説明

乾燥機用バーナ装置

【課題】部品点数の増加及び構成の複雑化を回避するとともに、乾燥機全体を小型化することができる乾燥機用バーナ装置を提供する。
【解決手段】衣類等の被乾燥物が収容された乾燥室S内に乾燥のための温風又は熱風を送り込むための乾燥機用バーナ装置において、燃焼ガスが供給されて当該燃焼ガスを燃焼させる火炎口5aを有するとともに、互いに所定寸法の間隙Cを有して配設された複数の燃焼手段5を有し、当該燃焼手段5間の間隙で火炎口5aの形成方向に強制的に空気aを流通させることにより、燃焼手段5により加熱された空気と強制的に流通する空気aとが混合して前記乾燥室S内に送られるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被乾燥物が収容された乾燥室内に乾燥のための温風又は熱風を送り込むための乾燥機用バーナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バーナにより加熱された空気(温風又は熱風)を例えば衣類等が収容された乾燥室内に送り込み、当該衣類等を乾燥させるための乾燥機101は、従来、図8に示すように、乾燥室Sと、バーナ102が設置された燃焼室Aと、乾燥室S内に送り込まれた温風又は熱風を外部に排出するための排出通路Bとから主に構成されていた。また、排出通路Bには、燃焼室A及び乾燥室S内の空気を当該排出通路Bから強制的に排出させるファン103が配設されている。尚、乾燥室Sには、衣類等を出し入れするための開閉扉104が形成されている。
【0003】
一方、バーナ102は、燃焼ガスが供給されるとともに当該燃焼ガスを火炎口で燃焼させる燃焼手段から成り、乾燥室S側に延びる空気流通路105の上流側に設置されている。かかる空気流通路105は、その側面(バーナ102より上部の位置)に開口105aが形成されており、ファン103の作用により当該開口105aから空気を強制的に取り込み得るよう構成されている。
【0004】
これにより、バーナ102で加熱された空気は、空気流通路105を流通する過程で開口105aから取り込まれた空気と混合され、温風又は熱風となって乾燥室S内に送り込まれるのである。然るに、空気流通路105には、邪魔板106が配設されており、バーナ102で加熱された空気と開口105aから取り込まれた空気とが良好に撹拌されて、均一な温度となるよう構成されている。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の乾燥機用バーナにおいては、バーナ102により加熱された空気が乾燥室S内に流通する過程で開口105aから空気を取り込み、乾燥のための温風又は熱風としているので、それらを混合して温度を均一にするための邪魔板106などが必要となり、部品点数の増加及び構成の複雑化が問題となる。また、乾燥室S内に至るまでに温度を均一とするため、空気流通路105の延設寸法tを比較的長くする必要があり、乾燥機全体が大型化してしまう問題もあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、部品点数の増加及び構成の複雑化を回避するとともに、乾燥機全体を小型化することができる乾燥機用バーナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、被乾燥物が収容された乾燥室内に乾燥のための温風又は熱風を送り込むための乾燥機用バーナ装置において、燃焼ガスが供給されて当該燃焼ガスを燃焼させる火炎口を有するとともに、互いに所定寸法の間隙を有して配設された複数の燃焼手段を有し、当該燃焼手段間の間隙で火炎口の形成方向に強制的に空気を流通させることにより、前記燃焼手段により加熱された空気と強制的に流通する空気とが混合して前記乾燥室内に送られることを特徴とする。

【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の乾燥機用バーナ装置において、前記燃焼手段は、火炎口近傍で細径とされてその外周面に段部が形成され、当該段部を覆って火炎安定手段が配設されるとともに、当該火炎安定手段は、前記燃焼手段の側方及び上方に向かってそれぞれ開口した流通孔を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の乾燥機用バーナ装置において、前記乾燥室に送り込まれた温風又は熱風を外部に排出するための排出通路側に配設されたファンの駆動により、前記燃焼手段間の間隙にて強制的に空気を流通させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、燃焼手段間の間隙で火炎口の形成方向に空気を強制的に流通させ得るので、火炎口の火炎で加熱される空気と強制的に流通する空気とが当該火炎近傍で良好に混合され、略均一な温度の温風又は熱風を短い流通経路にて乾燥室に送り込むことができる。従って、部品点数の増加及び構成の複雑化を回避するとともに、乾燥機全体を小型化することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、火炎安定手段は、燃焼手段の側方及び上面に向かってそれぞれ開口した流通孔を有するので、当該流通孔を介して燃焼手段の側面に沿って流れる空気を火炎口近傍に供給することができる。従って、燃焼手段間の間隙で強制的に流通する空気により火炎口近傍が負圧となってしまうのを回避でき、所謂逆火などを確実に回避することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、乾燥室に送り込まれた温風又は熱風を外部に排出するための排出通路側に配設されたファンの駆動により、燃焼手段間の間隙にて強制的に空気を流通させるので、乾燥室内に送り込まれた温風又は熱風が排出通路以外から漏れてしまうのを回避できる。また、乾燥室内が負圧となるため、当該乾燥室に被乾燥物を出し入れするための開閉扉が乾燥動作中に不用意に開いてしまうのを回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る乾燥機用バーナ装置は、衣類等の被乾燥物を乾燥させるための乾燥機に適用されたもので、図1に示すように、当該乾燥機1は、衣類等の被乾燥物を収容する乾燥室Sと、バーナ装置2が設置された燃焼室Aと、乾燥室S内で被乾燥物を乾燥させた温風又は熱風を外部に排出するための排出通路Bとから主に構成されている。
【0014】
排出通路Bには、ファン3が配設されており、当該ファン3を駆動させることにより、乾燥室S及び燃焼室A内の空気を強制的に排出通路B側へ流通させ得るよう構成されている(以下、当該ファン3の駆動により強制的に流通する空気を符号aで示すこととする)。尚、符号4は、乾燥室S内に衣類等の被乾燥物を出し入れするための開閉扉を示しており、乾燥室S内において乾燥動作中は、当該開閉扉4が閉じた状態とされるよう構成されている。
【0015】
バーナ装置2は、図2及び図3に示すように、複数列で配設された燃焼手段5と、該燃焼手段5を収容するとともに上方及び下方が開口した筐体6と、燃焼ガスを供給する燃焼ガス供給手段7と、燃焼手段5の火炎口5aにて点火するための点火手段8と、火炎口5a近傍の温度を計測する計測センサ9と、各燃焼手段5にそれぞれ形成された火炎安定手段10とを主に有して構成されている。尚、同図中符号6aは、筐体6から延びたフランジを示しており、該フランジ6aを介してネジ等を螺着させることにより燃焼室Aの一部にバーナ装置2を固定し得るようになっている。
【0016】
燃焼手段5は、図6に示すように、燃焼ガス供給手段7からの燃焼ガスを空気(一次空気)を引き込みつつ導入する導入口5cと、燃焼ガスを燃焼させて炎を形成する火炎口5aと、導入口5cで導入された燃焼ガスを火炎口5aまで導く案内路5dと、火炎安定手段10とから主に構成されている。また、燃焼手段5の火炎口5a近傍は、図7で示すように、細径とされてその外周面に段部5bが形成されている。かかる段部5bは、各火炎口5aから火炎を均一に生成するためブンゼンバーナに通常形成された部位である。
【0017】
ここで、燃焼手段5は、図4に示すように、互いに所定寸法の間隙Cを有して筐体6内にて複数配設されており、ファン3の駆動により強制的に流通する空気aがそれぞれの間隙Cを通過し得るよう構成されている。即ち、筐体6の上下方向の開口、及び燃焼手段5間の間隙Cにより、筐体6より下方の空気が間隙Cを抜けて上方の乾燥室S側に流れるのである。
【0018】
従って、燃焼手段5間の間隙Cにおいて、火炎口5aの形成方向(燃焼手段5の延設方向に対して略直交する方向)に空気aを強制的に流通させるので、当該火炎口5aの火炎で加熱される空気と強制的に流通する空気aとが火炎近傍で良好に混合され、略均一な温度の温風又は熱風を短い流通経路tにて乾燥室Sに送り込むことができる。これにより、部品点数の増加及び構成の複雑化を回避するとともに、乾燥機1全体を小型化することができる。
【0019】
ところで、火炎安定手段10は、燃焼手段5の段部5bを覆って形成されたもので、図6に示すように、火炎口5aを上方に臨ませつつその長手方向に延設された一対の金属製板材から成る。具体的には、金属製板材を屈曲して図5に示すような片側の火炎安定手段10を形成するとともに、これを一対用意し、これらを火炎口5aを覆わないように燃焼手段5の両側面にそれぞれ溶接等にて固定させることにより、段部5bを覆った火炎安定手段10が形成されているのである。
【0020】
また、火炎安定手段10は、その上面において火炎口5aの延設方向に複数箇所一列で流通孔10aが形成されているとともに、それらと対応する如く側面において当該火炎口5aの延設方向に複数箇所一列で流通孔10bが形成されている。しかして、図7に示すように、流通孔10bは燃焼手段5の側方に向かって開口し、当該燃焼手段5の側方を流れる空気aを火炎安定手段10内に取り込み得るよう構成されている。
【0021】
一方、流通孔10aは、燃焼手段5の上方に向かって開口しており、火炎安定手段10に取り込んだ空気を火炎口5a近傍に供給し得るよう構成されている。即ち、火炎安定手段10がない場合、強制的な空気aの流れにより段部5bが負圧となってしまい、火炎が火炎口5a側に引き込まれる所謂逆火現象が生じてしまうのに対し、火炎安定手段10を配設すれば、その流通孔10a、10bにより負圧となり得る部位(即ち、火炎口5a近傍)に空気を供給することができるのである。
【0022】
従って、流通孔10a、10bを介して燃焼手段5の側面に沿って流れる空気aを火炎口5a近傍に供給することができ、燃焼手段5間の間隙Cで強制的に流通する空気aにより火炎口5a近傍(火炎口5aから生じる火炎の根本近傍)が負圧となってしまうのを回避できるので、所謂逆火現象などを確実に回避することができる。尚、本実施形態においては、流通孔10a、10bは、火炎安定手段10の長手方向に沿って一列に形成されているが、2列以上の複数列としてもよい。また、流通孔10a、10bの開口径は、燃焼ガスの種類は段部5bの大きさ等に応じて適宜設定するのが好ましい。
【0023】
次に、上記バーナ2が適用された乾燥機1における乾燥動作について説明する。
開閉扉4から乾燥室S内に衣類等の被乾燥物を投入した後、当該開閉扉4を閉じ、ファン3を駆動させる。そして、燃焼ガス供給手段7にて燃焼手段5内に燃焼ガス及び混合ガスを供給するとともに点火手段8にて点火し、火炎口5aに火炎を形成させる。このとき、ファン3の駆動によって燃焼室A及び乾燥室Sに、強制的に流通する空気aが発生することとなる。
【0024】
これにより、バーナ2の下方の空気が、隣接する燃焼手段5の間に形成された間隙Cを通過して上方に向かって強制的に流れ、その流通過程において火炎口5aの火炎にて加熱された空気と混合され、乾燥室Sに至ることとなる。また、強制的に流通する空気aにより燃焼手段5における火炎口5a近傍に負圧が生じかかると、流通孔10a、10bを介して当該空気aの一部が引き込まれ、当該火炎口5a近傍に供給される。
【0025】
一方、強制的に流通する空気aと火炎にて加熱された空気とが混合されることにより、略均一な温度の温風又は熱風とされ、乾燥室Sに送り込まれることとなり、当該乾燥室S内の被乾燥物を乾燥させることとなる。然るに、乾燥室S内で乾燥に寄与した温風又は熱風は、ファン3の駆動力により排出通路Bへ引き込まれた後、外部へ排出される。
【0026】
従って、乾燥室Sに送り込まれた温風又は熱風を外部に排出するための排出通路B側に配設されたファン3の駆動により、燃焼手段5間の間隙にて強制的に空気を流通させるので、乾燥室S内に送り込まれた温風又は熱風が排出通路B以外から漏れてしまうのを回避できる。また、乾燥室S内が負圧となるため、開閉扉4が乾燥動作中に不用意に開いてしまうのを回避できる。
【0027】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば火炎安定手段を具備しない燃焼手段を具備したものとしてもよい。また、強制的に空気を流通させるためのファン3をバーナ2の下部に配置し、燃焼手段5間の間隙にて強制的に空気を流通させるようにしてもよい。更に、本乾燥機用バーナ装置は、衣類等を乾燥させる乾燥機1に適用するものに限定されず、高空気比にて被乾燥物を乾燥させ得る他の形態の乾燥機にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
燃焼ガスが供給されて当該燃焼ガスを燃焼させる火炎口を有するとともに、互いに所定寸法の間隙を有して配設された複数の燃焼手段を有し、当該燃焼手段間の間隙で火炎口の形成方向に強制的に空気を流通させることにより、燃焼手段により加熱された空気と強制的に流通する空気とが混合して乾燥室内に送られる乾燥機用バーナ装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の乾燥機用バーナ装置が適用される乾燥機を示す模式図
【図2】同乾燥機用バーナ装置を示す上面図
【図3】同乾燥機用バーナ装置を示す側面図
【図4】図2におけるIV−IV線断面図
【図5】同乾燥機用バーナ装置における火炎安定手段を示す上面図及び側面図
【図6】同乾燥機用バーナ装置における燃焼装置を示す上面図、側面図及び正面図
【図7】同乾燥機用バーナ装置における火炎口近傍及び火炎安定手段を示す拡大断面図
【図8】従来の乾燥機用バーナ装置が適用された乾燥機を示す模式図
【符号の説明】
【0030】
1 乾燥機
2 バーナ(乾燥機用バーナ装置)
3 ファン
4 開閉扉
5 燃焼手段
5a 火炎口
5b 段部
6 筐体
7 燃焼ガス供給手段
8 点火手段
9 計測センサ
10 火炎安定手段
10a、10b 流通孔
S 乾燥室
A 燃焼室
B 排出通路
C 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥物が収容された乾燥室内に乾燥のための温風又は熱風を送り込むための乾燥機用バーナ装置において、
燃焼ガスが供給されて当該燃焼ガスを燃焼させる火炎口を有するとともに、互いに所定寸法の間隙を有して配設された複数の燃焼手段を有し、当該燃焼手段間の間隙で火炎口の形成方向に強制的に空気を流通させることにより、前記燃焼手段により加熱された空気と強制的に流通する空気とが混合して前記乾燥室内に送られることを特徴とする乾燥機用バーナ装置。
【請求項2】
前記燃焼手段は、火炎口近傍で細径とされてその外周面に段部が形成され、当該段部を覆って火炎安定手段が配設されるとともに、当該火炎安定手段は、前記燃焼手段の側方及び上方に向かってそれぞれ開口した流通孔を有することを特徴とする請求項1記載の乾燥機用バーナ装置。
【請求項3】
前記乾燥室に送り込まれた温風又は熱風を外部に排出するための排出通路側に配設されたファンの駆動により、前記燃焼手段間の間隙にて強制的に空気を流通させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の乾燥機用バーナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−198650(P2007−198650A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16112(P2006−16112)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000102348)エイケン工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】