説明

交通制御システム及び交通制御サーバ

【課題】各料金所間の震度の比較を行い通行車両に対して適切な避難誘導を行う交通制御システム及び交通制御サーバを提供する。
【解決手段】地震発生時に所定の震度以上と判定した場合に地震速報通知サーバ1が発する震度等の地震情報を含む緊急信号を受信することにより交通制御サーバ3は、震度等により各料金所の緊急度を算出する。そして、当該料金所と、その当該料金所を基準として通行車両の通行方向下流にあり最も当該料金所に近い料金所(次料金所)との緊急度を比較する。また、当該料金所が有料道路等の本線に設置された本線料金所、入口料金所であるかの判定を行う。この判定及び先述の緊急度の比較により大規模地震発生時において通行車両をより安全性の高い料金所へ避難誘導することで、より利用者にとって適切な交通制御システム及び交通制御サーバを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通制御システム及び交通制御サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の有料道路等の交通制御システムは、料金所を含む所定のエリア内に設置された地震計が、予め設定した以上の震度を検出した場合、料金所を通過しようとする車双方向の通行を信号機などにより規制し、料金収受に関する料金所と通行車両との間の情報の授受を一時的に停止するものである。すなわち、各料金所間の地震の震度、地震の規模(マグニチュード)等を比較考量せず通行車両の交通規制を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−323364号公報(第19頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、実際には各料金所間において震度は異なる。そのため、各料金所間での震度等を比較することなく、通行車両を一料金所内に留まらせるような交通規制を行っていては利用者にとって適切とはいえない場合もあり得る。
【0004】
そこで本発明は、各料金所間の震度等の比較を行い、より通行車両に対して適切な避難誘導を行うことができる交通制御システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の交通制御システムは、ネットワーク上に地震速報通知サーバ及び有料道路に設置された料金所での通行車両の交通制御をする車線制御装置へ交通制御指示を送信する交通制御サーバを有する交通制御システムであって、前記地震速報通知サーバは、各地に設置された複数の地震計の情報を基に各地の震度を通知する通知手段から少なくとも震度情報を含む地震発生情報を受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段によって受信した前記地震発生情報の震度情報に基づき、有料道路に設置された料金所の震度が所定の震度以上であるかを判定する震度判定手段と、前記震度判定手段によって所定の震度以上であると判定されたとき、前記地震発生情報を前記交通制御サーバへ緊急信号として送信する第1の送信手段と、を有し、前記交通制御サーバは、前記地震速報通知サーバから送信された前記緊急信号を受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段によって受信された前記緊急信号に含まれる情報のうち少なくとも震度情報に基づいて緊急度を算定する算定手段と、前記第2の受信手段によって前記緊急信号が受信されたとき、地震発生地域の有料道路に設置された第1の料金所が有料道路の本線に設置された本線料金所であるかを予め記憶されたデータに基づき判定する第1の判定手段と、前記第1の判定手段によって第1の料金所が本線料金所でないと判定されたとき、前記第1の料金所が有料道路等の入り口に設置された入口料金所或いは有料道路等の出口に設置された出口料金所であるかを予め記憶されたデータに基づき判定する第2の判定手段と、前記第1の判定手段によって前記第1の料金所が本線料金所であると判定されたとき、前記第1の料金所と次料金所である第2の料金所との間での前記算定手段によって算定された緊急度を比較判定する比較判定手段と、前記比較判定手段による緊急度の比較判定結果に基づいて交通制御指示を前記車線制御装置へ送信する第1の交通制御指示手段と、前記第2の判定手段によって前記第1の料金所が入口料金所であると判定されたとき通行車両の進入を禁止する交通制御指示を前記車線制御装置へ送信する第2の交通制御指示手段と、前記第2の判定手段によって前記第1の料金所が出口料金所であると判定されたとき通行車両の一般道路への進入を許可する交通制御指示を前記車線制御装置へ送信する第3の交通制御指示手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の請求項6記載の交通制御サーバは、緊急信号を受信する受信手段と、前記第1の受信手段によって受信された前記緊急信号に含まれる情報のうち少なくとも震度情報に基づいて緊急度を算定する算定手段と、前記第1の受信手段によって前記緊急信号が受信されたとき、地震発生地域の有料道路に設置された第1の料金所が有料道路の本線に設置された本線料金所であるかを予め記憶されたデータに基づき判定する第1の判定手段と、前記第1の判定手段によって第1の料金所が本線料金所でないと判定されたとき、前記第1の料金所が有料道路等の入り口に設置された入口料金所或いは有料道路等の出口に設置された出口料金所であるかを予め記憶されたデータに基づき判定する第2の判定手段と、前記第1の判定手段によって前記第1の料金所が本線料金所であると判定されたとき、前記第1の料金所と次料金所である第2の料金所との間での前記算定手段によって算定された緊急度を比較判定する比較判定手段と、前記比較判定手段による緊急度の比較判定結果に基づいて交通制御指示を料金所での通行車両の交通制御をする車線制御装置へ送信する第1の交通制御指示手段と、前記第2の判定手段によって前記第1の料金所が入口料金所であると判定されたとき通行車両の進入を禁止する交通制御指示を前記車線制御装置へ送信する第2の交通制御指示手段と、前記第2の判定手段によって前記第1の料金所が出口料金所であると判定されたとき通行車両の一般道路への進入を許可する交通制御指示を前記車線制御装置へ送信する第3の交通制御指示手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、利用者にとってより適切な避難誘導を行うことのできる交通制御システム及び交通制御サーバを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の一実施の形態である交通制御システム100の構成を概略的に示す概略構成図である。
【0010】
交通制御システム100は、地震速報通知サーバ1、交通制御サーバ3、各車線に設置された複数の車線制御装置12がネットワーク2を介して通信可能に構成されている。
【0011】
地震計11は全国各地に設置されており設置場所での震度等を計測する。計測された震度等の情報は、地震計サーバ4(通知手段)に通知され配信される。地震速報通知サーバ1は、地震計サーバ4から配信された震度等の情報を受信し、当該交通制御システム100で使用する地震発生情報のフォーマットに変換し、ネットワーク2を介して交通制御サーバ3に通知するものである。なお、地震発生情報は、国土交通省が提供する地震計ネットワークの情報を本交通制御システムで使用可能なフォーマットに変換し使用しても良い。
【0012】
交通制御サーバ3は、詳細は後述するが地震速報通知サーバ1から通知された緊急信号から各地域の震度を抽出し、所定の震度以上の場合、各料金所の各車線上の通行車両の制御を統括する複数の車線制御装置12に指示を与え、各車線毎に設置されている路側機器10を制御して地震発生後の通行車両の避難誘導を行う。
【0013】
車線制御装置12は、交通制御サーバ3からの指示を受けて複数の料金所の各車線に設置される各路側機器10を制御し、加えて無線部55のETCアンテナ7を介してETC車両に対してETC処理を行う。
【0014】
路側機器10は、例えば、各車線の路側部に設置され通行車両に対して表示により通行許可指示或いは通行禁止指示を与える路側表示装置8(信号機等も含む)及び各車線の路側部に設置されて通行車両を制御棒やゲート等を用い通行車両の発進制御を行う発進制御装置9等を指すものである。
【0015】
ここで地震発生情報の一例を図2に示す。地震発生情報は、地震発生時刻、地震発生地域、各地域における震度等から構成される。
【0016】
例えば、2008年11月20日11時20分頃宮城県沖で発生した地震に関して地域Aで測定された震度が5強、地域Bで測定された震度が6強、地域Cで測定された震度が5弱の場合を図2は示している。
【0017】
図3は、車線制御装置12の構成を示すブロック図である。車線制御装置12は、入出力インタフェース部51、車線ETC処理部52、路側機器制御部53、通信制御部54、無線部55、セキュリティ処理部56、故障診断部57及びETCアンテナ7等から構成される。
【0018】
入出力インタフェース部51は、交通制御サーバ3及び各路側機器10等と入出力を行う。また、外部機器との接続の為にも用いられる。車線ETC処理部52は、ETCチェック処理等のETC処理を行う。
【0019】
路側機器制御部53は、料金所の各レーンへ進入した車両に対して各路側機器10の制御を行う。
【0020】
ETCアンテナ7は、5.8Ghz帯の電波を使用して車載器との間で無線通信を行う。
【0021】
セキュリティ処理部56は、鍵データを受信してデータの暗号化又は復号化と認証を行う。故障診断部57は、車線制御装置12各部が正常に動作しているか否か及び各路側機器10が正常に動作しているか否かの診断を行う。
【0022】
図4は、路側表示装置8の構成を示すブロック図である。
【0023】
路側表示装置8は、制御処理部301、ヒューマンマシンインターフェース部302、通信制御部303、表示部304、故障診断部305等から構成され、料金所の各レーンに進入した通行車両に対し、通行許可指示又は通行禁止指示の表示を行う。
【0024】
制御処理部301は、表示部304に通行許可指示、又は通行禁止指示の表示制御を行い、また、ヒューマンマシンインターフェース部302は、手動により表示部304の表示制御を行うものである。
【0025】
通信制御部303は、車線制御装置12からの制御指示を受信し制御処理部301へ指示結果を出力するとともに、各部の状態監視結果を出力する。また、304は通行許可指示の表示又は通行禁止指示の表示をする表示部である。なお、故障診断部305は、路側表示装置8が正常に動作しているか否かの診断を行う。
【0026】
図5は、発進制御装置9の構成を示すブロック図である。
【0027】
発信制御装置9は、制御処理部201、故障診断部202、駆動部203、ヒューマンマシンインターフェース部204、通信制御部205等から構成され、料金所の各レーンに進入した車両に対し、駆動部203により通行許可指示又は通行禁止指示を行う。
【0028】
制御処理部201は交通制御サーバ3からの指示を受け駆動部203への制御指示を行う。故障診断部202は発信制御装置9が正常に作動しているか否かの診断を行う。
【0029】
また、駆動部203は例えばゲートなどを開放制御或いは閉鎖制御を行うことにより、車両に対して通行許可指示及び通行禁止指示を行う。通行許可の場合、ゲートを開放制御することにより通行車両に対して通行許可指示をし、ゲートを閉鎖制御することにより通行車両に対して通行禁止指示を行う。
【0030】
ヒューマンマシンインターフェース部204は例えば操作員の手動により駆動部203であるゲートの開放制御或いは閉鎖制御を可能とするものである。
【0031】
通信制御部205は、車線制御装置12からの制御指示を受信し、制御処理部201へ指示結果を出力するとともに各部の状態監視結果を出力する。
【0032】
図6は、地震速報通知サーバ1の構成を示すブロック図である。
【0033】
地震速報通知サーバ1は、コンピュータシステムであり、通信制御部141、処理部142、データベース143等から構成される。
【0034】
通信制御部141は、ネットワーク2を介した通信の制御を行っている。また、地震計サーバ4から通信回線を介して地震発生情報を受信すると(第1の受信手段)、処理部142に送信する。
【0035】
処理部142は、受信した地震発生情報のうち震度情報が予め定めておいた震度(例えば、震度5弱以上)よりも大きい場合には当該地震は大規模地震であると判定し(震度判定手段)、地震発生地域及び各地域における震度情報を緊急信号として通信制御部141に供給し送信する(第1の送信手段)。
【0036】
データベース143には緊急信号の通知先等の各種のデータが記憶されている。
【0037】
ここで図7は、緊急信号のデータ構成の一例を示す概念図である。例えば地域Aでの震度は5強、地域Bでの震度は6強、地域Cでの震度は5弱である場合を図7は示している。
【0038】
図8は、交通制御サーバ3の構成を示すブロック図である。
【0039】
交通制御サーバ3は、コンピュータシステムから構成されており、通信制御部161、処理部163及びデータベース170等から構成される。
【0040】
通信制御部161は、ネットワーク2を通じた通信の制御行っており、地震速報通知サーバ1から通知された緊急信号を受信し(第2の受信手段)、処理部163に送信する。
【0041】
処理部163は、受信した緊急信号を元に緊急度を算定し(算定手段)、この算定された緊急度に基づいて車線制御装置12に対して第1の交通制御指示手段、第2の交通制御指示手段及び第3の交通制御指示手段からなる交通制御を行う。
【0042】
また、このデータベース170には図9に示す各地震発生地域と各料金所を関連付けた情報が記憶されている。加えて、各料金所の種別、その他種々のデータが記憶されている。各料金所の種別とは、当該料金所が、入口料金所、出口料金所或いは本線料金所の何れかであるか否かの情報である。
【0043】
ここでは、地域Aでの震度が5強であり、地域Aに本線料金所である料金所Aが関連付けられており、同様に地域Bでの震度が6強であり、地域Bに入口料金所である料金所Bが、地域Cでの震度が5弱であり、地域Cに出口料金所である料金所Cが関連付けられている。この関連付けは、地域A内に料金所Aが、地域B内に料金所Bが、地域C内に料金所Cが存在するため、以上の様に行われる。
【0044】
図10は入口料金所、出口料金所、本線料金所を概略的に表した図である。図10に示すように有料道路の本線に設置された料金所を本線料金所400、有料道路への入口の役割を果たす料金所のことを入口料金所401、有料道路の出口の役割を果たす料金所のことを出口料金所402という。
【0045】
図11は、図1の交通制御システム100の地震速報通知サーバ1の動作を示すフローチャートである。
【0046】
地震速報通知サーバ1は、通信制御部141を介し、各地に設置された地震計11により測定された地震発生情報を地震計サーバ4により交通制御システム100で処理することができるフォーマットに変換された地震発生情報を受信する(S1)(第1の受信手段)と、処理部142によってその地震発生情報から地震計11の設置された各地の震度データを抽出し、抽出された震度が所定の震度以上(震度5弱)か否かを判定する(S2、S3)(震度判定手段)。例えば、緊急を有する請求項1記載の所定の震度は上述の通り震度5弱とする。
【0047】
この判定の結果、震度が所定の震度以上であると判定された場合のみ(S3のYes)、地震速報通知サーバ1は通信制御部141より交通制御サーバ3へ地震発生情報を緊急信号として送信する(S4)(第1の送信手段)。
【0048】
図12は、図1の交通制御システム100の交通制御サーバ3の動作を示すフローチャートである。
【0049】
交通制御サーバ3は、地震速報通知サーバ1から送信された緊急信号を受信し(S100)(第2の受信手段)、この緊急信号及びデータベース170を参照することにより各料金所毎に緊急度を決定する(S101)(算定手段)。緊急度の決定方法については後述する。
【0050】
また、交通制御サーバ3は車線制御装置12へETC処理中止の指示を与えることによりETCアンテナ7とETC車との間のETC処理を中止させる(S102)。
【0051】
続いて、料金所(第1の料金所)がデータベース170に記憶された各料金所の料金所種別に基づいて有料道路の本線に設置された本線料金所であるかが判定される(S103)(第1の判定手段)。
【0052】
S103における判定の結果、料金所(第1の料金所)が本線料金所であると判定されたとき(S103のYes)、各料金所の緊急度を用いて料金所(第1の料金所)の緊急度が次料金所(第2の料金所)の緊急度より高いかが判定される(S104)(比較判定手段)。
【0053】
この比較判定の結果、料金所(第1の料金所)の緊急度が次料金所(第2の料金所)の緊急度以上と判定された場合(S104のYes)、交通制御サーバ3は発進制御装置9のゲートを開放制御する指示及び路側表示装置8の表示部304へ通行許可指示を表示する指示を車線制御装置12に送信する(S105)(第1の交通制御指示手段)。
【0054】
また、料金所(第1の料金所)の緊急度が次料金所(第2の料金所)の緊急度未満と判定された場合(S104のNo)、交通制御サーバ3は発信制御装置9のゲートを閉鎖制御する指示及び路側表示装置8の表示部304へ通行禁止指示を表示する指示を車線制御装置12に送信する(S106)(第1の交通制御指示手段)。
【0055】
一方、S103における判定の結果、料金所(第1の料金所)が本線料金所でないと判定された場合(S103のNo)、続いて料金所(第1の料金所)が入口料金所か否かが判定される(S107)。
【0056】
S107における判定の結果、料金所(第1の料金所)が入口料金所であると判定されると(S107の入口)、交通制御サーバ3は発進制御装置9のゲートを閉鎖制御する指示及び路側表示装置8の表示部304へ通行禁止指示を表示する指示を車線制御装置12に送信する(S108)(第2の交通制御指示手段)。また、料金所(第1の料金所)が出口料金所であると判定されると(S107の出口)、交通制御サーバ3は発信制御装置9のゲートを開放制御する指示及び路側表示装置8の表示部304へ通行許可指示を表示する指示を車線制御装置12に送信する(S109)(第3の交通制御指示手段)。
【0057】
続いて、以上の交通制御サーバ3の各交通制御指示に基づいてなされる路側機器10による交通制御を説明する。
【0058】
S105における交通制御サーバ3の車線制御装置12への指示に基づいて料金所(第1の料金所)(本線料金所)の各車線に設置された発信制御装置9はゲートの開放制御を行うとともに、路側表示装置8は表示部304に通行許可指示の表示を行う。
【0059】
また、S106における交通制御サーバ3の車線制御装置12へ指示に基づいて料金所(第1の料金所)(本線料金所)の各車線に設置された発信制御装置9はゲートの閉鎖制御を行うとともに、路側表示装置8は表示部304に通行禁止指示の表示を行う(第1の交通制御手段)。
【0060】
S108における交通制御サーバ3の車線制御装置12への指示に基づいて料金所(第1の料金所)(入口料金所)の各車線に設置された発信制御装置9はゲートの閉鎖制御を行うとともに、路側表示装置8は表示部304に通行禁止指示の表示を行う(第2の交通制御手段)。
【0061】
また、S109における交通制御サーバ3の車線制御装置12への指示に基づいて料金所(第1の料金所)(出口料金所)の各車線に設置された発信制御装置9はゲートの開放制御を行うとともに、路側表示装置8は表示部304に通行許可指示の表示を行う(第3の交通制御手段)。
【0062】
図13は、緊急度を、地震発生地域、料金所及び震度の情報と共に現したデータ構成の一例を示す概念図である。
【0063】
地域Aで震度5強、地域Bで震度6強、地域Cで震度5弱であり、地域Aと関連付けられたA料金所の緊急度2、地域Bと関連付けられた料金所の緊急度3、地域Cと関連付けられたC料金所の緊急度1である。ここで緊急度は例えば次の様に決定する。緊急度は緊急度の高い順に3段階で1,2,3とする。緊急度の決定方法は、震度に応じて定め、その震度が7或いは6強のとき緊急度は3、震度が6弱或いは5強のとき緊急度は2、震度が5弱のとき緊急度は1とする。ここでは説明の簡単のため、震度によってのみ緊急度を定めたが、料金所が設置されたエリアの岩盤の強度、気象条件、天候、付近の道路の劣化状況、竣工時期等によって定めても良い。
【0064】
以上の交通制御を行うことにより交通制御システム100は一定規模以上の地震発生時において地震計サーバ4から受信した地震発生情報に基づき、緊急度を算定し、料金所が本線料金所である場合には、その料金所(第1の料金所)と次料金所(第2の料金所)の緊急度を比較し、第1の料金所における緊急度が第2の料金所における緊急度よりも高い場合には、第2の料金所の方へ通行車両を誘導する交通制御をし、第1の料金所における緊急度が第2の料金所における緊急度よりも低い場合には第1の料金所に通行車両を留めておく制御を行う。
【0065】
また、料金所が入口料金所である場合には、通行車両を有料道路へ進入させないよう交通制御を行い、料金所が出口料金所である場合には、通行車両を有料道路から一般道路へ誘導する交通制御を行う。
【0066】
以上の交通制御を交通制御システムが行うことよって通行車両に対してより適切な交通制御を行うことができる。
【0067】
また、上述の実施の形態は有料道路等の交通制御システムとして表現されているが、本発明は所定のデータに基づいて緊急度を算出し、その緊急度に基づいて避難誘導する制御システム一般に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施の形態に係る交通制御システムの構成を概略的に示す概略構成図。
【図2】地震発生情報のデータ構成の一例を示す構成図。
【図3】車線制御装置12の構成を示すブロック図。
【図4】路側表示装置8の構成を示すブロック図。
【図5】発進制御装置9の構成を示すブロック図。
【図6】地震速報通知サーバ1の構成を示すブロック図。
【図7】緊急信号のデータ構成の一例を示す概念図。
【図8】交通制御サーバ3の構成を示すブロック図。
【図9】データベース170のデータ構成の一例を示す概念図。
【図10】有料道路又は高速道路に設置された入口料金所、出口料金所、本線料金所等を示した概略図。
【図11】図1の交通制御システムの地震速報通知サーバ1の動作を示すフローチャート。
【図12】本発明の一実施の形態にかかる交通制御サーバ3の動作を示すフローチャート。
【図13】緊急度を、測定場所、料金所及び震度の情報と共に現したデータ構成の一例を示す概念図。
【符号の説明】
【0069】
1 地震速報通知サーバ
2 ネットワーク
3 交通制御サーバ
4 地震計サーバ
5 車線制御装置
7 路側表示装置
8 ETCアンテナ
9 発信制御装置
10 路側機器
11 地震計
12 車線制御装置
52 車線ETC処理部
53 路側機器制御部
54 通信制御部
141 通信制御部
142 処理部
143 データベース
161 通信制御部
163 処理部
170 データベース
201 情報処理部
202 故障診断部
203 駆動部
204 ヒューマンインタフェース部
205 入力インタフェース部
301 制御処理部
302 ヒューマンインタフェース部
303 通信制御部
304 表示部
305 故障診断部
400 本線料金所
401 入口料金所
402 出口料金所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上に地震速報通知サーバ及び有料道路に設置された料金所での通行車両の交通制御をする車線制御装置へ交通制御指示を送信する交通制御サーバを有する交通制御システムであって、
前記地震速報通知サーバは、
各地に設置された複数の地震計の情報を基に各地の震度を通知する通知手段から少なくとも震度情報を含む地震発生情報を受信する第1の受信手段と、
前記第1の受信手段によって受信した前記地震発生情報の震度情報に基づき、有料道路に設置された料金所の震度が所定の震度以上であるかを判定する震度判定手段と、
前記震度判定手段によって所定の震度以上であると判定されたとき、前記地震発生情報を前記交通制御サーバへ緊急信号として送信する第1の送信手段と、
を有し、
前記交通制御サーバは、
前記地震速報通知サーバから送信された前記緊急信号を受信する第2の受信手段と、
前記第2の受信手段によって受信された前記緊急信号に含まれる情報のうち少なくとも震度情報に基づいて緊急度を算定する算定手段と、
前記第2の受信手段によって前記緊急信号が受信されたとき、地震発生地域の有料道路に設置された第1の料金所が有料道路の本線に設置された本線料金所であるかを予め記憶されたデータに基づき判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段によって第1の料金所が本線料金所でないと判定されたとき、前記第1の料金所が有料道路等の入り口に設置された入口料金所或いは有料道路等の出口に設置された出口料金所であるかを予め記憶されたデータに基づき判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段によって前記第1の料金所が本線料金所であると判定されたとき、前記第1の料金所と次料金所である第2の料金所との間での前記算定手段によって算定された緊急度を比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段による緊急度の比較判定結果に基づいて交通制御指示を前記車線制御装置へ送信する第1の交通制御指示手段と、
前記第2の判定手段によって前記第1の料金所が入口料金所であると判定されたとき通行車両の進入を禁止する交通制御指示を前記車線制御装置へ送信する第2の交通制御指示手段と、
前記第2の判定手段によって前記第1の料金所が出口料金所であると判定されたとき通行車両の一般道路への進入を許可する交通制御指示を前記車線制御装置へ送信する第3の交通制御指示手段と、
を有することを特徴とする交通制御システム。
【請求項2】
前記車線制御装置は、
前記第1の交通制御指示手段による交通制御指示に基づき、前記比較判定手段によって前記第1の料金所における緊急度が前記第2の料金所における緊急度以上と判定されたとき通行車両の前記第1の料金所の通過を許可し、前記比較判定手段によって前記第1の料金所における緊急度が前記第2の料金所における緊急度未満と判定されたとき通行車両の前記第1の料金所の通過を禁止する交通制御を行う第1の交通制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の交通制御システム。
【請求項3】
前記車線制御装置は、
前記第2の交通制御指示手段による交通制御指示に基づき、通行車両の進入を禁止する第2の交通制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の交通制御システム。
【請求項4】
前記車線制御装置は、
前記第3の交通制御指示手段による交通制御指示に基づき、通行車両の一般道路への進入を許可する第3の交通制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の交通制御システム。
【請求項5】
前記車線制御装置は、
前記第1の交通制御指示手段による交通制御指示に基づき、前記比較判定手段によって前記第1の料金所における緊急度が前記第2の料金所における緊急度以上と判定されたとき通行車両の前記第1の料金所の通過を許可し、前記比較判定手段によって前記第1の料金所における緊急度が前記第2の料金所における緊急度未満と判定されたとき通行車両の前記第1の料金所の通過を禁止する交通制御を行う第1の交通制御手段と、
前記第2の交通制御指示手段による交通制御指示に基づき、通行車両の進入を禁止する第2の交通制御手段と、
前記第3の交通制御指示手段による交通制御指示に基づき、通行車両の一般道路への進入を許可する第3の交通制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の交通制御システム。
【請求項6】
緊急信号を受信する受信手段と、
前記第1の受信手段によって受信された前記緊急信号に含まれる情報のうち少なくとも震度情報に基づいて緊急度を算定する算定手段と、
前記第1の受信手段によって前記緊急信号が受信されたとき、地震発生地域の有料道路に設置された第1の料金所が有料道路の本線に設置された本線料金所であるかを予め記憶されたデータに基づき判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段によって第1の料金所が本線料金所でないと判定されたとき、前記第1の料金所が有料道路等の入り口に設置された入口料金所或いは有料道路等の出口に設置された出口料金所であるかを予め記憶されたデータに基づき判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段によって前記第1の料金所が本線料金所であると判定されたとき、前記第1の料金所と次料金所である第2の料金所との間での前記算定手段によって算定された緊急度を比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段による緊急度の比較判定結果に基づいて交通制御指示を料金所での通行車両の交通制御をする車線制御装置へ送信する第1の交通制御指示手段と、
前記第2の判定手段によって前記第1の料金所が入口料金所であると判定されたとき通行車両の進入を禁止する交通制御指示を前記車線制御装置へ送信する第2の交通制御指示手段と、
前記第2の判定手段によって前記第1の料金所が出口料金所であると判定されたとき通行車両の一般道路への進入を許可する交通制御指示を前記車線制御装置へ送信する第3の交通制御指示手段と、
を有することを特徴とする交通制御サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−146490(P2010−146490A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325866(P2008−325866)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】