説明

交通手段の眺望予想表示システムおよびこれに用いられる表示手段

【課題】 従来、車両に備えられた風景動画表示ナビゲーション装置により表示される画像は、これから車両が通行する予定の位置の画像を見ることはできない。
【解決手段】 第1の列車1から眺められる画像がGPS受信器2によって検出されたその運行位置と共にカメラ3により取得され、第1の列車1と同一経路を第1の列車1より遅れて進行する第2の列車21に設けられたモニタ27へサーバ11によって伝達される。モニタ27には、カメラ3によって撮影された画像がその運行位置と関連付けて表示される。このため、第2の列車21に備えられたモニタ27には、第2の列車21が通行する予定の位置から眺められる画像が表示される。また、この画像は、先行する第1の列車1から眺められる最新の画像であるため、従来のように古い画像が表示されて実際に眺められる画像と異なってしまうこともなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影手段によって撮影された交通手段から眺められる画像を表示する表示手段、およびその表示手段を備える交通手段の眺望予想表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の表示手段としては、例えば、特許文献1に開示された風景動画表示ナビゲーション装置がある。この風景動画表示ナビゲーション装置は、交差点から所定距離毎に車両周囲の風景を撮影した静止画を記録している風景動画記録媒体を用いて、利用者の車両が交差点から所定距離走行する毎にその距離に対応する静止画を順にモニタに表示する。利用者はこの風景動画表示ナビゲーション装置により、車両の走行位置に合った周囲の風景画像をモニタで見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−212232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の風景動画表示ナビゲーション装置により表示される画像は、車両の走行位置に合ったものであり、これから車両が通行する予定の位置の画像を見ることはできない。また、上記従来の風景動画表示ナビゲーション装置により表示される画像は、記録媒体に記憶されたデータを用いたものであり、古い画像であることが考えられる。このため、利用者は、最新の車両周囲の風景画像を見ることができない場合がある。また、上記従来の風景動画表示ナビゲーション装置は、風景動画記録媒体に記憶させるデータを予め撮影しておく労力が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
第1の交通手段の運行位置を検出する第1の位置検出手段と、
第1の交通手段から眺められる画像を第1の位置検出手段によって検出された運行位置と共に取得する第1の撮影手段と、
第1の交通手段と同一経路を第1の交通手段より遅れて進行する第2の交通手段に設けられた、第1の撮影手段によって撮影された画像を第1の位置検出手段によって検出された運行位置と関連付けて表示する表示手段と、
第1の撮影手段によって取得された画像および運行位置を表示手段へ伝達する伝達手段と
を備えて交通手段の眺望予想表示システムを構成した。
【0006】
また、本発明は、
第1の交通手段の運行位置を検出する第1の位置検出手段によって検出された第1の交通手段の運行位置と共に第1の交通手段から眺められる画像を取得する撮影手段によって撮影された画像を、第1の位置検出手段によって検出された運行位置と関連付けて表示する、第1の交通手段と同一経路を第1の交通手段より遅れて進行する第2の交通手段に設けられた表示手段を構成した。
【0007】
また、本発明は、
第2の交通手段の運行位置を検出する第2の位置検出手段と、
所望の時間が設定される第2の交通手段に設けられた時間設定手段と、
第2の位置検出手段により検出される第2の交通手段の運行位置および第2の交通手段の運行速度から、時間設定手段により設定された時間後の第2の交通手段の運行予定位置を算出する運行予定位置算出手段とを備え
表示手段が、第1の撮影手段によって撮影された運行予定位置の画像を表示することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、
第2の交通手段の運行位置を検出する第2の位置検出手段と、
所望のランドマークが設定される第2の交通手段に設けられたランドマーク設定手段と、
第2の位置検出手段により検出される第2の交通手段の運行位置および第2の交通手段の運行速度から、ランドマーク設定手段により設定されたランドマークに第2の交通手段が到着する到着時間を算出する到着時間算出手段とを備え、
表示手段が、到着時間算出手段により算出された到着時間を表示することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、
ランドマーク設定手段により設定されたランドマークを含む画像が伝達手段によって表示手段へ伝達されたことが認識された場合に報知を行う報知手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、
第1の撮影手段が、第1の交通手段または第1の交通手段が通過する経路沿いに複数設置されており、
複数の撮影手段の中から任意のものを選択する選択手段を第2の交通手段に備え、
表示手段が、選択手段により選択された撮影手段により撮影された画像を表示することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、
第1の交通手段と同一経路を反対方向に進行する第3の交通手段の運行位置を検出する第3の位置検出手段と、
第3の交通手段から眺められる画像を第3の位置検出手段によって検出された運行位置と共に取得する第3の撮影手段と、
第3の撮影手段によって取得された画像および運行位置を表示手段へ伝達する伝達手段とを備え、
表示手段が、第3の撮影手段によって撮影された画像を第3の位置検出手段によって検出された運行位置と関連付けて表示することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、
表示手段に表示されている画像の運行位置の気象情報を取得する気象情報取得手段を備え、
表示手段が、気象情報取得手段によって取得された気象情報を表示することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、
気象情報取得手段によって取得された運行位置の気象情報の良否を判定する天気判定手段と、
第1の撮影手段により取得された気象情報が良いときの画像および運行位置を記憶する記憶手段とを備え、
表示手段が、天気判定手段により表示手段に表示されている画像の運行位置の気象情報が良くないと判定された場合、記憶手段に記憶された当該運行位置の気象情報が良いときの画像を表示することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、
第1の撮影手段によって取得された画像および運行位置を予め定められた所定の区間ごとに記憶する記憶手段を備え、
伝達手段が、第1の撮影手段によって取得された画像および運行位置を記憶手段から所定の区間ごとに読み出して表示手段へ伝達することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、
第2の交通手段の運行位置を検出する第2の位置検出手段と、
第2の交通手段から眺められる画像を第2の位置検出手段によって検出された運行位置と共に取得する第2の撮影手段と、
第2の交通手段に後続する交通手段に設けられた、第2の撮影手段によって撮影された画像を第2の位置検出手段によって検出された運行位置と関連付けて表示する表示手段と、
第2の撮影手段によって取得された画像および運行位置を表示手段へ伝達する伝達手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明による交通手段の眺望予想表示システムおよびこれに用いられる表示手段によれば、第2の交通手段に備えられた表示手段には、第2の交通手段が通行する予定の位置から眺められる画像が表示される。また、この画像は、先行する第1の交通手段から眺められる最新の画像であるため、従来のように古い画像が表示されて実際に眺められる画像と異なってしまうこともなくなる。また、従来のように、風景動画記録媒体などに記録させる画像データを予め撮影して取得しておく労力も必要ない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態による交通手段の眺望予想表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す交通手段の眺望予想表示システムにおいて、第1の列車で撮影された画像を第2の列車のモニタに表示する処理の概略を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す交通手段の眺望予想表示システムにおけるモニタに設定時間後の予想車窓を表示した図である。
【図4】図1に示す交通手段の眺望予想表示システムにおけるモニタに設定時間後の予想車窓、予想到達時刻、および天気予報を表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明による交通手段の眺望予想表示システムを列車に適用した場合における、本発明を実施するための一形態について説明する。
【0019】
図1は、この一実施の形態による列車の眺望予想表示システムの概略構成を示す図である。
【0020】
本システムは、第1の交通手段を構成する第1の列車1に設けられたGPS(Global Positioning System)受信器2およびカメラ3と、第2の交通手段を構成する第2の列車21に設けられたモニタ27とを備えている。第2の列車21は、第1の列車1と同一経路を第1の列車1より遅れて進行する。
【0021】
第1の列車1には、GPS受信器2およびカメラ3の他に制御部4および送信部5が設けられている。カメラ3は、第1の列車1に複数設置されており、例えば、前方・後方・右側・左側の各座席位置などに配置されている。もしくはカメラ3で全方位の撮影が行われる。これらのカメラ3は、第1の列車1の各位置の車窓から眺められる画像を撮影する。ここで述べる画像とは、静止画像または動画像である。GPS受信器2は、第1の列車1の運行位置を検出する第1の位置検出手段を構成しており、GPS衛星からGPS電波を受信して、受信した電波に含まれる測位信号を基に第1の列車1の位置を検出する。カメラ3は、画像を撮影する際、GPS受信器2で検出した位置情報も同時に取得する。カメラ3は、第1の列車1から眺められる画像をGPS受信器2によって検出された運行位置と共に取得する第1の撮影手段を構成する。制御部4は、送信部5により、カメラ3が撮影した画像をGPS受信器2により測定された位置情報と共に第1の列車1からサーバ11へ送信する。
【0022】
サーバ11は、受信部12、制御部13、送信部14、および記憶部15から構成される。受信部12は、第1の列車1から送信された画像および運行位置を受信する。受信された画像および運行位置は、第1の列車1が各駅を通過する毎に制御部13の制御によって記憶部15に1ブロックとして記録される。記憶部15は、カメラ3によって取得された画像および運行位置を予め定められた所定の区間ごとに記憶する記憶手段を構成する。なお、所定時間毎、例えば10分毎に撮影された画像および運行位置を1ブロックとして
記憶部15に記憶する構成としてもよい。制御部13は、第2の列車21から画像の送信命令が来た場合、記憶部15に記録されている画像および運行位置を送信部14により第2の列車21へ送信する。
【0023】
第2の列車21は、受信部22、制御部23、送信部24、GPS受信器25、カメラ26、およびモニタ27から構成される。受信部22によってサーバ11から第2の列車21に受信された画像は、制御部23の制御によって第2の列車21の各座席に設けられたモニタ27に表示される。送信部5、サーバ11、および受信部22は、カメラ3によって取得された画像および運行位置をモニタ27へ伝達する伝達手段を構成する。また、モニタ27は、第1の列車1と同一経路を第1の列車1より遅れて進行する第2の列車21に設けられた、カメラ3によって撮影された画像をGPS受信器2によって検出された運行位置と関連付けて表示する表示手段を構成する。
【0024】
制御部23は、モニタ27に画像を表示させている場合に、表示されている画像がブロックの切れ目にかかった場合には、次のブロックの画像をサーバ11からダウンロードして、ダウンロードした次のブロックの画像をモニタ27に表示する。伝達手段を構成する送信部5、サーバ11、および受信部22は、カメラ3によって取得された画像および運行位置を記憶部15から1ブロックごとに読み出してモニタ27へ伝達する。また、モニタ27の表示面にはタッチパネルが配置されており、乗客によるモニタ27に対するタッチ操作は、タッチパネルにより検出される。第2の列車21に設けられたカメラ26にはGPS受信器25が接続されている。GPS受信器25は、第2の位置検出手段を構成しており、第2の列車21の運行位置を検出する。カメラ26は、第2の撮影手段を構成しており、第2の列車21から眺められる画像をGPS受信器25によって検出された運行位置と共に取得する。送信部24は、カメラ26の撮影画像およびGPS受信器25により測定された位置情報を制御部23の制御の下でサーバ11へ送信する。サーバ11へ送信された撮影画像および位置情報は、受信部12で受信されて送信部14によって第2の列車21に後続する後続列車へ送信され、この後続列車の各座席に設けられたモニタに表示される。後続列車のモニタは、第2の列車21に後続する交通手段に設けられた、第2の列車21のカメラ26によって撮影された画像をGPS受信器25によって検出された運行位置と関連付けて表示する表示手段を構成する。また、送信部24およびサーバ11は、カメラ26によって取得された画像および運行位置を後続列車のモニタへ伝達する伝達手段を構成する。
【0025】
図2は、上述した交通手段の眺望予想表示システムにおいて、第1の列車1で撮影された画像を第2の列車21のモニタ27に表示する処理の概略を示すフローチャートである。
【0026】
第1の列車1の制御部4は、ステップ(以下、Sと記す)1において、第1の列車1に設けられたカメラ3を用いて第1の列車1の車窓から眺められる画像を撮影する。第1の列車1の制御部4は、S2において、撮影された画像をGPS受信器2で検出された運行位置と共に送信部5を用いてサーバ11へ送信する。サーバ11の制御部13は、S3において、受信部12で受信した画像および運行位置を記憶部15に保存する。
【0027】
第2の列車21に設けられたモニタ27のタッチパネル上には、図3に示すように、前後左右ボタン31、時間設定ボタン32、ランドマーク設定ボタン33、天気予報ボタン34、および晴れの日ボタン35が設けられている。第2の列車21に乗っている乗客は、5分後の車窓から眺められると予想される画像をモニタ27に表示させたい場合、タッチパネルの時間設定ボタン32を操作する。時間設定ボタン32が操作されると、第2の列車21の制御部23は、S4において、時間設定ボタン32の操作に応じて任意の時間の入力を受け付ける時間設定処理を行う。時間設定ボタン32は所望の時間が設定される第2の列車21に設けられた時間設定手段を構成する。この処理で設定された時間は、GPS受信器25が検出したその時の第2の列車21の運行位置および第2の列車21の運行速度と共に、送信部24によってサーバ11に送信される。
【0028】
サーバ11は、この設定時間、運行位置および運行速度を受信すると、S5において、受信した第2の列車21の運行位置および第2の列車21の運行速度から、時間設定手段により設定された時間後の第2の列車21の運行予定位置を運行予定位置算出手段を構成する制御部13によって算出する。次に、サーバ11は、算出された運行予定位置で第1の列車1のカメラ3によって撮影された画像を記憶部15から取得し、S6において、取得した画像を送信部14によって第2の列車21へ送信する。第2の列車21の制御部23は、S7において、受信部22により受信した設定時間後例えば5分後の画像をモニタ27に表示させる信号を出力し、モニタ27は、第1の列車1のカメラ3によって撮影された例えば5分後の運行予定位置の画像を図3に示すように表示する。このように、乗客はそれぞれ自分の好きな“x分後の車窓”を設定することができる。なお、原則として、当日に第1の列車1で撮影された画像が第2の列車21のモニタ27に表示される。しかし、第2の列車21が始発列車である場合には、当日画像がないため、「前日の画像を表示します。」という案内をモニタ27に表示した後、前日に第1の列車1で撮影された画像がモニタ27に表示される。
【0029】
また、図3に示す前後左右ボタン31は、複数のカメラ3の中から任意のものを選択する選択手段を構成しており、第2の列車21の乗客は、前後左右ボタン31をタッチすることにより、第1の列車1の前後左右の各座席位置でカメラ3により撮影された画像の中から、もしくは、全方位撮影可能なカメラ3により撮影された画像の中から、所望の座席位置に応じたもしくは所望の方位の画像を選択することができる。モニタ27は、選択手段により選択されたカメラ3により撮影された画像を表示する。
【0030】
また、ランドマーク設定ボタン33は、所望のランドマークが設定される、第2の列車21に設けられたランドマーク設定手段を構成する。富士山の到着時刻をモニタ27に表示させたい乗客は、タッチパネルのランドマーク設定ボタン33を操作して、富士山をランドマークとして予め登録する。第2の列車21の制御部23は、このランドマーク設定処理が行われると、富士山がランドマークに設定されたことを、GPS受信器25がそのときに検出した第2の列車21の運行位置および第2の列車21の運行速度と共にサーバ11へ送信する。到着時間算出手段を構成するサーバ11の制御部13は、受信した第2の列車21の運行位置および第2の列車21の運行速度から、ランドマーク設定ボタン33により設定されたランドマークに第2の列車21が到着する到着時間を算出し、算出した到着時刻を送信部14により第2の列車21へ送信する。第2の列車21は、受信部22でこの到着時刻を受信し、モニタ27は、到着時間算出手段により算出された到着時間を表示する。例えば、モニタ27は、図4に示すように「富士山予想到達時刻11:00まで30分」と表示する。そして、富士山到着時刻の5分前になると音声でも報知する。
【0031】
また、富士山の現地の天気予報をモニタ27に表示させたい乗客は、タッチパネルの天気予報ボタン34を操作する。第2の列車21の制御部23は、天気予報ボタン34が操作されると、富士山の天気予報を要求する信号をモニタ27に表示されている画像の運行位置と共にサーバ11へ送信する。気象情報取得手段を構成するサーバ11の制御部13は、受信した運行位置の気象情報をネットワークを介して所定のサーバから取得し、取得した気象情報をモニタ27に例えば図4に示すように「天気:晴れ」と表示させる。このように天気予報を表示することで、例えば、曇天や雨天時には、乗客は車窓から眺められる風景の撮影を諦めることができ、無駄に車窓の撮影の準備をしてしまうことを防ぐことができる。
【0032】
また、モニタ27に表示された運行予定位置の画像が曇天や雨天の場合、運行予定位置の画像を乗客は実際に撮影できず、せっかくの撮影を期待していた乗客にとっては旅行の楽しみが半減しかねない。ここで、そのような美しい景観の撮影が期待できない場合には、乗客は、図3に示すタッチパネルの晴れの日ボタン35を押すことで、モニタ27に晴れの日におけるその景観を表示させることができる。第2の列車21の制御部23は、晴れの日ボタン35が操作されると、晴れの日の画像を要求する信号を、モニタ27に表示されている画像の運行位置と共にサーバ11へ送信する。天気判定手段を構成するサーバ11の制御部13は、受信した運行位置の気象情報をネットワークを介して所定のサーバから取得し、取得した運行位置の気象情報の良否を判定する。この判定により、モニタ27に表示されている画像の運行位置の気象情報が良くないと判定された場合、制御部13は、カメラ3により取得された気象情報が良いときの画像および運行位置を記憶している記憶部を構成する所定のサーバにネットワークを介してアクセスし、サーバに記憶された当該運行位置の気象情報が良いときの画像をダウンロードして、第2の列車21へ送信する。第2の列車21の制御部23は、サーバ11から受信した当該運行位置の気象情報が良いときの画像をモニタ27に表示する。この際、乗客が、この晴れの日の画像をモニタ27からダウンロードして、乗客の持つカメラのメモリカード等に保存することができる構成にしてもよい。
【0033】
このような本実施形態による列車の眺望予想表示システムによれば、第1の列車1から眺められる画像がGPS受信器2によって検出されたその運行位置と共にカメラ3により取得され、第1の列車1と同一経路を第1の列車1より遅れて進行する第2の列車21に設けられたモニタ27へサーバ11によって伝達される。モニタ27には、カメラ3によって撮影された画像が、例えば図3に示すように5分後のその運行位置と関連付けて表示される。このため、第2の列車21に備えられたモニタ27には、第2の列車21が通行する予定の位置から眺められる画像が表示される。また、この画像は、先行する第1の列車1から眺められる最新の画像であるため、従来のように古い画像が表示されて実際に眺められる画像と異なってしまうこともなくなる。また、従来の風景動画表示ナビゲーション装置のように、風景動画記録媒体などに記憶させる画像データを予め撮影して取得しておく労力も必要ない。
【0034】
また、本実施形態による列車の眺望予想表示システムによれば、GPS受信器25により検出される第2の列車21の運行位置および第2の列車21の運行速度から、図2、S4で時間設定ボタン32により設定された時間後の第2の列車21の運行予定位置がサーバ11の制御部13によりS5で算出され、カメラ3によって撮影された運行予定位置の画像がモニタ27に図3に示すように表示される。このため、乗客は、所望の任意の時間後に眺められるであろう画像をモニタ27で予め確認することができる。また、モニタ27に表示される、設定された時間後の画像が乗客にとって興味ある画像である場合、乗客は、興味ある画像が実際に眺められるまでの間に撮影準備などを行うことができ、シャッターチャンスを逃すこともなくなる。
【0035】
また、本実施形態による列車の眺望予想表示システムによれば、GPS受信器25により検出される第2の列車21の運行位置および第2の列車21の運行速度から、ランドマーク設定ボタン33により設定されたランドマークに第2の列車21が到着する到着時間がサーバ11の制御部13により算出され、算出された到着時間が図4に示すようにモニタ27に表示される。このため、乗客は、モニタ27に表示される到着時間により、所望のランドマークに第2の列車21が到達する時刻を正確に知ることができる。
【0036】
また、本実施形態による列車の眺望予想表示システムによれば、第1の列車1に複数設置されたカメラ3の中から、前後左右ボタン31により選択されたものにより撮影された画像がモニタ27に表示される。このため、乗客は、複数設置されたカメラ3によって撮影された様々なアングルの画像の中から、自分の座る座席位置に応じた画像や、第2の列車21の所望の位置から眺められる画像などを選択してモニタ27に表示させることができる。
【0037】
また、本実施形態による列車の眺望予想表示システムによれば、モニタ27に表示されている画像の運行位置の気象情報がサーバ11の制御部13により取得され、取得された気象情報がモニタ27により図4に示すように表示される。このため、乗客は、モニタ27に表示された通行予定の位置の気象情報を予め知ることができる。
【0038】
また、本実施形態による列車の眺望予想表示システムによれば、モニタ27に表示されている画像の運行位置の気象情報がサーバ11の制御部13により良くないと判定された場合、所定のサーバに記憶された当該運行位置の気象情報が良いときの画像がモニタ27に表示される。このため、乗客は、モニタ27に表示されている通行予定の位置の天候が良くない場合でも、天候が良いときの画像を見ることができる。
【0039】
また、本実施形態による列車の眺望予想表示システムによれば、第1の列車1のカメラ3によって取得された画像および運行位置が各駅間ごとにサーバ11の記憶部15に記憶され、制御部13により記憶部15から各駅間ごとに読み出されてモニタ27へ伝達される。このため、サーバ11により伝達される画像の容量が小さくなり、画像をモニタ27へ伝達する伝達処理や画像を表示する表示処理の負荷が低減される。
【0040】
また、本実施形態による列車の眺望予想表示システムによれば、第2の列車21から眺められる画像がGPS受信器25によって検出された運行位置と共にカメラ26により取得される。第2の列車21に後続する列車に設けられたモニタには、カメラ26によって撮影された画像がGPS受信器25によって検出された運行位置と関連付けて表示される。このため、後続する各列車のモニタには、先行する各列車から眺められる新しい画像が表示され、後続する各列車の乗客はモニタで常に最新の進行予定の画像を見ることができる。
【0041】
なお、上述した列車の眺望予想表示システムにおいて、ランドマーク設定ボタン33により設定されたランドマークを含む画像がサーバ11によってモニタ27へ伝達されたことが制御部23によって認識された場合に報知を行う報知手段を、モニタ27によって構成してもよい。この構成によれば、ランドマーク設定ボタン33により設定されたランドマークを含む画像がサーバ11によってモニタ27へ伝達されたことが制御部23によって認識された場合に、モニタ27により報知が行われる。このため、所望のランドマークがモニタ27に表示された時に報知が行われることにより、乗客は、モニタ27を注視し続けることなく、ランドマークが近付くことを確実に認識することができる。
【0042】
また、第1の列車1と同一経路を反対方向に進行する第3の列車の運行位置を検出する第3の位置検出手段を構成するGPS受信器と、第3の列車から眺められる画像を第3の位置検出手段によって検出された運行位置と共に取得する第3の撮影手段を構成するカメラと、第3の撮影手段によって取得された画像および運行位置をモニタ27へ伝達する伝達手段とを上述した列車の眺望予想表示システムに備え、モニタ27が、第3の撮影手段によって撮影された画像を第3の位置検出手段によって検出された運行位置と関連付けて表示する構成にしてもよい。この構成によれば、第1の列車1と同一経路を反対方向に進行する第3の列車から眺められる画像が、第3の位置検出手段によって検出された運行位置と共に第3の撮影手段により取得される。第2の列車21のモニタ27には、第3の撮影手段によって撮影された画像が第3の位置検出手段によって検出された運行位置と関連付けて表示される。このため、例えば、第1の列車1とすれ違う第3の列車が障壁となって、すれ違う第3の列車の向こうの景色を第1の列車1のカメラ3により撮影できない場合でも、すれ違う際に第3の撮影手段によって撮影された画像を遡って第2の列車21に備えられたモニタ27に再生表示することにより、カメラ3で撮影できなかった画像を乗客が見ることができる。
【0043】
また、本実施形態では、カメラ3が第1の列車1に複数設置される構成であったが、定点カメラが、第1の列車1が通過する線路沿いに設置されている構成であってもよい。この定点カメラの撮影対象としては、富士山などの景勝地の他、季節に応じて例えば桃の花の咲き具合としてもよいし、何分後か何十分後かに到着する途中駅の駅弁の販売状況としてもよい。
【0044】
また、本実施形態の列車の眺望予想表示システムはサーバ11を含んで構成されていたが、サーバ11を含まないで構成されてもよい。この場合、第1の列車1または第2の列車21に設けられた制御部4または制御部23が上述したサーバ11の機能を備えることになる。また、サーバ11を有した構成において、図2のS5での第2の列車21の運行予定位置の算出は、第2の列車21の制御部23が行う構成としてもよい。この場合は、制御部23が運行予定位置を算出し、運行予定位置を含むブロックの画像をサーバ11に要求する。サーバ11の制御部13は要求されたブロックの画像を記憶部15から読み出し、送信部14を介して第2の列車21に送信する。第2の列車21の受信部22は運行予定位置を含んだブロックの画像を受信する。その後、受信したブロックの画像の中から制御部23が算出した運行予定位置に対応する画像をモニタ27に表示する。
【0045】
また、本実施形態では、第1の列車1から眺められる画像が第2の列車21に備えられたモニタ27に表示される構成であったが、第1の列車1から眺められる画像が、無線通信機能を備えたカメラ、ノートパソコン、携帯電話機等に表示される構成であってもよい。この場合、第1の列車1から眺められる画像が表示されるカメラが、列車の外の風景の撮影方法を案内する撮影アシストガイド機能を備えていてもよい。例えば、「窓ごしに撮影する場合はカメラを窓に密着するようにしたほうがきれいに撮れます。」とカメラが撮影方法を表示または音声で案内する。また、列車速度に応じて、「シャッター速度は1/500秒以上の高速をおすすめします。」と、カメラがその設定を案内する。また、ランドマーク設定を行った場合、ランドマークの形状に応じて撮影アシストガイドを表示したり、ランドマークの形状に応じてカメラの設定を変更するようにしてもよい。また、カメラの設定が撮影アシストガイドに一致したら自動的に撮影が行われるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
上記実施形態においては、本発明による交通手段の眺望予想表示システムを列車に適用した場合について説明したが、列車に限らず、バス、航空機、船舶等の他の交通手段にも適用することが可能である。例えば、交通手段が鉄道やバスの場合、後続車両が先行車両と同じコースをたどるため、予告車窓として精度の高い画像が得られる。また、交通手段が飛行機の場合、各社で同じ航路を使用するため、1社(または1グループ会社)ではなく管制区域毎に撮影を行い、モニタに表示させるサービスを提供してもよい。また、交通手段が車やバスなどの陸路の場合、高速道路会社、あるいは高速バス会社との提携を行って上述したサービスを提供してもよい。このような交通手段に本発明を適用した場合においても、上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0047】
1…第1の列車
2、25…GPS受信器
3、26…カメラ
4、13、23…制御部
5、14、24…送信部
11…サーバ
12、22…受信部
15…記憶部
21…第2の列車
27…モニタ
31…前後左右ボタン
32…時間設定ボタン
33…ランドマーク設定ボタン
34…天気予報ボタン
35…晴れの日ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の交通手段の運行位置を検出する第1の位置検出手段と、
前記第1の交通手段から眺められる画像を前記第1の位置検出手段によって検出された運行位置と共に取得する第1の撮影手段と、
前記第1の交通手段と同一経路を前記第1の交通手段より遅れて進行する第2の交通手段に設けられた、前記第1の撮影手段によって撮影された画像を前記第1の位置検出手段によって検出された運行位置と関連付けて表示する表示手段と、
前記第1の撮影手段によって取得された画像および運行位置を前記表示手段へ伝達する伝達手段と
を備えて構成される交通手段の眺望予想表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の交通手段の眺望予想表示システムにおいて、
前記第2の交通手段の運行位置を検出する第2の位置検出手段と、
所望の時間が設定される前記第2の交通手段に設けられた時間設定手段と、
前記第2の位置検出手段により検出される前記第2の交通手段の運行位置および前記第2の交通手段の運行速度から、前記時間設定手段により設定された時間後の前記第2の交通手段の運行予定位置を算出する運行予定位置算出手段とを備え
前記表示手段は、前記第1の撮影手段によって撮影された前記運行予定位置の画像を表示することを特徴とする交通手段の眺望予想表示システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の交通手段の眺望予想表示システムにおいて、
前記第2の交通手段の運行位置を検出する第2の位置検出手段と、
所望のランドマークが設定される前記第2の交通手段に設けられたランドマーク設定手段と、
前記第2の位置検出手段により検出される前記第2の交通手段の運行位置および前記第2の交通手段の運行速度から、前記ランドマーク設定手段により設定されたランドマークに前記第2の交通手段が到着する到着時間を算出する到着時間算出手段とを備え、
前記表示手段は、前記到着時間算出手段により算出された到着時間を表示することを特徴とする交通手段の眺望予想表示システム。
【請求項4】
請求項3に記載の交通手段の眺望予想表示システムにおいて、
前記ランドマーク設定手段により設定されたランドマークを含む画像が前記伝達手段によって前記表示手段へ伝達されたことが認識された場合に報知を行う報知手段を備えることを特徴とする交通手段の眺望予想表示システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の交通手段の眺望予想表示システムにおいて、
前記第1の撮影手段は、前記第1の交通手段または前記第1の交通手段が通過する経路沿いに複数設置されており、
複数の前記撮影手段の中から任意のものを選択する選択手段を前記第2の交通手段に備え、
前記表示手段は、前記選択手段により選択された前記撮影手段により撮影された画像を表示することを特徴とする交通手段の眺望予想表示システム。
【請求項6】
請求項5に記載の交通手段の眺望予想表示システムにおいて、
前記第1の交通手段と同一経路を反対方向に進行する第3の交通手段の運行位置を検出する第3の位置検出手段と、
前記第3の交通手段から眺められる画像を前記第3の位置検出手段によって検出された運行位置と共に取得する第3の撮影手段と、
前記第3の撮影手段によって取得された画像および運行位置を前記表示手段へ伝達する伝達手段とを備え、
前記表示手段は、前記第3の撮影手段によって撮影された画像を前記第3の位置検出手段によって検出された運行位置と関連付けて表示することを特徴とする交通手段の眺望予想表示システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の交通手段の眺望予想表示システムにおいて、
前記表示手段に表示されている画像の運行位置の気象情報を取得する気象情報取得手段を備え、
前記表示手段は、前記気象情報取得手段によって取得された気象情報を表示することを特徴とする交通手段の眺望予想表示システム。
【請求項8】
請求項7に記載の交通手段の眺望予想表示システムにおいて、
前記気象情報取得手段によって取得された運行位置の気象情報の良否を判定する天気判定手段と、
前記第1の撮影手段により取得された気象情報が良いときの画像および運行位置を記憶する記憶手段とを備え、
前記表示手段は、前記天気判定手段により前記表示手段に表示されている画像の運行位置の気象情報が良くないと判定された場合、前記記憶手段に記憶された当該運行位置の気象情報が良いときの画像を表示することを特徴とする交通手段の眺望予想表示システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の交通手段の眺望予想表示システムにおいて、
前記第1の撮影手段によって取得された画像および運行位置を予め定められた所定の区間ごとに記憶する記憶手段を備え、
前記伝達手段は、前記第1の撮影手段によって取得された画像および運行位置を前記記憶手段から前記所定の区間ごとに読み出して前記表示手段へ伝達することを特徴とする交通手段の眺望予想表示システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の交通手段の眺望予想表示システムにおいて、
前記第2の交通手段の運行位置を検出する第2の位置検出手段と、
前記第2の交通手段から眺められる画像を前記第2の位置検出手段によって検出された運行位置と共に取得する第2の撮影手段と、
前記第2の交通手段に後続する交通手段に設けられた、前記第2の撮影手段によって撮影された画像を前記第2の位置検出手段によって検出された運行位置と関連付けて表示する表示手段と、
前記第2の撮影手段によって取得された画像および運行位置を前記表示手段へ伝達する伝達手段とを備えることを特徴とする交通手段の眺望予想表示システム。
【請求項11】
第1の交通手段の運行位置を検出する第1の位置検出手段によって検出された前記第1の交通手段の運行位置と共に前記第1の交通手段から眺められる画像を取得する撮影手段によって撮影された画像を、前記第1の位置検出手段によって検出された運行位置と関連付けて表示する、前記第1の交通手段と同一経路を前記第1の交通手段より遅れて進行する第2の交通手段に設けられた表示手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−226972(P2011−226972A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98592(P2010−98592)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】