説明

二酸化炭素固定化装置

【課題】酸とアルカリとを循環させつつ岩石や廃材等からアルカリ源を確保し、低コストで二酸化炭素を直接固定化できる二酸化炭素固定化装置を提供する。
【解決手段】正負の電極12,14の間に、第1のバイポーラ膜16、中間バイポーラ膜17、陰イオン交換膜18、陽イオン交換膜20、第2のバイポーラ膜22が配置された電気透析槽10を備え、電気透析槽10が硝酸ナトリウム溶液を受け入れて硝酸と水酸化ナトリウムとを生成し、溶解槽32に硝酸を供給して第2族元素を含む被溶解物を溶解して、第2族元素の硝酸塩溶液を生成し、ガス吸収塔34に水酸化ナトリウムを供給し、二酸化炭素を吸収して炭酸ナトリウム溶液を生成し、第2族元素の硝酸塩溶液と炭酸ナトリウム溶液とを反応槽36に供給して第2族元素の炭酸塩を生成し、二酸化炭素を固定化するとともに、反応で生じた硝酸ナトリウム溶液を電気透析槽10に循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素固定化装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化問題への関心が高まり、大気中の二酸化炭素濃度低減の必要性が認識されている。大気中の二酸化炭素濃度を低減するためには、排出量を削減することの他、大気中の二酸化炭素を回収し、固定化する必要がある。
【0003】
混合ガス中から二酸化炭素を回収する方法としては、従来より化学吸着法、物理吸着法及び膜分離法が知られている。化学吸着法では、例えばモノエタノールアミン等のアルカリ性物質の溶液に燃焼排ガス等の二酸化炭素を含有するガス(二酸化炭素含有ガス)を接触させ、アルカリ性溶液中に二酸化炭素を溶解させる。この方法の場合、アルカリ溶液を加熱して溶解した二酸化炭素を回収する必要があり、エネルギーコストが高くなる。
【0004】
また、物理吸着法では、例えばゼオライトのようなガス吸収性のある吸着材に二酸化炭素含有ガスを接触させ、二酸化炭素を吸着させる。この方法の場合、二酸化炭素含有ガスを高圧で吸着材に接触させ、その後減圧して二酸化炭素を回収するので、エネルギーコストが高くなる。
【0005】
また、膜分離法では、二酸化炭素を通過させず窒素を通過させる膜に二酸化炭素含有ガスを高圧で通過させ、二酸化炭素を分離させる。この方法の場合、二酸化炭素含有ガスを高圧にする必要があるので、エネルギーコストが高くなる。
【0006】
さらに、上記各方法では、二酸化炭素をガスの状態で回収しており、回収した二酸化炭素を固定化し、あるいは地中または海中に投棄する必要があるので、さらなる処理工程が必要となる。
【0007】
そこで、下記特許文献1には、二酸化炭素含有ガスを石灰水に接触させ、二酸化炭素を炭酸カルシウムとして直接回収する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−82548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1に記載された技術では、アルカリ源である石灰水を常に準備する必要があるが、大量の二酸化炭素を処理するためには、大量の石灰水が必要となり、これを準備するためのコストが高くなる。
【0010】
本発明の目的は、酸とアルカリとを循環させつつ岩石や廃材等からアルカリ源を確保し、低コストで二酸化炭素を直接固定化できる二酸化炭素固定化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、二酸化炭素固定化装置であって、正及び負の電極と、前記正負電極間に、バイポーラ膜、陰イオン交換膜、陽イオン交換膜、バイポーラ膜の順序で配置されたイオン交換膜群と、前記バイポーラ膜と陰イオン交換膜との間の空間に形成された酸生成室と、前記バイポーラ膜と陽イオン交換膜との間の空間に形成されたアルカリ生成室と、前記陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との間に形成された塩溶液受入室と、を有し、前記塩溶液受入室が受け入れた硝酸ナトリウム溶液から前記酸生成室で硝酸を生成し、前記アルカリ生成室で水酸化ナトリウムを生成する電気透析槽と、前記酸生成室から硝酸が供給され、第2族元素を含む被溶解物を溶解して、第2族元素の硝酸塩溶液を生成する溶解手段と、前記アルカリ生成室から水酸化ナトリウムが供給され、二酸化炭素を吸収して炭酸ナトリウム溶液を生成するガス吸収手段と、前記溶解手段から第2族元素の硝酸塩溶液を受け入れ、前記ガス吸収手段から炭酸ナトリウム溶液を受け入れ、前記第2族元素の硝酸塩と前記炭酸ナトリウムとを反応させて第2族元素の炭酸塩と硝酸ナトリウム溶液とを生成し、前記硝酸ナトリウム溶液を前記塩溶液受入室に循環する反応手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記二酸化炭素固定化装置において、前記第2族元素がカルシウムまたはマグネシウムであることを特徴とする。
【0013】
また、上記二酸化炭素固定化装置において、前記電気透析槽の正負電極間に流す電流量は、二酸化炭素の固定化量1molあたりの投入エネルギー量が300〜500kJであることを特徴とする。
【0014】
また、上記二酸化炭素固定化装置において、前記電気透析槽へ電力を供給する光電変換型発電装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、酸とアルカリとを循環させつつ岩石や廃コンクリート等からアルカリ源を確保し、低コストで二酸化炭素を直接固定化できる二酸化炭素固定化装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態にかかる二酸化炭素固定化装置の構成例を示す図である。
【図2】実施例における反応工程で得た析出物のX線回折分析結果を示す図である。
【図3】実施例における酸・アルカリ再生工程での、酸生成室、アルカリ生成室及び塩溶液受入室のpHの変化の様子を示す図である。
【図4】実施例における水素イオン濃度とCOの単位固定化量あたりの投入エネルギー量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0018】
図1には、本実施形態にかかる二酸化炭素固定化装置の構成例が示される。図1において、二酸化炭素固定化装置は、電気透析槽10を含んで構成されており、電気透析槽10は、正負の電極12,14の間に第1のバイポーラ膜16、中間バイポーラ膜17、陰イオン交換膜18、陽イオン交換膜20、第2のバイポーラ膜22が配置されたイオン交換膜群が配置されている。この電気透析槽10は、図1に示されるように、中間バイポーラ膜17を介して陰イオン交換膜18、陽イオン交換膜20を複数層積層して構成するのが、処理能力向上の点で好適である。図1における破線は、中間バイポーラ膜17、陰イオン交換膜18、陽イオン交換膜20が複数層積層されていることを表しているが、積層数は適宜決定することができる。
【0019】
また、正負の電極12,14には、直流電源24から直流電圧が印加される。また、各バイポーラ膜と陰イオン交換膜18との間の空間は硝酸溶液を生成する酸生成室26を形成し、各バイポーラ膜と陽イオン交換膜20との間の空間は水酸化ナトリウム溶液を生成するアルカリ生成室28を形成している。さらに、陰イオン交換膜18と陽イオン交換膜20との間の空間は塩溶液受入室30を形成している。なお、上記硝酸溶液及び水酸化ナトリウム溶液は、いずれも水溶液が好適である。
【0020】
ここで、第1、第2のバイポーラ膜16,22及び中間バイポーラ膜17は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを張り合わせた構成となっており、第1のバイポーラ膜16は、正電極12側が陰イオン交換膜(AM)であり、酸生成室26側が陽イオン交換膜(CM)である。また、第2のバイポーラ膜22は、負電極14側が陽イオン交換膜(CM)であり、アルカリ生成室28側が陰イオン交換膜(AM)である。また、中間バイポーラ膜17も、陰イオン交換膜(AM)と陽イオン交換膜(CM)とが、第1、第2のバイポーラ膜16,22と同じ配置(正電極12側が陰イオン交換膜(AM)、負電極14側が陽イオン交換膜(CM))となっている。
【0021】
酸生成室26で生成された硝酸溶液は、溶解槽32に供給される。溶解槽32では、硝酸溶液中に、カルシウムまたはマグネシウム等の第2族元素を含む被溶解物である廃コンクリートや鉄鋼スラグ等の廃材または岩石等が投入され、溶解される。これにより、溶解槽32では硝酸カルシウムまたは硝酸マグネシウム等の第2族元素の硝酸塩溶液が生成される。なお、硝酸溶液に溶解しない廃材や岩石の成分(主としてケイ素化合物)は、残留物として回収される。
【0022】
また、アルカリ生成室28で生成された水酸化ナトリウム溶液は、ガス吸収塔34に、その上部から供給される。ガス吸収塔34には、燃焼排ガス等の二酸化炭素(CO)を含有する二酸化炭素含有ガスが下部から供給され、上部から落ちてくる水酸化ナトリウム溶液と接触して水酸化ナトリウム溶液中に二酸化炭素が溶解する。これにより、炭酸ナトリウム溶液が生成する。このガス吸収塔34としては、内部にラシヒリング等が充填された充填塔や棚段塔を使用することができるが、これらに限定されるものではない。例えば、内部が空洞の塔に、適宜なノズルにより水酸化ナトリウム溶液を噴霧する形式であってもよい。なお、窒素等の水酸化ナトリウム溶液に溶解しないガス成分は、ガス吸収塔34の頂部から大気中に排出される。
【0023】
溶解槽32で生成された第2族元素の硝酸塩溶液と、ガス吸収塔34で生成された炭酸ナトリウム溶液とは、反応槽36に供給される。反応槽36では、第2族元素の硝酸塩溶液と炭酸ナトリウム溶液とが反応し、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウム等の第2族元素の炭酸塩が固体状で生成し、二酸化炭素を固定化する。また、その際に生成する硝酸ナトリウム溶液は、上記塩溶液受入室30に、ポンプ等の適宜な手段(図示せず)で循環される。
【0024】
次に、電気透析槽10の動作を説明する。塩溶液受入室30が反応槽36から循環された硝酸ナトリウム溶液を受け入れると、正電極12と負電極14との間に発生している電界により硝酸イオン(NO)が陰イオン交換膜18を通過して酸生成室26に移動する。また、酸生成室26には、各バイポーラ膜を構成する陽イオン交換膜(CM)から、水の電気分解により生じた水素イオン(H)が上記電界の作用により移動してくるので、酸生成室26で硝酸溶液が生成される。なお、酸生成室26には溶媒として水等を供給しておく。
【0025】
また、塩溶液受入室30が受け入れた硝酸ナトリウム溶液に含まれるナトリウムイオン(Na)は、上記電界の作用により陽イオン交換膜20を通過してアルカリ生成室28に移動する。また、アルカリ生成室28には、各バイポーラ膜を構成する陰イオン交換膜(AM)から、水の電気分解により生じた水酸化物イオン(OH)が上記電界の作用により移動してくるので、アルカリ生成室28で水酸化ナトリウム溶液が生成される。なお、アルカリ生成室28には溶媒として水等を供給しておく。
【0026】
電気透析槽10の正負の電極12,14には、直流電源24から直流電圧が印加されるが、直流電源としては限定されない。そこで、太陽電池を使用すれば、二酸化炭素固定化装置に供給される電力を発電する際に発生する二酸化炭素を削減でき、好適である。
【0027】
以上に述べた二酸化炭素固定化装置では、酸とアルカリ(硝酸と水酸化ナトリウム)とが循環使用されており、廃酸及び廃アルカリの処理が不要とできる。また、溶解槽32に投入されるアルカリ源は、廃コンクリート、鉄鋼スラグ等の廃材や岩石を使用することができる。従って、原料コストを低減することができるとともに、アルカリ源の大量供給も安定して行うことができる。
【0028】
また、本実施形態にかかる二酸化炭素固定化装置は、電気透析槽10、溶解槽32及び反応槽36が、常温(通常の外気温度)、常圧(大気圧)下で運転できるので、運転コスト(エネルギーコスト)を低減できる。ガス吸収塔34は、二酸化炭素含有ガスを吹き込むので、大気圧よりも若干高い圧力となるが、例えば大気圧に比べて1×10Pa以下の加圧で運転でき、温度は常温でよいので、やはり運転コストを低減できる。
【0029】
以上のように、本実施形態にかかる二酸化炭素固定化装置は、廃酸及び廃アルカリの処理コスト、アルカリ源等の原料コスト及び装置の加圧、加熱にかかるエネルギーコスト等を低減することができる。従って、さらに直流電源24として太陽電池を使用することにより、低コストで二酸化炭素の発生を低減した二酸化炭素固定化技術を実現できる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の具体例を実施例として説明する。ただし、本発明は、以下に述べる実施例に限定されるものではない。
【0031】
図1に示された各単位操作を以下に示す手順により検証した。なお、アルカリ源(カルシウム源)としては、製鉄過程で発生する高炉除冷スラグを使用した。
【0032】
1.溶解工程
カルシウム含有率が26.01wt%(質量%)である高炉除冷スラグ30gを1mol/Lの硝酸水溶液(和光純薬工業株式会社製、試薬特級、質量分率69%)250mLに投入し、一昼夜撹拌した。なお、投入したスラグに含まれるカルシウムと硝酸のモル比は4:5であり、硝酸カルシウムの量論比1:2と比べてカルシウム過剰の条件とした。
【0033】
2.反応工程
上記溶解工程での撹拌終了後、混合物をろ過して固体残渣を取り除き、得られた溶液と同体積の0.5mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液を混合することで炭酸カルシウムを析出させた。なお、炭酸ナトリウムは、図1に示されたガス吸収塔34の操作により生成できることは周知であるので、市販の試薬(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)を使用した。
【0034】
次に、上記析出物をろ過により回収し、洗浄、乾燥させて析出物の分析を行った。
まず、X線回折(XRD)分析により析出した固体を分析した。分析に使用した装置は、株式会社リガク製、MiniFlex IIである。
【0035】
分析結果を図2に示す。図2において、観測されたXRDのピークは炭酸カルシウムのピークに一致しており、析出物が炭酸カルシウムであることが確認された。
【0036】
また、このときに析出した炭酸カルシウムの回収量は5.81g(0.058mol)であった。
【0037】
3.酸・アルカリ再生工程
上記反応工程で析出物を分離した後の残液(硝酸ナトリウム水溶液)を用い、電気透析槽10により酸及びアルカリを再生した。なお、上記残液を電気透析槽10で処理する前に、この残液中にカルシウムの残留が無いことを予め確認した。従って、上記残液は、不純物がほぼ含まれない硝酸ナトリウム溶液といえる。
【0038】
電気透析槽10として締付け型・CH−0型(旭硝子株式会社製)を用い、陽極にステンレス鋼、陰極にPt/Tiを用いた。イオン交換膜群の構成は、図1の例と同様にして、両端のバイポーラ膜(Neosepta BP−1E(株式会社アストム製))の間に、陰イオン交換膜(Selemion AMV(旭硝子株式会社製))と陽イオン交換膜(Selemion CMV(旭硝子株式会社製))とを中間バイポーラ膜を介して配置した単位セルを槽内に積層して、5単位セルの電気透析槽10とした。有効膜面積は0.021m、膜間にスペーサーを挟むことで膜間距離0.75mmとした。また、直流電源(K36−11(松定プレシジョン株式会社製))により電気透析槽10に定電流(2.0A)を加えた。
【0039】
また、電気透析槽10の塩溶液受入室30には、上記反応工程で析出物を分離した後の残液を供給し、酸生成室26及びアルカリ生成室28には、0.001mol/Lの硝酸ナトリウム水溶液を満たして実験を開始した。なお、正負の電極12,14には、0.1mol/Lの硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)を供給し、電気分解させて水素イオン(H)及び水酸化物イオン(OH)を発生させている。
【0040】
正負の電極12,14に直流電流を流しはじめてから2分間で、酸生成室26のpHが1.68まで低下した。また、アルカリ生成室28のpHは12.16まで上昇した。このときの酸生成室26、アルカリ生成室28及び塩溶液受入室30のpHの変化の様子を図3に示す。なお、図3では、酸生成室26をAcid Cell、アルカリ生成室28をBase Cell、塩溶液受入室30をFeed Cellと表している。また、図3では、横軸が処理時間(正負の電極12,14に直流電流2.0Aを流した時間、単位:分)であり、縦軸がpHである。この結果から、電気透析槽10の塩溶液受入室30に上記残液(不純物がほぼ含まれない硝酸ナトリウム溶液)を受け入れて直流電流を流すことにより、酸生成室26で硝酸が生成し、アルカリ生成室28で水酸化ナトリウムが生成することが確認された。
【0041】
また、図4には、水素イオン濃度(pH=−log[H])とCOの単位固定化量(1mol)あたりの投入エネルギー量(kJ/mol−CO)との関係が示される。図4において、横軸が投入エネルギー量であり、縦軸が水素イオン濃度(mol/L)である。また、COの単位固定化量は、反応工程で回収した炭酸カルシウムの量を使用して計算した。
【0042】
酸生成室26の水素イオン濃度は投入エネルギーが300〜500kJ/mol−COの間で急激に増加しており、硝酸が十分に回収されたことがわかる。投入エネルギーが500kJに到達するまでの処理時間は20分であったので、上記電気透析槽10の動作条件では、投入エネルギー500kJ/mol−COに対応する処理時間20分が適切な処理時間であった。
【符号の説明】
【0043】
10 電気透析槽、12 正電極、14 負電極、16 第1のバイポーラ膜、17 中間バイポーラ膜、18 陰イオン交換膜、20 陽イオン交換膜、22 第2のバイポーラ膜、24 直流電源、26 酸生成室、28 アルカリ生成室、30 塩溶液受入室、32 溶解槽、34 ガス吸収塔、36 反応槽。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正及び負の電極と、前記正負電極間に、バイポーラ膜、陰イオン交換膜、陽イオン交換膜、バイポーラ膜の順序で配置されたイオン交換膜群と、前記バイポーラ膜と陰イオン交換膜との間の空間に形成された酸生成室と、前記バイポーラ膜と陽イオン交換膜との間の空間に形成されたアルカリ生成室と、前記陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との間に形成された塩溶液受入室と、を有し、前記塩溶液受入室が受け入れた硝酸ナトリウム溶液から前記酸生成室で硝酸を生成し、前記アルカリ生成室で水酸化ナトリウムを生成する電気透析槽と、
前記酸生成室から硝酸が供給され、第2族元素を含む被溶解物を溶解して、第2族元素の硝酸塩溶液を生成する溶解手段と、
前記アルカリ生成室から水酸化ナトリウムが供給され、二酸化炭素を吸収して炭酸ナトリウム溶液を生成するガス吸収手段と、
前記溶解手段から第2族元素の硝酸塩溶液を受け入れ、前記ガス吸収手段から炭酸ナトリウム溶液を受け入れ、前記第2族元素の硝酸塩と前記炭酸ナトリウムとを反応させて第2族元素の炭酸塩と硝酸ナトリウム溶液とを生成し、前記硝酸ナトリウム溶液を前記塩溶液受入室に循環する反応手段と、
を備えることを特徴とする二酸化炭素固定化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素固定化装置において、前記第2族元素がカルシウムまたはマグネシウムであることを特徴とする二酸化炭素固定化装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素固定化装置において、前記電気透析槽の正負電極間に流す電流量は、二酸化炭素の固定化量1molあたりの投入エネルギー量が300〜500kJであることを特徴とする二酸化炭素固定化装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の二酸化炭素固定化装置において、前記電気透析槽へ電力を供給する光電変換型発電装置を備えることを特徴とする二酸化炭素固定化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−96975(P2012−96975A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248571(P2010−248571)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(397038037)学校法人成蹊学園 (13)
【Fターム(参考)】