説明

交通経路案内システム、交通情報提供装置、交通経路受信端末および交通経路案内端末

【課題】乗換時間を個々に考慮した適切な交通経路を利用者に提供することを課題とする。
【解決手段】携帯端末20が交通情報提供装置10に対して交通経路探索要求を送信すると、交通情報提供装置10が出発地から目的地までの移動可能な経路(例えば、携帯端末20が交通情報提供装置10に対してAを出発地、Cを目的地とした交通経路探索要求を送信した場合は、交通情報提供装置10は、B駅を中継する経路およびD駅を中継する経路)を探索する。そして、交通情報提供装置10は、乗換の経路における状況および携帯端末所有者の特性に応じて、乗換時間を推測する。続いて、交通情報提供装置10は、推測された乗換時間を用いて、その乗換時間を含んだ経路1および経路2(ここで経路1とは、最短時間で出発地から目的地まで最短時間で移動可能な経路1をいい、また、経路2とは、二番目に短い時間で移動可能な経路をいう。)を探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、出発地から目的地までの交通経路を案内する交通経路案内システム、交通情報提供装置、交通経路受信端末および交通経路案内端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、出発地から目的地までの交通経路を探索する技術が実施されている。例えば、特許文献1では、交通機関の運行時刻および交通機関の乗換に要する乗換時間を記憶し、その運行時刻および乗換時間に基づいて、出発地から目的地までの交通経路を探索する。ここで乗換時間とは、通常の状況において一般の人が所定の距離を移動するのに要する移動時間をいう。
【0003】
【特許文献1】特開平10−76950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来の技術は、固定された乗換時間(通常の状況において一般の人が所定の距離を移動するのに要する移動時間)を用いて出発地から目的地までの交通経路を探索するので、例えば、乗換時に乗換経路が混雑しており、通常時よりも乗換に時間を要する場合や、探索を要求した利用者の歩行速度が遅く、一般人よりも乗換に時間を要する場合であっても、固定された乗換時間を用いて交通経路を探索することとなり、乗換時間を個々に考慮した適切な交通経路を利用者に提供することができないという課題がある。
【0005】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、乗換時間を個々に考慮した適切な交通経路を利用者に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、出発地から目的地までの交通経路を探索する交通経路探索要求を送信する端末と、当該交通経路探索要求を前記端末から受信して、交通機関の乗換に要する乗換時間を含んだ交通経路を探索して前記端末に送信する交通情報提供装置とからなる交通経路案内システムであって、前記交通情報提供装置は、前記端末から受信する交通経路探索要求ごとに、前記乗換時間を推測する乗換時間推測手段と、前記乗換時間推測手段によって推測された前記乗換時間を用いて、当該乗換時間を含んだ交通経路を探索する交通経路探索手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、上記の発明において、前記交通情報提供装置から受信した交通経路に係る情報を他の端末に対して送信する他端末送信手段をさらに備えたこと特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、上記の発明において、前記乗換時間推測手段は、前記端末の所有者における特性に応じて、前記乗換時間を推測することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、上記の発明において、前記乗換時間推測手段は、前記端末から交通経路探索要求を受信して交通経路を当該端末に送信した後に、前記乗換の経路における状況が変化した場合には、当該状況の変化に応じて前記乗換時間を改めて推測し、前記交通経路探索手段は、前記乗換時間推測手段によって改めて推測された前記乗換時間を用いて、当該乗換時間を含んだ交通経路を改めて探索することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、上記の発明において、前記交通経路探索手段は、前記交通機関の混雑状況に応じて、前記交通経路を探索することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、出発地から目的地までの交通経路を探索する交通経路探索要求を交通情報提供装置に送信して、当該交通情報提供装置から交通機関の乗換に要する乗換時間を含んだ交通経路を探索結果として受信する交通経路受信端末であって、前記交通情報提供装置から前記交通経路探索要求ごとに推測された前記乗換時間を含んだ交通経路を探索結果として受信する受信手段と、前記受信手段によって受信した探索結果を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る発明は、上記の発明において、前記交通情報提供装置から受信した交通経路に係る情報を他の端末に対して送信する他端末送信手段をさらに備えたこと特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る発明は、出発地から目的地までの交通経路を探索する交通経路探索要求に応じて、交通機関の乗換に要する乗換時間を含んだ交通経路を探索する交通経路案内端末であって、前記交通経路探索要求ごとに、前記乗換時間を推測する乗換時間推測手段と、前記乗換時間推測手段によって推測された前記乗換時間を用いて、当該乗換時間を含んだ交通経路を探索する交通経路探索手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、交通情報提供装置は、端末から受信する交通経路探索要求ごとに、乗換時間を推測し、推測された乗換時間を用いて、その乗換時間を含んだ交通経路を探索するので、乗換時間を個々に考慮した適切な交通経路を利用者に提供することが可能である。
【0015】
また、請求項2の発明によれば、端末から受信する交通経路探索要求ごとに、乗換時間を推測し、推測された乗換時間を用いて、その乗換時間を含んだ交通経路を探索するので、乗換時間を個々に考慮した適切な交通経路を利用者に提供することが可能である。
【0016】
また、請求項3の発明によれば、端末の所有者における特性に応じて、乗換時間を推測するので、端末の所有者の特性(例えば、時間がかかっても階段を使用せずにエレベータを使用する)を考慮して乗換時間を推測する結果、適切な交通経路を探索することが可能である。
【0017】
また、請求項4の発明によれば、端末から交通経路探索要求を受信して交通経路をその端末に送信した後に、乗換の経路における状況が変化した場合には、その状況の変化に応じて乗換時間を改めて推測し、改めて推測された乗換時間を用いて、その乗換時間を含んだ交通経路を改めて探索するので、例えば、乗り換え先の交通機関までの道のりが急に混雑した場合には、乗換時間が変化する結果、再度改めて乗換時間を推測して適切な交通経路を探索することが可能である。
【0018】
また、請求項5の発明によれば、交通機関の混雑状況に応じて、前記交通経路を探索するので、例えば、交通経路に用いる電車の車両内が混雑している場合、または交通機関が事故により止まった場合等の交通機関の状況を考慮して交通経路を探索する結果、交通機関の状況に適した交通経路を探索することが可能である。
【0019】
また、請求項6の発明によれば、交通情報提供装置から、交通経路探索要求ごとに推測された乗換時間を含んだ交通経路を探索結果として受信し、受信した探索結果を出力するので、乗換時間を個々に考慮した適切な交通経路を交通情報提供装置から受信することが可能である。
【0020】
また、請求項7の発明によれば、端末は、交通情報提供装置から受信した交通経路に係る情報を他の端末に対して送信するので、例えば、自動車に乗車する際に、携帯端末から車載端末に交通経路に係る情報を送信し、継続して交通経路に関する情報を利用することが可能である。
【0021】
また、請求項8の発明によれば、交通経路探索要求ごとに、乗換時間を推測し、推測された乗換時間を用いて、その乗換時間を含んだ交通経路を探索するので、交通情報提供装置等から情報を受信することなく、乗換時間を個々に考慮した適切な交通経路を利用者に提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る交通経路案内システム、交通情報提供装置、交通経路受信端末および交通経路案内端末の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
以下の実施例では、実施例1に係る交通経路案内システムの概要および特徴、交通経路案内システムの構成、交通情報提供装置の構成、携帯端末の構成および処理の流れを順に説明し、最後に実施例1による効果を説明する。
【0024】
[実施例1に係る電話端末の概要および特徴]
まず最初に、図1および図2を用いて、実施例1に係る交通経路案内システムの概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係る交通経路案内システムの概要および特徴を説明するための図である。
【0025】
実施例1の交通経路案内システム1では、出発地から目的地までの交通経路を探索する要求(以下、交通経路探索要求という。)を送信する携帯端末20と、その要求を携帯端末20から受信して、交通機関の乗換に要する乗換時間を含んだ交通経路を探索して携帯端末20に送信する交通情報提供センタに設置された交通情報提供装置10とからなることを概要とする。そして、この交通経路案内システム1では、乗換時間を個々に考慮した適切な交通経路を利用者に提供する点に主たる特徴がある。
【0026】
この主たる特徴について具体的に説明すると、実施例1に係る交通経路案内システム1は、図2に示すように、携帯端末20が交通情報提供装置10に対して交通経路探索要求を送信すると、交通情報提供装置10が出発地から目的地までの移動可能な経路(例えば、携帯端末20が交通情報提供装置10に対してAを出発地、Cを目的地とした交通経路探索要求を送信した場合は、交通情報提供装置10は、B駅を中継する経路およびD駅を中継する経路)を探索する。そして、交通情報提供装置10は、乗換の経路における状況および携帯端末所有者の特性に応じて、乗換時間を推測する。続いて、交通情報提供装置10は、推測された乗換時間を用いて、その乗換時間を含んだ経路1および経路2(ここで経路1とは、最短時間で出発地から目的地まで最短時間で移動可能な経路1をいい、また、経路2とは、二番目に短い時間で移動可能な経路をいう。)を探索する。
【0027】
例えば、図1に示すように、交通情報提供装置10は、朝の8時(通勤ラッシュ時)に、齋藤さんがB駅のa線からB駅のb線へ移動する場合は、乗換時間が徒歩で20分かかると推測し、一方、D駅のc線からD駅のd線へ移動する場合は、乗換時間が徒歩で30分かかると推測する。そして、推測された乗換時間を用いて、A駅からB駅を経由してC駅に行く経路(移動時間45分)を経路1とし、A駅からD駅を経由してC駅に行く経路(移動時間1時間)を経路2として探索する。
【0028】
また、図1に示すように、例えば、人混みの少ない夜の21時に、同じく齋藤さんがB駅のa線からB駅のb線へ移動する場合は、朝の8時と比較して2分少ない18分かかると推測し、一方、夜の21時にD駅のc線からD駅のd線へ移動する場合は、朝の8時と比較して20分少ない10分かかると推測する。そして、朝の8時とは異なり、A駅からD駅を経由してC駅に行く経路(移動時間40分)を経路1とし、A駅からB駅を経由してC駅に行く経路(移動時間43分)を経路2として探索する。
【0029】
また、図1に示すように、例えば、足を怪我している鈴木さんが、同じく夜の21時にB駅のa線からB駅のb線へ移動する場合は、齋藤さんと比較して、32分多い50分かかると推測し、一方、鈴木さんがD駅のc線からD駅のd線へ移動する場合は、齋藤さんと比較して20分多い30分かかると推測する。そして、A駅からD駅を経由してC駅に行く経路(移動時間1時間)を経路1とし、A駅からB駅を経由してC駅に行く経路(移動時間1時間15分)を経路2として探索する。
【0030】
このように、交通経路案内システム1は、上記した主たる特徴のごとく、乗換時間を個々に考慮した適切な交通経路を利用者に提供することが可能である。
【0031】
[交通経路案内システムの構成]
次に、図2を用いて、図1に示した交通経路案内システム1の構成を説明する。図2は、実施例1に係る交通経路案内システム1の構成を示す構成図である。同図に示すように、この交通経路案内システム1は、交通情報提供装置10と、携帯端末20と、GPS衛星40とを、公衆回線網30を介して相互に通信可能に接続して構成される。なお、携帯端末20は、特許請求の範囲に記載の「端末」に対応する。
【0032】
このうち、交通情報提供装置10は、交通経路探索要求を携帯端末20から受信すると、交通経路探索要求ごとに、乗換時間を推測し、推測された乗換時間を用いて、その乗換時間を含んだ交通経路を探索し、探索された交通経路に係る情報(以下、探索結果情報という。)を携帯端末20に送信する。また、交通情報提供装置10は、乗換経路の状況(例えば、乗換時の乗換経路が混雑している)に係る情報(以下、乗換状況情報という。)を例えば各交通会社(鉄道会社)が提供するデータベースからネットワークを介して取得する。また、各携帯端末の位置から乗換状況を推定することも可能である。
【0033】
携帯端末20は、交通情報提供装置10に対して交通経路探索要求を送信し、その後、交通情報提供装置10から交通経路探索要求ごとに推測された乗換時間を含んだ交通経路を探索結果として受信する。また、携帯端末20は、端末の所有者の特性(例えば、時間がかかっても階段を使用せずにエレベータを使用する)に係る情報(以下、端末所有者特性情報という)を交通情報提供装置10に対して送信する。なお、これらのデータは端末所有者(利用者)が端末に予め入力しておく必要がある。
【0034】
各GPS付携帯端末50a〜50eは、GPS衛星40からの信号に基づき、位置情報を定期的に取得(算出)し、その位置情報を乗換経路の状況に係る情報(以下、乗換状況情報という)として、交通情報提供装置10に対して送信する。
【0035】
[交通情報提供装置の構成]
次に、図3を用いて、図2に示した交通情報提供装置10の構成を説明する。図3は、実施例1に係る交通情報提供装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、交通情報提供装置10は、携帯端末20と、GPS衛星40とを、公衆回線網30を介して相互に通信可能に接続される。
【0036】
また、交通情報提供装置10は、通信制御IF11と、制御部12と、記憶部12とから構成される。以下にこれらの各部の処理を説明する。
【0037】
このうち、通信制御IF部11は、公衆回線網30を介して接続される携帯端末20とやり取りする各種情報に関する通信を制御する手段である。具体的には、通信制御IF部11は、携帯端末20との間で交通経路探索要求、端末所有者特性情報、探索結果情報、および位置情報をやり取りする。
【0038】
記憶部13は、制御部12による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する格納手段であり、ハードディスクドライブ等で構成され、特に本発明に密接に関連するものとしては、乗換状況記憶部13aおよび端末所有者特性記憶部13bを備える。
【0039】
このうち、乗換状況記憶部13aは、乗換状況情報を記憶する手段であり、具体的には、後述する乗換経路状況実測部12aによって実測された乗換状況情報を記憶する手段である。
【0040】
端末所有者特性記憶部13bは、端末所有者の特性に係る情報(以下、端末所有者特性情報という)を記憶する手段であり、不揮発性メモリ等で構成され、具体的には、後述する端末所有者特性設定受付部12bによって受け付けられた端末所有者特性情報を記憶する記憶手段である。
【0041】
制御部12は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部であり、マイクロコンピュータ等で構成され、乗換経路状況算出部12a、端末所有者特性受付部12b、乗換時間推測部12cおよび交通経路探索部12dを備える。
【0042】
このうち、乗換経路状況算出部12aは、乗換経路における状況を算出する処理部であり、具体的には、GPS衛星40によって取得された各GPS付携帯端末50a〜50eの位置情報を定期的に受信し、その位置情報を基に乗換状況情報を算出し(例えば、単位面積あたりの端末数を算出、または端末の移動方向と端末の移動スピードを算出する)、乗換状況記憶部13aに記憶する。なお、別の方法として、乗換状況情報を提供するデータベースから乗換状況情報を得て記憶する方法も可能である。
【0043】
端末所有者特性設定受付部12bは、端末所有者特性情報の設定を受け付ける手段であり、具体的には、携帯端末20から送信された端末所有者特性情報(例えば、足を怪我しているためエスカレータが必要等の自己の能力情報、または雑踏を回避したい等の嗜好情報)を受け付けて、端末所有者特性記憶部13bに記憶する。
【0044】
乗換時間推測部12cは、携帯端末20から送信された交通経路探索要求ごとに、乗換時間を推測する手段である。具体的には、乗換時間推測部12cは、携帯端末20から交通経路探索要求を受信すると、乗換状況記憶部13aから乗換状況情報を取得し、また、端末所有者特性記憶部13bから端末所有者特性情報を取得する。そして、その乗換状況情報および端末所有者特性情報に応じて、乗換時間を推測する。例えば、人混みの少ない夜の21時に、同じく齋藤さんがB駅のa線からB駅のb線へ移動する場合は、朝の8時と比較して2分少ない18分かかると推測し、一方、夜の21時にD駅のc線からD駅のd線へ移動する場合は、朝の8時と比較して20分少ない10分かかると推測する(図1参照)。
【0045】
交通経路探索部12dは、乗換時間推測部12cによって推測された乗換時間を用いて、その乗換時間を含んだ交通経路を探索する手段であり、具体的には、乗換時間推測部12cが乗換時間を推測した後、その乗換時間を含んだ交通経路を探索し、探索した交通経路を携帯端末20に対して送信する。
【0046】
[携帯端末の構成]
次に、図4を用いて、図2に示した携帯端末20の構成を説明する。図4は、実施例1に係る携帯端末20の構成を示すブロック図である。同図に示すように、携帯端末20は、公衆回線網30を介して交通情報提供装置10と相互に通信可能に接続される。
【0047】
また、携帯端末20は、通信制御IF21および制御部22から構成される。以下にこれらの各部の処理を説明する。
【0048】
このうち、通信制御IF部11は、公衆回線網30を介して接続される交通情報提供装置10との間でやり取りする各種情報に関する通信を制御する手段である。具体的には、通信制御IF部11は、交通情報提供装置10との間で交通経路探索要求、端末所有者特性情報および探索結果情報をやり取りする。
【0049】
制御部12は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部であり、マイクロコンピュータ等で構成され、交通経路探索要求送信部22a、探索結果受信部22bおよび探索結果出力部22cを備える。
【0050】
このうち、交通経路探索要求送信部22aは、出発地から目的地までの交通経路を探索する交通経路探索要求を交通情報提供装置10に対して送信する処理部であり、送信機等により構成され、具体的には、交通経路探索要求(例えば、出発する駅、目的とする駅、出発時間等)を交通情報提供装置10に対して送信する。
【0051】
探索結果受信部22bは、交通情報提供装置10から交通経路探索要求ごとに推測された乗換時間を含んだ交通経路の探索結果として受信する処理部であり、受信機等により構成される。具体的には、交通情報提供装置10の交通経路探索部12dが交通経路を探索し、その交通経路の探索結果情報を端末20に送信した後、探索結果受信部22bは、その探索結果情報を受信する。
【0052】
探索結果出力部22cは、探索結果受信部22bによって受信した探索結果を出力する処理部であり、具体的には、探索結果受信部22bが探索結果情報を受信した後に、その探索結果情報を取得し、出力する(例えば、図1参照)。
【0053】
[交通経路案内システムによる処理]
次に、図5を用いて、実施例1に係る交通経路案内システム1による処理を説明する。図5は、実施例1に係る交通経路案内処理の流れを示すシーケンス図である。なお、携帯端末20の処理は、利用者による交通経路探索要求操作があった際に開始され、交通情報提供装置10の処理は交通経路探索要求信号を検出した際に開始される。
【0054】
同図に示すように、交通経路案内システム1の携帯端末20が交通経路探索要求を交通情報提供装置10に対して送信し(ステップS101)、その交通経路探索要求を交通情報提供装置10が受信すると(ステップS102)、乗換状況記憶部13aから乗換状況情報を取得して、端末所有者特性記憶部13bから端末所有者特性情報を取得する。そして、その乗換状況情報および端末所有者特性情報に応じて、乗換時間を推測する(ステップS103)。
【0055】
そして、交通経路探索部12dは、乗換時間推測部12cが乗換時間を推測した後、その乗換時間を含んだ交通経路を探索し(ステップS104)、探索した交通経路を携帯端末20に対して送信し(ステップS105)、その探索結果を携帯端末20の探索結果受信部22bが受信する(ステップS106)。その後、携帯端末20の探索結果受信部22bが探索結果情報を受信した後に、その探索結果情報を取得し、出力する(ステップS107)(例えば、図1参照)。
【0056】
[実施例1の効果]
上述してきたように、交通情報提供装置10は、携帯端末20から受信する交通経路探索要求ごとに、乗換時間を推測し、推測された乗換時間を用いて、その乗換時間を含んだ交通経路を探索するので、乗換時間を個々に考慮した適切な交通経路を利用者に提供することが可能である。
【0057】
また、実施例1によれば、乗換の経路における状況に応じて、乗換時間を推測するので、乗換の経路における状況(例えば、乗換時の乗換経路が混雑している)を考慮して乗換時間を推測する結果、適切な交通経路を探索することが可能である。
【0058】
また、実施例1によれば、携帯端末20の所有者における特性に応じて、乗換時間を推測するので、携帯端末20の所有者の特性(例えば、時間がかかっても階段を使用せずにエレベータを使用する)を考慮して乗換時間を推測する結果、適切な交通経路を探索することが可能である。
【実施例2】
【0059】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では実施例2として本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0060】
(1)乗換時間推測
例えば、上記の実施例1では、乗換状況情報および端末所有者特性情報に応じて、乗換時間を推測する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、乗換状況情報または端末所有者特性情報のどちらか一つに応じて、乗換時間を推測するようにしてもよい。
【0061】
(2)RFIDリーダ
また、上記の実施例1では、携帯端末20の位置検出機能(GPS)および通信機能を用いて位置情報を取得する場合を説明したが、RFIDリーダを用いて位置情報を取得する。つまり携帯端末20にRFIDチップを内蔵させるとともに交通情報提供装置10と通信接続されたRFIDリーダを各拠点に設置し、RFIDリーダが読み取ったRFIDとそのRFIDと設置位置データから位置を把握する方法も可能である。
【0062】
(3)再度改めて経路探索
また、乗換の経路における状況が変化した場合には、交通経路を改めて探索するようにしてもよい。具体的には、交通情報提供装置10は、携帯端末20から交通経路探索要求を受信して交通経路を携帯端末に送信した後に、乗換の経路における状況が変化した場合には、その状況の変化に応じて、乗換時間を改めて推測し、その推測された乗換時間を用いて、乗換時間を含んだ交通経路を改めて探索する。
【0063】
このように、携帯端末20から交通経路探索要求を受信して交通経路をその携帯端末20に送信した後に、乗換の経路における状況が変化した場合には、その状況の変化に応じて乗換時間を改めて推測し、改めて推測された乗換時間を用いて、その乗換時間を含んだ交通経路を改めて探索するので、例えば、乗り換え先の交通機関までの道のりが急に混雑した場合には、乗換時間が変化する結果、再度改めて乗換時間を推測して適切な交通経路を探索することが可能である。
【0064】
(4)交通機関の混雑状況
また、交通機関の混雑状況に応じて、交通経路を探索するようにしてもよい。具体的には、交通情報提供装置10は、GPS衛星40から交通機関内の位置情報を取得し、その取得した位置情報から交通機関の混雑状況を判断し、その交通機関の混雑状況に応じて、交通経路を探索する。
【0065】
このように、交通機関の混雑状況に応じて、交通経路を探索するので、例えば、交通経路に用いる電車の車両内が混雑している場合、または事故により交通機関が止まった場合等の交通機関の状況(例えば、交通経路に用いる電車の車両内が混雑している、または交通機関が事故により止まっている等)を考慮して交通経路を探索する結果、交通機関の状況に適した交通経路を探索することが可能である。
【0066】
(5)情報の共有
また、携帯端末20が他の端末(例えば、車載端末)との間で交通経路に係る情報を送受信できるようにしてもよい。具体的には、携帯端末20は、交通情報提供装置10から受信した交通経路の探索結果情報を他の端末に対して送信し、また他の端末が交通情報提供装置から受信した交通経路の探索結果情報を受信する。
【0067】
このように、携帯端末20は、交通情報提供装置10から受信した交通経路に係る情報を他の端末に対して送信するので、例えば、自動車に乗車する際に、携帯端末から車載端末に交通経路に係る情報を送信し、継続して交通経路に関する情報を利用することが可能である。
【0068】
(6)端末のみ
また、交通情報提供装置10等と通信を行わずに、交通経路案内端末(例えば、PC等)のみで、乗換時間を含んだ交通経路を探索するようにしてもよい。具体的には、図6に示すように、交通経路案内端末60は、入力部70から入力された乗換状況情報および端末所有者特性情報を受け付けて、記憶する。そして、その記憶された換状況情報および端末所有者特性情報に応じて、乗換時間を推測する。そして、乗換時間を推測した後、その乗換時間を含んだ交通経路を探索し、その探索結果を出力部80から出力する。
【0069】
(7)自動車による移動
また、上記の実施例1では、歩行による乗換時間を推測する場合を説明したが、自動車による移動時間も推測するようにしてもよい。例えば、自宅から駅までの自動車による移動する場合は、道路の混雑状況および運転者の特性に応じて、自宅から駅までの自動車による移動時間を推測し、その移動時間を含んだ交通経路を探索する。
【0070】
(8)乗換時間
また、交通機関の待ち時間を考慮して、乗換時間を推測してもよい。例えば、降車駅のプラットホームから乗車駅のプラットホームまでの移動所要時間(個人特性や混雑状況により異なる)と、降車駅の降車時刻から乗車駅のプラットホームへの到着時刻を予測し、それ以後の最初の適切な列車の発車時刻を求める。この降車駅での降車時刻と乗車駅の発車時刻の差が乗換時間となる。
【0071】
(9)システム構成等
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、乗換時間推測部12cと交通経路探索部12dを統合してもよい。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0072】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0073】
(10)プログラム
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図7を用いて、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図7は、交通経路案内を実行するコンピュータを示す図である。
【0074】
同図に示すように、交通経路案内端末としてのコンピュータ600は、HDD610、RAM620、ROM630およびCPU640をバス650で接続して構成される。
【0075】
そして、ROM630には、上記の実施例と同様の機能を発揮する電話端末、つまり、図7に示すように、乗換経路状況算出プログラム631、端末所有者特性受付プログラム632、乗換時間推測プログラム633および交通経路探索プログラム634が予め記憶されている。なお、プログラム631〜634については、図3に示した交通情報提供装置10の各構成要素と同様、適宜統合または分散してもよい。
【0076】
そして、CPU640が、これらのプログラム631〜634をROM630から読み出して実行することで、図7に示すように、各プログラム631〜634は、乗換経路状況算出プロセス641、端末所有者特性受付プロセス642、乗換時間推測プロセス643および交通経路探索プロセス644として機能するようになる。各プロセス641〜644は、図3に示した乗換経路状況算出部12a、端末所有者特性受付部12b、乗換時間推測部12cおよび交通経路探索部12dにそれぞれ対応する。
【0077】
また、HDD610には、図7に示すように、乗換状況テーブル611および端末所有者特性テーブル612が設けられる。なお、乗換状況テーブル611および端末所有者特性テーブル612は、図3に示した乗換状況記憶部13aおよび端末所有者特性記憶部13bにそれぞれ対応する。そして、CPU640は、乗換状況テーブル611および端末所有者特性テーブル612に対してデータを登録するとともに、乗換状況テーブル611および端末所有者特性テーブル612から乗換状況データ621および端末所有者特性データ622を読み出してRAM620に格納し、RAM620に格納された乗換状況データ621および端末所有者特性データ622に基づいて位置情報を管理する処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明に係る交通経路案内システム、交通情報提供装置、交通経路受信端末および交通経路案内端末は、出発地から目的地までの交通経路を探索する交通経路探索要求を送信し、その交通経路探索要求を端末から受信して、交通機関の乗換に要する乗換時間を含んだ交通経路を探索して端末に送信するのに有用であり、特に、乗換時間を個々に考慮した適切な交通経路を利用者に提供するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施例1に係る交通経路案内システムの概要および特徴を説明するための図である。
【図2】実施例1に係る交通経路案内システムの構成を示す構成図である。
【図3】実施例1に係る交通経路案内システムにおける交通情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施例1に係る交通経路案内システムにおける携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図5】実施例1に係る交通経路案内処理の流れを示すシーケンス図である。
【図6】交通経路案内端末の構成を示すブロック図である。
【図7】交通経路案内を実行するコンピュータを示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 交通経路案内システム
10 交通情報提供装置
11 通信制御IF部
12 制御部
12a 乗換経路状況算出部
12b 端末所有者特性受付部
12c 乗換時間推測部
12d 交通経路探索部
13 記憶部
13a 乗換状況記憶部
13b 端末所有者特性記憶部
20 携帯端末
21 通信制御IF
22 制御部
22a 交通経路探索要求送信部
22b 探索結果受信部
22c 探索結果出力部
30 公衆回線網
40 GPS衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの交通経路を探索する交通経路探索要求を送信する端末と、当該交通経路探索要求を前記端末から受信して、交通機関の乗換に要する乗換時間を含んだ交通経路を探索して前記端末に送信する交通情報提供装置とからなる交通経路案内システムであって、
前記交通情報提供装置は、
前記端末から受信する交通経路探索要求ごとに、前記乗換時間を推測する乗換時間推測手段と、
前記乗換時間推測手段によって推測された前記乗換時間を用いて、当該乗換時間を含んだ交通経路を探索する交通経路探索手段と、
を備えたことを特徴とする交通経路案内システム。
【請求項2】
出発地から目的地までの交通経路を探索する交通経路探索要求を端末から受信して、交通機関の乗換に要する乗換時間を含んだ交通経路を探索して前記端末に送信する交通情報提供装置であって、
前記端末から受信する交通経路探索要求ごとに、前記乗換時間を推測する乗換時間推測手段と、
前記乗換時間推測手段によって推測された前記乗換時間を用いて、当該乗換時間を含んだ交通経路を探索する交通経路探索手段と、
を備えたことを特徴とする交通情報提供装置。
【請求項3】
前記乗換時間推測手段は、前記端末の所有者における特性に応じて、前記乗換時間を推測することを特徴とする請求項2に記載の交通情報提供装置。
【請求項4】
前記乗換時間推測手段は、前記端末から交通経路探索要求を受信して交通経路を当該端末に送信した後に、前記乗換の経路における状況が変化した場合には、当該状況の変化に応じて前記乗換時間を改めて推測し、
前記交通経路探索手段は、前記乗換時間推測手段によって改めて推測された前記乗換時間を用いて、当該乗換時間を含んだ交通経路を改めて探索することを特徴とする請求項2または3に記載の交通情報提供装置。
【請求項5】
前記交通経路探索手段は、前記交通機関の混雑状況に応じて、前記交通経路を探索することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の交通情報提供装置。
【請求項6】
出発地から目的地までの交通経路を探索する交通経路探索要求を交通情報提供装置に送信して、当該交通情報提供装置から交通機関の乗換に要する乗換時間を含んだ交通経路を探索結果として受信する交通経路受信端末であって、
前記交通情報提供装置から前記交通経路探索要求ごとに推測された前記乗換時間を含んだ交通経路を探索結果として受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した探索結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする交通経路受信端末。
【請求項7】
前記交通情報提供装置から受信した交通経路に係る情報を他の端末に対して送信する他端末送信手段をさらに備えたこと特徴とする請求項6に記載の交通経路受信端末。
【請求項8】
出発地から目的地までの交通経路を探索する交通経路探索要求に応じて、交通機関の乗換に要する乗換時間を含んだ交通経路を探索する交通経路案内端末であって、
前記交通経路探索要求ごとに、前記乗換時間を推測する乗換時間推測手段と、
前記乗換時間推測手段によって推測された前記乗換時間を用いて、当該乗換時間を含んだ交通経路を探索する交通経路探索手段と、
を備えたことを特徴とする交通経路案内端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−183880(P2007−183880A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2848(P2006−2848)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】