モル部以下にすることにより、分子量を十分に増加させて高感度に必要な重合性二重結合を十分導入することができる。さらに、未反応のテトラカルボン酸二無水物やジカルボン酸無水物を低減することができ、感光性組成物に用いた場合の現像性を向上させることができる。
上記テトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸無水物との割合は、モル比で、通常1:99〜99:1、好ましくは5:95〜80:20の範囲で選定される。ジカルボン酸無水物の割合が全酸無水物の1モル%以上にすることにより、樹脂粘度を適度にして作業性を高めることができる。また、分子量を大きくなりすぎるのを防止することができるため、感光性組成物に用いたときの未露光部の現像液に対する溶解性を向上させることができ、目的のパターンを形成することができる。また、ジカルボン酸無水物の割合が全酸無水物の99モル%未満にすることにより、分子量が小さくなるのを防止することができる。
【0015】
上記ジカルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸が挙げられる。また、上記テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。上記では、これらジカルボン酸無水物とテトラカルボン酸二無水物とを別々反応させたが、混合して用いてもよい。
【0016】
上記のように溶剤にジアルキレングリコールモノアルキルエーテルを用いることにより、反応に用いる各成分および反応生成物の溶剤への溶解性を向上させることができる。これにより、反応を均一に生じさせ、反応残分、エポキシアクリレート同士の反応物、高分子量成分等を減少させることができ、溶剤への析出物を低減することができるものと考えられる。
さらに、この製造方法により製造された不飽和基含有化合物(反応溶液をそのまま使用できる)を用いた感光性組成物は、8μm程度の細線を形成した場合の基板に対する密着性が高い。
このジアルキレングリコールモノアルキルエーテルの反応溶液における全溶剤に対する割合は、1〜100質量%が好ましく、2〜50質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
また、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含む溶剤中で反応させることにより、反応溶液をそのままカラーフィルタ、ブラックマトリクスを形成するための感光性組成物の材料として使用することができる。さらに、上記ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、上記のように反応に用いる各成分および反応生成物の溶剤への溶解性を向上させることができるため、本願に係る不飽和基含有化合物および溶剤としてジアルキレングリコールエーテルを含む樹脂溶液は、特にカラーフィルタ、ブラックマトリクスに用いられる感光性組成物を用いるのに好適である。この樹脂溶液におけるジアルキレングリコールモノアルキルエーテルの全溶剤に対する割合は、1〜100質量%が好ましく、2〜50質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
【0017】
上記のように感光性組成物を製造する場合には、上記反応溶液に、光重合開始剤を混合すればよい。また、本願に係る不飽和基含有化合物は、カラーフィルタ、ブラックマトリクスに用いる感光性組成物に好適に用いられ、この場合には、着色剤を配合すればよい。
【0018】
上記光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジンなどを挙げることができる。この光重合開始剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
また、上記光重合開始剤に、光開始助剤を組み合わせてもよい。
この光開始助剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。これら光開始助剤は、1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
上記感光性組成物には、紫外線等の光の照射を受けて重合し、硬化する光重合性化合物を配合してもよい。光重合性化合物としては、エチレン性二重結合を有する化合物が好ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、カルドエポキシジアクリレート等のモノマー、オリゴマー類;多価アルコール類と1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応して得られるポリエステル(メタ)アクリレート、ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応して得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールまたはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応して得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂などが挙げられる。さらに前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に多塩基酸無水物を反応させた樹脂も好適に使用できる。
【0021】
また、上記感光性組成物には、高分子バインダーを配合してもよい。
上記高分子バインダーとしては、現像の容易さからアルカリ現像が可能なバインダーが好ましい。
具体的には、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマーと、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−ブチルアクリレート、N−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリート、イソブチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシアクリレート、フェノキシメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリルなどとの共重合体、およびフェノールノボラック型エポキシアクリレート重合体、フェノールノボラック型エポキシメタクリレート重合体、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート重合体、クレゾールノボラック型エポキシメタクリレート重合体、ビスフェノールA型エポキシアクリレート重合体、ビスフェノールS型エポキシアクリレート重合体、などの樹脂が挙げられる。前記樹脂にはアクリロイル基またはメタクリロイル基が導入されているところから架橋効率が高められ塗膜の耐光性、耐薬品性が優れている。前記樹脂を構成するアクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマー成分の含有量は5〜40質量%の範囲がよい。この高分子バインダーの重量平均分子量の好ましい範囲は1,000〜100,000である。重量平均分子量が1,000以上にすることにより塗膜を均一にすることができる。また、100,000以下にすることにより現像性を良好にすることができる。
【0022】
本願に係る不飽和基含有化合物および光重合性化合物は、不飽和基含有化合物、光重合性化合物および光重合開始剤の合計100質量部中10〜60質量部の範囲で配合されるのがよい。前記配合量が10重量部以上にすることにより、塗布、乾燥時に膜を形成しやすくすることができ、硬化後の被膜強度を十分高めることができる。また、配合量が60重量部以下にすることにより、現像性を良好にすることができる。
さらに、上記不飽和基含有組成物と光重合性化合物との割合は、質量比で20:80〜100:0の範囲が好ましく、60:40〜95:5の範囲がより好ましい。上記の範囲にすることにより、光硬化不良を防止し、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができる。
【0023】
上記着色剤としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0024】
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様で番号のみ記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185;
【0025】
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様で番号のみ記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様で番号のみ記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
【0026】
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様で番号のみ記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
【0027】
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様で番号のみ記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
また、ブラックマトリクスを形成する場合には、着色剤として遮光剤を用いる。この遮光剤としては、遮光層としたときに十分な遮光率を有していれば特に限定されるものではなく、例えば黒色顔料が挙げられる。この黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、ペリレンブラック等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独で用いてもよいし、色調を整えるために2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
さらに、上記感光性組成物には、塗布性の改善、粘度調整のため、溶剤を配合してもよい。
該溶剤としては、例えば、上記ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート(MBA)、4−メトキシブチルアセテート、2−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチル−3−プロポキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート、イソプロピル−3−メトキシプロピオネート、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸エチルヘキシル、ベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等を挙げることができる。この中で、特に経時安定性の点で、3−メトキシブチルアセテートを含むことが好ましい。
溶剤の使用量は特に限定しないが、感光性組成物を基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。本発明における感光性組成物の粘度は、1〜100cp、好ましくは2〜50cp、より好ましくは2〜10cpである。また、固形分濃度は、5〜100質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
【0029】
また、本発明の感光性組成物には、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等を添加してもよい。これらは単独もしくは数種併用することも可能である。
上記熱重合禁止剤としては、従来公知のものであってよく、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられる。
上記消泡剤としては、従来公知のものであってよく、シリコーン系、フッ素系化合物が挙げられる。
上記界面活性剤としては、従来公知のものであってよく、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられる。
【0030】
<感光性組成物の調製方法>
本発明の感光性組成物は、以下の方法により調製することができる。
上記不飽和基含有化合物の反応溶液、および光重合開始剤、ならびに必要に応じて、着色剤、光重合性化合物、溶剤、その他の有機添加剤等を加えて3本ロールミル、ボールミル、サンドミル等の撹拌機で混合(分散・混練)し、例えば5μmメンブランフィルターで濾過して感光性組成物を調製する。
【0031】
<遮光層(ブラックマトリクス)の形成方法>
ここでは、感光性組成物を用いて遮光層を形成する方法の一実施形態として、ブラックマトリクスを形成する方法の例を説明する。
まず着色剤として遮光剤を用いた感光性組成物を、基板上にロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ、スリットノズルで塗布するノンスピンコータ等の非接触型塗布装置を用いて塗布する。基板は、光透過性を有する基板が用いられ、例えばガラス基板である。
上記感光性組成物の塗布後、乾燥させて溶剤を除去する。
次いで、ネガ型のマスクを介して、紫外線、エキシマレーザー光等の活性性エネルギー線を照射して部分的に露光する。露光には高圧水銀燈、超高圧水銀燈、キセノンランプ、カーボンアーク燈等の紫外線を発する光源を用いることができる。照射するエネルギー線量は、感光性組成物の組成によっても異なるが、例えば30〜2000mJ/cm程度が好ましい。
露光後の膜を、現像液を用いて現像することによってブラックマトリクスを形成する。現像方法は特に限定されず、例えば浸漬法、スプレー法等を用いることができる。またプリウエットを採用してもよい。画像形成後現像液の乾燥、レジスト膜の硬化を高める目的でポストベーク、後光硬化等を採用してもよい。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
【0032】
<カラーフィルタの形成方法>
上記のブラックマトリクスを形成した基板に対して、感光性組成物を上記と同様に塗布、乾燥、露光、現像して所定の色の着色層を、ブラックマトリクスの所定の位置(開口部)にパターン(ストライプまたはドット等)が形成されるようにする。例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のRGBのカラーフィルタを製造する場合には、R,G,Bの各色の着色剤を含有する感光性組成物を用いて、前記工程を繰り返し、3色の着色層を形成する。
以上より、カラーフィルタを形成することができる。
【0033】
また、着色剤を用いない場合についても、ブラックマトリクス、カラーフィルタと同様にしてパターンを形成することができる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
エポキシアクリレートとして9,9−ビス[4−{(2−ヒドロキシ−3−アクリロキシ)プロポキシエトキシ}フェニル]フルオレン100gを、溶剤として3−メトキシブチルアセテート90gおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテル10gに溶解したのち、酸無水物として1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸40gおよびベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物20g、ならびに臭化テトラエチルアンモニウム0.5gを加えて混合し、昇温して115℃で2時間反応させ、不飽和基含有化合物(反応溶液)を得た。
【0036】
(実施例2)
実施例1において、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90gおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテル10gを用いた以外は同様にして、不飽和基含有化合物(反応溶液)を得た。
【0037】
(実施例3)
実施例1において、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート95gおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテル5gを用いた以外は同様にして、不飽和基含有化合物(反応溶液)を得た。
【0038】
(実施例4)
実施例1において、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70gおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテル30gを用いた以外は同様にして、不飽和基含有化合物(反応溶液)を得た。
【0039】
(実施例5)
実施例1において、溶剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル100gを用いた以外は同様にして、不飽和基含有化合物(反応溶液)を得た。
【0040】
(実施例6)
実施例1において、溶剤としてエチル−3−エトキシプロピオネート90gおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテル10gを用いた以外は同様にして、不飽和基含有化合物(反応溶液)を得た。
【0041】
(比較例1)
実施例1において、溶剤として3−メトキシブチルアセテートを100g用いた以外は同様にして、不飽和基含有化合物(反応溶液)を得た。
【0042】
(比較例2)
実施例1において、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを100g用いた以外は同様にして、不飽和基含有化合物(反応溶液)を得た。
【0043】
(比較例3)
実施例1において、溶剤としてエチル−3−エトキシプロピオネートを100g用いた以外は同様にして、不飽和基含有化合物(反応溶液)を得た。
【0044】
上記実施例1〜6および比較例1〜3で得られた反応溶液を、反応溶剤にて10倍に希釈したのち、目視にて析出物の有無を確認した。その結果を表1に示す。
この析出物をゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定したところ、分子量3000ー(ポリスチレン換算平均質量分子量)以上の高分子量成分が多く含まれていた。
【表1】

【0045】
(実施例7〜12および比較例4〜6)
それぞれ実施例1〜6および比較例1〜3で得られた反応溶液20g、光重合性化合物としてペンタエリスリトールテトラアクリレート5g、光重合開始剤としてイルガキュア369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン:チバスペシャルティケミカル社製)0.5gおよびCGI242(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム):チバスペシャルティケミカル社製)0.5g、着色剤としてカーボン分散液CFブラック(カーボン濃度20%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート、御国色素製)、および溶剤として3−メトキシブチルアセテートを混合し、感光性組成物を調製した。
【0046】
上記調製した感光性組成物を厚さ1mmの清浄な表面を有するガラス基板上にリバースコーター(ラウンドコーター:大日本スクリーン社製)を用いて乾燥膜厚が1.5μmとなるように塗布し、80℃で1分間乾燥して感光層を形成した。次いで感光層にネガマスクを介して紫外線を選択的に照射した(露光量:100mJ、120mJ)のち、0.5重量%炭酸ナトリウム水溶液で25℃、60秒間スプレー現像し、8μmの細線パターンを形成し、細線パターンのガラス基板への密着性を確認した。密着性の高い(剥がれのない)ものを○、密着性の低い(剥がれがある)×とした。その結果を表2に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
上記のように、実施例7〜12では、露光量100mJにおいても密着性が高いことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシアクリレートと酸無水物とを溶剤中にて反応させて得られる不飽和基含有化合物の製造方法において
上記溶剤は、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含むことを特徴とする不飽和基含有化合物の製造方法。
【請求項2】
上記ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、下記式(1)
−O−C2n−O−C2n−OH (1)
(ここで、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基、またはアリール基を示し、nは2〜5の整数を示す)
で表される溶剤であることを特徴とする請求項1に記載の不飽和基含有化合物の製造方法。
【請求項3】
上記Rは、炭素数1〜4の直鎖状アルキルであることを特徴とする請求項2に記載の不飽和基含有化合物の製造方法。
【請求項4】
nは2または3であることを特徴とする請求項2または3に記載の不飽和基含有化合物の製造方法。
【請求項5】
上記ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルであることを特徴とする請求項1に記載の不飽和基含有化合物の製造方法。
【請求項6】
下記式(I)
【化1】

(式中、Xは下記式
【化2】

で表される基、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、ハロゲン原子を表し、Rはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Wは単結合、−CO−、−SO−、−C(CF−、−Si(CH−、−CH−、−C(CH−、−O−、または
【化3】

を表し、Yはジカルボン酸無水物の酸無水物基を除いた残基、Zはテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基を除いた残基であり、mは0〜20の整数である)
で表される前記不飽和基含有化合物の製造方法であって、
下記式(i)
【化4】

で表されるエポキシアクリレートに、下記式
【化5】

(ここで、Zはテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基を除いた残基である)
で表されるテトラカルボン酸二無水物を反応させ、次いで下記式
【化6】

(ここで、Yはジカルボン酸無水物の酸無水物基を除いた残基である)
で表されるジカルボン酸無水物を反応させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の不飽和基含有化合物の製造方法。
【請求項7】
エポキシアクリレートと酸無水物とを反応させて得られる不飽和基含有化合物を含む樹脂溶液であって、
溶剤として、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルを含むことを特徴とする樹脂溶液。
【請求項8】
上記ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、下記式(1)
−O−C2n−O−C2n−OH (1)
(ここで、Rは、炭素数1〜8の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキル基、またはアリール基を示し、nは2〜5の整数を示す)
で表される溶剤であることを特徴とする請求項6に記載の樹脂溶液。
【請求項9】
上記Rは、炭素数1〜4の直鎖状アルキルであることを特徴とする請求項7に記載の樹脂溶液。
【請求項10】
nは2または3であることを特徴とする請求項7または8に記載の樹脂溶液。
【請求項11】
上記ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルであることを特徴とする請求項6に記載の樹脂溶液。
【請求項12】
上記ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、全溶剤中5中1〜50質量%であることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の樹脂溶液。
【請求項13】
前記不飽和基含有化合物は、下記式
【化7】

(式中、Xは下記式
【化8】

で表される基、Yはジカルボン酸無水物の酸無水物基を除いた残基、Zはテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基を除いた残基であり、mは0〜20の整数である)
で表されることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の樹脂溶液。

【公開番号】特開2007−45925(P2007−45925A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231438(P2005−231438)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】