説明

乗員検知システム

【課題】シールドハーネス構造を用いることなく、変位電流の増大による乗員検知の際の精度劣化を抑制することができる乗員検知システムを提供する。
【解決手段】乗員検知システムは、シ−ト背面部12に配置したアンテナ電極121〜123と、アンテナ電極各々の周辺に微弱電界を発生させ、この微弱電界に基づいて発生する信号データと、乗員のシ−トへの着席状況に応じて予め設定されたしきい値データとを比較し、乗員の着席状況を検知する乗員検知ユニット14と、アンテナ電極各々と乗員検知ユニット14とを接続するハーネス131〜133を備える。シートを前方より平面視した場合、乗員検知ユニット14は、アンテナ電極全ての上方に位置し、ハーネス各々は、それぞれ各アンテナ電極から上方へ引き出され、乗員検知ユニット14と接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員検知システムに関し、特に、フロント、サイドのエアバッグ装置を搭載した自動車の助手席における乗員の着席状況に応じて、エアバッグ装置のエアバッグを展開可能な状態又は展開不可能な状態に設定し得る乗員検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグ・システムは、自動車の安全装置として普及しているが、乗員の体格や乗員の取る姿勢などによって、フロント・エアバッグを展開することで、乗員を危険にさらす可能性がある。このため、例えば米国連邦車両基準「FMVSS208」においては、エアバッグ・システムが、助手席に着席している乗員の体重に基づいてフロントエアバッグの展開/非展開を制御するように、定めている。
また、サイド・エアバッグを搭載した自動車において、助手席における乗員の着席状況に応じてサイドエアバッグを展開/非展開を制御することに関して、自主的に取り組んでいる自動車メーカーもある。
【0003】
乗員検知を行うセンシング方式としては、乗員の体重をセンシングする重量センサ、圧電センサを利用するセンシング方式と、乗客の体格、すなわち表面積をセンシングする容量センサを利用するセンシング方式に大別される。
図8(a)は、このうち、センシング方式として、容量センサを利用するセンシング方式を用いた乗員検知システムの原理を示す図である。この方式は、シ−トに配置されたアンテナ電極に微弱電界(Electric Field:EF)を発生させ、電極と被測定物の表面に電荷を生じさせる。これにより、電極と被測定物の表面は容量結合となり、体格・着席状況で変化する容量変化を、変位電流の変化として捉えることができるものである。
【0004】
図8(a)に示すように、アンテナ電極E1に正弦波発振回路OSCからの高周波低電圧を印加することにより、アンテナ電極E1の周辺には微弱電界(EF)が生ずる結果、アンテナ電極E1の側には変位電流Iが流れる。この変位電流Iの値は、アンテナ電極E1と接地の間に形成される静電容量値により決まるため、アンテナ電極E1の近傍に存在する被測定物OBの比誘電率によって異なる値をとる。従って、シ−トに被測定物OBが乗っている場合と乗っていない場合とでは、アンテナ電極E1側に流れる電流に変化が生ずる。この現象を利用することにより、センサによって得る物理量(この場合は、変位電流)によってシ−トへの乗員の着席状況を検知することができるものである。
【0005】
また、上記法規には、図8(c)に示す成人女性の体重分布を示す正規分布において、5パーセンタイル成人女性(分布の小柄な方の分布5%)に相当する大人以上ではフロントエアバッグ展開機能を維持し、体重が6歳児(6year old child:6yo)相当の子供以下ではフロントエアバッグの展開を抑制する方法が記載されている。
すなわち、シートの乗員についても、その体格などから、多くの情報を得て、区別をつける対策をとることが望ましい。
【0006】
そこで、図8(b)に示すように、アンテナ電極を複数個、例えばシートの座面にアンテナ電極E2を、背面にアンテナ電極E3及びアンテナ電極E4を、設置することによって、シ−ト上の被測定物(乗員)について、より多くの物理量を得ることを可能とし、シ−トへの乗員の着席状況をより的確に検知することが行われている。
【0007】
そして、これらのセンサーから得た情報を、実際にエアバッグを展開/非展開とするための制御情報とするには、乗員の区別が重要であり、エアバッグシステムは、予め設定したしきい値と、微弱電界技術による測定結果である物理量(電流値、或いは容量測定値)と、を比較する制御回路を備え、定期的にセンサからデータを取得し、乗員についての判定を行う。
【0008】
例えば、特許文献1には、シートに配置した複数のアンテナ電極と、その複数のアンテナ電極各々の周辺に発生させた電界に基づいて流れる電流に関する信号データを処理して乗員の着席状況を検知する信号処理回路(制御回路)と、を備えた乗員検知システムが開示されている。
【0009】
一般に、アンテナ電極と、信号処理回路とを接続するには、ケーブルを使用するが、このケーブルには、電気的なノイズ、或いはケーブルに人が触れることにより発生する外乱ノイズがのってしまう。乗員検知システムは、そもそも電極付近に人がいるかいないかを検知するシステムでことから、ケーブルに人が触れることにより、上記変位電流Iが変動してしまっては、電極付近に人がいることを判定することが困難となる。
【0010】
そのため、特許文献1に開示された乗員検知システムは、複数のアンテナ電極各々と信号処理回路とを、シールドケーブルで接続することによって、ケーブル部分に入る外乱ノイズをキャンセルさせる機能を有している。すなわち、ケーブルにシールドケーブルを使用することで、ケーブルに人が触れても、変位電流が変化しないようにすることで、電極付近の乗員の有無のみを検知することが可能となっている。
【0011】
ところが、シールドケーブルを使用することには大きなコストが発生し、またハーネスという長く扱いづらい配線を使用しなくてはならない。そのため、アンテナ電極及びハーネスを、フィルム状の絶縁物上に導電性のインクを使用して印刷して作ることが考えられている。このようにすれば、アンテナ電極とハーネスを同一フィルム上に一体で作りこむことが可能となり、製造コストを下げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3353817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、アンテナ電極とハーネスを同一フィルム上に一体で作りこむ場合、上記シールドケーブルと同様の外乱ノイズをキャンセルする機能を持たせることは困難である。また、同一フィルム上に一体で作りこむと、作りこまないにかかわらず、そもそもハーネス部分に乗員が触れることにより、変位電流が変化してしまい、乗員検知を精度よく行うことができないという問題があった。本発明は、上記状況を鑑み、シールド構造を取ることなく、乗員検知における判定に支障を与えない、乗員検知システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の乗員検知システムは、シ−トと、前記シ−トの背もたれ部または着席部の少なくとも一方に配置した複数のアンテナ電極と、前記複数のアンテナ電極各々の周辺に微弱電界を発生させ、この微弱電界に基づいて発生する信号データと、乗員のシ−トへの着席状況に応じて予め設定されたしきい値データとを比較し、乗員の着席状況を検知する制御ユニットと、前記複数のアンテナ電極各々と前記制御ユニットとを接続する複数のハーネスと、を備え、前記シートをシート前方より平面視した場合、前記制御ユニットは、前記複数のアンテナ電極全ての上方に位置し、前記複数のハーネス各々は、前記複数のアンテナ電極それぞれから上方へ引き出され、前記制御ユニットと接続されることを特徴とする。
【0015】
前記複数のハーネス各々は、対応するアンテナ電極の前記制御ユニットとは反対側の部分から引き出され、前記制御ユニットと反対側へ回り込むことなく、前記制御ユニットへ接続されることを特徴とする。
【0016】
前記複数のアンテナ電極及び前記複数のハーネスは、絶縁性のフィルム基材に導電塗料を印刷して一枚のフィルム上に形成され、前記一枚のフィルムは、前記シートのシート表皮及びクッションパッドの間に介挿されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の乗員検知システムは、衝突に基づいてエアバッグを展開させる機能を有するエアバッグ装置を更に備え、前記制御ユニットは、判定結果に基づくデ−タを前記エアバッグ装置に送信し、エアバッグ装置のエアバッグを展開可能な状態又は展開不可能な状態のいずれか一方にセットすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の乗員検知システムは、アンテナ電極と、乗員の着席状況を判定する制御回路とを接続するハーネスが、シートの背面部を平面視した場合、該アンテナ電極より上部へ引き出されている。そのため、シールドハーネス構造を用いることなく、変位電流の増大による乗員検知の際の精度劣化を抑制することができるので、乗員検知を精度よく行うことができる。また、アンテナ電極とハーネスを同一フィルム上に一体化して形成することができ、製造コストの低い乗員検知システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る乗員検知システムの概念図である。
【図2】図1に示した乗員検知システムの簡略化した回路構成を示す図である。
【図3】図1に示す乗員検知システムにおけるシートを示す模式図である。
【図4】図3におけるアンテナ電極の構成を示す模式図である。
【図5】図4におけるアンテナ電極の構成の変形例を示す模式図である。
【図6】図4におけるアンテナ電極の構成の変形例を示す模式図である。
【図7】乗員検知装置における判定の際の問題点を説明するための図である。
【図8】乗員検知装置における基本原理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本発明の乗員検知システムの構成について、図1および図2を参照して説明する。
図1は、シートを含む乗員検知システムの概略構成を示す図であり、図2は、乗員検知システムの簡略化した回路構成を示す図である。
【0021】
図1において、シートは、車両床部上に取り付けられる金属製のフレーム10と、フレーム10上に固定されてシートの着席部を構成する座面部11と、座面部11の後方から上方斜め後ろに向かって配置され、背もたれをなす背面部12とを有している。乗員検知システムは、座面部に配置される複数のアンテナ電極、背面部に配置される複数のアンテナ電極121〜123、コネクタ配線(ハーネス部13)、及び乗員検知ユニット14(ECU)を備えている。
【0022】
ここで、アンテナ電極121〜123は、離隔し、互いに隣り合うように配置される。また、コネクタ配線(ハーネス部13)は、ワイヤハーネス等であり、座面部11に配置されたアンテナ電極121〜123、背面部12に配置されたアンテナ電極と、乗員検知ユニット14とを接続している。なお、アンテナ電極121〜123、コネクタ配線(ハーネス部13)及び乗員検知ユニット14のシート背面部12における配置については、本発明の特徴的部分を成すものであり、詳細については後述する。
乗員検知ユニット14は、各アンテナ電極に対応して設けられるハーネスに流れる変位電流の電流値に基づいて、シート上の乗員着席の状況を検出する回路であり、シートの内部等に設置される。
【0023】
乗員検知ユニット14は、図2に示すように、正弦波発振回路OSC、電流制限抵抗16、切替スイッチSW、バッファ17、全波整流及び積分回路18、及び判定回路23から構成される。なお、図2において、乗員検知システムを構成するアンテナ電極については、背面部12に配置されたアンテナ電極121〜123を用いて乗員検知する場合を示している。すなわち、本発明の乗員検知システムは、複数の測定電極(アンテナ電極121〜123)を配置して、乗員の有無、体格等を総合的に検知する乗員検知システムである。
【0024】
正弦波発振回路OSCは、アンテナ電極121〜123各々の周辺に微弱電界を発生させる回路であり、例えば周波数が120KHz程度で、電圧が5V程度の正弦波を発生するように構成されている。
また、電流制限抵抗16は、アンテナ電極121〜123各々とシートに着席した乗員(図1に示すOB)との間の容量(以下CLとする)、及び乗員と車体GNDとの間の容量(以下Cgとする)とともに、RC回路を構成する。このRC回路は、容量CLのインピーダンスが変化するので、正弦波発振回路OSCの周波数が一定であっても、正弦波発振回路OSCの出力信号をバッファ17の入力端において減衰させる。
バッファ17は、正弦波発振回路OSCの出力信号が減衰された交流信号を、次段回路である全波整流及び積分回路18の入力電圧レベルに増幅する回路である。全波整流及び積分回路18は、切替スイッチSWを切り替え、アンテナ電極121〜123各々を選択している各々の期間において、バッファ17から入力される交流電圧を全波整流し、平滑化することで、判定回路23のA/D入力端子19に対して、直流電圧信号を出力する。
【0025】
切替スイッチSWは、図2に示すように、スイッチSW1〜SW3の接続先を切り替えることにより、乗員検知において、アンテナ電極121〜123各々と、上記バッファ17及び電流制限抵抗16とを、コネクタ21及びハーネス131〜133を介して、順次接続する。
【0026】
判定回路23は、A/D入力端子19に、全波整流及び積分回路18が出力した上記直流電圧信号が入力される。判定回路23は、この電圧レベルと、判定回路23に記憶され、予め設定されたしきい値とを比較し、シートの着席状況を判定する。すなわち、判定回路23には、予め、例えばシ−トに着席している乗員の着席状況(着席の有無,大人か子供かの識別)などに関するしきい値(しきい値デ−タ)が格納(記憶)されている。
【0027】
次に、以上の構成をとる本発明の乗員検知システムの動作について説明する。
まず、正弦波発振回路OSCから正弦波が送信され、切換スイッチSWが判定回路23からの制御信号によって、スイッチSW1〜SW3を順にオン・オフ切換制御し、例えば、まずスイッチSW1だけをオンして他はオフにする。このとき、正弦波発振回路OSCからの高周波低電圧がスイッチSW1からハーネス131を通してアンテナ電極121だけに印加され、アンテナ電極121から微弱電界が発生する。
【0028】
すると、アンテナ電極121の周辺における乗員の着席状況に応じた送信電流が、アンテナ電極121に流れる。この送信電流に相当する電流により、正弦波発振回路OSCの出力信号が、電流制限抵抗16を含む上記RC回路により減衰され、バッファ17に入力される交流電圧レベルは減衰する。
【0029】
この減衰レベルは、前記容量CLと容量Cgとの合成容量Ctの値によって変化する。この合成容量Ctは、Ct=(CL×Cg)/(CL+Cg)であり、乗員と車体GNDとの間の容量Cgの変化が小さいことにより、合成容量Ctは、アンテナ電極と乗員との間の容量CLの変化によってのみ変化すると考えてよいので、乗員検知のための判断指標として使用することができる。ここで、バッファ17の入力端における電圧をVout、電流制限抵抗16の抵抗値をR、正弦波発振回路OSCの発振周波数をω、出力電圧をVinとすると、
Vout=1/(1+jωCtR)×Vin
ω=2πf (ただし、fは正弦波発振回路OSCの周波数)
の関係式が得られる。
【0030】
よって、バッファ17に入力される減衰された交流電圧レベルを、全波整流及び積分回路18により直流電圧信号に変換し、判定回路23は、この直流電圧信号をA/D入力端子19から取り込む。すなわち、判定回路23は、アンテナ電極121に対向する乗員の着席状況データ(信号デ−タ)を取り込み、これと予め設定されたしきい値とを比較することで、アンテナ電極121周辺における乗員の着席状況を判定する。
【0031】
次に、スイッチSW2だけがオンして、アンテナ電極122から微弱電界が発生し、アンテナ電極122の周辺の着席状況に応じた送信電流が検出され、判定回路23に着席状況データとして入力される。同様に、スイッチSW3がオンして、アンテナ電極123から微弱電界が発生し、アンテナ電極123の周辺の乗員着席状況に応じた送信電流が検出され、判定回路23に着席状況データとして入力される。
このように、判定回路23は、3個のアンテナ電極121〜123に対応して、信号データを取り込むことにより、シート背面部12に背もたれしている乗員の着席状況を検知する。
【0032】
例えば、(a)シートに座高が高い大人が着席した場合、(b)座高が低い子供が着席した場合を考える。そして、(a)の場合、大人の座高が高いため、頭部がアンテナ電極121、頸部がアンテナ電極122、背部がアンテナ電極123に対向するものとする。また、(b)の場合、子供の座高は低いため、頭部がアンテナ電極122、頸部がアンテナ電極123に対向するものとする。
【0033】
この場合、判定回路23のA/D入力端子19に入力される直流電圧信号の電圧レベルは、(a)の場合、図2の実線に示すように、背部に対向するアンテナ電極123から取り込んだ電圧レベルが最も低く、次に頭部に対向するアンテナ電極121から取り込んだ電圧レベルがやや高くなり、頸部に対向するアンテナ電極122から取り込んだ電圧レベルが最も高くなる。
【0034】
これは、頭部と背部との間では、アンテナ電極に対向する面積が背部の方が大きいため、背部に対向するアンテナ電極に流れる電流が大きいためである。また、人間の頸部は、頭部、背部に比べ横幅が短く、かつ、シートに着席した際シート背面部12との距離が離れるため、対応するアンテナ電極(この場合、アンテナ電極122)に流れる電流が最も少なくなるからである。
【0035】
一方、(b)の場合、図2の一点鎖線に示すように、頭部に対向するアンテナ電極122から取り込んだ電圧レベルが最も低く、次に頸部に対向するアンテナ電極123から取り込んだ電圧レベルがやや高くなり、アンテナ電極121から取り込んだ電圧レベルが最も高くなる。これは、上述の理由と同じく、頭部と背部との間では、アンテナ電極に対向する面積が背部の方が大きいため、また、アンテナ電極121は、対向する人間の部位がないためである。
【0036】
従って、判定回路23は、切替スイッチSWを順次切り替えたときに、入力される直流電圧信号のレベルがアンテナ電極に対応して変化することとなる。そして、判定回路23は、例えば、図2の破線に示すように、アンテナ電極121〜123に対応するしきい値th1〜th3を予め記憶し、それぞれのアンテナ電極が選択されたときに、入力される直流電圧信号のレベルと、しきい値を比較することで、シートの着席状況を判定できる。
【0037】
例えば、入力される直流電圧信号のレベルがしきい値より大きい場合、論理レベル「1」とし、入力される直流電圧信号のレベルがしきい値以下の場合、論理レベル「0」とし、アンテナ電極121〜123を選択したときの判定結果を、論理レベルを用いて(1/0、1/0、1/0)と表わすと、上記(a)の場合、(0、1、0)となり、(b)の場合、(1、0、1)となり、この違いにより、大人と子供の区別を行うことができる。
【0038】
また、シートに極めて座高の高い乗員が着席した場合、例えば、頸部がアンテナ電極121、背部がアンテナ電極122及びアンテナ電極123に対向する場合、上記判定結果は(1、0、0)となる。また、空席の場合、いずれのアンテナ電極にも対向する部位がないことから、判定結果は(1、1、1)となる。従って、シートに着席する乗員に対応して、シミュレーション或いは実験等により、しきい値を設定することで、着席状況を判定することができる。
【0039】
判定回路23は、上述の判定結果に基づいて、エアバッグ装置に対して、エアバッグが展開可能となる展開OK信号またはエアバッグが展開不可能となる展開NG信号を送信する。例えば、シートに大人が着席していると判定した場合(上記判定例で(0、1、0)或いは(1、0、0)と判定した場合)、エアバッグが展開可能となる展開OK信号を送信する。一方、シートに子供が着席している場合(上記判定例で(1、0、1)と判定した場合)、或いは空席と判定した場合(上記判定例で(1、1、1)と判定した場合)、エアバッグが展開不可能となる展開NG信号を送信する。
【0040】
ここで、エアバッグ装置は、例えば、セ−フィングセンサ,スクイブ,電界効果形トランジスタなどの半導体スイッチング素子の直列回路よりなる運転席側のスクイブ回路と、同様にセ−フィングセンサ,スクイブ,半導体スイッチング素子よりなる助手席側のスクイブ回路と、電子式加速度センサ(衝突検出センサ)と、電子式加速度センサの出力信号に基づいて衝突の有無を判断し、半導体スイッチング素子のゲ−トに信号を供給する機能を有する制御回路とから構成されている。
【0041】
そして、エアバッグ装置の制御回路は、判定回路23からの送信信号(展開OK信号または展開NG信号)が入力され、展開OK信号が入力された場合、半導体スイッチング素子にゲ−ト信号が供給されるようにセットされる。一方、展開NG信号が入力される場合、半導体スイッチング素子にゲ−ト信号を供給しないようにセットされる。
【0042】
以上が、図2に示した乗員検知システムの概略構成である。次に、アンテナ電極部及びハーネス部の構成について、図3〜図7を参照して説明する。図3及び図7は、シートを前方斜め上方より観た模式図であり、図3(a)及び図7(a)はシートが空席である場合、図3(b)及び図7(b)は、シートに座高が低い、例えば子供が着席している場合、図3(c)は、シートに座高が高い、例えば大人が着席している場合を、それぞれ示している。また、図4〜図6は、図4(a)〜図6(a)においては、アンテナ電極部及びハーネス部13を含む1枚のフィルムを、図4(b)〜図6(b)においては、1枚のフィルムをシート背面部12のクッションパッド31に吊り込んだ状態を、シート背面部12の前面方向から見た模式図を示す。
【0043】
図3(a)及び図7(a)において、シート背面部12及び座面部11は、金属製のシートフレーム(不図示)上に、ウレタン製のクッションパッドが重合され、クッションパッドは、シート表皮により包容されている。シート表皮は、複数枚の表皮材を縫合することにより形成され、吊り込み溝33各々において、シートパッドのシートフレーム方向へ吊り込まれる。吊り込みは、シート表皮の縫合部に吊り袋(不図示)が縫着され、該吊り袋に吊りワイヤ(不図示)が挿入されて、該吊りワイヤと、クッションパッド形成の際にクッションパッド内に埋め込まれた不図示の吊り込み用ワイヤが、ホグリングにより固定されることで行われる。
【0044】
アンテナ電極部(アンテナ電極121、アンテナ電極122及びアンテナ電極123)と、ハーネス部(図3においてはハーネス131〜133、図7においてはハーネス131c〜133cで示す)は、このシート表皮とクッションパッドとの間に介挿されている。アンテナ電極部及びハーネス部は、それぞれ絶縁性のフィルム基材上に形成された電極である。
【0045】
絶縁性のフィルム基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂からなり、数十μm〜150μm程度の厚さに設定されている。また、アンテナ電極部及びハーネス部13は、それぞれ、絶縁性のフィルム基材上に貼り付けた銅箔をエッチングする、あるいは、絶縁性のフィルム基材上に銀等からなる導電性ペーストを印刷する、などの方法によって形成される。
【0046】
本実施形態においては、図4(a)に示すように、一枚のフィルム120上に、これらのアンテナ部及びハーネス部を印刷等して配置し、その一枚のフィルム120を、シート表皮とクッションパッド31との間に介挿する構成をとる。そのため、一枚のフィルム120は、吊り込み溝33各々において上述のホグリング箇所を避けるように、フィルム上の所定の箇所に開口部34が設けられている。
【0047】
また、フィルム120は、図4(b)に示すように、クッションパッド31の吊り込み溝33に吊り込まれる。なお、開口部34は吊り込まれる深さに応じて縦方向の長さを長めに設計することから、開口部34の縦方向の長さは、図4(b)における長さよりも図4(a)における長さが長くなっている。
なお、フィルムはアンテナ電極各々に対応して、それぞれ、1枚のシートで構成してもよいが、本字実施形態の様に1枚のフィルムで構成するほうが、製造コストも低廉になることから、以下の説明では、フィルムは1枚で構成されるものとする。
【0048】
また、図4(a)において、フィルム120におけるハーネス部は、アンテナ電極とハーネス131、ハーネス132、及びハーネス133からなる。ハーネス131は、アンテナ電極121と乗員検知ユニット14とを、ハーネス132は、アンテナ電極122と乗員検知ユニット14とを、ハーネス133は、アンテナ電極123と乗員検知ユニット14とを、それぞれ電気的に配線するコネクタ配線である。
ここで、本発明の乗員検知システムにおいては、上記各ハーネスが、シート背面部12を前方より平面視した場合、アンテナ電極部及びハーネス部の上方に位置する乗員検知ユニット14へ接続されるように、対応する各アンテナ電極から上部へ引き出されていることを、特徴とする。
このような構成をとった理由を、上述した乗員検知システムにおける乗員検知に関連付けながら、図3及び図7を用いて、以下に説明する。
【0049】
例えば、助手席シートにエアバッグ装置が搭載された車両において、図3(b)に示すように、当該シートへ座高の低い乗員(例えば子供)が着席し、着席状況を検知する場合を考える。また、子供は座面部11の中央でなく、前方より見てやや右寄り、すなわち、乗員検知ユニット14寄りに着席しているものとする。
【0050】
このように着席した場合、アンテナ電極122及びアンテナ電極123は、それぞれ子供の頭部及び頸部に対向するが、アンテナ電極121は、対向する子供の部位が存在しない。また、子供はハーネス132及びハーネス133に触れているが、ハーネス131には触れていない。
【0051】
従って、乗員検知ユニットにおいては、切替スイッチSWを順次切り替えたときに、判定回路23に入力される直流電圧信号のレベルがアンテナ電極121〜123に対応して変化することとなる。この際、スイッチSW3をハーネス133を介してアンテナ電極123へ接続すると、ハーネス133に子供が触れているので、ハーネス133と人体との間で静電容量が形成され、この静電容量に応じた変位電流分、測定電流が増加することとなる。つまり、ハーネス133自体が、アンテナ電極となって変位電流を増加させる。
【0052】
すなわち、上述の判定回路23のA/D入力端子19に入力される直流電圧信号の電圧レベルは、ハーネス133がアンテナ電極の働きをしないでアンテナ電極123にのみ電流が流れる場合に比べて低くなる。同様に、ハーネス132にも子供が触れているので、スイッチSW2によりアンテナ電極122を選択した場合に、A/D入力端子19に入力される直流電圧信号の電圧レベルも、ハーネス132がアンテナ電極の働きをしないでアンテナ電極122にのみ電流が流れる場合に比べて低くなる。一方、スイッチSW1によりアンテナ電極121を選択した場合、アンテナ電極121及びハーネス131に対向する子供の部位は存在しないので、A/D入力端子19に入力される直流電圧信号の電圧レベルに変化はなく、Hレベルのままである。
【0053】
次に、図3(c)に示すように、当該シートへ座高の高い乗員(例えば大人)が着席し、着席状況を検知する場合を考える。また、大人も座面部11の中央でなく、前方より見てやや右寄り、すなわち、乗員検知ユニット14寄りに着席しているものとする。
このように着席した場合、アンテナ電極121、アンテナ電極122及びアンテナ電極123は、それぞれ大人の頭部、頸部及び背部に対向する。また、大人はハーネス131〜133の全てに触れている。
【0054】
従って、乗員検知ユニットにおいては、切替スイッチSWを順次切り替えたときに、判定回路23に入力される直流電圧信号のレベルがアンテナ電極121〜123に対応して変化することとなる。この際、スイッチSW1をハーネス133を介してアンテナ電極123へ接続すると、ハーネス133に大人が触れているので、判定回路23のA/D入力端子19に入力される直流電圧信号の電圧レベルは、ハーネス133がアンテナ電極の働きをしないでアンテナ電極123にのみ電流が流れる場合に比べて低くなる。同様に、アンテナ電極122及びアンテナ電極121を選択した場合、それぞれA/D入力端子19に入力される直流電圧信号の電圧レベルも、ハーネス133及びハーネス131がアンテナ電極の働きをしないでアンテナ電極122及びアンテナ電極121各々にのみ電流が流れる場合に比べて低くなる。
【0055】
すなわち、図2に示したアンテナ電極とA/D入力端子19の入力電圧レベルの関係において、アンテナ電極121に対応する(b)の電圧レベルが変わらず、他の電圧レベルは全て低くなる。しきい値の設定は、区別したい2種類の入力電圧レベルを比較判定するために、2種類の入力電圧レベルの略中央に設定されるのが一般的であるので、しきい値th1〜th3各々を、図2におけるしきい値に比べて低いしきい値th1’〜th3’に、それぞれ予め設定すれば、ハーネス部において電流が増加しても、(a)大人と(b)子供の区別を行うことが可能である。
【0056】
ところが、図7(a)に示すように、ハーネス131c〜133cが、シート背面部12を前方より平面視した場合、アンテナ電極部及びハーネス部の下方に位置する乗員検知ユニット14へ接続されるように、対応する各アンテナ電極から下部へ引き出されていると、次に説明するように、乗員検知における判定マージンが減少することとなる。
【0057】
上述した本発明の実施例と同じく、図7(b)に示すように、当該シートへ座高の低い子供が着席し、着席状況を検知する場合を考える。また、上記例と同じく、子供は座面部11の中央でなく、前方より見てやや右寄り、すなわち、乗員検知ユニット14寄りに着席しているものとする。
【0058】
このように着席した場合、図3(b)と同じく、アンテナ電極122及びアンテナ電極123は、それぞれ子供の頭部及び頸部に対向するが、アンテナ電極121は、対向する子供の部位が存在しない。しかしながら、ハーネス部分については、子供がハーネス131c〜133cの全てに触れている。
【0059】
従って、スイッチSW2及びSW3により、それぞれアンテナ電極122及び123を選択した場合、上述した本発明の実施例と同じく、A/D入力端子19に入力される直流電圧信号の電圧レベルも、ハーネス132c及びハーネス133cがアンテナ電極の働きをしないでアンテナ電極122及びアンテナ電極123各々にのみ電流が流れる場合に比べて低くなる。一方、スイッチSW1によりアンテナ電極121を選択した場合、上の例と異なり、アンテナ電極121に対応するハーネス131cに子供が対向するので、ハーネス131cがアンテナの働きをして変位電流を増加させ、A/D入力端子19に入力される直流電圧信号の電圧レベルは、図3(a)に示した本発明の実施例においてアンテナ電極121を選択した場合に比べて低くなる。
【0060】
これは、図2に示したアンテナ電極とA/D入力端子19の入力電圧レベルの関係において、アンテナ電極121に対応する(b)の電圧レベルが低くなり、アンテナ電極121を選択した場合の判定マージンが小さくなることを意味する。つまり、図2におけるしきい値th1を、図3(a)を用いて説明した場合と同様に、しきい値th1に比べ低いしきい値th1’に予め設定するとしても、しきい値th1’と(b)の電圧レベルの差分は、図3(a)を用いて説明した本発明の場合に比べて小さくなり、判定マージンが小さくなる。これは、ハーネス部が、アンテナ電極から下方向へ引き出されていることに起因して、アンテナ電極121を選択したときに、対応するハーネス131cもアンテナ電極の働きをして、変位電流を増加させているためである。つまり、ハーネス131cを下方向へ引き出すことにより、判定マージンを減少させて、(a)大人と(b)子供との判別を困難なものにしている。これに対して、本発明は上述の通り、ハーネス131をアンテナ電極121から上方向へ引き出しているので、このような判定における判定マージンの減少を生じさせることはない。
【0061】
以上説明したように、本発明の乗員検知システムにおいては、アンテナ電極121〜123と、乗員の着席状況を判定する制御回路(乗員検知ユニット14)とを接続するハーネス131〜133が、シートの背面部12を平面視した場合、該アンテナ電極より上部へ引き出されている。そのため、シールドハーネス構造を用いることなく、変位電流の増大による乗員検知の際の精度劣化を抑制することができるので、上述したように、判定マージンが小さくなることはなく、乗員検知を精度よく行うことができる。また、アンテナ電極とハーネスを同一フィルム上に一体化して形成することができ、製造コストの低い乗員検知システムを提供できる。
【0062】
また、図5は、図4に示すフィルム120の変形例を示す模式図である。図5において、1枚のフィルム120aに配置されるアンテナ電極121〜123は、図4におけるアンテナ電極と同一構成であるため、同一の符号を付している、図5において、ハーネス131a〜133aは、図4におけるハーネス131〜133よりも、アンテナ電極からの引き出し部分が、平面視においてより下側に設けられている。
【0063】
すなわち、アンテナ電極121〜123は、本発明において、それぞれ矩形状に形成され、平面視において矩形の縦の辺が、上下方向と平行になる。ハーネス131a〜133a各々は、アンテナ電極121〜123の縦の辺の最下部からそれぞれ引き出され、引き出されたハーネス各々は下方向へ回り込むことなく、上方の乗員検知ユニット14と接続される。最下部より下方へ回りこむと、図7(b)を用いて説明したように、判定におけるマージンが減少することから、かかる構成としている。
【0064】
また、図6は、図4に示すフィルム120の変形例を示す模式図である。図6において、1枚のフィルム120bに配置されるアンテナ電極121〜123は、図4及び図5におけるアンテナ電極と同一構成であるため、同一の符号を付している、図6において、ハーネス131b〜133bは、上記矩形の上辺から上方へ引き出される。この場合、フィルム120bにおいて、アンテナ電極121からアンテナ電極123へと下方へ行くにつれて、フィルムの幅を細くする構成となり、シートに介挿されるフィルムの全体面積を小さくできる。
【0065】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更等も含まれる。例えばシ−トへのアンテナ電極の配置数は適宜に増減できるし、その形態も角形の他、矩形状,帯状などにも形成できる。例えば、アンテナ電極を菱形にした場合、ハーネスの引き出し部分は、菱形の最下の角部(下側の2本の辺の交差する角)から横方向へ引き出されたのち、乗員検知ユニット14へ接続される。
【0066】
また、本発明の実施形態の説明においては、シート背面部に複数のアンテナ電極を配置する構成を説明したが、シート座面部に複数のアンテナ電極を配置する構成について本発明を適用してもよい。この場合、座面部を上方から平面視して、乗員検知ユニットは複数のアンテナ電極全ての上方に位置し、乗員検知ユニットと各アンテナ電極を接続する各ハーネスは、アンテナ電極の真横より引き出され、該アンテナ電極より下方へ回り込むことなく、乗員検知ユニットへと接続される。例えば、子供が座面部の前方に腰掛けている場合、座面部最後方から引き出されるハーネスに触れることはないため、上記実施形態で説明したのと同様の効果を得ることができる。
【0067】
また、乗員判定は予め判定回路に格納されているしきい値と現実のアンテナ電極に流れる電流に関連する信号デ−タとの比較の他に、乗員のシ−トへの各種着席パタ−ン,着席姿勢などに関するデ−タを予め格納しておき、これとの比較によって、乗員の着席の有無,乗員が大人であるか否かなどの判定を行うこともできる。
【符号の説明】
【0068】
10…フレーム、11…座面部、12…背面部、13…ハーネス部、121,122,123,E1,E2,E3,E4…アンテナ電極、14…乗員検知ユニット、OSC…正弦波発振回路、16…電流制限抵抗、17…バッファ、18…全波整流及び積分回路、19…A/D入力端子、21…コネクタ、23…判定回路、SW,SW1,SW2,SW3…スイッチ、th1,th2,th3…しきい値、31…クッションパッド、33…吊り込み溝、120,120a,120b…フィルム、131,131a,131b,131c,132,132c,133,133c…ハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シ−トと、
前記シ−トの背もたれ部または着席部の少なくとも一方に配置した複数のアンテナ電極と、
前記複数のアンテナ電極各々の周辺に微弱電界を発生させ、この微弱電界に基づいて発生する信号データと、乗員のシ−トへの着席状況に応じて予め設定されたしきい値データとを比較し、乗員の着席状況を検知する制御ユニットと、
前記複数のアンテナ電極各々と前記制御ユニットとを接続する複数のハーネスと、
を備え、
前記シートをシート前方より平面視した場合、前記制御ユニットは、前記複数のアンテナ電極全ての上方に位置し、前記複数のハーネス各々は、前記複数のアンテナ電極それぞれから上方へ引き出され、前記制御ユニットと接続されることを特徴とする乗員検知システム。
【請求項2】
前記複数のハーネス各々は、対応するアンテナ電極の前記制御ユニットとは反対側の部分から引き出され、前記制御ユニットと反対側へ回り込むことなく、前記制御ユニットへ接続されることを特徴とする請求項1記載の乗員検知システム。
【請求項3】
前記複数のアンテナ電極及び前記複数のハーネスは、絶縁性のフィルム基材に導電塗料を印刷して一枚のフィルム上に形成され、
前記一枚のフィルムは、前記シートのシート表皮及びクッションパッドの間に介挿されていることを特徴とする請求項1または請求項2いずれか1項に記載の乗員検知システム。
【請求項4】
衝突に基づいてエアバッグを展開させる機能を有するエアバッグ装置を更に備え、
前記制御ユニットは、判定結果に基づくデ−タを前記エアバッグ装置に送信し、エアバッグ装置のエアバッグを展開可能な状態又は展開不可能な状態のいずれか一方にセットすることを特徴とする請求項1から請求項3いずれか1項に記載の乗員検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−122834(P2011−122834A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278337(P2009−278337)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(300052246)株式会社ホンダエレシス (105)
【Fターム(参考)】