説明

乾燥装置

【課題】茶葉や葉菜類などの被処理物を酸化させることなく効率良く乾燥させるとともに、ロール状の乾燥形態に仕上げることができる乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥装置10は、投入された被処理物を真空雰囲気下で搬送しながら加熱及び圧搾する第一乾燥手段1と、第一乾燥手段1から排出された被処理物を搬送しながら加熱する第二乾燥手段2と、搬送される被処理物をロール状に加工する擂り揉み手段3と、を備えている。第一乾燥手段1は、被処理物を圧搾、脱水しながら搬送するスクリューフィーダ11と、スクリューフィーダ11で搬送される被処理物を加熱するヒータ12と、スクリューフィーダ11内を真空にする真空ポンプ13と、を備え、第二乾燥手段2は、排出口18から取り込んだ被処理物を搬送するネットコンベア20と、ネットコンベア20で搬送される被処理物を加熱するヒータ21と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉や葉菜類などの水分を除去するとともに所定形状に仕上げる機能を有する乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の手作業による製茶工程は、摘み取ってきた茶葉を水蒸気で蒸し、筵などの上に広げて人手によって揉み上げた後、天日で乾燥させる、というのが一般的であった。手揉み方式で作られた茶葉はロール状に仕上がるので、飲茶の際には、何度も湯を注ぎ足しながら、長時間に渡ってお茶を楽しむことができる。
【0003】
しかしながら、大量の茶葉を手作業で乾燥処理するには限界があるので、熱風を利用した製茶乾燥装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この製茶乾燥装置は、無端輸送体で連続的に搬送される茶葉に対して熱風を供給することによって乾燥を行うものであり、茶葉の乾燥状態を適切に保つための水分計測手段なども設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−169077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の製茶乾燥装置を使用すれば、手作業に頼ることなく、大量の茶葉を安定的に乾燥させることができるが、乾燥手段として熱風が使用されているため、密閉された乾燥室内で熱風乾燥が行われたとしても、茶葉に含まれる有効成分などの酸化を回避することができず、茶としての品質が低下することが考えられる。
【0006】
また、前記製茶乾燥装置は、無端輸送体で連続的に搬送される茶葉に熱風を加えるだけであるため、仕上がった後の茶葉は薄片状あるいは切片状であり、従来の手揉み方式によって形成されるロール状の茶葉を得ることはできない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、茶葉や葉菜類などの被処理物を酸化させることなく効率良く乾燥させるとともに、ロール状の製品に仕上げることができる乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の乾燥装置は、投入された被処理物を真空雰囲気下で搬送しながら加熱及び圧搾する第一乾燥手段と、前記第一乾燥手段から排出された被処理物を取り込んで搬送しながら加熱する第二乾燥手段と、前記第二乾燥手段において搬送される被処理物をロール状に加工する擂り揉み手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このような構成とすれば、第一乾燥手段において被処理物を真空雰囲気下で搬送しながら加熱及び圧搾して脱水させるので、茶葉や葉菜類などの被処理物を酸化させることなく効率良く乾燥させることができる。また、第一乾燥手段を経て第二乾燥手段へ取り込まれた被処理物は擂り揉み手段によってロール状に加工されるため、被処理物をロール状の製品に仕上げることができる。
【0010】
ここで、前記擂り揉み手段として、前記第二乾燥手段で搬送される被処理物に当接してその搬送方向と逆方向に摺動する無端ベルト体若しくは筒状回転体を設けることが望ましい。このような構成とすれば、第二乾燥手段において搬送される被処理物に前記無端ベルト体や筒状回転体が当接して搬送方向と逆方向に摺動することにより、被処理物は連続的にロール状に加工されていくため、被処理物を確実かつ効率良くロール状に変化させることができる。また、前記擂り揉み手段は被処理物を加熱しながらロール状に加工するので、ロール状に変化した後の被処理物(製品)が元の形状に戻ることもない。
【0011】
また、前記第二乾燥手段における被処理物の加熱乾燥に供される熱の少なくとも一部を前記第一乾燥手段における被処理物の加熱に利用する構成とすれば、排熱の放散を回避することができるため、省エネルギを図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、茶葉や葉菜類などの被処理物を酸化させることなく効率良く乾燥させ、ロール状の製品に仕上げることができる乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態である乾燥装置を示す一部切欠側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態の乾燥装置10は、投入された被処理物を真空雰囲気下で搬送しながら加熱及び圧搾する第一乾燥手段1と、第一乾燥手段1から排出された被処理物を取り込み、搬送しながら加熱する第二乾燥手段2と、第二乾燥手段2において搬送される被処理物をロール状に加工する擂り揉み手段3と、を備えている。
【0015】
第一乾燥手段1は、被処理物を圧搾、脱水しながら搬送するスクリューフィーダ11と、スクリューフィーダ11で搬送される被処理物を加熱するヒータ12と、スクリューフィーダ11内を真空雰囲気にする真空ポンプ13と、を備え、スクリュー15の始端側から終端側に向かって上り勾配をなすようにスクリューフィーダ11全体が傾斜して設置されている。スクリューフィーダ11は、気密構造をした筒状のケーシング14内に配置されたスクリュー15と、スクリュー15を回転駆動するモータ16と、を備え、被処理物をケーシング14内へ投入するためのホッパ17がスクリュー15始端側のケーシング14上部に設けられ、被処理物を排出するための排出口18がスクリュー15終端側のケーシング14下部に設けられている。
【0016】
ヒータ12はスクリューフィーダ11のケーシング14の外周面に配置され、ケーシング14内で被処理物から蒸発する水蒸気と、第二乾燥手段2からケーシング14内へ流入する水蒸気とによって被処理物を蒸し上げていく。
【0017】
スクリュー15は、モータ16によって回転駆動された回転軸15aと、回転軸15aの外周に螺旋状に付設された搬送部材15bと、で構成されている。スクリュー15始端側のケーシング14上部に設けられたホッパ17の下部に開設された開口部17aに、真空ポンプ13から延設された吸引管19が接続されている。第一乾燥手段1のスクリューフィーダ11の圧搾作用により被処理物から脱水された水分はドレイン口14aを経由してドレイン容器28に貯留され、適宜、排出される。
【0018】
第一乾燥手段1においては、ヒータ12による加熱作用と、後述する第二乾燥手段2から流入する水蒸気と、スクリューフィーダ11の回転により、被処理物を圧搾、脱水しながら、蒸し上げていく。なお、本実施形態では被処理物として茶葉を採り上げているが、これに限定するものではない。
【0019】
第二乾燥手段2は、スクリューフィーダ11の排出口18から排出され、解し機構4を通過して取り込んだ被処理物を搬送するネットコンベア20と、ネットコンベア20を駆動するモータ22と、ネットコンベア20で搬送される被処理物を加熱するためネットコンベア20の内周側に配置されたヒータ21と、を備え、ネットコンベア20の外周側に擂り揉み手段3が配置されている。擂り揉み手段3は、ネットコンベア20で搬送される被処理物に当接して当該被処理物をその搬送方向と逆方向に摺動する無端ベルト体31と、無端ベルト体31を回転駆動するモータ32と、を備えている。無端ベルト体31は、モータ32で回転駆動された駆動ローラ33と、従動ローラ34とに掛け渡されている。
【0020】
擂り揉み手段3を構成する無端ベルト体31の内周側には、無端ベルト体31の内周面に当接して当該無端ベルト体31をネットコンベア20上面に向かって押圧する摺動部材35bと、摺動部材35bに押圧力を加えるシリンダ35aとを備えた押圧機構35が配置されている。押圧機構35のシリンダ35aの押圧力を変化させることにより、ネットコンベア20に載って搬送される被処理物に対する無端ベルト体31の押圧力を調整することができる。
【0021】
ネットコンベア20及び擂り揉み手段3は気密性を有するケーシング23内に配置され、ネットコンベア20始端側のケーシング23上部の導入口27と、スクリューフィーダ11の排出口18とが、解し機構4の外形を形成する気密性のケーシング41を介して連通している。解し機構4のケーシング41内には、モータで駆動された回転体42が、その軸心がケーシング41を水平横断する状態に配置されている。回転体42には複数の丸棒材42aが放射状に設けられ、スクリューフィーダ11の排出口18から解し機構4へ送り込まれる塊状の被処理物は丸棒材42aの回転によってバラバラに解され、ネットコンベア20上へ落下する。
【0022】
ネットコンベア20終端側のケーシング23下面に開設された排出口24には、ネットコンベア20で搬送されてきた被処理物を回収するための有底形状のホッパ25が気密状態で取り付けられている。ホッパ25内に貯留された被処理物を排出するための開閉扉26が、ホッパ25の外周下部に設けられている。
【0023】
乾燥装置10を使用する場合、モータ16,22,32,43、真空ポンプ13及びヒータ12,21を起動させ、ケーシング14,41などの内部を真空雰囲気にするとともに各部を予備加熱した後、第一乾燥手段1を構成するスクリューフィーダ11のホッパ17に被処理物を投入する。ホッパ17に投入された被処理物は、真空ポンプ13の働きにより真空雰囲気に保たれているスクリューフィーダ11のケーシング14内へ流入し、スクリュー15の回転とヒータ12の加熱とによって圧搾、脱水されながら、蒸し上げられていく。また、第二乾燥手段2内の被処理物から発生する水蒸気が導入口27及び排出口18を通過する際に被処理物との熱交換が行われ、排出口18を経由してケーシング14内へ流入する水蒸気が被処理物の蒸し上げに供される。
【0024】
スクリュー15の終端側まで達した被処理物は排出口18から解し機構4内へ落下し、モータ43で回転する回転体42の複数の丸棒材42aに衝突して撹乱されることによってバラバラに解されながら、第二乾燥手段2を構成するネットコンベア20の始端側に落下する。ネットコンベア20上に落下した被処理物は、ネットコンベア20の回転によって搬送されながらヒータ21で加熱、乾燥されていくが、その途中に配置された擂り揉み手段3において回転している無端ベルト体31と当接してその搬送方向と逆方向に摺動されることにより、ロール状に加工されていく。
【0025】
即ち、ネットコンベア20に載って搬送される被処理物に無端ベルト体31が当接して当該日処理物をその搬送方向と逆方向に摺動することにより、被処理物を転がすような偶力が発生するため、被処理物はロール状に加工されていく。この場合、無端ベルト体31の内周側に配置された押圧機構35のシリンダ35aを調整して、無端ベルト体31に対する摺動部材35bの押圧力を調整することにより、ネットコンベア20上の被処理物に対する無端ベルト体31の押圧力を調整することができるので、被処理物の種類、性状などに応じたロール加工を施すことができる。
【0026】
擂り揉み手段3においてロール状に加工された被処理物はネットコンベア20上に載ったまま、さらに加熱、乾燥されていき、ネットコンベア20終端側の排出口24から落下してホッパ25内に貯留される。ホッパ25内に所定量の被処理物が貯留されたら、開閉扉26を開いて取り出す。なお、ホッパ25の代わりに排出口24にロータリバルブを設ければ、被処理物を連続的に排出することも可能である。
【0027】
乾燥装置10は、第一乾燥手段1において被処理物を真空雰囲気下で搬送しながら加熱及び圧搾して乾燥させるので、茶葉や葉菜類などの被処理物を酸化させることなく効率良く乾燥させることができる。また、第一乾燥手段1から第二乾燥手段2へ取り込まれた被処理物は擂り揉み手段3によってロール状に加工されるため、茶葉などの被処理物をロール状の製品に仕上げることができる。
【0028】
また、擂り揉み手段3として、第二乾燥手段2のネットコンベア20で搬送される被処理物に当接してその搬送方向と逆方向に摺動する無端ベルト体31を設けたことにより、被処理物を連続的にロール加工することができるため、被処理物を確実かつ効率良くロール状の製品に仕上げることができる。また、無端ベルト体31は被処理物をヒータ21で加熱しながらロール状に加工するため、一旦、ロール状に変化した製品が元の形状に戻ることもない。
【0029】
さらに、第二乾燥手段2において被処理物の加熱乾燥に供された熱及び被処理物から発生した水蒸気は、真空ポンプ13の吸引力により、ケーシング23の導入口27から解し機構4のケーシング41内及び排出口18を通過して被処理物と熱交換を行いながら第一乾燥手段1のケーシング14内に導入され、第一乾燥手段1における被処理物の加熱及び蒸し上げに利用されるため、排熱の放散を回避することができ、省エネルギを図ることができる。なお、真空ポンプ13として、水封式の真空ポンプを採用すれば、その水封に使用した冷却水をクーリングタワー(図示せず)によって冷却再生し、水封に再使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の乾燥装置は、茶葉、葉菜類あるいは穀物などの乾燥手段として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 第一乾燥手段
2 第二乾燥手段
3 擂り揉み手段
4 解し機構
10 乾燥装置
11 スクリューフィーダ
12,21 ヒータ
13 真空ポンプ
14,23,41 ケーシング
14a ドレイン口
15 スクリュー
15a 回転軸
15b 搬送部材
16,22,32,43 モータ
17,25 ホッパ
18,24 排出口
19 吸引管
20 ネットコンベア
26 開閉扉
27 導入口
28 ドレイン容器
31 無端ベルト体
33 駆動ローラ
34 従動ローラ
35 押圧機構
35a シリンダ
35b 摺動部材
42 回転体
42a 丸棒材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された被処理物を真空雰囲気下で搬送しながら加熱及び圧搾する第一乾燥手段と、前記第一乾燥手段から排出された被処理物を取り込んで搬送しながら加熱する第二乾燥手段と、前記第二乾燥手段において搬送される被処理物をロール状に加工する擂り揉み手段と、を備えたことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記擂り揉み手段として、前記第二乾燥手段において搬送される被処理物に当接してその搬送方向と逆方向に摺動する無端ベルト体若しくは筒状回転体を設けたことを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記第二乾燥手段における被処理物の加熱乾燥に供される熱の少なくとも一部を前記第一乾燥手段における被処理物の加熱に利用することを特徴とする請求項1または2記載の乾燥装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−203703(P2010−203703A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51128(P2009−51128)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(595151280)西日本技研株式会社 (1)
【Fターム(参考)】