説明

付着物の剥離装置

【課題】フィルム状又はシート状に成形された基材に層をなした状態で付着した付着物を有効に剥離新規な付着物の剥離装置を提供する。
【解決手段】被処理物が投入される投入口11と、付着物が剥離された基材が排出される基材排出路69とにそれぞれ連通してなり内部において上記被処理物が収容される処理槽31と、この処理槽31内に配置され、駆動モータ21により回転駆動する回転軸72と、複数の回転羽根81・・・84と、上記処理槽31に多数形成され上記付着物が通過する開口32dと、を備え、上記処理槽31の下方には、該処理槽31の長さ方向に亘って複数の受け部材15A,15B,15Cが連続して配置され、これらの受け部材の下端には該受け部材と連通してなる吸引ホース16A,16B,16Cがそれぞれ形成され、吸引ホース16A,16B,16Cには、基端が吸引装置112に接続された接続パイプ17の一端が接続されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状又はシート状に成形された基材の一面又は両面に層をなした状態で付着物が付着した被処理物から、上記付着物を剥離する付着物の剥離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルム状又はシート状に成形された基材に層をなした状態で付着物が付着した被処理物から付着物を剥離する場合には、例えば、包装材(基材)に包装された食品等の付着物が付着した被処理物を、内部において基材と付着物とに分離し、これらを別個に排出する処理装置(特許文献1参照)が利用されていた。この特許文献1に開示された装置は、被処理物が投入される供給口(投入口)と、この投入口に連通してなるドラム(処理槽)と、この処理槽内に配置されてなるとともに該処理槽内で回転駆動する破砕羽根(回転羽根)とを備え、上記投入口から処理槽内に移動した被処理物は、回転する上記回転羽根の回転駆動により破砕され、この結果、基材と付着物とが分離される処理装置であって、回転羽根の回転駆動により基材を破砕するとともに、基材から付着物を分離(剥離)するものであるが、基材に層をなした状態で付着した付着物は確実に剥離されないことから、上記回転羽根の先端部に複数の凹部が並列された串状体を固定したものが提案されている(特許文献2参照)。
【0003】
この特許文献2に開示された装置は、複数の回転羽根の少なくとも何れか一つの回転羽根と処理槽の内側には、複数の凹部が並列してなる串状体と、この串状体に形成された凹部に対応して形成された切断刃とが相対的に配置されてなり、投入口から投入された被処理物は処理槽内に収容され、この処理槽内において回転駆動される回転羽根に当接し処理槽内を回転するとともに遠心力によって処理槽の内側方向へ移動する。このとき、串状体と切断刃とにより、基材は強制的に複数箇所において切断され、これら切断された基材に噴射ノズルから洗浄水を噴射して、基材から付着物を分離(剥離)使用とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−167426号公報
【特許文献2】特開2007−021284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2に開示された装置では、付着物が基材に層をなした状態で付着している被処理物の場合には、包装材(基材)により包装された食品等(付着物)に比べて密着性の高い層状の付着物が一定の範囲に付着していることから、串状体と切断刃とにより、基材は複数箇所において切断され、切断片の一部分が折曲され、このとき、これらの切断部又は折曲部の近傍に付着された一部の付着物は剥離されるが大半は残るとともに、その後の洗浄水による噴射でも殆ど剥離することができない。したがって、従来の装置では、フィルム状又はシート状に成形された樹脂等の基材や、剥離されたセラミックス、石膏等の付着物を新たな製品の原料として用いるなど、資源を再利用することができない。また、上記特許文献1,2に開示された装置では、処理槽や回転羽根と処理物とが接触することにより静電気が生じ、一旦基材から剥離された処理物が再び基材に付着した状態で排出される場合もあった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来の装置が有する課題を解決するために提案されたものであって、フィルム状又はシート状に成形された基材に層をなした状態で付着した付着物を有効に剥離することができるとともに付着物が基材に再付着する危険性も有効に回避することができ、ひいては樹脂等やセラミックス、石膏等の素材の再利用(リサイクル)に十分貢献することができる新規な付着物の剥離装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、フィルム状又はシート状に成形された基材の一面又は両面に層をなした状態で付着物が付着してなる被処理物が投入される投入口と、上記付着物が剥離された基材が排出される基材排出路とにそれぞれ連通してなり内部において上記被処理物が収容される処理槽と、この処理槽内に配置され、駆動装置により回転駆動する回転軸と、基端が上記回転軸にそれぞれ固定され、先端は上記処理槽の内側に位置してなる複数の回転羽根と、上記処理槽に多数形成され上記付着物が通過する開口と、を備え、上記処理槽の下方には、該処理槽の長さ方向に亘って複数の受け部材が連続して配置され、これらの受け部材の下端には該受け部材と連通してなる管部がそれぞれ形成されてなるとともに、これらの管部には、基端が吸引装置に接続された吸引管の一端が接続されてなるものである。
【0008】
この第1の発明では、投入口から投入され流入口を通って処理槽内に収容された被処理物は、該処理槽内で回転する回転羽根により攪拌されるとともに、該回転羽根や処理槽の内側面に衝突し、不規則・不定形に折曲され(被処理物の基材の硬さや回転羽根の回転速度により、処理槽内において)不規則・不定形に破れて切断される。こうした被処理物の折曲や切断の際或いは処理槽の内側面との摺接により、上記付着物の一部は基材から剥離される。そして、不規則に切断された被処理物は、さらに上記回転羽根の回転力又はその遠心力により、処理槽の内周面に叩き付けられるように移動するとともに、該処理槽の内周面と擦れ合い・摺接しながら処理層の内周を移動する。他方、上記処理槽内において基材から剥離された付着物は、上記処理槽に形成された多数の開口から各受け部材内に、自重と吸引装置の吸引力により落下するとともに吸引される。すなわち、この付着物の剥離装置では、上記吸引装置により処理槽内は負圧となり、空気は投入口や基材排出路から該処理槽内に流入した後に、上記各吸引管を介して吸引装置に吸引され、この結果、被処理物を構成する付着物は、上述した通り、各吸引管を介して吸引装置に吸引される一方、基材は、投入口から投入された被処理物に押されて基材排出路から外部に排出される。
【0009】
したがって、この第1の発明に係る付着物の剥離装置によれば、上記処理槽内において回転羽根や処理槽の内側面との摺接により静電気が発生したとしても、付着物は、基材に再び付着することなく、基材のみを上記基材排出路から排出させることができ、また上記付着物のみを吸引管を介して処理槽内から排出させることができる。
【0010】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記各吸引管の基端は、前記吸引装置に固定された接続パイプにそれぞれ固定され、これらの接続パイプには、該吸引管の吸引力を独立して調節する調節部材が配置されてなることを特徴とするものである。
【0011】
この第2の発明では、第1の発明の構成要素である受け部材が、前記処理槽の長さ方向に亘って複数の受け部材が連続して配置されてなるとともに、これらの受け部材に接続された各吸引管の基端が固定されたそれぞれの接続パイプには、それぞれ該吸引管の吸引力を独立して調節する調節部材が配置されてなることから、例えば、最も投入口に近い吸引管からの吸引力を強め、最も基材排出路に近い吸引管からの吸引力を弱める等の調節をすることにより、より効率良く付着部を吸引することができるとともに、該吸引管の吸引力により基材の排出を妨げることを防止することができる。
【0012】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明において、前記複数の回転羽根の先端には、該回転羽根の長さ方向に亘って凹部が形成されてなるとともに、前記処理槽には、上記凹部方向に突出した切断刃が形成されてなることを特徴とするものである。
【0013】
この第3の発明では、前述したように、前記投入口から投入され流入口を通って処理槽内に収容された被処理物は、該処理槽内で回転する回転羽根により攪拌されるとともに、該回転羽根や処理槽の内側面に衝突し、不規則・不定形に折曲され(被処理物の基材の硬さや回転羽根の回転速度により、処理槽内において)不規則・不定形に破れて切断される。このとき、上記第3の発明を構成する各切断刃は処理槽に固定されている一方、前記凹部は回転羽根の先端に形成されていることから、被処理物を構成する基材は、上記凹部と切断刃とにより確実に切断されるとともに、付着物が剥離された後の基材は、上記基材排出路から排出される。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明(請求項1記載の発明)に係る付着物の剥離装置によれば、上記処理槽内において回転羽根や処理槽の内側面との摺接により静電気が発生したとしても、付着物は、基材に再び付着することなく、基材のみを上記基材排出路から排出させることができ、また上記付着物のみを吸引管を介して処理槽内から排出させることができる。ひいては、樹脂等やセラミックス、石膏等の素材の再利用(リサイクル)に十分貢献することができる。
【0015】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)では、第1の発明の構成要素である受け部材が、前記処理槽の長さ方向に亘って複数の受け部材が連続して配置されてなるとともに、これらの受け部材に接続された各吸引管の基端が固定されたそれぞれの接続パイプには、それぞれ該吸引管の吸引力を独立して調節する調節部材が配置されてなることから、例えば、最も投入口に近い吸引管からの吸引力を強め、最も基材排出路に近い吸引管からの吸引力を弱める等の調節をすることにより、より効率良く付着部を吸引することができるとともに、該吸引管の吸引力により基材の排出を妨げることを防止することができる。
【0016】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)では、各切断刃は処理槽に固定されている一方、前記凹部は回転羽根の先端に形成されていることから、被処理物を構成する基材は、上記凹部と切断刃とにより確実に切断されるとともに、付着物が剥離された後の基材は、上記基材排出路から排出される。すなわち、被処理物を構成する基材の厚みや硬さにより、回転羽根の回転のみでは基材が切断されない場合であっても、上記構成により確実に切断して排出路より外部に排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る付着物の剥離装置を備えた剥離設備を模式的に示す右側面図である。
【図2】図1に示す剥離設備の平面図である。
【図3】図1に示す剥離設備の背面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る付着物の剥離装置の正面図である。
【図5】図4に示す付着物の剥離装置の右側面図ある。
【図6】図4に示す付着物の剥離装置の処理槽を開放した状態を示す斜視図である。
【図7】図4に示す付着物の剥離装置の内部構造の左側の要部を示す断面図である。
【図8】図4に示す付着物の剥離装置の内部構造の右側の要部を示す断面図である。
【図9】図4に示す付着物の剥離装置を構成する回転羽根と切断刃を示す正面図である。
【図10】図7に示す付着物の剥離装置の内部構造のA−A矢視断面図である。
【図11】吸引装置に接続された接続パイプの構造を一部破断して示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態に係る付着物の剥離装置(以下、剥離装置という。)について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態に係る剥離装置は、図1に示すように、剥離設備110を構成するものである。そこで、先ず、この剥離設備110に付いて簡単に説明した後に、剥離装置に付いて詳細に説明する。また、この剥離設備110及び後述する剥離装置1は、基材としてのポリエチレンポリフタレート(PET)フィルムの一面(片面)に、付着物としてのセラミックス層が形成されてなる被処理物(以下、グリーンシートと言う。)の該セラミックス層を剥離するために使用されるものに本発明を適用したものである。以下、この剥離設備110について説明する。
【0019】
この剥離設備110は、図1に示すように、剥離装置1と、この剥離装置1を構成する後述のホッパー23に上記グリーンシートを移送するコンベア装置111と、上記剥離装置1に後述する3本の吸引ホース(本発明の吸引管)16A,16B,16Cを介して接続された吸引装置112とから構成されている。上記コンベア装置111は、図1ないし図3に示すように、剥離装置1の背面側に配置されており、図1に示す右下側に配置され上記グリーンシートを投入可能な投入口114と、この投入口114に投入された上記グリーンシートを載置可能で回転可能なコンベアベルト115とを備え、このコンベアベルト115に載置されたグリーンシートを剥離装置1の後述するホッパー23内に移送可能に傾斜して配置されている。上記コンベアベルト115は、表面に載置されたグリーンシートが滑り落ちないように係止する係止片116が等間隔に固定され、図示しない駆動モータによりグリーンシートが載置される上面側が上昇するように回転駆動される。そして、コンベアベルト115に載置されたグリーンシートは下方から上方のホッパー23内に移送される。
【0020】
また、吸引装置112は、図1及び図2に示すように、剥離装置1の背面側に配置されており、内部に図示しない真空ポンプを備え、この真空ポンプに図11に示す接続パイプ17の基端部が固定されているとともに、この接続パイプ17には、3本の吸引ホース16A,16B,16Cがそれぞれ接続されている。これらの吸引ホース16A,16B,16Cは、図4に示す剥離装置1の3箇所に配置された受け部材15A,15B,15Cのそれぞれに接続されている。そして、図示しない真空ポンプの作動により上記吸引ホース16A,16B,16C及び接続パイプ17を介して、剥離装置1の後述する処理槽31の内部(図8参照)は負圧となり、この処理槽31内でグリーンシートから剥離されたセラミックスは、上記吸引ホース16A,16B,16C及び接続パイプ17を介して吸引装置112に吸引される。
【0021】
次に、剥離装置1について説明する。この実施の形態に係る剥離装置1は、図1及び図3に示すように、下部には、4つのキャスター2を備え、略直方体状に成形された筐体3を外側に備えてなるものであり、この筐体3の正面の中央よりもやや左側には、正面カバー4が着脱可能に配設され(図6参照)、この正面カバー4の右側には、図示しない開閉可能な正面側開閉扉が設けられている。そして、図2に示す正面右側には、排出管部7が形成され、この排出管部7は、上記筐体3内に配設された後述する処理槽31の基材排出路69に連通してなるのであり(図5参照)、先端側下面には、下方に向いた排出口7aが形成されている。
【0022】
また、上記正面カバー4の背面側には、図3に示す背面カバー9が開閉可能に配置されるとともに、その左側には、背面側開閉扉5,6が配置されている。また、図6に示すように、この剥離装置1の左側上部には、PETフィルムにより成形された基材の面に、セラミックスにより層をなした状態で付着した付着物が剥離処理される図示しないグリーンシートが投入される投入口11が形成されている。この投入口11は、図4に示すように、下方に向けて開放され、上記筐体3の上面よりもやや高い位置であってホッパー23の上面に形成されてなるものである。また、上記筐体3の左側板3aであって、上記投入口11のやや下方には、左開閉扉14が形成され、この左開閉扉14に閉塞された部位には、図示しない制御盤やスイッチ類が配設されている。また、上記左開閉扉14の近傍には、上記制御盤等に電気的に接続され、この剥離装置1の駆動を開始する図示しない始動スイッチ及び停止スイッチが設けられている。
【0023】
また、上記正面カバー4と背面カバー9との間には、図4に示すように、駆動モータ21が載置台22上に固定されている。この駆動モータ21は、上記制御盤に電気的に接続されている。また、この駆動モータ21の上方には、上記投入口11に連通してなるホッパー23が形成されている。このホッパー23は、上記正面カバー4と対向する図示しない正面側板部と、上記背面カバー9と対向する図示しない背面側板部と、底板部23aと、上記左側板3aに対向してなる仕切り板24とから構成されている。そして、上記底板部23aは、図4に示す右方側にかけて徐々に低くなるように傾斜してなる第1の傾斜底板部23bと、この第1の傾斜底板部23bの右方側から垂下してなる垂下板部23cと、この垂下板部23cの下端から右方側にかけて徐々に低くなるように傾斜してなる第2の傾斜底板部23dとから構成されている。そして、この第2の傾斜底板部23dの下端(後述する処理槽31側端部)は、垂直板部27が連続しており、この垂直板部27の下端側中途部には、後述する回転軸72が挿通された開口部(符号は省略する。)が形成されている。
【0024】
そして、図4,図6、図8又は図9に示すように、上記筐体3内であって、図示しない正面側開閉扉と背面側開閉扉との間には、本発明を構成する処理槽31が配設されている。この処理槽31は、上方が開放されてなる処理槽本体32と、この処理槽本体32に蝶番41を介して開閉自在に連結されてなるとともに該処理槽本体32の上方を閉塞する蓋体33とを備えてなるものであり、処理槽本体32と蓋体33とを合わせた全体形状は、水平方向に長さを有する円筒状とされている。上記処理槽本体32は、図8又は図9に示すように、半円筒状に成形された底板部32aと、左側(投入口11側)に配置され半円状に成形された左側半円板部32bと、この左側半円板部32bに対向してなる第1の右側半円板部32cと、から構成されている。
【0025】
また、上記蓋体33は、半円筒状に成形された天板部33aと、閉塞されることにより上記処理槽本体32を構成する第1の右側半円板部32cと同一平面上に位置する第2の右側半円板部33bと、この右側半円板部33bより左側にこの蓋体33の左右長さの約五分の一の幅に渡って形成された基材排出路69と、から構成されている。なお、図6に示すように、上記仕切り板24の下方には、上記蓋体33の曲率に対応した曲率を有する半円状の開口部25が形成され、この開口部25の周囲には、上記蓋体33が処理槽本体32を閉塞した状態において処理槽31内に僅かに突出した円弧状の突出片25aが形成されている。したがって、上記投入口11から投入されたグリーンシート(被処理物)は、自重により上記ホッパー23内を通過し、上記仕切り板24に形成された開口部25を通って上記処理槽31内に収容される。
【0026】
なお、上記処理槽本体32は、正面側においては、図8に示すように、正面側水平板部36aが上端に折曲形成された正面側垂直固定板36により支持固定され、背面側においては、背面側水平板部37aが上端に折曲形成された背面側垂直固定板37により支持固定されている。一方、上記蓋体33の正面には、図6に示すように、上記正面側水平板部36aと同じ幅に成形され該正面側水平板部36a上に載置される蓋側水平板部38aと、この蓋側水平板部38aの基端から略直角に折曲され上記蓋体33の正面に固定されてなる固定板部38bと、上記蓋側水平板部38aの先端から下方に折曲されてなりこの蓋体33を開閉操作する際の把手39が溶接されてなる垂下板部38cとから構成され、側面形状がクランク状に成形された把手固定部材38が溶接されている。
【0027】
また、この把手固定部材38を構成する垂下板部38cの左右には、図6に示すように、2個の係止部(符号は省略する。)が固定され、上記正面側垂直固定板36には、この係止部に係止される係止片を有して上記蓋体33と処理槽本体32とをロックするロック用金具40,40が左右それぞれ配設されている。したがって、ロック用金具40,40によるロック状態を解除し、図4に示す状態から、作業者が上記把手39を把持しながら蓋体33を上方に持ち上げることにより、該蓋体33は、上記蝶番41を介して回動し、こうした操作により処理槽本体32は、図6に示すように、開放される。また、上記ロック用金具40,40の近傍には、図示しないリミットスイッチが固定されている。このリミットスイッチは、蓋体33が閉塞しているか否かを判別する検知手段であって、上記図示しない制御盤と電気的に接続されており、危険防止の為に上記蓋体33の開放時に駆動モータ21が作動することを防ぎ、或いは、該駆動モータ21が作動中に上記蓋体33を開放した場合に該駆動モータ21を緊急停止するためのものである。
【0028】
また、上記処理槽本体32を構成する半円筒状の底板部32aには、図9に示すように、多数の円形状の開口32dが、後述する第1乃至第4の回転羽根81・・・84の回転により切断されて移動するグリーンシートの基材から剥離された付着物(セラミックス)が排出されるように千鳥状に穿設されている。そして、グリーンシートは、前記回転羽根81・・・84の回転又はその遠心力により、処理槽本体32及び蓋体33の内周面に叩き付けられるように移動するとともに、処理槽本体32及び蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら該処理槽本体32及び蓋体33の内周を移動することから、処理槽本体32の内周面と擦れ合い・摺接するグリーンシートの基材に付着した付着物は、開口32dから排出される。
【0029】
また、これらの開口32dの下方には、図4に示すように、処理槽31の長さ方向に亘って3箇所に受け部材15A,15B,15Cが同一の構成で連続して配置されている。たとえば、受け部材15Aの構成は図7に示すように(図8には受け部材15Bの構成を示す)、板材により上端側が大径の中空錐形状に成形された中空錐形部15aと、板材により円筒状に成形され上記中空錐形部15aの下端小径部と連設された円筒部15bとから構成され、大径の上端部が正面側垂直固定板36及び背面側垂直固定板37に固定されている。これら受け部材15A,15B,15Cの各円筒部15bには、上記吸引装置112の図示しない真空ポンプと後述する接続パイプ17を介して連通する3本の吸引ホース16A,16B,16Cの一端部がそれぞれ固定されるとともに、該吸引ホース16A,16B,16Cの他端部は、図11に示す接続パイプ17の第1ないし第3の接続パイプ18,19,20にそれぞれ固定されている。また、上記接続パイプ17は、図11に示すように、上記第1の接続パイプ18の一端が上記吸引装置112の真空ポンプに固定され、この第1の接続パイプ18の途中に、第2の接続パイプ19と第3の接続パイプ20との基端がそれぞれ連通するように(該第1の接続パイプ18から分岐した状態で)接続され、これら第1ないし第3の接続パイプ18,19,20には、上記吸引ホース16A,16B,16C内の吸引力をそれぞれ独立して調節する吸引力調節機構(本発明の調節部材)26,26,26がそれぞれ配設されている。
【0030】
これらの吸引力調節機構26,26,26は同一の構成であって、第2の接続パイプ19に配設された吸引力調節機構26により説明する。この第2の接続パイプ19の円弧状の頂部と底部とには、回動軸28が回動自在に支承されており、この回動軸28の上端部(符号は省略する)は上記第2の接続パイプ19の外部に突出するように形成されている。この回動軸28の上記第2の接続パイプ19内に位置する部分には、後述する仕切り弁29が挿通可能な長方形の穴(符号は省略する)が形成され、この長方形の穴内に、上記第2の接続パイプ19の内径よりも僅かに短い直径の円板状に形成された仕切り弁29が固定されている。そして、この回動軸28の外部に突出した上端部には、操作レバー34が固定されており、この操作レバー34の操作により上記回動軸28とともに上記仕切り弁29が回動され、第2の接続パイプ19内を流通する空気量が調節されることにより、吸引ホース16A内の吸引力を調節することができる。この吸引力調節機構26は、上述したように第1ないし第3の接続パイプ18,19,20にそれぞれ配設されてなることから、吸引ホース16A,16B,16C内の吸引力をそれぞれ独立して調節することができる。
【0031】
また、上記操作レバー34は、中心部に円盤状の円盤部34aが形成され、この円盤部34aの外縁の一部には、回動操作するための回動操作部34cが形成されているとともに、上記円盤部34aには回動軸28と同軸芯の約1/4円の長穴34bが形成されている。この長穴34b内には、止めねじ35の軸部が挿通され、その図示されない雄ねじ部が第2の接続パイプ19に螺着可能とされており、この止めねじ35の締め付けにより上記操作レバー34の回動を固定することができるとともに、緩めることにより回動を自在にすることができる。また、この止めねじ35は、上記長穴34bの各端部が当接することにより、上記仕切り弁29が約90度以上回動しないように規制されている。なお、上記操作レバー34の円盤部34aには、図示しない等角度の目盛が設けられ、この等角度の目盛により上記仕切り弁29の現在の回動角度(吸引力)を視認することができる。また、上記止めねじ35は、蝶ボルト等であってもよい。
【0032】
したがって、図11に示すように、操作レバー34の長穴34bの一端部が止めねじ35に当接した状態において、上記仕切り弁29の平面が上記第2の接続パイプ19内の側面と平行になるように位置決めされた場合には、該第2の接続パイプ19内の空気は略100%流通され、この状態から、上記操作レバー34を時計方向に回動させ、該操作レバー34の長穴34bの他端部が上記止めねじ35に当接した場合には、上記仕切り弁29の平面が上記第2の接続パイプ19内の側面と直交する状態(パイプ内の流路を遮る状態)となり、該第2の接続パイプ19内の空気の流通は略遮断される。そして、上記第2の接続パイプ19内の空気の流通量は、上記操作レバー34の操作により上記略100%流通と略遮断される状態との間で自由に調節することができる。すなわち、上記吸引ホース16A,16B,16C内の吸引力をそれぞれ独立して自由に調節することができる。例えば、最も投入口11に近い図4に示す吸引ホース16Aからの吸引力を強め、最も基材排出路69に近い吸引ホース16Cからの吸引力を弱める等の調節をすることにより、より効率良く付着部を吸引することができるとともに、各吸引管16A,16B,16Cの吸引力により基材の排出を妨げることがない。
【0033】
また、上記蓋体33の内周には、図6又は図9に示すように、第1乃至第6の案内リブ61・・・66が取り付けられている。これら第1乃至第6の案内リブ61・・・66は、後述する第1乃至第4の回転羽根81・・・84及び第1乃至第4の送風羽根86・・・89の回転によって投入口11より吸入される上記処理槽31内の空気が図6、図9に示す左側から右側に案内されるように、図9に示すように、それぞれの背面側端部よりも正面側端部が右側に位置してやや傾斜されている。なお、これら第1乃至第6の案内リブ61・・・66は、蓋体33に対して溶接により固定されている。
【0034】
また、こうした第1乃至第6の案内リブ61・・・66が取り付けられた上記蓋体33の図9に示す右側には、処理槽31内において切断され付着物(セラミックス)が剥離された基材(PETフィルム)が通過して排出される基材排出路69の基端が固定されている。この基材排出路69の基端は、図8に示すように、上記処理槽31と連通してなるものであり、先端は、正面側に突出しており、図5に示すように、正面側開閉扉42が閉塞されることにより、該正面側開閉扉42に形成された排出管部7の基端側に挿入されて連通されるように構成されている。なお、この基材排出路69の後方及び上方には、図9に示すように多数の円形状の排出孔69aが穿設されている。このため、この処理槽31内より排出される基材が空気の流れによって基材排出路69内を通過する際に、この基材に付着していた残りの付着物がこれらの排出孔69aより筐体3内に効果的に剥離又は分離され、排出される基材をよりリサイクルに適した状態にすることができる。
【0035】
そして、上述のように構成された処理槽31内には、図4に示すように、前記駆動モータ21の出力軸21aに連結部材71を介して連結された回転軸72が水平方向に配設されている(図9参照)。この回転軸72は、左側中途部が前記垂直板部27の左側面に着脱可能に固定された一方の軸受73に回転自在に支持され、右側は、右垂直板43に着脱可能に固定された他方の軸受74に回転自在に支持されてなるとともに、左側中途部は、上記垂直板部27に形成された図示しない開口に挿通されている。なお、この剥離装置1では、上記垂直板部27の上端(第2の傾斜底板部23dの下端)から上記回転軸72までの距離はやや離間しており、後述する第1乃至第4の回転羽根81・・・84が水平とされた状態において、上記第2の傾斜底板部23dの下端から該第1乃至第4の回転羽根81・・・84までの段差(落差)が大きくなるように構成されている。この回転軸72には、上記処理槽31内において、図4、図7又は図9に示すように、回転駆動する第1乃至第4の回転羽根81・・・84の基端が着脱可能に固定されてなるとともに、図4、図8又は図9に示すように、第1乃至第4の送風羽根86・・・89の基端が着脱可能に固定されている。なお、上記回転軸72は、第1乃至第4の回転羽根81・・・84及び第1乃至第4の送風羽根86・・・89が着脱可能に固定される部分が、図7及び図8に示すように、四角形状に形成され固定の安定性が維持されている。
【0036】
また、上記第1乃至第4の回転羽根81・・・84は、図7又は図9に示すように、上記回転軸72の四角形状部であって回転方向に90度ずつ等間隔にそれぞれボルト(符号は省略する。)により固定されてなるものであり、本実施の形態においては、各回転羽根81・・・84の回転軸72側から先端までのそれぞれの長さ(幅)は同一とされている。また、これら第1乃至第4の回転羽根81・・・84の先端側(処理槽31の内周面側)には、第1乃至第4の櫛状体76・・・79がそれぞれボルト(符号は省略する。)により着脱可能に固定されている。これらの櫛状体76・・・79の先端側には、略U字状の多数の凹部76b・・・79bがそれぞれ等間隔に形成され、これら凹部76b・・・79bの両側の凸部(符号は省略する)とで凹凸をなす櫛状にそれぞれ成形されている。
【0037】
また、上記櫛状体76・・・79の回転により各先端側が通過する近傍であって、図7に示す正面側垂直固定板36の上端部には、処理槽本体32の図7に示す左側上端部を介して、多数の切断刃95a(図10参照)が形成されてなる切断工具95が固定されている。この切断工具95は、図10に示すように、上記櫛状体76・・・79のそれぞれに形成された多数の凹部76b・・・79b方向に対向して突出した多数の切断刃95aがそれぞれ形成されている。
【0038】
そして、図9に示す開口部25から処理槽31内に送り込まれたグリーンシート(被処理物)は、処理槽31内で回転する上記第1乃至第4の櫛状体76・・・79の先端部に衝突するとともに、上記第1乃至第4の櫛状体76・・・79の各凹部76b・・・79b部と、図10に示す切断工具95の各切断刃95aとの間に挟まれることにより、該グリーンシートは、不規則・不定形に折曲されるとともに不規則・不定形に破れて切断される。こうしたグリーンシートの折曲や切断の際に、付着物は確実に剥離される。さらに、不規則に切断されたグリーンシートは、上記回転羽根81・・・84及び櫛状体76・・・79の回転又はその遠心力により、処理槽本体32及び蓋体33の内周面に叩き付けられるように移動するとともに、該処理槽本体32及び蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら処理槽本体32及び蓋体33の内周を移動する。
【0039】
また、前記第1乃至第4の送風羽根86・・・89は、図8又は図9に示すように、前記回転軸72の他端側(基材排出路69側)にて回転方向に90度ずつ等間隔にそれぞれボルト(符号は省略する。)により着脱可能に固定されてなるものであり、本実施の形態においては、回転軸72から先端までのそれぞれの長さ(幅)は同一とされている。また、上記第1乃至第4の送風羽根86・・・89の先端部には、図8又は図9に示すように、送風板101・・・104がボルト(符号は省略する。)により着脱可能に固定されている。
【0040】
次に、上述のように構成された剥離装置1の作用効果について、図面を参照して以下のとおり説明する。
【0041】
まず、図示しない始動スイッチをオン操作すると、図4に示す駆動モータ21の駆動が開始され、これに伴い該駆動モータ21と連結部材71により連結された回転軸72とともに、処理槽31内に設けられた図7、図8又は図9に示す第1乃至第4の回転羽根81・・・84と第1乃至第4の送風羽根86・・・89とが、図7及び図8において反時計方向に回転される。これらのうち、上記回転羽根81・・・84の回転により該回転羽根81・・・84のそれぞれの回転方向の前方側に位置する空気は、遠心方向及び該遠心方向と直交する正面方向並びにこれらの間に向かって所定の風速及び風力により流動し、処理槽31の処理槽本体32及び蓋体33の内周面に叩き付けられるとともに、図7において該処理槽本体32及び蓋体33の内周面に沿って反時計方向に移動する。また、他方の上記送風羽根86・・・89の回転により該送風羽根86・・・89のそれぞれの回転方向の前方側に位置する空気は、遠心方向及び該遠心方向と直交する正面方向並びにこれらの間に向かって所定の風速及び風力により流動し、処理槽31の処理槽本体32、蓋体33及び基材排出路69の内周面に叩き付けられるとともに、図8において該処理槽本体32、蓋体33及び基材排出路69の内周面に沿って反時計方向に移動する。
【0042】
この際、処理層31内の空気は、図9に示す案内リブ61・・・66に案内されて基材排出路69に向かって処理層内31を回転するように移動するが、こうした移動に加え、図4に示す受け部材15A,15B,15C、吸引ホース16A,16B,16C、及び図11に示す接続パイプ17を構成する第1ないし第3の接続パイプ18,19,20をそれぞれ介して、図1に示す吸引装置112の吸引力により、図9に示す処理槽本体32の開口32dを通過する。こうした空気の通過に伴いグリーンシート(被処理物)は、該開口32dの内周側に押圧され摩擦抵抗を受けながら移動することとなる。したがって、この剥離装置1では、上記吸引装置112により処理槽31内は負圧となり、空気は投入口11や基材排出路69から該処理槽31内に流入した後に、上記各吸引ホース16A,16B,16C等を介して吸引装置112に吸引され、この結果、グリーンシート(被処理物)を構成する付着物は、各吸引ホース16A,16B,16C等を介して吸引装置112に吸引される一方、基材は、投入口11から投入されたグリーンシートに押されて基材排出路69から外部に排出される。
【0043】
そして、この状態において前記グリーンシート(被処理物)が、図1に示すコンベア装置111により移送され、図4に示すホッパー23の投入口11から投入されると、このグリーンシートは、第1の傾斜底板部23b上及び第2の傾斜底板部23d上を滑って、又は、ホッパー23内の空中を経て、図6又は図9に示す開口部25から処理槽31内へ引き込まれるようにして移動する。この移動により、グリーンシートは、上記第1乃至第4の回転羽根81・・・84とともに回転される第1乃至第4の櫛状体76・・・79の先端側に直接衝突するか、上記第1乃至第4の櫛状体76・・・79の先端部に形成された略U字状の各凹部76b・・・79bと、図10に示す切断工具95の各切断刃95aとの間に挟まれるか、又は、上記櫛状体76・・・79若しくは回転羽根81・・・84の回転方向の前方側に移動する。
【0044】
これらのうち、上記櫛状体76・・・79の先端側に直接衝突したグリーンシートは、不規則・不定形に折曲されるとともに、不規則・不定形に破れて切断される。また、上記第1乃至第4の櫛状体76・・・79の各凹部76b・・・79bと、上記切断工具95の各切断刃95aとの間に挟まれたグリーンシートは、一方の切断工具95は正面側垂直固定板36に固定され、他方の櫛状体76・・・79は回転されることから、より確実に不規則・不定形に折曲されるとともに、より確実に不規則・不定形に破れて切断される。こうしたグリーンシートの折曲や切断の際に、上記付着物は基材から衝撃により剥離され、前記処理槽本体32の開口32dから各吸引ホース16A,16B,16C等を介して吸引装置112に吸引される。
【0045】
そして、不規則に切断されたグリーンシートは、さらに上記回転羽根81・・・84と櫛状体76・・・79との回転力、遠心力又は風力により、図7又は図9に示す処理槽31の処理槽本体32又は蓋体33の内周面に叩き付けられ(この際にも、一部の付着物は衝撃により剥離される)反時計方向(図7参照)へ移動するとともに、上記処理槽本体32又は蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら処理層31の内周を移動する。この移動により、処理槽本体32の内周面と擦れ合い・摺接するグリーンシートの基材に付着した付着物(セラミックス)は、処理槽本体32に形成された多数の開口32dを通過しようとする空気により処理槽本体32の内周面に押圧されるとともに、この処理槽本体32の開口32dの角部により強制的に削ぎ取られて該開口32dから排出され、上記各吸引ホース16A,16B,16C等を介して吸引装置112に吸引される。
【0046】
他方、上記櫛状体76・・・79若しくは回転羽根81・・・84の回転方向の前方側に移動したグリーンシートは、上記回転羽根81・・・84と櫛状体76・・・79との回転力、遠心力又は風力により、図7又は図9に示す処理槽31の処理槽本体32又は蓋体33の内周面に叩き付けられて(この際にも、一部の付着物は衝撃により剥離される)反時計方向(図7参照)へ移動するとともに、上記処理槽本体32又は蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら処理層31の内周を移動する。この場合の移動においても、グリーンシートの付着物は、上記櫛状体76・・・79の先端側の凹凸部に直接衝突した場合、または、上記第1乃至第4の櫛状体76・・・79の各凹部76b・・・79bと、上記切断工具95の各切断刃95aとの間に挟まれた場合と同様に、上記処理槽本体32の開口32dの角部により強制的に削ぎ取られて該開口32dから排出され、上記各吸引ホース16A,16B,16C等を介して吸引装置112に吸引される。そして、上記グリーンシートは、上記櫛状体76・・・79及び回転羽根81・・・84の回転力、遠心力又は風力により図9に示す案内リブ61・・・66に案内されて、基材排出路69に向かって処理層内31を回転しながら移動する。
【0047】
したがって、図4に示すホッパー23から投入されグリーンシートは、処理槽31内において不規則・不 定形に折曲され、不規則・不定形に破れて切断され、処理槽本体32又は蓋体33の内周面に叩き付けられ、処理槽本体32又は蓋体33の内周面と擦れ合い・摺接しながら図7又は図8に示す反時計方向へ移動され、処理槽本体32の内周面と櫛状体76・・・79とにより揉まれ、又は上記第1乃至第4の櫛状体76・・・79の多数の凹部76b・・・79bと、上記切断工具95の多数の切断刃95aとの間に挟まれて上記反時計方向へ移動するとともに、これらを繰り返しながら付着物は、基材から剥離されて上記処理槽本体32の開口32d又は基材排出路69の排出孔69aから排出され、付着物が剥離された後の基材は、基材排出路69を経て図5に示す排出管部7の排出口7aから外部の図示しない基材回収箱内へ回収される。
【0048】
上述したように、本発明に係る剥離装置1によれば、図9に示す処理槽本体32の開口32d又は基材排 出路69の排出孔69aから排出される付着物(セラミックス)は、図4及び図11に示す受け部材15A,15B,15C、吸引ホース16A,16B,16C、及び接続パイプ17を構成する第1ないし第3の接続パイプ18,19,20をそれぞれ介して吸引装置112に吸引されることから、上記処理槽31内において、上記櫛状体76・・・79、回転羽根81・・・84、処理槽31の内周面との摺接により静電気が発生したとしても、付着物は基材に再び付着することなく、一方の付着物のみを上記吸引装置112に回収することができ、かつ、他方の基材のみを上記基材排出路69から排出させることがでる。
【0049】
また、図4に示すように、処理槽31の下方には、該処理槽31の長さ方向に亘って受け部材15A,15B,15Cが連続して配置され、これら受け部材15A,15B,15Cには、吸引ホース16A,16B,16Cの一端部がそれぞれ固定され、これらの吸引ホース16A,16B,16Cの他端部には、吸引力調節機構26がそれぞれ配設された第1ないし第3の接続パイプ18,19,20がそれぞれ接続され、これら第1ないし第3の接続パイプ18,19,20は、接続パイプ17を介して上記吸引装置112の真空ポンプに固定されてなることから、上記吸引力調節機構26の調節により、例えば、最も投入口11に近い図4に示す吸引ホース16Aからの吸引力を強め、最も基材排出路69に近い吸引ホース16Cからの吸引力を弱める等の調節をすることにより、より効率良く付着部を吸引することができるとともに、各吸引管16A,16B,16Cの吸引力により基材の排出を妨げることを防止することができる。
【0050】
さらに、図10に示す第1乃至第4の櫛状体76・・・79の各凹部76b・・・79bと、上記切断工具95の各切断刃95aとの間に挟まれたグリーンシートは、一方の切断工具95は図7に示す正面側垂直固定板36に固定され、他方の櫛状体76・・・79は回転されることから、グリーンシート(被処理物)を構成する基材は、上記第1乃至第4の櫛状体76・・・79の各凹部76b・・・79bと、上記切断工具95の各切断刃95aとにより確実に切断されるとともに、付着物が剥離された後の基材は、上記基材排出路69から排出される。
【符号の説明】
【0051】
1 剥離装置
3 筐体
11 投入口
15A,15B,15C 受け部材
16A,16B,16C 吸引ホース
17 接続パイプ
18,19,20 接続パイプ
21 駆動モータ
26,26,26 吸引力調節機構
28 回動軸
29 仕切り弁
31 処理槽
32 処理槽本体
32a 底板部
32d 開口
33 蓋体
34 操作レバー
69 基材排出路
72 回転軸
76・・・79 櫛状体
76b・・・79b 凹部
81・・・84 回転羽根
95 切断工具
95a 切断刃
112 吸引装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状又はシート状に成形された基材の一面又は両面に層をなした状態で付着物が付着してなる被処理物が投入される投入口と、上記付着物が剥離された基材が排出される基材排出路とにそれぞれ連通してなり内部において上記被処理物が収容される処理槽と、
この処理槽内に配置され、駆動装置により回転駆動する回転軸と、
基端が上記回転軸にそれぞれ固定され、先端は上記処理槽の内側に位置してなる複数の回転羽根と、
上記処理槽に多数形成され上記付着物が通過する開口と、を備え、
上記処理槽の下方には、該処理槽の長さ方向に亘って複数の受け部材が連続して配置され、これらの受け部材の下端には該受け部材と連通してなる管部がそれぞれ形成されてなるとともに、これらの管部には、基端が吸引装置に接続された吸引管の一端が接続されてなることを特徴とする付着物の剥離装置。
【請求項2】
前記各吸引管の基端は、前記吸引装置に固定された接続パイプにそれぞれ固定され、これらの接続パイプには、該吸引管の吸引力を独立して調節する調節部材が配置されてなることを特徴とする請求項1記載の付着物の剥離装置。
【請求項3】
前記複数の回転羽根の先端には、該回転羽根の長さ方向に亘って凹部が形成されてなるとともに、前記処理槽には、上記凹部方向に突出した切断刃が形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかの付着物の剥離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−245655(P2011−245655A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118682(P2010−118682)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(502161391)株式会社カネミヤ (7)
【Fターム(参考)】