説明

二股状管腔のための管腔内プロテーゼ

【課題】管壁を完全に支持し得るような、また、比較的簡単に配置し得るような、二股状部領域の処置のためのデバイスを提供すること。
【解決手段】生体管腔の二股状部をなす領域において処置を行い得るデバイスであって、拡径状態において副管の一方の壁を押圧し得る第1セグメント(7,8)と;主管から副管が分岐している拡径移行領域における二股状部の形状に対応した円錐台形状へと拡径し得るものとされた第2セグメント(5,6)と;第1セグメントおよび第2セグメントの向きを調節可能とするフレキシブルリンク(9)と;を具備し、第1セグメントと第2セグメントとフレキシブルリンクとが、互いに同一の材料から形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体管腔の二股状をなす領域、すなわち、主管が2つの副管へと分岐する領域、における処置を可能とするデバイスに関するものである。本発明は、また、このデバイスを配置するための装置に関するものである。
【0002】
このデバイスは、特に、頚動脈における、大腿部における、腸骨における、膝窩における、腎臓における、あるいは、冠状動脈における血管の二股状部の処置に、また、気管の二股状部や、例えば通常の胆管と膀胱管との間における胆管の二股状部あるいは主胆管における二股状部といった胆管の二股状部のような血管以外の管腔の二股状部の処置に、使用することができる。
【0003】
そのような処置においては、動脈硬化や内部細胞増殖の場合には、二股状部の適切な直径を再構築することができ、また、動脈瘤の場合には、管壁の局所的なまたは非局所的な切開を行って、動脈瘤嚢を排除しつつ二股状部の正規の直径を再形成することができる。
【背景技術】
【0004】
直管状の血管の細径化を、通常ステントと称される径方向に拡径可能な管状デバイスを使用して、処置することが公知である。このデバイスは、細径化が起こっている領域にまで、とりわけ経皮的な経路を通して、内部管腔内を非拡径状態で、導入される。所定位置に到達すると、デバイスが拡径され、この拡径によって、デバイスは、管壁を支持し、この支持によって管の適切な断面積を回復させる。
【0005】
デバイスは、非弾性材料から形成することができ、この場合、係合されている膨張バルーンによって拡径することができる。あるいは、デバイスは、自己拡張型とすることができる。すなわち、弾性材料から形成することができ、この場合には、デバイスを縮径状態で保持しているシースから引き抜くことによって自発的に拡径する。
【0006】
米国特許明細書第4,733,665号および米国特許明細書第4,886,062号には、このようなデバイスおよびそれに対応した配置技術が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許明細書第4,733,665号
【特許文献2】米国特許明細書第4,886,062号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のステントは、全体的に、二股状部をなす領域における細径化の処置には不適切である。というのは、主管と一方の副管との双方に対するステントの係合によって、他方の副管が、即座にまたは徐々に、閉塞してしまう可能性があるからである。
【0009】
各々が金属繊維の螺旋的な編込によって形成された2つの部材を具備したデバイスによって、管の二股状部を補強することが公知である。2つの部材の一方は、主管の直径と一方の副管の直径とのそれぞれに対応した直径からなるとともに主管と一方の副管とのそれぞれに係合することを意図した2つの部分を備えている。他方の部材は、他方の副管の直径に対応した直径とされていて、第1部材が所定位置に配置された後に、第1部材のターンに対して1つまたは複数のターンを係合させることによって、第1部材に対して連結される。
【0010】
このデバイスであると、二股状部を補強することができる。しかしながら、デバイスの構造の点から、また、2つの構成部材の径方向拡張性が小さいという点から、血管の細径化や閉塞障害の処置には不適切である。
【0011】
その上、第1部材の形状が、主管の端部と副管の端部との間において広がった移行領域を有しているといった二股状部の形状に対応していない。よって、このデバイスでは、壁の完全な支持を行うことができず、また、壁の領域における切開を処置することができない。
【0012】
加えて、2つの部材を個別的に配置することは、比較的困難であると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、管壁を完全に支持し得ることによって、また、比較的簡単に配置し得ることによって、二股状部領域における病的状態を処置し得るような、デバイスを使用することにより、上記の様々な欠点を克服することを目的としている。
【0014】
本発明に関するデバイスは、従来と同様に、長さ方向コンジットを規定する複数のセグメントを具備するとともに、これらセグメントの1つは、二股状部に係合することを意図しており、他のセグメントは、二股状部の副管に係合することを意図している。
【0015】
本発明においては、デバイスは、
−拡径状態において、副管の一方の断面積よりも実質的に大きな断面積を有した、少なくとも1つの拡径可能なセグメントと、−拡径状態において、主管から副管が分岐している拡径移行領域における二股状部形状に対応した円錐台形状を有した、1つのセグメントと、
−これら2種類のセグメントどうしの間のフレキシブルリンクであり、かつ、拡径移行領域に対しての、副管のうちのセグメントを受領する方の副管の向きに応じて、これらセグメントどうしの配向を調節可能とするフレキシブルリンクと、
を具備している。
【0016】
簡単化のために、拡径状態において副管の一方の断面積よりも実質的に大きな断面積を有したセグメントを、以下、「副管用セグメント」と称することにする。また、拡径状態において円錐台形状を有したセグメントを、以下、「円錐台形状セグメント」と称することにする。
【0017】
副管用セグメントは、縮径状態で副管内に導入されて、拡径状態とされることによって副管壁を押圧することを意図している。この拡径は、副管の細化や副管の領域における切開を処置し得るだけでなく、副管内におけるデバイスの完璧な固定を保証することができる。
【0018】
デバイスのこのような状況においては、円錐台形状セグメントは、二股状部をなす拡径移行領域を構成している壁を押圧し、この領域を完全に支持することができる。よって、このデバイスによって、管壁の一様な支持でもってしたがって管壁を損傷する危険性なく、この領域における細化や切開を処置することができる。
【0019】
2つのセグメントどうしを連結するためのフレキシブルリンクのおかげで、2つのセグメントは、拡径時には、互いに適切な向きをなすことができる。デバイスは、加えて、単一部材であるという特性を有しており、このため、埋設を比較的容易に行うことができる。
【0020】
好ましくは、少なくとも円錐台形状セグメントは、径方向に関しての不浸透性をもたらす壁によって覆われている。
【0021】
このことにより、この不浸透壁と管壁との間に、動脈硬化粒子や増殖細胞といった処置すべき障害から派生する粒子を拘束することができ、したがって、このような粒子の生体内への移動を避けることができる。
【0022】
その上、二股状部を通しての液体の案内による動脈瘤の処置を可能とすることができるので、動脈瘤をなす壁にストレスがかかることを阻止することができる。
【0023】
デバイスは、連接して配置されるとともに副管壁の補足的な支持を保証することができ、必要に応じては、二股状部に対してのデバイスの固定力を高め得るような、複数の副管用セグメントを具備することができる。これと同じ目的で、デバイスは、円錐台形状セグメントのうちの、主管を向く側に、拡径状態において主管の断面積よりも実質的に大きな断面積を有した少なくとも1つの拡径可能なセグメントを具備することができる。
【0024】
このような様々な補足的セグメントは、上記のようなフレキシブルリンクによって、互いに連結することができ、また、上記の2種類のセグメントに対して連結することができる。
【0025】
好ましくは、2つの連続するセグメント間のフレキシブルリンクは、これら2つのセグメントの隣接する2つの端部どうしを連結する1つまたは複数の材料ブリッジから構成されている。このような1つまたは複数の材料ブリッジは、有利には、セグメントをなす材料と同じ材料から形成されている。
【0026】
本発明の好ましい実施形態においては、各セグメントは、メッシュ構造を備え、メッシュは、デバイスの長さ方向に延在するとともに、各々が実質的に六角形形状を有し;円錐台形状セグメントのメッシュは、デバイスの長さ方向に関してしだいにその幅が大きくなり、このセグメントの端部において拡径状態における最大断面積を有している。
【0027】
メッシュの幅のこのような増大化は、メッシュの長さ方向エッジ長さの増大化の結果であり、および/または、メッシュを構成している隣り合うエッジどうしの間がなす角度の増大化の結果である。
【0028】
加えて、円錐台形状セグメントは、デバイスの長さ方向軸に対して、一致するのではなく傾斜した軸を有しており、これにより、処置されるべき二股状部の形状に最適に適合し得るようになっている。この場合、このセグメントのメッシュの幅は、デバイスの横方向において、つまり、隣り合うセグメントどうしを連結しているブリッジの箇所とこれとは径方向反対側に位置する箇所とがなす方向において、しだいに増大する。
【0029】
デバイスは、形状記憶性の金属から形成することができる。この場合には、デバイスは、生体温度よりもずっと低い温度において、弾性的ではなく変形可能となる。これにより、デバイスを縮径させることができるとともに、実質的に生体温度に対応する温度になったときには、初期形状に復帰することができる。この金属は、好ましくは、NITINOL(登録商標)という名称で公知のニッケル/チタン合金である。
【0030】
デバイスを配置するための配置装置は、従来と同様に、デバイスが所定位置に配置された時に、このデバイスの拡径を可能とするための手段を具備している。
【0031】
このような手段は、デバイスが弾性材料製である場合には縮径状態のデバイスを収容する可動シースを、あるいは、デバイスが非弾性材料製である場合にはデバイス上に膨張バルーンを有しているような支持コアを、備えることができる。
【0032】
いずれの場合においても、本発明による配置装置は、円錐台形状セグメントの長さ方向位置を、患者の生体を通して認識可能とするための手段を具備している。これにより、円錐台形状セグメントを、二股状部をなす拡径領域に正確に配置することができる。
【0033】
この円錐台形状セグメントの拡径がデバイス軸に関して一様でない場合には、装置は、付加的に、二股状部に対してのデバイスの角度配向を、患者の生体を通して認識可能とするための手段を具備することができる。これにより、円錐台形状セグメントのうちの、最大の拡径を示す部分を、二股状部に関して適切な配置状況でもって配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態を示す側面図である。
【図2】このデバイスの径方向圧縮状態と、デバイスの配置を可能とする装置と、を一部切欠で示す斜視図である。
【図3】処置されるべき二股状部を示す長さ方向断面図である。
【図4】デバイスの配置の各段階における、図3の二股状部を示す長さ方向断面図である。
【図5】デバイスの配置の各段階における、図3の二股状部を示す長さ方向断面図である。
【図6】デバイスの配置の各段階における、図3の二股状部を示す長さ方向断面図である。
【図7】デバイスが配置された状態における、動脈瘤ありの二股状部を示す長さ方向断面図である。
【図8】第2実施形態によるデバイスを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
完全な理解のために、以下、本発明を、本発明に関連するデバイスの2つの好ましい実施形態に関して、非制限的な例示としての添付の概略的な図面を参照して、説明する。
【0036】
図1は、生体管腔における二股状をなす領域、すなわち、図3に示すように主管2が2つの副管3へと分岐するような領域、における処置を可能とする、拡張可能デバイス1を示している。
【0037】
デバイス1は、メッシュ構造からなる4つの連続したセグメント5,6,7,8を備えている。
【0038】
これらセグメントのメッシュ10は、デバイス1の長さ方向に延在しており、実質的に六角形形状を有している。
【0039】
セグメント5は、管状形状を有しており、主管2の直径よりも実質的に大きな直径を有している。
【0040】
セグメント6は、セグメント5のメッシュと比較して、一方においては、セグメント6のうちのセグメント5とは反対側に位置した端部の側においてデバイス1の長さ方向に関して、他方においては、ブリッジ9とこのブリッジ9の径方向反対箇所とを結ぶ線の方向においてデバイスの横方向に関して、しだいに幅が増大するようなメッシュ10を有している。
【0041】
メッシュ10のこのような幅の増大化は、メッシュ10のうちの、長さ方向に配置されているエッジ10aの長さが増大化することにより、また、隣り合うエッジ10a間のなす角度が増大化することにより、もたらされている。
【0042】
よって、このセグメント6は、デバイス1の長さ方向軸に対して傾斜した軸を有した円錐台形状とされている。この形状は、主管2の端部が副管3の端部へと枝分かれする拡径移行領域11における二股状形状に対応している。
【0043】
セグメント7および8は、互いに同一のものであって、1つの副管3の直径よりも実質的に大きな直径とされた管状形状を有している。
【0044】
材料ブリッジ9が、セグメント5〜8の隣り合うものの端部どうしを連結している。このブリッジ9は、小さな幅とされている。そのため、ブリッジ9は、ある程度曲がる(ある程度たわむ)ことができて、これらセグメントどうしの向きを互いに調節することができる。特に、セグメント6とセグメント7との間に角度配向をもたらすことができる。
【0045】
デバイス1は、NITINOL(登録商標)の名称で公知のニッケル/チタン合金のシートを、適切にカットし、得られたブランクを環状に折り畳み、ブランクの互いに近接配置されるべき箇所どうしを溶接することによって形成されている。
【0046】
この合金は、10℃の程度の温度で変形可能である。しかしながら、実質的に人体の温度に対応する温度において、元の形状に復帰することができる。
【0047】
図2は、構成材料の冷却によって得られた、径方向に圧縮した状態における、デバイス1を示している。この径方向圧縮時には、エッジ10aは、メッシュ10の横方向エッジ10bに対して、この径方向圧縮状態においてメッシュ10が実質的に矩形形状をなすように、回転する。
【0048】
この径方向圧縮のおかげで、セグメント5〜8は、管2,3の断面よりも小さな断面とされ、後述のようにして、管2,3内に導入することができる。
【0049】
デバイス1は、中央支持コア15上に係合され、その後、コア15上において径方向に圧縮される。コア15は、このデバイスが拡径した際にはデバイス1の直径よりも小さな直径とされかつデバイス1が径方向圧縮されている際にはデバイス1の直径よりも大きな直径とされた肩部(図2には図示していない)のような軸方向係止体を備えている。したがって、この係止体は、デバイス1が径方向圧縮されている時には、コア15上におけるデバイス1の軸方向固定を可能とする。
【0050】
それから、デバイス1を径方向圧縮状態で保持するために、シース16が、デバイス1上に係合される。このシース16は、例えばバリウム化合物を含有しているような、4つの放射線不透明マーカー20,21,22,23を、押圧固定された状態で備えている。
【0051】
3つのマーカー20,21,22は、環状形状とされて、シース16の周縁全体にわたって延在している。これらマーカーは、セグメント5,8の自由端部の領域と、セグメント6とセグメント7とを隔離しているブリッジ9の領域と、のそれぞれに位置している。第4番目のマーカー23は、セグメント6のうちのブリッジ9に相当する部分と、そこから径方向反対側に位置する部分と、の実質的な中間点に配置されている。このマーカー23は、ダイヤモンド形状とされていて、厚さが薄いものとされている。
【0052】
コア15は、ガイドワイヤ25上への係合を可能とするための、長さ方向に延在する軸方向孔を有している(図4〜図6)。ガイドワイヤ25は、経皮的経路によって、管2内へと、さらには、領域11を経由して管3のうちの一方内へと、進入することができる。ガイドワイヤは、管内をスライドすることができる。
【0053】
ガイドワイヤは、コア15、デバイス1、および、シース16からなるアセンブリの先端に配置された、合成樹脂製のコーン26を備えている。
【0054】
図3に示す二股状部30は、断面を細くしてしまうような増殖物31を有している。このような増殖物は、管2,3内を循環する液体の流通の障害となる。血管の二股状部の場合には、このような増殖物は、例えば、動脈硬化や細胞成長に基づく。
デバイス1は、この二股状部の、管2,3のおよび拡径領域11の、適切な径の再構築による処置を可能とする。
【0055】
実際には、図4に示すように、コア15、デバイス1、および、シース16からなるアセンブリは、コーン26のところまでにおいて、ガイドワイヤ25上に係合している。ガイドワイヤのスライド移動によって、このガイドワイヤ25は、管2に対して、さらには、領域11を経由して管3に対して、アセンブリを進入させて案内することができる。コーン26は、アセンブリのスライドを容易なものとしており、外傷の危険性を低減している。
【0056】
マーカー22は、適切なX線撮影装置を使用することによる、セグメント6,7間の境界をなしているブリッジ9の位置の可視化を可能とする。したがって、セグメント6の位置の可視化を可能とする。その結果、セグメント6を、拡径領域11に対して、正確に配置することができる。
【0057】
マーカー20,21によって、セグメント5および8を、主管2内および副管3内のそれぞれにおいて、正確に配置することが可能である。
【0058】
マーカー23は、配置されている位置に基づいて、X線撮影装置の撮影の向きに対して垂直な向きであるか平行な向きであるかによって、平面視かあるいは側面視において見つけることができる。よって、デバイス1の、二股状部30に対する角度配向を認識することができる。これにより、セグメント6のうちの、最も大きく拡径する部分を、拡径領域11に対して、適切な態様で配置することができる。
【0059】
その後、アセンブリの導入を可能とし得る開口間の長さにわたって中空とされたシース16が、図5および図6に示すように、しだいに引き抜かれる。シース16を引き抜くことによって、デバイス1の完全な拡径が可能とされる。
【0060】
デバイス1は、体温によって加熱され、この加熱によって、拡径が引き起こされる。
【0061】
デバイス1が完全に拡径した後に、コア15およびガイドワイヤ25が引き抜かれる。
【0062】
図7は、デバイス1が動脈瘤40の処置に対しても使用可能であることを示している。セグメント6、および、セグメント5の一部は、管2,3内を循環する液体に対して非浸透性とされかつセグメント上に縫合されたポリエステルフィルム41によって覆われている。この場合、デバイスは、二股状部30を通っての液体の流通を案内し、したがって、動脈瘤40をなす壁の拡張を阻止する。
【0063】
図8は、本発明によるデバイス100を示している。デバイス100は、図1に示すデバイスにおけるセグメント5〜8およびブリッジ9と同様の、セグメント105,106,107,108と、セグメント106,107間を連結するブリッジ109と、を具備している。
【0064】
デバイス100においては、セグメント106,107間を除いて、連続するセグメントどうしは、6個のオメガ形状のブリッジ190によって連結されている。これらブリッジ190の湾曲した中央部190aは、多方向に関しての弾性を有しており、これによって、各セグメントが長さ方向に関して互いに適切な配向状態をとることができる。
【0065】
このようなブリッジ190の利点は、ブリッジ190によって、長さ方向に連したデバイスが得られることである。このため、大きく曲がりくねった領域内であってもデバイスが容易に通り抜けることができ、また、動脈硬化の場合には常に危険であることによりデバイスの挿通を可能とするために行われていた湾曲の低減化を行う必要がない。
【0066】
よって、本発明は、二股状部30をなす領域における病的状態の処置を行い得るようなデバイスを提供することができる。このデバイスは、上述のような多くの利点を有している。中でも、管壁を完璧に支持することを保証できるという利点、および、配置を比較的簡単に行い得るという利点がある。
【0067】
本発明が、例示としての上記実施形態に限定されるものではなく、すべての変形例をも包含していることは、もちろんである。
【0068】
デバイス1,100は、互いに連接された複数のセグメント5,8,105,108を備えることができる。これにより、補足的な支持を確保することができ、必要に応じて、二股状部30におけるデバイスの保持力を高めることができる。
【0069】
コア15は、デバイス1が非弾性材料から形成されている場合にはデバイス1の拡径をもたらすために、あるいは、自己拡張型デバイス1が所定位置に配置された後に自己拡張型デバイス1の全体的な拡径を確保するために、膨張バルーンを備えることができる。
【0070】
マーカー20〜23は、シース16上ではなく、コア15上に押圧固定することも、あるいは、デバイス1上に特にブリッジ9,109上に直接的に固定することも、できる。
【0071】
セグメント6,106は、処置すべき二股状部の形状によって必要である場合には、デバイスの長さ方向軸に関して斜めではなく、デバイスの長さ方向軸と一致した軸を有することができる。
【0072】
加えて、ある種の二股状部においては、セグメント7,107自身が、拡径状態において、副管3が連結されている拡径移行領域11の形状に対応した形状をなすことができる。この場合、このようなセグメント7,107は、拡径移行領域の形状に対応した形状をなしているので、そのような拡径移行領域の完璧な支持が保証される。
【0073】
2つの連続したセグメントどうしの間のブリッジ190は、その数を6個に限定することなく増減することができる。また、ブリッジ190は、オメガ形状以外であっても、多方向に関しての弾性を可能とし得るような形状であれば任意の形状とすることができ、特に、V字形状やW字形状とすることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 デバイス
2 主管
3 副管
6 セグメント
7 セグメント
8 セグメント
9 フレキシブルリンク
11 拡径移行領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔の二股状部をなす領域においてすなわち主管が2つの副管へと分岐する領域において処置を行い得るデバイスであって、
−拡径状態において前記副管の一方の壁を押圧し得るよう、拡径状態において前記一方の副管の断面積よりも大きな断面積を有するよう構成された、少なくとも1つの拡径可能な第1セグメントと;
−第1端部と第2端部とを有してなる少なくとも1つの拡径可能な第2セグメントであるとともに、前記第1端部が前記第2端部よりも大きな直径へと拡径し得るものとされ、前記主管から前記副管が分岐している拡径移行領域における二股状部の形状に対応した円錐台形状へと拡径し得るものとされた少なくとも1つの拡径可能な第2セグメントと;
−前記第1セグメントと、前記第2セグメントの前記第1端部と、の間に配置されたフレキシブルリンクであるとともに、前記拡径移行領域に対しての、前記副管のうちの前記セグメントを受領する方の副管の向きに応じて、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントの向きを調節可能とするフレキシブルリンクと;
を具備し、
前記第1セグメントと前記第2セグメントと前記フレキシブルリンクとが、ニッケルチタン合金からなる部材のカットによって形成され、これにより、前記第1セグメントと前記第2セグメントと前記フレキシブルリンクとが、互いに同一の材料から形成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
請求項1記載のデバイスにおいて、
前記第1セグメントが、この第1セグメントに沿う第1長さ方向軸を規定し、
前記第2セグメントが、この第2セグメントに沿う第2長さ方向軸を規定し、
前記第1セグメントおよび前記第2セグメントが拡径された際には、前記第1長さ方向軸および前記第2長さ方向軸が、互いに傾斜していることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1または2記載のデバイスにおいて、
少なくとも1つの前記第2セグメントが、径方向に関しての不浸透性をこのセグメントに対して付与する壁によって覆われていることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記第1セグメントが、互いに順次的に配置された複数の拡径可能なセグメントを有し、
これらセグメントが、拡径状態において、前記一方の副管の断面積よりも大きな断面積を有していることを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
さらに、前記第2セグメントのうちの、前記主管を向く側に、拡径状態において前記主管の断面積よりも大きな断面積を有するよう構成された少なくとも1つの拡径可能な第3セグメントを具備していることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記第1セグメントと前記第2セグメントとの間の前記フレキシブルリンクが、これら第1および第2セグメントの隣接する2つの端部どうしを連結する少なくとも1つの材料ブリッジから構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のデバイスにおいて、
前記第1セグメントおよび前記第2セグメントの各々が、メッシュ構造を備え、
このメッシュ構造が、前記デバイスの長さ方向に延在する六角形形状のメッシュから構成され、
前記第2セグメントのメッシュが、拡径状態においては、前記デバイス(1)の長さ方向に関してしだいにその幅が大きくなるものとされ、前記第2セグメントのメッシュが、拡径状態においては、前記第2セグメントの端部において最大の断面積を有していることを特徴とするデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−31086(P2011−31086A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257824(P2010−257824)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【分割の表示】特願2007−176471(P2007−176471)の分割
【原出願日】平成9年6月5日(1997.6.5)
【出願人】(507184535)
【出願人】(507184546)
【Fターム(参考)】