説明

乳化化粧料

【課題】経時安定性が良好で、粉っぽさがなく、かさつき感が少なく、使用感に優れた化粧料を提供。
【解決手段】(A)疎水性粉体、
(B)オルガノポリシロキサンセグメントの末端若しくは側鎖のケイ素原子の少なくとも1個に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)が結合してなる共重合体;又はアミノ変性シリコーン


(RはH、C1〜22のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基、xは2又は3の数)、
(C)分子内に平均分子量300〜100000のポリオキシアルキレン鎖を有する非イオン性水溶性高分子、
(D)25℃で液体である油性成分
を含有する乳化化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経時安定性が良好で、粉っぽさがなく、かさつき感が少なく、使用感に優れた乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、さらさらとしたすべりのよい感触を付与したり、耐水性や化粧もちを改善する等のため、化粧料中に疎水性粉体を配合することが行なわれている。しかしながら、疎水性粉体は組成物中での分散安定性が悪く、特に水中油型組成物中では経時で粉体が凝集・沈降してしまうなどの問題がある。このため、疎水性粉体をより安定に分散させる試みがなされている。
【0003】
例えば、HLB値が7未満の常温で液状の界面活性剤と、HLB値が7以上の常温で液状の界面活性剤を併用した疎水性粉体含有水中油型乳化組成物(特許文献1)、HLBが12以下の非イオン性界面活性剤、疎水性粉末、水溶性高分子を含有する水中油型乳化組成物(特許文献2)、油相全量に対して50質量%以上のシリコーン油を含み、且つ疎水化処理粉体の分散剤としてポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン及び/又はイソステアリン酸を含む水中油型乳化組成物(特許文献3)など、ある特定の界面活性剤を配合することで疎水性粉体を均一に分散させる方法が検討されている。
【0004】
しかし、これらの組成物中において疎水性粉体の分散状態は良好であっても、疎水性粉体が白色である場合、皮膚上にその組成物を塗布すると疎水性粉体が凝集して白浮きしたり、仕上がりにムラができてしまい、紫外線防御効果や化粧効果などの効能を十分に発揮できないことがあった。また、粉っぽくてかさつくなど使用感が悪かったり、界面活性剤を多量に用いるため、効果の持続性が低いという問題もあった。
【0005】
一方、ポリ(N−アシルアルキレンイミン)変性シリコーンやアミノ変性シリコーンは、疎水性粉体の分散性を向上させる剤として知られているが(特許文献4、特許文献5)、これらを配合した製剤を実際皮膚上に塗布すると、粉体が凝集して白浮きが起こってしまい、仕上がりが劣るなどの問題があった。
【0006】
また、ポリエチレングリコールやポリオキシアルキレン変性糖類は、乳化物の安定性を向上させたり、化粧料中での無機粉体の凝集を抑制できることが報告されている(特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10)。しかし、これらを用いた組成物は、皮膚上にきれいに塗布できても、耐水面などで劣り、その効果や仕上がりが長時間持続しないという問題があった。
【特許文献1】特開2001−89347号公報
【特許文献2】特開平9−87129号公報
【特許文献3】特開2004−210698号公報
【特許文献4】特開平9−227331号公報
【特許文献5】特開2004−217703号公報
【特許文献6】特開平9−151110号公報
【特許文献7】特開2002−205912号公報
【特許文献8】特開2003−105191号公報
【特許文献9】特開2004−203825号公報
【特許文献10】特開2006−45151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、経時安定性が良好で、粉っぽさがなく、かさつき感が少なく、使用感に優れた乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、疎水性粉体、特定のシリコーン系ポリマー又はアミノ変性シリコーンと、特定の非イオン性の水溶性高分子及び油性成分を組み合わせて用いれば、経時安定性が良好で、粉っぽさがなく、かさつき感が少なく、使用感に優れ、白浮きや塗布ムラのない仕上がりで、また紫外線防御効果や化粧仕上がりの持続性に優れた化粧料が得られることを見出した。
【0009】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)疎水性粉体、
(B)オルガノポリシロキサンセグメントの末端若しくは側鎖のケイ素原子の少なくとも1個に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)が結合してなるシリコーン系ポリマー;又はアミノ変性シリコーン
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、xは2又は3の数を示す)、
(C)分子内に平均分子量300〜100000のポリオキシアルキレン鎖を有する非イオン性水溶性高分子、
(D)25℃で液体である油性成分
を含有する乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の化粧料は、疎水性粉体が均一に分散し、経時安定性が良好で、粉っぽさがなく、かさつき感が少なく、使用感に優れ、皮膚に塗布した際に粉体が凝集したり、白浮きや塗布ムラになることがなく、また紫外線防御効果や化粧仕上がりの持続性に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明で用いる成分(A)の疎水性粉体は、通常の化粧料に用いられる疎水性粉体、及び化粧料用粉体を疎水化処理した粉体を含むものである。
疎水性粉体としては、ポリアミド樹脂パウダー(ナイロン粉末)、多孔質ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリ四弗化エチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、ポリウレタンパウダー、ラウロイルリジン、シリコーンパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、網状型メチルポリシロキサン粉体、アクリル酸ブチル・酢酸ビニル共重合体、シクロデキストリン、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂パウダー等の、有機樹脂粉体などの架橋型あるいは非架橋型の高分子粉体が挙げられる。
【0014】
疎水化処理粉体に用いられる基材としては、無機粉体、天然繊維の粉体、スターチの粉体、真珠光沢顔料、有機色素等が含まれる。
無機粉体としては、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、エポキシ処理アルミニウム、アルミニウム末、リン酸カルシウム、無水ケイ酸、無水ケイ酸アルミニウム、パイロフェライト質クレー、ベントナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、ゼオライト、ハイジライト、シリカ、黄酸化鉄、黄土、黒酸化鉄、ベンガラ、黒酸化チタン、低次酸化チタン、チタン酸鉄、γ−酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムコバルト、酸化クロム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、酸化チタンゾル、酸化鉄・二酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化マグネシウム、水酸化クロム、チタン・二酸化チタン焼結物、チタン酸コバルト、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タングステン酸金属塩、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、オキシ塩化ビスマス、カラミン、ロジン酸ナトリウム処理酸化マグネシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)、窒化ホウ素等が挙げられ、またこれらの2種以上の複合化粉体、アクリル樹脂被覆アルミニウム末、酸化チタン被覆ナイロン末等の有機−無機複合化粉体などが挙げられる。
【0015】
天然繊維の粉体としては、シルクパウダー、ウールパウダー、セルロースパウダー等が挙げられる。
スターチの粉体としては、米、コーン、馬鈴薯等が挙げられる。
真珠光沢顔料としては、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆ガラスフレーク、魚鱗箔等が挙げられる。
このほか、カーボンブラック、群青、紺青、グンジョウバイオレット、タール系色素、レーキ等が挙げられる。
【0016】
これら粉体の疎水化処理方法としては、通常化粧料用の粉体に施されている方法、例えば、シリコーン処理、脂肪酸処理、ラウロイルリジン処理、界面活性剤処理、金属石鹸処理、フッ素処理、レシチン処理、ナイロン処理、高分子処理等が含まれ、なかでもシリコーン処理、脂肪酸処理及びフッ素処理が好ましい。具体的には、シリコーン処理としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーン樹脂等による処理;脂肪酸処理としては、例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸等による処理;フッ素処理としては、例えば、パールフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルシラン等による処理が挙げられる。疎水化処理剤の使用量は、処理前の粉体質量に対して通常0.5〜70質量%、特に1〜40質量%であるのが好ましい。
【0017】
成分(A)の疎水性粉体の形状や粒径は特に制限されないが、平均粒径が10μm以下であるのが、塗布した際に白浮きのない均一な仕上がりが得られるので好ましい。
疎水性粉体を紫外線防御剤として用いる場合、特に疎水化処理酸化チタンや疎水化処理酸化亜鉛が好ましく、これらの平均粒子径は0.001〜1μm、その形状としては、例えば粒状、球状、紡錘状、樹枝状、バルーン状、毬栗状等が好ましい。疎水化処理を行なう前に、酸化チタン及び酸化亜鉛の粉体表面に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム等で前処理を行い、粉体表面の活性を抑制することもできる。
【0018】
本発明において、疎水性粉体が白色の体質顔料である場合には、白浮きが抑えられ、特に酸化亜鉛や酸化チタンなどの紫外線防御剤である場合には、紫外線防御能を十分に発揮させることができる。また、疎水性粉体が酸化鉄やパール顔料等の着色顔料である場合には、ムラなく、均一な美しい化粧の仕上がりを得ることができる。
【0019】
成分(A)の疎水性粉体は、1種以上を用いることができ、全組成中に1〜60質量%、特に3〜40質量%含有するのが、十分な紫外線防御効果や美しい仕上がり、かつそれら効果の持続性が得られるので好ましい。
【0020】
本発明で用いる成分(B)のうち、シリコーン系ポリマーは、オルガノポリシロキサンセグメントの末端又は側鎖のケイ素原子の少なくとも1個に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)が結合してなる共重合体であり、常温・常圧では粘性液体状又は固体状を呈する物質である。
【0021】
オルガノポリシロキサンセグメントの末端又は側鎖のケイ素原子の少なくとも1個に、2−置換オキサゾリン類または2−置換オキサジン類の開環重合によって得られる、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して上記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)が結合してなる共重合体は、該ポリ(N−アシルアルキレンイミン)のセグメントとオルガノポリシロキサンのセグメントとの重量比が1/50〜20/1、特に1/40〜2/1で、分子量が5000〜500,000、特に1,000〜300,000のものが、本発明において高い効果を得る上で好ましい。
【0022】
式(1)中、Rで示されるシクロアルキル基としては炭素数3〜6のものが挙げられ;アラルキル基としてはフェニルアルキル、ナフチルアルキル等が挙げられ;アリール基としてはフェニル、ナフチル、アルキル置換フェニル等が挙げられる。
前記オルガノポリシロキサンのセグメントとポリ(N−アシルアルキレンイミン)のセグメントとの結合において介在するヘテロ原子を含むアルキレン基としては、窒素原子、酸素原子及び/又はイオウ原子を1〜3個含む炭素数2〜20のアルキレン基が挙げられ、その具体例としては、下記式で表される基が挙げられる。
【0023】
【化2】

【0024】
かかるシリコーン系ポリマーの好ましい例としては、ポリ(N−ホルミルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−n−オクタノイルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−n−ドデカノイルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−ホルミルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−アセチルエチレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−アセチルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−プロピオニルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−n−オクタノイルプロピレンイミン)変性シリコーン、ポリ(N−n−ドデカノイルプロピレンイミン)変性シリコーン等が挙げられる。
【0025】
これらのシリコーン系ポリマーは、公知の方法(特開平2−276824号公報、特開平4−85334号公報、特開平4−85335号公報、特開平5−112423号公報、特開平7−133352号公報、特開平10−95705号公報等)により製造することができる。
【0026】
また、成分(B)のうち、アミノ変性シリコーンとしては、例えば下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
【0027】
【化3】

【0028】
一般式(2)において、R1は炭素数1〜20の一価有機基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロヘキシル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基等のハロゲノアルキル基などが挙げられる。R1としては、これらの基から選択される1種又は2種以上とすることができるが、特に90モル%以上がメチル基であるのが好ましい。
また、R2は下記式で示される基である。
【0029】
【化4】

【0030】
ここで、R4は炭素数1〜6の二価アルキレン基であり、例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、トリメチレン基が好ましい。
また、R5、R7、R8はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜10の一価有機基を示し、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子や水酸基で置換した基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロヘキシル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基等のハロゲノアルキル基などが挙げられる。
【0031】
なお、これらの中では水素原子が最も好ましいが、R5、R7、R8の少なくとも1つが水素原子の場合、残りの基の一部又は全部が酸無水物、エポキシ化合物、アクリル化合物との反応により得られる一価有機基、例えば−COCH3、−CH2CH(OH)CH2OH、−CH2CH(OH)CH2OCH2CH2OHなどの基であってもよい。
【0032】
また、R6は炭素数1〜4の二価アルキレン基であり、例えばメチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられ、特に、ジメチレン基が好ましい。
pは0≦p≦6、好ましくは0≦p≦3である。pが6を超えると工業的に入手が困難で、特性上も利点が少ない場合がある。
このような基R2としては、具体的に下記のものが例示される。
【0033】
【化5】

【0034】
更に、一般式(2)中、R3は前記のR1若しくはR2と同様の基又は−OR9である。ここで、R9は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。R3は、これらの中でもメチル基、水酸基、メトキシ基であるのが好ましい。
【0035】
上記一般式(2)において、mは10≦m≦10,000であり、特に100≦m≦2,000が好ましい。mが10未満では、特性が不十分なものとなり、10,000を超えると、高粘度となり配合が困難となる。nは0.1≦n≦1,000であり、特に1≦n≦100が好ましい。nが0.1未満では、特性が不十分なものとなり、1,000を超えると、高粘度となり配合が困難となる。
アミノ変性シリコーンとしては、特にアモジメチコン、アミノエチルアミノプロピルジメチコン、アミノプロピルジメチコンが好ましい。
【0036】
成分(B)は、溶解又は分散性を向上させるためにアルコールを組み合わせて用いるのが好ましい。成分(B)をアルコール分散液として配合すると、化粧料中での高分子化合物の溶存状態が良好となり、成分(A)や成分(C)とともに肌表面に均一に広がり、効果が十分に発揮できる。成分(B)と組み合わせて用いられるアルコールとしては、溶解性、分散性及び化粧料に配合する際のハンドリングの良さから、炭素数1〜4の低級アルコールが好ましく、その中でもエタノールが特に好ましい。
【0037】
成分(B)は、1種以上を用いることができ、シリコーン系ポリマーとアミノ変性シリコーンを組み合わせて用いることもできる。
成分(B)は、全組成中に0.1〜20質量%、特に0.1〜10質量%含有するのが、べたつきや粉っぽさなどがなく、化粧料の使用感が損なわれないので好ましい。
また、成分(A)と成分(B)の質量比率〔(B)/(A)〕は、0.005〜3、特に0.01〜2、更に0.05〜0.2であるのが、皮膚に塗布した際の疎水性粉体による白浮きや塗布ムラが効率よく抑えられるので好ましい。
【0038】
本発明で用いる成分(C)の水溶性高分子は、分子内に平均分子量300〜100000、好ましくは400〜70000のポリオキシアルキレン鎖を1又は2以上有する非イオン性ものである。ポリオキシアルキレン鎖のアルキレン基は、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、特に、エチレン基、プロピレン基が好ましい。分子内には、ポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖を有していてもよい。
成分(C)の水溶性高分子としては、例えば、次の(C−1)〜(C−4)のものが挙げられる。
【0039】
(C−1)平均分子量300〜100000のポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール:
具体的には、ポリエチレングリコール600(PEG−12)、ポリエチレングリコール1000(PEG−20)、ポリエチレングリコール1500(PEG−30)、ポリエチレングリコール1540(PEG−32)、ポリエチレングリコール2000(PEG−40)、ポリエチレングリコール4000(PEG−75)、ポリエチレングリコール6000(PEG−150)、ポリエチレングリコール11000(PEG−240)、ポリエチレングリコール20000(PEG−400)、高重合ポリエチレングリコール(PEG−45M、PEG−65M等)、ポリプロピレングリコール(PPG−12、PPG−17、PPG−30、PPG−51など)、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンの共重合体、例えばポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレングリコール(30)、ポリオキシエチレン(48)ポリオキシプロピレングリコール(35)(ポロキサマー215)等が挙げられる。
【0040】
(C−2)平均分子量300〜100000のポリオキシアルキレン鎖を有するポリオキシアルキレン変性糖類:
ポリオキシアルキレン変性糖類は、糖類として単糖類;二糖類、三糖類等のオリゴ糖;糖アルコールなどが挙げられ、なかでもグルコース、ソルビトール、エリスリトール、ショ糖が好ましい。特に、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基で変性されたポリオキシアルキレン変性アルキル変性糖類が好ましく、例えばポリオキシアルキレンメチルグルコシドが挙げられる。さらに好ましくはアルキレンオキサイド平均付加モル数が10〜50のもの、特に10〜30のものが好ましい。
より具体的には、メチルグルセス−10、メチルグルセス−20等のポリオキシエチレンメチルグルコシド、PPG−20 メチルグルコースエステル等のポリオキシプロピレンメチルグルコシドが好ましい。
【0041】
(C−3)平均分子量300〜100000のポリオキシアルキレン鎖を有する多糖誘導体:
多糖類又はその誘導体におけるヒドロキシ基の水素原子の一部又は全てが、次の一般式(3)で表される基
-E1-(OA)q-E2-R10 (3)
〔式中、E1はヒドロキシ基又はオキソ基が置換していてもよい炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基を示し、qは8〜300の数を示し、q個のAは同一又は異なって、炭素数1〜6の2価の飽和炭化水素基を示し、E2はエーテル結合又はオキシカルボニル基を示し、R10はヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数4〜30のアルキル基を示す〕
で置換されている多糖誘導体。
【0042】
一般式(3)における炭化水素基E1は、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のいずれでも良く、炭素数2又は3のものが好ましい。具体的にはエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、2−ヒドロキシトリメチレン基、1−ヒドロキシメチルエチレン基、1−オキソエチレン基、1−オキソトリメチレン基、1−メチル−2−オキソエチレン基等が挙げられる。
【0043】
一般式(3)における2価の炭化水素基Aは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のいずれでも良く、炭素数2又は3のものが好ましい。具体的にはエチレン基、プロピレン基及びトリメチレン基が挙げられる。qは−(OA)−のくり返し単位の平均数であり、増粘効果及び分散安定性の点から、8〜100が好ましく、特に10〜60が好ましく、q個のAは同一でも異なっても良い。E2はエーテル結合(−O−)又はオキシカルボニル基(−OCO−又は−COO−)を示し、特にエーテル結合が好ましい。
【0044】
一般式(3)における長鎖アルキル基R10は、炭素数4〜30であり、特に炭素数5〜25、更には6〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。具体的にはオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イソステアリル基等が挙げられる。中でも、乳化系の安定性の点から、直鎖アルキル基が好ましい。
【0045】
多糖誘導体における一般式(3)で表わされる基の置換度は、構成単糖残基当たり0.0001〜1.0、更に0.0005〜0.5、特に0.001〜0.1の範囲が好ましい。
このような多糖誘導体としては、例えば、国際公開第00/73351号パンフレット、特開2005−336116号公報に記載されたものを使用することができる。特に、ヒドロキシエチル(ヒドロキシプロピルポリエチレングリコールドデシルエーテル)セルロース(ラウレス−13 PG−ヒドロキシエチルセルロース)等が好ましい。
【0046】
(C−4)疎水化エトキシ化ウレタン:
(PEG−8/SMDI)コポリマー、(PPG−12/SMDI)コポリマー、(PPG−51/SMDI)コポリマー、PEG−150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマー、PEG−150/デシルアルコール/SMDIコポリマー等が挙げられ、アキュリン46、アキュリン44(以上、ローム・アンド・ハース・ジャパン社)等の市販品を使用することができる。
【0047】
(C−1)〜(C−4)のうち、製造におけるハンドリング性や、組成物の感触面から、特に、平均分子量800〜70000のポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド付加モル数20のポリオキシアルキレンメチルグルコシド、特開2005−336116号公報に記載のポリオキシアルキレン基置換多糖誘導体が好ましい。更には、平均分子量800〜70000のポリエチレングリコールがもっとも好ましい。
【0048】
成分(C)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.01〜30質量%、特に0.1〜25質量%含有するのが、なめらかなのびを有し、皮膚に均一に塗布しやすいのでので好ましい。
また、成分(B)と成分(C)の質量比率〔(C)/(B)〕は、0.01〜200、特に0.1〜50、更に1〜20であるのが、成分(A)の疎水性粉体をより均一分散できるので好ましい。
【0049】
本発明で用いる成分(D)の油性成分は、25℃で液体のものであり、25℃における粘度が3000mPa・s以下の液体油が好ましい。この液体油の粘度は、1気圧25℃において、BrookfieldタイプのBM型粘度計で、No.3スピンドル、12回転で1分間測定したときの値である。
【0050】
成分(D)の具体例としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高級脂肪酸変性オルガノポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油;オリーブ油、ホホバ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等の脂肪酸エステル;ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等の脂肪酸と多価アルコールとからなるエステル油;グリセリン誘導体、アミノ酸誘導体等のエステル油などが挙げられる。
【0051】
成分(D)は、1種以上を用いることができ、全組成中に10〜80質量%、特に20〜60質量%含有するのが好ましい。成分(D)がこの範囲にあると、塗布時において疎水性粉体が皮膚上で再凝集したり不均一に付着せず、ムラなく均一な美しい仕上がりが得られ、80質量%を超えるとべたつきやぬるつきが出てきて使用感が損なわれやすくなる。
また、成分(B)と成分(D)の質量比率〔(B)/(D)〕は0.001〜0.5、特に0.005〜0.4、更に0.01〜0.1であるのが、良好な使用感が得られ、製剤中で均一に粉体を分散できる点で好ましい。
【0052】
本発明においては、成分(A)と成分(B)を除く油相中における成分(D)の含有割合が30質量%以上、特に30〜95質量%であるのが、本発明の効果が明確に発揮される点で好ましい。
なお、油相中には、成分(A)、成分(B)、成分(D)のほか、25℃で固体又は半固体の油性成分、界面活性剤、油溶性紫外線吸収剤(例えば、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン等)、油溶性の有効成分(例えば、油溶性ビタミンC誘導体、グリチルレチン酸ステアリル、酢酸トコフェロール等)、皮膜形成剤(例えば、トリメチルシロキシケイ酸、アルキル変性シリコーン等)、溶媒としてのエタノールなどを含有することができる。
【0053】
本発明の化粧料には、更に(E)界面活性剤を含有することができる。かかる界面活性剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されないが、非イオン界面活性剤が好ましく、特にHLB8以下の非イオン界面活性剤が好ましい。
具体的には、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエートなど)、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸グリセリン、モノイソステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸など)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸ジグリセリン、トリステアリン酸ヘキサグリセリンなど)、プロピレングリコール・ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸ペンタエリスリトールなど)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、POE(4)モノステアレート、POE(2)モノオレエートなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、POE(2)セチルエーテル、POE(5)ベヘニルエーテル、POE(3)オクチルフェニルエーテルなど)、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油(例えば、POE(3)ヒマシ油、POE(5)硬化ヒマシ油など)、変性シリコーンでシリコーン鎖が直鎖、分岐または架橋タイプ(例えば、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル・アルキル共変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンなど)、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0054】
成分(E)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.01〜20質量%、特に0.1〜10質量%含有するのが、良好な使用感と安定性が得られるので好ましい。
【0055】
本発明の化粧料には、水を含有することができ、全組成中に5〜95質量%、特に10〜90質量%含有するのが好ましい。
【0056】
また、本発明の化粧料には、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の粉体、半固体又は固体状の油性成分、酸化防止剤、香料、防腐剤、美容成分、薬効成分、保湿剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、多価アルコール、糖類、アミノ酸、増粘剤、金属イオン封鎖剤、殺菌剤等を含有させることができる。
【0057】
本発明の化粧料は、通常の方法により製造することができ、W/O型乳化物、O/W型乳化物、O/W/O型などの多層型乳化物等の形態にすることができる。特に、O/W型乳化物としたときに、より優れた効果を得ることができる。
【0058】
本発明の化粧料は、25℃における粘度が、100〜50000mPa・sであるのが良好な使用性が得られることと、本発明の効果が明確に発揮される点で好ましい。粘度は、ブルックフィールド型BM粘度計により回転数6rpm又は12rpmで、粘度に応じたスピンドルを用いて25℃で1分間測定したときの値である。
【実施例】
【0059】
合成例1(オキサゾリン変性シリコーンの製造)
硫酸ジエチル3.76g(0.024mol)及び2−エチル−2−オキサゾリン65.3g(0.66mol)を、脱水した酢酸エチル140gに溶解し、窒素雰囲気下、8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(分子量100000、アミン当量20500)500g(アミノ基にして0.024mol)の50%酢酸エチル溶液を一括して加え、12時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(537g、収率95%)として得た。重量平均分子量は149000であった。(N−プロピオニルエチレンイミン含有率12質量%)
【0060】
合成例2(オキサゾリン変性シリコーンの製造)
硫酸ジエチル7.57g(0.049mol)及び2−エチル−2−オキサゾリン263.3g(2.66mol)を、脱水した酢酸エチル550gに溶解し、窒素雰囲気下、8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。ここに、側鎖1級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(分子量60000、アミン当量3870)250g(アミノ基にして0.065mol)の50%酢酸エチル溶液を一括して加え、12時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(505g、収率97%)として得た。重量平均分子量は88400であった。(N−プロピオニルエチレンイミン含有率49質量%)
【0061】
合成例3(ポリオキシアルキレン基置換多糖誘導体の製造)
重量平均分子量150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP100MH,ユニオンカーバイド社製)80g、80%イソプロピルアルコール 640g及び48%水酸化ナトリウム水溶液 5.34gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下、室温で30分間攪拌した。この溶液に次式
【0062】
【化6】

【0063】
で表される化合物21.7gを加え、80℃で8時間反応させてポリオキシアルキレン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物をイソプロピルアルコール500gで2回洗浄し、減圧下60℃で1昼夜乾燥し、ポリオキシアルキレン化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体74.0gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のポリオキシアルキレン基を含む置換基の置換度は0.004であった。
【0064】
合成例4(ポリオキシアルキレン基置換多糖誘導体の製造)
重量平均分子量80万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP15000H,ユニオンカーバイド社製)80g、80%イソプロピルアルコール 640g及び48%水酸化ナトリウム水溶液 5.34gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下、室温で30分間攪拌した。この溶液に次式
【0065】
【化7】

【0066】
で表される化合物13.7gを加え、80℃で8時間反応させてポリオキシアルキレン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物をイソプロピルアルコール500gで2回洗浄し、減圧下60℃で1昼夜乾燥し、ポリオキシアルキレン化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体69.0gを得た。得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のポリオキシアルキレン基を含む置換基の置換度は0.003であった。
【0067】
実施例1〜7及び比較例1〜7
表1に示す組成の乳化化粧料を製造し、粘度を測定し、保存安定性、使用感(粉っぽさのなさ、かさつきのなさ)、塗布ムラのなさ及び紫外線防御効果の持続性を評価した。結果を表2に示す。
【0068】
(製造方法)
油相成分(成分(B)、成分(D)、成分(E)を含む)を十分に溶解混合させたのち、粉体成分(成分(A)を含む)を加え、ディスパーを用いて強分散する。一方、プロペラ攪拌機を用い、60〜70℃にて成分(C)の水溶性高分子を精製水に溶解し、次に他の水相成分を添加して混合する。水中油型組成物(O/Wタイプ)の場合は、水相成分をアジホモミキサーに移し換え、室温にて高速攪拌を行いながらそこに粉体成分を含む油相成分をゆっくり添加し、さらに30分高速攪拌を行った。また、油中水型組成物(W/Oタイプ)の場合は、粉体成分を含む油相成分をアジホモミキサーに移し換え、室温にて高速攪拌を行いながらそこに水相成分をゆっくり添加し、さらに30分高速攪拌を行った。室温に冷却後、香料、各種エキスを混合し均一にした。このようにしてO/W型およびW/O型の化粧料を得た。
【0069】
(評価方法)
(1)粘度:
各化粧料について、ブルックフィールド型BM粘度計により回転数6rpm又は12rpmで、粘度に応じたスピンドルを用いて25℃で測定したとき、1分後の値を示した。
【0070】
(2)保存安定性:
各化粧料を50mL容量のガラス瓶に充填し、25℃で1週間静置保存した後、以下の基準により外観を肉眼で判定した。
○:良好。
△:表面に粉や油がわずかに浮いている。
×:明らかに油分離や粉凝集が起きている。
【0071】
(3)使用感:
10名の専門パネラーが、各化粧料を使用したときの「粉っぽさのなさ」と「かさつきのなさ」について官能評価し、次の基準により判定した。
○:7名以上が良好と評価した。
△:4〜6名が良好と評価した。
×:3名以下が良好と評価した。
【0072】
(4)塗布ムラのなさ:
ヒト前腕屈側部の色むらのない部分4×10cm角上に、各化粧料を3mg/cm2になるよう塗布する。色差計(色差計CR-300(コニカミノルタ社))で10ヶ所のL*値を測定し、L*値の標準偏差を求めた。値が高いほど塗布ムラや粉体の凝集が生じていることを示す。
【0073】
(5)紫外線防御効果及び耐水性試験:
各化粧料についてin vitroのSPFを測定した。すなわち、石英ガラス板上のサージカルテープに各化粧料を2mg/cm2になるよう均一に塗布し、20分放置して乾燥させた後、SPFアナライザー(Optometrics社)を用いて化粧料のSPF値を測定した。
また、SPF値測定後のサンプルをガラス板ごと塗布面が上にくるように水浴に浸し、水温を37℃に保ちながら80分間軽く水を攪拌し続けた。終了後、ガラス板をゆっくり取り出し、室温で30分放置して乾燥させた後、再び前記と同様にSPF値を測定した。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
実施例1と3はO/W型乳化化粧料、実施例2はW/O型乳化化粧料であり、使用感、安定性ともに良好で、塗布ムラもなく紫外線防御効果やその効果の耐水性も高かった。一方、実施例1、2と同じ粉体組成で成分(B)を含まない比較例1と3、成分(C)を含まない比較例2と4、実施例3と同じ粉体組成で成分(B)と成分(C)を含まない比較例5は、すべての評価項目において実施例1〜3よりも劣っていた。すなわち、粉っぽくかさついた使用感になり、安定性が悪く、塗布ムラのできやすい化粧料で、紫外線防御効果も低く、また浸水処理後ではその効果は著しく低下した。ただし、W/O型乳化化粧料の紫外線防御効果は、O/W型乳化化粧料に比べて浸水処理による劣化度は軽微であった。
成分(C)に代え、35万という高分子量タイプのポリエチレングリコールを用いた比較例6、ポリオキシアルキレン鎖のないヒドロキシエチルセルロースを用いた比較例7では、すべての評価項目で劣っており、耐水性も低かった。
【0078】
実施例8(ローション(振盪タイプ))
表4に示す組成のローション(振盪タイプ)を、常法により製造した。成分(A)と成分(B)の質量比率〔(B)/(A)〕は0.25;成分(B)と成分(C)の質量比率〔(C)/(B)〕は6.40;成分(B)と(D)の質量比率〔(B)/(D)〕は0.13;成分(A)と成分(B)を除く油相中における成分(D)の含有割合は93質量%である。
得られたローションは、粉っぽさやかさつき感のない優れた使用感で、油分離や粉凝集などはみられなかった。また、塗布後の肌もムラや白浮きがなく、透明な仕上がりであった。
【0079】
【表4】

【0080】
実施例9(O/W型乳液)
表5に示す組成のO/W型乳液を、常法により製造した。成分(A)と成分(B)の質量比率〔(B)/(A)〕は2.0;成分(B)と成分(C)の質量比率〔(C)/(B)〕は2.0;成分(B)と(D)の質量比率〔(B)/(D)〕は0.13;成分(A)と成分(B)を除く油相中における成分(D)の含有割合は65質量%である。
得られた乳液は、粉っぽさやかさつき感のない優れた使用感で、油分離や粉凝集などはみられなかった。また、塗布後の肌もムラや白浮きがなく、透明な仕上がりであった。
【0081】
【表5】

【0082】
実施例10(W/O型クリーム)
表6に示す組成のW/O型クリームを、常法により製造した。成分(A)と成分(B)の質量比率〔(B)/(A)〕は0.4;成分(B)と成分(C)の質量比率〔(C)/(B)〕は4.25;成分(B)と(D)の質量比率〔(B)/(D)〕は0.014;成分(A)と成分(B)を除く油相中における成分(D)の含有割合は83質量%である。
得られたクリームは、粉っぽさやかさつき感のない優れた使用感で、油分離や粉凝集などはみられなかった。また、塗布後の肌もムラや白浮きがなく、透明な仕上がりであった。
【0083】
【表6】

【0084】
実施例11(O/W型サンスクリーン)
表7に示す組成のO/W型サンスクリーンを、常法により製造した。成分(A)と成分(B)の質量比率〔(B)/(A)〕は0.13;成分(B)と成分(C)の質量比率〔(C)/(B)〕は1.50;成分(B)と(D)の質量比率〔(B)/(D)〕は0.08;成分(A)と成分(B)を除く油相中における成分(D)の含有割合は95質量%である。
得られたサンスクリーンは、粉っぽさやかさつき感のない優れた使用感で、油分離や粉凝集などはみられなかった。また、塗布後の肌はムラや白浮きがない仕上がりであった。さらに、紫外線防御効果は浸水処理後も高く維持されており、耐水性に優れていた。
【0085】
【表7】

【0086】
実施例12(W/O型UVクリーム)
表8に示す組成のW/O型UVクリームを、常法により製造した。成分(A)と成分(B)の質量比率〔(B)/(A)〕は0.05;成分(B)と成分(C)の質量比率〔(C)/(B)〕は10.0;成分(B)と(D)の質量比率〔(B)/(D)〕は0.04;成分(A)と成分(B)を除く油相中における成分(D)の含有割合は71質量%である。
得られたクリームは、粉っぽさやかさつき感のない優れた使用感で、油分離や粉凝集などはみられなかった。また、塗布後の肌はムラや白浮きがない仕上がりであった。さらに、紫外線防御効果は浸水処理後も高く維持されており、耐水性に優れていた。
【0087】
【表8】

【0088】
実施例13(W/O型ファンデーション)
表9に示す組成のW/O型ファンデーションを、常法により製造した。成分(A)と成分(B)の質量比率〔(B)/(A)〕は0.43;成分(B)と成分(C)の質量比率〔(C)/(B)〕は1.08;成分(B)と(D)の質量比率〔(B)/(D)〕は0.17;成分(A)と成分(B)を除く油相中における成分(D)の含有割合は93質量%である。
得られたファンデーションは、粉っぽさやかさつき感のない優れた使用感で、油分離や粉凝集などはみられなかった。また、塗布後の肌はムラや白浮きがない均一な仕上がりで、発色にも優れ、経時においても崩れることなく維持された。さらに、紫外線防御効果は浸水処理後も高く維持されており、耐水性に優れていた。
【0089】
【表9】

【0090】
実施例14(マスカラ)
表10に示す組成のマスカラを製造した。成分(A)と成分(B)の質量比率〔(B)/(A)〕は0.03;成分(B)と成分(C)の質量比率〔(C)/(B)〕は41.7;成分(B)と(D)の質量比率〔(B)/(D)〕は0.12;成分(A)と成分(B)を除く油相中における成分(D)の含有割合は32質量%である。
得られたマスカラは、粉っぽさやかさつき感のない優れた使用感で、油分離や粉凝集などはみられなかった。また、塗布後はムラのない均一な仕上がりで、発色に優れ、経時においても崩れることなく維持された。
【0091】
(製造方法)
成分(1)〜(9)を加熱して溶解した後、成分(10)〜(15)を加え、良く撹拌しながら冷却する。そこに、予め加熱溶解して撹拌しておいた成分(16)〜(19)及び(21)を室温で加えて良く混合する。最後に、成分(20)を加えて混合し、マスカラを得た。
【0092】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)疎水性粉体、
(B)オルガノポリシロキサンセグメントの末端若しくは側鎖のケイ素原子の少なくとも1個に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して下記式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N−アシルアルキレンイミン)が結合してなるシリコーン系ポリマー;又はアミノ変性シリコーン
【化1】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、xは2又は3の数を示す)、
(C)分子内に平均分子量300〜100000のポリオキシアルキレン鎖を有する非イオン性水溶性高分子、
(D)25℃で液体である油性成分
を含有する乳化化粧料。
【請求項2】
成分(A)と成分(B)の質量比率〔(B)/(A)〕が0.005〜3であり、成分(B)と成分(C)の質量比率〔(C)/(B)〕が0.01〜200であり、かつ成分(A)と成分(B)を除く油相中における成分(D)の含有割合が30質量%以上である請求項1記載の乳化化粧料。
【請求項3】
成分(B)と成分(D)の質量比率〔(B)/(D)〕が0.001〜0.5である請求項1又は2記載の化粧料。
【請求項4】
更に、(E)界面活性剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の化粧料。

【公開番号】特開2008−143821(P2008−143821A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331603(P2006−331603)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】