説明

並列流熱交換器及びヒートポンプ装置

【課題】並列流熱交換器における冷媒の不均等分配を改善することを目的とする。
【解決手段】並列流熱交換器100は、互いに並行に配置され、冷媒が流れる複数のチャネル13a〜13hと、複数のチャネル13a〜13hの一方の側の端部に接続される流入ヘッダ11と、複数のチャネル13a〜13hの他方の側の端部に接続される流入ヘッダ12と、複数のチャネル13a〜13hのそれぞれに対応して設けられたフィン22a〜21hとを備えた。ここで、フィンは、熱伝達量が、他の冷媒管対応フィンと異なる。チャネル13hに対応して設けられたフィン22hの熱伝達量は、チャネル13aに対応して設けられたフィン22aの熱伝達量よりも大きい。具体的には、フィン22aよりもフィン22hのフィン密度を大きくすることで、フィン22hの熱伝達量をフィン22aよりも大きくしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は空気調和機や冷凍システムに用いられる並列流熱交換器に係るものである。
【背景技術】
【0002】
並列流熱交換器は、空調、冷凍産業に広く用いられている。並列流熱交換器は、複数の並列チャネルを有する。一般的には、冷媒は流入ヘッダに流入した後、流入ヘッダ内での冷媒流動方向と垂直な方向へと、複数のチャネルの各流入口から流入する。ここで、冷凍システムの蒸発器内での冷媒分配の不均等は良く知られている現象である。冷媒分配の不均等は、幅広い作動条件に亘って蒸発器性能およびシステム性能を低下させる。
冷媒分配の不均等は、
(1)複数の蒸発器チャネル内における流動抵抗の差、
(2)伝熱外表面における空気流量分布の不均等、
(3)不適切な熱交換器の向き、
(4)不適切な分配機構の設計、
などに起因することがある。このような冷媒分配の悪化は、並列流蒸発器の場合に特に顕著である。並列流熱交換器の性能に対するこのような現象の影響を低減させるためにトライした例はいままで多数あるが、提案された技術の複雑さや非効率性、高コストの理由などから、成功した例はない。
【0003】
近年、並列流熱交換器、ロウ付けアルミ熱交換器が大きく注目されている。並列流熱交換器が注目される主な理由は、優れた性能、高コンパクト化、改善された耐腐食性などが挙げられる。並列流熱交換器は、冷凍及び空調関連の製品の、凝縮器あるいは蒸発器として応用されており、特に蒸発器としての応用が期待されている。冷媒の不均等分配は、並列流熱交換器を蒸発器として応用する技術において、最も重要な課題である。
【0004】
並列流熱交換器での冷媒の不均等分配は、
(1)複数のチャネル内部での圧力損失の差、
(2)流入ヘッダ、流出ヘッダでの圧力損失の差、
(3)不適切な分配機構の設計、
などにより発生する。ヘッダ内では、冷媒チャネルの距離の差、相分離、重力などが冷媒の不均等分配の主な因子である。熱交換器部内では、熱伝達率の差、空気流量の分布、製造ばらつき、重力などが冷媒の不均等分配の支配的な因子である。さらに、最近は、熱交換器の性能向上は冷媒チャネルの小型化を可能にしているため、冷媒の分配性能は逆に悪くなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−050685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
並列流熱交換器を用いる冷媒システムにおいて、ヘッダは一般的に円筒形である。流入ヘッダに入った冷媒二相流は、一般的に気液の両相が分離して独立的に流動するため、冷媒分配の不均等が発生する傾向がある。
【0007】
二相流が比較的に早い速度でヘッダに流入する場合には、液相(液滴)冷媒は運動量が大きいため、ヘッダ入口から遠い所に運ばれる。従って、ヘッダ入口から近いチャネルに
は主に気相冷媒が流入し、ヘッダ入口から遠いチャネルには主に液相冷媒が流入する。
【0008】
一方、ヘッダに流入する二相流の速度が比較的に遅い場合には、ヘッダ入口から遠い所に液相冷媒を運ぶ運動量がないため、液相冷媒はヘッダ入口から近いチャネルに流入する一方、気相冷媒は遠いチャネルに流入する。
【0009】
また、流入ヘッダ内の気・液冷媒の両相は重力により分離される事もあり、これも不均等分配の原因の一つとなる。
【0010】
このような冷媒不均等分配は、蒸発器およびシステム性能を低下させる。されに冷媒の不均等分配は、チャネル出口、結果的に圧縮機吸入部での冷媒を二相状態とし、液圧縮の可能性を増大させる。
【0011】
この発明は、並列流熱交換器における冷媒の不均等分配を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の並列流熱交換器は、
互いに略並行に配置され、冷媒が流れる複数の冷媒管と、
前記複数の冷媒管の一方の側の端部に接続される第1ヘッダと、
前記複数の冷媒管の他方の側の端部に接続される第2ヘッダと、
前記複数の冷媒管のうち、少なくとも2つ以上の前記冷媒管のそれぞれに対応して設けられた冷媒管対応フィンと
を備え、
それぞれの前記冷媒管対応フィンのうち少なくとも一つは、
熱伝達量が、他の前記冷媒管対応フィンと異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明により、並列流熱交換器における冷媒の不均等分配を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1の並列流熱交換器100の概略図。
【図2】実施の形態1のフィン密度の異なる複数チャネルを示す図。
【図3】実施の形態1のフィン密度の異なる複数チャネルを示す別の図。
【図4】実施の形態1のスクロールファンを備えた並列流熱交換器100の概略図。
【図5】実施の形態1のスクロールファンを備えた並列流熱交換器100の別の概略図。
【図6】実施の形態1のスクロールファン及びルーバーを備えた並列流熱交換器100の概略図。
【図7】実施の形態1のスクロールファン及びルーバーを備えた並列流熱交換器100の別の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の、並列流熱交換器100の概略の外観図である。以下では、並列流熱交換器100は、蒸発器を想定して説明する。
【0016】
図1に示すように、並列流熱交換器100は、流入ヘッダ11(第1ヘッダ)、流出ヘッダ12(第2ヘッダ)、流入ヘッダ11及び流出ヘッダ12に接続し、略並列に配置された複数のチャネル13a〜13h(冷媒管)、及び各チャネルに対応して設けられたフィン15a〜15h(冷媒管対応フィン)を備える。例えばチャネル13aにはフィン15aが対応する。特に区別をする必要が無い場合にはチャネル13、フィン15のように
記載する。それぞれのフィン15は、対応するチャネル13の長手方向に向かって形成されている。また図1には、チャネル13aのチャネル入口14aを示した。チャネル13b〜13hも同様にチャネル入口14b〜14hを有するが、図1では図示を省略した。また流入ヘッダ11の下部に設けらた流入ヘッダ入口11Aから、冷媒30が流入する。なお矢印Xは「X方向矢視」(後述の図4〜図7)を示す。
【0017】
一般的に、流入ヘッダ11及び流出ヘッダ12は、いずれも円筒形状である。また、チャネル13は、多数の流路孔があけられた、「多孔の扁平管もしくは多孔の丸状チューブ」(マイクロチャネルと呼ばれる場合がある)である。チャネル13は、内・外伝熱促進エレメントとしてフィン15を有する。フィン15は伝熱を促進するために配置され(従来では均等に配置される)、チャネル13にロウ付けされる。
【0018】
冷媒の二相流は流入ヘッダ11に流入し、複数のチャネル入口14a〜14hに液、ガス、もしくは気液の混合物の形で入る。そして、冷媒30は、チャネル13a〜13hを通過した後、流出ヘッダ12に入る。流出ヘッダ12を出た冷媒30は、一般的にガスの形で圧縮機に流入する。チャネル13の外側では、ファン(図1には図示していない)により、空気がチャネル13とフィン15の表面を通過し、チャネル内の冷媒とチャネル13外の空気との間で伝熱(熱交換)が行われる。
【0019】
(流入冷媒の速度が速い場合)
図2は、冷媒流が、比較的に早い速度で流入ヘッダ11に入る場合を示す図である。冷媒の二相流が比較的に早い速度で流入ヘッダ11に流入する場合、液相冷媒31(液滴)は運動量が大きい。このため、液相冷媒31は、流入ヘッダ入口11Aから遠い所、すなわち、流入ヘッダ11の下流端に流れる。その結果、下流チャネルには上流チャネルより多くの液相冷媒31が流入し、上流チャネルには下流チャネルより多くの気相冷媒32(ガス冷媒)が流入することなる。このため、並列流熱交換器100の性能が低下するだけでなく、圧縮機の吸入部に液冷媒が流入する。
【0020】
(流入冷媒の速度が遅い場合)
図3は、逆に、冷媒流が比較的に遅い速度で流入ヘッダ11に入る場合を示す図である。冷媒流が比較的に遅い速度で流入ヘッダ11に入る場合、流入ヘッダ入口11Aから遠い所に液相冷媒31を運ぶ運動量がない。このため、液相冷媒31は流入ヘッダ入口11Aから近いチャネルに流入する。一方、気相冷媒32は遠いチャネルに流入する。従って、下流チャネルには上流より多くの気相冷媒32が流入する。よって、図2の場合と同様、並列流熱交換器100の性能が低下するとともに、圧縮機の吸入部に液冷媒が流入する。
【0021】
実質的に蒸発器の全並列パスの圧力降下は等しいため、液冷媒が支配的に流れるチャネルは、ガス冷媒流が支配的なチャネルより冷媒流量が大きい。そのような冷媒流量不均等により並列流熱交換器の性能低下と液バックが発生し、システム性能と、圧縮機の信頼性とが低下する。
【0022】
(フィン15による対策)
冷媒流量の不均等分配の課題を解決する一つの方法として、高い冷媒流量のチャネル(液冷媒支配のチャネル)に対し、
(1)フィン密度の増加、
(2)高効率タイプフィンの使用(ルーバフィン)、
(3)フィンの材料、
(4)高さの変更(結果的にチャネル間距離を短くする)
などにより、管外熱伝達量を増加させることができる。
【0023】
(1.フィン密度)
前記の図2は、流入冷媒の速度が速い場合に、各チャネルのフィン密度を変えることで冷媒流量の不均等分配を改善する場合を示している。つまり図2は、チャネル同士のフィン密度が不均一である場合を示している。例えば、図2の例では、下流側のフィン21h(チャネル13hのフィン)の密度は、上流側のフィン22a(チャネル13aのフィン)の密度よりも大きい。高密度のフィン21hを有するチャネル13hは、低密度のフィン22aを有するチャネル13aよりも熱伝達量が大きい。このため、チャネル出口(流出ヘッダ12側のチャネル端部)で、冷媒は過熱状態となる。このように、高い冷媒流量のチャネル(液冷媒支配チャネル)のフィンを高密度(すなわち熱伝達量の大きい)とし、冷媒流量の低いチャネルのフィンを低密度(すなわち熱伝達量の小さい)とすることで、冷媒流量の不均等分配を改善する。
【0024】
図3は、図2とは逆に、流入冷媒の速度が比較的遅い場合に、各チャネルのフィン密度を変えることで冷媒流量の不均等分配を改善する場合である。図3の場合、流入ヘッダ11における上流側が、高い冷媒流量のチャネル(液冷媒支配チャネル)となるため、上流側のチャネルのフィンを高密度とする。
【0025】
(フィンの数)
なお、外観を示す図1では、各チャネルにフィン15を設けているが、一例である。複数のチャネルの内、一部のチャネルにのみ、対応するフィンを設けてもよい。図2を例にとると、例えば、チャネル13d〜13hにのみフィンを設けてもよい。全てのチャネルに対応するフィンを設けることが好ましいが、フィンは、少なくとも一つのチャネルに設けても構わない。
【0026】
(フィン密度)
また、図2において、対応するチャネルに設けられたフィン22a,21h等は、フィン密度が互いに異なってもよいし(全てのフィン密度が異なる場合)、同じフィン密度のグループが存在しても構わない。例えば、図2の場合にフィン15d〜15hが設けられているとする場合、
フィン15d〜15hの順に、順次、フィン密度が高くなるようにしてもよい。
あるいは、
フィン15d、15eが同一のフィン密度1、
フィン15f、15gが同一のフィン密度、かつ、フィン密度1よりも高密度のフィン密度2、
フィン15hがフィン密度2よりも高密度のフィン密度3、
のような場合でもよい。すなわち、チャネルに対応して設けられた各フィンは、少なくとも一つのフィン密度が、他のフィンのフィン密度と異なればよい。
【0027】
(2.フィンのタイプ)
図2、図3では、フィン密度を不均一とすることで冷媒流量の不均等分配を改善する場合を説明したが、フィンタイプ(フィンの形式)を不均一としてもよい。すなわち、高い冷媒流量のチャネル(液冷媒支配チャネル)にはルーバフィンのような高効率タイプのフィンを使用してもよい。
【0028】
フィンタイプについてもフィン密度と同様に、対応するチャネルに設けられたフィンの全部のタイプが互いに異なってもよいし、同じタイプのグループが存在しても構わない。例えば、図2の場合にフィン15d〜15hが設けられているとする場合、フィン15d〜15gを通常のフィンとしてフィン15hをルーバフィンとしてもよいし、フィン15d〜15fを通常のフィンとしてフィン15g、15hをルーバフィンとしてもよい。す
なわち、チャネルに対応して設けられた各フィンは、少なくとも一つのフィンタイプが、他のフィンのタイプと異なればよい。
【0029】
(3.フィンの材質)
フィンの材質を不均一とすることで、冷媒流量の不均等分配を改善することも可能である。すなわち、高い冷媒流量のチャネル(液冷媒支配チャネル)のフィンには、熱伝達量の大きい材質を使用する。
【0030】
フィン材質についてもフィン密度と同様に、対応するチャネルに設けられたフィンの全部の材質が互いに異なってもよいし、同じ材質のグループが存在しても構わない。すなわち、チャネルに対応して設けられた各フィンは、少なくとも一つのフィンの材質が、他のフィンの材質と異なればよい。
【0031】
(4.フィンの高さ)
また、フィンの高さを不均一とすることで、冷媒流量の不均等分配を改善することも可能である。ここで、フィンの「高さ」とは、図2のフィン22aで説明すると、フィン22aの設けられたチャネル13aの表面から隣接するチャネルの方向に計測した長さHである。高い冷媒流量のチャネル(液冷媒支配チャネル)のフィンは、高さ(長さH)を大きくする。
【0032】
フィンの高さについてもフィン密度と同様に、対応するチャネルに設けられたフィンの全部の高さが互いに異なってもよいし、同じ高さのグループが存在しても構わない。すなわち、チャネルに対応して設けられた各フィンは、少なくとも一つのフィンの高さが、他のフィンの高さと異なればよい。
【0033】
(空気流量による対策)
次に、チャネルにおける熱伝達量を変化させるもう一つの方法は、各チャネルにおける空気流量を変化させることである。すなわち、高い冷媒流量のチャネル13に対しては、低い冷媒流量のチャネル13よりも多くの空気を当てることにより、管外熱伝達量を増加させる。
【0034】
一般的に、ファンによる空気流量は並列流熱交換器100に対して不均等となるため、その結果、チャネル13ごとの熱伝達量が異なり、冷媒が不均等に分配される結果となる。本実施の形態1では、冷媒の不均等分配現象を補うため、あえてチャネルに当てる空気流量を不均等とすることによって、逆に、冷媒の不均等分配現象を改善する。
【0035】
図4は、スクロールハウジング28を有するファン27を備えた並列流熱交換器100を示す図である。矢印26は、並列流熱交換器100に対する空気の流れを表わす。図4は図1のX方向矢視に相当する図である。図4のチャネル13a〜13h及び流入ヘッダ入口11Aは、分かりやすさのために記載しており、図4は断面図ではない。
【0036】
(流入冷媒の速度が速い場合)
図4は、流入ヘッダ11に高流速で冷媒が流入する場合である。この場合、流入ヘッダ入口11Aから遠いチャネル13には高流量の冷媒が流れる。すなわち、流入ヘッダ入口11Aから遠いチャネル13には液冷媒が多く流入する。このような現象を補うためには、高冷媒流量のチャネル(下流チャネル)に、より多くの空気流量が必要である。空気流量の調整は、矢印26で表わすように、下流側チャネルに対する空気流の圧力損失が、上流側チャネルに吹く空気流の圧力損失より少なくなるようにすることで行う。図4では矢印26a側よりも、矢印26b側(図4で高冷媒流量側)の方が圧力損失が少ない。その結果、下流側チャネルの熱伝達量は、上流側の熱伝達量より大きくなる。
【0037】
図5は、逆に冷媒のヘッダ内流入速度が遅い場合を示す。図5では、高冷媒流量となる上流側チャネルにおいて、空気流の圧力損失が少ない(矢印26a側)。
【0038】
(ルーバーの使用)
図6と図7とは、図4、図5に対して、さらに、並列流熱交換器100がルーバー29を備えた場合を示す。図6は図4に対応し、図7は図5に対応する。図6、図7に示すように、並列流熱交換器100は、複数のチャネル13と、ファン27との間に配置されたルーバー29を備えている。ルーバー29は、要求される多様な作動条件に空気流パターンを合わせられるように、選択的にチューニングできる構成である。この場合、ファン27(例えばスクロールファン)はスタンダードな構成とし、風量分配は、主にルーバー29で行う。
【0039】
以上の実施の形態1の並列流熱交換器100は、各チャネルの熱伝達量を不均一とする手段を有するので、冷媒流量の不均等分配を改善することができる。
【0040】
以上の実施の形態1の並列流熱交換器100は、各チャネルの熱伝達量を不均一とする手段として、
(1)フィン密度の増加、
(2)高効率タイプフィンの使用、
(3)フィンの材料、
(4)高さの変更
を有するので、
管外熱伝達量を増加させることができる。これにより、冷媒流量の不均等分配を改善することができる。
【0041】
以上の実施の形態1の並列流熱交換器100は、複数のチャネルの冷媒管ごとに、異なる流量の空気を当てる送風機を備えたので、簡易な構成で冷媒流量の不均等分配を改善することができる。
【0042】
本実施の形態1の並列流熱交換器100では、流入ヘッダ11からチャネル13への不均等な冷媒分配を、個々のチャネル対する不均一な管外伝熱特性によって改善するものである。
【0043】
また、本実施の形態1の並列流熱交換器100では、フィンの数、タイプ、サイズのような管外拡張伝熱面のパラメータは、個々のチャネルごとに異なり、その結果、個々のチャネルにおける熱伝達量の差異が冷媒分配の不均等性を補う。
【0044】
本実施の形態1の並列流熱交換器100では、チャネルへの風量は個々のチャネルごとに異なり、その結果、個々のチャネルにおける熱伝達量の差異が冷媒分配の不均等性を補う。
【0045】
本実施の形態1の並列流熱交換器100によれば、冷媒不均等の熱交換器性能への悪影響は最小化され、熱交換器の性能が向上するとともに、圧縮機吸入部での液バックが回避される。
【0046】
以上の実施の形態1では、並列流熱交換器100を説明したが、並列流熱交換器100をヒートポンプ装置の吸熱器あるいは放熱器として使用することができる。すなわち、圧縮機と、放熱器と、膨張機構と、吸熱器とを備えたヒートポンプ装置において、放熱器と吸熱器との少なくともいずれとして、実施の形態1で述べた並列流熱交換器100を使用
することができる。並列流熱交換器100を使用することによって、ヒートポンプ装置の信頼性向上、及びコンパクト化等を図ることができる。
【符号の説明】
【0047】
11 流入ヘッダ、11A 流入ヘッダ入口、12 流出ヘッダ、13 チャネル、14 チャネルの入口、15 フィン、21 高密度フィン、22 低密度フィン、23 低密度フィン、24 高密度フィン、27 ファン、28 スクロールハウジング、29 ルーバー、30 冷媒、31 液相冷媒、32 気相冷媒、100 並列流熱交換器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに略並行に配置され、冷媒が流れる複数の冷媒管と、
前記複数の冷媒管の一方の側の端部に接続される第1ヘッダと、
前記複数の冷媒管の他方の側の端部に接続される第2ヘッダと、
前記複数の冷媒管のうち、少なくとも2つ以上の前記冷媒管のそれぞれに対応して設けられた冷媒管対応フィンと
を備え、
それぞれの前記冷媒管対応フィンのうち少なくとも一つは、
熱伝達量が、他の前記冷媒管対応フィンと異なることを特徴とする並列流熱交換器。
【請求項2】
前記それぞれの冷媒管対応フィンは、
対応する前記冷媒管の長手方向に向かって形成されると共に、
前記それぞれの冷媒管対応フィンのうち少なくとも一つは、
フィンの密度が、他の前記冷媒管対応フィンと異なることを特徴とする請求項1記載の並列流熱交換器。
【請求項3】
前記それぞれの冷媒管対応フィンは、
対応する前記冷媒管の長手方向に向かって形成されると共に、
前記それぞれの冷媒管対応フィンのうち少なくとも一つは、
フィンの形式が、他の前記冷媒管対応フィンと異なることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の並列流熱交換器。
【請求項4】
前記それぞれの冷媒管対応フィンは、
対応する前記冷媒管の長手方向に向かって形成されると共に、
前記それぞれの冷媒管対応フィンのうち少なくとも一つは、
フィンの材質が、他の前記冷媒管対応フィンと異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の並列流熱交換器。
【請求項5】
前記それぞれの冷媒管対応フィンは、
対応する前記冷媒管の長手方向に向かって形成されると共に、
前記それぞれの冷媒管対応フィンのうち少なくとも一つは、
対応する前記冷媒管の表面から隣接する前記冷媒管の方向に計測した長さを示すフィン高さが、他の前記冷媒管対応フィンと異なることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の並列流熱交換器。
【請求項6】
前記並列流熱交換器は、さらに、
前記複数の冷媒管の前記冷媒管ごとに、異なる流量の空気を当てる送風機を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の並列流熱交換器。
【請求項7】
前記送風機は、
空気を吹き出すスクロールハウジングを備えると共に、前記スクロールハウジングから吹き出される空気を前記複数の冷媒管に当てることを特徴とする請求項6記載の並列流熱交換器。
【請求項8】
前記並列流熱交換器は、さらに、
前記複数の冷媒管と、前記送風機との間に配置されたルーバーを備えたことを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載の並列流熱交換器。
【請求項9】
圧縮機と、放熱器と、膨張機構と、吸熱器とを備えたヒートポンプ装置において、
前記放熱器と前記吸熱器との少なくともいずれかは、
互いに略並行に配置され、冷媒が流れる複数の冷媒管と、
前記複数の冷媒管の一方の側の端部に接続される第1ヘッダと、
前記複数の冷媒管の他方の側の端部に接続される第2ヘッダと、
前記複数の冷媒管のうち、少なくとも2つ以上の前記冷媒管のそれぞれに対応して設けられたそれぞれの冷媒管対応フィンと
を備えた並列流熱交換器であって、
前記それぞれの冷媒管対応フィンのうち少なくとも一つは、
熱伝達量が、他の前記冷媒管対応フィンと異なる並列流熱交換器であることを特徴とするヒートポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−82983(P2012−82983A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227249(P2010−227249)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】