説明

人参総二次配糖体医薬組成物及びその製造方法と応用

人参二次配糖体医薬組成物及びその製造方法と応用である。その組成物は主にプロトパナキサジオールをアグリコンとする人参サポニン(ジンセノサイドRg3)及びプロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニン(ジンセノサイドRg2とジンセノサイドRh1)を含む。ニンジン属植物から製造されたもので、抽出、酸加水分解により、マクロポーラス樹脂を用いて分離、精製、濃縮した。狭心症、冠性心疾患、心筋虚血、出血性ショック、心不全、不整脈の薬物を製造するために用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬組成物及びその製造方法と応用に関するものであり、特に人参総二次配糖体(ginseng secondary glycosides)医薬組成物及びその製造方法と応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人参は漢方に補気の要薬である。性味と帰経は甘、微苦、平である。作用と主治は大補元気、復脈固脱、補脾益肺、生津、安神である。体虚欲脱、肢冷脈微、脾虚食少、肺虚喘咳、津傷口渇、内熱消渇、久病虚羸、驚悸不眠、陽萎宮冷の他、心不全、心原性ショックに用いられる。
【0003】
漢方と中西医結合臨床の研究によれば、人参とその製剤は心筋収縮力の強化、冠状動脈の拡張、冠血流量の増加、心筋酸素消費量の軽減、心筋再潅流損失の保護、血小板凝集の抑制、アンチトロンビン等の薬理活性を有することが認められ、臨床的には胸痺心痛(冠性心疾患)や動脈硬化等の疾患の治療に用いられる。
【0004】
胸痺心痛の病因は主に「胸に陽が微弱で、巡りが悪くなり、長びくと陰が陽を奪いて痺結となる」(「類証治裁・胸痺篇」)、「或いは寒邪を受けたり、冷物を食べたり、内に蒸し暑さがあることから、頑痰死血になり、或いは怒りによって気が滞ることから胸痛になる」(「古今医監・心痛門」参照)ことにある。
【0005】
人は中年になると、体質が下がり、五臓が徐々に衰弱し、臓腑の機能が失調し、素体の陽気が不足し、寒暑等の邪気に繰り返して侵入すること、過食、恣食肥甘、思慮倦怠、又は情志失調等のため、胸痺心痛になる。その疾患は心に存在し、肝、脾、肺、腎である臓器に関わる。病理的変化は臓腑の気血が陰陽失調となり、心血が不足し、心陽不振となるので、結果として気滞、寒凝、痰濁、於血等で心脈が阻害されたり、心脈痺阻、気滞血於になって発病する。疾患の機構は本虚標実であって、本虚とは心気、心血、心陰虚或いは心腎陽虚であり、標実とは気滞、寒凝、痰濁、於血であり、心脈を阻害する。発病において本虚と標実は往々にしてお互いに因果になるため、病態が重なり、虚実挟雑で、枝葉末節と根本が共に現れるような複雑な症状を呈する。治療には調和陰陽、温補陽気、気血を疏通させることを大法とする。気は血の統率者で、気が巡りよければすなわち血が巡りよくになる。補気昇陽、活血化於は胸痺心痛を治すための大切な法則である。
【0006】
現代の科学研究による結果として、人参の主な生物活性成分は人参サポニンである。紅参と生干人参はいずれもサポニンを含有するが、そのサポニン単量体は異なり、紅参は生干人参に含まれないサポニン、即ちジンセノサイドRg2、Rg3、Rh1、Rh2等を含有する。これらの新たなサポニンは人参の加工工程で、蒸製や、乾燥によって、人参サポニンが加水分解されて産生された二次配糖体である。
【0007】
これらの二次配糖体は多くの新しい活性を有し、例えばジンセノサイドRh1、Rh2、Rg3は著しい抗癌活性を有しており、癌細胞に対して再分化誘導作用を有し、癌細胞の健康な細胞への再分化を誘導することができる。その他のサポニン単量体はこのような作用を有していないか、作用の強度が弱い。ジンセノサイドRg3はコラーゲンやADPに誘導された血小板凝集に強い抑制作用を有する。ジンセノサイドRh1はトロンビンに誘導されたフィブリノゲンからフィブリンへの転換に顕著な抑制作用を持つ。
【0008】
また、近年、血清薬理学の理念を活用して、人参サポニンの体内代謝を研究した結果、プロト人参サポニンの人体内での吸収率は非常に低く(ジンセノサイドRb1の経口吸収は僅か1%である)、本質的に人体に吸収された活性成分は腸内細菌によって代謝された二次配糖体であることがわかった。王本祥教授は人参サポニンの体内代謝過程を研究する場合に、ジンセノサイドRg1を経口投与した後、血液に吸収された生物活性成分は主として腸内細菌によって代謝された二次配糖体Rh1であることを見出した。
【0009】
厳永清教授は生脈飲の活性成分の研究過程で、単独の処方成分をそれぞれに煎じたものと比べて、復方生脈飲を一緒に煎じたものは効果がよく、復方を一緒に煎じた後、湯液中の人参サポニンは主に人参二次配糖体Rg2、Rg3、Rh1であり、プロト人参サポニンが消失したことを見出した。この研究結果から、復方生脈飲の主な生物活性成分は人参二次配糖体Rg2、Rg3、Rh1であることがわかった。
【0010】
しかし、これらのサポニンの天然含有量は極めて低く、例えば、Rg3の含有量は白参には僅か0.0003%であるが、紅参には約0.03%である。一方、Rh2とC-Kは天然の人参には存在されず、紅参のみには0.001%程度のRh2が含まれる。C-Kは人参サポニンが腸内で代謝された生成物である。これらの人参二次配糖体化合物は入手困難であり、薬物の開発に必要とされるキロレベルの量はほとんど不可能である。従って、新たな方法を採用して上記の化合物を製造することには重要な意味がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第一の目的は、プロト人参サポニンの人体内での吸収利用率が非常に低く、かつ生物活性が比較的弱いという欠点を克服し、人参二次配糖体を含む人参総二次配糖体医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の目的は以下の構成により実現される。
【0013】
人参総二次配糖体の医薬組成物であって、当該人参総二次配糖体がニンジン属植物から抽出された人参総二次配糖体抽出物であり、以下の成分:
(1) ジンセノサイドRg3を含む、プロトパナキサジオールをアグリコンとする人参サポニン、
(2) ジンセノサイドRg2及びジンセノサイドRh1を含む、プロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニン、
を含み、前記のプロトパナキサジオール、プロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニンの合計が、重量百分率で20〜98%であることを特徴とする、人参総二次配糖体医薬組成物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に述べる人参総二次配糖体抽出物において、その色や組成は人参総二次配糖体の製造方法及び抽出物に含まれる人参総二次配糖体の含有量によって変化する。即ち、その含有量が20%から98%まで増加するに従い(ここで言う術語「人参総二次配糖体」とは前記の「プロトパナキサジオール、プロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニンの合計」と同一の概念である)、その人参総二次配糖体以外の成分の組成は徐々に少なくなる。ニンジン属植物抽出物を有機酸で加水分解した後、そのまま乾燥に至るまで濃縮した場合には、得られた人参総二次配糖体抽出物の色は茶色であり、その人参総二次配糖体の含有量は20%〜40%であり、その他の60%〜80%は多糖類、植物色素、フラボン及びその配糖体、ステロイド及びその配糖体である。
【0015】
ニンジン属植物抽出物を有機酸で加水分解して、その加水分解溶液を有機溶媒で抽出し、有機相を乾燥に至るまで濃縮して得た人参総二次配糖体抽出物、或いはその加水分解溶液をマクロポーラス樹脂(macroporous resin)に吸着させ、ほぼ無色になるまで水で洗浄しし、再度含水の有機溶媒または純粋な有機溶媒で溶出して、有機溶媒を含有する溶出部分を乾燥に至るまで濃縮して得た人参総二次配糖体抽出物は、その色は黄色で、その人参総二次配糖体の含有量は40%〜55%であり、その他の45%〜60%は植物色素、フラボン及びその配糖体、ステロイド及びその配糖体である。
【0016】
ニンジン属植物抽出物を有機酸で加水分解し、その加水分解溶液を有機溶媒で抽出してから、有機相をアルカリ性水で溶出してフェノール酸部分を除いた後、有機相を乾燥に至るまで濃縮して得た人参総二次配糖体抽出物、或いはその加水分解溶液をマクロポーラス樹脂に吸着させ、アルカリ性水でフェノール酸部分を洗浄除去し、中性かつほぼ無色まで水洗いし、再度含水の有機溶媒または純粋な有機溶媒で溶出して、有機溶媒を含有する溶出部分を乾燥に至るまで濃縮して得た人参総二次配糖体抽出物は、その色は淡黄色で、その人参総二次配糖体の含有量は50%〜70%であり、余分30%〜50%は植物色素、ステロイド及びその配糖体である。
【0017】
ニンジン属植物抽出物を有機酸で加水分解し、その加水分解溶液を有機溶媒で抽出してから、有機相をアルカリ性水で溶出してフェノール酸部分を除去した後、有機相を乾燥に至るまで濃縮して得られた人参総二次配糖体抽出物、或いはその加水分解溶液をマクロポーラス樹脂に吸着させ、アルカリ性水でフェノール酸部分を洗浄除去して、中性かつほぼ無色まで水洗いし、再度含水の有機溶媒または純粋な有機溶媒で溶出して、有機溶媒を含有する溶出部分を乾燥に至るまで濃縮して得られた人参総二次配糖体抽出物。このように得られた人参総二次配糖体抽出物を、シリカゲルカラムでクロマトグラフィー分離を行い、シリカゲル薄層検査によって、ジンセノサイドRg3、ジンセノサイドRg2、ジンセノサイドRh1を含む部分を合わせ、移動相を留去して得られた人参総二次配糖体抽出物の色は白濁色である。その人参総二次配糖体の含有量は70%〜98%であり、その他の2%〜30%は主にステロイド及びその配糖体である。
【0018】
好ましい態様において、その特徴は:上記のプロトパナキサジオールをアグリコンとする人参サポニンが、さらにジンセノサイドRh2を含み、上記のプロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニンが、さらにジンセノサイドRh3、ジンセノサイドRf、ノトジンセノサイド(Notogensenoside)R2を含むこと;
プロトパナキサジオール、プロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニンの合計は、重量百分率で20〜98%であること、
にある。
【0019】
好ましい態様において、その特徴は:ジンセノサイドRg3はジンセノサイド20-(S)-Rg3及び/またはジンセノサイド20-(R)-Rg3であり、ジンセノサイドRg2はジンセノサイド20-(S)-Rg2及び/またはジンセノサイド20-(R)-Rg2であり、ジンセノサイドRh1はジンセノサイド20-(S)-Rh1及び/またはジンセノサイド20-(R)-Rh1であること;
重量百分率で、上記のジンセノサイドRg3は10〜30%で、ジンセノサイドRg2は1〜20%で、ジンセノサイドRh1は1〜10%であること;
上記のプロトパナキサジオール、プロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニンの合計は、重量百分率で50〜98%であること、
にある。
【0020】
好ましい態様において、その特徴は:上記の人参総二次配糖体医薬組成物において、前記のジンセノサイドRg3は12〜20%で、前記のジンセノサイドRg2は4〜16%で、前記のジンセノサイドRh1は3〜5%であること;
上記のプロトパナキサジオール、プロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニンの合計は、重量百分率で50〜98%であること、
にある。
【0021】
上記の人参総二次配糖体医薬組成物の抽出に用いられる植物は、各種の人参、西洋人参、三七人参、竹節人参であるニンジン属植物であり、これらの中で、人参須が好適な植物である。
【0022】
上記の人参総二次配糖体医薬組成物の抽出製造方法は、加水分解工程を含み、前記の加水分解工程は無機酸または有機酸を加水分解触媒とし、酢酸を加水分解触媒とすることが好ましい。
【0023】
具体的に実施する場合に、上記の医薬組成物は治療有効量の人参総二次配糖体抽出物、添加剤、賦形剤及び医薬に許容されうる担体を含有してもよい。
【0024】
本発明の人参総二次配糖体医薬組成物は、人参抽出物を弱酸で加水分解することによって抽出して製造された総二次配糖体である。その主成分の生合成は、ジンセノサイドRb系(プロト配糖体)が加水分解されて生成されたジンセノサイドRg3(二次配糖体)、ジンセノサイドRe系(プロト配糖体)が加水分解されて生成されたジンセノサイドRg2(二次配糖体)、及びジンセノサイドRg1系(プロト配糖体)が加水分解されて生成されたジンセノサイドRh1(二次配糖体)である。体系的な検討によって、高速液体クロマトグラフィーの優れた勾配溶出条件が選別され、本発明の20-(S)-Rg3、20-(R)-Rg3、20-(S)-Rg2、20-(R)-Rg2、20-(S)-Rh1、20-(R)-Rh1のにおいて良好な分離効果が得られる。
【0025】
本発明の第二の目的は人参総二次配糖体医薬組成物の製造方法を提供することである。
【0026】
本発明の第二の目的である人参総二次配糖体医薬組成物の製造方法は、下記の通りに達成することができる。
【0027】
人参総二次配糖体医薬組成物の製造方法は以下の工程:
(1)ニンジン属植物を水または有機溶媒で抽出してから、その抽出液を濃縮する、人参総二次配糖体抽出液の調製工程、
(2)無機酸または有機酸を触媒として上記の濃縮した抽出液を加水分解する、加水分解溶液の調製工程、
(3)加水分解溶液をマクロポーラス樹脂により吸着させてカラムに付着させる樹脂吸着工程、
(4)加水分解溶液を吸収した吸着カラムを再度水での溶出、アルカリ性水での溶出、濃度35%以下のエタノールでの溶出を経て不純物を除去する、不純物除去工程、及び
(5)不純物を除去した後、濃度35%以上のエタノールで吸着カラムを溶出して、35%以上のエタノール溶出液を集め、流エキスに濃縮し、真空で乾燥して、人参総二次配糖体医薬組成物を得る、溶出、濃縮、乾燥工程、
を含む。
【0028】
好ましい態様において、その特徴は:上記工程(2)の無機酸または有機酸触媒が、氷酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸から選択され、前記加水分解反応は80〜100℃の条件下で行われ、加水分解時間が3〜8時間であることにあり;好ましくは、氷酢酸での加水分解反応が99℃の条件下で行われ、加水分解時間は5時間である。
【0029】
好ましい態様において、その特徴は:上記工程(3)に用られるマクロポーラス樹脂がスチレン系マクロポーラス樹脂であり、スチレン系マクロポーラス樹脂、エチルスチレン系マクロポーラス樹脂、メチルスチレン系マクロポーラス樹脂を含むことを特徴とする好ましい技術案である。
【0030】
好ましい態様において、その特徴は:上記工程(4)に用られるアルカリ性水が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムからなる群より選択されるものを、濃度0.1%〜5.0%で配合した水溶液であることにある。好ましくは水酸化ナトリウムは0.3%〜0.7%、水酸化カリウムは0.4%〜0.8%、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムは0.6%〜1.5%である。
【0031】
好ましい態様において、その特徴は:上記工程(4)で用られる、不純物を溶出、除去するためのエタノールの濃度が15〜25%であることにある。
【0032】
好ましい態様において、その特徴は:上記工程(5)に用られる、吸着カラムを溶出するためのエタノールの濃度が60〜80%であることにある。
【0033】
本発明の第三の目的は人参総二次配糖体抽出物の医薬用製剤を提供し、臨床応用の目的や患者の状況によって、異なる剤形に製造して治療を行うことである。
【0034】
一般的な患者に対して、人参総二次配糖体抽出物を口腔内崩壊錠、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、経口液、滴丸、注射液などに作製して使用することができる。
【0035】
人参総二次配糖体錠剤を調製する場合、人参総二次配糖体抽出物の粉とミント香料、糖蜜、微粉シリカゲル、タルク等を用いて通常の方法によって行われる。人参総二次配糖体抽出物は、重量百分率で全錠剤の3%〜85%を占める。
【0036】
人参総二次配糖体顆粒剤を調製する場合、人参総二次配糖体抽出物と澱粉、甘味剤、微粉シリカゲル、タルク等を用いて通常の方法によって行われる。人参総二次配糖体抽出物は、重量百分率で全顆粒剤の3%〜85%を占める。
【0037】
人参総二次配糖体経口液を調製する場合、人参総二次配糖体抽出物とトウィーン、糖蜜、微粉シリカゲル、エチルパラベン、プロピルパラベン等を用いて通常の方法によって行われる。人参総二次配糖体抽出物は、重量百分率で全経口液の3%〜85%を占める。
【0038】
人参総二次配糖体カプセル剤を調製する場合、人参総二次配糖体抽出物と澱粉、微粉シリカゲル、タルク、中空の硬カプセル等を用いて通常の方法によって行われる。人参総二次配糖体抽出物は、重量百分率で全カプセル剤の3%〜85%を占める。
【0039】
本発明の人参総二次配糖体口腔内崩壊錠では、その目的は以下の通りに実現することができる。
【0040】
人参総二次配糖体口腔内崩壊錠であって、当該口腔内崩壊錠は、以下の成分:
A 人参総二次配糖体医薬組成物である有効成分A;
B 充填剤を含む補助成分;
を含み、重量百分率で、A成分は全口腔内崩壊錠の3%〜85%を占めることを特徴とする。
【0041】
好ましい態様において、その特徴は:上記の人参総二次配糖体口腔内崩壊錠の補助成分Bにはマスキング剤から製造したクラスレート化合物或いは固体分散体が含まれることにある。
【0042】
好ましい態様において、その特徴は:上記の補助成分Bに記載された充填剤は澱粉、デキストリン、乳糖、結晶セルロース、インスタントスターチ、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、蔗糖、ブドウ糖、果糖、フコース、マルトースから選択される一種以上であることにある。
【0043】
好ましい態様において、その特徴は:上記の補助成分Bはさらに、以下の組成、即ち
低級置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルスターチナトリウムから選択される一種以上の崩壊剤、
シクロデキストリン及びその誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、メタアクリル酸ポリマーから選択されるマスキング剤、
エタノール溶液、水、ポリビニルピロリドン溶液、澱粉スラリーから選択される粘着剤、
クエン酸、酒石酸、硼酸、フマル酸、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムから選択される発泡剤、
ミント香料、レモン香料、糖蜜、アスパルテーム、ステビオサイドから選択される矯味剤、
微粉シリカゲル等から選択される流動助剤、
タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコールから選択される滑沢剤、
を含み、各々の補助成分の補助成分Bに占める重量部は充填剤10〜95、崩壊剤0〜50、マスキング剤0〜50、粘着剤0〜10、発泡剤0〜60、矯味剤0〜20、流動助剤0〜15、滑沢剤0〜30であることにある。
【0044】
本発明の第四の目的は人参総二次配糖体口腔内崩壊錠の製造方法を提供し、その目的は以下の技術案によって実現することができる。
【0045】
人参総二次配糖体口腔内崩壊錠の製造方法であって、その製造工序は以下の通りである:
(1)ニンジン属植物を水または有機溶媒で抽出してから、その抽出液を濃縮する、人参総二次配糖体抽出液の調製工程、
(2)無機酸または有機酸を触媒として上記の濃縮した抽出液を加水分解する、加水分解溶液の調製工程、
(3)加水分解溶液をマクロポーラス樹脂に吸着させ、カラムに付着させる、樹脂吸着工程、
(4)加水分解溶液を吸収した吸着カラムを水での洗浄、アルカリ性水での洗浄、濃度35%以下のエタノールでの洗浄を経て不純物を除去する、不純物除去工程、
(5)不純物を除去した後、濃度35%以上のエタノールで吸着カラムを溶出して、濃度35%以上のエタノール溶出液を集め、流エキスに濃縮して、真空で乾燥し、人参総二次配糖体医薬組成物としての成分Aを得る、溶出、濃縮、乾燥する工程、
(6)工程(5)で得られた成分Aの人参総二次配糖体医薬組成物と、補助成分Bとを均一に配合してから、乾燥、粉砕し、通常の方法によって打錠して人参総二次配糖体口腔内崩壊錠を得る。
【0046】
本発明の第五の目的は、以下の薬物を製造するための、人参総二次配糖体医薬組成物の使用である
即ち、冠性心疾患狭心症の治療薬を製造するための使用、
心筋の治療薬を製造するための使用、
出血性ショックの治療薬物を製造するための使用
心不全の治療薬を製造するための使用。
【0047】
以下、具体的な実施形態によって本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0048】
実施例1
人参須根段10kgを取り、70%エタノールで3回の還流抽出を、抽出ごとに、5倍量の溶媒で3時間行った。抽出液を合わせて、減圧濃縮した。濃縮液に等しい体積の99%氷酢酸を加えて、97〜99℃の条件下で3時間加水分解した。加水分解溶液に等しい体積の水を加えてD101型のマクロポーラス樹脂カラムを通過させた。全試料をカラムにかけた後、水でほぼ無色まで溶出して、0.5%水酸化ナトリウムで溶出した後、水で中性まで溶出して、20%エタノールで溶出し、最後に70%エタノールで溶出して、70%エタノール溶出液を集め、流エキスに減圧濃縮し、70℃で真空乾燥して、人参総二次配糖体抽出物0.56kgを得た。各有効成分の含有量を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、20-(S)-Rg3は9.0%、20-(R)-Rg3は9.0%、20-(S)-Rg2は5.1%、20-(R)-Rg2は5.1%、20-(S)-Rh1は3.8%、20-(R)-Rh1は3.8%であった。人参サポニン20-(R)-Rg3を対照品として、比色法で測定した人参総二次配糖体の含有量は62%であった。余分は植物色素とダウコステロールであった。
【0049】
得られた人参総二次配糖体医薬組成物50gと、結晶セルロース及びマンニトールを取ってそれぞれ粉砕し、ふるいに通して準備した;メタアクリル酸ポリマーEudragit E100型15gを取り、適量のエタノール溶液に溶かし、攪拌しながら人参総二次配糖体を徐々に加え、人参総二次配糖体が均一に分散されるように攪拌しつつ、減圧乾燥、粉砕、ふるいを通過させて、架橋ポリビニルピロリドン10g、結晶セルロース70g、マンニトール190g、アスパルテーム2g、微粉シリカゲル17.5g、ステアリン酸マグネシウム1.5gを加えて均一に混合し、含有量測定によって錠重量を算出し、打錠して人参総二次配糖体口腔内崩壊錠を得た。
実施例2
人参飲片10kgを取り、70%エタノールで3回の還流抽出を、抽出ごとに、6倍量の溶媒で3時間行った。抽出液を合わせて、減圧濃縮した。濃縮液に等しい体積の0.1%塩酸を加え、80〜83℃の条件下で8時間加水分解した。加水分解溶液に等しい体積の水を加えてD2型のマクロポーラス樹脂カラムを通過させた。全試料をカラムにかけた後、水でほぼ無色まで溶出して、5.0%水酸化カリウムで溶出してから、水で中性まで溶出し、15%エタノールで溶出し、最後に60%エタノールで溶出して、60%エタノール溶出液を集め、流エキスに減圧濃縮し、70℃で真空乾燥して人参総二次配糖体抽出物0.35kgを得た。得られた人参総二次配糖体抽出物をシリカゲルカラム(200〜300メッシュ、10kg)にてクロマトグラフー分離を行い、ジクロロメタン−メタノールを移動相として勾配溶出し、シリカゲル薄層で検査して、ジンセノサイドRg3、ジンセノサイドRg2、ジンセノサイドRh1を含む部分を合わせ、ジクロロメタン−メタノールを留去して得られた人参総二次配糖体抽出物の色は白濁色であった。
【0050】
各有効成分の含有量を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、20-(S)-Rg3は25.0%、20-(R)-Rg3は25.0%、20-(S)-Rg2は4.2%、20-(R)-Rg2は4.2%、20-(S)-Rh1は4.7%、20-(R)-Rh1は4.7%であった。人参サポニン20-(R)-Rg3を対照品として、比色法で測定した人参総二次配糖体の含有量は98.5%であった。余分はステロイド及びその配糖体であった。
【0051】
上記の人参総二次配糖体抽出物10gとトウィーン−80(5ml)を取り、注射用水1500mlを加えて溶かした後、2000 mlになるように適量の注射用水を入れて、ろ過、分配包装、滅菌した。人参総二次配糖体注射液を得た。
実施例3
三七人参飲片10kgを取り、70%エタノールで3回の還流抽出を、抽出ごとに、5倍量の溶媒で3時間行った。抽出液を合わせて、減圧濃縮した。濃縮液に等しい体積の99%氷酢酸を加えて、87〜89℃の条件下で5時間加水分解した。加水分解溶液に等しい体積の水を加えてDM2型のマクロポーラス樹脂カラムを通過させた。全試料をカラムにかけた後、水でほぼ無色まで溶出し、3.5%水酸化ナトリウムで溶出してから、水で中性まで溶出し、25%エタノールで溶出し、最後に80%エタノールで溶出して、80%エタノール溶出液を集め、流エキスに減圧濃縮して、70℃で真空乾燥し、人参総二次配糖体抽出物0.38kgを得た。各有効成分の含有量を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、20-(S)-Rg3は5.7%、20-(R)-Rg3は5.7%、20-(S)-Rg2は9.3%、20-(R)-Rg2は9.3%、20-(S)-Rh1は8.2%、20-(R)-Rh1は8.2%であった。人参サポニン20-(R)-Rg3を対照品として、比色法で測定した人参総二次配糖体の含有量は65%であった。余分は植物色素、b-シトステロール及びダウコステロールであった。
【0052】
得られた人参総二次配糖体医薬組成物50g、澱粉30g、クエン酸55g、酒石酸55g、重炭酸ナトリウム40g、ミント香料5g、糖蜜15g、微粉シリカゲル45g、タルク5gを量って均一に混合し、含有量測定によって錠重量を算出し、打錠して人参総二次配糖体錠を得た。
実施例4
人参茎葉10kgを取り、70%エタノールで3回の還流抽出を、抽出ごとに、5倍量の溶媒で3時間行った。抽出液を合わせて、減圧濃縮した。濃縮液に等しい体積の氷酢酸を加え、90〜93℃の条件下で7時間加水分解した。加水分解溶液を流エキスに減圧濃縮し、70℃で真空乾燥して人参総二次配糖体抽出物0.71kgを得た。各有効成分の含有量を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、20-(S)-Rg3は3.5%、20-(R)-Rg3は3.5%、20-(S)-Rg2は0.5%、20-(R)-Rg2は0.5%、20-(S)-Rh1は0.4%、20-(R)-Rh1は0.4%であった。人参サポニン20-(R)-Rg3を対照品として、比色法で測定した人参総二次配糖体の含有量は21%であった。余分は人参多糖類、植物色素、フラボン系及びその配糖体、b-シトステロール及びダウコステロールであった。
【0053】
上記の人参総二次配糖体抽出物100g、トウィーン−80(50ml)、エチルパラベン1g、プロピルパラベン1g、サッカリンナトリウム5gに、水8000mlを加えて溶かしてから、10000mlになるように適量の注射用水を入れて、ろ過、分配包装して人参総二次配糖体経口液を得た。
実施例5
西洋人参飲片10kgを取り、50%エタノールで3回の還流抽出を、抽出ごとに、7倍量の溶媒で2.5時間行った。抽出液を合わせて、減圧濃縮した。濃縮液に等しい体積の氷酢酸を加え、97〜99℃の条件下で5時間加水分解した。加水分解溶液に等しい体積の水を加えてDS2型のマクロポーラス樹脂カラムを通過させた。全試料をカラムにかけた後、水でほぼ無色まで溶出し、0.8%水酸化カリウムで溶出してから、水で中性まで溶出し、20%エタノールで溶出し、最後に80%エタノールで溶出し、80%エタノール溶出液を集め、流エキスに減圧濃縮し、70℃で真空乾燥して人参総二次配糖体抽出物0.35kgを得た。各有効成分の含有量を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、20-(S)-Rg3は11.0%、20-(R)-Rg3は11.0%、20-(S)-Rg2は0.9%、20-(R)-Rg2は0.9%、20-(S)-Rh1は1.2%、20-(R)-Rh1は1.2%であった。人参サポニン20-(R)-Rg3を対照品として、比色法で測定した人参総二次配糖体の含有量は57%であった。余分は植物色素、b-シトステロール及びダウコステロールであった。
【0054】
上記の人参総二次配糖体抽出物50gに、澱粉1500g、糖蜜100g、結晶セルロース250g、カルボキシメチルセルロース100gを加えて均一に混合して、造粒、乾燥、分配包装して人参総二次配糖体顆粒剤を得られた。
実施例6
三七人参茎葉10kgを取り、60%エタノールで3回の還流抽出を、抽出ごとに5倍量の溶媒で4時間行った。抽出液を合わせて、減圧濃縮した。濃縮液に等しい重量の0.5%の硫酸を加え、50〜53℃の条件下で1時間加水分解した。加水分解溶液に等しい体積の水を加えてXAD-1型のマクロポーラス樹脂カラムを通過させた。全試料をカラムにかけた後、水でほぼ無色まで溶出して、0.5%水酸化カリウムで溶出した後、水で中性まで溶出し、15%エタノールで溶出し、最後に65%エタノールで溶出し、65%エタノール溶出液を集め、流エキスに減圧濃縮して、70℃で真空乾燥して、人参総二次配糖体抽出物0.45kgを得た。各有効成分の含有量を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、20-(S)-Rg3は15.5%、20-(R)-Rg3は15.5%、20-(S)-Rg2は1.1%、20-(R)-Rg2は1.1%、20-(S)-Rh1は1.2%、20-(R)- Rh1は1.2%であった。人参サポニン20-(R)-Rg3を対照品として、比色法で測定した人参総二次配糖体の含有量は70%であった。余分は植物色素、ステロール及びダウコステロールであった。
【0055】
上記の人参総二次配糖体抽出物50g、450gのポリエチレングリコール6000を取り、ポリエチレングリコール6000を約100℃に加熱して、人参総二次配糖体抽出物を加え、加熱し続けて溶かして均一に混合し、混合液を流動パラフィンの冷却液に滴下し、球状になるように冷却して、乾燥した。こうして人参総二次配糖体滴丸を得た。
実施例7
西洋人参茎葉10kgを取り、70%エタノールで3回の還流抽出を、抽出ごとに、5倍量の溶媒で3時間行った。抽出液を合わせて、減圧濃縮した。濃縮液に等しい量のプロピオン酸を加えて、108〜110℃の条件下で7時間加水分解した。加水分解溶液に等しい体積の水を加えてHP-30型のマクロポーラス樹脂カラムを通過させた。全試料をカラムにかけた後、水でほぼ無色まで溶出して、5%炭酸カリウムで溶出した後、水で中性まで溶出して、35%エタノールで溶出し、最後に95%エタノールで溶出し、95%エタノール溶出液を集めて流エキスに減圧濃縮し、70℃で真空乾燥して、人参総二次配糖体抽出物0.23kgを得た。各有効成分の含有量を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、20-(S)-Rg3は10.5%、20-(R)-Rg3は10.5%、20-(S)-Rg2は1.1%、20-(R)-Rg2は1.1%、20-(S)-Rh1は1.0%、20-(R)-Rh1は1.0%であった。人参サポニン20-(R)-Rg3を対照品として、比色法で測定した人参総二次配糖体の含有量は52%であった。余分は植物色素、フラボン類、b-シトステロール及びダウコステロールであった。
【0056】
上記の人参総二次配糖体抽出物50gを取り、澱粉100g、ステアリン酸マグネシウム5gを加え、均一に混合し、造粒、乾燥して、カプセル1000粒に詰めて、人参総二次配糖体カプセルを得た。
実施例8
生干人参飲片10kgを取り、70%エタノールで3回の還流抽出を、抽出ごとに、5倍量の溶媒で3時間行った。抽出液を合わせて、減圧濃縮した。濃縮液に等しい量のプロピオン酸を加えて、97〜99℃の条件下で9時間加水分解した。加水分解溶液に等しい体積の水を加えてXAD-5型のマクロポーラス樹脂カラムを通過させた。全試料をカラムにかけた後、水でほぼ無色まで溶出して、0.1%水酸化ナトリウムで溶出した後、水で中性まで溶出し、35%エタノールで溶出し、最後に50%エタノールで溶出し、50%エタノール溶出液を集めて流エキスに減圧濃縮して、70℃で真空乾燥して、人参総二次配糖体抽出物0.18kgを得た。各有効成分の含有量を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、20-(S)-Rg3は8.5%、20-(R)-Rg3は8.5%、20-(S)-Rg2は2.0%、20-(R)-Rg2は2.0%、20-(S)-Rh1は1.6%、20-(R)-Rh1は1. 6%であった。人参サポニン20-(R)-Rg3を対照品として、比色法で測定した人参総二次配糖体の含有量は58%であった。余分は植物色素及びダウコステロールであった。
実施例9
紅参飲片10kgを取り、70%エタノールで3回の還流抽出を、抽出ごとに、5倍量の溶媒で3時間行った。抽出液を合わせて、減圧濃縮した。濃縮液に等しい量の氷酢酸を加えて、97〜99℃の条件下で5時間加水分解した。加水分解溶液に等しい体積の水を加えてHP-10型のマクロポーラス樹脂カラムを通過させた。全試料をカラムにかけた後、水でほぼ無色まで溶出して、0.3%水酸化ナトリウムで溶出した後、水で中性まで溶出し、20%エタノールで溶出し、最後に70%エタノールで溶出して、70%エタノール溶出液を集め、流エキスに減圧濃縮し、70℃で真空乾燥して人参総二次配糖体抽出物0.25kgを得た。各有効成分の含有量を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ、20-(S)-Rg3は8.8%、20-(R)-Rg3は8.8%、20-(S)-Rg2は2.2%、20-(R)-Rg2は2.2%、20-(S)-Rh1は1.9%、20-(R)-Rh1は1. 9%であった。人参サポニン20-(R)-Rg3を対照品として、比色法で測定した人参総二次配糖体の含有量は55%であった。余分は植物色素、b-シトステロール及びダウコステロールであった。
試験実施例一:麻酔した犬における冠動脈結紮による心筋虚血に対する影響
実験イヌを、各群6匹ずつの八群に分け、(1)対照群、生理食塩水3ml/kg(2)ヘルベッサ−(HERBESSER)5mg/kg群、(3)Di’ao Xinxuekang (地奥心血康)200mg/kg群、(4)人参根総サポニン(以下「根総サポニン」と略記する。)200mg/kg群(5)人参茎葉総サポニン(以下「茎葉総サポニン」と略記する)200mg/kg群、(6)人参総二次配糖体25mg/kg群、(7)人参総二次配糖体50mg/kg群、(8)人参総二次配糖体100mg/kg群とした。実験薬物は蒸留水で同一体積(3ml/kg)に調製して、十二指腸を経て投与した。
【0057】
動物をペントバルビタールナトリウム(30mg/kg)で麻酔した後、手術、心膜床を作った。左冠状動脈回旋枝を剥離し、電磁流量計プローブを入れ、心臓冠血流量(CCBF)を測定した。左冠状動脈前下行枝中段を剥離し、それに糸を通して結紮に供し、急性実験的心筋虚血モデルを作製した。多数の点に固定式の心外膜誘導電極を縫いつけ、多数の生理記録計を接続して、心外膜電位図(Epicardial electrocardiogram)を記録した。冠状動脈を15分結紮して記録したものを投与前の対照値とした。十二指腸を経て実験薬物或いは生理食塩水を投与し、投与後15、30、45、60、90、120、180minに30個の計測点の心外膜電位図を記録し、心筋虚血の程度(S−T段における上昇した総mv数Σ-ST)と心筋虚血の範囲(S−T段における上昇した総点数N-ST)を算出した。外頚静脈から冠状静脈洞までカテーテルを挿入して、虚血前、虚血15min(投与前)、投与後30、60、90、120、180minに血液を採取し、血中酸素飽和度測定装置にて冠状静脈血酸素含有量を測定し、総頚動脈にカテーテルを挿入して、動脈血酸素含有量を測定し、冠血流量と共に心筋酸素消費量(MOC)を算出した。上記の時間点で血液を採取し、クレアチンキナーゼ(CK)、乳酸脱水素酵素(LDH)を測定した;オートガンマーカウンターにて放射免疫法でエンドセリン(ET)、トロンボキサンB2( TXB2)、6-ケトン-プロスタグランディン F1a (6-keto-PGF1a)を測定した。
【0058】
投与後180minに記録を終えた後、直ちに心臓を摘出し、心臓の結紮線以下を、冠状溝に平行する方向で心室部を均一に5片に横切り、N-BT染色液に入れて、常温で15分間染色した。マルチメディアカーラー病理画像分析システム(multi-media color image analysis system)で切片ごとの心筋両側の梗塞領域(N-BT非染色領域)と非梗塞領域(N-BT染色領域)を測定することにより、切片ごとの心筋の面積、心室総面積及び梗塞領域総面積を算出した。梗塞領域が心室及び全心臓に占める百分率をそれぞれ算出した。
【0059】
実験結果について統計的に処置し、t-検定でその有意性を判断した。
【0060】
表1に示すように、生理食塩水対照群では心筋虚血の程度(Σ-ST)に顕著な変化は見られなかった;根総サポニンと茎葉総サポニンは、200mg/kg用量で心筋虚血を顕著に抑えることができ、Σ-STを低下させることができるが、人参総二次配糖体は、三つの用量群でいずれも心筋虚血の程度を軽減し、90〜180min時にその作用は比較的著しく、人参総二次配糖体の50-100mg/kg用量でΣ-STを低下させた幅はいずれも50%以上で、根総サポニンと茎葉総サポニンに近いかまたはやや高かった。
【0061】
上記の結果から、人参総二次配糖体の作用は人参根総サポニンと人参茎葉総サポニンより強いことが認められた。
イヌ心筋虚血の範囲(N-ST)に対する影響
表2に示すように、対照群に生理食塩水を投与した後、心筋虚血の範囲(N-ST)には顕著な変化は見られなかった。人参各部分の総サポニンでも顕著な変化は見られなかった。人参総二次配糖体100mg/kg用量で投与した後、90〜180min時にその作用は著しく、投与前及び対照群に比べて有意差があった(P<0.05)。
【0062】
上記の結果から、人参総二次配糖体は、急性実験的心筋虚血に対して、顕著な改善作用を有し、心筋虚血の程度(Σ-ST)を著しく軽減することができ、その作用が人参各部分総サポニンより良いことが認められた。
試験実施例二:イヌ急性心筋梗塞領域(N-BT染色法で測定する)に対する影響
表3に示すように、生理食塩水対照群動物では、心筋梗塞領域は心臓及び心室でそれぞれ7.41±1.67%及び16.75±3.40%を占めた。人参総二次配糖体は三つの用量群では動物の心筋梗塞領域面積を減少することができ、心筋梗塞領域面積はそれぞれ心臓及び心室で3.20±1.85%及び7.85±4.74%を占め、それぞれ56.81%、53.13%低下し、生理食塩水対照群に比べていずれも非常に有意な差があった(いずれもP<0.001)。人参根と茎葉総サポニンも心筋梗塞の面積を著しく減少することができ、その作用は人参総二次配糖体よりやや低かったが、有意差はなかった。
【0063】
その結果から、人参総二次配糖体は、人参根と茎葉総サポニンより低い用量で、その両者に相当な、またはやや以上の作用効果が得られることが認められた。
試験実施例三:実験的な心筋虚血イヌの冠血流量に対する影響
表4に示すように、麻酔した犬における冠動脈結紮によって心筋虚血を作製した後、冠血流量は短時間に代償的に増加し、増加幅は10%程度であった。根総サポニンと茎葉総サポニンも同時に冠血流量を増加させたが、人参総二次配糖体を投与した後、冠血流量に顕著な増加が見られ、三つの用量群を投与した後、15-180minには冠血流量が顕著に増加し、60-120minには冠血流量に対する増加作用が最も顕著で、投与前と生理食塩水群に比べて、いずれも有意差(P<0.01とP<0.0.001)があり、薬物の作用強度は根総サポニンと茎葉総サポニンに相当した。
【0064】
その結果から、人参総二次配糖体は、人参根と茎葉総サポニンより低い用量で、その両者と同じ作用効果に達し得ることが認められた。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
試験実施例四:ペントバルビタールナトリウムによるラット心不全モデルに対する影響
体重250〜350g、オスの健康なSDラット50匹を、以下の5群、即ち対照群(等しい体積の溶媒を投与することで対照とした)、根総サポニン群(200mg/kg)、人参総二次配糖体高、中、低用量群(200、100、50 mg/kg)にランダムに分けた。各群10匹ずつ、7日間経胃反復投与し、投与体積は5ml/kgであった。
【0070】
ラットを3%のペントバルビタールナトリウムで麻酔し、手術で右総頸動脈と左股動脈静脈を剥離して、動脈にカテーテルを挿入し、8チャネルポリグラフシステム(8-channel polygraph system)に接続した。第II誘導を接した。以下の指標、即ち左室収縮期圧(LVSP)、dP/dt、t-dP/dt、動脈収縮期血圧(SBP)、動脈拡張期血圧(DBP)、心拍数(HR)の正常値を記録した。微量輸液用器具にて3%のペントバルビタールナトリウム0.5mlを0.15ml/minで点滴し、更に0.2%のペントバルビタールナトリウム3〜5mlを0.15ml/minで点滴し、動脈圧力が50%まで、dp/dtが30%程度まで下降させ、10分間維持し、、心不全を作成し、心不全における各指標を記録した。十二指腸を経て被検薬を15min投与し、投与終了してから20、30、45、60、90minに各指標を記録した。各項指標の平均値の標準偏差を算出し、各々の時間点に対照群と群間t検定を行い、有意差を判断した。
【0071】
結果:
1、ペントバルビタールナトリウムによる心不全のラットLVSPに対する作用
表5に示すように、根総サポニンも45-90min内にLVSPを有意に上昇させたが、人参総二次配糖体の各投与群は投与後20-90minに心不全動物のLVSPを上昇させ、対照群に比べて、いずれも各時間点に有意差があった(P<0.05、 P<0.0)。用量が高くなると、作用時間が短く、作用が持続し、作用強度が強くなることから、人参総二次配糖体は左室の収縮力を増加したり、射血作用を増強したりする作用を有し、心臓機能の回復に寄与することが示された。同じ作用用量で、人参総二次配糖体の作用時間は根総サポニンより短く、それに、作用強度は根総サポニンより高いことも示された。
2、ペントバルビタールナトリウムによる心不全のラットSBPに対する作用
表6に示すように、投与後、人参総二次配糖体50-200mg/kgでは異なる時間内でSBP値をそれぞれに上昇させ(P<0.05、 P<0.01)、200mg/kgで30-90min内に有意な作用を有し、作用強度と時間は同じ用量の根総サポニンより優れていた。
3、ペントバルビタールナトリウムによる心不全のラットDBPに対する作用
表7に示すように、投与後、人参総二次配糖体50-200mg/kgの各用量はDBPをいずれも上昇させ、対照群に比べて、高用量群では30-90minに有意差(P<0.05、 P<0.01)があった。中、低用量群でも上昇させたが、対照群に比べて、有意差がなかった。根総サポニンも60-90min内にDBPを顕著に上昇させた。
【0072】
上記の結果から、人参総二次配糖体は左室の収縮力を有意に増加させたり、射血作用を増加させたり、心臓機能を上昇させたり、心不全を改良させたりすることができ、その作用強度と作用時間は同じ用量の根総サポニンより優れていることが認められた。
【0073】
【表5】

【0074】
【表6】

【0075】
【表7】

【0076】
試験実施例五:出血性ショックイヌに対する影響
健康なオス、メスの雑種犬36匹を採用し、以下の六群、即ち対照群(等しい体積の蒸留水)、参麦注射液10mg/Kg群、人参根総サポニン(根総サポニンと略記する)200mg/kg群、人参総二次配糖体高用量群、中用量群、低用量群(200、100、50 mg/Kg)にランダムに分けた。ペントバルビタールナトリウム(30mg/kg)を静脈注射し麻酔させ、仰臥位に固定し、気管カテーテルを挿入し、8チャネルポリグラフシステムを調節した。右側の股動脈にカテーテルを挿入し、圧力変換器を接続して動脈収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP) を測定し、右股静脈を剥離して放血に供し、右総頸動脈から左心室までカテーテルを挿入し、圧力変換器を接続して左室収縮期圧(LVSP)、左室拡張期血圧(LVDP)を測定し、心電第II誘導を接続した。安定になってから、各パラメータの正常値を記録した。右股静脈から放血し、動脈の平均圧力が正常値の2/3より小さくなった時に放血を停止させることによって、ショック状態を作成し、安定になってから記録した。右側の腹に約4cm開口し、十二指腸を摘出し、被検物溶液(2ml/kg)を注射して、傷口を縫い上げた。投与後10、20、30、40、60、90、120minに、各指標をそれぞれ記録した。
【0077】
結果:
表8に示すように、対照群に比べて、参麦注射液は30-120minの各時間点に、人参総二次配糖体高用量は30-120minの各時間点に、中用量は60-120minの各時間点に、有意差(P<0.05、 P<0.01)があった。根総サポニンに比べて、高、中用量群の血圧上昇作用は前者より有意に優れていた(P<0.05)。
【0078】
表9に示すように、各時間点に各投与群の動脈拡張期血圧はいずれも対照群より高く、対照群に比べて、参麦注射液は40-120minの各時間点に、根総サポニン群は60-120min各時間点に、人参総二次配糖体高用量は20-120minの各時間点に、中用量は40-120minの各時間点に、有意差(P<0.05、 P<0.01)があった。根総サポニンに比べて、人参総二次配糖体高、中用量の血圧上昇作用は前者より有意に優れた(P<0.05)。
【0079】
表10に示すように、各時間点に各投与群の動脈拡張期血圧はいずれも対照群より高く、対照群に比べて、参麦注射液は30-120minの各時間点に、根総サポニン群は40-120minの各時間点に、人参総二次配糖体高用量は20-120minの各時間点に、中用量は30-120minの各時間点に、低用量は60-120minの各時間点に、有意差(P<0.05、 P<0.01、 P<0.01)があった。根総サポニンに比べて、人参総二次配糖体高用量群の左室収縮期圧は比較的高く、高用量群は20、30min時間点に有意差(P<0.05)があり、中用量群の左室収縮期圧は根総サポニンに相当した。
【0080】
表11に示すように、各時間点に各投与群の左室拡張期血圧はいずれも対照群より低く、対照群に比べて、参麦注射液群と根総サポニン群は40-120minの各時間点に、人参総二次配糖体高用量と中用量は30-120minの各時間点に、低用量は90、120minの時間点に、有意差(P<0.01或いは P<0.01)があった。根総サポニンに比べて、人参総二次配糖体高用量群の左室拡張期血圧は比較的低く、高用量は20、30minの時間点に有意差(P<0.05)があり、中用量群の左室収縮期圧は根総サポニン群に相当した。
【0081】
以上の結果から、人参総二次配糖体は血圧上昇等の血流動力学を改善する作用を持ち、出血性ショックに対する顕著な治療作用を有し、根総サポニンより、作用時間が早く、強度が強いことが認められた。
【0082】
【表8】

【0083】
【表9】

【0084】
【表10】

【0085】
【表11】

【0086】
試験実施例六:ラット不整脈に対する影響
オスメス半分ずつのSDラット70匹を、対照群、ヘルベッサー群、Di’ao Xinxuekang 200mg/kg群、根総サポニン200mg/kg群、人参総二次配糖体200、100、50、25 mg/kg用量群にランダムに分けた。投与7日目の投与後30minに、10%のトリクロロアセトアルデヒド水和物300mg/kgで腹腔内注射し麻酔してから、ラット手術台に仰臥位に固定した。記録紙送り速度を 50mm/sに、感度を20mm/mvに調節し、標準電圧を印加し、一部分の正常第II誘導心電図を描いた。そして、舌下静脈に塩化バリウムを4mg/kgで投与した直後に、連続観察を行い、投与後1、5、10、15、20、25、30minの各時刻における心電図を描いて、算出された心拍数、それに不整脈が現れた時間や持続時間を、投与前の対照値と比べた。心室性期外収縮(VP)、心室頻拍(VT)及び心室細動(VF)の発生率を計算した。
【0087】
結果:
表12に示すように、BaCl2を注射後、各群の心拍数の顕著な減少が現れ、人参総二次配糖体200mg/kg用量群では投与後10minに、徐々に回復し、100mg/kg用量群では30min後に徐々に回復し、根総サポニン200mg/kg用量群では20min後に徐々に回復した。
【0088】
表13に示すように、人参総二次配糖体50-200 ml/kgは、不整脈のVP、VTの現れる時間を有意に延長させ(P<0.05、 P<0.01)、不整脈の持続時間を有意に短縮させ(P<0.05、 P<0.01)、VFの発生率を有意に下降させる(P<0.05)ことができる。根総サポニン200 ml/kgは、不整脈のVP、VTの現れた時間を有意に延長させ(P<0.05)、不整脈の持続時間を有意に短縮させる(P<0.01)ことができ、その作用は人参総二次配糖体100 ml/kgの作用と大差がない。
【0089】
上記の結果から、人参総二次配糖体は、BaCl2による不整脈を有意に改善することができ、心室細動(VF)の発生率を抑えることができ、同じ用量でその作用が根総サポニンより優れることが認められた。
【0090】
【表12】

【0091】
【表13】

【0092】
試験実施例七:体内血栓形成に対する影響
オスメス半分ずつ、体重250−300gのラット70匹を、各群10匹ずつの7群にランダムに分け、1週間予備飼育した。人参総二次配糖体高、中、低用量群(200、100、50mg/kg)及び対照群、即ちヘルベッサー群(50 mg/kg)、Di’ao Xinxuekang群(200mg/kg)、根総サポニン200mg/kg及びブランク対照群(水)には、7日間経胃投与した。
【0093】
血栓形成の抑制率の測定:投与7日目の投与後30minに、ラットを一匹ずつペントバルビタールナトリウムで麻酔し、左外頚静脈と右総頸動脈を剥離し、3段絞りのポリエチレン管からなるカテーテルを取り、その中段の中に5cmの重量が測定された四号手術用糸1本を置き、ヘパリン生理食塩水(50U/ml)でポリエチレン製カテーテルを満たし、カテーテルの一端を外頚静脈に挿入した後、カテーテルの一端を挟んで糸が固定された端を右総頸動脈に挿入し、手術終了後、直ちに血流を15分間流してから、血流を中断し、すぐに糸を取り出して重量を測定した。全重量から糸の重量を引いて、血栓湿重量を得た。下記の式により血栓形成の抑制率を算出した。
【0094】
抑制率(%)=(対照群血栓重量−投与群血栓重量)/対照群血栓重量×100%
結果:
表14に示すように、人参総二次配糖体100-200 mg/kgは、ラット頸動脈脇道血栓の形成を有意に抑えられ(P<0.05)、最高の抑制率は29%に達した。根総サポニン200 mg/kgは、血栓の形成を抑制する傾向があったが、有意差はなく、その抑制率は約16%であった。対照薬ヘルベッサー及びDi’ao Xinxuekangはいずれも有意な血栓形成抑制作用があり(P<0.05)、それぞれの抑制率は33%及び23%であった。
【0095】
上記の結果から、人参総二次配糖体100-200 mg/kgは、試験的なラット頸動脈脇道血栓形成に有意な抑制作用を有し、根総サポニン200 mg/kgより有意に優れていることが認められた。
【0096】
【表14】

【産業上の利用可能性】
【0097】
産業上利用性
本発明は現代の製薬工業技術手段を採用し、ジンセノサイドRg2、Rg3、Rh1を主成分とする人参総二次配糖体の有効部位をニンジン属植物から抽出して製造する。薬効学の実験研究によって、以下の結果が認められた、
1、人参総二次配糖体はイヌ心筋虚血を有意に改善する作用を持ち、心包膜心電図による測定する心筋虚血の程度(Σ-ST)を顕著に軽減することができる。
2、N-BT染色によって示された梗塞領域面積を減少し、心筋虚血時の冠血流量を顕著に増加したり、側肢循環の開放と確立を促進し、心筋の酸素供給を増加することができる。
3、心筋虚血時の血漿6-ケトン-プロスタグランディン F1a (6-keto-PGF1a)のレベルと6-keto-PGF1a/TXB2比率を顕著に上昇させる。
4、心原性ショックに非常に顕著な抵抗作用を有し、同じ用量の場合には、人参総二次配糖体は投与後約20minから作用を発揮し始めたことに対して、人参総サポニンは投与後約40minから作用を発揮し始め、作用効果も弱かったことから、人参総二次配糖体は作用速度と作用効果において、人参総サポニンより優れることが認められた。
5、顕著に左室の収縮力を増加し、射血作用を増加し、心臓機能を上昇することができ、心不全を改善し、その作用強度と作用時間は同じ用量の人参根総サポニンより優れる。
6、塩化バリウムによる不整脈に対して、人参総二次配糖体200mg/kgは、VP、VTの現れた時間を顕著に延長すること、不整脈の持続時間を顕著に短縮することができる。
7、人参総二次配糖体200 mg/kgを7日間投与しておくと、試験ラット総頸静脈脇道血栓の形成に抑制作用がある。
8、人参総二次配糖体はADPによる血小板凝集に抑制作用があり、特に、高用量群は体外の血小板凝集に顕著な抑制作用がある。
【0098】
上記の伝統的な漢方理論と漢方臨床的な経験及び薬効学実験の研究結果に基づいて、主として心陽不振、心気虚弱、気滞血於による胸痺心痛を治すための人参総二次配糖体を主成分とする新薬を開発した。患者の服用の便宜を図るために経口錠剤を作製した。
【0099】
毒性評価について
人参総二次配糖体のマウスの経胃投与する最大限投与量は8g/kgである。
【0100】
本発明の人参総二次配糖体医薬組成物、例えば、人参総二次配糖体口腔内崩壊錠の服用方法は含服、一回1〜2錠、一日3回である。
【0101】
注意事項:
1,医師の指導の下、用法と用量を守って服用すること。
【0102】
2,藜芦と同時に服用しないこと。
【0103】
3,風邪や発熱の場合には服用しないこと。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人参総二次配糖体の医薬組成物であって、前述人参総二次配糖体の医薬組成物がニンジン属植物から抽出された人参総二次配糖体抽出物であり、
(1)ジンセノサイドRg3を含む、プロトパナキサジオールをアグリコンとする人参サポニン成分、
(2)ジンセノサイドRg2及びジンセノサイドRh1を含む、プロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニン成分、
を含み、かつ、前記のプロトパナキサジオール、プロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニンの合計が、重量百分率で20〜98%であることを特徴とする、人参総二次配糖体医薬組成物。
【請求項2】
ジンセノサイドRg3はジンセノサイド20-(S)-Rg3及び/またはジンセノサイド20-(R)-Rg3であり、ジンセノサイドRg2はジンセノサイド20-(S)-Rg2及び/またはジンセノサイド20-(R)-Rg2であり、ジンセノサイドRh1はジンセノサイド20-(S)-Rh1及び/またはジンセノサイド20-(R)-Rh1であり、
重量百分率で、前記のジンセノサイドRg3は10〜30%で、ジンセノサイドRg2は1〜20%で、ジンセノサイドRh1は1〜10%であることを特徴とする、請求項1に記載の人参総二次配糖体医薬組成物。
【請求項3】
重量百分率で、前記ジンセノサイドRg3は12〜20%で、前記ジンセノサイドRg2は4〜16%で、前記ジンセノサイドRh1は3〜5%であり、
重量百分率で、前記のプロトパナキサジオール、プロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニンの合計は50〜98%であることを特徴とする、請求項1に記載の人参総二次配糖体医薬組成物。
【請求項4】
(1)ニンジン属植物を水または有機溶媒で抽出してから、その抽出液を濃縮する、人参総二次配糖体抽出液の調製工程、
(2)無機酸または有機酸を触媒として前記の濃縮した抽出液を加水分解する、加水分解溶液の調製工程、
(3)加水分解溶液をマクロポーラス樹脂により吸着させ、カラムに付着させる樹脂吸着工程、
(4)加水分解溶液を吸収した吸着カラムを再度水での溶出、アルカリ性水での溶出、濃度35%以下のエタノールでの溶出を経て不純物を除去する、不純物除去工程、及び
(5)不純物を除去した後、濃度35%以上のエタノールで吸着カラムを溶出して、濃度35%以上のエタノール溶出液を集め、流エキスに濃縮し、真空で乾燥し、人参総二次配糖体医薬組成物を得る、溶出、濃縮、乾燥工程、
を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の人参総二次配糖体医薬組成物の製造方法。
【請求項5】
前記工程(2)の無機酸または有機酸触媒が、氷酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸から選択され、前記加水分解反応は80〜100℃の条件下で行われ、前記の加水分解時間が3〜8時間であり、
前記工程(3)に用られるマクロポーラス樹脂がスチレン系マクロポーラス樹脂であり、スチレン系マクロポーラス樹脂、エチルスチレン系マクロポーラス樹脂、メチルスチレン系マクロポーラス樹脂を含み、
前記工程(4)に用られるアルカリ性水が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムから選択されたものを濃度0.1%〜5.0%で配合した水溶液であり、
前記工程(5)に用られる、吸着カラムを溶出するためのエタノール濃度が60〜80%であることを特徴とする、請求項4に記載の人参総二次配糖体医薬組成物の製造方法。
【請求項6】
前記工程(4)に用いられる不純物を溶出、除去するためのエタノール濃度が15〜25%であることを特徴とする、請求項5に記載の人参総二次配糖体医薬組成物の製造方法。
【請求項7】
前記人参総二次配糖体医薬組成物が、治療有効量の人参総二次配糖体抽出物、添加剤、賦形剤及び医薬に許容されうる担体を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の人参総二次配糖体医薬組成物の剤形。
【請求項8】
口腔内崩壊錠は人参総二次配糖体抽出物である有効成分Aと、充填剤を含む補助成分Bとからなり、成分Aは重量百分率で全口腔内崩壊錠の3%〜85%を占めること;
前記人参総二次配糖体抽出物における人参総二次配糖体は
(1)ジンセノサイドRg3のような、プロトパナキサジオールをアグリコンとする人参サポニン成分、
(2)ジンセノサイドRg2とジンセノサイドRh1のような、プロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニン成分、
を含み、前記プロトパナキサジオール、プロトパナキサトリオールをアグリコンとする人参サポニンの合計は重量百分率で20〜98%であること;
を特徴とする人参総二次配糖体口腔内崩壊錠。
【請求項9】
前記人参総二次配糖体口腔内崩壊錠の補助成分Bにはマスキング剤から製造したクラスレート化合物或いは固体分散体が含まれ、
前記補助成分Bにおける前記の充填剤は澱粉、デキストリン、乳糖、結晶セルロース、インスタントスターチ、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、蔗糖、ブドウ糖、果糖、フコース、マルトースからなる組から選べられる一種以上のものであり、
前記補助成分Bはさらに、
低級置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルスターチナトリウムからなる群より選択される一種以上の崩壊剤;
シクロデキストリン及びその誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、メタアクリル酸ポリマーから選択されるマスキング剤;
エタノール溶液、水、ポリビニルピロリドン溶液、澱粉スラリーから選択される粘着剤;
クエン酸、酒石酸、硼酸、フマル酸、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムから選択される発泡剤;
ミント香料、レモン香料、糖蜜、アスパルテーム、ステビオサイドから選択される矯味剤;
微粉シリカゲルから選択される流動助剤;
タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコールから選択される滑沢剤;
を含み、各々の補助成分の補助成分Bに占める重量部は充填剤10〜95、崩壊剤0〜50、マスキング剤0〜50、粘着剤0〜10、発泡剤0〜60、矯味剤0〜20、流動助剤0〜15、滑沢剤0〜30であることを特徴とする、請求項8に記載の人参総二次配糖体口腔内崩壊錠。
【請求項10】
冠性心疾患狭心症の治療薬物を製造するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の人参総二次配糖体医薬組成物の使用。
【請求項11】
心筋虚血の治療薬物を製造するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の人参総二次配糖体医薬組成物の使用。
【請求項12】
出血性ショックの治療薬物を製造するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の人参総二次配糖体医薬組成物の使用。
【請求項13】
心不全の治療薬物を製造するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の人参総二次配糖体医薬組成物の使用。
【請求項14】
不整脈の治療薬物を製造するための、請求項1〜3のいずれかに一項に記載の人参総二次配糖体医薬組成物の使用。

【公表番号】特表2009−500432(P2009−500432A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520691(P2008−520691)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【国際出願番号】PCT/CN2006/001574
【国際公開番号】WO2007/006208
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(508010385)中国医▲薬▼研究▲開▼▲発▼中心有限公司 (1)
【Fターム(参考)】