説明

交通情報管理装置及び交通情報管理処理方法

【課題】到着時刻の予測精度の低下を防止する交通情報管理装置を提供する。
【解決手段】地図情報400に定義された各リンクの車両の走行状況を含む交通情報410を取得する交通情報取得部20と、地図情報400に含まれる各地点の情報と、車両側にて検出される各地点の情報とを比較し、比較の結果から交通情報の変化の原因となる交通環境の変化点を検出する変化点検出部30と、交通環境の変化に起因して生じる交通情報410の変化量を監視する交通情報監視部40と、交通情報410の変化量が所定値以上であると判断された場合に、変化点検出部30により検出された変化点に対応する交通情報を、変化後の交通環境に基づいて取得された他の地点に関する代替交通情報に置換して交通情報410を補正する交通情報補正部50と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の交通情報を管理する交通情報管理装置および交通情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
VICS情報又はプローブ情報から作成され、経年変化に伴い定期的に更新される統計交通情報と、計測された車両の走行状態に関する走行履歴情報とに基づいて、目的地への到着時刻を算出する交通情報予測装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−241519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、統計交通情報は1年毎などの一定期間毎に更新されるため、例えば立体交差点の新設といった交通環境の変化によって交通状況が変化した場合は、統計交通情報が更新されるまでの間は古い統計交通情報に基づいて目的地に至る到着時刻が予測されるため、到着時刻の予測精度が低下するという問題があった。
【0005】
本願発明が解決しようとする課題は、交通情報を適正に管理し、到着時刻の予測精度の低下を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、交通環境の変化点を検出し、この交通環境の変化を起因とする交通情報の変化量が所定値以上である場合は、検出された交通環境の変化点に関する交通情報を、変化後の交通環境と所定の相関関係を有する交通環境にある他の地点に関する代替交通情報に置換することにより上記課題を関する解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、交通情報の更新後に、交通環境の変化によって交通情報に変化が発生した場合であっても、交通情報を補正することにより現実の交通環境が反映されるように交通情報を管理することができるので、この交通情報に基づいて算出される到着時刻の予測精度の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本実施形態の交通情報管理装置100は、交通環境の変化に応じて交通情報を補正する機能を有する。交通環境の変化に応じて補正され、管理される交通情報は、目的地又は中継地への到着時刻の算出処理、最短経路の探索処理、走行所要時間の算出処理などに用いられる。
【0009】
図1は、交通情報管理装置100を含む交通情報管理システム10000の構成例を示す図である。図1に示すように、交通情報管理システム10000は、車両に搭載された交通情報管理装置100を含む車載装置Aと、交通情報管理サーバ2000を備える。交通情報管理装置100を含む車載装置Aと交通情報管理サーバ2000とは、通信ネットワーク、VICS(Vehicle Information and Communication System)を介して車載端末と交通情報の授受を行い、交通情報の提供を行う道路交通システムの一部を構成する。
【0010】
<第1実施形態>
以下、図面に基づいて本発明に係る実施形態について説明する。
【0011】
図2は、本実施形態に係る交通情報管理装置100を含む車載のナビゲーション装置1000のブロック構成の一例、情報提供サーバ2000のブロック構成の一例を示す図である。
【0012】
まず、情報提供サーバ2000について説明する。情報提供サーバ2000は、車両の走行状況などに関する交通情報を生成及び/又は管理する。この交通情報管理サーバ2000は、VICS機能2011により交通情報を各車載端末等へ配信する情報提供機能2010と、各車載端末から車両の走行に関するプローブ情報を収集するプローブ情報収集機能2020と、道路の管理者やプローブ情報収集機能2020を介して収集された情報に基づいて生成され、管理される交通情報2030とを備える。
【0013】
交通情報管理サーバ2000により管理される交通情報2030は、通信ネットワーク、VICS(Vehicle Information and Communication System)を介して各車両に搭載された車載装置Aへ配信される。
【0014】
次に、車載装置Aについて説明する。本実施形態の車載装置Aは、交通情報管理装置100を含むナビゲーション装置1000と、車載カメラ3000と、車両コントローラ4000とを備える。
【0015】
ナビゲーション装置1000は、GPSユニット(Global Positioning System)201を有し、車両が走行する各地点の位置情報(緯度、経度、高度)を検出する位置検出装置200と、走行履歴301、地図情報400、交通情報410を記憶する記憶装置300と、2つの地点の間の経路を探索する経路探索装置500と、情報の入出力を行う入出力装置600を備える。
【0016】
車載カメラ3000は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサや、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子をそなえたデジタルカメラである。
【0017】
また、車両コントローラ4000は、車両及び車載装置の情報を集中的に管理するコンピュータである。
【0018】
これらのナビゲーション装置1000と、車載カメラ3000と、車両コントローラ4000とは、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行う。
【0019】
なお、交通情報管理装置100を含むナビゲーション装置1000、及び車両コントローラ4000、及び情報提供サーバ2000は、各機能を実行させるプログラム又はファームウェアが予め格納されたROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリなどのメモリと、このメモリに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの動作回路の組み合わせと、演算結果等を一時的に保存するRAM(Random Access Memory)とを組み合わせて構成することができる。
【0020】
続いて、交通情報管理装置100について説明する。
【0021】
本実施形態に係る交通情報管理装置100は、車載装置A内部又は外部と情報を授受する通信装置10と、取得した情報に基づいて交通情報管理処理を行う演算装置1とを有する。
【0022】
この通信装置10は、有線又は無線の通信ネットワーク上に構成された情報提供サーバ2000との間の通信を行う広域通信機能を備え、情報提供サーバ2000と情報の授受を行う。また、通信装置10の具体的な通信手法は特に限定されず、携帯電話網、UWB(Ultra Wide Band)やDSRC(Dedicated Short Range Communication)などの無線LAN、地上波データ放送波、FM放送波、衛星放送波などを用いることができる。さらに、通信装置10は、ナビゲーション装置1000、車両コントローラ4000、車載カメラ3000その他の各車載装置と情報の授受を行うため、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANを介した無線通信機能を備える。
【0023】
なお、通信装置10は、ナビゲーション装置1000の通信部としても機能し、ナビゲーション装置1000において利用される情報も取得することができる。
【0024】
続いて、演算装置1について説明する。
【0025】
演算装置1は、交通情報を取得する機能を実行する交通情報取得部20と、変化点を検出する機能を実行する変化点検出部30と、交通情報の変化を監視する機能を実行する交通情報監視部40と、交通情報を補正する機能を実行する補正部50と、を有する。
【0026】
特に限定されないが、演算装置1は、交通情報取得部20、変化点検出部30、交通情報監視部40、及び補正部50は、各機能を実行させるプログラム又はファームウェアが予め格納されたROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリなどのメモリと、このメモリに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの動作回路の組み合わせと、演算結果等を一時的に保存するRAM(Random Access Memory)とを組み合わせて構成することができる。
【0027】
以下、交通情報管理装置100の各構成の機能について説明する。
【0028】
まず、交通情報取得部20について説明する。交通情報取得部20は、情報提供サーバ2000が有する交通情報、又はナビゲーション装置1000が備える記憶装置300に格納された交通情報410を、通信装置10を介して取得する。そして、交通情報取得部20の交通情報記憶機能21は、取得した交通情報を少なくとも一時的に記憶する。また、交通情報管理装置100内の交通情報記憶機能21に、交通情報を予め記憶させてもよい。
【0029】
取得される交通情報410又は2030は、地図情報400中に定義されたリンクごとの車両の走行速度、各リンクを走行するために要するリンク旅行時間その他の車両の走行状況を含む。ここで、各リンクは、予め定義された、地図情報400中の地点(ノード)と地点(ノード)の間の道路区間であり、リンクID(識別子)により管理される。
【0030】
取得される交通情報410又は2030は、情報提供サーバ2000等において管理され、高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems)、プローブ情報収集機能2020において収集された情報に基づいて生成及び更新がされた情報である。
【0031】
本実施形態の交通情報2030又は410は、少なくとも(1)各リンクの平均リンク旅行時間、(2)各リンクの距離、(3)各リンクの平均走行速度、(4)各リンクの平均リンク旅行時間のばらつき(標準偏差等)、(5)各リンクの平均旅行速度のばらつき(標準偏差等)などの走行状況を含む。
【0032】
続いて、変化点検出部30について説明する。
【0033】
変化点検出部30は、ナビゲーション装置1000が備える地図情報400に含まれる各地点の情報と、車両側にて検出される各地点の情報とを比較し、その比較の結果から交通情報の変化の原因となる交通環境の変化点を検出する。
【0034】
本実施形態における地図情報400に含まれる各地点の情報とは、予め計測された道路上の各地点の経度、緯度、高さなどの位置情報である。これらの位置情報は、地図情報400の各地点を特定する情報(地点特定識別記号、経度・緯度)に対応づけられ、地図情報400に記憶される。
【0035】
他方、車両側にて検出される各地点の情報は、車載されたナビゲーション装置1000の位置検出装置200が備えるGPSユニット(Global Positioning System)201により検出され、走行履歴301の一部として記憶される。つまり、車両側にて検出される各地点の情報は、車両の走行中に検出される情報である。
【0036】
変化点検出部30は、すでに車載装置Aに保存された地図情報400と、実際の走行において検出される走行履歴301とに基づいて、これらに含まれる各地点の情報の比較の結果から交通環境の変化点を検出する。つまり、検出される交通環境の変化点は、地図情報400の作成後に交通環境が変化した地点に関する情報である。この変化点の情報は、交通環境の変化が発生した「地点の位置情報」を少なくとも含む。
【0037】
また、変化点検出部30は、地図情報400に含まれる各地点の情報と、走行履歴301に含まれる各地点の情報との比較の結果に基づいて、「変化後の交通環境」を検出する。
【0038】
つまり、変化点検出部30は、地図情報400の作成又は更新後に発生した、交通情報を変化させる立体交差点の新設、信号の新設、信号の撤去、車線の増加、道路幅員の増加などの交通環境の変化点の位置と、その変化点における変化後の交通環境を検出する。
【0039】
本実施形態の変化点検出部30は、GPSユニット201が求めた高さ情報201Hの変化と、車載カメラ3000により取得された車両周辺画像3010の分析結果に基づいて、交通環境の変化点の位置と変化後の交通環境を検出する。
【0040】
まず、高さ情報の変化に基づいて交通環境の変化点の検出手法を説明する。
【0041】
ナビゲーション装置1000が備えるGPSユニット201は、GPS衛星から絶対位置情報(経度、緯度、高度)を取得する。たとえば、特開平11-304513号公報に開示されたGPS情報を処理した車両の絶対位置情報を得る手法およびこれに類する手法を利用することができる。
【0042】
また、GPSから得た情報に含まれるドップラーシフト量に基づく垂直方向の速度成分を用いれば、車両の高低差変位分データを得ることができる。車両の高低差変位分に基づいて車両が走行する道路面の高度を求めることができる。
【0043】
このような手法を用いて、本実施形態のGPSユニット201は、車両が走行した各地点の高さ情報を検出し、それを高さ情報201Hとして記憶する。高さ情報201Hは、地点を特定する情報(地点ID,経度・緯度など)と、その地点における高さ情報を対応づけて記憶する。
【0044】
なお、地図情報400は、上述した手法又は実測により得られた各地点の高さ情報4012を含む。
【0045】
ところで、予め得た地図情報400の高さ情報4012と、その地図情報400が作成された後に車両が実際に検出した地点の高さ情報3011との間に差が生じた場合は、高さのある道路構造物が建設された可能性がある。
【0046】
例えば、ある地点について、地図情報400の作成時に記録された(地図情報400に記録されている)高さ情報4012は約1mであったとする。そして、その地図情報400が配信又は配布された後に、その地点に立体交差道路などの高さのある道路構造物が建設され、その後、その地点を通過する自車両が約5mの高さ情報201Hを検出したとする。このような高さ情報の変化があった場合は高さ情報の差が生じた地点に高さのある道路建造物が建設されたことを予測することができる。本実施形態の変化点検出部30は、この検出タイミングの異なる2つの高さ情報(4012と201H)の高度差を監視することにより、立体交差道路のように高さのある立体構造物ができたこと、つまり交通環境が変化したことを判定する。
【0047】
本実施形態の変化点検出部30は、予め各地点の高さ情報4012が記憶された地図情報400を参照し、この地図情報400に含まれる地点の高さ情報4012と、車両が搭載する位置検出装置200のGPSユニット201により検出された地点の高さ情報201Hとを比較する。そして、両者の高さの差が所定値以上である場合は、その地点に新たな高さのある構造物が建造されたと推測し、その地点を立体交差道路が新設された変化点として検出する。
【0048】
さらに、本実施形態の変化点検出部30は、検出処理の精度を向上させるため、その地点が以下の付加条件のいずれか一つ以上を満たす場合に、その地点を立体交差道路が新設された交通環境の変化点と検出する。
【0049】
第一の付加条件は、高さ情報の変化が検出された変化点を含む所定領域内の複数の地点においても所定値以上の地点の高さ情報が変化していることである。
【0050】
すなわち、変化点検出部30は、検出された変化点を含む所定領域内の複数の地点において、地図情報400に含まれる地点の高さ情報4012と、車載の位置検出装置200により検出された地点の高さ情報201Hとの差が所定値以上である場合は、その所定領域内の交差点を立体交差道路が新設された変化点として検出する。
【0051】
立体交差道路は所定の体積を有するため、立体交差道路が新設された場合には、立体交差道路を包含する領域において高さ情報に変化があるはずである。このため、変化点検出部30は、変化点の周囲の領域において複数の地点において高さ情報が変化している場合は、その地点を立体交差道路が新設された変化点として検出する。
【0052】
このように、1地点の高さ情報の差のみによって変化点を検出せず、高さの変化が検出された変化点を含む領域内の複数の地点における高さ情報の差によって変化点を検出することにより、変化点を正確に検出することができる。
【0053】
第二の付加条件は、変化点を含む所定領域内の複数の地点のうち高さ情報201Hが最大の地点の近傍の交差点であることである。
【0054】
すなわち、変化点検出部30は、検出された変化点を含む所定領域内の複数の地点のうち、車両が搭載する位置検出装置により検出された地点の高さ情報が最大となる地点に最も近い交差点を立体交差道路が新設された変化点として検出する。なお、第二付加条件における所定領域は任意に定義することができ、第一付加条件における所定領域と同じであってもよいし、異なる領域であってもよい。
【0055】
立体交差道路は、その始端と終端において高さが低く、交差部分において高さが高くなる。このような立体交差道路の基本的な構造を考慮すると、その高さはリンク又は経路が交差する地点において最高の高さとなり、その交差する地点から離れるにつれて低くなる。このため、変化点検出部30は、変化点近傍のリンク又は経路が交差する地点において相対的に高い高さ情報201Hが検出された場合は、その地点にもっとも近い交差点を立体交差道路が新設された変化点として検出する。なお、変化点に最も近い交差点は、地図情報400を参照して求めることができる。
【0056】
第三の付加条件は、検出された変化点の高さ情報201Hが、所定の高さ以上であることである。ただし、この所定の高さは、地図情報400において定義される道路の種別(規格)に応じて設定する。
【0057】
すなわち、変化点検出部30は、車両が搭載する位置検出装置200により検出された地点の高さ情報201Hが、地点を含むリンクごとに予め定義した所定高さよりも高い場合は、地点を立体交差道路が新設された変化点として検出する。
【0058】
高さ情報201Hの変化が検出されたとしても、それが交通環境の変化を生じさせる立体交差道路の新設によるものとは限らない。他方、立体交差道路の高さは、所定の規格を満足したものでなければならないから、立体交差道路の高さは予め予測することができる。このため、変化点検出部30は、検出された高さ情報201Hが所定の高さを超えるものである場合に、その地点を立体交差道路が新設された交通環境の変化点として検出する。
【0059】
また、立体交差道路の規模(高さ)は、それが設けられる道路の規模(車線数、幅員)によって異なるため、立体交差道路であるか否かを判断する基準は、道路の種別(車線数、幅員、高速道路、幹線道路、街路)の別に応じて設定する。
【0060】
以上のように、変化点検出部30は、自車両の走行時に検出された高さ情報201Hと、予め地図情報400内に定義された高さ情報4012との高さの差に基づいて、立体交差道路が新設されたことを推測することができるため、交通環境が変化した変化点を検出することができる。
【0061】
また、立体交差道路の形状を考慮して、変化点を含む所定領域内の複数の地点において高さ情報201Hに変化があること、変化点を含む所定領域内の地点のうち、高さ情報が最大となる地点に最も近い交差点であること、及び変化点の高さが道路種別に応じた所定の高さ以上であることを付加的な条件とすることにより、高い精度で立体交差道路が新設された変化点を検出することができる。
【0062】
次に、車両周辺画像3010に基づく交通環境の変化点の検出手法を説明する。
【0063】
変化点検出部30は、高さ情報に基づく変化点の検出処理に加えて、車両周辺画像3010に基づく変化点の検出処理を行う。
【0064】
変化点検出部30は、車載カメラ3000から高さ情報に基づいて検出された地点(変化点候補)の近傍において撮像された車両周辺の撮像画像3010を取得する。そして、変化点検出部30は、取得した車両周辺の撮像画像3010に立体交差道路に関する所定の情報が含まれている場合は、その地点を立体交差道路が新設された変化点として検出する。
【0065】
立体交差道路に関する所定の情報とは、側道の案内情報(たとえば側道への誘導標識)を示す画像、車線分岐の案内情報(たとえば分岐路線の案内標識)を示す画像、立体交差の案内情報(たとえば立体交差の道路標識)を示す画像、立体交差道路に特有の道路形状の画像などであり、予め立体交差道路などの所定の道路構造にそれぞれ対応づけられた特徴画像情報31として記憶される。
【0066】
変化点検出部30は、予め定義された特徴画像情報31を参照し、車載カメラ3000から取得した変化点候補近傍にて撮像された車両周辺画像3010に特徴画像情報31が含まれている場合は、その地点を、特徴画像情報31が対応づけられた道路構造が新設された交通環境の変化点として検出する。
【0067】
具体的に、変化点検出部30は、車両周辺画像3010の特徴点を抽出し、抽出した特徴点と特徴画像情報31とを対比し、両者の画像上の類似度が所定の閾値以上である場合には車両周辺画像3010は特徴画像情報31を含むと判断する。画像の類似度の判断基準は、通常、画像の類似度を判断するための技術を用いて、予め任意に定義することができる。そして、変化点検出部30は、その車両周辺画像3010が撮像された地点を、車両周辺画像3010に含まれる特徴画像情報31に対応づけられた道路構造が新設された変化点として検出する。
【0068】
また、変化点検出部30は、立体交差道路に特有の道路形状として、走行路の傾斜に対応づけられた特徴画像情報31を有し、車両周辺画像3010に含まれる走行路の画像の特徴点を抽出し、抽出した特徴点と特徴画像情報31とを対比し、その対比の結果に基づいて走行路の傾斜を求める。一般に、立体交差道路は傾斜した走行路を含み、その傾斜角度は所定範囲(例えば20°〜30°)であるので、そのような傾斜を有する道路は立体交差道路である可能性が高い。このため、変化点検出部30は、車両周辺画像3010に含まれる走行路の傾斜が所定値以上、例えば15°以上である場合は、その車両周辺画像3010が撮像された地点を、車両周辺画像3010に含まれる特徴画像情報31に対応づけられた道路構造が新設された変化点として検出する。なお、走行路の傾斜を求める手法は限定されず、異なるタイミングで撮像された車両周辺画像3010を比較し、その結果に基づいて走行路の傾斜を求めてもよい。
【0069】
加えて、変化検出部30は、車両側で検出された地点の高さ情報と車両周辺画像3010とを組み合わせて、交通環境の変化点を検出することができる。この場合、変化検出部30は、地点の高度の変化が検出され始めた地点周辺において撮像された車両周辺画像3010に、側道の案内情報を示す画像、車線分岐の案内情報を示す画像、立体交差特有の道路形状の画像等(特徴画像情報31)が含まれる場合は、その高度の変化は立体交差道路の新設に起因するとして、地点の高度の変化が検出され始めた地点近傍の交差点を立体交差道路が新設された変化点として検出することができる。
【0070】
なお、変化検出部30は、地図情報400に、その変化点に対応する地点が立体交差である旨の情報が記録されている場合は、地点の高さ情報及び/又は車両周辺画像3010に基づいて変化点が検出された場合であっても、もともとその地点は立体交差であると認識し、交通環境の変化点としては検出しない。他方、地図情報400にその変化点に対応する地点が平面交差点である旨の情報が記録されている場合は、その地点を変化点として検出する。
【0071】
続いて、交通情報監視部40について説明する。交通情報監視部40は、変化点検出部30により検出された変化点における交通環境の変化によって生じる交通情報の変化量を監視する。
【0072】
交差点の立体交差化、道路幅員の拡張、車線数の増加などの道路構造の変化により交通環境が変化すると、車両の流れが変わり、その影響を受けて交通情報も変化する。交通情報監視部40は、交通環境の変化に起因して発生する交通情報の変化を監視する。
【0073】
具体的に、本実施形態の交通情報監視部40は、車両側にて検出されたリンクの走行速度3011と、交通情報410から抽出されたリンクの平均走行速度411とを比較し、その差、つまり走行速度の変化量に基づいて交通情報の変化を監視する。
【0074】
車両側にて検出されたリンクの走行速度3011は、ナビゲーション装置1000のGPSユニット201により検出された位置情報、地図情報400のリンク距離4011、車両コントローラ400の車速センサ4010により検出された車両の速度情報に基づいて求められ、走行履歴301に含めて記憶される。
【0075】
交通情報監視部40は、変化点検出部30により検出された交通環境の変化点を含むリンク(リンクIDで特定)について、記憶装置300に蓄積された自車両のリンク走行速度3011、及び予め蓄積されたリンク平均走行速度411を取得する。リンク走行速度3011、リンク平均走行速度411及び地図情報400中のリンクは、共通の識別子(リンクID)が付されている。
【0076】
そして、交通情報監視部40は、交通環境の変化点を含むリンクにおける自車両のリンク走行速度3011と、予め蓄積されたリンク平均走行速度411との差を算出し、その差、すなわち平均走行速度の変化量が所定値以上であるか否かを判断し、その結果を後述する交通情報補正部50に送出する。
【0077】
また、交通情報監視部40は、走行速度に代えて、リンクを走行するために要するリンク旅行時間の差に基づいて交通情報に変化が発生したか否かを判断してもよい。具体的には、交通情報監視部40は、車両側にて検出されたリンクを走行するのに要するリンク旅行時間3012と、交通情報410から抽出したリンクのリンク平均旅行時間412とを比較し、その差、つまりリンクの旅行時間の変化量に基づいて交通情報の変化を監視する。
【0078】
記憶装置300は、位置検出装置200のGPSユニット201から取得した車両の現在位置とタイマ202から取得した時刻とを対応づけて走行履歴301として記録する。つまり、走行履歴301には、地図情報400中の各地点を通過した時刻が記録される。このため、記憶装置300は、走行履歴301を参照し、各地点の間に定義されたリンクのリンク走行時間3011を求めることができる。また、記憶装置300は、走行履歴301と地図情報中のリンク距離4011とに基づいて、リンクの旅行時間3012を求めることができる。
【0079】
交通情報監視部40は、変化点検出部30により検出された交通環境の変化点を含むリンク(リンクIDで特定)について、記憶装置300に蓄積された自車両のリンク旅行時間3012、及び予め蓄積されたリンク平均旅行時間412を取得する。リンク旅行速度3012、リンク平均旅行時間412及び地図情報400中のリンクは、共通の識別子(リンクID)が付されている。
【0080】
そして、交通情報監視部40は、交通環境の変化点を含むリンク又は変化点から所定の距離以内にあるリンクにおける自車両のリンク旅行時間3012と、そのリンクについて予め蓄積されたリンク平均旅行時間412との差を算出し、その差、すなわち平均旅行時間の変化量が所定値以上であるか否かを判断し、その判断にかかるリンクIDとその判断結果とを後述する交通情報補正部50に送出する。
【0081】
さらに、交通情報監視部40は、交通情報の変化の発生を判断するための閾値(速度差又は時間差)を決定する。この閾値は、一律に15分など、任意に設定することができる。また、本実施形態の交通情報監視部40は、リンク平均走行速度411の標準偏差、リンク平均旅行時間412の標準偏差に基づいて閾値を設定することができる。たとえば、閾値を標準偏差の10%など、標準偏差に所定係数を乗じて算出することができる。
【0082】
またさらに、交通情報監視部40は、変化点における道路構造物の種別に応じて、標準偏差に乗じる所定係数を変更してもよい。たとえば、交差点の立体交差化により交通環境が変化した場合は、リンク旅行時間又はリンク走行時間の変化は大きいと考えられるため、標準偏差に乗じる所定係数Pを大きい値とすることができる。また、車線形状の変化により交通環境が変化した場合は、リンク旅行時間又はリンク走行時間の変化はそれほど大きくないため、標準偏差に乗じる所定係数Qを所定係数Pよりも小さい値とすることができる。さらに、信号の設置により交通環境が変化した場合は、リンク旅行時間又はリンク走行時間の変化は小さいと考えられるため、標準偏差に乗じる所定係数Rを所定係数Qよりも小さい値とすることができる。
【0083】
なお、交通情報監視部40は、走行履歴301に自車両がリンクを走行した回数と、そのリンクの旅行時間の平均値及び走行速度の平均値を含めることができる。そして交通情報監視部40は、リンクの走行回数に応じて標準偏差に乗じる所定係数を小さい値としてもよい。利用者が何度も通過するリンクについては、変化を検出する閾値を低くして小さな変化によっても交通環境の変化を検出できるようにすることが好ましい。
【0084】
交通情報監視部40は、交通情報の変化量が所定値以上である場合に、その旨を補正部50へ送出する。
【0085】
続いて、補正部50について説明する。補正部50は、交通情報監視部40が交通環境の変化点に起因して生じた交通情報410の変化量が所定値以上であると判断した場合は、変化点検出部30により検出された変化点に対応する交通情報を、変化後の交通環境と所定の相関関係を有する交通環境にある他の地点に関する代替交通情報に置換して交通情報410を補正する。
【0086】
補正部50は、変化点検出部30により検出された交通環境の変化点の内容を取得し、その交通環境の変化点の内容に基づいて、変化後の交通環境を特定する。たとえば、同一平面上でリンクが交差する交差点に立体交差道路が建設された場合は、道路交通信号により車両の停止と進行が制御される交通環境から車両の停止が強制されない交通環境に変化したと判断し、変化後の交通環境を車両の停止が強制されない、「道路交通信号制御なし」の交通環境であると特定する。
【0087】
また、補正部50は、このような「道路交通信号制御あり」「道路交通信号制御なし」「交差点あり」「交差点なし」「交差点の数」のほか、「位置の近接度」、「道路種別」、「走行路の進行方向」、「車線数」などの交通環境の種別に基づいて、地点の交通環境の類似性、つまり交通環境の相関関係を判断する。
【0088】
具体的に、補正部50は、検出された変化点に交差点がある又はない、検出された交差点に立体交差点がある又はない、検出された変化点からの距離が所定値以内である、検出された変化点を含むリンクの道路種別が共通する、検出された変化点を含む走行路の進行方向が共通する、及び検出された変化点を含むリンクの車線数が共通するという条件に基づいて、変化点の交通環境と相関関係にある交通環境を有する交通情報を特定する。補正部50は、上述した条件を1つ以上満たす場合は、交通環境が相互に所定の相関関係を有すると判断する。
【0089】
上述した交通環境の種別を識別するための環境種別414は、交通情報400において各リンク平均走行速度411、リンク平均旅行時間412に対応づけられる。
【0090】
補正部50は、検出された変化点の変化後における交通環境の環境種別414と共通の環境種別が付された交通情報410は、交通環境に所定の相関関係があると判断し、変化後の変化点における環境種別414と共通の環境種別が付されたリンク平均走行速度411及び/又はリンク平均旅行時間412を交通情報410から抽出する。
【0091】
このように、補正部50は、この環境種別414を検索キーとして、変化点検出部30により検出された交通環境の変化点における変化後の交通環境と所定の相関関係がある交通環境の交通情報を代替交通情報として取得する。
【0092】
図3に基づいて、変化後の交通環境に基づく代替交通情報の選択手法の例を説明する。
【0093】
図3は、変化点Xを含む領域についての地図情報400である。図3には示さないが、この地図情報400に含まれる地点及びリンクは、それぞれ交通情報410が対応づけられている。
【0094】
図3に示すように、変化点Xに立体交差道路が建設された場合を例にして、交通情報の補正手法の一例を説明する。変化点Xにおける立体交差道路の建設に起因し、変化点Xの周辺に存在する1又は2以上のリンクの交通情報は変化する。
【0095】
本例では、変化点Xを含むリンクおよび変化点Xから所定距離以内にあるリンクのうち、交通情報監視部40により交通情報の変化量が所定値以上となったと判断されたLink7−1の交通情報の補正手法を説明する。本例では、Link7−1が他の代替交通情報により補完される対象となる。本例における補完は、補完対象リンクの交通情報を、他のリンクの交通情報(リンク旅行時間、リンク走行速度)で置換することにより行う。
【0096】
補正部50は、交通情報に変化が生じたLink7−1を補完するため、変化点Xにおける変化後の交通環境と所定の相関関係を有する交通環境の交通情報を代替交通情報として取得する。
【0097】
本例では、変化点Xに立体交差道路が建設されたため、その変化後の交通環境は「交差点がない」である。
【0098】
補正部50は、以下に掲げる1又は2以上の条件に基づいて変化点Xの変化後の交通環境と所定の相関関係を有する交通環境の交通情報を検索する。
【0099】
第1の条件は、同一経路上のリンクの交通情報であること。つまり、国道1号線、青梅街道などのような道路を識別する道路識別子が共通すること。
【0100】
第2の条件は、走行方向が同一方向(経路の上り方向又は下り方向)のリンクの交通情報であること。
【0101】
第3の条件は、変化後の交通環境が共通すること。具体的に、交差点がある又はないリンクの交通情報であること。
【0102】
第4の条件は、変化点から所定距離以内に存在するリンクの交通情報であること。
【0103】
第5の条件は、道路種別(高速道路、国道、県道、車両専用道路、市街路などの種別)が共通するリンクの交通情報であること。
【0104】
第6の条件は、車線数が共通するリンクの交通情報であること。
【0105】
本実施形態の補正部50は、変化点Xと同一経路上であり(第1条件)、走行方向が同一方向であり(第2条件)、かつ交差点がない(第3条件)を満たすリンクは、変化点Xにおける変化後の交通環境と類似する交通環境にあると判断する。
【0106】
条件の組み合わせは特に限定されず、補正部50は、変化点Xから所定距離以内に存在し(第4条件)、道路種別が共通し(第5条件)、車線数が共通し(第6条件)かつ交差点がない(第3条件)を満たすリンクを、変化点Xにおける変化後の交通環境と類似する交通環境にあると判断してもよい。
【0107】
図3に示す場合において、まず、変化点Xから所定距離以内(例えば立体交差が建設された変化点Xから周辺5キロ)に存在するリンクを検索すると、この条件を満たすリンクは、破線の円で囲んだLink2−1,3−1,2−2,3−2,8−1,7−2,8−2,12−1,13−1,12−2,13−2である。
【0108】
さらに、走行方向が同一方向のリンクを検索する。走行方向は、地図情報400中に記憶されている。この条件を満たすリンクは、Link2−1,3−1,8−1,12−1,13−1である。
【0109】
加えて、道路種別が共通するリンクを検索する。この条件を満たすリンクは、Link2−1,3−1である。
【0110】
さらにまた、車線数が共通するリンクを検索する。この条件を満たすリンクは、Link2−1,3−1である。つまり、Link7−1道路の規格も車線数も共通するリンクは、Link2−1,3−1である。
【0111】
最後に、補完の対象となるLink7−1に最も距離が近いリンクを選択する。この条件を満たすリンクは、Link2−1である。
【0112】
補正部50は、通信装置10を介して、最後に選択されたLink2−1のリンク平均走行速度411及び/又はリンク平均旅行時間412(Link2−1)を交通情報410から取得する。そして、変化点検出部30により交通情報が所定量以上変化した補完対象リンクLink7−1の交通情報410(Link7−1)を、取得した代替交通情報410(Link2−1)に置換する。そしてこの置換を反映させて、交通情報410を更新する。
【0113】
これにより、交通情報410、この交通情報410が作成された後に、新たに建設された立体交差道路などによる交通環境の変化が反映された情報に補正することができる。
【0114】
補正された交通情報410は、経路探索装置500のアクセスを受け付け、経路探索処理、目的地又は経由地への到着時刻の算出処理に利用される。
【0115】
次に、図4〜図6に基づいて、本実施形態の交通情報管理装置100の制御手順を説明する。
【0116】
図4は交通情報の管理処理全体を説明するためのフローチャートである。
【0117】
図4に示すように、まず、ステップS100において、交通情報取得部20は、通信装置10を介して又は直接に交通情報2030又は410を取得する(S100)。
【0118】
次に、ステップS101において、変化点検出部20は、交通情報の変化の原因となる交通環境の変化点を検出する(S101)。
【0119】
図5は、この交通環境の変化点の検出処理を具体的に示すフローチャート図である。
【0120】
図5に示すように、ステップS201において、変化点検出部30は、地図情報の取り込み処理(S101)の後、予め準備された地図情報400に含まれる、ある地点nの高さ情報4012を取得する(S201)。
【0121】
続くステップS202において、変化検出部30は、ナビゲーション装置1000に搭載されてGPSユニット201により検出された地点nの高さ情報201Hを取得する(S202)。この高さ情報201Hは、車両の走行時において検出される情報である。
【0122】
さらに、ステップS203において、変化検出部30は、S201で取得した地点nの高さ情報4012と、S202で取得した高さ情報201Hとの差を算出する(S203)。
【0123】
ステップS204において、変化検出部30は、S203において算出した高度差が所定値以上である場合はステップS205へ進み、S203において算出した高度差が所定値未満である場合はステップS201へ戻る(S204)。
【0124】
続く、ステップS205において、さらに車両側において検出された高さ情報201Hの分布が所定の条件を満たすか否かを判断する(S205)。S205において設定された所定の条件を満たす場合はステップS206へ進み、S205において設定された所定の条件を満たさない場合はステップS201へ戻る。
【0125】
具体的に、ステップS205において、変化検出部30は、S101において検出された変化点を含む所定領域内の複数の地点において、車両側にて検出された高さ情報201Hと地図情報400に含まれる地点の高さ情報4012との高度差が所定値以上である場合は、ステップS206へ進む。
【0126】
また、変化検出部30は、S101において検出された変化点近傍の交差点に対応する地点において、両側にて検出された高さ情報201Hが最大となる場合は、ステップS206へ進む。
【0127】
さらにまた、変化検出部30は、車両側にて検出された高さ情報201Hが、変化点nを含むリンクごとに予め定義した所定高さよりも高い場合は、ステップS206へ進む。
【0128】
ステップS205における付加的な条件は、設定しなくてもよいし、1つの条件を単独で設定してもよいし、又は2以上の条件を組み合わせて設定してもよい。
【0129】
続くステップS206において、変化検出部30は、車載カメラ3000により撮像された車両周辺画像3010を用いて、変化点を検出する(S206)。具体的に、変化検出部30は、ステップS204又は、ステップS204及びステップS205の条件を満たす変化点候補の近傍において車両側で撮像された車両周辺の撮像画像3010を取得する。この撮像画像3010はタイマ3011により検出された撮像時刻が付されている。このため、変化点近傍を通過したときの時刻と撮像時刻とに基づいて、変化点近傍を通過したときの車両周辺画像3010を取得することができる。
【0130】
続くステップS207において、変化検出部30は、立体交差道路に関する所定の情報(特徴画像情報31)を取得する(S207)。
【0131】
ステップS208において、変化検出部30は、取得した車両周辺の撮像画像3010が特徴画像情報31を含むか否かを判断する(S208)。車両周辺の撮像画像3010が特徴画像情報31を含む場合は、ステップS209へ進む。他方、車両周辺の撮像画像3010が特徴画像情報31を含まない場合は、ステップS201へ戻る。
【0132】
そして、ステップS209において、変化検出部30は、ステップS204、ステップS205、ステップS208の条件を満たす地点nを立体交差道路が新設された変化点として検出する(S209)。なお、ステップS204又はS205を満たす場合は、ステップS209へ進む処理を実行することも可能である。
【0133】
ステップS209の処理の後、図4に戻り、図4のステップS102へ進む。
【0134】
図4のステップS102へ戻り、交通情報監視部40は、ステップS101において検出された変化点における交通環境の変化に起因する交通情報の変化を監視する(S102)。立体交差道路の建設など、ある地点において発生した交通環境の変化は、変化点の周辺のリンクの交通情報に影響を与える。ステップS102では、高地位情報監視部40が実際に交通情報の変化が生じたか否かを監視する。
【0135】
続くステップS103において、交通情報監視部40は、リンク走行速度及び/又はリンク走行時間といった交通情報の変化量が所定値以上であるか否かを監視する(S103)。交通情報の変化量が所定値以上である場合はステップS104へ進み、交通情報の変化量が所定値未満である場合は、ステップS101へ戻る。
【0136】
さらに、ステップS104において、補正部50は、交通環境の変化によって交通情報が変化したリンクを、補完の対象リンクとして特定する(S104)。
【0137】
ここで、ステップS102〜S104の交通情報の変化を監視する処理を図6に基づいて説明する。
【0138】
図6に示すように、交通情報監視部40は、変化点検出部30により交通環境の変化点が検出された後に、処理を開始する。
【0139】
まず、ステップS301において、交通情報監視部40は、交通情報2030又は410にアクセスし、検出された変化点(地点n)を含むリンク及び/又は変化点(地点n)から所定距離以内にあるリンクについて、リンク平均走行速度411又はリンク平均旅行時間412を取得する(S301)。リンク平均走行速度411又はリンク平均旅行時間412は、交通情報410の作成時に記録された情報である。
【0140】
さらに、ステップS302において、交通情報監視部40は、走行履歴301にアクセスし、検出された変化点(地点n)を含むリンク及び/又は変化点(地点n)から所定距離以内にあるリンクについて、リンク走行速度3011又はリンク旅行時間3012を取得する(S302)。
【0141】
そして、ステップS303において、交通情報監視部40は、自車両側で検出されたリンク走行速度3011とリンク平均走行速度411との速度差を算出する。これに代えて又はこれとともに、交通情報監視部40は、自車両側で検出されたリンク旅行時間3012とリンク平均旅行時間412との時間差を算出する(S303)。
【0142】
続くステップS304において、ステップS303において算出された速度差又は時間差が所定値以上であるか否かを判断する。算出された速度差又は時間差が所定値以上である場合はステップS305に進み、算出された速度差又は時間差が所定値未満である場合はステップS301へ戻る(S304)。交通情報監視部40は、ステップS304における判断結果を補正部50へ通知する。
【0143】
続くステップS305において、補正部50は、ステップS304において速度差又は時間差が所定値以上となったリンクを交通情報の変化が大きいと判断し、そのリンクを補完対象リンクとして特定する(S305)。この後、処理は図1のステップS105へ進む。
【0144】
図4に戻り、ステップS105において、補正部50は、特定された補完対象リンクと交通環境が類似する、つまり所定の相関関係を有する代替リンクを特定する。
【0145】
交通環境に所定の相関関係があるか否かは、交差点がある又はない、立体交差点がある又はない、変化点からの距離が所定値以内である、道路種別が共通する、走行路の進行方向が共通する、及び車線数が共通するという条件を用いて判断する。補正部50は、これらの条件群のうち、何れか1以上の条件を満たす場合は、そのリンクの交通環境は所定の相関関係を有し、類似すると判断する。補正部50は、補完対象リンクと交通環境が類似する代替リンクを特定する(S105)。
【0146】
続いて、ステップS106において、補正部50は、ステップS105で特定された代替リンクのリンク識別子を検索キーとして、交通情報からその代替リンクの交通情報を取得する(S106)。
【0147】
さらに、ステップS107において、補正部50は、補完対象リンクの交通情報を、特定された代替リンクの交通情報に置換する(S107)。
【0148】
ステップS108において、補正部50は、ステップS107にて置換された交通情報410を上書き保存させる(S108)。
【0149】
そして、ステップS109において、補正された交通情報410は、ナビゲーション装置500の経路検索部500などからのアクセスを許諾する(S109)。補正された交通情報410は、経路探索処理、目的地や経由地への到達予測時間の算出、到達時間が最も短い最適経路の探索などに用いられる。
【0150】
本実施形態は、以上にように構成され、動作するので以下の効果を奏する。
【0151】
本実施形態の交通情報管理装置100は、地図情報400と自車両側で検出される情報とから交通環境の変化点を検出し、その交通環境の変化に起因して生じた交通情報の変化を他の地点に関する代替交通情報に基づいて補正するため、交通情報の更新後に交通環境の変化に伴って発生した交通情報の変化を、適時に補正することができる。このため、交通情報の改版までの時間に間隔があっても、交通環境の変化に応じて交通情報を適時に補正することができる。
【0152】
さらにまた、変化点の交通情報を、変化点における変化後の交通環境と所定の相関関係を有する交通環境の交通情報を代替交通情報に置き換えることにより、交通情報を変化後の交通環境を反映させた状態に補正することができる。
【0153】
特に、交差点がある又はない、立体交差点がある又はない、変化点からの距離が所定値以内である、道路種別が共通する、走行路の進行方向が共通する、及び車線数が共通するという条件に基づいて、交通環境の類似性を判断し、代替交通情報を特定するため、変化後の交通環境を正確に反映させた交通情報に補正することができる。
【0154】
つまり、本実施形態の交通情報管理装置100により管理された交通情報は、交通情報の更新や改版にかかわらず、常に現実の交通環境を反映したものとなる。したがって、この交通情報を利用して予測された目的地への到着時刻、所要時間の最短経路、目的地までの所要時間は、現実の交通環境が反映された精度の高い情報となる。
【0155】
また、本実施形態の交通情報管理装置100は、地図情報400に含まれる地点の高さ情報と車両が走行時に検出した地点の高さ情報との差が所定値以上となる地点を、立体交差道路が新設された変化点と検出するため、実際の走行時に交通環境の変化を検出し、交通環境の変化に応じて適時に交通情報を補正することができる。
【0156】
さらに、高さ情報に基づいて立体交差道路が新設された変化点を検出するにあたり、立体交差道路の外形の特徴を考慮し、所定領域内の複数の地点において所定値以上の高さの変化があること、所定領域内の複数の地点のうち最大の高さの地点に最も近い交差点であること、及び検出された地点の高さがその地点を含むリンクごとに定義された所定高さよりも高いことを付加的な条件とすることにより、立体交差道路が新設された変化点を正確に特定することができる。変化点が正確に特定されることにより、交通環境の変化によって交通情報が変化したリンク、すなわち補完されるべきリンクを正確に特定することができる。
【0157】
また、車両側で撮像された車両周辺の撮像画像が予め定義した特徴画像情報31を含むか否かに基づいて立体交差道路が新設された変化点を正確に特定することができる。変化点が正確に特定されることにより、交通環境の変化によって交通情報が変化したリンク、すなわち補完されるべきリンクを正確に特定することができる。
【0158】
加えて、車両側にて検出されたリンクの走行速度3011(又はリンク旅行時間3012)と交通情報から抽出されたリンクの平均走行速度411(又はリンク平均旅行時間412)との差が所定値以上である場合に交通情報の変化が発生したと判断することにより、交通環境が変化し、かつその交通環境の変化によって実際に交通情報が変化したか否かを判断することができる。交通環境が変化してもその変化が交通情報に影響を与えないこともある。本実施形態では、交通環境の変化に伴い実際に交通情報が変化した場合に限り、交通情報を補正する。これにより、補正が必要な場合にのみ補正をすることができる。
【0159】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0160】
すなわち、本明細書では、本発明に係る交通情報管理システムの一態様として車載装置2000と情報提供サーバ2000を備えるシステムを例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0161】
また、本明細書では、交通情報管理装置一態様として、交通情報取得手段の一例としての交通情報取得部20と、変化点検出手段の一例としての変化点検出部30と、交通情報監視手段の一例としての交通情報監視部40と、交通情報補正手段の一例としての補正部50とを備える装置を説明したが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】交通情報管理装置100を含む交通情報管理システム10000の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る交通情報管理装置100を含む車載のナビゲーション装置1000のブロック構成の一例、情報提供サーバ2000のブロック構成の一例を示す図である。
【図3】交通情報の補正処理を説明するための図である。
【図4】交通情報の管理処理の全体を説明するためのフローチャート図である。
【図5】変化点の検出処理を説明するためのフローチャート図である。
【図6】交通情報の変化を監視する処理を説明するためのフローチャート図である。
【符号の説明】
【0163】
10000…交通情報管理システム
1000…ナビゲーション装置
100…交通情報管理装置
10…通信装置
1…演算装置
20…交通情報取得部
21…交通情報記憶機能
30…変化点検出部
31…特徴画像情報
40…交通情報監視部
50…補正部
200…位置検出装置
300…記憶装置
301…走行履歴
3011…リンク走行速度
3012…リンク旅行時間
400…地図情報
4011…リンク距離
4012…高さ情報
410…交通情報
411…リンク平均走行速度
412…リンク平均旅行時間
413…標準偏差情報
414…環境種別
500…経路探索装置
510…到着時刻算出機能
600…入出力装置
601…ディスプレイ
602…スピーカ
603…入力デバイス
3000…車載カメラ
3010…車両周辺画像
4000…車両コントローラ
4010…車速センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された交通情報管理装置であって、
地図情報において定義された各リンクの車両の走行状況を含む交通情報を取得する交通情報取得手段と、
前記地図情報に含まれる各地点の情報と、前記車両側にて検出される各地点の情報とを比較し、前記比較の結果から交通情報の変化の原因となる交通環境の変化点を検出する変化点検出手段と、
前記交通環境の変化を起因とする交通情報の変化を監視する交通情報監視手段と、
前記交通情報監視手段が前記交通環境の変化に起因して生じた交通情報の変化量が所定値以上であると判断した場合は、前記変化点検出手段により検出された変化点に関する交通情報を、変化後の交通環境と所定の相関関係を有する交通環境にある他の地点に関する代替交通情報に置換して前記交通情報を補正する交通情報補正手段と、を有する交通情報管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の交通情報管理装置であって、
前記変化点検出手段は、前記地図情報に含まれる地点の高さ情報と、前記車両が搭載する位置検出装置により検出された地点の高さ情報とを比較し、両者の高さの差が所定値以上である場合は、その地点を立体交差道路が新設された変化点として検出する交通情報管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の交通情報管理装置であって、
前記変化点検出手段は、さらに、前記検出された変化点を含む所定領域内の複数の地点において、前記地図情報に含まれる地点の高さ情報と、前記車両が搭載する位置検出装置により検出された地点の高さ情報との差が所定値以上である場合は、前記所定領域内の交差点を立体交差道路が新設された変化点として検出する交通情報管理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の交通情報管理装置であって、
前記変化点検出手段は、さらに、前記検出された変化点を含む所定領域内の複数の地点のうち、前記車両が搭載する位置検出装置により検出された地点の高さ情報が最大となる地点に最も近い交差点を立体交差道路が新設された変化点として検出する交通情報管理装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか一項に記載の交通情報管理装置であって、
前記変化点検出手段は、さらに、前記車両が搭載する位置検出装置により検出された地点の高さ情報が、前記地点を含むリンクごとに予め定義した所定高さよりも高い場合は、前記地点を立体交差道路が新設された変化点として検出する交通情報管理装置。
【請求項6】
請求項2〜5の何れか一項に記載の交通情報管理装置であって、
前記変化点検出手段は、さらに、前記検出された地点近傍において前記車両側で撮像された車両周辺の撮像画像を取得し、前記取得した車両周辺の撮像画像に予め定義された前記立体交差道路に関する所定の情報が含まれている場合は、前記地点を立体交差道路が新設された変化点として検出する交通情報管理装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の交通情報管理装置であって、
前記交通情報監視手段は、前記車両側にて検出されたリンクの走行速度と、前記交通情報から抽出されたリンクの走行速度とを比較し、両者の速度差が所定値以上である場合は、そのリンクの交通情報に変化が発生したと判断する交通情報管理装置。
【請求項8】
請求項1〜6の何れか一項に記載の交通情報管理装置であって、
前記交通情報監視手段は、前記車両側にて検出されたリンクを走行するのに要するリンク旅行時間と、前記交通情報から抽出した前記リンクのリンク旅行時間とを比較し、両者の時間差が所定値以上である場合は、そのリンクの交通情報に変化が発生したと判断する交通情報管理装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の交通情報管理装置であって、
前記交通情報補正手段は、前記交差点がある又はない、立体交差点がある又はない、変化点からの距離が所定値以内である、道路種別が共通する、走行路の進行方向が共通する、及び車線数が共通するという条件群のうち、何れか1以上の条件を満たす場合に、前記交通環境が相互に所定の相関関係を有すると判断する交通情報管理装置。
【請求項10】
地図情報に定義された各リンクの車両の走行状況を含む交通情報を補正する方法であって、
地図情報に含まれる各地点の情報と、走行する車両側にて検出された各地点の情報とを比較し、比較の結果に基づいて交通情報の変化の原因となる交通環境の変化点を検出し、
この交通環境の変化点に起因して生じた交通情報の変化量が所定値以上となる場合は、検出された変化点に関する交通情報を、変化後の交通環境に基づいて取得された他の地点に関する代替交通情報に置換することにより前記交通情報を補正する交通情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−49391(P2010−49391A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211638(P2008−211638)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】