説明

乳化化粧料

【課題】本発明は、固体状の油溶性紫外線吸収剤を配合した乳化化粧料においてべたつきのない乳化化粧料に関する。
【解決手段】25℃で固体状の油溶性紫外線吸収剤とRSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂と揮発性油剤と水を配合したことを特徴とする乳化化粧料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、25℃で固体状の油溶性紫外線吸収剤とRSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂と揮発性油剤と水を含有した乳化化粧料に関するものであり、さらに詳細には、べたつきのない使用性を有する乳化化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紫外線防御効果を有する化粧料には、従来より紫外線吸収剤や紫外線散乱剤などが配合されている。紫外線吸収剤としてケイ皮酸系、安息香酸エステル系、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤などが配合されており、性状は液状のものから固体状のものまで様々である。中でもモル吸光係数が高いことや、より広波長の紫外線を吸収できるなどトリアジン系紫外線吸収剤が注目されている(例えば、特許文献1参照)。トリアジン系紫外線吸収剤は紫外線を防御する素材としては魅力的であるが、一方、性状は固体状であるため、他の油性成分に溶解しにくく、べたつくなどの使用性の点で他の紫外線吸収剤に比べて劣っている。これまでに紫外線吸収剤のべたつきを改善するため様々な検討がなされており、シリコーン油などの油性成分や粉体、皮膜を形成する樹脂、アラニンなどを配合する技術が知られている。例えば、紫外線吸収剤とメチルシロキサン網状重合体を組み合わせて配合したもの(例えば、特許文献2参照)や、特定のオルガノポリシロキサンと撥水性樹脂粉体と紫外線吸収剤を組み合わせて配合したもの(例えば、特許文献3参照)、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤とアラニンを組み合わせ配合したもの(例えば、特許文献4参照)などが検討されてきた。
【0003】
一方、RSiO1.5単位とRSiO0.5単位から成るシリコーン樹脂を微粒子の金属酸化物または金属水酸化物とともに組み合わせて化粧料に用いる技術がある(例えば、特許文献5参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−188666号公報
【特許文献2】特開平8−259419号公報
【特許文献3】特開2004−250403号公報
【特許文献4】特開2002−29916号公報
【特許文献5】特開平9−12439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のように紫外線吸収剤とメチルシロキサン網状重合体を配合したものは、のびやさっぱりとした使用性は向上するものの、紫外線吸収剤のべたつきを抑制する効果は充分なものとは言えなかった。また特許文献3のように特定のオルガノポリシロキサンと撥水性樹脂粉体と紫外線吸収剤を組み合わせて配合したものは、液状の油溶性紫外線吸収剤や水溶性の紫外線吸収剤に対してべたつきを抑制する効果はあるものの、固体状の油溶性紫外線吸収剤に対してはべたつきの抑制効果は充分なものとは言えなかった。また特許文献4のように紫外線吸収剤とアラニンを組み合わせて配合したものは、紫外線による皮膚のダメージを回復させる効果はあるものの、べたつきの抑制効果は充分なものとは言えるものではなかった。また特許文献5の技術では、微粒子粉体とともにシリコーン樹脂を用いることで肌への砂等の付着性を少なくする技術であり、固体状の油溶性紫外線吸収剤のべたつきを抑制する効果については全く開示がされていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、25℃で固体状の油溶性紫外線吸収剤、RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂と揮発性油剤と水を配合する乳化化粧料とすることにより、25℃で固体状の油溶性紫外線吸収剤のべたつきを効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、次の成分(a)〜(d):
成分(a)25℃で固体状の油溶性紫外線吸収剤
成分(b)RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂
成分(c)揮発性油剤
成分(d)水
を含有することを特徴とする乳化化粧料に関する。
【0008】
前記成分(a)がジオクチルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエイトから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする乳化化粧料に関する。
【0009】
成分(a)と成分(b)の含有質量比(b)/(a)が0.1〜5であることを特徴とする乳化化粧料に関する。
【0010】
水中油型乳化化粧料であることを特徴とする乳化化粧料に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の乳化化粧料は、25℃で固体状の油溶性紫外線吸収剤とRSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂と揮発性油剤と水を配合し、べたつきのない使用性を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について詳述する。
本発明に用いられる成分(a)25℃で固体状の油溶性紫外線吸収剤は、紫外線から肌を防御するために配合されるものであり、25℃で固体状で、油溶性であれば特に限定されないが、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、パラアミノ安息香酸エチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−9、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、4−tert−ブチル−4´−メトキシ−ジベンゾイルメタンが例示され、好ましくは2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾンが挙げられる。市販品としては、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジンはUVINUL T−150(BASF社製)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾンはUVASORB HEB(3V GROUP社製)等が挙げられる。
【0013】
本発明における成分(a)の油溶性とは、80℃にて2-エチルヘキサン酸セチルに少なくとも1質量%以上溶解できるものである。

【0014】
本発明の成分(a)の含有量は、特に限定されないが、本発明の乳化化粧料中に0.1〜20質量%(以下単に「%」と示す。)、好ましくは1〜10%である。この範囲で配合すると、充分な紫外線防御効果が発揮できる。
【0015】
本発明に用いられる成分(b)のRSiO1.5単位とRSiO0.5単位から成るシリコーン樹脂は、25℃で固体状の油溶性紫外線吸収剤のべたつきを抑制するために配合され、RSiO1.5単位より成るシラノール基含有オルガノポリシルセスキオキサン(式中、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)のシラノール基を、トリオルガノシリル基で封鎖したものであり、R、Rはそれぞれ互いに同一或いは相異なる置換または非置換の1価炭化水素基を表す。R、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基あるいはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置換した基、例えばクロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基、γ−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基などを例示することができる。市販品としては「SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)などが挙げられる。
【0016】
本発明の成分(b)の含有量は、特に限定されないが、本発明の粧料中に0.1〜20%、好ましくは0.5〜5%である。この範囲で配合すると、べたつき抑制の点で特に優れるものとなる。
【0017】
本発明の成分(a)と成分(b)の含有質量比は特に限定されないが、(b)/(a)が0.1〜5が好ましく、特に0.3〜3がより好ましい。この範囲で配合すると、成分(a)のべたつきをより効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明に用いられる成分(c)の揮発性油剤は成分(b)を溶解させるために用いられ、揮発性を有する油剤であれば、特に制限されない。具体的には、軽質流動イソパラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、メチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、エチルトリシロキサン等が挙げられる。市販品としては、軽質流動イソパラフィンとしてはアイソパーH(エッソ化学社製)、イソドデカン(バイエル社製)、イソヘキサデカン(ユニケマ社製)、IPソルベント1620MU、IPソルベント2028MU、IPソルベント2835(以上、出光興産社製)、デカメチルシクロペンタシロキサンとしてはTFS405(東芝シリコーン社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF−995(信越化学工業社製)、メチルトリメチコンとしては、シリコーン TMF−1.5(信越化学工業社製)、メチルポリシロキサンとしてはKF−96L−2CS(信越化学工業社製)、デカメチルテトラシロキサンとしてはKF−96L−1.5CS(信越化学工業社製)、エチルトリシロキサンとしてはSILSOFT ETS(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
【0019】
本発明の成分(c)の含有量は特に限定されないが、1〜20%が好ましく、特に3〜10%であれば成分(b)のべたつき抑制効果を最大限発揮させることができる。
【0020】
本発明に用いられる成分(d)の水は特に限定されないが、通常化粧料等に使用可能な水であれば特に限定されず、例えば精製水、蒸留水、温泉水、海洋深層水、ラベンダー花水等、種々の水を挙げることができ、必要に応じて、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
本発明の成分(d)の含有量は、特に限定されないが、成分(a)〜(c)の含有量により適宜決められるが、概ね50〜99%である。
【0022】
本発明の乳化化粧料としては、特に限定されないが、形状として液状、半固形状、固形状のものが挙げられる。乳化化粧料としては水中油乳化型化粧料、油中水型乳化化粧料が挙げられ、特に水中油乳化型化粧料であれば、配合する油性成分によるべたつきが軽減され、より好ましい。
【0023】
本発明の乳化化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記成分(a)、(b)、(c)、(d)の他に、通常化粧料に配合される成分として、成分(a)、(b)、(c)、(d)以外の油性成分、無機顔料、有機顔料及び体質顔料等の粉体、界面活性剤や多価アルコール、低級アルコール、水溶性高分子、保湿剤等の水性成分、糖類、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防腐剤、薬効成分、安定化剤、色素、香料等を各種の効果の付与のために適宜配合することができる。
【0024】
また、本発明に使用される油剤としては、通常化粧料に用いられる油分であれば特に制約なく使用することができ、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤等を利用することができる。具体的には、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、セレシンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライトワックス、エチレンプロピレンコポリマー等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、モクロウ等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ、モンタンワックス等のロウ類、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ホホバ油等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類が挙げられ、油性ゲル化剤として、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、パルミチン酸/ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、イソパルミチン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリンのデキストリン脂肪酸エステル類、ステアリン酸スクロース、酢酸ステアリン酸スクロースのショ糖脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、およびジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト等の有機変性粘土鉱物等が挙げられる。
【0025】
粉体成分としては、化粧料に一般に使用される粉体として用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、炭化珪素、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、ヘクトライト、モンモリロナイト等の粘土鉱物、およびそれらの有機変性物、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられる。これら粉体はその一種又は二種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。なお、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の一種又は二種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0026】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、非イオン性界面活性剤としては、リオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、N−アルキルジメチルアミンオキシドポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどを挙げられる。
例えば、アニオン性界面活性剤としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸のナトリウム塩またはトリエタノールアミン塩、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウムなどのNアシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸などのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。例えば、カチオン性界面活性剤としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、臭化ジベヘニルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、臭化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(15E.O.)ヤシ油アルキルメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(4E.O.)ラウリルエーテルジメチルアンモニウム、塩化ステアリン酸アミドプロピルトリメチルアンモニウム、ジココイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム・メチル硫酸塩等を挙がられる。例えば、両性界面活性剤としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質、大豆レシチン、卵黄レシチン、あるいはそれらの水素添加物等のリン脂質及びリン脂質・コレステロール複合体、リン脂質・フィトステロール複合体等のリン脂質複合体を挙られる。
【0027】
更に、水以外の水性成分はモイスチャー効果を付与する目的で用いることができ、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のもの、他にタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0028】
本発明の乳化化粧料の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば成分(a)、成分(b)、成分(c)および任意の油性成分を加熱溶解したのち、任意の粉体や界面活性剤、成分(d)を含む水系成分などに均一に混合分散した後、これを容器または型に充填して得ることができる。
【実施例】
【0029】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0030】
実施例1〜9および比較例1〜5:水中油型乳化日焼け止め料
表1及び表2に示す組成の日焼け止め料を下記の製造方法により調製し、各試料について、べたつきのなさについて評価を行い、その結果も併せて表1に示した。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

*1:SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
*2:KF−7312J(信越化学工業社製)
*3:KP−540(信越化学工業社製)
*4:トスパール2000B(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
(製造方法)
A:成分1〜4を90℃に加温し溶解する。
B:成分5〜12を室温にて均一に溶解する。
C: 成分13〜17を90℃に加温し溶解する。
D:BにAを加えて乳化する。
E:DにCを加え乳化し、成分18を加え混合する。
F:脱泡して日焼け止め料を得た。
【0033】
(評価方法)
べたつきのなさについて各々下記方法により評価を行った。
各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人に各試料を使用してもらい、下記絶対評価基準にて6段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
【0034】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える
○:3.5点を超える5点以下
△:2点を超える3.5点以下
×:2点以下
【0035】
表1の結果から明らかな如く、本発明の実施例1〜10の日焼け止めは、比較例に比べ、べたつきのないものであった。実施例1に比べ成分(a)を配合しない比較例1ではべたつきがあった。実施例1に比べ成分(a)とは異なる構成単位の異なるのシリコーン樹脂を配合した比較例2やアクリル骨格のシリコーン樹脂を用いた比較例3でもべたつきがあった。またメチルシロキサン網状重合体を配合した比較例4でもべたつきはあった。
【0036】
実施例9:油中水型乳化日焼け止め
(成分) (%)
1.2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)
アニリノ]−1,3,5−トリアジン 1
2.メトキシケイヒ酸オクチル 7
3.イソノナン酸イソノニル 5
4.トリイソステアリン酸ジグリセリル 5
5.部分架橋型オルガノポリシロキサンエラストマー*5 10
6.シリコーン樹脂 *1 1
7.軽質流動イソパラフィン 5
8.ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン*6 5
9.精製水 残部
10.グリセリン 10
11.塩化ナトリウム 1
12.防腐剤 適量
13.香料 適量

5:KSG43(信越化学工業社製)

6:KF−6038(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜4を90℃に加温して溶解し混合する。
B:Aに成分5〜8、13を加え混合する。
C:成分9〜12を溶解する。
D:BにCを加え乳化する。
E:脱泡して日焼け止め料とした。
【0037】
実施例9は、のびが良く、さらっとしていて、べたつきのない日焼け止め料であった。
【0038】
実施例10:油中水型乳化下地
(成分) (%)
1.パルミチン酸デキストリン 2
2.酸化チタン 3
3.微粒子酸化亜鉛 3
4.ポリオキシアルキレン・アルキル変性ジメチルポリシロキサン *7 5
5.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 6
7.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエイト 3
8.シリコーン樹脂 *1 5
9.デカメチルシクロペンタシロキサン 15
10.ポリオキシアルキレン・アルキル変性ジメチルポリシロキサン*5 5
11.精製水 残部
12.エタノール 5
13.1,2−ペンタンジオール 1
* 7:ABIL EM90(ゴールドシュミット社製)
(製造方法)
A:成分1〜6を90℃に加温し、3本ロ−ラーで分散する。
B:Aに成分7〜10を加え90℃に加温し分散する。
C:Bを45℃まで冷却する。
D:成分11〜13を混合する
E:CにDを加え乳化する。
F:脱泡して油中水型乳化下地とした。
【0039】
実施例10は、化粧膜の柔軟性があり、べたつきのないものでであった。
【0040】
実施例11:水中油型乳化美容液
(成分) (%)
1.2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)
アニリノ]−1,3,5−トリアジン 3
2.2−シアノ-3,3-ジフニルアクリル酸-2-エチルヘキシルエステル 10
3.シリコーン樹脂 *1 1.5
4.メチルトリメチコン 5
5.大豆リン脂質 3
6.コレステロール 1
7.グリセリン 15
8.ブチレングリコール 10
9.セチルリン酸 1
10.モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55E.O.) 3
11.精製水 残部
12.キサンタンガム 0.2
13.エタノール 5
14.1,2−ペンタンジオール 1
(製造方法)
A:成分1〜4を90℃に加温し混合する。
B:成分5〜10を75℃に加温し混合する。
C:成分11〜14を75℃に加温し混合する。
D:BにAを加え予備乳化する。
E:DにCを加え乳化する。
F:脱泡して美容液とする
【0041】
実施例11は、みずみずしくのび広がり、べたつきのないものであった。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(d):
成分(a)25℃で固体状の油溶性紫外線吸収剤
成分(b)RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂
成分(c)揮発性油剤
成分(d)水
を含有することを特徴とする乳化化粧料
【請求項2】
前記成分(a)がジオクチルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエイトから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1に記載の乳化化粧料。
【請求項3】
成分(a)と成分(b)の含有質量比(b)/(a)が0.1〜5であることを特徴とする請求項1または2記載の乳化化粧料。
【請求項4】
水中油型乳化化粧料であることを特徴とする請求項1〜3何れかの項記載の乳化化粧料。

【公開番号】特開2010−229067(P2010−229067A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77376(P2009−77376)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】