説明

中空成形品および中空成形品の製造方法

【課題】他の部品との組立てが容易な中空成形品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】中空成形品14は、繊維強化プラスチックからなる少なくとも2つの構成片20、30の一部を互いにオーバーラップさせて接合することによって中空断面を形成してなる。構成片のそれぞれは、他の構成片をオーバーラップさせる平坦な接合面23、24、25、26、33、34、35、36を有し、構成片のそれぞれの両面のうち少なくとも中空断面の外形形状を形成する側の一の面、および接合面が、型40により成形されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空成形品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化プラスチックの成形方法の1つに真空バッグ成形法がある。例えば特許文献1に記載の発明では、シート状のプリプレグを型の内部に敷設した後、プリプレグをバッグにより覆い、バッグと型との間を排気することにより、バッグによってプリプレグを型に押し付けて成形している。この方法では、シート状のプリプレグの一方の面が、型に押し付けられて成形される。
【特許文献1】特開2004−58608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、シート状のプリプレグのもう一方の面は、バッグにより押圧されて成形され、型により成形される面に比べ寸法精度が低い。このため、特許文献1の方法により複数の部材を作製し、これらをオーバーラップさせて接合して1つの成形品にしようとすると、型により複数の部材を成形し接合する場合に比べ、寸法精度が低く、出来上がった成形品は他の部品との組立てに支障を来たす虞がある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、寸法精度が良好で、他の部品との組立てが容易な中空成形品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の中空成形品は、繊維強化プラスチックからなり、中空成形品を構成する2つの構成片の一部を互いにオーバーラップさせて接合することによって中空断面を形成してなる中空成形品である。
【0006】
構成片のそれぞれは、構成片同士をオーバーラップさせる平坦な接合面を有し、構成片のそれぞれの両面のうち少なくとも中空断面の外形形状を形成する側の面、および接合面が、型により成形されている。
【0007】
上記目的を達成するための本発明の中空成形品の製造方法は、繊維強化プラスチックからなり、中空成形品を構成する2つの構成片の一部を互いにオーバーラップさせて接合することによって中空断面を形成してなる中空成形品の製造方法である。
【0008】
本発明の中空成形品の製造方法は、構成片のそれぞれの両面のうち少なくとも中空断面の外形形状を形成する側の面、および構成片のそれぞれが有する平坦な接合面を、型によって成形する成形工程と、接合面で構成片同士をオーバーラップさせて接合する接合工程と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、構成片同士が接合する接合面が型により成形され、なおかつ平坦であるため、構成片同士が精度良く接合し、成形品の寸法精度が良好である。よって、成形品と他の部品との組立てが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、共通する機能を有する部材については、類似の符号を付し、また、重複する説明は省略する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の中空成形品を適用したフロントサイドメンバの概略斜視図、図2はフロント部の断面を拡大して示す概略斜視図、図3は第1実施形態の中空成形品の概略斜視図である。図4は構成片の作製方法を説明するための成形装置の概要図、図5は構成片の接合を説明するための構成片の端面図である。
【0012】
図1において概説すると、本実施形態の中空成形品14は、自動車の骨格をなすフロントサイドメンバ10の構成部品の1つである。
【0013】
フロントサイドメンバ10は、自動車の車体前方の車幅方向両側下方に位置し、車体の前後方向に長尺な形状をなす。フロントサイドメンバ10は、車体の前方側に位置するフロント部11、および後方側に位置するリア部12が一体となった構造を有する。自動車が衝突すると、衝撃力F(荷重)がフロント部11の先端側からフロント部11の延在方向と略一致して加わり、フロント部11は座屈しつつエネルギを吸収する。
【0014】
図2に示すように、フロント部11は、中空な被覆部材15の内部に、本実施形態の中空成形品14、および発泡樹脂からなる中実部材13を入れ込んだ構造を有する。中空成形品14、および被覆部材15は、繊維強化プラスチック(FRP)からなる。繊維強化プラスチックは、強化繊維と樹脂との複合材料である。
【0015】
強化繊維は、強化材となるものであれば特に制限はなく、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、もしくはガラス繊維、またはアラミド、パラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリビニルアルコール、ポリアリレート等の有機繊維等が挙げられる。これらの2種類以上を併用したものも使用できる。これらの中でも、比較的高強度・高剛性である炭素繊維、またはガラス繊維が好ましく、本実施形態の強化繊維は、炭素繊維である。
【0016】
一方、樹脂は、FRPのマトリックス樹脂となるものであればあらゆる樹脂が使用可能である。例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、更にはこれらの混合樹脂も使用できる。本実施形態は、これらの中でも耐熱性や物理特性に優れたエポキシ樹脂を用いる。
【0017】
中実部材13および中空成形品14は、被覆部材15の内部で交互に複数並ぶ。中空成形品14は、自動車の衝突時に作用する荷重により壊れつつエネルギを吸収する。中空成形品14は、被覆部材15に嵌合するとともに接着剤により被覆部材15に接合している。接着剤は、例えばエポキシ樹脂である。中実部材13は、例えばポリウレタン製である。
【0018】
図3に示すように、中空成形品14は、略直方体形状で、略矩形形状の中空断面を有する。中空成形品14は、2つの同一形状の構成片20および構成片30を有する。これら2つの構成片20および構成片30は、接合することによって中空成形品14を構成している。構成片20および構成片30は、一部を互いにオーバーラップさせて接合している。
【0019】
構成片20および構成片30のそれぞれは長尺状で、長手方向に直交する断面が凹状をなしている。構成片20は、構成片30と接合させるための平板状の接合部21、22を有する。接合部21、22は、互いに平行に伸びる。同様に、構成片30も、構成片20と接合させるための平板状の接合部31、32を有する。接合部31、32は、互いに平行に伸びる。
【0020】
構成片20は、接合部21の平面23(接合面に相当する)、および接合部22の平面26(接合面に相当する)で、構成片30と接合する。構成片30は、接合部31の平面35(接合面に相当する)、および接合部32の平面34(接合面に相当する)で、構成片20と接合する。すなわち、構成片20と構成片30とは、平面23と平面35とをオーバーラップさせるとともに、平面26と平面34とをオーバーラップさせて互いに接合する。また、構成片20と構成片30とは、平面25(接合面に相当する)と平面33(接合面に相当する)とをオーバーラップさせるとともに、平面24(接合面に相当する)と平面36(接合面に相当する)とをオーバーラップさせて互いに接合してもよい。
【0021】
構成片20と構成片30とは、各構成片の延在方向に対して直角な方向(図3で示すY方向であり、以下、単にY方向と称す)に互いにスライドすることにより、互いにオーバーラップする部分の面積、すなわちオーバーラップ量を変えることができる。構成片20と構成片30とがY方向にスライドすることにより、中空成形品14の中空断面の大きさが変わる。
【0022】
また、構成片20と構成片30とは、各構成片の延在方向(図3で示すX方向、以下、単にX方向と称す)に互いにスライドすることにより、オーバーラップ量を変えることもできる。構成片20と構成片30とは、例えばエポキシ樹脂からなる接着剤により接合する。
【0023】
次に、本実施形態の中空成形品14の製造方法を説明する。
【0024】
概説すると、本実施形態の中空成形品14の製造方法は、まず構成片20および構成片30を作製し、その後これらを接合する。
【0025】
図4に示すように、構成片20および構成片30の作製方法は、成形型内に封入した強化繊維に溶融した熱硬化性樹脂を注入して加熱硬化させるRTM(Resin Transfer Molding)成形法を用いたものである。
【0026】
成形型40(型に相当する)は、断面凹形状のキャビティ44を備えた下型42と、断面矩形形状のコア43を備えた上型41とを有する。上型41および下型42は、互いに合わさり、キャビティ44およびコア43により、構成片20、30の外形形状を有する空間を形成する。上型41および下型42の材質は、FRP、鋳鋼、構造用炭素鋼、アルミニウム合金、ニッケル電鋳、銅電鋳が挙げられる。耐熱性、作業性、そして剛性の面から構造用炭素鋼が好ましい。
【0027】
成形型40は、エポキシ樹脂を注入するための樹脂注入装置50に接続している。樹脂注入装置50は、キャビティ44に連通し、エポキシ樹脂を成形型40内に注入する。
【0028】
樹脂注入装置50は、エポキシ樹脂の主剤を収容するタンク51と、エポキシ樹脂の硬化剤を収容するタンク52とを有する。それぞれのタンク51、52は、加温および真空脱泡可能な機構を備える。
【0029】
主剤は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールボラック型エポキシ樹脂、グリジシルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。一方、硬化剤は、ジシアンジアミドにジクロロフェニルジメチル尿素を組み合わせた硬化剤系が挙げられる。
【0030】
樹脂注入装置50は、主剤および硬化剤を押し出すための加圧装置53と、押し出された主剤および硬化剤を混合する混合ユニット54とを有する。エポキシ樹脂は、混合ユニット54とキャビティ44とに連通した樹脂注入管55を通り、成形型40内に入る。
【0031】
構成片20および構成片30の作製では、まず、作業者が不織布状の炭素繊維である強化繊維基材45を下型42のキャビティ44に設置する。強化繊維基材45は、成形型40に収まりやすいように予め製品形状に賦形したものでもよい。また、強化繊維基材45の形態は、不織布状だけでなく、織物、マット、ニット材料、チョップドファイバー等であってもよい。
【0032】
強化繊維基材45の設置後、油圧ポンプ(不図示)に接続した油圧シリンダ46が、上型41を下型42に向かって下降させ、成形型40を閉じる。その後、樹脂注入装置50が、成形型40内にエポキシ樹脂を注入し、強化繊維基材45に樹脂を含浸させる。
【0033】
熱媒循環式の温調機60が、上型41および下型42を加熱しており、上型41および下型42の熱によりエポキシ樹脂は硬化する。温調機60の熱媒は、例えば、水、スチーム、または鉱物油である。
【0034】
下型42は、キャビティ44により、構成片20および構成片30の外面を成形する。構成片20の外面は、接合部21の平面25および接合部22の平面26を含む。また、構成片30の外面は、接合部31の平面35および接合部32の平面36を含む。構成片20の外面、および構成片30の外面は、中空断面の外形形状を形成する側の一の面に相当する。
【0035】
一方、上型41は、コア43により、構成片20および構成片30の内面を成形する。構成片20の内面は、接合部21の平面23、および接合部22の平面24を含む。また、構成片30の内面は、接合部31の平面33および接合部32の平面34を含む。構成片20の内面、および構成片30の内面は、中空断面の内形形状を形成する側の他の面に相当する。
【0036】
エポキシ樹脂が硬化し構成片20が出来上がったら、油圧シリンダ46は、上型41を上昇させて成形型40を開く。作業者は、出来上がった構成片20を取り出し、キャビティ44に強化繊維基材45を再度設置し、同様の過程により構成片30を作製する。
【0037】
2つの構成片20および構成片30が出来上がった後、図5に示すように、作業者は、平坦な接合面23もしくは接合面35、および平坦な接合面26もしくは接合面34に接着剤を塗布し、構成片20および構成片30を接合して、中空成形品14を完成させる。
【0038】
本実施形態の効果を説明する。
【0039】
例えば、真空バッグ法、シートワインディング(SW)成形法、またはフィラメントワインディング(FW)成形法等の他の成形法により構成片20および構成片30を成形した場合、構成片20および構成片30の両面のうち一方の面は型により成形されるが、他方の面は型により成形されず、寸法精度が劣る。このため、接合部21、22、31、32の両面のうち一方の面は、他方の面に比べ寸法精度が低い。
【0040】
これに対し本実施形態では、成形型40が、構成片20の両面を成形する。よって、接合部21の両面の平面23と25、および接合部22の両面の平面24と26の寸法精度が、上述の成形法により成形した場合に比べ良好である。また、成形型40は、構成片30の両面も成形し、接合部31の両面の平面33と35、および接合部32の両面の平面34と36の寸法精度が、上述の成形法により成形した場合に比べ良好である。したがって、構成片20と構成片30とは、精度良く接合する。
【0041】
また、構成片20と構成片30とは、平坦な面、すなわち平面23(25)と平面35(33)および平面26(24)と平面34(36)で接合するため、曲面で接合する場合に比べ、構成片同士の接合が容易であり、精度良く構成片20と構成片30とが接合できる。
【0042】
構成片20と構成片30とが、精度良く接合するため、中空成形品14の寸法精度が良好であり、他の部品、本実施形態では被覆部材15との組立てが容易である。
【0043】
本実施形態では、成形型40は、構成片20および構成片30の外面全体だけでなく、構成片20および構成片30の内面全体も成形する。このため、上で挙げた他の成形法に比べ、中空成形品14の内形形状の寸法精度が良い。よって、中空成形品14の内部への他の部品の嵌合や接合等、部品の組立てが容易である。
【0044】
本実施形態では、構成片20および構成片30は、互いにスライドしてオーバーラップ量を変えることができる。したがって、本実施形態は、中空成形品14のサイズ毎に成形型40等の製造装置を変更することなく、様々なサイズの中空成形品14を作製でき、設計の自由度に優れる。
【0045】
<第2実施形態>
図6(A)は第2実施形態の構成片の端面図、図6(B)および(C)は第2実施形態の中空成形品の端面図である。
【0046】
第2実施形態は、第1実施形態と略同様であるが、図6に示すように、構成片20Aと構成片30Aとが、突起28A、38Aと溝29A、39Aとを嵌合させて接合する点で、第1実施形態と異なる。突起28A、38Aと溝29A、39Aとは、係合部に相当する。
【0047】
図6(A)に示すように、構成片20Aは、接合部21Aの平面23A(接合面に相当する)に複数の突起28Aを有し、接合部22Aの平面26A(接合面に相当する)に複数の溝29Aを有する。
【0048】
また、構成片30Aは、接合部31Aの平面35A(接合面に相当する)に複数の溝39Aを有し、接合部32Aの平面34A(接合面に相当する)に複数の突起38Aを有する。
【0049】
複数の突起28A、38AのピッチP1と、複数の溝29A、39AのピッチP2とは等しい。また、溝29A、39Aの数は、突起28A、38Aの数よりも多い。突起28A、38A、および溝29A、39Aは、X方向に延在し、Y方向に並ぶ。
【0050】
図6(B)および(C)に示すように、構成片20A、30Aは、突起28A、38Aと溝29A、39Aとの嵌合位置を変えることにより、Y方向のオーバーラップ量を変えて接合可能で、互いの位置をずらして中空断面の大きさを変更できる。また、構成片20A、30Aは、溝29A、39Aおよび突起28A、38Aに沿って、X方向にスライドして、X方向のオーバーラップ量を変更できる。
【0051】
第2実施形態の構成片20Aは、係合部に相当する突起28Aとは別に、中空断面の内側に突出する複数の凸部27Aを有する。凸部27Aは、構成片20Aの一部が突出してなる。また、構成片30Aは、係合部に相当する突起38Aとは別に、中空断面の内側に突出する複数の凸部37Aを有する。凸部37Aは、構成片30Aの一部が突出してなる。
【0052】
凸部27Aは、接合部22Aの平面24Aに複数形成される。凸部27Aは、X方向に延在し、Y方向に並ぶ。また、凸部37Aは、接合部31Aの平面33Aに複数形成される。凸部37Aは、X方向に延在し、Y方向に並ぶ。
【0053】
第2実施形態の効果を説明する。
【0054】
第2実施形態では、構成片20A、30Aが突起28A、38Aと溝29A、39Aとを嵌合させて接合するため、構成片同士を接合する際、両者の位置決めが容易である。したがって、第2実施形態は、第1実施形態の効果に加えさらに部品の組立てを容易にできる。
【0055】
第2実施形態では、凸部27A、および凸部37Aが、中空断面の内側に突出する分だけ、第1実施形態の中空成形品14に比べ、衝撃力Fの入力方向に対して直交する断面におけるFRPの断面積が大きい。
【0056】
中空成形品14、14Aは、FRPの炭素繊維が曲がったり炭素繊維の層と層とが剥離したりすることにより、自動車衝突時のエネルギを吸収するため、断面積が増加し強化繊維の量が増えるほどエネルギ吸収量が向上する。よって、第2実施形態は、第1実施形態に比べFRPの断面積が大きい分だけ、エネルギ吸収量の向上を図り得る。また、中空成形品の構成片同士の接合を強固にでき、衝撃が加わった際に中空形状を維持しやすい利点がある。
【0057】
<変形例>
図7は第2実施形態の変形例を示す概略斜視図である。
【0058】
変形例は、係合部に相当する突起28E、38Eと溝29E、39Eとが、X方向ではなくY方向に延在し、X方向に複数並ぶ点で第2実施形態と異なる。変形例は、Y方向に突起28E、38Eと溝29E、39Eとが延在するため、第2実施形態のように段階的に中空断面のサイズが変わるのではなく、連続的に中空断面のサイズを変更できる。
【0059】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変できる。例えば、構成片の製造方法は、接合面および構成片の外面を型によって成形するものであればよく、RTM成形法の他、プレス成形法等他の公知の技術を用いることができる。
【0060】
また、中空成形品の形状は、実施形態に限定されず、種々設計できる。例えば、図8(A)に示すように、構成片20B、30Bの外面(一の面に相当)が、接合面の他に平坦面27B、28B、37B、38Bを含み、構成片20B、30Bは、略六角形形状の端面を形成してもよい。
【0061】
また、図8(B)に示すように、構成片20C、30Cの外面が、接合面の他に半円状の曲面27C、37Cをそれぞれ含み、構成片20C、30Cは、略楕円形形状の端面を形成してもよい。
【0062】
図8(A)および図8(B)に示した変形例では、構成片のそれぞれは、端部に接合面を有するが、本発明はこの形態に限定されない。すなわち、図8(C)に示すように、構成片20D、30Dは、端部と異なる箇所に接合面23D、26D、34D、35Dを有してもよい。
【0063】
また、実施形態では、成形型が構成片の内面および外面の全体を成形するが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は、少なくとも構成片において中空断面の外形形状を形成する側の一の面および構成片同士がオーバーラップして接合する接合面が、型により成形されるものであればよい。中空成形品の内面全体を型により成形するか否かは、中空成形品の内部に他の部材を嵌合させる場合等に要求される寸法精度に応じて決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1実施形態の中空成形品を適用したフロントサイドメンバの概略斜視図である。
【図2】フロント部の断面を拡大して示す概略斜視図である。
【図3】第1実施形態の中空成形品の概略斜視図である。
【図4】構成片の作製方法を説明するための成形装置の概要図である。
【図5】構成片の端面図である。
【図6】(A)は第2実施形態の構成片の端面図、(B)および(C)は第2実施形態の中空成形品の端面図である。
【図7】第2実施形態の変形例を示す概略斜視図である。
【図8】(A)〜(C)は中空成形品の他の例を示す端面図である。
【符号の説明】
【0065】
10 フロントサイドメンバ、
11 フロント部、
12 リア部、
13 中実部材、
14、14A〜14E 中空成形品、
15 被覆部材、
20、20A〜20E、30、30A〜30E 構成片、
21、21A〜21E、22、22A〜22E、31、31A〜31E、32、32A〜32E 接合部、
23〜26、33〜36、23A、23D、24A、26A、26D、34A、34D、35A、35D 平面、
27A、37A、37E 凸部、
28A、28E、38A、38E 突起、
29A、39A、29E、39E 溝、
40 成形型(型)、
41 上型、
42 下型、
43 コア、
44 キャビティ、
45 強化繊維基材、
46 油圧シリンダ、
50 樹脂注入装置、
51、52 タンク、
53 加圧装置、
54 混合ユニット、
60 温調機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化プラスチックからなり、中空成形品を構成する2つの構成片の一部を互いにオーバーラップさせて接合することによって中空断面を形成してなるものであって、
前記構成片のそれぞれは、構成片同士をオーバーラップさせる平坦な接合面を有し、
前記構成片のそれぞれの両面のうち少なくとも前記中空断面の外形形状を形成する側の面、および前記接合面が、型により成形されている中空成形品。
【請求項2】
前記構成片のそれぞれは、同一の凹状の断面形状を有し、一部を互いにオーバーラップさせて接合することによって、中空断面を形成してなる中空成形品であって、前記2つの構成片のうち、一方の構成片の外形形状を形成する側の面と、他方の構成片の内形形状を形成する側の面とをオーバーラップさせて接合するための平坦な接合面を有する請求項1に記載の中空成形品。
【請求項3】
前記構成片のそれぞれの両面のうち前記中空断面の内形形状を形成する側の面が、前記型により成形されている請求項1または2に記載の中空成形品。
【請求項4】
前記構成片のそれぞれは、前記接合面におけるオーバーラップ量を変えて接合可能である請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空成形品。
【請求項5】
前記構成片のそれぞれは、構成片同士で係合する係合部が前記接合面に設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の中空成形品。
【請求項6】
前記係合部は、前記中空断面の大きさを変更可能に複数設けられている請求項5に記載の中空成形品。
【請求項7】
前記構成片は、前記中空断面の内側に突出した凸部を有する請求項5または6に記載の中空成形品。
【請求項8】
前記構成片の前記中空断面の外形形状を形成する側の面は、平坦面を含んでいる請求項1〜7のいずれか1項に記載の中空成形品。
【請求項9】
前記構成片の前記中空断面の外形形状を形成する側の面は、曲面を含んでいる請求項1〜7のいずれか1項に記載の中空成形品。
【請求項10】
繊維強化プラスチックからなり、中空成形品を構成する2つの構成片の一部を互いにオーバーラップさせて接合することによって中空断面を形成してなる中空成形品の製造方法であって、
前記構成片のそれぞれの両面のうち少なくとも前記中空断面の外形形状を形成する側の面、および、前記構成片のそれぞれが有する平坦な接合面を、型によって成形する成形工程と、
前記接合面で前記構成片同士をオーバーラップさせて接合する接合工程と、を有する中空成形品の製造方法。
【請求項11】
前記成形工程は、前記構成片のそれぞれの両面のうち前記中空断面の内形形状を形成する側の面を、前記型により成形する工程を含む請求項10に記載の中空成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−286069(P2009−286069A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143555(P2008−143555)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、新エネルギー・産業技術総合開発機構「地球温暖化防止新技術プログラム 自動車軽量化炭素繊維強化複合材料の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】