説明

二重成形インサート成形品及びその製造方法

【課題】両面に第1形成体と第2形成体が形成された導電性フィルムと外部回路との電気的接続を安定化することができる二重成形インサート成形品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】頭部24bが軸部24aよりも軸方向と直交する断面積が大きい導電性ピン24を備え、軸部24aが導電性フィルム21と第1成形体22とを貫通して外部に露出する状態で両者に保持され、軸部24aに隣接する頭部24bの下部が導電膜層21bに接し、頭部24bの上部が第2成形体23に接するように設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯電話やパソコンなどのフリップカバーに用いられ、導電性フィルムの両面に第1成形体と第2成形体とが形成された二重成形インサート成形品及びその製造方法に関し、より詳しくは前記導電性フィルムと外部回路との電気的な接続構造及び接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記導電性フィルムに外部回路を電気的に接続するものとして種々の構造のものが知られており、例えば、特許文献1(特開2003−168558号公報)に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1には、外装ケースの上ケースと装飾フィルムとの間に配置された導電性フィルムに、外部回路基板に立設されたコンタクトピンを、上ケースに形成されたスルーホールを通じて弾設させることで、導電性フィルムと外部回路とを電気的に接続する構造が開示されている。
【特許文献1】特開2003−168558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、スルーホールを通じてコンタクトピンを導電性フィルムに弾設させるようにしているので、コンタクトピンの弾性力による押圧によって導電性フィルムが変形したり、コンタクトピンの摩擦による衝撃や磨耗によって導電性フィルムと装飾フィルムとが破損する恐れがある。
【0005】
これを回避する手段としては、装飾フィルムの表面に保護板を設けて強度を強化することが考えられる。しかしながら、この場合、保護板によって導電性フィルムと装飾フィルムとが破損することを防げても、例えば、外部からの衝撃や振動によってコンタクトピンの先端部が導電性フィルムの表面を滑るように動き、導電性フィルムと外部回路との電気的接続が不安定になるという問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、両面に第1形成体と第2形成体が形成された導電性フィルムと外部回路との電気的接続を安定化することができる二重成形インサート成形品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、支持フィルムの表面に導電膜層が設けられた導電性フィルムの両面に第1成形体と第2成形体とが形成された二重成形インサート成形品であって、
頭部が軸部よりも軸方向と直交する断面積が大きい導電性ピンの前記軸部が前記導電性フィルムと前記第1成形体とを貫通して外部に露出する状態で両者に保持され、前記軸部に隣接する前記頭部の下部が前記導電膜層に接し、前記下部に隣接する前記頭部の上部が前記第2成形体に接するように設けられた、二重成形インサート成形品を提供する。
【0008】
なお、本発明において二重成形とは、キャビティ形状が互いに異なる複数の金型を用いて複数回に分けて溶融樹脂の射出を行うことによって樹脂成形体を製造することをいい、それぞれの成形によって製造される樹脂成形体を第1成形体、第2成形体という。なお、一次成形金型によって成形された第1成形体を二次成形用金型内に挿入した状態で二次成形する場合には、下記いずれかの方法が行われる。本発明においては、双方の方法を含むものとする。まず、第1の方法として、一次成形用金型と二次成形用金型において、組み合わされるいずれか一方の金型を共通型とし他方を交換型とする場合である。この場合は、第1成形体を一次成形用金型の共通型に保持したままとし、他方の金型を二次成形用金型に交換して行われる。第2の方法は、一次成形用金型と二次成形用金型で共通型を用いない場合である。この場合は、第1成形体を一次成形用金型から取り出して、二次成形用金型に嵌め込んだ後に二次成形を行うようにする。
【0009】
本発明の第2態様によれば、前記軸部の先端部は、前記第1成形体より突出して外部に露出している、第1態様に記載の二重成形インサート成形品を提供する。
【0010】
本発明の第3態様によれば、前記頭部の前記上部に鋭角な部分が無い、第1又は2態様に記載の二重成形インサート成形品を提供する。
【0011】
本発明の第4態様によれば、前記頭部の前記上部は略半球状である、第1又は2態様に記載の二重成形インサート成形品を提供する。
【0012】
本発明の第5態様によれば、前記頭部の前記上部は略平坦である、第1又は2態様に記載の二重成形インサート成形品を提供する。
【0013】
本発明の第6態様によれば、前記導電性ピンの前記軸部は、前記第1成形体を貫通して保持される部分に前記第1成形体が嵌合する抜け止め用溝又は突起を備えている、第1〜5態様のいずれか1つに記載の二重成形インサート成形品を提供する。
【0014】
本発明の第7態様によれば、開閉可能に構成され、一次成形体を成形する一次成形用金型及び二次成形体を成形する二次成形用金型を用いて、支持フィルムの表面に導電膜層が設けられた導電性フィルムをキャビティ内に配置した状態で溶融樹脂を射出することによって、前記導電性フィルムが一次成形体と二次成形体とで被覆された二重成形インサート成形品を製造する方法であって、
頭部が軸部よりも軸方向と直交する断面積が大きい導電性ピンの前記頭部が前記導電膜層に接触するように前記導電性フィルムを貫通させたのち、前記一次成形用金型のキャビティ側の所定位置に設けられたピン軸部収納用凹部に前記軸部の先端部を挿入し、
前記一次成形用金型を型閉じして前記一次成形体を構成する溶融樹脂を、前記一次成形用金型のキャビティ側と前記支持フィルムとの間に射出して、前記一次成形体と前記導電性フィルムを一体化したのち前記一次成形用金型を型開きし、
前記一体化された前記一次成形体と前記導電性フィルムとを、前記二次成形用金型のキャビティ側に前記導電性フィルムが露出するように前記二次成形用金型内に配置し、
前記二次成形用金型を型閉じして前記二次成形体を構成する溶融樹脂を射出して、前記導電性フィルムを前記一次成形体と前記二次成形体とで被覆する、
二重成形インサート成形品の製造方法を提供する。
【0015】
本発明の第8態様によれば、開閉可能に構成され、一次成形体を成形する一次成形用金型及び二次成形体を成形する二次成形用金型を用いて、支持フィルムの表面に導電膜層が設けられた導電性フィルムをキャビティ内に配置した状態で溶融樹脂を射出することによって、前記導電性フィルムが一次成形体と二次成形体とで被覆された二重成形インサート成形品を製造する方法であって、
頭部が軸部よりも軸方向と直交する断面積が大きい導電性ピンの前記頭部が前記導電膜層に接触するように前記導電性フィルムを貫通させたのち、前記一次成形用金型のキャビティ側の所定位置に設けられた第1ピン軸部収納用凹部に前記軸部の先端部を挿入し、
前記一次成形用金型を型閉じして前記一次成形体を構成する溶融樹脂を、前記一次成形用金型のキャビティ側と前記導電膜層との間に射出して、前記一次成形体と前記導電性フィルムを一体化したのち前記一次成形用金型を型開きし、
前記一体化された前記一次成形体と前記導電性フィルムとを、前記二次成形用金型のキャビティ側に前記導電性フィルムが露出するように前記二次成形用金型内に配置するとともに、前記二次成形用金型のキャビティ側の所定位置に設けられた第2ピン軸部収納用凹部に前記軸部の先端部を挿入し、
前記二次成形用金型を型閉じして前記二次成形体を構成する溶融樹脂を、前記二次成形用金型のキャビティ側と前記支持フィルムとの間に射出して、前記導電性フィルムを前記一次成形体と前記二次成形体とで被覆する、
二重成形インサート成形品の製造方法を提供する。
【0016】
本発明の第9態様によれば、開閉可能に構成された複数の金型を備えた、一次成形体を成形する一次成形用金型及び二次成形体を成形する二次成形用金型を用いて、支持フィルムの表面に導電膜層が設けられた導電性フィルムをキャビティ内に配置した状態で溶融樹脂を射出することによって、前記導電性フィルムが一次成形体と二次成形体とで被覆された二重成形インサート成形品を製造する方法であって、
前記一次成形用金型のキャビティ側に前記導電性フィルムの前記支持フィルムが露出するように前記導電性フィルムを配置し、
前記一次成形用金型を型閉じして前記一次成形体を構成する溶融樹脂を、前記一次成形用金型のキャビティ側と前記支持フィルムとの間に射出して、前記一次成形体と前記導電性フィルムを一体化したのち前記一次成形用金型を型開きし、
頭部が軸部よりも軸方向と直交する断面積が大きい導電性ピンを、前記軸部の先端部から前記導電膜層、前記支持フィルム、前記一次成形体の順で前記一体化された前記導電性フィルムと前記一次成形体とを貫通させたのち、前記二次成形用金型のキャビティ側の所定位置に設けられたピン軸部収納用凹部に前記軸部の先端部を挿入し、
前記二次成形用金型を型閉じして前記二次成形体を構成する溶融樹脂を、前記二次成形用金型のキャビティ側と前記導電膜層との間に射出して、前記導電性フィルムを前記一次成形体と前記二次成形体とで被覆する、
二重成形インサート成形品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の二重成形インサート成形品によれば、導電性ピンの軸部が導電性フィルムと第1成形体とを貫通して両者に保持されるとともに、前記軸部よりも軸方向に直交する断面積が大きい導電性ピンの頭部の上部が第2成形体に接しているので、外部からの衝撃や振動が加わったとしても導電性ピンがどの方向にも動くことがない。また、その状態で前記頭部の下部が導電性フィルムの導電膜層に接しているので、導電性ピンと導電性フィルムとの電気的接続が安定化する。したがって、第1成形体を貫通する前記軸部の先端部を外部回路と接続することで、導電性ピンを介して導電性フィルムと外部回路との電気的接続を安定化することができる。
【0018】
また、前記軸部の先端部を第1成形体より突出して外部に露出するように構成すれば、導電性ピンと外部回路との電気的接続が容易になる。一方、第1成形体の成形時においては、第1成形体を成形する金型の所定位置に当該突出部分を固定することで、第1成形体を構成する溶融樹脂の圧力により導電性ピンが曲がるなどの不具合を抑えて、導電性ピンの位置決め精度を向上させることができる。これにより、生産性を向上させることができるとともに、導電性ピンと外部回路との電気的接続を安定化させることができる。
【0019】
また、前記頭部の上部に鋭角な部分が無いように構成すれば、第2成形体の成形時に、第2成形体を構成する溶融樹脂の流動が阻害されず、当該溶融樹脂が第2成形体と導電膜層及び導電性ピンの前記頭部の上部との間に、より隙間無く充填されることとなる。これにより、外部からの衝撃や振動が加わったとしても、より確実に導電性ピンの移動を無くすことができ、導電性フィルムと外部回路との電気的接続を安定化することができる。
【0020】
また、前記頭部の上部を略半球状に構成すれば、第2成形体の成形時に、第2成形体を構成する溶融樹脂の流動が阻害されず、当該溶融樹脂が第2成形体と導電膜層及び導電性ピンの前記頭部の上部との間に、より隙間無く充填されることとなる。さらに、導電性ピンに加わる第2成形体を構成する溶融樹脂の圧力を和らげる構造となるため、導電性ピンが曲がるなどの不具合を抑えて、導電性ピンの位置決め精度を向上させることができる。これにより、生産性を向上させることができるとともに、外部からの衝撃や振動が加わったとしてもより確実に導電性ピンの移動を無くすことができ、導電性フィルムと外部回路との電気的接続を安定化することができる。
【0021】
また、前記頭部の上部を略平坦に構成すれば、第2成形体の成形時に、第2成形体を構成する溶融樹脂が導電膜層と導電性ピンの頭部との間に入り込むことがなく、当該溶融樹脂が前記頭部を第1成形体側に押圧する構造になるため、導電膜層と導電性ピンとの接触抵抗が小さくなる。これにより、電気的性能を向上させることができる。
【0022】
また、前記軸部が第1成形体を貫通して保持される部分に抜け止め用溝又は突起を備えるように構成すれば、前記軸部が第1成形体に強固に固定される構造となる。このため、外部からの衝撃や振動が加わったとしても、さらに確実に導電性ピンの移動を無くすことができ、導電性フィルムと外部回路との電気的接続を安定化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態にかかる二重成形インサート成形品をフリップカバーとして用いた電子機器について説明する。
図1A及び図1Bは、本発明の第1実施形態にかかる二重成形インサート成形品をフリップカバーとして用いた電子機器の外観構成を示す斜視図であり、図1Aは、フリップカバーが開いた状態を示し、図1Bは、フリップカバーが閉じた状態を示している。
【0025】
本第1実施形態の電子機器1は、例えば、PDAなどとして用いることができる。図1A及び図1Bにおいて、電子機器1は、二重成形インサート品であるフリップカバー2が、本体3の上部端にヒンジ部4によってヒンジ結合された構成である。ヒンジ部4を用いて結合されることにより、フリップカバー2は、図1Aに示すような本体3に対して立ち上がった開き状態と、図1Bに示すような本体3に対して積層した状態の閉じ状態との間で開閉することができる。
【0026】
本体3の表面3aには、液晶などのディスプレイ5及び操作ボタン6が設けられており、フリップカバー2が開いた状態ではこれらが外部へ露出するようになっている。したがって、フリップカバー2を開いた状態では、操作ボタン6などを直接押下することにより操作することができる。
【0027】
また、フリップカバー2は通常の使用形態では透明であり、図1Bに示すように、閉じた状態において、フリップカバー2を通して液晶ディスプレイ5及び操作ボタン6を視認することができる。また、後述するようにフリップカバー2内には、導電膜層が透明な合成樹脂で被覆されるように設けられており、フリップカバー2は、導電膜層が通電されることにより、静電容量スイッチや通信用アンテナなどとして使用することができるように構成されている。
【0028】
図2は、図1Aの電子機器1に用いられているフリップカバー2が、外部回路の一例である回路シート10に接続された構成を示す斜視図である。回路シート10は、フリップカバー2を静電容量スイッチ又は通信用アンテナとして用いる場合の電極を外部に導くためのフレキシブル又はリジットな基体に回路パターンがプリントなどの手段によって設けられている構成を有する。
【0029】
図3は、図2のフリップカバー2のX−X線に沿った拡大断面図である。フリップカバー2は、後述するように二重インサート成形により製造されたインサート成形品である。
フリップカバー2は、導電性フィルム21の両面に第1成形体22と第2成形体23とが設けられ、導電性フィルム21及び第1成形体22とを貫通するように導電性ピン24が設けられた構成を有する。
【0030】
導電性フィルム21は、略矩形に形成され、透明な支持フィルム21aとその表面に設けられた導電膜層の一例である透明な金属膜層21bとの積層構造となっている。
支持フィルム21aは、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シートなどで構成されている。この支持フィルム21aの厚み寸法は、例えば40μm程度とすることができる。
【0031】
支持フィルム21aの表面に形成される透明な金属膜層21bは、本第1実施形態においては、アルミニウム、クロム、金、銀、銅、亜鉛などの各種導電性の金属材料をメッシュパターン状(網目状)に形成した金属膜で構成されている。この金属膜層21bの厚み寸法は、例えば5μm程度とすることができる。なお、金属膜層21bは、単層の金属膜で構成されてもよいし、複数の金属膜で構成されてもよい。また、金属膜層21bは、上記メッシュパターン状の金属膜層に代えて、支持フィルム21aの表面全面に設けた金属膜層としてもよい。また、金属膜層21bは、上記金属材料のほかに、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化亜鉛などの透明金属酸化物や、ポリアニリン、ポリアセチレンなどの導電ポリマー、導電性のカーボンなどで構成することもできる。また、金属膜層21bは、これらの導電体を含有した導電インキ層で構成することもできる。
【0032】
金属膜層21bが上記金属材料及び透明金属酸化物で構成される場合の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、フォトリソグラフィー法、鍍金法などの方法が挙げられる。また、金属膜層21bが上記導電インキ層で構成される場合の形成方法としては、各種印刷法、ロールコート法などの方法が挙げられる。
【0033】
第1成形体22と第2成形体23とは、導電性フィルム21をほぼ全域にわたって被覆し、導電性フィルム21の端辺を完全に被覆するように配置されている。これにより、導電性フィルム21が、外部に一切露出することを無くし、導電性フィルム21の表面に設けられている金属膜層21bが外部から直接触れることを防いで、金属膜層21bが痛まない(例えば酸化しない)ようにしている。すなわち、金属膜層21bが極細帯(例えば50μm以下)のメッシュパターン状に形成されていても、静電容量スイッチや通信用アンテナとしての機能の劣化を引き起こすことがないように構成されている。
【0034】
また、第1成形体22と第2成形体23とは、本第1実施形態においては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂で構成されている。また、第1成形体22と第2成形体23とは、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂、あるいはポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂などで構成することもできる。さらに、第1成形体22と第2成形体23とは、ガラス繊維や無機フィラーなどの補強材を添加した複合樹脂で構成することもできる。
【0035】
導電性ピン24は、導電性フィルム21と第1成形体22の厚みの合計よりも長さが長い軸部24aと、軸部24aの軸方向(長手方向)と直交する方向の断面積が大きい頭部24bとで構成されている。例えば、軸部24aは軸径0.3〜1.5mmΦで構成され、頭部24bは外径0.5〜2.5mmΦで構成されている。軸部24aの軸径及び頭部24bの外径は、フリップカバー2が使用される用途に応じて必要な導電性ピン24の数(例えばアンテナ用なら1本、静電容量センサ用なら15〜20本)に応じて適宜設定すればよい。導電性ピン24の材質としては、金属類などの導電性部材が用いられている。この導電性ピン24は、軸部24aが導電性フィルム21と第1成形体22とを貫通して両者に保持され、軸部24aに隣接する頭部24bの下部が金属膜層21bに接し、前記下部に隣接する頭部24bの上部が第2成形体23に接するように設けられている。ここで「下部」とは、頭部24bの金属膜層21bに対向して接する部分をいい、「上部」とは、頭部24bの下部以外の部分、すなわち金属膜21bと接しない部分をいう。軸部24aの先端部は、導電性接着剤11を介して回路シート10と電気的に接続されている。これにより、回路シート10から導電性接着剤11及び導電性ピン24を介して金属膜層15が通電可能となり、金属膜層21bが静電容量スイッチ又は通信用アンテナとして機能することが可能となる。導電性接着剤11としては、例えば、NCF(Non Conductive Film)やACF(Anisotropic Conductive Film)などを用いることができる。
【0036】
なお、軸部24aの先端部は、図3に示すように第1成形体22の表面より突出していることが好ましい。これにより、導電性ピン24と回路シート10との電気的接続が容易になる。一方、後述するように第1成形体22の成形時において、第1成形体22を成形する金型の所定位置に設けられたピン軸部収納用凹部に当該突出する先端部を挿入することで、第1成形体22を構成する溶融樹脂の圧力により導電性ピン24が曲がるなどの不具合を抑えて、導電性ピン24の位置決め精度を向上させることができる。これにより、生産性を向上させることができるとともに、導電性ピン24と回路シート10との電気的接続を安定化させることができる。
【0037】
また、導電性ピン24の軸部24aの先端部と回路シート10との接続部分は、フリップカバー2を電子機器1に組み込んだときに、他の部材、例えばヒンジ部4などによって外部から隠蔽されるようにしておくことが好ましい。
【0038】
頭部24bの形状が、第2成形体23の成形時に第2成形体23を構成する溶融樹脂の流動を妨げるような形状である場合に、ウェルドの発生や導電性ピン24がゆるむなどの不具合が起こる恐れがある。このため、頭部24bの形状は、当該溶融樹脂の流動による圧力負荷を軽減できる形状であることが好ましい。このような形状としては、例えば、JIS規格又はISO規格で規定される皿状(図4B参照)、丸皿状(図4A参照)、丸平状、丸頭状(図3参照)、バインド状、トラス状、チーズ状、角柱状など形状が挙げられる。
【0039】
また、導電性ピン24の頭部24bの上部には、鋭角な部分(段差)が無いことが好ましい。このような導電性ピン24の形状例としては、JIS規格又はISO規格で規定される皿状、丸皿状、丸平状、丸頭状、バインド状、トラス状、チーズ状、角柱状など形状が挙げられる。このように構成すれば、第2成形体23の成形時に、第2成形体23を構成する溶融樹脂の流動が阻害されず、当該溶融樹脂が第2成形体23と金属膜層21b及び導電性ピン24の頭部24bとの間に、より隙間無く充填されることとなる。これにより、外部からの衝撃や振動が加わったとしても、より確実に導電性ピン24の移動を無くすことができ、導電性フィルム21と回路シート10との電気的接続を安定化することができる。なお、上記界面において鋭角な段差が無いようにする部分は、第2成形体23と金属膜層21bと頭部24bとの接続部分の近傍であり、例えば、導電性ピン24をねじ込むために頭部24bに設けたねじ込み用凹部(図示していない、例えばプラスドライバー挿入用穴)は除かれる。
【0040】
また、導電性ピン24の頭部24bの上部は、略半球形であることが好ましい。なお好ましくは、図4Aに示すようにその軸方向の高さが低いものがよい。このような導電性ピン24の形状例としては、JIS規格又はISO規格で規定される丸皿状、丸平状、丸頭状、バインド状、トラス状、チーズ状など形状が挙げられる。このように構成すれば、第2成形体23の成形時に、第2成形体23を構成する溶融樹脂が第2成形体23と金属膜層21b及び導電性ピン24の頭部24bとの間に、より隙間無く充填されることとなる。さらに、導電性ピン24に加わる第2成形体23を構成する溶融樹脂の圧力を和らげる構造となるため、導電性ピン24が曲がるなどの不具合を抑えて、導電性ピン24の位置決め精度を向上させることができる。これにより、生産性を向上させることができるとともに、外部からの衝撃や振動が加わったとしてもより確実に導電性ピン24の移動を無くすことができ、導電性フィルム21と回路シート10との電気的接続を安定化することができる。
【0041】
また、より好ましくは、導電性ピン24の頭部24bの上部は、図4Bに示すように略平坦であるものがよい。このような導電性ピン24の形状例としては、ISO規格で規定される皿状など形状が挙げられる。このように構成すれば、第2成形体23の成形時に、第2成形体23を構成する溶融樹脂が金属膜層21bと導電性ピン24の頭部24bとの間に入り込むことがなく、当該溶融樹脂が頭部24bを第1成形体22側に押圧する構造になるため、金属膜層21bと導電性ピン24との接触抵抗が小さくなる。これにより、電気的性能を向上させることができる。また、後述するように、一次成形体23を成形する金型に頭部24bの形状に合わせたピン頭部収納用凹部を形成する必要が無いというメリットもある。
【0042】
なお、導電性ピン24の頭部24bは、初めから前記好ましい形状のものを使用することが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2成形体23を成形する前に、導電性ピン24の頭部24bを叩くなどして変形させ、前記好ましい形状にしてもよい。
【0043】
軸部24aの軸方向と直交する断面の形状は、特に限定されるものではなく、円形状であっても、多角形状であってもよい。
また、軸部24bの第1成形体22を貫通して保持される部分には、図5Aに示すように第1成形体が嵌合する抜け止め用溝25、又は図5Bに示すように抜け止め用突起26が形成されていることが好ましい。溝25の深さ又は突起26の高さは、例えば0.3mmとする。溝部25又は突起26を設けることにより、導電性ピン24が第1成形体22と強固に固定される構造となるため、外部からの衝撃や振動が加わったとしても、さらに確実に導電性ピン24の移動を無くすことができ、導電性フィルム21と回路シート10との電気的接続を安定化することができる。なお、溝部25と突起26とは、図5A及び図5Bに示すように、いずれか一方を設けることに限定されず、両方が設けられてもよい。
【0044】
次に、本発明の第1実施形態にかかるフリップカバー2をインサート成形によって製造する方法について説明する。図6A〜図6Eは、図3に示すフリップカバー2を製造する工程を示す図である。
図6A〜図6Eに示す製造方法は、一次成形体50を成形する一次成形用の第1金型100と二次成形体60を成形する二次成形用の第2金型200とを利用する。第1金型100は、固定型110と可動型120とで構成され、第2金型200は固定型110と可動型220とで構成され、共に開閉可能になっている。第1金型100及び第2金型200に用いられる固定型110は共通型であり、それぞれの可動型120,220が、共通の固定型110と組み合わされることにより第1金型100と第2金型200が構成される。なお、本第1実施形態においては、一次成形体50が第1成形体22を構成し、二次成形体60が第2成形体23を構成する。
【0045】
図6Aにおいて、まず、導電性ピン24を、軸部24aの先端部から金属膜層21b、支持フィルム21aの順で導電性フィルム21を貫通させる。なお、このとき導電性フィルム21にあらかじめ、導電性ピン貫通用の穴を設けていてもよい。
その後、第1金型100の固定型110のキャビティ111側の予め決められた位置に設けられたピン軸部収納用凹部112に軸部24aの先端部を挿入して、導電性ピン24を固定型110に位置決め固定する。
【0046】
次いで、図6Bに示すように、固定型110と可動型120とを型閉じするとともに、可動型120に設けられた吸引穴122を通じて外部から導電性フィルム21を吸引し、導電性フィルム21を吸着保持する。このとき、導電性ピン24の頭部24bの形状に応じて可動型120に設けられたピン頭部収納用凹部123に、頭部24bを嵌め込み位置合わせする。
次いで、図6Cに示すように、一次成形体50を構成する溶融樹脂を可動型120に設けられた射出ゲート121から射出して、当該溶融樹脂を固定型110のキャビティ111側と支持フィルム21aとの間に充填する。充填された溶融樹脂は、第1金型100内で冷却することにより固体化して一次成形体50となり、一次成形体50と導電性フィルム21とが一体化する。
【0047】
その後、吸引穴122からの吸引を停止すると共に、可動型120を移動させて型開きする。このとき、一次成形体50は固定型110側に残り、また、吸引穴122からの吸引を停止しているため、導電性フィルム21は可動型120から外れて一次成形体50側に移動する。
次いで、図6Dに示すように、固定型110に対して、第2金型200の可動型220を対向するように位置させる。第2金型200の可動型220には、二次成形体60を成形するためのキャビティ221が設けられている。
【0048】
次いで、図6Eに示すように、固定型110と可動型220とを型閉じしたのち、可動型220に設けられた射出ゲート222から二次成形体60を構成する溶融樹脂を射出して、当該溶融樹脂を可動型220のキャビティ221側と金属膜層21bとの間に充填する。充填された溶融樹脂は、第2金型200内で冷却することにより固体化して二次成形体60となり、一次成形体50及び導電性フィルム21と一体化する。その後、第2金型200を型開きする。これにより、導電性フィルム21の両面を一次成形体50と二次成形体60とで被覆したフリップカバー2が製造される。
【0049】
以上、本発明の第2実施形態にかかる二重成形インサート成形品によれば、導電性ピン24の軸部24aが導電性フィルム21と第1成形体22とを貫通して両者に保持されるとともに、軸部24aよりも軸方向に直交する断面積が大きい導電性ピン24の頭部24bの上部が第2成形体23に接しているので、外部からの衝撃や振動が加わったとしても導電性ピン24がどの方向にも動くことがない。また、その状態で頭部24bの下部が導電性フィルム21の金属膜層21bに接しているので、導電性ピン24と導電性フィルム21との電気的接続が安定化する。したがって、第1成形体22を貫通する軸部24bの先端部を回路シート10と接続することで、導電性ピン24を介して導電性フィルム21と回路シート10との電気的接続を安定化することができる。
【0050】
また、軸部24aの先端部を固定型110のピン軸部収納用凹部112に挿入した状態で一次成形体50を成形するので、軸部24aの先端部に溶融樹脂が回り込んで、当該先端部が一次成形体50に覆われる恐れがない。すなわち、より確実に、軸部24aの先端部を一次成形体50より突出して露出させることができ、導電性ピン24と回路シート10との電気的接続を安定化することができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0052】
《第2実施形態》
図7A〜図7Eは、本発明の第2実施形態にかかる二重成形インサート成形品(ここではフリップカバー2)の製造方法を示す図である。
図7A〜図7Eに示す製造方法は、一次成形体60Aを成形する一次成形用の第1金型100Aと二次成形体50Aを成形する二次成形用の第2金型200Aとを利用する。第1金型100Aは、可動型110Aと固定型120Aとで構成され、第2金型200Aは可動型210Aと固定型120Aとで構成され、共に開閉可能になっている。第1金型100A及び第2金型200Aに用いられる固定型120Aは共通型であり、それぞれの可動型110A,210Aが、共通の固定型120Aと組み合わされることにより第1金型100Aと第2金型200Aが構成される。なお、本第2実施形態においては、一次成形体60Aが第2成形体23を構成し、二次成形体50Aが第1成形体22を構成する。
【0053】
図7Aにおいて、まず、導電性ピン24を、軸部24aの先端部から金属膜層21b、支持フィルム21aの順で導電性フィルム21を貫通させる。
その後、第1金型100Aの可動型110Aの予め決められた位置に設けられた第1ピン軸部収納用凹部111Aに軸部24aの先端部を挿入して、導電性ピン24を可動型110Aに固定する。
【0054】
次いで、図7Bに示すように、可動型110Aと固定型120Aとを型閉じするとともに、可動型110Aに設けられた吸引穴112Aを通じて外部から導電性フィルム21を吸引し、導電性フィルム21を吸着保持する。
次いで、図7Cに示すように、一次成形体60Aを構成する溶融樹脂を固定型120Aに設けられた射出ゲート121Aから射出して、当該溶融樹脂を固定型120Aのキャビティ122A側と金属膜層21bとの間に充填する。充填された溶融樹脂は、第1金型100A内で冷却することにより固体化して一次成形体60Aとなり、一次成形体60Aと導電性フィルム21とが一体化する。
【0055】
その後、吸引穴112Aからの吸引を停止すると共に、可動型110Aを移動させて型開きする。このとき、一次成形体50Aは固定型120A側に残り、また、吸引穴112Aからの吸引を停止しているため、導電性フィルム21は可動型110Aから外れて一次成形体60A側に移動する。
【0056】
次いで、図7Dに示すように、固定型120Aに対して、第2金型200Aの可動型210Aを対向するように位置させる。第2金型200Aの可動型210Aには、一次成形体50Aを成形するためのキャビティ211Aと第2ピン軸部収納用凹部212Aが設けられている。
次いで、図7Eに示すように、導電性ピン24の軸部24aの先端部を第2ピン軸部収納用凹部212Aに挿入するように固定型120Aと可動型210Aとを型閉じしたのち、可動型210Aに設けられた射出ゲート213Aから二次成形体50Aを構成する溶融樹脂を射出して、当該溶融樹脂を可動型210Aのキャビティ211A側と支持フィルム21aとの間に充填する。充填された溶融樹脂は、第2金型200A内で冷却することにより固体化して二次成形体50Aとなり、一次成形体60A及び導電性フィルム21と一体化する。その後、第2金型200Aを型開きする。これにより、導電性フィルム21の両面を一次成形体60Aと二次成形体50Aとで被覆したフリップカバー2が製造される。
【0057】
本発明の第2実施形態によれば、第1金型100Aに導電性ピン24の頭部24bの形状に応じたピン頭部収納用凹部123を設ける必要が無いので、第1実施形態に比べて金型の製造が容易であり、汎用性が向上する。さらに、ピン頭部収納用凹部123と頭部24bとを位置合わせする負担を無くすることができる。
【0058】
《第3実施形態》
図8A〜図8Eは、本発明の第3実施形態にかかる二重成形インサート成形品(ここではフリップカバー2)の製造方法を示す図である。
図8A〜図8Eに示す製造方法は、一次成形体50Bを成形する一次成形用の第1金型100Bと二次成形体60Bを成形する二次成形用の第2金型200Bとを利用する。第1金型100Bは、可動型110B,120Bとで構成され、第2金型200Bは可動型210B,220Bとで構成され、共に開閉可能になっている。なお、本第3実施形態においては、一次成形体50Bが第1成形体22を構成し、二次成形体60Bが第2成形体23を構成する。
【0059】
図8Aにおいて、まず、可動型110Bのキャビティ111B側に導電性フィルム21の支持フィルム21aが露出するように、導電性フィルム21を第1金型100B内に配置する。
【0060】
次いで、図8Bに示すように、可動型110B,120Bを型閉じし、可動型120Bに設けられた導電性フィルム収納用凹部121Bに導電性フィルム21を収納するとともに、可動型120Bに設けられた吸引穴122Bを通じて外部から導電性フィルム21を吸引し、導電性フィルム21を吸着保持する。このとき、導電性フィルム21を導電性フィルム収納用凹部121Bに収納することで、導電性フィルム21が位置ずれを起こさないように吸着保持される。
【0061】
この状態で、一次成形体50Bを構成する溶融樹脂を可動型110Bに設けられた射出ゲート112Bから射出して、当該溶融樹脂を可動型110Bのキャビティ111B側と支持フィルム21aとの間に充填する。充填された溶融樹脂は、第1金型100B内で冷却することにより固体化して一次成形体50Bとなり、一次成形体50Bと導電性フィルム21とが一体化する。
【0062】
その後、吸引穴122Bからの吸引を停止すると共に、可動型110B,120Bを移動させて型開きする。このとき、吸引穴122からの吸引を停止しているため、導電性フィルム21は可動型110B,120Bから外れる。
次いで、図8Cに示すように第2金型200Bの可動型210Bと可動型220Bとの間に前記一体化された一次成形体50Bと導電性フィルム21とを配置するとともに、導電性ピン24を、軸部24aの先端部から金属膜層21b、支持フィルム21a、一次成形体50Bの順に貫通させる。これにより、導電性ピン24の軸部24aの先端部を、一次成形体50Bから外部に露出するように突出させる。このとき、導電性ピン24は、ネジ状に形成して、導電性フィルム21及び一次成形体50Bにネジ込んで、それらを貫通するようにしてもよい。また、導電性ピン24の軸部24aが導電性フィルム21及び一次成形体50Bを貫通する穴を、導電性ピン24の挿入前にあらかじめ設けるために、可動型120Bに軸部24aと同様の形状の突出部を設けてもよい。
この後、図8Dに示すように、当該軸部24aの先端部を可動型210Bの予め決められた位置に設けられたピン軸部収納用凹部212Bに挿入して、導電性ピン24を可動型210Bに固定したのち、可動型210B,220Bを型閉じする。第2金型200Bの可動型220Bには、二次成形体60Bを成形するためのキャビティ221Bが設けられている。
【0063】
次いで、図8Eに示すように、二次成形体60Bを構成する溶融樹脂を可動型220Bに設けられた射出ゲート222Bから射出して、当該溶融樹脂を可動型220Bのキャビティ221B側と金属膜層21bとの間に充填する。充填された溶融樹脂は、第1金型100内で冷却することにより固体化して二次成形体60Bとなり、二次成形体60Bと導電性フィルム21とが一体化する。その後、第2金型200Bを型開きする。これにより、導電性フィルム21の両面を一次成形体50Bと二次成形体60Bとで被覆したフリップカバー2が製造される。
【0064】
本発明の第3実施形態によれば、第1金型100Bに導電性ピン24の頭部24bの形状に応じたピン頭部収納用凹部123を設ける必要が無いので、第1実施形態に比べて金型の製造が容易であり、汎用性が向上する。さらに、ピン頭部収納用凹部123と頭部24bとを位置合わせする負担を無くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明にかかる二重成形インサート成形品は、両面に第1形成体と第2形成体が形成された導電性フィルムと外部回路との電気的接続を安定化することができるので、例えば、携帯電話やパソコンのフリップカバーなどとして用いられる二重成形インサート成形品に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1A】本発明の第1実施形態にかかる二重成形インサート成形品をフリップカバーとして用いた電子機器において、フリップカバーが開いた状態の外観構成を示す斜視図である。
【図1B】図1Aの電子機器において、フリップカバーが閉じた状態の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1Aの電子機器に用いられているフリップカバーの外観構成を示す斜視図である。
【図3】図2のX−X断面図である。
【図4A】導電性ピンの好ましい配置例を示す模式断面図である。
【図4B】図4Aとは別の導電性ピンの好ましい配置例を示す模式断面図である。
【図5A】導電性ピンの軸部の好ましい形状例を示す模式断面図である。
【図5B】図5Aとは別の導電性ピンの軸部の好ましい形状例を示す模式断面図である。
【図6A】本発明の第1実施形態にかかる二重成形インサート成形品を製造する工程を示す模式図である。
【図6B】図6Aに続く工程を示す図である。
【図6C】図6Bに続く工程を示す図である。
【図6D】図6Cに続く工程を示す図である。
【図6E】図6Dに続く工程を示す図である。
【図7A】本発明の第2実施形態にかかる二重成形インサート成形品を製造する工程を示す模式図である。
【図7B】図7Aに続く工程を示す図である。
【図7C】図7Bに続く工程を示す図である。
【図7D】図7Cに続く工程を示す図である。
【図7E】図7Dに続く工程を示す図である。
【図8A】本発明の第3実施形態にかかる二重成形インサート成形品を製造する工程を示す模式図である。
【図8B】図8Aに続く工程を示す図である。
【図8C】図8Bに続く工程を示す図である。
【図8D】図8Cに続く工程を示す図である。
【図8E】図8Dに続く工程を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 電子機器
2 フリップカバー
3 本体
4 ヒンジ部
5 ディスプレイ
6 操作ボタン
10 回路シート
11 導電性接着剤
21 導電性フィルム
21a 支持フィルム
21b 金属膜層
22 第1成形体
23 第2成形体
24 導電性ピン
24a 軸部
24b 頭部
50,60A,50B 一次成形体
60,50A,60B 二次成形体
100,100A,100B 第1金型
200,200A,200B 第2金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フィルムの表面に導電膜層が設けられた導電性フィルムの両面に第1成形体と第2成形体とが形成された二重成形インサート成形品であって、
頭部が軸部よりも軸方向と直交する断面積が大きい導電性ピンの前記軸部が前記導電性フィルムと前記第1成形体とを貫通して外部に露出する状態で両者に保持され、前記軸部に隣接する前記頭部の下部が前記導電膜層に接し、前記下部に隣接する前記頭部の上部が前記第2成形体に接するように設けられた、二重成形インサート成形品。
【請求項2】
前記軸部の先端部は、前記第1成形体より突出して外部に露出している、請求項1に記載の二重成形インサート成形品。
【請求項3】
前記頭部の前記上部に鋭角な部分が無い、請求項1又は2に記載の二重成形インサート成形品。
【請求項4】
前記頭部の前記上部は略半球状である、請求項1又は2に記載の二重成形インサート成形品。
【請求項5】
前記頭部の前記上部は略平坦である、請求項1又は2に記載の二重成形インサート成形品。
【請求項6】
前記導電性ピンの前記軸部は、前記第1成形体を貫通して保持される部分に前記第1成形体が嵌合する抜け止め用溝又は突起を備えている、請求項1〜5のいずれか1つに記載の二重成形インサート成形品。
【請求項7】
開閉可能に構成され、一次成形体を成形する一次成形用金型及び二次成形体を成形する二次成形用金型を用いて、支持フィルムの表面に導電膜層が設けられた導電性フィルムをキャビティ内に配置した状態で溶融樹脂を射出することによって、前記導電性フィルムが一次成形体と二次成形体とで被覆された二重成形インサート成形品を製造する方法であって、
頭部が軸部よりも軸方向と直交する断面積が大きい導電性ピンの前記頭部が前記導電膜層に接触するように前記導電性フィルムを貫通させたのち、前記一次成形用金型のキャビティ側の所定位置に設けられたピン軸部収納用凹部に前記軸部の先端部を挿入し、
前記一次成形用金型を型閉じして前記一次成形体を構成する溶融樹脂を、前記一次成形用金型のキャビティ側と前記支持フィルムとの間に射出して、前記一次成形体と前記導電性フィルムを一体化したのち前記一次成形用金型を型開きし、
前記一体化された前記一次成形体と前記導電性フィルムとを、前記二次成形用金型のキャビティ側に前記導電性フィルムが露出するように前記二次成形用金型内に配置し、
前記二次成形用金型を型閉じして前記二次成形体を構成する溶融樹脂を射出して、前記導電性フィルムを前記一次成形体と前記二次成形体とで被覆する、
二重成形インサート成形品の製造方法。
【請求項8】
開閉可能に構成され、一次成形体を成形する一次成形用金型及び二次成形体を成形する二次成形用金型を用いて、支持フィルムの表面に導電膜層が設けられた導電性フィルムをキャビティ内に配置した状態で溶融樹脂を射出することによって、前記導電性フィルムが一次成形体と二次成形体とで被覆された二重成形インサート成形品を製造する方法であって、
頭部が軸部よりも軸方向と直交する断面積が大きい導電性ピンの前記頭部が前記導電膜層に接触するように前記導電性フィルムを貫通させたのち、前記一次成形用金型のキャビティ側の所定位置に設けられた第1ピン軸部収納用凹部に前記軸部の先端部を挿入し、
前記一次成形用金型を型閉じして前記一次成形体を構成する溶融樹脂を、前記一次成形用金型のキャビティ側と前記導電膜層との間に射出して、前記一次成形体と前記導電性フィルムを一体化したのち前記一次成形用金型を型開きし、
前記一体化された前記一次成形体と前記導電性フィルムとを、前記二次成形用金型のキャビティ側に前記導電性フィルムが露出するように前記二次成形用金型内に配置するとともに、前記二次成形用金型のキャビティ側の所定位置に設けられた第2ピン軸部収納用凹部に前記軸部の先端部を挿入し、
前記二次成形用金型を型閉じして前記二次成形体を構成する溶融樹脂を、前記二次成形用金型のキャビティ側と前記支持フィルムとの間に射出して、前記導電性フィルムを前記一次成形体と前記二次成形体とで被覆する、
二重成形インサート成形品の製造方法。
【請求項9】
開閉可能に構成され、一次成形体を成形する一次成形用金型及び二次成形体を成形する二次成形用金型を用いて、支持フィルムの表面に導電膜層が設けられた導電性フィルムをキャビティ内に配置した状態で溶融樹脂を射出することによって、前記導電性フィルムが一次成形体と二次成形体とで被覆された二重成形インサート成形品を製造する方法であって、
前記一次成形用金型のキャビティ側に前記導電性フィルムの前記支持フィルムが露出するように前記導電性フィルムを配置し、
前記一次成形用金型を型閉じして前記一次成形体を構成する溶融樹脂を、前記一次成形用金型のキャビティ側と前記支持フィルムとの間に射出して、前記一次成形体と前記導電性フィルムを一体化したのち前記一次成形用金型を型開きし、
頭部が軸部よりも軸方向と直交する断面積が大きい導電性ピンの前記頭部が前記導電膜層に接触するように、前記一体化された前記導電性フィルムと前記一次成形体とを貫通させたのち、前記二次成形用金型のキャビティ側の所定位置に設けられたピン軸部収納用凹部に前記軸部の先端部を挿入し、
前記二次成形用金型を型閉じして前記二次成形体を構成する溶融樹脂を、前記二次成形用金型のキャビティ側と前記導電膜層との間に射出して、前記導電性フィルムを前記一次成形体と前記二次成形体とで被覆する、
二重成形インサート成形品の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【公開番号】特開2009−66916(P2009−66916A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237884(P2007−237884)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】