説明

人工水晶の製造方法及び製造装置

【課題】人工水晶育成時の結晶の成長速度が大幅に向上するとともに、不純物及びインクルージョン含有量の少ない高品質の水晶を低原価で製造することができる人工水晶の製造装置を提供する。
【解決手段】人工水晶育成炉本体容器21の下部領域21bにおいてアルカリ溶液で溶融した原料水晶30を、また、該本体容器21の上部領域21aにおいて育成枠8に配設した種子水晶3に原料水晶30を再結晶させて人工水晶を育成する人工水晶の製造方法及び装置20において、該種子水晶3を前記容器21の鉛直線を中心として所定角度傾け、かつ、反時計回り、または時計回りに回転らせん状に配設し、さらに前記種子水晶3を製品用種子水晶と、該製品用種子水晶と異なるカットの種子水晶から構成して、同じ前記人工水晶育成炉本体容器21内に同時に配置して人工水晶を育成することを特徴とする人工水晶の製造方法及び装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工水晶の製造方法及び製造装置に係り、とくに、種子水晶を人工水晶育成炉(オートクレーブ)内の育成枠に斜め、かつ、らせん状に取り付けて、人工水晶の成長速度を向上させるとともに、製品用種子水晶と異なるカットの種子水晶を同じ育成炉内に同時に配置して人工水晶を育成し、不純物及びインクルージョン(異物)の含有量を少なくして、高品質水晶の製造原価の低減を図った、人工水晶の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人工水晶は、オートクレーブ(人工水晶育成炉)を用いて製造される。このオートクレーブ20の本体容器(オートクレーブ本体)21は、図1に示すように、対流制御板(バッフル板)22により、上部室21a及び下部室21bの上下2室に分けられ、上部室21aを人工水晶の成長域として種子水晶3を、また、下部室21bを溶解域としてラスカ(原料水晶)30を入れるようになっている。そして、オートクレーブ20に育成溶液(希アルカリ溶液)31を充填し、蓋25をし、コイルヒータ24によりオートクレーブ本体21を加熱する。
【0003】
通常、オートクレーブ20内の上部室21aを約300〜320℃の温度範囲に、また、下部室21bを約380〜400℃の温度範囲に、コイルヒータ24により加熱すると、オートクレーブ20内に充填した希アルカリ溶液31の膨張圧縮作用により、オートクレーブ20内の圧力は、約130〜140MPaになる。この高温高圧下において、オートクレーブ20の下部室21b内の原料水晶(ラスカ)30は、アルカリ溶液中に溶解し、SiO2の飽和溶液となる。
【0004】
そして、この飽和溶液は、オートクレーブ20の上下部室21a,21bの温度差により熱対流となってオートクレーブ20内を上昇する。
【0005】
飽和溶液は、オートクレーブ20内を上昇して上部室21aに到達すると、その温度が低いため過飽和状態となり、溶解度の温度差に相当するSiO2が上部室21a内に設置した種子水晶3の表面に析出する。
【0006】
その後、アルカリ溶液は、オートクレーブ20内を降下し、オートクレーブ20の下部室21b内で再び原料水晶(ラスカ)30を溶解して、SiO2の飽和溶液となり、生じた対流によりオートクレーブ20内で上昇を開始する。この繰り返しにより、オートクレーブ20内に設置した種子水晶3の表面に水晶結晶が連続的に成長する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−13010号公報
【特許文献2】特開2001−10897号公報
【特許文献3】特開2001−19584公報
【特許文献4】特開2003−63889号公報
【特許文献5】特開2002−114599号公報
【特許文献6】特開2001−19585号公報
【特許文献7】特開平9−227294号公報
【特許文献8】特開昭50−109896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した高温高圧下において、オートクレーブ本体、育成柱(枠)、原料水晶(ラスカ)入れに含まれている鉄分、水晶等が、希アルカリ溶液と反応して、主に、アクマイト〔NaFe(SiO32〕あるいはエメーリューサイト〔Li2Na4Si1230〕からなる微結晶がオートクレーブ20内で副生成される。そして、この微結晶が、オートクレーブ20内を異物として浮遊し、種子水晶に形成された結晶成長面に付着し、水晶の結晶成長に伴い育成された人工水晶中に取り込まれ、いわゆるインクルージョンとなる。ここで、インクルージョンは、水晶振動子等の製品特性に影響を及ぼすため、JIS規格あるいはIEC規格により、その許容含有量が厳格に規定されている。
【0009】
とくに、従来のオートクレーブを用いた人工水晶育成方法では、インクルージョンは、オートクレーブ本体の内壁の状態あるいはオートクレーブ内に充填される原料水晶(ラスカ)やアルカリ溶液等が原因となって発生するため、インクルージョンの発生を制御するのは、極めて難しく、さらに、インクルージョンの含有の少ない人工水晶を効率良く育成することは困難であった。また、前述したように、JIS規格やIEC規格により、その許容含有量が厳密に規定されているため、人工水晶の製品歩留まりに大きな影響を与えていた。
【0010】
しかしながら、従来の人工水晶育成方法では、水晶の結晶育成の際のインクルージョンの人工水晶への取込みを阻止するため、種子水晶から人工水晶が育成される際、大きな異物粒子が介入することがないように、メッシュパッケージにより種子水晶を覆う人工水晶の製造方法(特許文献2:特開2001−10897号公報)、種子水晶の上下にアルカリ溶液の対流を制御するための傘形バッフルを設けた人工水晶の製造装置(特許文献3:特開2001−19584号公報)、オートクレーブ内に収容して単結晶の育成を行う筒形の育成容器を貴金属で形成するとともに、この育成容器内の圧力とオートクレーブ内の圧力との差を調整するベローズを取り付けて、育成容器の内外圧力のバランスを保ち、育成容器が変形をするのを防止した単結晶育成用容器(特許文献4:特開2003−63889号公報)等が提案されている。しかしながら、これらのインクルージョンの取込み阻止方法では、阻止部材に水晶以外の材料、例えば、金属を用いているため、これらの部材が人工水晶育成条件下に置かれた場合、不純物を新たに生成するおそれがあった。
【0011】
また、特許文献5(特開2002−114599号公報)のように、種子水晶(Z板水晶)と異なるカット(R面カット)の水晶板を制御板として用い、種子水晶と制御板とを密接して人工水晶育成炉内に配置して、不純物の育成水晶育成への取り込みを少なくしたものがあるが、依然として、不純物の取り込み阻止の効果が不充分である等の問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、上記した課題を解決するため、
本発明は、人工水晶育成炉本体容器の下部領域においてアルカリ溶液で溶融した原料水晶を、また、該本体容器の上部領域において育成枠に配設した種子水晶に原料水晶を再結晶させて人工水晶を育成する人工水晶の製造方法において、該種子水晶を前記炉本体容器の鉛直線を中心として所定角度傾け、かつ、反時計回り、または時計回りに回転らせん状に配設したことを特徴とする人工水晶の製造方法に関する。
【0013】
本発明は、前記所定の傾け角が、9.5度から11度であることを特徴とする人工水晶の製造方法に関する。
【0014】
本発明は、前記育成枠を前記炉本体容器の鉛直線に沿って複数段設け、隣接する各段の前記育成枠の前記回転らせん度を45度としたことを特徴とする人工水晶の製造方法に関する。
【0015】
本発明は、前記種子水晶を製品用種子水晶と、該製品用種子水晶と異なるカットの種子水晶から構成し、同じ前記人工水晶育成炉本体容器内に設置して人工水晶を育成することを特徴とする人工水晶の製造方法に関する。
【0016】
本発明は、前記異なるカットの種子水晶として不純物の取り込み量の大な成長領域をもつものを使用することを特徴とする人工水晶の製造方法に関する。
【0017】
本発明は、前記異なるカットの種子水晶としてX−カット板、r−カット板、R−カット板またはS−カット板を用いることを特徴とする人工水晶の製造方法に関する。
【0018】
本発明は、人工水晶育成炉本体容器の下部領域においてアルカリ溶液で溶融した原料水晶を収納する下部室を、また、該本体容器の上部領域に育成枠に配設した種子水晶に原料水晶を再結晶させて人工水晶を育成する上部室を設けた人工水晶の製造装置において、該育成枠に配設した種子水晶を前記容器の鉛直線を中心として所定角度傾け、かつ、反時計回り、または時計回りに回転らせん状に配設したことを特徴とする人工水晶の製造装置に関する。
【0019】
本発明は、前記所定の傾け角が、9.5度から11度であることを特徴とする人工水晶の製造装置に関する。
【0020】
本発明は、前記育成枠を前記炉本体容器の鉛直線に沿って複数段設け、隣接する各段の前記育成枠の前記回転らせん度を45度としたことを特徴とする人工水晶の製造装置に関する。
【0021】
本発明は、前記種子水晶を製品用種子水晶と、該製品用種子水晶と異なるカットの種子水晶から構成し、同じ前記人工水晶育成炉本体容器内に設置して人工水晶を育成することを特徴とする人工水晶の製造装置に関する。
【0022】
本発明は、前記異なるカットの種子水晶として不純物の取り込み量の大な成長領域をもつものを使用することを特徴とする人工水晶の製造装置に関する。
【0023】
本発明は、前記異なるカットの種子水晶としてX−カット板、r−カット板、R−カット板またはS−カット板を用いることを特徴とする人工水晶の製造装置に関する。
【発明の効果】
【0024】
人工水晶育成時の結晶の成長速度が大幅に向上するとともに、不純物及びインクルージョンの含有量を少なくできるので、高品質水晶の製造原価の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の人工水晶の製造装置(オートクレーブ)の縦断面図である。
【図2】人工水晶の成長領域を示す模式図である。
【図3】本発明の人工水晶の製造に用いる種子水晶を育成枠に鉛直軸を中心として一定角度傾け、かつ、回転らせんさせて取り付けた状態を示す側面図である。
【図4】図3に示した育成枠に取り付けた種子水晶を図3に示すY方向から見た平面図である。
【図5】育成枠に種子水晶を取り付けるのに用いる留め金を種子水晶に取り付けた平面図である。
【図6】オートクレーブ本体の軸方向に一定角度傾け、かつ、回転らせん状にして取り付けた種子水晶の間を、対流として上昇するアルカリ溶液の流れを示す模式図である。
【図7】従来の人工水晶の製造に用いる上下の種子水晶を同一平面上に配置した従来例の斜視図(a)を、また、種子水晶のうち同一鉛直軸に沿う位置に配置されて上下方向で隣り合うものを、鉛直軸とほぼ平行かつ鉛直軸を中心として一定角度だけ相対的に回動させた従来例の斜視図である〔(b)〕。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の人工水晶の製造方法及び製造装置の実施例について、添付した図面に基いて説明する。
【実施例1】
【0027】
製品用種子水晶と異なるカットの種子水晶を用いて不純物を除去する実施例
本発明の実施例1によれば、図1に示すような、オートクレーブ(人工水晶育成炉)20により、人工水晶の育成に伴い、オートクレーブ本体21、育成柱(枠)8、原料(ラスク)容器等に含まれる鉄分、水晶、育成(アルカリ)溶液等が反応して発生する不純物(インピューリティ)量及び不純物から副生成され人工水晶に内包された微結晶(異物:インクルージョン)の含有量の少ない高品質の人工水晶が多量に製造できるようになる。
【0028】
そのために、本発明の人工水晶の製造方法及び装置では、製品用の種子水晶(例えば、Zカット)と異なるカットの種子水晶を、同一のオートクレーブ内の育成枠に、同時に、製品用の種子水晶の上に水平に、例えば、傘状に被せるよう、適宜吊るして設置し育成を実施する。ここでは意図的に異なるカットの種子水晶に不純物を濃縮させることで製品用の種子水晶に取り込まれる不純物の量を少なくさせることができる。
【0029】
ここで、不純物を意図的に取り込ませるための種子水晶として、一般に、製品用の種子水晶となるZ−カット板(Z板)と比較して不純物の取り込み量が多い、図2に示す、人工水晶の成長領域を用いる。
【0030】
【表1】

【0031】
例えば、図2と表1に示すように、+X領域及び−X領域に育成時に取り込まれる不純物量〔とくに、アルミニウム(Al):1.3,1.7ppm,とリチウム(Li):0.34,0.48ppm〕が多いことから、不純物取り込み用の異なるカットの種子水晶としてX−カット板(X板)を使用して、同じオートクレーブ内の製品用の種子水晶の近傍に配置する。
【0032】
ここで、アルミニウム(Al)とリチウム(Li)は、SiO2の飽和溶液中のOH基と反応することにより人工水晶の赤外Q値が低下することが知られている。そのため、製品用の種子水晶(Z−カット板)と異なるカットのX板種子水晶に不純物を濃縮して取り込むことにより、製品用のZ板種子水晶では、不純物のない高品質な人工水晶を育成することが可能となる。
【0033】
同様に表1に示すように、人工水晶の成長領域の1つであるZ領域と比較して、前出の+X、−X領域では、育成された水晶結晶中に含まれる不純物含有量が多い(例えば、前者におけるアルミニウム(Al)の含有量が0.12ppmであるのに対し、後者においては、1.3,1.7ppm)。そのため、+X,−X領域が多く育成時に成長するX−カットの種子水晶を用いて不純物の取り込みを行う。
【0034】
また、r領域、R領域及びS領域にも、アルミニウム(Al)及びリチウム(Li)が、不純物として多く含まれていることが知られている。そこで、製品用の種子水晶(Z−カット板)と異なるカットのr−カット、R−カット、S−カット板を、不純物の取り込み用の種子水晶として用いても、前出のX板と同様の不純物の取り込み効果を奏するようになる。
【0035】
このように、製品用の種子水晶(Z板)と異なるカット(X−カット板、r−カット板、R−カット板、S−カット板)の不純物取り込み用の種子水晶を用いて育成された水晶結晶の不純物含有量を少なくさせた結果、この不純物と人工水晶育成時に反応して副生成されるインクルージョン〔主に、アクマイト(NaFe(SiO3))及びエメーリューサイト(Li2Na4Fe2Si1230)〕の含有量も大幅に低減するようになる。
【実施例2】
【0036】
種子水晶をオートクレーブの鉛直線を中心として所定角度傾け、かつ、回転らせん状に設けて人工水晶の成長速度を向上させる実施例
従来例のオートクレーブでは、高品質人工水晶の製造原価低減のため、人工水晶の成長速度の向上が不可欠であった。そのため、オートクレーブ内の温度差による自然対流を生じさせることにより、水晶結晶を育成することから、該対流が大きな影響を与えることになる。
【0037】
しかしながら、従来例として、図7(a)に示すように(特許文献6)、複数段の育成枠8に取り付けた上下の種子水晶3を同一平面上に配置しているものがあるが、種子水晶3が同一平面に配置されているため、オートクレーブ内のアルカリ溶液は単なる直線的な対流となり、種子水晶3の上下端近傍には対流が生じない。
【0038】
また、図7(b)に示すように、種子水晶のうち同一鉛直軸に沿う位置に配置されて上下方向で隣り合うものを、鉛直軸とほぼ平行かつ鉛直軸を中心として所定角度だけ相対的に回動させた状態で設けたものがあるが、依然として、種子水晶の端部での自然対流の発生効果が期待できなかった。
【0039】
また、オートクレーブ内の対流を制御し、同一結晶内のZ成長面(図3参照)の位置による成長速度を異ならしめることにより、該Z成長面をZ面に対し傾斜させて育成し、種子結晶より線状欠陥を少なくした人工水晶の製造方法(特許文献7)、温度勾配法により、オートクレーブ中の結晶支持具に取り付けられた結晶種子板を用いる合成単結晶製造法において、結晶種子板1の位置をその基本成長面が重力ベクトルの方向に対し4.0°〜4.5°の角をなすようになっている水熱溶液から高度結晶性物質を形成させる方法(特許文献8)があるが、種子水晶を傾斜させて取り付けることが困難であるので、不安定な種子結晶の支持態様となり、水晶結晶の均一な成長が期待できなかった。
【0040】
また、オートクレーブ内に対流制御板を設けてオートクレーブ内の自然対流を促す手段もあるが、オートクレーブ内で水晶を育成する空間が減少し、生産性が大幅に低下するおそれがあった。
【0041】
そこで、本発明の人工水晶の製造方法及び製造装置の実施例2では、複数段の育成枠に配設する種子水晶板をオートクレーブ本体の中心鉛直線を中心として所定角度傾け、かつ、第一段目の育成枠に取り付けた種子水晶板に対して、順次、第二段以降の育成枠に取り付けた種子結晶板を所定角度回転させて、らせん状態に取り付けるようにする。
【0042】
このように種子水晶板を傾斜、かつ、回転させてらせん状に取り付けることにより、オートクレーブ内でのアルカリ溶液の自然対流が促進されて速度が増大し、図6に示すように、アルカリ溶液がオートクレーブ上方への複雑な対流となり、種子水晶板の上下端近傍に対流が生じ、かつ、重力の影響により、種子水晶板が斜めに配置されているので、インクルージョンがなくなり、表2に示すように、人工水晶(水晶結晶)の成長速度と、水晶結晶の平均結晶寸法が大きくなるとともに、インクルージョンのない高品質の人工水晶が得られるようになる。
【0043】
【表2】

【0044】
すなわち、図3及び図4に示すように、アルカリ溶液を満たしたオートクレーブ内の複数段の育成枠8にフック等の留め具3c,3dで取り付けた複数枚の種子水晶板3aをオートクレーブの中心鉛直線Cに対して、θ1度(例えば、約9.5°から11°)傾け、かつ、種子水晶板3aのうち同一鉛直線に沿う位置に配置されて、鉛直線Cに沿った上下方向で隣り合う種子水晶板3aを鉛直線Cとほぼ平行かつ鉛直線Cを中心として所定角度θ2(例えば、育成枠8の段数が8段で、1回転(360°回転)として、1段のらせん角度を45°に決める)回転らせんさせる。通常、傾斜角度θ1と回転らせん度θ2は、全種子水晶にわたって同一とする。
【0045】
ここで、本発明の人工水晶の製造方法及び製造装置を使用するのが北半球の場合には、コリオリの力の違いにより発生する対流の形成方向が異なるのを考慮して、種子水晶板3aを反時計回りに、また、南半球では、時計回りに回転させて、らせん角度を決めるようにする。
【0046】
さらに、前出の実施例1に記載した不純物及びインクルージョン含有量の少ない人工水晶を得るために、製品となる種子水晶のカット方法と異なるカットの種子水晶を製品用の種子水晶に隣接して、同一のオートクレーブに同時に設置して、人工水晶を育成する。
【符号の説明】
【0047】
3 種子水晶
3a 製品用種子水晶
3c,3d 取り付け具
8 育成枠
20 オートクレーブ(人工水晶育成炉)
21 オートクレーブ(容器)本体
22 対流制御板
23 ラスカ(原料水晶)容器
24 コイルヒータ
25 蓋
26 圧力計
27 熱電対
30 ラスカ(原料水晶)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工水晶育成炉本体容器の下部領域においてアルカリ溶液で溶融した原料水晶を、また該本体容器の上部領域において育成枠に配設した種子水晶に原料水晶を再結晶させて人工水晶を育成する人工水晶の製造方法において、該種子水晶板を前記炉本体容器の鉛直線を中心として所定角度傾け、かつ、反時計回り、または時計回りに回転らせん状に配設したことを特徴とする人工水晶の製造方法。
【請求項2】
前記所定の傾け角が、9.5度から11度であることを特徴とする請求項1に記載の人工水晶の製造方法。
【請求項3】
前記育成枠を前記炉本体容器の鉛直線に沿って複数段設け、隣接する各段の前記育成枠の前記回転らせん度を45度としたことを特徴とする請求項1に記載の人工水晶の製造方法。
【請求項4】
前記種子水晶を製品用種子水晶と、該製品用種子水晶と異なるカットの種子水晶から構成し、同じ前記人工水晶育成炉本体容器内に設置して人工水晶を育成することを特徴とする請求項1に記載の人工水晶の製造方法。
【請求項5】
前記異なるカットの種子水晶として不純物の取り込み量の大な成長領域をもつものを使用することを特徴とする請求項4に記載の人工水晶の製造方法。
【請求項6】
前記異なるカットの種子水晶としてX−カット板、r−カット板、R−カット板またはS−カット板を用いることを特徴とする請求項4に記載の人工水晶の製造方法。
【請求項7】
人工水晶育成炉本体容器の下部領域においてアルカリ溶液で溶融した原料水晶を収納する下部室を、また、該本体容器の上部領域に育成枠に配設した種子水晶に原料水晶を再結晶させて人工水晶を育成する上部室を設けた人工水晶の製造装置において、該育成枠に配設した種子水晶を前記容器の鉛直線を中心として所定角度傾け、かつ、反時計回り、または時計回りに所定角度回転らせんさせて配設したことを特徴とする人工水晶の製造装置。
【請求項8】
前記所定の傾け角が、9.5度から11度であることを特徴とする請求項7に記載の人工水晶の製造装置。
【請求項9】
前記育成枠を前記炉本体容器の鉛直線に沿って複数段設け、隣接する各段の前記育成枠の前記回転らせん度を45度としたことを特徴とする請求項7に記載の人工水晶の製造装置。
【請求項10】
前記種子水晶を製品用種子水晶と、該製品用種子水晶と異なるカットの種子水晶から構成し、同じ前記人工水晶育成炉本体容器内に設置して人工水晶を育成することを特徴とする請求項7に記載の人工水晶の製造装置。
【請求項11】
前記異なるカットの種子水晶として不純物の取り込み量の大な成長領域をもつものを使用することを特徴とする請求項10に記載の人工水晶の製造装置。
【請求項12】
前記異なるカットの種子水晶としてX−カット板、r−カット板、R−カット板またはS−カット板を用いることを特徴とする請求項10に記載の人工水晶の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−47158(P2013−47158A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185727(P2011−185727)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】