乾式洗浄装置と乾式洗浄方法
【課題】各種材料で形成された被洗浄体を効率よく洗浄するとともに、連続して投入して処理する。
【解決手段】洗浄槽3内を流動する高速気流により洗浄媒体11を飛翔させて被洗浄体2に付着した塵や粉体を除去し、除去した塵や粉体と洗浄媒体11を気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体11は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材24を有する分離手段17で分離するとき、多孔性部材24に対する洗浄媒体11を流動させる気体を導入する領域と分離した塵や粉体を吸引する領域を可変し、分離して多孔性部材24に積み重なった洗浄媒体11に対して気体の導入する領域から流入する気体により再度流動を与えて飛翔させて多孔性部材24に目詰りが生じることを防ぐ。
【解決手段】洗浄槽3内を流動する高速気流により洗浄媒体11を飛翔させて被洗浄体2に付着した塵や粉体を除去し、除去した塵や粉体と洗浄媒体11を気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体11は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材24を有する分離手段17で分離するとき、多孔性部材24に対する洗浄媒体11を流動させる気体を導入する領域と分離した塵や粉体を吸引する領域を可変し、分離して多孔性部材24に積み重なった洗浄媒体11に対して気体の導入する領域から流入する気体により再度流動を与えて飛翔させて多孔性部材24に目詰りが生じることを防ぐ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば複写機やレーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置で用いられる平均粒径5μm〜10μm程度のトナーが付着した比較的複雑な形状の部品等の各種被洗浄体に付着した塵埃や粉体を、水や溶剤を使わずに固体洗浄媒体を用いて除去する乾式洗浄装置と乾式洗浄方法、特に、被洗浄体を連続投入して処理して作業性の向上を図ることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の事務機器メーカでは、資源循環型社会実現のために使用済みの製品や各種ユニットをユーザから回収後に分解・清掃・再組立し、部品として再使用したり、樹脂材料として利用したりするリサイクル活動を積極的に行っている。これらの製品や各種ユニットに使用されている部品を再利用するためには、分解した部品やユニットに付着している微粒子粉体であるトナーを除去して清浄化する工程が必要であり、清浄化に必要なコストや環境負荷を減らすことが大きな課題となっている。
【0003】
この部品やユニットに付着しているトナー等の汚れを除去するために水や溶剤を使用した湿式の洗浄装置が例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。特許文献1に示された洗浄装置は、開口部が大きい網の洗浄籠の内部に被洗浄体を固定し、洗浄籠を洗浄噴射水等の洗浄剤が噴射される移動経路に沿ってベルトコンベア等の搬送手段で搬送し、移動経路において洗浄籠の上や横から噴射される洗浄剤の流れを洗浄籠の開口部や網目を通り抜けさせて被洗浄体に衝突させ被洗浄体を洗浄している。そして被洗浄体を固定した洗浄籠を連続して搬送手段に投入することにより被洗浄体を連続して洗浄するようにしている。
【0004】
特許文献2に示された洗浄装置は、ゲル、ゲル発泡体、ガラス、セラミック、合成樹脂等の多数の粒体を洗浄槽内において気体流により流動化状態とした後、洗浄槽内に粒体と同等の比重を有する水やシリコン液等の液体を供給し、供給した液体が粒体流動層内に分散して適当な大きさの固液凝集体を形成することによって気体の実質流路面積を減少させて粒体層内を通過する気体流速度を増加させ、これにより粒体層の流動化状態が活性化した特異三相流を発生させ、この特異三相流を被洗浄体に衝突させて洗浄効果を高めるようにしている。
【0005】
このような湿式の洗浄装置を、トナー等の汚れが付着した部品やユニットの洗浄に使用すると、トナー等の汚物を含んだ廃液の処理及び洗浄後の乾燥処理におけるエネルギー消費や環境負荷が大きく、高コストであるという問題がある。
【0006】
また、エアブローによる乾式洗浄方法を使用した場合、付着力の強いトナー等に対しては洗浄能力が十分ではなく、人手によるウェス拭きなどの後工程が必要なため、清浄化は製品リユース・リサイクルにおけるボトルネック工程の1つとなっている。
【0007】
これらの問題を解決するため、特許文献3に示された乾式洗浄装置は、塵埃が静電気的に付着した複数の被洗浄体と軟質ウレタン発泡材等の弾性材からなる球状又はサイコロ状の接触部材を収容した回転収容体を回転させながら、放電電極により回転収容体の内部に被洗浄体の帯電を中和するのに必要な正負の空気イオンを放出して被洗浄体に吹きつけて被洗浄体に付着した塵埃を除去するようにしている。この回転収容体を円筒体で形成し、回転する円筒体の一方の端部に設けた投入部から被洗浄体と接触部材を投入して上流側から下流側に移動させた後、被洗浄体と接触部材を分別して取り出すことにより、被洗浄体を連続して洗浄するようにしている。
【0008】
また、特許文献4に示された乾式洗浄装置は、洗浄槽の被洗浄体を載置する金網から構成された中底板と洗浄槽の底部との間に、粒体は通過しないが気体が通過できる開口部を有する気体吹き出し部に、鉄やアルミナ、セラミック、プラスチック等の直径5〜10mmの球体からなる粒体を載置し、洗浄槽内の空気を上蓋に設けた吸気口から吸引して洗浄槽の底部に設けた吸気口から外気を取り入れて洗浄槽内に気体の流れを形成して粒体を噴流化して被洗浄体に衝突させて被洗浄体を洗浄している。
【特許文献1】特許第2791862号公報
【特許文献2】特開2002−28581号公報
【特許文献3】特許第3288462号公報
【特許文献4】特開2003−190247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献3に示された乾式洗浄装置は、被洗浄体を連続して洗浄するために、回転する円筒体の上流側から下流側に被洗浄体と接触部材を移動させるとき、被洗浄体が互いに接触して傷つけ合うという問題があり、傷つき易い樹脂製品に適用することは困難であった。
【0010】
また、特許文献4に示された乾式洗浄装置は、洗浄槽内に少なくとも一つの被洗浄体を投入し、一定時間後に取り出す方式のみを対象にしており、連続して被洗浄体を洗浄することはできなかった。
【0011】
この発明は、このような短所を改善し、各種材料で形成された被洗浄体を効率よく洗浄するとともに、連続して投入して処理することができる乾式洗浄装置と乾式洗浄方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の乾式洗浄装置は、被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、洗浄槽と分離手段と送排気手段及び移動手段を有し、前記洗浄槽は、上面に被洗浄体を投入して蓋で密閉する被洗浄体投入口を有し、底部全体が開口して形成され、被洗浄体投入口と底部との間に洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、前記分離手段は、前記洗浄槽の開口部に設けられ、気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材を有し、前記送排気手段は前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、前記移動手段は、前記分離手段と前記送排気手段を相対的に移動して前記送気手段が気体を導入する前記分離手段の領域と前記吸引手段が気体を吸引する前記分離手段の領域を可変することを特徴とする。
【0013】
この発明の第2の乾式洗浄装置は、被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、洗浄槽と洗浄槽移動手段及び洗浄媒体飛翔手段を有し、前記洗浄槽は、上面に被洗浄体を投入して蓋で密閉する被洗浄体投入口を有し、底部全体が開口して形成され、被洗浄体投入口と底部との間に洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、前記洗浄槽移動手段は、前記洗浄槽を保持して間欠移動させ、前記洗浄媒体飛翔手段は、洗浄媒体と塵や粉体を分離する分離手段と揺動手段及び昇降手段を有し、前記洗浄槽移動手段の下部に1つ又は一定間隔をおいて複数設けられ、前記分離手段は分離部材と送排気手段を有し、前記分離部材は気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材を有し、前記送排気手段は前記多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、前記揺動手段は、前記分離部材と前記送排気手段を相対的に移動して前記送気手段が気体を導入する前記分離部材の領域と前記吸引手段が気体を吸引する前記分離部材の領域を可変し、前記昇降手段は前記分離手段と揺動手段を昇降させることを特徴とする。
【0014】
この発明の第3の乾式洗浄装置は、被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、複数の洗浄槽と洗浄槽案内手段と送排気手段及び洗浄槽移動手段を有し、前記洗浄槽は、上面に被洗浄体を投入して蓋で密閉する被洗浄体投入口を有し、底部全面には気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材を有し、被洗浄体投入口と底部との間には洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、前記洗浄槽案内手段は、前記洗浄槽の移動を案内するガイド面を上面に有し、前記送排気手段と連結する吸引口と送気口の組合が前記洗浄槽の移動方向に沿って複数組配置され、前記送排気手段は、前記洗浄槽案内手段の送気口に接続され、前記洗浄槽の多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記洗浄槽案内手段の吸引口に接続され、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、前記洗浄槽移動手段は、前記洗浄槽を前記洗浄槽案内手段に押し付けて前記洗浄槽案内手段のガイド面に沿って移動することを特徴とする。
【0015】
前記洗浄槽案内手段の吸引口と送気口の複数組の組合は前記洗浄槽が移動するときに、少なくとも1組の吸引口と送気口の組合が前記洗浄槽に接続されるように配置されていることが望ましい。
【0016】
また、前記洗浄槽案内手段は直線の経路で前記洗浄槽を案内したり、円形の経路で前記洗浄槽を案内する。
【0017】
また、前記洗浄槽案内手段の送気口は、吸引口に対して前記洗浄槽が移動する方向の近傍に設けられることが望ましい。
【0018】
さらに、前記洗浄槽案内手段の吸引口と送気口は、前記洗浄槽の移動方向に対して直交するスリット状に形成すると良い。
【0019】
また、前記洗浄槽案内手段の吸引口を円形に形成し、送気口を円弧状に形成して、前記洗浄槽の移動方向に対して千鳥状に配置しても良い。
【0020】
また、前記洗浄槽の被洗浄体固定手段は姿勢変更手段を有すると良い。この姿勢変更手段を洗浄槽の移動に追従して駆動させることが望ましい。
【0021】
また、前記洗浄槽の移動経路に、被洗浄体に付着した洗浄媒体を分離する洗浄媒体分離手段を有することが望ましい。
【0022】
さらに、前記送排気手段は、前記洗浄槽に導入する気体の流入方向あるいは気流形状のいずれかがそれぞれ異なる複数の送気手段を有すると良い。
【0023】
また、前記洗浄槽に、前記洗浄槽内に飛翔している洗浄媒体を気流により加速する洗浄媒体加速手段を有することが望ましい。
【0024】
さらに、前記洗浄媒体加速手段を、被洗浄体に対して前記送排気手段の送気手段とは反対側に設けることが望ましい。
【0025】
また、前記洗浄槽に洗浄媒体を投入する洗浄媒体投入手段を有すると良い。
【0026】
さらに、前記被洗浄体を洗浄した後に前記洗浄槽内の洗浄媒体の量を計測する洗浄媒体量計測手段を有し、前記洗浄媒体量計測手段で計測した洗浄媒体の量に応じて前記洗浄媒体投入手段で投入する洗浄媒体の量を制御すると良い。
【0027】
また、前記洗浄槽内の洗浄媒体の使用回数に応じて前記洗浄媒体投入手段で投入する洗浄媒体の量を制御しても良い。
【0028】
この発明の他の乾式洗浄装置は、被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、洗浄槽と洗浄槽案内手段と送排気手段及び洗浄槽駆動手段とを有し、前記洗浄槽は、一定長さを有する円筒状に形成され、両端部以外の外周面全体は気体や粉塵を通過させるが洗浄媒体が通り抜けられない小孔やスリットを多数有する多孔性部材で覆われ、内部に洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、両端部には前記洗浄槽駆動手段と係合する連結部が設けられた蓋を有し、前記洗浄槽案内手段は、半円筒状のガイド溝と、該ガイド溝の一部又は前部を覆う半円筒状のカバーを有し、前記ガイド溝には所定の位置に湾曲した溝状の吸引口と送気口が交互に設けられ、前記前記送排気手段は、前記洗浄槽案内手段の送気口に接続され、前記洗浄槽の多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記洗浄槽案内手段の吸引口に接続され、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、前記洗浄槽駆動手段は、前記洗浄槽を前記洗浄槽案内手段のガイド溝に沿って移動させる洗浄槽送り手段と、該洗浄槽送り手段の先端部に設けられ、前記洗浄槽の連結部と連結して前記洗浄槽に回転を伝達する洗浄槽回転手段を有することを特徴とする。
【0029】
前記送排気手段の送気手段と吸引手段には、気体の流路を開閉する制御弁を有することが望ましい。そして洗浄槽が送排気手段の位置に移動したことを検知したときに制御弁により気体の流路を開にし、洗浄槽が送排気手段の位置から移動したことを検知したときに制御弁により気体の流路を閉にする制御装置を有すると良い。
【0030】
この発明の乾式洗浄方法は、被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去し、除去した塵や粉体と洗浄媒体を気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材で分離する乾式洗浄方法であって、前記多孔性部材に対する前記洗浄媒体を流動させる気体を導入する領域と分離した塵や粉体を吸引する領域を可変することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
この発明は、被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去し、除去した塵や粉体と洗浄媒体を分離する多孔性部材の洗浄媒体を流動させる気体を導入する領域と分離した塵や粉体を吸引する領域を可変することにより、分離して多孔性部材に積み重なった洗浄媒体に対して気体の導入する領域から流入する気体により再度流動を与えて飛翔させるから、洗浄媒体によって多孔性部材に目詰りが生じることを防ぐことができ、洗浄媒体を連続的に洗浄して洗浄効率を向上することができる。
【0032】
また、洗浄槽を移動する洗浄槽移動手段の下部に1つ又は一定間隔をおいて複数の洗浄媒体飛翔手段を設け、洗浄槽移動手段で洗浄槽を移動させて洗浄媒体飛翔手段で洗浄槽内の洗浄媒体に流動を与えることにより、洗浄槽を連続的に投入することができ、洗浄槽に収納した被洗浄体を連続的に洗浄することができる。
【0033】
さらに、洗浄槽に除去した塵や粉体と洗浄媒体を分離する多孔性部材を設け、この洗浄槽を、送排気手段と連結する吸引口と送気口の組合が洗浄槽の移動方向に沿って複数組配置された洗浄槽案内手段に沿って移動することにより、洗浄槽内に洗浄媒体を飛翔させるのに必要な気流を容易に発生できるとともに、複数の洗浄槽内の被洗浄体を同時に洗浄することができ、洗浄効率をより向上することができる。
【0034】
また、洗浄槽案内手段の吸引口と送気口の複数組の組合は洗浄槽が移動するときに、少なくとも1組の吸引口と送気口の組合が洗浄槽に接続されるように配置されていることにより、洗浄槽の多孔性部材の目詰りを防止しながら材洗浄槽内の被洗浄体を連続して洗浄することができ、洗浄効率を向上することができる。
【0035】
さらに、洗浄槽案内手段は直線の経路で洗浄槽を案内することにより、簡単な構成で複数の洗浄槽を連続投入することができ、多数の被洗浄体を効率良く洗浄することができる。
【0036】
また、洗浄槽案内手段は円形の経路で洗浄槽を案内することにより、複数の洗浄槽を連続投入できるとともに小さなスペースで比較的長い洗浄槽移動経路を確保して被洗浄体を連続的に洗浄することができる。また、1個所の投入部で洗浄媒体や被洗浄体の投入と取り出しを行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0037】
また、洗浄槽案内手段の送気口は、吸引口に対して前記洗浄槽が移動する方向の近傍に設けることにより、洗浄槽の多孔性部材の目詰りを確実に防止することができる。
【0038】
さらに、洗浄槽案内手段の吸引口と送気口は、前記洗浄槽の移動方向に対して直交するスリット状に形成することにより、洗浄媒体を吸引口の近傍に集合させてスリット状の送気口から噴出する圧縮空気によって洗浄槽内に飛翔させることにより、洗浄媒体を被洗浄体全体に衝突させることができ、被洗浄体の広い領域を洗浄して洗浄効果を高めることができる。
【0039】
また、吸引口を円形に形成し、送気口を円弧状に形成して、洗浄槽の進行方向に対して千鳥状に配置することにより、洗浄媒体を洗浄槽内の被洗浄体に対して斜め下方向から飛翔させることができ、洗浄媒体を被洗浄体の側面に対して衝突しやすくして、かつ被洗浄体の左右両方から交互に衝突させることができ、立体的な厚みのある被洗浄体全面の洗浄効果を高めることができる。
【0040】
また、洗浄槽の被洗浄体固定手段に姿勢変更手段を有することにより、被洗浄体の全面を効率よく洗浄することができる。この姿勢変更手段を洗浄槽の移動に追従して駆動させることにより、特別の駆動手段を必要としないで姿勢変更手段を駆動することができる。
【0041】
また、洗浄槽の移動経路に、被洗浄体に付着した洗浄媒体を分離する洗浄媒体分離手段を設け、洗浄した被洗浄体に付着した洗浄媒体を洗浄媒体から分離することにより、より確実に洗浄媒体を被洗浄体から分離することができる。
【0042】
さらに、送排気手段は、洗浄槽に導入する気体の流入方向あるいは気流形状のいずれかがそれぞれ異なる複数の送気手段を有することにより、洗浄槽内部の被洗浄体には異なる角度から流入する気流によって加速された洗浄媒体を衝突させることができ、立体的な被洗浄体であっても、ムラ無く洗浄することができる。
【0043】
また、洗浄槽に、洗浄槽内に飛翔している洗浄媒体を気流により加速する洗浄媒体加速手段をもうけ、被洗浄体に衝突させる洗浄媒体を加速することにより、被洗浄体をより効率良く洗浄することができる。さらに、洗浄媒体加速手段を、被洗浄体に対して送排気手段の送気手段とは反対側に設けることにより、被洗浄体の全面をムラなく洗浄することができる。
【0044】
また、洗浄槽に洗浄媒体を投入する洗浄媒体投入手段を設けることにより、洗浄槽に洗浄媒体を容易に補充することができる。
【0045】
さらに、被洗浄体を洗浄した後に洗浄槽内の洗浄媒体の量を計測する洗浄媒体量計測手段を有することにより、洗浄媒体の消耗量を確実に検知することができる。
【0046】
また、洗浄媒体量計測手段で計測した洗浄媒体の量に応じて洗浄媒体投入手段で投入する洗浄媒体の量を制御することにより、洗浄槽に洗浄媒体を自動で補充することができるとともに洗浄槽内の洗浄媒体の量を適正に保持して被洗浄体を安定して洗浄することができる。
【0047】
また、洗浄槽内の洗浄媒体の使用回数に応じて洗浄媒体投入手段で投入する洗浄媒体の量を制御することにより、洗浄槽に洗浄媒体を自動で補充することができるとともに洗浄槽内の洗浄媒体の量を適正に保持して被洗浄体を確実に洗浄することができる。
【0048】
さらに、洗浄槽を円筒状に形成し外周面を多孔性部材で覆い、この洗浄槽を回転しながら洗浄媒体を気体で流動させることにより、多孔性部材の目詰りを防止しながら被洗浄体の全面をムラなく洗浄することができる。
【0049】
また、送排気手段の送気手段と吸引手段には、気体の流路を開閉する制御弁を設け、洗浄槽が送排気手段の位置に移動したときに制御弁により気体の流路を開にし、洗浄槽が送排気手段の位置から移動したときに制御弁により気体の流路を閉にすることにより、余分な圧縮空気や余分な吸引力を使用しないで済み、省エネルギを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
図1はこの発明の乾式洗浄装置の機構構成図である。乾式洗浄装置1は被洗浄体2に付着したトナー等の粉塵を高速気流により流動する洗浄媒体により除去するものであり、洗浄槽3と洗浄槽移動手段4及び洗浄媒体飛翔手段5を有する。
【0051】
洗浄槽3は、図2の断面図に示すように、洗浄槽本体6と被洗浄体固定手段7及び蓋8を有する。洗浄槽本体6は上面に被洗浄体2を投入する被洗浄体投入口9を有し、底部全体が開口して形成され、上端外周部に洗浄槽移動手段4と連結するガイド部10を有する。被洗浄体固定手段7は、洗浄媒体11を通過するに十分な大きさの開口部12を複数有し、例えば金網やプラスチック網、ネット等で形成され、洗浄槽本体6の被洗浄体投入口9と底部との中間に設けられている。
【0052】
洗浄槽移動手段4は、1対のスライドレール13と1又は複数のスライドステージ14を有する。スライドステージ14は洗浄槽3を保持し、図3のブロック図に示すように、制御装置15により駆動制御される。例えばワイヤ駆動機構やリニアモータを有するステージ駆動手段16によりスライドレール13に沿って間欠移動する。
【0053】
洗浄媒体飛翔手段5は、洗浄媒体11と粉塵を分離する分離手段17と揺動手段18及び昇降手段19を有し、1対のスライドレール13の下部に1つ又は一定間隔をおいて複数設けられている。分離手段17は分離部材20と固定板21と吸引管22及び送気管23を有する。分離部材20は気体や粉塵を通過させるが洗浄媒体11が通り抜けられない小孔やスリットを多数有し、例えば金網、プラスチック網、メッシュ、ネット、不織布やスポンジのフィルム、パンチメタル板、ハニカム板、多孔質板又はスリット板等の多孔性部材24と、多孔性部材24を保持する保持枠25とを有し、固定板21の上面に1対のスライドレール13と直交する方向に揺動自在に設けられている。この分離部材20は揺動したときも洗浄槽3の底部開口を覆うように、洗浄槽3の底部開口より大きく形成されている。固定板21は吸引管22を連結する吸引口26と、吸引口26に対して分離部材20の揺動方向の両側に設けられ、送気管23を連結する送気口27を有する。吸引管22は一方の端部が固定板21の吸気口26に連結され、他方の端部はブロワー等の吸引装置に連結されている。送気管23は先端部にノズル28を有し、ノズル28が固定板21の送気口27に連結され、他方の端部は圧縮機等の圧縮空気供給装置に連結されている。この吸引管22と送気管23にはそれぞれ制御装置15からの制御信号により開閉する吸引バルブ29と送気バルブ30を有する。揺動手段18は分離手段17の分離部材20と係合するカム31と、カム31を回転する揺動モータ32と、分離部材20のカム31との係合部と反対側に設けられ、分離部材20に対してカム31側に押圧力を与える圧縮バネや緩衝器等からなり、分離部材20の位置決めを行う位置規制手段33を有する。昇降手段19は例えばエアーシリンダと上昇端検出センサ及び下降端検出センサを有し、分離手段17と揺動手段18を昇降させる。この洗浄媒体飛翔手段5が設けられた位置にはスライドステージ14の載置した洗浄槽3を検出して制御装置15に送る位置センサ34を有する。
【0054】
この乾式洗浄装置1に使用する洗浄媒体11は、金属やセラミクス、合成樹脂、スポンジ、布等の粒状、棒状、筒状、繊維状又は薄片状の固体から形成され、被洗浄体2の形状や材質などの特性や被洗浄体2に付着している塵埃の粒径や付着強度に応じて選択すれば良い。例えば電子写真方式の画像形成装置に使用する平均粒径5μm〜10μmのトナー粉体が付着した合成樹脂や金属製の構成部品からトナー粉体を除去するには樹脂フィルム片や布片、紙片、金属薄片等の薄片状の洗浄媒体11が望ましい。
【0055】
このように薄片状の洗浄媒体11を使用する理由として、薄片状の洗浄媒体11は投影面積が大きい方向に気流の力が作用した場合、空気抵抗力に対する質量が非常に小さいため気流によって容易に加速されて高速飛翔する。また、投影面積が小さい方向には空気抵抗が小さく、その方向へ飛翔した場合、高速運動が長距離維持される。このため洗浄媒体11の持つエネルギが大きく、被洗浄体2に接触したときに作用する力が大きくなって付着した塵埃を有効に除去することができるとともに洗浄媒体11が洗浄槽3の中で繰返し循環して被洗浄体2に接触する頻度が増すので洗浄効率を高めることができる。
【0056】
また、薄片状の洗浄媒体11は、姿勢によって空気抵抗が大きく変化するため、気流に沿って動くだけでなく急に方向を変えるなど複雑な運動をする。さらに、高速気流の作用によって被洗浄体固定手段7の開口部12や被洗浄体2により乱流が発生する。質量に比して空気抵抗を受けやすい薄片状の洗浄媒体11は乱気流への追従性が高く複雑な運動をし、乱流の渦によって自転して回転する。このため薄片状の洗浄媒体11が被洗浄体2に繰返し接触するので比較的複雑な形状の被洗浄体2の洗浄効率を高めることができる。
【0057】
また、図4に示すように、薄片状の洗浄媒体11が端部から被洗浄体2に衝突した場合、接触力が洗浄媒体11のエッジに集中するため、質量が小さいにもかかわらず粉塵等の除去に必要な力が得られる。また、被洗浄体2に対する接触力が大きくなると撓んで力を逃がすため、一般的なブラストショット材やバレル加工用の研磨材等とは異なり、必要以上の力を被洗浄体2に加えることがなく、被洗浄体2を傷つけないですむ。さらに、薄片状の洗浄媒体11が被洗浄体2に衝突したときに撓んで空気から受ける粘性抵抗が大きく作用して非弾性衝突となり、跳ね返りが起こりにくく、斜め衝突の場合は滑り接触して一度の衝突で被洗浄体2の広い面積に接触しながら移動し、この接触による掻き取り作用や摺擦作用により被洗浄体2に付着したトナー粒子に対して接触面に平行な力を作用させ、小さい力でトナー粒子を被洗浄体2から分離して洗浄効率を高めることができる。
【0058】
さらに、薄片状の洗浄媒体11は分離部材20に衝突したときの変形や振動により付着した塵埃等の粒子を容易に分離することができ、塵埃等の粒子が被洗浄体2に再付着することを防ぐことができる。
【0059】
このように薄片状の洗浄媒体11は被洗浄体2に付着したトナー粒子等の塵埃を効率良く除去できるから、使用量がごくわずかで済み、環境負荷やランニングコストを低くすることができる。
【0060】
この薄片状の洗浄媒体11を洗浄槽3内で飛翔させて循環させ、被洗浄体2に付着したトナー粒子等の塵埃を除去する動作を説明する。
【0061】
洗浄媒体飛翔手段5の分離手段17には薄片状の洗浄媒体11をあらかじめ積み上げ、この分離手段17と揺動手段18を昇降手段19であらかじめ設定した下降端まで下降させておく。この状態でスライドレール13の洗浄槽投入側で洗浄槽3の被洗浄体固定手段7に被洗浄体2を固定し、洗浄槽3の被洗浄体投入口9を蓋8で密閉する。この被洗浄体2を保持した洗浄槽3をスライドステージ14に順次載置してステージ駆動手段16で順次移動する。洗浄槽3を載置したスライドステージ14が洗浄媒体飛翔手段5の位置に達して位置センサ34でスライドステージ14に載置した洗浄槽3を検出すると、制御装置15はステージ駆動手段16によるスライドステージ14の移動を停止させ、所定のタイミングをおいて昇降手段19により分離手段17と揺動手段18を上昇させる。分離手段17と揺動手段18が上昇端に達して分離手段17の分離部材20が洗浄槽本体6に所定の圧力で接触すると、制御装置15は吸引バルブ29と送気バルブ30を開にして、吸引管22で洗浄槽3内の空気を吸引し、送気管23のノズル28から圧縮空気を洗浄槽3内に噴出させて洗浄槽3内で高速の気流を発生させ、分離部材20に積み上げた洗浄媒体11を飛翔撹拌させ、同時に揺動手段18の揺動モータ32を駆動して分離手段17を揺動させる。この洗浄媒体11を飛翔させるときの高速気流は、少なくとも10m/s以上、より好ましくは50m/s以上の流速で、洗浄媒体11を5m/s、より好ましくは10m/sの速度で飛翔させると良い。
【0062】
飛翔した洗浄媒体11は、図5の洗浄媒体11の挙動図(a)に示すように、被洗浄体固定手段7の開口部12を通り飛翔して被洗浄体2に衝突して被洗浄体2に付着しているトナー粒子等の粉体を分離する。洗浄媒体11と分離された粉体は吸引管22で吸引することにより生じる気流によって分離部材20に衝突し、分離された粉体は分離部材20を通って吸引され、洗浄媒体11に付着した粉体は洗浄媒体11から分離して分離部材20を通って吸引されて除去される。また、粉体を分離した洗浄媒体11は気流によりクリーニングされ、分離部材20の吸引管22を接続した吸引口26に対応する位置近傍に堆積する。このままの状態では堆積した洗浄媒体11により分離部材20に目詰りを起こして吸引力を低下させ、洗浄媒体11を飛翔させる気流の速度が低下してしまう。そこで揺動手段18で分離部材20を水平方向に移動して、図5(b)に示すように、分離部材20の洗浄媒体11を堆積した位置を送気管23のノズル28が連結した送気口27に対応する位置近傍に移動し、堆積した洗浄媒体11をノズル28から噴出する圧縮空気で飛翔させる。この分離部材20の水平方向の移動を揺動手段18で吸引口26に対応する位置を中心にして両側で往復させて分離部材20に堆積した洗浄媒体11を確実に飛翔させ、分離部材20に目詰りが生じることを防ぐ。このようにして洗浄槽3内の気流を常に高速に維持することができ、飛翔する洗浄媒体11で被洗浄体2に付着したトナー粒子等の粉体を安定して除去することができる。
【0063】
この処理を被洗浄体2が十分に洗浄されるまで一定時間継続した後、制御装置15は送気バルブ30を閉にして送気管23のノズル28による圧縮空気の噴出を停止し、揺動手段18による分離部材20の揺動を停止する。洗浄槽3に対する圧縮空気の噴出と分離部材20の揺動を停止すると、洗浄槽3内で飛翔している洗浄媒体11や被洗浄体2等に付着している洗浄媒体11は分離手段17の吸引口26に対応する分離部材20の位置に吸引されて堆積する。制御装置15は吸引管22による吸引を所定時間行った後、吸引バルブ29を閉にして昇降手段19により分離手段17と揺動手段18を下降させ、下降端に達したらステージ駆動手段16を駆動して洗浄槽3を載置したスライドステージ14を前進させ、次に処理する被洗浄物2を固定した洗浄槽3を載置したスライドステージ14が洗浄媒体飛翔手段5の位置に達したらスライドステージ14に移動を停止して、前記処理を繰り返す。
【0064】
このようにして被洗浄物2を連続して洗浄することができ、洗浄効率を向上することができる。また、洗浄槽3を載置したスライドステージ14が洗浄媒体飛翔手段5の位置にあるときだけ洗浄槽3に圧縮空気を噴出して洗浄槽3内の空気を吸引するから、余分な圧縮空気や余分な吸引力を使用しないで済み、省エネルギを図ることができる。
【0065】
前記説明では分離部材20の洗浄媒体11による目詰りを防止するために、分離手段17の分離部材20を往復移動した場合について説明したが、分離部材20を固定して吸引管22と送気管23を接続した固定板21を往復移動して分離部材20の洗浄槽3内の空気を吸引する領域と圧縮空気を噴出する領域とを切り換えるようにしても良い。
【0066】
また、前記説明では分離部材20の洗浄媒体11による目詰りを防止するために、分離部材20や吸引管22と送気管23を接続した固定板21を往復移動して分離部材20の空気を吸引する領域と圧縮空気を噴出する領域とを切り換える場合について説明したが、洗浄槽3を間欠的に移動して分離部材20の空気を吸引する領域と圧縮空気を噴出する領域とを切り換えるようにしても良い。
【0067】
この洗浄槽3を間欠的に移動して分離部材20の空気を吸引する領域と圧縮空気を噴出する領域とを切り換える第2の乾式洗浄装置1aは、図6の構成図に示すように、複数の洗浄槽3aを載置するリニアガイド35と、リニアガイド35に連結された複数の吸引管22と送気管23と、リニアガイド35に載置した洗浄槽3aを押し付けて移動させる洗浄槽移動手段36を有する。
【0068】
洗浄槽3aの洗浄槽本体6は、図7の構成図に示すように、上面に被洗浄体2を投入する被洗浄体投入口9と被洗浄体投入口9を密閉する蓋8を有し、底部には気体や粉塵を通過させるが洗浄媒体11が通り抜けられない小孔やスリットを多数有する多孔性部材24が設けられ、側壁の下端部全体は例えばニトリルゴムやフッ化ビニリデン系ゴム等のゴムや合成樹脂で形成されたシール部材37でシールされている。この洗浄槽本体6の被洗浄体投入口9と多孔性部材24との中間に洗浄媒体11を通過するに十分な大きさの開口部12を複数有する被洗浄体固定手段7が設けられている。
【0069】
リニアガイド35には、洗浄槽3aの移動を案内する平面からなるガイド面を上面に有し、図8に示すように、洗浄槽3aに移動方向に対して吸引管22と送気管23とを連結する吸引口26と、吸引口26に対して洗浄槽3aが移動する方向の近傍に設けられた送気口27との組合が洗浄槽3aの移動方向の幅より狭い間隔で複数組配置されている。この吸引口26と送気口27は、図8(a)に示すように、洗浄槽3aの移動方向に対して直角のスリット状に形成したり、あるいは図8(b)に示すように、吸引口26を円形に形成し、送気口27を円弧状に形成して、洗浄槽3aの進行方向に対して千鳥状に配置している。この吸引口26と送気口27の組合が設けられた位置にはそれぞれ洗浄槽3aを検出する位置センサ34が設けられている。吸引管22は一方の端部がリニアガイド35の吸気口26に連結され、他方の端部はブロワー等の吸引装置に連結されている。送気管23は先端部にノズル28を有し、ノズル28がリニアガイド35の送気口27に連結され、他方の端部は圧縮機等の圧縮空気供給装置に連結されている。この吸引管22と送気管23には、図9のブロック図に示すように、制御装置15aからの制御信号により開閉する吸引バルブ29と送気バルブ30を有する。
【0070】
洗浄槽移動手段36は、洗浄槽固定用つめ38を備えた洗浄槽駆動ベルト39と、洗浄槽3aをリニアガイド35に押し付ける洗浄槽押付ローラ40とを有するベルトコンベア機構で構成され、図9に示すように、制御装置15aからのベルト駆動制御信号により動作するベルト駆動モータを有するベルト駆動手段41により駆動される。
【0071】
この乾式洗浄装置1aで薄片状の洗浄媒体11を洗浄槽3内で飛翔させて循環させ、被洗浄体2に付着したトナー粒子等の塵埃を除去する動作を説明する。
【0072】
まず、洗浄槽移動手段36の洗浄槽3aを移動する方向の上流側に設けた投入部で洗浄槽3aの蓋8を開けた状態で洗浄槽3a内に薄片状の洗浄媒体11を投入する。この洗浄媒体11は、複数の開口部12を有する被洗浄体固定手段7を通過して多孔性部材24上に保持される。次に被洗浄体2を洗浄槽3a内に入れて被洗浄体固定手段7に固定し、蓋8を閉じて洗浄槽3aの被洗浄体投入口9を密閉する。この洗浄槽3aをリニアガイド35に載置して乾式洗浄装置1aに連続的に投入する。乾式洗浄装置1aに投入された各洗浄槽3aは洗浄槽移動手段36の洗浄槽駆動ベルト39の摩擦と洗浄槽固定用つめ38によってリニアガイド35に案内されながら一定方向に一定間隔をおいて送られる。この送られている洗浄槽3aが吸引口26と送気口27の組合が設けられた位置に達したことを位置センサ34で検出すると、制御装置15aは吸引バルブ29と送気バルブ30を開にして、吸引管22で洗浄槽3a内の空気を吸引し、送気管23のノズル28から圧縮空気を洗浄槽3a内に噴出させて洗浄槽3a内で高速の気流を発生させ、多孔性部材24上に保持した洗浄媒体11を飛翔させる。飛翔した洗浄媒体11は被洗浄体固定手段7の開口部12を通り飛翔して被洗浄体2に衝突して被洗浄体2に付着しているトナー粒子等の粉体を分離する。洗浄媒体11と分離された粉体は吸引管22で吸引することにより生じる気流によって多孔性部材24に衝突し、分離された粉体は多孔性部材24を通って吸引され、洗浄媒体11に付着した粉体は洗浄媒体11から分離して多孔性部材24を通って吸引されて除去される。また、粉体を分離した洗浄媒体11は気流によりクリーニングされ、多孔性部材24の吸引口26に対応する位置近傍に堆積する。この状態で洗浄槽3aが送られると多孔性部材24上に堆積した洗浄媒体11も多孔性部材24との摩擦により移動して送気口27から噴出している圧縮空気により再び飛翔して被洗浄体2に衝突して被洗浄体2を洗浄する。
【0073】
このように洗浄槽3a内で洗浄媒体11を飛翔させる送気口27と吸引口26を、図8(a)に示すように、スリット状に形成して交互に配置にすることにより、洗浄媒体11を吸引口26の近傍にスリット状に集合させ、この集合した洗浄媒体11をスリット状の送気口27から噴出する圧縮空気によって洗浄槽3a内に飛翔させることにより、洗浄媒体11を移動している被洗浄体2全体を走査するように被洗浄体2に衝突させることができ、被洗浄体2の広い領域を洗浄して洗浄効果を高めることができる。
【0074】
また、図8(b)に示すように、吸引口26を円形に形成し、送気口27を円弧状に形成して、洗浄槽3aの進行方向に対して千鳥状に配置することにより、洗浄媒体11を洗浄槽3a内の被洗浄体2に対して斜め下方向から飛翔させることができ、洗浄媒体11を被洗浄体2の側面に対して衝突しやすくして、かつ被洗浄体2の左右両方から交互に衝突させることができ、立体的な厚みのある被洗浄体2全面の洗浄効果を高めることができる。また、吸引口26と送気口27は少なくとも1組が常に洗浄槽3aの内側に接するような間隔で配置されているから、洗浄槽3aがリニアガイド35のどの位置にあっても洗浄槽3a内に気流を発生することができ、洗浄媒体11を連続して飛翔させることができ、洗浄効果をより高めることができる。
【0075】
また、このように被洗浄体2と洗浄媒体11を投入した洗浄槽3aを洗浄槽移動手段36で連続的に移動させるから、被洗浄体2を連続的に洗浄させることができる。
【0076】
さらに、リニアガイド35に設けられた複数の送気口27の一部をリニアガイド35に所定角度傾けて形成して送気管23の先端部に設けたノズル28を連結すると良い。例えば図10の構成図に示すように、リニアガイド35に設けられた複数の送気口27を洗浄槽3aの移動方向に対してそれぞれ45度の角度をなす送気口27aと、90度の角度をなす送気口27bと135度の角度をなす送気口27cを適切に配置し、各送気口27a〜27cに送気管23の先端部に設けたノズル28を連結して、リニアガイド35で移動する洗浄槽3aの位置毎に洗浄槽3a内部に異なる方向の気流を噴出させる。このようにしてリニアガイド35で移動する洗浄槽3aの位置毎に洗浄槽3a内部の被洗浄体2には、45度、90度、135度の角度から流入する空気によって加速された洗浄媒体11が衝突し、これらの角度に相対する被洗浄体2の汚れを除去することができる。したがって立体的な被洗浄体2であっても、ムラ無く洗浄することができる。
【0077】
図10では送気口27a,27cを洗浄槽3aの移動方向に対して傾けた場合について示したが、送気口7の一部を任意の方向に傾けて形成しても良い。また、送気口7に気流の噴出方向の異なる各種のノズル28を連結して、洗浄槽3a内に流入する空気流の噴出方向や噴出パターンを変えるようにしても良い。このように噴出方向や噴出パターンが異なる空気流により加速された洗浄媒体11が被洗浄体2に当たることによって、被洗浄体2の洗浄範囲を補間しあい、被洗浄体2の全体を確実に洗浄することができる。
【0078】
また、図10に示すように、洗浄槽移動手段36の洗浄槽3aを移動する方向の下流側に設けた洗浄槽取出口の手前においては、リニアガイド35に吸引口26だけを設けて吸引管22を連結すると良い。このようにリニアガイド35の洗浄槽取出口の手前に吸引口26だけを設けることにより、洗浄槽3aがリニアガイド35から排出される手前において、洗浄槽3a内を吸引して洗浄媒体11を飛翔しないように多孔性部材24上に固定して洗浄媒体11が飛散することを防ぐから、被洗浄体2に付着した洗浄媒体11は吸引によって発生する気流で被洗浄体2から分離されて再付着しないようにすることができる。また、洗浄槽3a内を吸引している状態で、作業者が洗浄槽3aの蓋8を開けて、上からエアガン等で被洗浄体2に空気流を吹き付けても良い。このようにエアガン等による空気流で被洗浄体2から吹き払われた洗浄媒体11は多孔性部材24上に吸引された固定されるため飛散しないで、より確実に洗浄媒体11を被洗浄体2から分離することができる。
【0079】
前記乾式洗浄装置1aは複数の洗浄槽3aをリニアガイド35に沿って連続的に移動して被洗浄体2を洗浄する場合について説明したが、図11の分解斜視図と図12の斜視図に示すように、複数の洗浄槽3aを回転テーブル42の同一円周に沿って設け、回転テーブル42を回転するテーブル駆動手段43に吸引管22と送気管23を連結するスリット状の吸引口26と送気口27の組合を回転テーブル42に設けた洗浄槽3aと同一の円周に沿って被洗浄体2の投入部44を除いて複数組も設けても良い。
【0080】
この回転台式の乾式洗浄装置1bは投入部44で十分な量の洗浄媒体11と被洗浄体2を洗浄槽3aに投入し、回転テーブル42を一定の送り角度で間欠的に回転させて各洗浄槽3aをテーブル駆動手段43の吸引口26と送気口27を設けた位置に移動して停止させ、吸引バルブ29と送気バルブ30を開にして、吸引管22で洗浄槽3a内の空気を吸引し、送気管23のノズル28から圧縮空気を洗浄槽3a内に噴出させて洗浄槽3a内で高速の気流を発生させながらテーブル駆動手段43で回転テーブル42を少なくとも吸引口26と送気口27の間隔に応じた振幅で往復回動させる。このようにして洗浄槽3a内に高速気流を発生させるとともに洗浄槽3aの多孔性部材24上に堆積した洗浄媒体11を連続的に飛翔させることができる。この洗浄槽3aが1回転して投入部44に達したら、洗浄槽3a内の被洗浄体2を取り出して洗浄動作を繰り返す。
【0081】
このように洗浄槽3aを同一円周上で回転することにより、小さなスペースで比較的長い洗浄槽移動経路を確保して被洗浄体2を連続的に洗浄することができるとともに、1個所の投入部44で洗浄媒体11や被洗浄体2の投入と取り出しを行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0082】
この乾式洗浄装置1bで洗浄媒体11を連続して使用して被洗浄体2を洗浄していると、洗浄媒体11は磨耗して吸引されて排出されたり、被洗浄体2に付着して洗浄槽3a外に排出されることにより洗浄媒体の量が減少する。このため定期的に洗浄媒体11を補充することが必要である。そこで、図13の斜視図に示すように、回転テーブル42による洗浄槽3aの洗浄槽移動経路の投入部44より回転テーブル42の回転方向の上流側に洗浄媒体投入部45と計測部46と排出部47を設け、洗浄媒体投入部45に洗浄媒体自動投入装置48を連結し、図14の部分断面図に示すように、計測部46に洗浄媒体量計測手段49を設ける。
【0083】
洗浄媒体自動投入装置48は洗浄媒体11を一時たくわえておくホッパー50と供給スクリュー51と供給スクリュー51を駆動する洗浄媒体供給用モータ52から構成されている。テーブル駆動手段43の計測部46に対応する位置には、図14に示すように、開口部53が形成され、この開口部54に洗浄媒体量計測手段49として例えば加重センサを有する。洗浄媒体量計測手段49は、図15のブロック図に示すように、テーブル駆動手段43のテーブル駆動モータ54と洗浄媒体供給用モータ52と吸引バルブ29と送気バルブ30の動作を制御する制御装置15cに接続されている。
【0084】
この洗浄媒体自動投入装置48と洗浄媒体量計測手段49を有する乾式洗浄装置1bで洗浄媒体投入部45において洗浄媒体自動投入装置48から所定の量の洗浄媒体11を洗浄槽3aに投入し、この洗浄槽3aが投入部44に移動したとき被洗浄体2を投入して回転テーブル42を一定の送り角度で間欠的に回転させて各洗浄槽3aに投入した被洗浄体2を洗浄して洗浄槽3aが1回転して排出部46に達したら被洗浄体2を洗浄槽3aから取り出す。この洗浄槽3aが計測部47に移動すると、洗浄媒体量計測手段49で洗浄槽3aの重量を計測して制御装置15bに送る。制御装置15bはあらかじめ登録された各洗浄槽3aの重量と洗浄媒体量計測手段49からの計測値とから洗浄槽3a内に残留している洗浄媒体11の残留量を算出し、算出した洗浄媒体11の残留量とテーブル駆動手段43の回転回数を記憶装置に記憶する。そして制御装置15bは洗浄媒体11の残留量とあらかじめ設定された洗浄媒体11の量を示す閾値と比較し、洗浄媒体11の残留量が閾値以下になった洗浄槽3aを発見した場合、この洗浄槽3aが洗浄媒体投入部45の位置に移動したとき、洗浄媒体自動投入装置48を駆動して洗浄媒体11を洗浄槽3a内に補充させる。このとき洗浄媒体11の残留量が所定の基準値になるように洗浄媒体自動投入装置48の駆動を制御する。このようにして洗浄媒体11の補充を自動化して、各洗浄槽3a内の洗浄媒体量を安定化することにより、洗浄品質を安定化させることができるとともに作業者の負荷を低減することができる。
【0085】
前記説明では洗浄媒体量計測手段49として加重センサを使用した場合について説明したが、光電センサ等を各洗浄槽3aに設けて洗浄媒体堆積量や洗浄媒体飛翔数を計測して洗浄媒体11の残留量を得るようにしても良い。
【0086】
また、前記説明では洗浄媒体11の残留量に応じて洗浄媒体自動投入装置48から洗浄媒体11を補充する場合について説明したが、洗浄槽3aが一定回数周回するごと、すなわち洗浄媒体11の使用回数に応じて洗浄媒体自動投入装置48から洗浄媒体11を一定量補充するようにしても良い。
【0087】
前記乾式洗浄装置1,1a,1bに有する洗浄槽3,3aは被洗浄体固定手段7として洗浄媒体11を通過するに十分な大きさの開口部12を複数有する金網等で形成した場合について説明したが、図16の断面図に示すように、洗浄槽3,3aの洗浄槽本体6の対向する側面にそれぞれ回転自在に設けられ、被洗浄体2を挟み込んで保持する被洗浄体固定具55a,55bと、洗浄槽3と洗浄媒体飛翔手段5との相対移動や、洗浄槽3aとリニアガイド35又はテーブル駆動手段43との相対移動により回転する摩擦車等の回転手段56と、回転手段56の回転を被洗浄体固定具55aの回転軸に伝達するカサ歯車群等の回転伝達手段57とで被洗浄体固定手段7を構成し、洗浄槽3内で洗浄媒体11を飛翔させているとき洗浄媒体飛翔手段5の分離手段17を揺動しているときや、洗浄槽3a内で洗浄媒体11を飛翔させながら洗浄槽3aをリニアガイド35又はテーブル駆動手段43に沿って移動しているときに、分離手段17の揺動や洗浄槽3aの移動に伴って被洗浄体2を回転することにより、被洗浄体2の全面をより高速に洗浄することができる。
【0088】
前記説明では被洗浄体固定具55aを洗浄槽3と洗浄媒体飛翔手段5との相対移動や、洗浄槽3aとリニアガイド35又はテーブル駆動手段43との相対移動により回転する回転手段56で回転させる場合について説明したが、被洗浄体固定具55aの回転軸を駆動モータ等の回転駆動装置で回転させるようにしても良い。
【0089】
また、図17に示すように、洗浄槽3,3aに洗浄槽3,3a内に飛翔する洗浄媒体11を加速させる洗浄媒体加速手段58を設けると良い。この洗浄媒体加速手段58としては、図17に示すように、例えばバッテリーにより駆動するモータ59に接続された洗浄媒体加速用プロペラ60や圧縮空気発生装置に連結された空気噴出ノズル等を使用する。そして洗浄媒体加速手段58を被洗浄体2に対して洗浄槽3aに気流を吹き込む送気口27と反対の位置に配置する。このように洗浄媒体加速手段58を被洗浄体2に対して洗浄槽3aに気流を吹き込む送気口27と反対の位置に設けることにより、送気口27から吹き込む気流により加速された洗浄媒体11と洗浄媒体加速手段58からの気流により加速された洗浄媒体11を被洗浄体2に衝突させて汚れを除去することができ、被洗浄体2の全面をムラなく洗浄できる。
【0090】
前記説明では洗浄媒体加速手段58を被洗浄体2に対して洗浄槽3aに気流を吹き込む送気口27と反対の位置に設けた場合について説明したが、洗浄媒体加速手段50を送気口27から流入する気流を加速するように配置して洗浄媒体11をより加速することにより、被洗浄体2の強い汚れを早く除去することもできる。
【0091】
また、洗浄媒体加速手段58として例えばバッテリーにより駆動するモータ59に接続された洗浄媒体加速用プロペラ60を使用することにより、洗浄槽3aの移動を電源の配線によって妨げずに円滑に行うことができる。
【0092】
次に、他の乾式洗浄装置について説明する。この乾式洗浄装置1cは、図18(a)の斜視図に示すように、洗浄槽3bとスライドガイド61と、スライドガイド61に連結された吸引管22と送気管23及び洗浄槽駆動手段62とを有する。
【0093】
洗浄槽3bは一定長さを有する円筒状に形成され、両端部63以外の外周面全体は気体や粉塵を通過させるが洗浄媒体11が通り抜けられない小孔やスリットを多数有する多孔性部材24で覆われ、内部に洗浄媒体11を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する袋状の被洗浄体固定手段7が設けられている。この洗浄槽3bの両端部63には開閉できる蓋64を有し、蓋64には洗浄槽駆動手段62と係合する溝や突起等から形成された連結部65を有する。
【0094】
スライドガイド50は、半円筒状のガイド溝66とガイド溝66の一部又は前部を覆う半円筒状のカバー67を有する。ガイド溝66は、図13(b)の斜視図に示すように、所定の位置に湾曲した溝状の吸引口26と送気口27が交互に設けられている。吸引口26と送気口27が設けられ位置のカバー67の内面には、洗浄槽3bの両端部63をシールするシール部材68が設けられている。吸引バルブ29を有する吸引管22は一方の端部がスライドガイド50の吸気口26に連結され、他方の端部はブロワー等の吸引装置に連結されている。送気バルブ30を有する送気管23は先端部にノズル28を有し、ノズル28がスライドガイド50の送気口27に連結され、他方の端部は圧縮機等の圧縮空気供給装置に連結されている。
【0095】
洗浄槽駆動手段62は例えばエアーシリンダや送りモータと送りねじ機構等で構成された洗浄槽送り手段69と、洗浄槽送り手段69の先端部に設けられた回転モータと、回転モータと洗浄槽3bの蓋64の連結部65と連結して洗浄槽3bに回転を伝達する回転伝達部とを有する洗浄槽回転手段70を有する。
【0096】
この乾式洗浄装置1cで被洗浄体2を洗浄するとき、スライドガイド61の外部で洗浄槽3bの蓋64を開にして洗浄槽3b内に被洗浄体2と洗浄媒体11を投入して被洗浄体2を袋状の被洗浄体固定手段7に固定する。この状態で洗浄槽3bの蓋64を閉じて、図13(a)に示すように、洗浄槽3bをスライドガイド61の投入口に投入する。次に洗浄槽駆動手段62を洗浄槽3bの蓋64の連結部65に連結して洗浄槽3bをスライドガイド50の吸引口26と送気口27が設けられた所定の位置まで前進させ、洗浄槽3bを所定の位置まで前進させたら洗浄槽3bの前進を停止して洗浄槽3bを回転させる。洗浄槽3bが回転したら、吸引バルブ29と送気バルブ30を開にして、吸引管22で洗浄槽3b内の空気を吸引し、送気管23のノズル28から圧縮空気を洗浄槽3b内に噴出させて洗浄槽3b内で高速の気流を発生させ洗浄媒体11を飛翔させて被洗浄体2に衝突させて被洗浄体2を洗浄する。この被洗浄体2を洗浄しているとき、洗浄媒体11は洗浄槽3bの回転に同期して回転しながら飛翔するから、被洗浄体2の全面に確実に衝突させることができ、被洗浄体2の全面をムラなく洗浄することができる。洗浄処理を所定時間行ったら吸引バルブ29と送気バルブ30を閉にして洗浄槽3bの回転を停止し、洗浄槽3bをスライドガイド61の排出口に送り出して次の洗浄槽3bを投入して洗浄処理を行う。このように洗浄槽3bを回転しながら洗浄媒体11を流動させることにより、多孔性部材24の目詰りを防止しながら被洗浄体2の全面をムラなく洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】この発明の乾式洗浄装置の構成図である。
【図2】乾式洗浄装置の構成を示す断面図である。
【図3】制御装置と各種入出力手段の構成を示すブロック図である。
【図4】被洗浄体に付着した粒体を洗浄媒体で除去する状態を示す模式図である。
【図5】洗浄媒体の飛翔状態を示す断面図である。
【図6】第2の乾式洗浄装置の構成図である。
【図7】第2の乾式洗浄装置の構成を示す部分断面図である。
【図8】第2の乾式洗浄装置のリニアガイドに設けた吸引口と送気口の配置図である。
【図9】第2の乾式洗浄装置の制御装置と各種入出力手段の構成を示すブロック図である。
【図10】第2の乾式洗浄装置の他の構成図である。
【図11】第3の乾式洗浄装置の構成を示す分解斜視図である。
【図12】第3の乾式洗浄装置の構成を示す斜視図である。
【図13】第3の乾式洗浄装置の他の構成を示す斜視図である。
【図14】洗浄媒体量計測手段を有する計測部の構成を示す部分断面図である。
【図15】第3の乾式洗浄装置の制御装置と各種入出力手段の構成を示すブロック図である。
【図16】洗浄槽に設けた被洗浄体固定手段の構成を示す断面図である。
【図17】洗浄媒体加速手段を有する洗浄槽の構成を示す断面図である。
【図18】第4の乾式洗浄装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0098】
1;乾式洗浄装置、2;被洗浄体、3;洗浄槽、4;洗浄槽移動手段、
5;洗浄媒体飛翔手段、6;洗浄槽本体、7;被洗浄体固定手段、8;蓋、
9;被洗浄体投入口、10;ガイド部、11;洗浄媒体、12;開口部、
13;スライドレール、14;スライドステージ、15;制御装置、
16;ステージ駆動手段、17;分離手段、18;揺動手段、19;昇降手段、
20;分離部材、21;固定板、22;吸引管、23;送気管、24;多孔性部材、
25;保持枠、26;吸引口、27;送気口、28;ノズル、29;吸引バルブ、
30;送気バルブ、31;カム、32;揺動モータ、33;位置規制手段、
34;位置センサ、35;リニアガイド、36;洗浄槽移動手段、
37;シール部材、38;洗浄槽固定用つめ、39;洗浄槽駆動ベルト、
40;洗浄槽押付ローラ、41;ベルト駆動手段、42;回転テーブル、
43;テーブル駆動手段、44;投入部、45;洗浄媒体投入部、46;計測部、
47;排出部、48;洗浄媒体自動投入装置、49;洗浄媒体量計測手段、
50;ホッパー、51;供給スクリュー、52;洗浄媒体供給用モータ、
53;開口部、54;テーブル駆動モータ、55;被洗浄体固定具、
56;回転手段、57;回転伝達手段、58;洗浄媒体加速手段、59;モータ、
60;洗浄媒体加速用プロペラ、61;スライドガイド、62;洗浄槽駆動手段、
63;洗浄槽両端部、64;蓋、65;連結部、66;ガイド溝、67;カバー、
68;シール部材、69;洗浄槽送り手段、70;洗浄槽回転手段。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば複写機やレーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置で用いられる平均粒径5μm〜10μm程度のトナーが付着した比較的複雑な形状の部品等の各種被洗浄体に付着した塵埃や粉体を、水や溶剤を使わずに固体洗浄媒体を用いて除去する乾式洗浄装置と乾式洗浄方法、特に、被洗浄体を連続投入して処理して作業性の向上を図ることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の事務機器メーカでは、資源循環型社会実現のために使用済みの製品や各種ユニットをユーザから回収後に分解・清掃・再組立し、部品として再使用したり、樹脂材料として利用したりするリサイクル活動を積極的に行っている。これらの製品や各種ユニットに使用されている部品を再利用するためには、分解した部品やユニットに付着している微粒子粉体であるトナーを除去して清浄化する工程が必要であり、清浄化に必要なコストや環境負荷を減らすことが大きな課題となっている。
【0003】
この部品やユニットに付着しているトナー等の汚れを除去するために水や溶剤を使用した湿式の洗浄装置が例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。特許文献1に示された洗浄装置は、開口部が大きい網の洗浄籠の内部に被洗浄体を固定し、洗浄籠を洗浄噴射水等の洗浄剤が噴射される移動経路に沿ってベルトコンベア等の搬送手段で搬送し、移動経路において洗浄籠の上や横から噴射される洗浄剤の流れを洗浄籠の開口部や網目を通り抜けさせて被洗浄体に衝突させ被洗浄体を洗浄している。そして被洗浄体を固定した洗浄籠を連続して搬送手段に投入することにより被洗浄体を連続して洗浄するようにしている。
【0004】
特許文献2に示された洗浄装置は、ゲル、ゲル発泡体、ガラス、セラミック、合成樹脂等の多数の粒体を洗浄槽内において気体流により流動化状態とした後、洗浄槽内に粒体と同等の比重を有する水やシリコン液等の液体を供給し、供給した液体が粒体流動層内に分散して適当な大きさの固液凝集体を形成することによって気体の実質流路面積を減少させて粒体層内を通過する気体流速度を増加させ、これにより粒体層の流動化状態が活性化した特異三相流を発生させ、この特異三相流を被洗浄体に衝突させて洗浄効果を高めるようにしている。
【0005】
このような湿式の洗浄装置を、トナー等の汚れが付着した部品やユニットの洗浄に使用すると、トナー等の汚物を含んだ廃液の処理及び洗浄後の乾燥処理におけるエネルギー消費や環境負荷が大きく、高コストであるという問題がある。
【0006】
また、エアブローによる乾式洗浄方法を使用した場合、付着力の強いトナー等に対しては洗浄能力が十分ではなく、人手によるウェス拭きなどの後工程が必要なため、清浄化は製品リユース・リサイクルにおけるボトルネック工程の1つとなっている。
【0007】
これらの問題を解決するため、特許文献3に示された乾式洗浄装置は、塵埃が静電気的に付着した複数の被洗浄体と軟質ウレタン発泡材等の弾性材からなる球状又はサイコロ状の接触部材を収容した回転収容体を回転させながら、放電電極により回転収容体の内部に被洗浄体の帯電を中和するのに必要な正負の空気イオンを放出して被洗浄体に吹きつけて被洗浄体に付着した塵埃を除去するようにしている。この回転収容体を円筒体で形成し、回転する円筒体の一方の端部に設けた投入部から被洗浄体と接触部材を投入して上流側から下流側に移動させた後、被洗浄体と接触部材を分別して取り出すことにより、被洗浄体を連続して洗浄するようにしている。
【0008】
また、特許文献4に示された乾式洗浄装置は、洗浄槽の被洗浄体を載置する金網から構成された中底板と洗浄槽の底部との間に、粒体は通過しないが気体が通過できる開口部を有する気体吹き出し部に、鉄やアルミナ、セラミック、プラスチック等の直径5〜10mmの球体からなる粒体を載置し、洗浄槽内の空気を上蓋に設けた吸気口から吸引して洗浄槽の底部に設けた吸気口から外気を取り入れて洗浄槽内に気体の流れを形成して粒体を噴流化して被洗浄体に衝突させて被洗浄体を洗浄している。
【特許文献1】特許第2791862号公報
【特許文献2】特開2002−28581号公報
【特許文献3】特許第3288462号公報
【特許文献4】特開2003−190247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献3に示された乾式洗浄装置は、被洗浄体を連続して洗浄するために、回転する円筒体の上流側から下流側に被洗浄体と接触部材を移動させるとき、被洗浄体が互いに接触して傷つけ合うという問題があり、傷つき易い樹脂製品に適用することは困難であった。
【0010】
また、特許文献4に示された乾式洗浄装置は、洗浄槽内に少なくとも一つの被洗浄体を投入し、一定時間後に取り出す方式のみを対象にしており、連続して被洗浄体を洗浄することはできなかった。
【0011】
この発明は、このような短所を改善し、各種材料で形成された被洗浄体を効率よく洗浄するとともに、連続して投入して処理することができる乾式洗浄装置と乾式洗浄方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の乾式洗浄装置は、被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、洗浄槽と分離手段と送排気手段及び移動手段を有し、前記洗浄槽は、上面に被洗浄体を投入して蓋で密閉する被洗浄体投入口を有し、底部全体が開口して形成され、被洗浄体投入口と底部との間に洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、前記分離手段は、前記洗浄槽の開口部に設けられ、気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材を有し、前記送排気手段は前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、前記移動手段は、前記分離手段と前記送排気手段を相対的に移動して前記送気手段が気体を導入する前記分離手段の領域と前記吸引手段が気体を吸引する前記分離手段の領域を可変することを特徴とする。
【0013】
この発明の第2の乾式洗浄装置は、被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、洗浄槽と洗浄槽移動手段及び洗浄媒体飛翔手段を有し、前記洗浄槽は、上面に被洗浄体を投入して蓋で密閉する被洗浄体投入口を有し、底部全体が開口して形成され、被洗浄体投入口と底部との間に洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、前記洗浄槽移動手段は、前記洗浄槽を保持して間欠移動させ、前記洗浄媒体飛翔手段は、洗浄媒体と塵や粉体を分離する分離手段と揺動手段及び昇降手段を有し、前記洗浄槽移動手段の下部に1つ又は一定間隔をおいて複数設けられ、前記分離手段は分離部材と送排気手段を有し、前記分離部材は気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材を有し、前記送排気手段は前記多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、前記揺動手段は、前記分離部材と前記送排気手段を相対的に移動して前記送気手段が気体を導入する前記分離部材の領域と前記吸引手段が気体を吸引する前記分離部材の領域を可変し、前記昇降手段は前記分離手段と揺動手段を昇降させることを特徴とする。
【0014】
この発明の第3の乾式洗浄装置は、被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、複数の洗浄槽と洗浄槽案内手段と送排気手段及び洗浄槽移動手段を有し、前記洗浄槽は、上面に被洗浄体を投入して蓋で密閉する被洗浄体投入口を有し、底部全面には気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材を有し、被洗浄体投入口と底部との間には洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、前記洗浄槽案内手段は、前記洗浄槽の移動を案内するガイド面を上面に有し、前記送排気手段と連結する吸引口と送気口の組合が前記洗浄槽の移動方向に沿って複数組配置され、前記送排気手段は、前記洗浄槽案内手段の送気口に接続され、前記洗浄槽の多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記洗浄槽案内手段の吸引口に接続され、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、前記洗浄槽移動手段は、前記洗浄槽を前記洗浄槽案内手段に押し付けて前記洗浄槽案内手段のガイド面に沿って移動することを特徴とする。
【0015】
前記洗浄槽案内手段の吸引口と送気口の複数組の組合は前記洗浄槽が移動するときに、少なくとも1組の吸引口と送気口の組合が前記洗浄槽に接続されるように配置されていることが望ましい。
【0016】
また、前記洗浄槽案内手段は直線の経路で前記洗浄槽を案内したり、円形の経路で前記洗浄槽を案内する。
【0017】
また、前記洗浄槽案内手段の送気口は、吸引口に対して前記洗浄槽が移動する方向の近傍に設けられることが望ましい。
【0018】
さらに、前記洗浄槽案内手段の吸引口と送気口は、前記洗浄槽の移動方向に対して直交するスリット状に形成すると良い。
【0019】
また、前記洗浄槽案内手段の吸引口を円形に形成し、送気口を円弧状に形成して、前記洗浄槽の移動方向に対して千鳥状に配置しても良い。
【0020】
また、前記洗浄槽の被洗浄体固定手段は姿勢変更手段を有すると良い。この姿勢変更手段を洗浄槽の移動に追従して駆動させることが望ましい。
【0021】
また、前記洗浄槽の移動経路に、被洗浄体に付着した洗浄媒体を分離する洗浄媒体分離手段を有することが望ましい。
【0022】
さらに、前記送排気手段は、前記洗浄槽に導入する気体の流入方向あるいは気流形状のいずれかがそれぞれ異なる複数の送気手段を有すると良い。
【0023】
また、前記洗浄槽に、前記洗浄槽内に飛翔している洗浄媒体を気流により加速する洗浄媒体加速手段を有することが望ましい。
【0024】
さらに、前記洗浄媒体加速手段を、被洗浄体に対して前記送排気手段の送気手段とは反対側に設けることが望ましい。
【0025】
また、前記洗浄槽に洗浄媒体を投入する洗浄媒体投入手段を有すると良い。
【0026】
さらに、前記被洗浄体を洗浄した後に前記洗浄槽内の洗浄媒体の量を計測する洗浄媒体量計測手段を有し、前記洗浄媒体量計測手段で計測した洗浄媒体の量に応じて前記洗浄媒体投入手段で投入する洗浄媒体の量を制御すると良い。
【0027】
また、前記洗浄槽内の洗浄媒体の使用回数に応じて前記洗浄媒体投入手段で投入する洗浄媒体の量を制御しても良い。
【0028】
この発明の他の乾式洗浄装置は、被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、洗浄槽と洗浄槽案内手段と送排気手段及び洗浄槽駆動手段とを有し、前記洗浄槽は、一定長さを有する円筒状に形成され、両端部以外の外周面全体は気体や粉塵を通過させるが洗浄媒体が通り抜けられない小孔やスリットを多数有する多孔性部材で覆われ、内部に洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、両端部には前記洗浄槽駆動手段と係合する連結部が設けられた蓋を有し、前記洗浄槽案内手段は、半円筒状のガイド溝と、該ガイド溝の一部又は前部を覆う半円筒状のカバーを有し、前記ガイド溝には所定の位置に湾曲した溝状の吸引口と送気口が交互に設けられ、前記前記送排気手段は、前記洗浄槽案内手段の送気口に接続され、前記洗浄槽の多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記洗浄槽案内手段の吸引口に接続され、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、前記洗浄槽駆動手段は、前記洗浄槽を前記洗浄槽案内手段のガイド溝に沿って移動させる洗浄槽送り手段と、該洗浄槽送り手段の先端部に設けられ、前記洗浄槽の連結部と連結して前記洗浄槽に回転を伝達する洗浄槽回転手段を有することを特徴とする。
【0029】
前記送排気手段の送気手段と吸引手段には、気体の流路を開閉する制御弁を有することが望ましい。そして洗浄槽が送排気手段の位置に移動したことを検知したときに制御弁により気体の流路を開にし、洗浄槽が送排気手段の位置から移動したことを検知したときに制御弁により気体の流路を閉にする制御装置を有すると良い。
【0030】
この発明の乾式洗浄方法は、被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去し、除去した塵や粉体と洗浄媒体を気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材で分離する乾式洗浄方法であって、前記多孔性部材に対する前記洗浄媒体を流動させる気体を導入する領域と分離した塵や粉体を吸引する領域を可変することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
この発明は、被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去し、除去した塵や粉体と洗浄媒体を分離する多孔性部材の洗浄媒体を流動させる気体を導入する領域と分離した塵や粉体を吸引する領域を可変することにより、分離して多孔性部材に積み重なった洗浄媒体に対して気体の導入する領域から流入する気体により再度流動を与えて飛翔させるから、洗浄媒体によって多孔性部材に目詰りが生じることを防ぐことができ、洗浄媒体を連続的に洗浄して洗浄効率を向上することができる。
【0032】
また、洗浄槽を移動する洗浄槽移動手段の下部に1つ又は一定間隔をおいて複数の洗浄媒体飛翔手段を設け、洗浄槽移動手段で洗浄槽を移動させて洗浄媒体飛翔手段で洗浄槽内の洗浄媒体に流動を与えることにより、洗浄槽を連続的に投入することができ、洗浄槽に収納した被洗浄体を連続的に洗浄することができる。
【0033】
さらに、洗浄槽に除去した塵や粉体と洗浄媒体を分離する多孔性部材を設け、この洗浄槽を、送排気手段と連結する吸引口と送気口の組合が洗浄槽の移動方向に沿って複数組配置された洗浄槽案内手段に沿って移動することにより、洗浄槽内に洗浄媒体を飛翔させるのに必要な気流を容易に発生できるとともに、複数の洗浄槽内の被洗浄体を同時に洗浄することができ、洗浄効率をより向上することができる。
【0034】
また、洗浄槽案内手段の吸引口と送気口の複数組の組合は洗浄槽が移動するときに、少なくとも1組の吸引口と送気口の組合が洗浄槽に接続されるように配置されていることにより、洗浄槽の多孔性部材の目詰りを防止しながら材洗浄槽内の被洗浄体を連続して洗浄することができ、洗浄効率を向上することができる。
【0035】
さらに、洗浄槽案内手段は直線の経路で洗浄槽を案内することにより、簡単な構成で複数の洗浄槽を連続投入することができ、多数の被洗浄体を効率良く洗浄することができる。
【0036】
また、洗浄槽案内手段は円形の経路で洗浄槽を案内することにより、複数の洗浄槽を連続投入できるとともに小さなスペースで比較的長い洗浄槽移動経路を確保して被洗浄体を連続的に洗浄することができる。また、1個所の投入部で洗浄媒体や被洗浄体の投入と取り出しを行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0037】
また、洗浄槽案内手段の送気口は、吸引口に対して前記洗浄槽が移動する方向の近傍に設けることにより、洗浄槽の多孔性部材の目詰りを確実に防止することができる。
【0038】
さらに、洗浄槽案内手段の吸引口と送気口は、前記洗浄槽の移動方向に対して直交するスリット状に形成することにより、洗浄媒体を吸引口の近傍に集合させてスリット状の送気口から噴出する圧縮空気によって洗浄槽内に飛翔させることにより、洗浄媒体を被洗浄体全体に衝突させることができ、被洗浄体の広い領域を洗浄して洗浄効果を高めることができる。
【0039】
また、吸引口を円形に形成し、送気口を円弧状に形成して、洗浄槽の進行方向に対して千鳥状に配置することにより、洗浄媒体を洗浄槽内の被洗浄体に対して斜め下方向から飛翔させることができ、洗浄媒体を被洗浄体の側面に対して衝突しやすくして、かつ被洗浄体の左右両方から交互に衝突させることができ、立体的な厚みのある被洗浄体全面の洗浄効果を高めることができる。
【0040】
また、洗浄槽の被洗浄体固定手段に姿勢変更手段を有することにより、被洗浄体の全面を効率よく洗浄することができる。この姿勢変更手段を洗浄槽の移動に追従して駆動させることにより、特別の駆動手段を必要としないで姿勢変更手段を駆動することができる。
【0041】
また、洗浄槽の移動経路に、被洗浄体に付着した洗浄媒体を分離する洗浄媒体分離手段を設け、洗浄した被洗浄体に付着した洗浄媒体を洗浄媒体から分離することにより、より確実に洗浄媒体を被洗浄体から分離することができる。
【0042】
さらに、送排気手段は、洗浄槽に導入する気体の流入方向あるいは気流形状のいずれかがそれぞれ異なる複数の送気手段を有することにより、洗浄槽内部の被洗浄体には異なる角度から流入する気流によって加速された洗浄媒体を衝突させることができ、立体的な被洗浄体であっても、ムラ無く洗浄することができる。
【0043】
また、洗浄槽に、洗浄槽内に飛翔している洗浄媒体を気流により加速する洗浄媒体加速手段をもうけ、被洗浄体に衝突させる洗浄媒体を加速することにより、被洗浄体をより効率良く洗浄することができる。さらに、洗浄媒体加速手段を、被洗浄体に対して送排気手段の送気手段とは反対側に設けることにより、被洗浄体の全面をムラなく洗浄することができる。
【0044】
また、洗浄槽に洗浄媒体を投入する洗浄媒体投入手段を設けることにより、洗浄槽に洗浄媒体を容易に補充することができる。
【0045】
さらに、被洗浄体を洗浄した後に洗浄槽内の洗浄媒体の量を計測する洗浄媒体量計測手段を有することにより、洗浄媒体の消耗量を確実に検知することができる。
【0046】
また、洗浄媒体量計測手段で計測した洗浄媒体の量に応じて洗浄媒体投入手段で投入する洗浄媒体の量を制御することにより、洗浄槽に洗浄媒体を自動で補充することができるとともに洗浄槽内の洗浄媒体の量を適正に保持して被洗浄体を安定して洗浄することができる。
【0047】
また、洗浄槽内の洗浄媒体の使用回数に応じて洗浄媒体投入手段で投入する洗浄媒体の量を制御することにより、洗浄槽に洗浄媒体を自動で補充することができるとともに洗浄槽内の洗浄媒体の量を適正に保持して被洗浄体を確実に洗浄することができる。
【0048】
さらに、洗浄槽を円筒状に形成し外周面を多孔性部材で覆い、この洗浄槽を回転しながら洗浄媒体を気体で流動させることにより、多孔性部材の目詰りを防止しながら被洗浄体の全面をムラなく洗浄することができる。
【0049】
また、送排気手段の送気手段と吸引手段には、気体の流路を開閉する制御弁を設け、洗浄槽が送排気手段の位置に移動したときに制御弁により気体の流路を開にし、洗浄槽が送排気手段の位置から移動したときに制御弁により気体の流路を閉にすることにより、余分な圧縮空気や余分な吸引力を使用しないで済み、省エネルギを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
図1はこの発明の乾式洗浄装置の機構構成図である。乾式洗浄装置1は被洗浄体2に付着したトナー等の粉塵を高速気流により流動する洗浄媒体により除去するものであり、洗浄槽3と洗浄槽移動手段4及び洗浄媒体飛翔手段5を有する。
【0051】
洗浄槽3は、図2の断面図に示すように、洗浄槽本体6と被洗浄体固定手段7及び蓋8を有する。洗浄槽本体6は上面に被洗浄体2を投入する被洗浄体投入口9を有し、底部全体が開口して形成され、上端外周部に洗浄槽移動手段4と連結するガイド部10を有する。被洗浄体固定手段7は、洗浄媒体11を通過するに十分な大きさの開口部12を複数有し、例えば金網やプラスチック網、ネット等で形成され、洗浄槽本体6の被洗浄体投入口9と底部との中間に設けられている。
【0052】
洗浄槽移動手段4は、1対のスライドレール13と1又は複数のスライドステージ14を有する。スライドステージ14は洗浄槽3を保持し、図3のブロック図に示すように、制御装置15により駆動制御される。例えばワイヤ駆動機構やリニアモータを有するステージ駆動手段16によりスライドレール13に沿って間欠移動する。
【0053】
洗浄媒体飛翔手段5は、洗浄媒体11と粉塵を分離する分離手段17と揺動手段18及び昇降手段19を有し、1対のスライドレール13の下部に1つ又は一定間隔をおいて複数設けられている。分離手段17は分離部材20と固定板21と吸引管22及び送気管23を有する。分離部材20は気体や粉塵を通過させるが洗浄媒体11が通り抜けられない小孔やスリットを多数有し、例えば金網、プラスチック網、メッシュ、ネット、不織布やスポンジのフィルム、パンチメタル板、ハニカム板、多孔質板又はスリット板等の多孔性部材24と、多孔性部材24を保持する保持枠25とを有し、固定板21の上面に1対のスライドレール13と直交する方向に揺動自在に設けられている。この分離部材20は揺動したときも洗浄槽3の底部開口を覆うように、洗浄槽3の底部開口より大きく形成されている。固定板21は吸引管22を連結する吸引口26と、吸引口26に対して分離部材20の揺動方向の両側に設けられ、送気管23を連結する送気口27を有する。吸引管22は一方の端部が固定板21の吸気口26に連結され、他方の端部はブロワー等の吸引装置に連結されている。送気管23は先端部にノズル28を有し、ノズル28が固定板21の送気口27に連結され、他方の端部は圧縮機等の圧縮空気供給装置に連結されている。この吸引管22と送気管23にはそれぞれ制御装置15からの制御信号により開閉する吸引バルブ29と送気バルブ30を有する。揺動手段18は分離手段17の分離部材20と係合するカム31と、カム31を回転する揺動モータ32と、分離部材20のカム31との係合部と反対側に設けられ、分離部材20に対してカム31側に押圧力を与える圧縮バネや緩衝器等からなり、分離部材20の位置決めを行う位置規制手段33を有する。昇降手段19は例えばエアーシリンダと上昇端検出センサ及び下降端検出センサを有し、分離手段17と揺動手段18を昇降させる。この洗浄媒体飛翔手段5が設けられた位置にはスライドステージ14の載置した洗浄槽3を検出して制御装置15に送る位置センサ34を有する。
【0054】
この乾式洗浄装置1に使用する洗浄媒体11は、金属やセラミクス、合成樹脂、スポンジ、布等の粒状、棒状、筒状、繊維状又は薄片状の固体から形成され、被洗浄体2の形状や材質などの特性や被洗浄体2に付着している塵埃の粒径や付着強度に応じて選択すれば良い。例えば電子写真方式の画像形成装置に使用する平均粒径5μm〜10μmのトナー粉体が付着した合成樹脂や金属製の構成部品からトナー粉体を除去するには樹脂フィルム片や布片、紙片、金属薄片等の薄片状の洗浄媒体11が望ましい。
【0055】
このように薄片状の洗浄媒体11を使用する理由として、薄片状の洗浄媒体11は投影面積が大きい方向に気流の力が作用した場合、空気抵抗力に対する質量が非常に小さいため気流によって容易に加速されて高速飛翔する。また、投影面積が小さい方向には空気抵抗が小さく、その方向へ飛翔した場合、高速運動が長距離維持される。このため洗浄媒体11の持つエネルギが大きく、被洗浄体2に接触したときに作用する力が大きくなって付着した塵埃を有効に除去することができるとともに洗浄媒体11が洗浄槽3の中で繰返し循環して被洗浄体2に接触する頻度が増すので洗浄効率を高めることができる。
【0056】
また、薄片状の洗浄媒体11は、姿勢によって空気抵抗が大きく変化するため、気流に沿って動くだけでなく急に方向を変えるなど複雑な運動をする。さらに、高速気流の作用によって被洗浄体固定手段7の開口部12や被洗浄体2により乱流が発生する。質量に比して空気抵抗を受けやすい薄片状の洗浄媒体11は乱気流への追従性が高く複雑な運動をし、乱流の渦によって自転して回転する。このため薄片状の洗浄媒体11が被洗浄体2に繰返し接触するので比較的複雑な形状の被洗浄体2の洗浄効率を高めることができる。
【0057】
また、図4に示すように、薄片状の洗浄媒体11が端部から被洗浄体2に衝突した場合、接触力が洗浄媒体11のエッジに集中するため、質量が小さいにもかかわらず粉塵等の除去に必要な力が得られる。また、被洗浄体2に対する接触力が大きくなると撓んで力を逃がすため、一般的なブラストショット材やバレル加工用の研磨材等とは異なり、必要以上の力を被洗浄体2に加えることがなく、被洗浄体2を傷つけないですむ。さらに、薄片状の洗浄媒体11が被洗浄体2に衝突したときに撓んで空気から受ける粘性抵抗が大きく作用して非弾性衝突となり、跳ね返りが起こりにくく、斜め衝突の場合は滑り接触して一度の衝突で被洗浄体2の広い面積に接触しながら移動し、この接触による掻き取り作用や摺擦作用により被洗浄体2に付着したトナー粒子に対して接触面に平行な力を作用させ、小さい力でトナー粒子を被洗浄体2から分離して洗浄効率を高めることができる。
【0058】
さらに、薄片状の洗浄媒体11は分離部材20に衝突したときの変形や振動により付着した塵埃等の粒子を容易に分離することができ、塵埃等の粒子が被洗浄体2に再付着することを防ぐことができる。
【0059】
このように薄片状の洗浄媒体11は被洗浄体2に付着したトナー粒子等の塵埃を効率良く除去できるから、使用量がごくわずかで済み、環境負荷やランニングコストを低くすることができる。
【0060】
この薄片状の洗浄媒体11を洗浄槽3内で飛翔させて循環させ、被洗浄体2に付着したトナー粒子等の塵埃を除去する動作を説明する。
【0061】
洗浄媒体飛翔手段5の分離手段17には薄片状の洗浄媒体11をあらかじめ積み上げ、この分離手段17と揺動手段18を昇降手段19であらかじめ設定した下降端まで下降させておく。この状態でスライドレール13の洗浄槽投入側で洗浄槽3の被洗浄体固定手段7に被洗浄体2を固定し、洗浄槽3の被洗浄体投入口9を蓋8で密閉する。この被洗浄体2を保持した洗浄槽3をスライドステージ14に順次載置してステージ駆動手段16で順次移動する。洗浄槽3を載置したスライドステージ14が洗浄媒体飛翔手段5の位置に達して位置センサ34でスライドステージ14に載置した洗浄槽3を検出すると、制御装置15はステージ駆動手段16によるスライドステージ14の移動を停止させ、所定のタイミングをおいて昇降手段19により分離手段17と揺動手段18を上昇させる。分離手段17と揺動手段18が上昇端に達して分離手段17の分離部材20が洗浄槽本体6に所定の圧力で接触すると、制御装置15は吸引バルブ29と送気バルブ30を開にして、吸引管22で洗浄槽3内の空気を吸引し、送気管23のノズル28から圧縮空気を洗浄槽3内に噴出させて洗浄槽3内で高速の気流を発生させ、分離部材20に積み上げた洗浄媒体11を飛翔撹拌させ、同時に揺動手段18の揺動モータ32を駆動して分離手段17を揺動させる。この洗浄媒体11を飛翔させるときの高速気流は、少なくとも10m/s以上、より好ましくは50m/s以上の流速で、洗浄媒体11を5m/s、より好ましくは10m/sの速度で飛翔させると良い。
【0062】
飛翔した洗浄媒体11は、図5の洗浄媒体11の挙動図(a)に示すように、被洗浄体固定手段7の開口部12を通り飛翔して被洗浄体2に衝突して被洗浄体2に付着しているトナー粒子等の粉体を分離する。洗浄媒体11と分離された粉体は吸引管22で吸引することにより生じる気流によって分離部材20に衝突し、分離された粉体は分離部材20を通って吸引され、洗浄媒体11に付着した粉体は洗浄媒体11から分離して分離部材20を通って吸引されて除去される。また、粉体を分離した洗浄媒体11は気流によりクリーニングされ、分離部材20の吸引管22を接続した吸引口26に対応する位置近傍に堆積する。このままの状態では堆積した洗浄媒体11により分離部材20に目詰りを起こして吸引力を低下させ、洗浄媒体11を飛翔させる気流の速度が低下してしまう。そこで揺動手段18で分離部材20を水平方向に移動して、図5(b)に示すように、分離部材20の洗浄媒体11を堆積した位置を送気管23のノズル28が連結した送気口27に対応する位置近傍に移動し、堆積した洗浄媒体11をノズル28から噴出する圧縮空気で飛翔させる。この分離部材20の水平方向の移動を揺動手段18で吸引口26に対応する位置を中心にして両側で往復させて分離部材20に堆積した洗浄媒体11を確実に飛翔させ、分離部材20に目詰りが生じることを防ぐ。このようにして洗浄槽3内の気流を常に高速に維持することができ、飛翔する洗浄媒体11で被洗浄体2に付着したトナー粒子等の粉体を安定して除去することができる。
【0063】
この処理を被洗浄体2が十分に洗浄されるまで一定時間継続した後、制御装置15は送気バルブ30を閉にして送気管23のノズル28による圧縮空気の噴出を停止し、揺動手段18による分離部材20の揺動を停止する。洗浄槽3に対する圧縮空気の噴出と分離部材20の揺動を停止すると、洗浄槽3内で飛翔している洗浄媒体11や被洗浄体2等に付着している洗浄媒体11は分離手段17の吸引口26に対応する分離部材20の位置に吸引されて堆積する。制御装置15は吸引管22による吸引を所定時間行った後、吸引バルブ29を閉にして昇降手段19により分離手段17と揺動手段18を下降させ、下降端に達したらステージ駆動手段16を駆動して洗浄槽3を載置したスライドステージ14を前進させ、次に処理する被洗浄物2を固定した洗浄槽3を載置したスライドステージ14が洗浄媒体飛翔手段5の位置に達したらスライドステージ14に移動を停止して、前記処理を繰り返す。
【0064】
このようにして被洗浄物2を連続して洗浄することができ、洗浄効率を向上することができる。また、洗浄槽3を載置したスライドステージ14が洗浄媒体飛翔手段5の位置にあるときだけ洗浄槽3に圧縮空気を噴出して洗浄槽3内の空気を吸引するから、余分な圧縮空気や余分な吸引力を使用しないで済み、省エネルギを図ることができる。
【0065】
前記説明では分離部材20の洗浄媒体11による目詰りを防止するために、分離手段17の分離部材20を往復移動した場合について説明したが、分離部材20を固定して吸引管22と送気管23を接続した固定板21を往復移動して分離部材20の洗浄槽3内の空気を吸引する領域と圧縮空気を噴出する領域とを切り換えるようにしても良い。
【0066】
また、前記説明では分離部材20の洗浄媒体11による目詰りを防止するために、分離部材20や吸引管22と送気管23を接続した固定板21を往復移動して分離部材20の空気を吸引する領域と圧縮空気を噴出する領域とを切り換える場合について説明したが、洗浄槽3を間欠的に移動して分離部材20の空気を吸引する領域と圧縮空気を噴出する領域とを切り換えるようにしても良い。
【0067】
この洗浄槽3を間欠的に移動して分離部材20の空気を吸引する領域と圧縮空気を噴出する領域とを切り換える第2の乾式洗浄装置1aは、図6の構成図に示すように、複数の洗浄槽3aを載置するリニアガイド35と、リニアガイド35に連結された複数の吸引管22と送気管23と、リニアガイド35に載置した洗浄槽3aを押し付けて移動させる洗浄槽移動手段36を有する。
【0068】
洗浄槽3aの洗浄槽本体6は、図7の構成図に示すように、上面に被洗浄体2を投入する被洗浄体投入口9と被洗浄体投入口9を密閉する蓋8を有し、底部には気体や粉塵を通過させるが洗浄媒体11が通り抜けられない小孔やスリットを多数有する多孔性部材24が設けられ、側壁の下端部全体は例えばニトリルゴムやフッ化ビニリデン系ゴム等のゴムや合成樹脂で形成されたシール部材37でシールされている。この洗浄槽本体6の被洗浄体投入口9と多孔性部材24との中間に洗浄媒体11を通過するに十分な大きさの開口部12を複数有する被洗浄体固定手段7が設けられている。
【0069】
リニアガイド35には、洗浄槽3aの移動を案内する平面からなるガイド面を上面に有し、図8に示すように、洗浄槽3aに移動方向に対して吸引管22と送気管23とを連結する吸引口26と、吸引口26に対して洗浄槽3aが移動する方向の近傍に設けられた送気口27との組合が洗浄槽3aの移動方向の幅より狭い間隔で複数組配置されている。この吸引口26と送気口27は、図8(a)に示すように、洗浄槽3aの移動方向に対して直角のスリット状に形成したり、あるいは図8(b)に示すように、吸引口26を円形に形成し、送気口27を円弧状に形成して、洗浄槽3aの進行方向に対して千鳥状に配置している。この吸引口26と送気口27の組合が設けられた位置にはそれぞれ洗浄槽3aを検出する位置センサ34が設けられている。吸引管22は一方の端部がリニアガイド35の吸気口26に連結され、他方の端部はブロワー等の吸引装置に連結されている。送気管23は先端部にノズル28を有し、ノズル28がリニアガイド35の送気口27に連結され、他方の端部は圧縮機等の圧縮空気供給装置に連結されている。この吸引管22と送気管23には、図9のブロック図に示すように、制御装置15aからの制御信号により開閉する吸引バルブ29と送気バルブ30を有する。
【0070】
洗浄槽移動手段36は、洗浄槽固定用つめ38を備えた洗浄槽駆動ベルト39と、洗浄槽3aをリニアガイド35に押し付ける洗浄槽押付ローラ40とを有するベルトコンベア機構で構成され、図9に示すように、制御装置15aからのベルト駆動制御信号により動作するベルト駆動モータを有するベルト駆動手段41により駆動される。
【0071】
この乾式洗浄装置1aで薄片状の洗浄媒体11を洗浄槽3内で飛翔させて循環させ、被洗浄体2に付着したトナー粒子等の塵埃を除去する動作を説明する。
【0072】
まず、洗浄槽移動手段36の洗浄槽3aを移動する方向の上流側に設けた投入部で洗浄槽3aの蓋8を開けた状態で洗浄槽3a内に薄片状の洗浄媒体11を投入する。この洗浄媒体11は、複数の開口部12を有する被洗浄体固定手段7を通過して多孔性部材24上に保持される。次に被洗浄体2を洗浄槽3a内に入れて被洗浄体固定手段7に固定し、蓋8を閉じて洗浄槽3aの被洗浄体投入口9を密閉する。この洗浄槽3aをリニアガイド35に載置して乾式洗浄装置1aに連続的に投入する。乾式洗浄装置1aに投入された各洗浄槽3aは洗浄槽移動手段36の洗浄槽駆動ベルト39の摩擦と洗浄槽固定用つめ38によってリニアガイド35に案内されながら一定方向に一定間隔をおいて送られる。この送られている洗浄槽3aが吸引口26と送気口27の組合が設けられた位置に達したことを位置センサ34で検出すると、制御装置15aは吸引バルブ29と送気バルブ30を開にして、吸引管22で洗浄槽3a内の空気を吸引し、送気管23のノズル28から圧縮空気を洗浄槽3a内に噴出させて洗浄槽3a内で高速の気流を発生させ、多孔性部材24上に保持した洗浄媒体11を飛翔させる。飛翔した洗浄媒体11は被洗浄体固定手段7の開口部12を通り飛翔して被洗浄体2に衝突して被洗浄体2に付着しているトナー粒子等の粉体を分離する。洗浄媒体11と分離された粉体は吸引管22で吸引することにより生じる気流によって多孔性部材24に衝突し、分離された粉体は多孔性部材24を通って吸引され、洗浄媒体11に付着した粉体は洗浄媒体11から分離して多孔性部材24を通って吸引されて除去される。また、粉体を分離した洗浄媒体11は気流によりクリーニングされ、多孔性部材24の吸引口26に対応する位置近傍に堆積する。この状態で洗浄槽3aが送られると多孔性部材24上に堆積した洗浄媒体11も多孔性部材24との摩擦により移動して送気口27から噴出している圧縮空気により再び飛翔して被洗浄体2に衝突して被洗浄体2を洗浄する。
【0073】
このように洗浄槽3a内で洗浄媒体11を飛翔させる送気口27と吸引口26を、図8(a)に示すように、スリット状に形成して交互に配置にすることにより、洗浄媒体11を吸引口26の近傍にスリット状に集合させ、この集合した洗浄媒体11をスリット状の送気口27から噴出する圧縮空気によって洗浄槽3a内に飛翔させることにより、洗浄媒体11を移動している被洗浄体2全体を走査するように被洗浄体2に衝突させることができ、被洗浄体2の広い領域を洗浄して洗浄効果を高めることができる。
【0074】
また、図8(b)に示すように、吸引口26を円形に形成し、送気口27を円弧状に形成して、洗浄槽3aの進行方向に対して千鳥状に配置することにより、洗浄媒体11を洗浄槽3a内の被洗浄体2に対して斜め下方向から飛翔させることができ、洗浄媒体11を被洗浄体2の側面に対して衝突しやすくして、かつ被洗浄体2の左右両方から交互に衝突させることができ、立体的な厚みのある被洗浄体2全面の洗浄効果を高めることができる。また、吸引口26と送気口27は少なくとも1組が常に洗浄槽3aの内側に接するような間隔で配置されているから、洗浄槽3aがリニアガイド35のどの位置にあっても洗浄槽3a内に気流を発生することができ、洗浄媒体11を連続して飛翔させることができ、洗浄効果をより高めることができる。
【0075】
また、このように被洗浄体2と洗浄媒体11を投入した洗浄槽3aを洗浄槽移動手段36で連続的に移動させるから、被洗浄体2を連続的に洗浄させることができる。
【0076】
さらに、リニアガイド35に設けられた複数の送気口27の一部をリニアガイド35に所定角度傾けて形成して送気管23の先端部に設けたノズル28を連結すると良い。例えば図10の構成図に示すように、リニアガイド35に設けられた複数の送気口27を洗浄槽3aの移動方向に対してそれぞれ45度の角度をなす送気口27aと、90度の角度をなす送気口27bと135度の角度をなす送気口27cを適切に配置し、各送気口27a〜27cに送気管23の先端部に設けたノズル28を連結して、リニアガイド35で移動する洗浄槽3aの位置毎に洗浄槽3a内部に異なる方向の気流を噴出させる。このようにしてリニアガイド35で移動する洗浄槽3aの位置毎に洗浄槽3a内部の被洗浄体2には、45度、90度、135度の角度から流入する空気によって加速された洗浄媒体11が衝突し、これらの角度に相対する被洗浄体2の汚れを除去することができる。したがって立体的な被洗浄体2であっても、ムラ無く洗浄することができる。
【0077】
図10では送気口27a,27cを洗浄槽3aの移動方向に対して傾けた場合について示したが、送気口7の一部を任意の方向に傾けて形成しても良い。また、送気口7に気流の噴出方向の異なる各種のノズル28を連結して、洗浄槽3a内に流入する空気流の噴出方向や噴出パターンを変えるようにしても良い。このように噴出方向や噴出パターンが異なる空気流により加速された洗浄媒体11が被洗浄体2に当たることによって、被洗浄体2の洗浄範囲を補間しあい、被洗浄体2の全体を確実に洗浄することができる。
【0078】
また、図10に示すように、洗浄槽移動手段36の洗浄槽3aを移動する方向の下流側に設けた洗浄槽取出口の手前においては、リニアガイド35に吸引口26だけを設けて吸引管22を連結すると良い。このようにリニアガイド35の洗浄槽取出口の手前に吸引口26だけを設けることにより、洗浄槽3aがリニアガイド35から排出される手前において、洗浄槽3a内を吸引して洗浄媒体11を飛翔しないように多孔性部材24上に固定して洗浄媒体11が飛散することを防ぐから、被洗浄体2に付着した洗浄媒体11は吸引によって発生する気流で被洗浄体2から分離されて再付着しないようにすることができる。また、洗浄槽3a内を吸引している状態で、作業者が洗浄槽3aの蓋8を開けて、上からエアガン等で被洗浄体2に空気流を吹き付けても良い。このようにエアガン等による空気流で被洗浄体2から吹き払われた洗浄媒体11は多孔性部材24上に吸引された固定されるため飛散しないで、より確実に洗浄媒体11を被洗浄体2から分離することができる。
【0079】
前記乾式洗浄装置1aは複数の洗浄槽3aをリニアガイド35に沿って連続的に移動して被洗浄体2を洗浄する場合について説明したが、図11の分解斜視図と図12の斜視図に示すように、複数の洗浄槽3aを回転テーブル42の同一円周に沿って設け、回転テーブル42を回転するテーブル駆動手段43に吸引管22と送気管23を連結するスリット状の吸引口26と送気口27の組合を回転テーブル42に設けた洗浄槽3aと同一の円周に沿って被洗浄体2の投入部44を除いて複数組も設けても良い。
【0080】
この回転台式の乾式洗浄装置1bは投入部44で十分な量の洗浄媒体11と被洗浄体2を洗浄槽3aに投入し、回転テーブル42を一定の送り角度で間欠的に回転させて各洗浄槽3aをテーブル駆動手段43の吸引口26と送気口27を設けた位置に移動して停止させ、吸引バルブ29と送気バルブ30を開にして、吸引管22で洗浄槽3a内の空気を吸引し、送気管23のノズル28から圧縮空気を洗浄槽3a内に噴出させて洗浄槽3a内で高速の気流を発生させながらテーブル駆動手段43で回転テーブル42を少なくとも吸引口26と送気口27の間隔に応じた振幅で往復回動させる。このようにして洗浄槽3a内に高速気流を発生させるとともに洗浄槽3aの多孔性部材24上に堆積した洗浄媒体11を連続的に飛翔させることができる。この洗浄槽3aが1回転して投入部44に達したら、洗浄槽3a内の被洗浄体2を取り出して洗浄動作を繰り返す。
【0081】
このように洗浄槽3aを同一円周上で回転することにより、小さなスペースで比較的長い洗浄槽移動経路を確保して被洗浄体2を連続的に洗浄することができるとともに、1個所の投入部44で洗浄媒体11や被洗浄体2の投入と取り出しを行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0082】
この乾式洗浄装置1bで洗浄媒体11を連続して使用して被洗浄体2を洗浄していると、洗浄媒体11は磨耗して吸引されて排出されたり、被洗浄体2に付着して洗浄槽3a外に排出されることにより洗浄媒体の量が減少する。このため定期的に洗浄媒体11を補充することが必要である。そこで、図13の斜視図に示すように、回転テーブル42による洗浄槽3aの洗浄槽移動経路の投入部44より回転テーブル42の回転方向の上流側に洗浄媒体投入部45と計測部46と排出部47を設け、洗浄媒体投入部45に洗浄媒体自動投入装置48を連結し、図14の部分断面図に示すように、計測部46に洗浄媒体量計測手段49を設ける。
【0083】
洗浄媒体自動投入装置48は洗浄媒体11を一時たくわえておくホッパー50と供給スクリュー51と供給スクリュー51を駆動する洗浄媒体供給用モータ52から構成されている。テーブル駆動手段43の計測部46に対応する位置には、図14に示すように、開口部53が形成され、この開口部54に洗浄媒体量計測手段49として例えば加重センサを有する。洗浄媒体量計測手段49は、図15のブロック図に示すように、テーブル駆動手段43のテーブル駆動モータ54と洗浄媒体供給用モータ52と吸引バルブ29と送気バルブ30の動作を制御する制御装置15cに接続されている。
【0084】
この洗浄媒体自動投入装置48と洗浄媒体量計測手段49を有する乾式洗浄装置1bで洗浄媒体投入部45において洗浄媒体自動投入装置48から所定の量の洗浄媒体11を洗浄槽3aに投入し、この洗浄槽3aが投入部44に移動したとき被洗浄体2を投入して回転テーブル42を一定の送り角度で間欠的に回転させて各洗浄槽3aに投入した被洗浄体2を洗浄して洗浄槽3aが1回転して排出部46に達したら被洗浄体2を洗浄槽3aから取り出す。この洗浄槽3aが計測部47に移動すると、洗浄媒体量計測手段49で洗浄槽3aの重量を計測して制御装置15bに送る。制御装置15bはあらかじめ登録された各洗浄槽3aの重量と洗浄媒体量計測手段49からの計測値とから洗浄槽3a内に残留している洗浄媒体11の残留量を算出し、算出した洗浄媒体11の残留量とテーブル駆動手段43の回転回数を記憶装置に記憶する。そして制御装置15bは洗浄媒体11の残留量とあらかじめ設定された洗浄媒体11の量を示す閾値と比較し、洗浄媒体11の残留量が閾値以下になった洗浄槽3aを発見した場合、この洗浄槽3aが洗浄媒体投入部45の位置に移動したとき、洗浄媒体自動投入装置48を駆動して洗浄媒体11を洗浄槽3a内に補充させる。このとき洗浄媒体11の残留量が所定の基準値になるように洗浄媒体自動投入装置48の駆動を制御する。このようにして洗浄媒体11の補充を自動化して、各洗浄槽3a内の洗浄媒体量を安定化することにより、洗浄品質を安定化させることができるとともに作業者の負荷を低減することができる。
【0085】
前記説明では洗浄媒体量計測手段49として加重センサを使用した場合について説明したが、光電センサ等を各洗浄槽3aに設けて洗浄媒体堆積量や洗浄媒体飛翔数を計測して洗浄媒体11の残留量を得るようにしても良い。
【0086】
また、前記説明では洗浄媒体11の残留量に応じて洗浄媒体自動投入装置48から洗浄媒体11を補充する場合について説明したが、洗浄槽3aが一定回数周回するごと、すなわち洗浄媒体11の使用回数に応じて洗浄媒体自動投入装置48から洗浄媒体11を一定量補充するようにしても良い。
【0087】
前記乾式洗浄装置1,1a,1bに有する洗浄槽3,3aは被洗浄体固定手段7として洗浄媒体11を通過するに十分な大きさの開口部12を複数有する金網等で形成した場合について説明したが、図16の断面図に示すように、洗浄槽3,3aの洗浄槽本体6の対向する側面にそれぞれ回転自在に設けられ、被洗浄体2を挟み込んで保持する被洗浄体固定具55a,55bと、洗浄槽3と洗浄媒体飛翔手段5との相対移動や、洗浄槽3aとリニアガイド35又はテーブル駆動手段43との相対移動により回転する摩擦車等の回転手段56と、回転手段56の回転を被洗浄体固定具55aの回転軸に伝達するカサ歯車群等の回転伝達手段57とで被洗浄体固定手段7を構成し、洗浄槽3内で洗浄媒体11を飛翔させているとき洗浄媒体飛翔手段5の分離手段17を揺動しているときや、洗浄槽3a内で洗浄媒体11を飛翔させながら洗浄槽3aをリニアガイド35又はテーブル駆動手段43に沿って移動しているときに、分離手段17の揺動や洗浄槽3aの移動に伴って被洗浄体2を回転することにより、被洗浄体2の全面をより高速に洗浄することができる。
【0088】
前記説明では被洗浄体固定具55aを洗浄槽3と洗浄媒体飛翔手段5との相対移動や、洗浄槽3aとリニアガイド35又はテーブル駆動手段43との相対移動により回転する回転手段56で回転させる場合について説明したが、被洗浄体固定具55aの回転軸を駆動モータ等の回転駆動装置で回転させるようにしても良い。
【0089】
また、図17に示すように、洗浄槽3,3aに洗浄槽3,3a内に飛翔する洗浄媒体11を加速させる洗浄媒体加速手段58を設けると良い。この洗浄媒体加速手段58としては、図17に示すように、例えばバッテリーにより駆動するモータ59に接続された洗浄媒体加速用プロペラ60や圧縮空気発生装置に連結された空気噴出ノズル等を使用する。そして洗浄媒体加速手段58を被洗浄体2に対して洗浄槽3aに気流を吹き込む送気口27と反対の位置に配置する。このように洗浄媒体加速手段58を被洗浄体2に対して洗浄槽3aに気流を吹き込む送気口27と反対の位置に設けることにより、送気口27から吹き込む気流により加速された洗浄媒体11と洗浄媒体加速手段58からの気流により加速された洗浄媒体11を被洗浄体2に衝突させて汚れを除去することができ、被洗浄体2の全面をムラなく洗浄できる。
【0090】
前記説明では洗浄媒体加速手段58を被洗浄体2に対して洗浄槽3aに気流を吹き込む送気口27と反対の位置に設けた場合について説明したが、洗浄媒体加速手段50を送気口27から流入する気流を加速するように配置して洗浄媒体11をより加速することにより、被洗浄体2の強い汚れを早く除去することもできる。
【0091】
また、洗浄媒体加速手段58として例えばバッテリーにより駆動するモータ59に接続された洗浄媒体加速用プロペラ60を使用することにより、洗浄槽3aの移動を電源の配線によって妨げずに円滑に行うことができる。
【0092】
次に、他の乾式洗浄装置について説明する。この乾式洗浄装置1cは、図18(a)の斜視図に示すように、洗浄槽3bとスライドガイド61と、スライドガイド61に連結された吸引管22と送気管23及び洗浄槽駆動手段62とを有する。
【0093】
洗浄槽3bは一定長さを有する円筒状に形成され、両端部63以外の外周面全体は気体や粉塵を通過させるが洗浄媒体11が通り抜けられない小孔やスリットを多数有する多孔性部材24で覆われ、内部に洗浄媒体11を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する袋状の被洗浄体固定手段7が設けられている。この洗浄槽3bの両端部63には開閉できる蓋64を有し、蓋64には洗浄槽駆動手段62と係合する溝や突起等から形成された連結部65を有する。
【0094】
スライドガイド50は、半円筒状のガイド溝66とガイド溝66の一部又は前部を覆う半円筒状のカバー67を有する。ガイド溝66は、図13(b)の斜視図に示すように、所定の位置に湾曲した溝状の吸引口26と送気口27が交互に設けられている。吸引口26と送気口27が設けられ位置のカバー67の内面には、洗浄槽3bの両端部63をシールするシール部材68が設けられている。吸引バルブ29を有する吸引管22は一方の端部がスライドガイド50の吸気口26に連結され、他方の端部はブロワー等の吸引装置に連結されている。送気バルブ30を有する送気管23は先端部にノズル28を有し、ノズル28がスライドガイド50の送気口27に連結され、他方の端部は圧縮機等の圧縮空気供給装置に連結されている。
【0095】
洗浄槽駆動手段62は例えばエアーシリンダや送りモータと送りねじ機構等で構成された洗浄槽送り手段69と、洗浄槽送り手段69の先端部に設けられた回転モータと、回転モータと洗浄槽3bの蓋64の連結部65と連結して洗浄槽3bに回転を伝達する回転伝達部とを有する洗浄槽回転手段70を有する。
【0096】
この乾式洗浄装置1cで被洗浄体2を洗浄するとき、スライドガイド61の外部で洗浄槽3bの蓋64を開にして洗浄槽3b内に被洗浄体2と洗浄媒体11を投入して被洗浄体2を袋状の被洗浄体固定手段7に固定する。この状態で洗浄槽3bの蓋64を閉じて、図13(a)に示すように、洗浄槽3bをスライドガイド61の投入口に投入する。次に洗浄槽駆動手段62を洗浄槽3bの蓋64の連結部65に連結して洗浄槽3bをスライドガイド50の吸引口26と送気口27が設けられた所定の位置まで前進させ、洗浄槽3bを所定の位置まで前進させたら洗浄槽3bの前進を停止して洗浄槽3bを回転させる。洗浄槽3bが回転したら、吸引バルブ29と送気バルブ30を開にして、吸引管22で洗浄槽3b内の空気を吸引し、送気管23のノズル28から圧縮空気を洗浄槽3b内に噴出させて洗浄槽3b内で高速の気流を発生させ洗浄媒体11を飛翔させて被洗浄体2に衝突させて被洗浄体2を洗浄する。この被洗浄体2を洗浄しているとき、洗浄媒体11は洗浄槽3bの回転に同期して回転しながら飛翔するから、被洗浄体2の全面に確実に衝突させることができ、被洗浄体2の全面をムラなく洗浄することができる。洗浄処理を所定時間行ったら吸引バルブ29と送気バルブ30を閉にして洗浄槽3bの回転を停止し、洗浄槽3bをスライドガイド61の排出口に送り出して次の洗浄槽3bを投入して洗浄処理を行う。このように洗浄槽3bを回転しながら洗浄媒体11を流動させることにより、多孔性部材24の目詰りを防止しながら被洗浄体2の全面をムラなく洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】この発明の乾式洗浄装置の構成図である。
【図2】乾式洗浄装置の構成を示す断面図である。
【図3】制御装置と各種入出力手段の構成を示すブロック図である。
【図4】被洗浄体に付着した粒体を洗浄媒体で除去する状態を示す模式図である。
【図5】洗浄媒体の飛翔状態を示す断面図である。
【図6】第2の乾式洗浄装置の構成図である。
【図7】第2の乾式洗浄装置の構成を示す部分断面図である。
【図8】第2の乾式洗浄装置のリニアガイドに設けた吸引口と送気口の配置図である。
【図9】第2の乾式洗浄装置の制御装置と各種入出力手段の構成を示すブロック図である。
【図10】第2の乾式洗浄装置の他の構成図である。
【図11】第3の乾式洗浄装置の構成を示す分解斜視図である。
【図12】第3の乾式洗浄装置の構成を示す斜視図である。
【図13】第3の乾式洗浄装置の他の構成を示す斜視図である。
【図14】洗浄媒体量計測手段を有する計測部の構成を示す部分断面図である。
【図15】第3の乾式洗浄装置の制御装置と各種入出力手段の構成を示すブロック図である。
【図16】洗浄槽に設けた被洗浄体固定手段の構成を示す断面図である。
【図17】洗浄媒体加速手段を有する洗浄槽の構成を示す断面図である。
【図18】第4の乾式洗浄装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0098】
1;乾式洗浄装置、2;被洗浄体、3;洗浄槽、4;洗浄槽移動手段、
5;洗浄媒体飛翔手段、6;洗浄槽本体、7;被洗浄体固定手段、8;蓋、
9;被洗浄体投入口、10;ガイド部、11;洗浄媒体、12;開口部、
13;スライドレール、14;スライドステージ、15;制御装置、
16;ステージ駆動手段、17;分離手段、18;揺動手段、19;昇降手段、
20;分離部材、21;固定板、22;吸引管、23;送気管、24;多孔性部材、
25;保持枠、26;吸引口、27;送気口、28;ノズル、29;吸引バルブ、
30;送気バルブ、31;カム、32;揺動モータ、33;位置規制手段、
34;位置センサ、35;リニアガイド、36;洗浄槽移動手段、
37;シール部材、38;洗浄槽固定用つめ、39;洗浄槽駆動ベルト、
40;洗浄槽押付ローラ、41;ベルト駆動手段、42;回転テーブル、
43;テーブル駆動手段、44;投入部、45;洗浄媒体投入部、46;計測部、
47;排出部、48;洗浄媒体自動投入装置、49;洗浄媒体量計測手段、
50;ホッパー、51;供給スクリュー、52;洗浄媒体供給用モータ、
53;開口部、54;テーブル駆動モータ、55;被洗浄体固定具、
56;回転手段、57;回転伝達手段、58;洗浄媒体加速手段、59;モータ、
60;洗浄媒体加速用プロペラ、61;スライドガイド、62;洗浄槽駆動手段、
63;洗浄槽両端部、64;蓋、65;連結部、66;ガイド溝、67;カバー、
68;シール部材、69;洗浄槽送り手段、70;洗浄槽回転手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、
洗浄槽と分離手段と送排気手段及び移動手段を有し、
前記洗浄槽は、上面に被洗浄体を投入して蓋で密閉する被洗浄体投入口を有し、底部全体が開口して形成され、被洗浄体投入口と底部との間に洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、
前記分離手段は、前記洗浄槽の開口部に設けられ、気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材を有し、
前記送排気手段は前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、
前記移動手段は、前記分離手段と前記送排気手段を相対的に移動して前記送気手段が気体を導入する前記分離手段の領域と前記吸引手段が気体を吸引する前記分離手段の領域を可変することを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項2】
被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、
洗浄槽と洗浄槽移動手段及び洗浄媒体飛翔手段を有し、
前記洗浄槽は、上面に被洗浄体を投入して蓋で密閉する被洗浄体投入口を有し、底部全体が開口して形成され、被洗浄体投入口と底部との間に洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、
前記洗浄槽移動手段は、前記洗浄槽を保持して間欠移動させ、
前記洗浄媒体飛翔手段は、洗浄媒体と塵や粉体を分離する分離手段と揺動手段及び昇降手段を有し、前記洗浄槽移動手段の下部に1つ又は一定間隔をおいて複数設けられ、
前記分離手段は分離部材と送排気手段を有し、前記分離部材は気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材を有し、
前記送排気手段は前記多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、
前記揺動手段は、前記分離部材と前記送排気手段を相対的に移動して前記送気手段が気体を導入する前記分離部材の領域と前記吸引手段が気体を吸引する前記分離部材の領域を可変し、
前記昇降手段は前記分離手段と揺動手段を昇降させることを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項3】
被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、
複数の洗浄槽と洗浄槽案内手段と送排気手段及び洗浄槽移動手段を有し、
前記洗浄槽は、上面に被洗浄体を投入して蓋で密閉する被洗浄体投入口を有し、底部全面には気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材を有し、被洗浄体投入口と底部との間には洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、
前記洗浄槽案内手段は、前記洗浄槽の移動を案内するガイド面を上面に有し、前記送排気手段と連結する吸引口と送気口の組合が前記洗浄槽の移動方向に沿って複数組配置され、
前記送排気手段は、前記洗浄槽案内手段の送気口に接続され、前記洗浄槽の多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記洗浄槽案内手段の吸引口に接続され、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、
前記洗浄槽移動手段は、前記洗浄槽を前記洗浄槽案内手段に押し付けて前記洗浄槽案内手段のガイド面に沿って移動することを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄槽案内手段の吸引口と送気口の複数組の組合は前記洗浄槽が移動するときに、少なくとも1組の吸引口と送気口の組合が前記洗浄槽に接続されるように配置されている請求項3記載の乾式洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄槽案内手段は直線の経路で前記洗浄槽を案内する請求項3又は4記載の乾式洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄槽案内手段は円形の経路で前記洗浄槽を案内する請求項3又は4記載の乾式洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄槽案内手段の送気口は、吸引口に対して前記洗浄槽が移動する方向の近傍に設けられた請求項5又は6記載の乾式洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄槽案内手段の吸引口と送気口は、前記洗浄槽の移動方向に対して直交するスリット状に形成されている請求項7記載の乾式洗浄装置。
【請求項9】
前記洗浄槽案内手段の吸引口を円形に形成し、送気口を円弧状に形成して、前記洗浄槽の移動方向に対して千鳥状に配置した請求項7記載の乾式洗浄装置。
【請求項10】
前記洗浄槽の被洗浄体固定手段は姿勢変更手段を有する請求項1乃至9のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項11】
前記洗浄槽の被洗浄体固定手段は姿勢変更手段を有し、該姿勢変更手段は、前記洗浄槽の移動に追従して駆動させる請求項2乃至9のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項12】
前記洗浄槽の移動経路に、被洗浄体に付着した洗浄媒体を分離する洗浄媒体分離手段を有する請求項2乃至11のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項13】
前記送排気手段は、前記洗浄槽に導入する気体の流入方向あるいは気流形状のいずれかがそれぞれ異なる複数の送気手段を有する請求項1乃至12のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項14】
前記洗浄槽に、前記洗浄槽内に飛翔している洗浄媒体を気流により加速する洗浄媒体加速手段を有する請求項1乃至13のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項15】
前記洗浄媒体加速手段を、被洗浄体に対して前記送排気手段の送気手段とは反対側に設けた請求項14記載の乾式洗浄装置。
【請求項16】
前記洗浄槽に洗浄媒体を投入する洗浄媒体投入手段を有する請求項1乃至15のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項17】
前記被洗浄体を洗浄した後に前記洗浄槽内の洗浄媒体の量を計測する洗浄媒体量計測手段を有する請求項16記載の乾式洗浄装置。
【請求項18】
前記洗浄媒体量計測手段で計測した洗浄媒体の量に応じて前記洗浄媒体投入手段で投入する洗浄媒体の量を制御する請求項17記載の乾式洗浄装置。
【請求項19】
前記洗浄槽内の洗浄媒体の使用回数に応じて前記洗浄媒体投入手段で投入する洗浄媒体の量を制御する請求項16記載の乾式洗浄装置。
【請求項20】
被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、
洗浄槽と洗浄槽案内手段と送排気手段及び洗浄槽駆動手段とを有し、
前記洗浄槽は、一定長さを有する円筒状に形成され、両端部以外の外周面全体は気体や粉塵を通過させるが洗浄媒体が通り抜けられない小孔やスリットを多数有する多孔性部材で覆われ、内部に洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、両端部には前記洗浄槽駆動手段と係合する連結部が設けられた蓋を有し、
前記洗浄槽案内手段は、半円筒状のガイド溝と、該ガイド溝の一部又は前部を覆う半円筒状のカバーを有し、前記ガイド溝には所定の位置に湾曲した溝状の吸引口と送気口が交互に設けられ、
前記前記送排気手段は、前記洗浄槽案内手段の送気口に接続され、前記洗浄槽の多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記洗浄槽案内手段の吸引口に接続され、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、
前記洗浄槽駆動手段は、前記洗浄槽を前記洗浄槽案内手段のガイド溝に沿って移動させる洗浄槽送り手段と、該洗浄槽送り手段の先端部に設けられ、前記洗浄槽の連結部と連結して前記洗浄槽に回転を伝達する洗浄槽回転手段を有することを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項21】
前記送排気手段の送気手段と吸引手段には、気体の流路を開閉する制御弁を有する請求項1乃至20のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項22】
前記送排気手段の送気手段と吸引手段に気体の流路を開閉する制御弁と、前記洗浄槽が前記送排気手段の位置に移動したことを検知したときに前記制御弁により気体の流路を開にし、前記洗浄槽が前記送排気手段の位置から移動したことを検知したときに前記制御弁により気体の流路を閉にする制御装置とを有する請求項2乃至19のいずれかに記載の乾式洗浄装置
【請求項23】
被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去し、除去した塵や粉体と洗浄媒体を気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材で分離する乾式洗浄方法であって、
前記多孔性部材に対する前記洗浄媒体を流動させる気体を導入する領域と分離した塵や粉体を吸引する領域を可変することを特徴とする乾式洗浄方法。
【請求項1】
被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、
洗浄槽と分離手段と送排気手段及び移動手段を有し、
前記洗浄槽は、上面に被洗浄体を投入して蓋で密閉する被洗浄体投入口を有し、底部全体が開口して形成され、被洗浄体投入口と底部との間に洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、
前記分離手段は、前記洗浄槽の開口部に設けられ、気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材を有し、
前記送排気手段は前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、
前記移動手段は、前記分離手段と前記送排気手段を相対的に移動して前記送気手段が気体を導入する前記分離手段の領域と前記吸引手段が気体を吸引する前記分離手段の領域を可変することを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項2】
被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、
洗浄槽と洗浄槽移動手段及び洗浄媒体飛翔手段を有し、
前記洗浄槽は、上面に被洗浄体を投入して蓋で密閉する被洗浄体投入口を有し、底部全体が開口して形成され、被洗浄体投入口と底部との間に洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、
前記洗浄槽移動手段は、前記洗浄槽を保持して間欠移動させ、
前記洗浄媒体飛翔手段は、洗浄媒体と塵や粉体を分離する分離手段と揺動手段及び昇降手段を有し、前記洗浄槽移動手段の下部に1つ又は一定間隔をおいて複数設けられ、
前記分離手段は分離部材と送排気手段を有し、前記分離部材は気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材を有し、
前記送排気手段は前記多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、
前記揺動手段は、前記分離部材と前記送排気手段を相対的に移動して前記送気手段が気体を導入する前記分離部材の領域と前記吸引手段が気体を吸引する前記分離部材の領域を可変し、
前記昇降手段は前記分離手段と揺動手段を昇降させることを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項3】
被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、
複数の洗浄槽と洗浄槽案内手段と送排気手段及び洗浄槽移動手段を有し、
前記洗浄槽は、上面に被洗浄体を投入して蓋で密閉する被洗浄体投入口を有し、底部全面には気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材を有し、被洗浄体投入口と底部との間には洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、
前記洗浄槽案内手段は、前記洗浄槽の移動を案内するガイド面を上面に有し、前記送排気手段と連結する吸引口と送気口の組合が前記洗浄槽の移動方向に沿って複数組配置され、
前記送排気手段は、前記洗浄槽案内手段の送気口に接続され、前記洗浄槽の多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記洗浄槽案内手段の吸引口に接続され、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、
前記洗浄槽移動手段は、前記洗浄槽を前記洗浄槽案内手段に押し付けて前記洗浄槽案内手段のガイド面に沿って移動することを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄槽案内手段の吸引口と送気口の複数組の組合は前記洗浄槽が移動するときに、少なくとも1組の吸引口と送気口の組合が前記洗浄槽に接続されるように配置されている請求項3記載の乾式洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄槽案内手段は直線の経路で前記洗浄槽を案内する請求項3又は4記載の乾式洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄槽案内手段は円形の経路で前記洗浄槽を案内する請求項3又は4記載の乾式洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄槽案内手段の送気口は、吸引口に対して前記洗浄槽が移動する方向の近傍に設けられた請求項5又は6記載の乾式洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄槽案内手段の吸引口と送気口は、前記洗浄槽の移動方向に対して直交するスリット状に形成されている請求項7記載の乾式洗浄装置。
【請求項9】
前記洗浄槽案内手段の吸引口を円形に形成し、送気口を円弧状に形成して、前記洗浄槽の移動方向に対して千鳥状に配置した請求項7記載の乾式洗浄装置。
【請求項10】
前記洗浄槽の被洗浄体固定手段は姿勢変更手段を有する請求項1乃至9のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項11】
前記洗浄槽の被洗浄体固定手段は姿勢変更手段を有し、該姿勢変更手段は、前記洗浄槽の移動に追従して駆動させる請求項2乃至9のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項12】
前記洗浄槽の移動経路に、被洗浄体に付着した洗浄媒体を分離する洗浄媒体分離手段を有する請求項2乃至11のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項13】
前記送排気手段は、前記洗浄槽に導入する気体の流入方向あるいは気流形状のいずれかがそれぞれ異なる複数の送気手段を有する請求項1乃至12のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項14】
前記洗浄槽に、前記洗浄槽内に飛翔している洗浄媒体を気流により加速する洗浄媒体加速手段を有する請求項1乃至13のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項15】
前記洗浄媒体加速手段を、被洗浄体に対して前記送排気手段の送気手段とは反対側に設けた請求項14記載の乾式洗浄装置。
【請求項16】
前記洗浄槽に洗浄媒体を投入する洗浄媒体投入手段を有する請求項1乃至15のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項17】
前記被洗浄体を洗浄した後に前記洗浄槽内の洗浄媒体の量を計測する洗浄媒体量計測手段を有する請求項16記載の乾式洗浄装置。
【請求項18】
前記洗浄媒体量計測手段で計測した洗浄媒体の量に応じて前記洗浄媒体投入手段で投入する洗浄媒体の量を制御する請求項17記載の乾式洗浄装置。
【請求項19】
前記洗浄槽内の洗浄媒体の使用回数に応じて前記洗浄媒体投入手段で投入する洗浄媒体の量を制御する請求項16記載の乾式洗浄装置。
【請求項20】
被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去する乾式洗浄装置において、
洗浄槽と洗浄槽案内手段と送排気手段及び洗浄槽駆動手段とを有し、
前記洗浄槽は、一定長さを有する円筒状に形成され、両端部以外の外周面全体は気体や粉塵を通過させるが洗浄媒体が通り抜けられない小孔やスリットを多数有する多孔性部材で覆われ、内部に洗浄媒体を通過するに十分な大きさの開口部を複数有する被洗浄体固定手段が設けられ、両端部には前記洗浄槽駆動手段と係合する連結部が設けられた蓋を有し、
前記洗浄槽案内手段は、半円筒状のガイド溝と、該ガイド溝の一部又は前部を覆う半円筒状のカバーを有し、前記ガイド溝には所定の位置に湾曲した溝状の吸引口と送気口が交互に設けられ、
前記前記送排気手段は、前記洗浄槽案内手段の送気口に接続され、前記洗浄槽の多孔性部材を介して前記洗浄槽に気体を導入する送気手段と、前記洗浄槽案内手段の吸引口に接続され、前記分離手段の多孔性部材を介して前記洗浄槽内の気体を外部に排出する吸引手段とを有し、
前記洗浄槽駆動手段は、前記洗浄槽を前記洗浄槽案内手段のガイド溝に沿って移動させる洗浄槽送り手段と、該洗浄槽送り手段の先端部に設けられ、前記洗浄槽の連結部と連結して前記洗浄槽に回転を伝達する洗浄槽回転手段を有することを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項21】
前記送排気手段の送気手段と吸引手段には、気体の流路を開閉する制御弁を有する請求項1乃至20のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項22】
前記送排気手段の送気手段と吸引手段に気体の流路を開閉する制御弁と、前記洗浄槽が前記送排気手段の位置に移動したことを検知したときに前記制御弁により気体の流路を開にし、前記洗浄槽が前記送排気手段の位置から移動したことを検知したときに前記制御弁により気体の流路を閉にする制御装置とを有する請求項2乃至19のいずれかに記載の乾式洗浄装置
【請求項23】
被洗浄体に付着した塵や粉体を高速気流により流動する洗浄媒体により除去し、除去した塵や粉体と洗浄媒体を気体及び塵や粉体は通過できるが洗浄媒体は通過できない大きさの開口を有する多孔性部材で分離する乾式洗浄方法であって、
前記多孔性部材に対する前記洗浄媒体を流動させる気体を導入する領域と分離した塵や粉体を吸引する領域を可変することを特徴とする乾式洗浄方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−144395(P2007−144395A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258191(P2006−258191)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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