説明

乗用型作業機

【課題】8条植えなどの多条植え用であっても適切な位置で苗の植え付けができる旋回連動制御装置を備えた乗用型作業機を提供すること。
【解決手段】作業装置4を連結した走行車体2に走行距離を検出する走行距離検出手段205を設け、旋回時の走行距離が所定値に達したら、ブザー186が鳴って走行車体2の操向用のハンドル34を例えば90度旋回操作させる、さらに走行距離が所定値に達したら、ブザー186をもう一度鳴らして走行車体2の操向用のハンドル34を、再び例えば90度旋回操作させることができるようにすると、オペレータの操向操作の目安になり、所望の走行経路で旋回でき、8条植えなどの多条植え用の乗用型作業機であっても、前回の植付条に一部重なった状態で苗の植え付けをするおそれなく圃場での旋回が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に苗植え付け装置などの作業装置を連結した乗用型作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業車両の進行方向左右に配置される車輪を操向レバーの操作で、該レバーの操作に対応した車輪のサイドクラッチを入切して旋回内側の車輪の回転数に基づいて、車両の後部に連結した苗植付装置などの作業機の旋回終了と共に苗植付作業を自動的に行わせる旋回連動制御装置を備えた乗用型作業機が知られている。
【特許文献1】特開2004−344020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に開示された6条植え用の乗用型田植機に代えて8条植え用の乗用型田植機を用いると、機体の横幅が大きいので、田植機の旋回半径が大きくなり、旋回の程度を強めたり緩めたりする必要があるが、前記特許文献1に開示された旋回連動制御装置を適用しても十分旋回できずに前回の植付条に一部重なった状態で苗の植え付けをするおそれがあった。
そこで本発明の課題は8条植えなどの多条植え用であっても適切な位置で苗の植え付けができる旋回連動制御装置を備えた乗用型作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記課題は次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、走行車体(2)に作業装置(4)を連結し、走行車体(2)に走行距離を検出する走行距離検出手段(205)を設け、旋回時の走行距離が所定値に達したら、告知する告知手段(186)を設け、走行車体(2)の操向度合を変更できる操向手段(34)を設けた乗用型作業機である。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明によれば、ハンドル(34)を旋回操作する際に、オペレータの操向操作の目安になり、所望の走行経路で旋回でき、8条植えなどの多条植え用の乗用型作業機であっても、前回の植付条に一部重なった状態で苗の植え付けをするおそれなく圃場での旋回が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び図2は本発明を用いた一実施例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0007】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0008】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。
【0009】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0010】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0011】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0012】
苗植付部4は8条植の構成で、フレームを兼ねる苗植付伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(図示せず)等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にミドルフロート57とサイドフロート56がそれぞれ設けられている。これらフロート55〜57を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55〜57が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。各フロート55〜57は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0013】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55〜57の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)、…まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体(図示せず)、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0014】
苗植付部4には整地装置の一例であるロータ27(27a,27b)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
【0015】
ロータ27は、次のような支持構造に支持されている。すなわち苗載台51の前記支持枠体65の両側辺部材65bに上端を回動自在に支持された梁部材66と該梁部材66の両端に固着した支持アーム67と該支持アーム67に回動自在に取り付けられたロータ支持フレーム68が設けられ、該ロータ支持フレーム68の下端にはロータ27(サイドロータ27aとセンタロータ27b)の駆動軸70(70a,70b)が取り付けられている。また該ロータ支持フレーム68の下端部近くは苗植付伝動ケース50に回動自在に取り付けられた連結部材71に連結している。
【0016】
フロート55〜57との配置位置の関係でセンタフロート55の前方にあるロータ27bはサイドフロート56とミドルフロート57の前方にある各ロータ27aより前方に配置されている。そのためロータ27aの駆動軸70aへの動力は後輪11のギアケース18内のギアから伝達され、ロータ27bの駆動軸70bへは両方のロータ27a,27aの駆動軸70a,70aの車体内側の端部からそれぞれ動力が伝達される。
【0017】
また、ロータ27bは梁部材66に上端部が支持された一対のリンク部材76,77によりスプリング78を介して吊り下げられている。
また、ロータ上下位置調節レバー81の下端部には折曲片82が固着されており、該折曲片82は支持枠体65に回動自在に支持されている。そして前記レバー81が車両の左右方向に回動操作されると、支持枠体65の両側辺部材65bに回動自在に支持された梁部材66に固着支持された突出部66aの近くを折曲片82が上下に回動する。折曲片82は前記突出部66aの下方を係止しているので、該突出部66aがレバー81の機体右方向の回動で、上向きに梁部材66を中心として回動する。該突出部66aの前記回動により第一リンク部材76の梁部材66との連結部と反対側の端部も梁部材66を中心として上向きに回動する。この第一リンク部材76の上方への回動により第二リンク部材77とスプリング78を介してロータ27bを上方に上げることができる。ロータ27bを上方に移動させると、駆動軸70bと駆動軸70aを介してロータ27aも同時に上方に移動する。
なお、ロータ上下位置調節レバー81は車体2のほぼ中央部に設けているので、ロータ27a,27bの上下動を行う場合に左右のバランスを取りやすい。
【0018】
また、苗植付部4を圃場に下げたときに、苗植付部4を水平位置に戻すケーブル45をセンタロータ27bのリンク部材76,77とスプリング78等からなる引上げスプリング部と油圧ピストン46(図1の位置を修正)と連動させた。
【0019】
このように、センタロータ27bのスプリング78等によるスイング機構の他にケーブル45を設けることで苗植付部4を上昇位置から下降させるごとにセンタロータ27bを水平位置に戻すことができ、センタロータ27bの保持位置を安定化させることができる。
【0020】
エンジン20の回転動力は、ベルト伝動装置21などを介して油圧式変速装置HST23に伝えられ、油圧式変速装置HST23からの出力はベルト(図示せず)を介してミッションケース12の図示しない入力軸に伝えられる。
【0021】
苗植付部4は、走行車体2のメインフレーム15に昇降リンク装置3で昇降自在に装着されているが、その昇降させる構成と苗植付部4の構成について説明する。先ず、走行車体2に基部が回動自在に設けられた一般的な油圧シリンダー46(図1)のピストン上端部を昇降リンク装置3に連結し、走行車体2に設けた油圧ポンプ(図示せず)により油圧シリンダー46に圧油を供給・排出して、油圧シリンダー46のピストンを伸進・縮退させて昇降リンク装置3に連結した苗植付部4が上下動されるように構成されている。
【0022】
ここで、ステアリングハンドル34にて前輪10,10が操向操作される部分の構成について図3と図4に基づいて説明する。
ステアリングハンドル34は、フロントカバー32内に設けられたステアリング軸上部に固定されており、ステアリング軸の回転はミッションケース12内に設けられたステアリング変速歯車を介して減速されて出力軸174に伝動される。そして、出力軸174の下端は、ミッションケース12底面から突出してピットマンアーム175が固定されている。該ピットマンアーム175の前部左右側と左右前輪ファイナルケース13,13(図1)とは左右ロッド176、176(図4)にて連結されている。
【0023】
従って、ステアリングハンドル34を回動操作すると、ステアリング軸・ステアリング変速歯車・出力軸174・ピットマンアーム175・左右ロッド176、176・左右前輪ファイナルケース13,13へと伝達されて、左右前輪10,10が左右操向操作される。
【0024】
また、図示しないペダルの踏み込みで作動する右アーム171Rはカウンター軸170の右端部に溶接して固定されている。そして、カウンター軸170の左端部には、左アーム171Lが溶接固定されている。更に、右アーム171R・左アーム171Lの各下部から後方に向けて左右連結ロッド172L・172Rが設けられ、各左右連結ロッド172L・172Rの後端は左右後輪ブレーキ装置(図示せず)を操作する左右シフタ85J,85Jを操作する左右ブレーキ操作アーム86J,86Jに連結されている。
【0025】
一方、ピットマンアーム175の後部上面には、作動ローラ177が回転自在に設けられており、その作動ローラ177の左右両側を囲むように平面視でコ字状に切り欠かれた切欠き部178を有する従動体179がミッションケース12の底面に回動自在に支持されている。そして、従動体179の左右両側部には、前記左右クラッチ操作アーム86I、86Iに連結された左右ロッド180、180の前部が連結されている。従って、ステアリングハンドル34を所定量(機体を右旋回させる意思を持って作業者が右に回す量)以上右に回すと、ピットマンアーム175も右回動し、作動ローラ177が(ハ)方向に回動し、従動体179の切欠き部178の左側面178aを押すために、従動体179を(ニ)方向に回動させ右ロッド180を引き、右クラッチ操作アーム86Iが操作されて右サイドクラッチが切れ、旋回中心側の右後輪7が遊転状態となるので、右後輪7が耕盤を傷めることなく、また、泥土を多量に持ち上げて泥面を荒してしまうようなこともなく、右旋回がスムーズできれいにできる。
【0026】
逆に、ステアリングハンドル34を所定量以上左に回すと、ピットマンアーム175も左回動し、作動ローラ177が反(ハ)方向に回動し、従動体179の切欠き部178の右側面178bを押すために、従動体179を反(ニ)方向に回動させ、左ロッド180を引き、左クラッチ操作アーム86Iが操作されて左サイドクラッチが切れ、旋回中心側の左後輪11が遊転状態となるので、左後輪11が耕盤を傷めることなく、また、泥土を多量に持ち上げて泥面を荒してしまうようなこともなく、左旋回がスムーズできれいにできる。
【0027】
更に、ピットマンアーム175の前部上面には、左右センサ押片182、182が設けられており、ステアリングハンドル34を左右何れかに200度回転させると、ミッションケース12の底面に固定されたオートリフトスイッチ183がONになる(ステアリングハンドル34は左右に最大360度〜400度回転する)。
これらの図3、図4に示す部材175〜183を旋回連繋機構Aと言うことにする。
【0028】
上記した実施例では、ステアリングハンドル34の所定角以上の操作により、旋回内側の後輪11のサイドクラッチ(図示せず)を切る例を示したが、サイドクラッチスイッチを作業モニタ装置に備えた操作盤33に設けておき、手動でサイドクラッチの「切」が可能な構成にしても良い。または、サイドクラッチペダルにより、手動でサイドクラッチの「切」が可能な構成にしても良い。
【0029】
次に、後進時に苗植付部4を自動的に上昇させる制御構成について説明する。先ず、図5に示すように、チェンジレバー90(前後進レバー)を後進速に操作すると、チェンジレバー90の基部に設けた接当片190が接当してONになるバックリフトスイッチ191が設けられており、制御装置163(図6)の苗植付装置上昇手段により電磁油圧バルブ161を作動させる電磁ソレノイドを制御して油圧シリンダー46にて苗植付部4を最大位置まで上昇させるように構成されている。
【0030】
このように、チェンジレバー90を後進速に操作すると、自動的に苗植付部4を最大位置まで上昇させるように構成しておくと、圃場の畦際で機体を旋回させるため等に機体を畦に向かって後進させる時に、自動的に苗植付部4は最大位置まで上昇しているので、苗植付部4が畦に衝突して破損することが未然に防止でき作業性が良い。
【0031】
また、前記ステアリングハンドル34を左右何れかに200度回転させた時に図6に示すオートリフトスイッチ183がONになると、制御装置163の苗植付部上昇手段により電磁油圧バルブ161を作動させる電磁ソレノイドを制御して油圧シリンダー46にて苗植付部4を最大位置まで上昇させるように構成されている。
【0032】
このように、畦際で機体を旋回させるためにステアリングハンドル34を左右何れかに最大限まで回転させると、オートリフトスイッチ183がONになり、自動的に苗植付部4は最大位置まで上昇するので、機体旋回時に苗植付部4を上昇させる操作が不要となり、能率良く機体旋回が行えて作業性が良い。
【0033】
一方、操作盤33には、苗植付部4の自動上昇を行わせる状態と行わせない状態とに切替える自動リフト切替スイッチ192(図6)が設けられており、即ち、自動リフト切替スイッチ192を自動にしていると、上記のようにバックリフトスイッチ191がONになるかオートリフトスイッチ183がONになると自動的に苗植付部4は制御装置163の苗植付装置上昇手段により自動上昇される。そして、自動リフト切替スイッチ192をOFFにしていると、バックリフトスイッチ191がONになってもオートリフトスイッチ183がONになっても苗植付部4は自動上昇されない。
【0034】
このように、一つの自動リフト切替スイッチ192で、バックリフトスイッチ191がONになってもオートリフトスイッチ183がONになっても苗植付部4は自動上昇されない状態にすることができるので、バックリフトとオートリフトの各々を入り切りするスイッチを別々に設けた構成よりも簡潔な構成となり、一つのスイッチで両者の状態切替えが行えるので、操作ミスが少なくなり作業性が良い。
【0035】
なお、自動リフト切替スイッチ192をOFFにして、バックリフトスイッチ191がONになってもオートリフトスイッチ183がONになっても苗植付部4が自動上昇しない状態にしておくと、機体を後進で納屋等にしまう時にチェンジレバー90を後進速に操作しても苗植付部4が自動上昇しないので、苗植付部4を下げたまま後進することができ、納屋の入口上部や納屋内の他の部材に苗植付部4をぶつけてしまうような事態が回避できる。また、扇型やひょうたん型等の変形圃場で畦際に沿って周り植えをする場合に、曲がった畦に沿ってステアリングハンドル34を回しながら植付け作業を行うが、この時に、自動リフト切替スイッチ192を自動位置にしていると、ステアリングハンドル34を左右何れかに200度以上回転すると自動的に苗植付部4が上昇してしまい植付け作業が行えないが、自動リフト切替スイッチ192をOFFにしていると、ステアリングハンドル34を左右何れかに200度以上回転しても苗植付部4は上昇しないので植付け作業が行え、変形圃場でも適切に苗植付け作業が行える。
【0036】
また、上記構成からなる田植機1では、本実施例の制御装置163は旋回内側の後輪11の回転数の検出に基づいて、旋回時の苗植え付けなどの諸作動を自動的に行わせる旋回連動制御ができる。特に、旋回内側の後輪11が所定角度以上操舵されているときに、前記旋回連動制御ができる。
【0037】
この制御の考え方を図7と図8と表1に示す。
【表1】

【0038】
すなわち、ステアリングハンドル34を切り、旋回内側の後輪11のサイドクラッチが切れた状態で、左右ドライブシャフト(伝動軸)(図示せず)の回転数を検出し、旋回時の内側の後輪7の伝動軸回転数が設定値N1を超えると苗植付部4を下降させる。その後、後輪7の伝動軸回転数が設定値N2と苗植付け具126の作動が「切り」状態に入って(=苗植付装置52が上げ状態に移って)からステアリングハンドル34の切り操作開始までの後輪11の伝動軸の回転数nの合計値以上になると植付「入り」にする機構である。
【0039】
上記旋回連動制御のフローを図9に示す。
まず、左右の後輪11,11の伝動軸の回転数を伝動軸回転数センサ205で検出し、また設定値N1(旋回開始から機体90°旋回までの内側ドライブシャフト(伝動軸)回転信号設定値)、N2(図8の旋回開始から180度旋回する間での距離(ロ)を走行するまでの内側ドライブシャフト(伝動軸)回転信号設定値)、θ1((直進操作時のハンドル切り設定角度の)下限値)、θ2((直進操作時のハンドル切り設定角度の)上限値)をセットする。
【0040】
次いで、圃場の硬軟や水深、耕盤深さ等の圃場条件の相違に対応するために、前記回転数N1、N2及びハンドル切り角度θ1、θ2の各設定値を調節する設定ダイヤル206a〜208b(図6)により、補正値n0を設定する。
【0041】
苗植付部4の苗植付け具126が苗の植え付け状態にあるか無いかをフィンガーレバー166の操作に伴う制御装置163の状態で検出して、植付「入」から植付「切」になったとき、苗植付け具126の作動が「入り」状態に入ってから苗植付け具126の作動が「切り」状態になるまでの後輪11の伝動軸の回転数nを伝動軸回転数センサ205で検出して、その値(n)を記憶しておく。次いで、ステアリングハンドル34の切り角度(操舵角度)θをステアリングハンドル34のシャフトに設けたハンドル切れ角センサ(ポテンショメータ)193(図6)で検出して直進時(θ1<θ<θ2)以外の時には左右のいずれの方向に旋回中であるかどうかを検出する。
【0042】
圃場端部などで、次の植付条に苗を植え付けるために田植機1を旋回させる場合に、ハンドル34を旋回操作して旋回内側の後輪11のサイドクラッチを切り、後輪11の左右ドライブシャフトの回転数が旋回開始時から第1の設定回転数N1になると(第1の設定回転数N1で図8に示す走行軌跡に従って旋回開始から90度旋回する間での距離(イ)を走行する。)、ブザー186を長く鳴らしてハンドル34を強く回転させて機体を90度旋回させる。
【0043】
左旋回中であると左後輪11の伝動軸の回転数を検出して、回転数n1がn1≧N1+n0になると、旋回開始から機体が90度以上旋回したことになるので苗植付部4を下げる。この苗植付部4の下降で枕地が均平化される。また、機体を90度旋回させた後にはブザー186を鳴らすのを止めて、ハンドル34の旋回度合いを緩めながら前進させ、左後輪11の左右ドライブシャフトの回転数n2がn2≧N2+n+n0になると(設定回転数N2で図8の旋回開始から180度旋回する間での距離(ロ)を走行する。)、ロングブザー186を鳴らしてハンドル34を再度強く回転させて機体を90度旋回させる。機体を90度旋回させた後にはブザー186を鳴らすのを止めて、ハンドル34の旋回度合いを緩めながら前進して距離(ロ)+(ハ)走行し、かつ180度の旋回が完了する。このとき図9に示す旋回が完了して設定回転数N2で植付クラッチ「入り」が行われ、苗植付け具126を作動させて苗の植え付けを開始させる。
【0044】
また、後輪11の左右ドライブシャフトの回転数が旋回開始時から第1の設定回転数N1に達してロングブザー186を鳴らしてハンドル34を90度旋回させた後に、ハンドル34の旋回を緩めても中央近傍に戻らなかった場合には、次のロングブザー186が鳴る間での間隔を短くして、走行距離(ロ)が短くなっても、後輪11の左右ドライブシャフトの回転数が旋回開始時から第2の設定回転数N2に達したときにはロングブザー186を鳴らして、再びハンドル34を90度旋回させる。
【0045】
また、前記ブザー186に替えてセンターマスコット29の点滅又は音声で、例えば「ハンドルを戻してください」、「ハンドルを切って条合わせしてください」などと操縦者に知らせて、旋回操作をさせることにしても良い。
【0046】
こうして8条植えなどの多条植え用の乗用型作業機であっても、前回の植付条に一部重なった状態で苗の植え付けをするおそれなく圃場での旋回が可能となる。
【0047】
右旋回の場合にも左旋回時と全く同様の制御が行われる。
なお、前記旋回制御時には苗植付部4の「下げ」から苗植付部4の「入り」までの間に苗植付部4の油圧シリンダー46の油圧感度を鈍感(上昇側に切り替わらない)状態にすることでセンターフロート55などを前上がり状態にすることが望ましい。これはセンターフロートセンサー169の制御目標をセンターフロート55が前上がり状態になるように設定することで行え、センターフロート55を前上がり状態にすることで旋回跡を均平にすることができ、枕地処理が容易に精度よく行える。
【0048】
このようにサイドクラッチが切れている後輪11の伝動軸(ドライブシャフト)の回転数を検出するため、動力の伝わっている後輪11の回転数検出に比べてよりスリップなどの影響を受け難い特徴がある。また、後輪11より回転の速いドライブシャフトの回転数を検出するため、容易にその測定精度を上げることができる。その結果、各植え付け条毎の苗の植え付け始めがほぼ一定(枕地幅(D)が一定)となる効果がある。
【0049】
また、上記図9に示す一連の旋回制御の諸動作を行う旋回制御のスタートボタン(スイッチ)184を上記苗植付のスタート位置の設定を行うボタンとして兼用してもよい。
【0050】
このように、畦際から発進して苗植付のスタート位置の設定を行うボタンと前記一連の旋回制御の諸動作を行う旋回制御のスタートボタン(スイッチ)184を兼用することによりボタン操作の忘れを防止できる。
【0051】
一般に、苗植付装置52の苗植付具126の作動速度を一定にして苗の植付間隔(株間)が等間隔になるように設定しているが、例えば比較的広目に株間を設定すると、苗植付具126の作動速度は苗植付時に比べて、苗植付時以外の作動時には遅くなる不等速で苗を植付けることになり、苗植付具126による苗の植付が脈動する。このとき、車速が早いと、苗植付具126の脈動に圃場面の荒れにより生じる走行車体2の振動が加わり、前記脈動が増幅される。
【0052】
そこで、本実施例では、副変速装置(図示せず)の適切な速度段の選択で疎植を行うことができる構成にしておき、図10の車速を変速する変速レバー16と植付クラッチケース25を作動させる疎植・標準植切替レバー118の連結関係を説明する図に示すように、疎植・標準植切替レバー118を実線の疎植付側から矢印A方向に操作して点線位置の標準植付側に移動させると、疎植・標準植切替レバー118の回動基部が設けられた植付クラッチケース25から突出する株間変速シフタ(図示せず)を作動させ、該株間変速シフタにより植付クラッチケース25内の図示しないギア機構が苗植付具126の苗植付間隔を疎植付側から標準植付側に変更させる。
【0053】
また、同時に疎植・標準植切替レバー118の回動基部に一端が連結したケーブル119を介して、該ケーブル119の他端部に連結した車速規制プレート47が回動支点47aを中心に矢印B方向に移動して変速レバー16をより高速側に移動可能とする。
【0054】
これは変速レバー16の回動基部に突設されたピン16aが機体に支持された変速レバーガイドプレート16bのレバーガイド孔16cに沿って変速レバー16をより高速側に移動させることができるからである。
【0055】
しかし、車速規制プレート47の回動支点47aに対してケーブル119との連結部とは反対側の車速規制プレート47の端部は機体に支持されたスプリング48で常に矢印B方向の反対方向に付勢されているので、疎植・標準植切替レバー118が実線の疎植付側に移動するとき、及びケーブル119が切断したときには車速規制プレート47の先端のフック部に変速レバー16の回動基部に突設されたピン16aが係止され、車速が減速側になるように変速レバー16の回動が規制され、走行安全性を維持できる。
【0056】
図11(a)の苗載台51の下端部の側面図と図11(b)の苗載台51の下端部の平面図に示すように苗載台51の下端部の左右方向には苗載台51の両側の側壁に設けられるジョイント51cに支持させた面苗床の苗を上向きに誘導するシャフト51dが設けられている。該シャフト51dの一方の先端部に円形プレート51daを取り付ける。施肥装置5の残肥料回収管(横長)内の肥料詰まりにて、シャフト51dはジョイント51cから取り出して、掻き出し棒として使用することができる。
【0057】
図12(a)、図12(b)の苗載台51部分の背面図に示すように苗載台51には施肥装置5からの肥料や薬剤(たとえば殺虫材)の散布装置63を配置する。このとき横移動しない植付部フレーム51eに条数分の肥料(又は薬剤)の排出口を設けると、苗載台51の横移動を利用し、苗の両端まで肥料(又は薬剤)を播くことができる。
【0058】
次に苗植付装置52の詳細な説明をする。
苗植付装置52の側面図を図13に、内部の伝動機構図を図14に示す。苗植付伝動ケース50の後端に固定支持体120が苗植付伝動ケース50と一体に設けられ、固定支持体120の内側に回転体(ロータリケース)121が軸受122により回転軸心124aを中心に回動自在に嵌合している。回転体121には、その回転軸(サンギア軸)124を中心とする円周上に互いに120度の位相で3本の最終軸125,125,125が回動自在に設けられ、それぞれの最終軸125の回転体121から突出する左右両端部に苗植付具126,126が一体に取り付けられている。
【0059】
回転体121の内部には、該回転体121と一体回転する駆動ギア130が設けられている。この駆動ギア130を植付伝動部50の後端部に設けた入力ギア131で減速回転させることにより、回転体121が矢印B方向(図13、図16)に回転する。なお、入力ギア131へ伝動するチェーン伝動装置132のスプロケット132aから入力ギア131への伝動部には、動力伝動を切ったとき入力ギア131が所定の位相で停止する停止クラッチ(畦クラッチ)160(図14)が設けられている。停止クラッチ160の構成については後述する。
【0060】
伝動軸50aへの停止クラッチ160の組み付け位置を弾性支持するためのスプリング162を組み付けているが、該伝動軸50aのスプリング162の装着部分の軸径を他の伝動軸50aの軸径より小さくすることで、伝動軸50aのスプリング162の装着部分の軸径と他の軸径との接続部にできる肩(段差部分)に停止クラッチ160の従動体と一体のスプロケット164を止めることができ、スプロケット164の組み付けが容易になると共に、チェーン伝動装置132のスプロケット132aへの動力伝達をするスプロケット164を小型化出来る。
【0061】
図15に苗植付装置52の内部の左側面図を、図16に右側面図を示す。
図15には駆動ギア130と入力ギア131との噛み合い状態が表されている。駆動ギア130の歯数は入力ギア131の歯数の3倍であり、駆動ギア130は3箇所(図15における入力ギア131との噛み合い位置を基準として回転中心から0°,120°,240°の位置)が最大径となる不等径ギアであり、入力ギア131は丸印Cを付けた1箇所(図15における駆動ギア130の噛み合い位置を基準として0°の位置)が最小径となる不等径ギアになっている。したがって、駆動ギア130が0°,120°,240°の位置で入力ギア131と噛み合うときに、駆動ギア130の回転速度が速くなり、駆動ギア130の回転速度は1/3周期で変化する。
【0062】
また、回転体121の内部には、最終軸125,125,125へ伝動するためのギア列が設けられているので、このギア列の連動関係を説明する。
入力ギア131が噛合する駆動ギア130の回転で該駆動ギア130と一体の回転体121が回転し、固定支持体120のケース内面に固定された内歯歯車121a(図16)に噛合する回転ギア135が回転体121の回転に連動して回転体121のサンギア軸124を中心とする円軌道を移動しながら回転する。該回転ギア135は第一偏心ギア136と共に回転体121の両側壁に端部が固定支持された支持軸134に遊嵌され、回転ギア135と第一偏心ギア136が一体回転する。該第一偏心ギア136には第二偏心ギア137が噛合し、該第二偏心ギア137は回転体121の両側壁に端部が回転自在に支持されたサンギア軸124に固定される不等速ギア138と噛合しているので、第二偏心ギア137の回転で不等速ギア138が回転すると、サンギア軸124に固定されているサンギア127を介して、該サンギア127に噛合するカウンタギア139が、該カウンタギア139に噛合する最終ギア140を駆動させる。最終ギア140はサンギア軸124を中心とする円周上に等間隔に3個設けられた最終軸125,125,125にそれぞれ個別に固定支持されている。なお、最終ギア140,140,140も不等速ギア138と同様に非円形ギア(不等径ギア)である。
【0063】
回転体121が回転すると、該回転体121の両側に3個ずつ設けられた苗植付具126が円軌道を移動する。そのとき、回転体121の回転に連動する回転ギア135の作動がギア列を介して最終軸125,125,125へ伝達され、苗植付具126,126,126の姿勢が変化する。これにより、苗植付具126は、後記苗取り爪147の先端が軌跡P(図13、図15)を描くように作動する。
【0064】
また、回転体121の回転方向に略等間隔で3個設けられた最終軸125に苗植付具126が設けられるが、回転体121に軸受123を介して支持される各最終軸125は各々軸受123を介して機体へ取り付けられた外側の固定支持体120に回転可能に支持される。また、回転体121を機体に支持し、回転させるための軸受122を、各最終軸125に設け、この複数の軸受122で回転体121を支持するので、該軸受122を小型化でき、そのため回転体121を軽量化できるので回転体121がスムーズに回転し、苗の植付精度の向上が図れる。
【0065】
前記軸受122で直接最終軸125が支持されるので、各最終軸125の位置精度が向上し、苗植付具126の苗載台51から苗取量と圃場への苗植付深さ等の植付精度の向上が図れる。
【0066】
また、最終軸125に軸受122を組み付けた状態での軸受122の外径寸法を軸受122の外側に組み付けた固定支持体120と回転体121との間の密封用のオイルシール128の固定支持体120への組付け内径寸法より小さくした。そのため軸受122を固定支持体120と回転体121との間に組付ける場合に、オイルシール組付け面が軸受122に干渉しないので、オイルシール組付面が傷付かず、傷つき易いオイルシール128の品質が安定する。
【0067】
さらに回転体121内で軸受122の位置がギア130,131の外側にあるので、軸受122の位置が最終軸125と一体回転する前記ギア130,131の左右両側にあることになり、軸受122で回転体121が安定して支持できる。
【0068】
また、苗植付伝動ケース50と固定支持体120の合わせ位置X(図13、図15参照)が苗載台51の苗受板51f(図11,図13)より機体の後方側にあるので、苗載台51の苗受板51fに邪魔されずに苗植付伝動ケース50に固定支持体120を組付けでき、組付け性が従来より改善される。
【0069】
また、駆動ギア130と入力ギア131とのギアの噛み合わせ用の合マークC(図15参照、)が固定支持体120ひいては回転体121を苗植付伝動ケース50へ組み付ける前には苗植付伝動ケース50の後端より機体外側(後ろ側)にあるので、前記合わせマークCを目印に回転体121を苗植付伝動ケース50へ容易に組み付けることができる。
【0070】
苗植付伝動ケース50に回転体121を組み付けるとき、前記合わせマークCが回転体121に設けた注油栓の穴156で分かるようにすると、さらに苗植付伝動ケース50と回転体121との組み付け性が良くなると共に、組み付け後の駆動ギア130と入力ギア131のギアの噛み合わせ位置の確認も容易に行える。
【0071】
さらに、回転体121の内部には、最終軸125に一体回転するように取り付けた制動カム142(図15)と、該制動カム142の外周面に当接し、固定軸143aに遊嵌する二股状の制動アーム143と、該制動アーム143を制動カム142に押し付けるスプリング144及びサンギア軸124に設けられ、スプリング144の内部に係止する突起を有する留め具145とからなる3組の位相ずれ防止機構が設けられている。
【0072】
この位相ずれ防止機構は、苗植付具126が苗取出位置A及び苗植付位置B(植付始め位置B1、植付終わり位置B2)にある時に最終ギア140の回転を制動し、各ギア間のバックラッシュを吸収して、後述する苗取出し及び苗植付けの動作が正確に行われるように作用する。
【0073】
また、サンギア127が苗載台51からの苗の取り時(苗の掻き取り時)にギアのバックラッシュによる最終軸125の作動誤差(ガタ)が生じないようにするために、サンギア127と最終ギア140との間にカウンタギア139を介してスプリング144を設けている。
【0074】
前記作動誤差(ガタ)を殺すためのガタ取り用のスプリング144を取り付ける部材が苗植付具126を駆動させる駆動ギア130の左右の外側にあることは前記ガタ取り用のスプリング144が駆動ギア130に対して最終ギア139と同じ側にあることになり、前記作動誤差(ガタ)の防止精度が従来より向上する。
【0075】
本実施例の苗植付装置52の各植付具126a〜cの回転速度は、植付伝動ケース50の中央部近辺の領域S(図13で示す軌跡Pの点B1の直前付近)で最も回転速度が遅くなるようにして、苗搬送の速度が遅くなり、植付具126a〜cが圃場へ突入する際の衝撃が少なくなり、苗植付性能が向上する。
【0076】
そのために、ギア131からギア130への等速伝動が遅くなる、植付具126a〜cが前記領域Sがある付近でギア130に噛み合う動力伝達するギア131の偏心径が短くなるようにした。
【0077】
図17(a)のフロントカバー32部分の側面図と図17(b)のフロントカバー32部分の背面図に示すようにフロントカバー32の座席31側の下方に設けた窪み32aに足で踏むことができる株間レバー22を配置することで、足等が株間レバー22に当たりにくくなるため株間レバー22の誤操作が防止できる。
【0078】
また、前記フロントカバー32の窪み32aに、副変速レバー17をフロントカバー32の壁面を構成する仕切板32bと平行に配置することにより足等が当たりにくい位置に副変速レバー17を配置できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、8条植などの多条の苗植付用作業機の旋回時の操作性がよいので乗用型田植機などの乗用型作業機に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例の乗用型田植機の側面図である。
【図2】図1の乗用型田植機の平面図である。
【図3】図1の乗用型田植機のステアリングハンドルによる前輪操向操作の構成を示す平面図である。
【図4】図1の乗用型田植機のステアリングハンドルによる前輪操向操作の構成を示すシ斜視図である。
【図5】図1の乗用型田植機のチェンジレバー部の斜視図である。
【図6】図1の乗用型田植機の制御ブロック図である。
【図7】図1の乗用型田植機の旋回連動制御の考え方を示す図である。
【図8】本実施例の田植機の旋回モードの走行制御について説明する図である。
【図9】図7の旋回連動制御のフローチャートである。
【図10】図1の乗用型田植機の変速レバーと植付クラッチケースを作動させる疎植・標準植切替レバーの連結関係を説明する図である。
【図11】図1の乗用型田植機の苗載台の下端部の側面図(図11(a))と苗載台の下端部の平面図(図11(b))である。
【図12】図1の乗用田植機の苗載台部分の背面図である。
【図13】図1の乗用田植機の苗植付装置の側面図である。
【図14】図1の乗用田植機の苗植付装置の伝動機構図である。
【図15】図1の乗用田植機の苗植付装置の内部左側面図である。
【図16】図1の乗用田植機の苗植付装置の内部右側面図である。
【図17】図1の乗用田植機のフロントカバー部分の側面図(図H(a))と背面図(図17(b))である。
【符号の説明】
【0081】
1 施肥装置付き乗用型田植機 2 走行車体
3 昇降リンク装置 4 苗植付部
5 粉粒体繰出し装置(施肥装置) 10 前輪
11 後輪 12 ミッションケース
13 前輪ファイナルケース 15 メインフレーム
16 変速レバー 16a ピン
16b 変速レバーガイドプレート
16c レバーガイド孔
17 副変速レバー 18 後輪ギヤケース
20 エンジン 21 ベルト伝動装置
22 株間レバー 23 HST
25 植付クラッチケース 26 植付伝動軸
27(27a,27b) ロータ
28 施肥伝動機構 29 センターマスコット
30 エンジンカバー 31 座席
32 フロントカバー 32a 窪み
32b 仕切板 33 操作盤
34 ハンドル 35 フロアステップ
36 リヤステップ 38 予備苗載台
40 上リンク 41 下リンク
42 リンクベースフレーム 43 縦リンク
44 連結軸 45 ケーブル
46 昇降油圧シリンダ 47 車速規制プレート
47a 回動支点 48 スプリング
50 苗植付伝動ケース
50a 伝動軸 51 苗載台
51a 苗取出口 51b 苗送りベルト
51c ジョイント 51d シャフト
51e 植付部フレーム 51f 苗受板
52 苗植付装置 53 ブロア用電動モータ
55 センターフロート 56 サイドフロート
57 ミドルフロート 58 ブロア
59 エアチャンバ 60 肥料ホッパ
61 繰出部 62 施肥ホース
63 散布装置 65 支持枠体
65a 支持ローラ 65b 両側辺部材
66 梁部材 66a 突出部
67 支持アーム 68 ロータ支持フレーム
70(70a,70b) 駆動軸
71 連結部材 73 チェーンケース
74 補強部材 76,77 リンク部材
78 スプリング 81 ロータ上下位置調節レバー
82 折曲片
85J,85J 左右シフタ
86I、86I 左右クラッチ操作アーム
86J,86J 左右ブレーキ操作アーム
90 チェンジレバー(前後進レバー)
118 疎植・標準植切替レバー
119 ケーブル 120 固定支持体
121 回転体(ロータリケース) 121a 内歯歯車
122,123 軸受 124 サンギア軸
124a 回転軸心 125 最終軸
126 苗植付具 127 サンギア
128 オイルシール 130 駆動ギア
131 入力ギア 132 チェーン伝動装置
132a スプロケット 134 支持軸
135 回転ギア 136 第一偏心ギア
137 第二偏心ギア 138 不等速ギア
139 カウンタギア 140 最終ギア
142 制動カム 143 制動アーム
143a 固定軸 144 スプリング
145 留め具 147 苗取り爪
156 注油栓の穴
160 停止クラッチ(畦クラッチ)
161 電磁油圧バルブ 162 スプリング
163 制御装置 164 スプロケット
166 フィンガーレバー
169 センターフロートセンサ
170 カウンター軸 171 アーム
172L・172R 左右連結ロッド
174 出力軸 175 ピットマンアーム
176、176 左右ロッド 177 作動ローラ
178 切欠き部 178a 左側面
178b 右側面 179 従動体
180 左右ロッド 182 左右センサ押片
183 オートリフトスイッチ
184 旋回制御のスタートボタン(スイッチ)
186 ブザー 190 接当片
191 バックリフトスイッチ
192 自動リフト切替スイッチ
193 ハンドル切れ角センサ(ポテンショメータ)
205 伝動軸回転数センサ
206a〜208b 設定ダイヤル
A 旋回連繋機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)に作業装置(4)を連結し、走行車体(2)に走行距離を検出する走行距離検出手段(205)を設け、
旋回時の走行距離が所定値に達したら、告知する告知手段(186)を設け、
走行車体(2)の操向度合を変更できる操向手段(34)を設けたことを特徴とする乗用型作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−23388(P2009−23388A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185744(P2007−185744)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】