説明

伝導性材料

【課題】高いプロトン伝導性又はプロトン・電子混合伝導性を有すると共に、中温域で動作可能であり、しかも緻密な構造を有する伝導性材料を創案する。
【解決手段】本発明の伝導性材料は、組成として、下記成分換算のモル%表示で、SnO2 3.5〜25%、P25 12〜40%、SiO2 10〜50%、B23 1〜40%、Al23+Ga23+In23+Y23(Al23、Ga23、In23、及びY23の合量) 0.1〜10%を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝導性材料に関し、具体的には、高いプロトン伝導性又はプロトン・電子混合伝導性を有し、中温域で動作可能であり、且つ緻密な構造を有する伝導性材料に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、発電効率の理論値が高く、また廃熱も利用可能であるため、最新鋭の火力発電等と比較して、二酸化炭素を大幅に削減できると共に、十分な電気、熱の供給が可能である。また、家庭用、車載用等の小規模発電用途としては、パーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマー(登録商標Nafion)等を使用した固体高分子燃料電池が注目されている。しかし、現在のところ、上記の固体高分子燃料電池は、動作温度が80℃前後と低いため、発電効率が低い(〜33%程度)という問題がある(特許文献1参照)。
【0003】
また、リン酸形燃料電池は、実用化に至っているが、動作温度が200℃程度であり、また製造コストが高いという問題がある。さらに、固体酸化物形燃料電池は、動作温度が1000℃前後と非常に高いため、燃料電池の構成部材に安価なステンレス等を使用できないという問題がある。このような事情から、200〜500℃の中温域で良好に動作可能な燃料電池が求められている。なお、500℃程度まで燃料電池の動作温度を上昇できれば、発電効率と熱利用効率を合計した場合に、約80%の総合効率達成も可能であると言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−097272号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】T.Norby、Solid State Ionics、125、1、1990
【非特許文献2】阿部良弘、NEW GLASS、Vol.12、No.3、1997、p28
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
500℃程度まで動作温度を上昇させるには、当該温度域で高いプロトン伝導性又は酸素イオン伝導性を示す電解質の開発が不可欠になる。しかし、200〜500℃の中温域において、実用的な電気伝導度を有する伝導性材料は未だに報告されていないのが実情である(非特許文献1参照)。
【0007】
このような状況の下、プロトン伝導体として、SnP27結晶が注目されている。SnP27結晶は、岩塩型構造を有しており、SnO6八面体とPO4四面体が連なった構造を有している。この結晶中の4価のSnの一部を3価のカチオンで置換すると、プロトン伝導性を高めることができる。また、SnP27結晶は、中温域、無加湿で動作可能であり、更にはプロトン輸率が1である。このため、SnP27結晶は、燃料電池の電解質材料として有望である。しかし、SnP27結晶は、難焼結性であるため、緻密化し難い性質を有している。このため、SnP27結晶は、成膜性に劣り、また燃料ガスのリークを発生させ易いという欠点を有する。
【0008】
また、Sn2.5312結晶は、中温域でプロトン・電子混合伝導性を有するため、電子電導性が要求される電極材料に適用可能である。しかし、Sn2.5312結晶も、難焼結性であるため、緻密化し難い性質を有している。このため、Sn2.5312結晶は、電極材料に不向きである。
【0009】
そこで、本発明は、高いプロトン伝導性又はプロトン・電子混合伝導性を有すると共に、中温域で動作可能であり、しかも緻密な構造を有する伝導性材料を創案することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、鋭意研究の結果、特定成分の含有量を所定範囲に規制すれば、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の伝導性材料は、組成として、下記成分換算のモル%表示で、SnO2 3.5〜25%、P25 12〜40%、SiO2 10〜50%、B23 1〜40%、Al23+Ga23+In23+Y23(Al23、Ga23、In23、及びY23の合量) 0.1〜10%を含有することを特徴とする。
【0011】
上記のように、各成分の含有量を規制すれば、ガラス化が可能になると共に、結晶化処理を行うと、所望の結晶(SnP27結晶、Sn2.5312結晶等)を析出させることも可能になる。また、緻密化、薄膜化が容易になり、更には燃料ガスのリークを防止し易くなる。その結果、高いプロトン伝導性又はプロトン・電子混合伝導性を有すると共に、中温域で動作可能であり、しかも緻密な構造を有する伝導性材料を得ることができる。
【0012】
特に、結晶中の4価のSnの一部を3価のカチオン(Al、Ga、In、Y)で置換すると、電荷補償のためのホールが形成される。このホールと水分子が反応することにより、プロトンが生成して、プロトン伝導性を高めることができる。
【0013】
第二に、本発明の伝導性材料は、SnO2+Al23+Ga23+In23+Y23(SnO2、Al23、Ga23、In23、及びY23の合量)の含有量が6〜35モル%であることが好ましい。
【0014】
第三に、本発明の伝導性材料は、モル比(Al23+Ga23+In23+Y23)/SnO2が0.08〜2.0であることが好ましい。このようにすれば、溶解性が低下する事態を防止した上で、プロトン伝導性を高め易くなる。
【0015】
第四に、本発明の伝導性材料は、結晶化ガラスであることが好ましい。このようにすれば、ガラスマトリクス中に所望の結晶(SnP27結晶、Sn2.5312結晶等)を析出させることが可能になり、緻密化、薄膜化、膜の均一化が容易になる。
【0016】
第五に、本発明の伝導性材料は、SnP27結晶が析出していることが好ましい。このようにすれば、プロトン伝導性が向上する。
【0017】
第六に、本発明の伝導性材料は、Sn2.5312結晶が析出していることが好ましい。このようにすれば、プロトン・電子混合伝導性を付与することが可能になる。
【0018】
第七に、本発明の伝導性材料は、プロトン伝導性又はプロトン・電子混合伝導性を有することが好ましい。
【0019】
第八に、本発明の伝導性材料は、500℃における電気伝導率が10-6.0S/cm以上であることが好ましい。
【0020】
第九に、本発明の伝導性材料は、燃料電池に用いることが好ましい。
【0021】
第十に、本発明の伝導性材料は、800℃以上の溶融工程を経て作製されてなることが好ましい。
【0022】
第十一に、本発明の伝導性材料は、800℃以上の結晶化工程を経て作製されてなることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例の試料No.3について、溶融、成形後の試料をXRD測定した結果を示すデータである。
【図2】実施例の試料No.3について、溶融、成形後の試料を800℃で結晶化処理した後にXRD測定した結果を示すデータである。
【図3】実施例の試料No.3について、溶融、成形後の試料を900℃で結晶化処理した後にXRD測定した結果を示すデータである。
【図4】実施例の試料No.1について、交流導電率、直流導電率を測定した結果を示すデータである。
【図5】実施例の試料No.2について、交流導電率、直流導電率を測定した結果を示すデータである。
【図6】実施例の試料No.3について、交流導電率、直流導電率を測定した結果を示すデータである。
【図7】実施例の試料No.4について、交流導電率、直流導電率を測定した結果を示すデータである。
【図8】実施例の試料No.5について、交流導電率、直流導電率を測定した結果を示すデータである。
【図9】実施例の試料No.6について、交流導電率、直流導電率を測定した結果を示すデータである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の伝導性材料は、組成として、下記成分換算のモル%表示で、SnO2 3.5〜25%、P25 12〜40%、SiO2 10〜50%、B23 1〜40%、Al23+Ga23+In23+Y23 0.1〜10%を含有することを特徴とする。上記のように、各成分の含有範囲を限定した理由を以下に示す。なお、以下の含有範囲の説明において、%表示はモル%を指す。
【0025】
SnO2は、所望の結晶(SnP27結晶、Sn2.5312結晶等)を析出させるための成分であり、その含有量は3.5〜25%、好ましくは5〜23%である。SnO2の含有量が少な過ぎると、電気伝導率が低下し易くなる。一方、SnO2の含有量が多過ぎると、原料バッチが溶解し難くなり、ガラスを作製し難くなる。
【0026】
25は、所望の結晶(SnP27結晶、Sn2.5312結晶等)を析出させるための成分であり、その含有量は12〜40%、好ましくは15〜35%である。P25の含有量が少な過ぎると、電気伝導率が低下し易くなる。一方、P25の含有量が多過ぎると、耐水性が低下し易くなる。
【0027】
モル比SnO2/P25を所定範囲に規制すると、析出結晶を制御し易くなる。具体的には、SnP27結晶を単相で析出させて、プロトン伝導性を高めたい場合、モル比SnO2/P25を0.15〜1.6、0.3〜0.8、特に0.5〜0.8に規制することが好ましい。Sn2.5312結晶を析出させて、プロトン・電子混合伝導性を付与したい場合、モル比SnO2/P25を0.15〜1.6、0.8〜1.6、特に1.1〜1.6に規制することが好ましい。
【0028】
SiO2は、ネットワークフォーマーであると共に、化学的耐久性を高める成分であり、その含有量は10〜50%、好ましくは20〜50%、より好ましくは25〜45%である。SiO2の含有量が少な過ぎると、成膜し難くなり、また化学的耐久性が低下し易くなる。一方、SiO2の含有量が多過ぎると、電気伝導率が低下し易くなると共に、粘度が不当に上昇して、溶融、成形が困難になる。
【0029】
23は、溶融性を高める成分であり、その含有量は1〜40%、好ましくは10〜30%、より好ましくは10〜25%である。B23の含有量が少な過ぎると、粘度が不当に上昇して、溶融、成形が困難になる。一方、B23の含有量が多過ぎると、化学的耐久性が低下し易くなる。
【0030】
Al23、Ga23、In23、Y23は、結晶化工程等で3価のカチオンがSnと同形置換されることにより、プロトン伝導性を高める成分である。Al23+Ga23+In23+Y23の含有量は0.1〜15%、好ましくは1〜12%、より好ましくは2〜10%、更に好ましくは3〜10%、特に好ましくは3〜7%である。Al23+Ga23+In23+Y23の含有量が少な過ぎると、電気伝導率が低下し易くなる。一方、Al23+Ga23+In23+Y23の含有量が多過ぎると、粘度が不当に上昇して、溶融、成形が困難になる。なお、Al23、Ga23、In23、Y23の含有量は、それぞれ1〜12%、2〜10%、3〜10%、特に3〜7%が好ましい。また、原料コストの関係から、Al23、Ga23、In23、Y23の中でAl23が最も好ましい。
【0031】
モル比(Al23+Ga23+In23+Y23)/SnO2は0.08〜2.0が好ましい。モル比(Al23+Ga23+In23+Y23)/SnO2が小さ過ぎると、3価のカチオンの割合が少なくなって、プロトン伝導率が低下し易くなる。一方、モル比(Al23+Ga23+In23+Y23)/SnO2が大き過ぎると、原料バッチが溶解し難くなり、ガラスを作製し難くなる。
【0032】
モル比Al23/SnO2は0.08〜2.0が好ましい。モル比Al23/SnO2が小さ過ぎると、3価のカチオンの割合が少なくなって、プロトン伝導率が低下し易くなる。一方、モル比Al23/SnO2が大き過ぎると、原料バッチが溶解し難くなり、ガラスを作製し難くなる。
【0033】
上記成分以外にも、以下の成分を添加してもよい。
【0034】
粘度調整、熱的安定性を高めるために、ZnOを添加してもよい。ZnOの含有量は0〜25%、0〜20%、0〜10%、特に1〜6%が好ましい。
【0035】
粘度調整のために、MgO、CaO、SrO、BaOを添加してもよい。MgO、CaO、SrO、BaOの含有量は、それぞれ0〜5%、特に0〜2%が好ましい。MgO、CaO、SrO、BaOの含有量が多過ぎると、電気伝導率が低下し易くなる。
【0036】
化学的耐久性を高めるために、ZrO2、TiO2、La23を添加してもよい。ZrO2、TiO2、La23の含有量は、それぞれ0〜5%が好ましい。
【0037】
清澄剤として、Sb23、Fe23、SO3、Clを添加してもよい。Sb23、Fe23、SO3、Clの含有量はそれぞれ0〜2%、特に0〜1%が好ましい。
【0038】
本発明の趣旨を逸脱しない限り、その他の成分を20%まで添加してもよい。
【0039】
本発明の伝導性材料において、500℃における電気伝導率は10-6.0S/cm以上、10-5.5S/cm以上、特に10-5.0S/cm以上が好ましい。このようにすれば、200〜500℃の中温域における燃料電池に適用し易くなる。
【0040】
本発明の伝導性材料において、プロトンの輸率は0.7以上、0.8以上、特に0.9以上が好ましい。このようにすれば、プロトン伝導の割合が上昇するため、燃料電池の電解質材料に適用し易くなる。
【0041】
本発明の伝導性材料を製造する方法を例示する。まず上記の組成となるように、各種原料を調合する。次に、得られた原料バッチを溶融炉に投入し、加熱溶融した後、得られた溶融ガラスを成形装置に供給し、溶融ガラスを薄板状等に成形する。成形後に、必要に応じて、徐冷処理を行う。続いて、所定の温度で再加熱して、結晶化処理を行うことにより、ガラス中にSnP27結晶、Sn2.5312結晶等を析出させる。
【0042】
溶融ガラスの成形方法として、種々の成形方法を採用することができる。例えば、ロールアウト法、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウンドロー法、フロート法、リドロー法等の成形方法を採用することができる。これらの成形方法であれば、溶融ガラスを薄板状に成形することができる。
【0043】
本発明の伝導性材料は、800℃以上、特に900℃以上の溶融工程を経て作製されてなることが好ましい。このようにすれば、緻密で均一な膜を作製し易くなり、水素、メタノール、酸素等の燃料ガスのクロスオーバーを抑制し易くなる。
【0044】
本発明の伝導性材料は、800℃以上、特に900℃以上の結晶化工程を経て作製されてなることが好ましい。このようにすれば、所望の結晶(SnP27結晶、Sn2.5312結晶等)が析出し易くなる。
【実施例1】
【0045】
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
【0046】
表1は、本発明の実施例(試料No.1〜13)を示している。
【0047】
【表1】

【0048】
次のようにして、各試料を調製した。まず表中の組成となるように原料を調合し、原料バッチを得た。次に、得られた原料バッチをアルミナ坩堝に投入し、1600℃で2時間溶融した後、溶融ガラスをカーボン板の上に流し出して、板状に成形した。続いて、このガラス板を600℃に保持した電気炉内に保持して、徐冷処理を行った。その後、900℃、15時間の条件で再加熱して、結晶化処理を行った。最後に、1.5cm×1.0cm×1.5mm厚に加工した後、研磨紙(#100、#400、#2000の順序)で表面を研磨した。得られた各試料について、XRD、プロトンの輸率、交流導電率、及び直流導電率を測定した。その結果を表1に示す。
【0049】
各試料につき、XRDで析出結晶を同定した。その結果を表1に示す。なお、XRDは、各試料を粉砕した上で、粉末X線回折装置で測定し、電圧30KV、電流値15mAでCuターゲットにより発生したX線を用いて、2θ=10〜80°の範囲、0.5°/分で測定した。
【0050】
次のようにして、プロトンの輸率を測定した。まず各試料の一方の表面にPtをスパッタしPt電極を形成した。次に、相対する他方の表面を参照側として水素1体積%雰囲気にした。続いて、一方の表面側(Pt電極側)の水素分圧を変えた時の起電力を測定した。最後に、Nernstの式に基づく直線の傾きにより、プロトンの輸率を算出した。
【0051】
交流導電率は、各試料の表面にAgペーストによりAg電極を形成した後、交流インピーダンス法にて測定した値であり、室温の水にバブリングさせたアルゴンガス(水蒸気を含む)を流しながら測定した値である。また、直流導電率も、各試料の表面にAgペーストによりAg電極を形成した後、直流法にて測定した値であり、室温の水にバブリングさせたアルゴンガス(水蒸気を含む)を流しながら測定した値である。なお、測定温度は、500℃、600℃、700℃とした。
【0052】
図1は、実施例の試料No.3について、溶融、成形後の試料をXRD測定した結果を示すデータである。図1によると、実施例の試料No.3は、結晶化処理する前段階でアモルファスであったことが分かる。図2は、実施例の試料No.3について、溶融、成形後の試料を800℃で結晶化処理した後にXRD測定した結果を示すデータである。図2によると、800℃の結晶化処理でSnP27結晶が僅かに析出したことが分かる。図3は、実施例の試料No.3について、溶融、成形後の試料を900℃で結晶化処理した後にXRD測定した結果を示すデータである。図3によると、900℃の結晶化処理でSnP27結晶が単相で析出したことが分かる。また、図3のXRDパターンは、SnP27結晶(文献値)のXRDパターンよりも、XRDピークが高角度側に若干シフトしていた。この事実は、SnP27結晶中の4価のSnの一部が3価のAlで置換されたことを示している。図4は、実施例の試料No.1について、交流導電率、直流導電率を測定した結果を示すデータである。図5は、実施例の試料No.2について、交流導電率、直流導電率を測定した結果を示すデータである。図6は、実施例の試料No.3について、交流導電率、直流導電率を測定した結果を示すデータである。図7は、実施例の試料No.4について、交流導電率、直流導電率を測定した結果を示すデータである。図8は、実施例の試料No.5について、交流導電率、直流導電率を測定した結果を示すデータである。図9は、実施例の試料No.6について、交流導電率、直流導電率を測定した結果を示すデータである。なお、交流導電率と直流導電率が略等しい場合は電子伝導体、交流導電率の方が高い場合はイオン伝導体であると簡易判断することができる。
【0053】
表1、図1〜9から明らかなように、試料No.1〜13は、組成が所定範囲内に規制されているため、ガラスマトリクス中にSnP27結晶又はSn2.5312結晶が析出しており、プロトン伝導性又はプロトン・電子混合伝導性を有していた。
【0054】
例えば、試料No.3は、プロトンの輸率がほぼ1であるため、良好なプロトン伝導体である。試料No.2は、不純物相が析出しているため、プロトンの輸率が1より小さかったが、プロトンの輸率が0.7程度であるため、プロトン・電子混合伝導性を有する。試料No.4〜6は、Sn2.5312が析出しているため、プロトンの輸率が1より小さかったが、プロトンの輸率が0.7程度であるため、プロトン・電子混合伝導性を有する。
【0055】
なお、試料No.1〜13については、マスフロメータを用いた窒素ガス透過試験及びヘリウムガス透過試験において、室温でガスリークが認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の伝導性材料は、燃料電池用途だけでなく、センサー用途、リチウムイオン電池用途に適用することも可能である。なお、本発明の伝導性材料を粉末状に加工した後、耐熱性高分子に分散させて、使用に供してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成として、下記成分換算のモル%表示で、SnO2 3.5〜25%、P25 12〜40%、SiO2 10〜50%、B23 1〜40%、Al23+Ga23+In23+Y23 0.1〜10%を含有することを特徴とする伝導性材料。
【請求項2】
SnO2+Al23+Ga23+In23+Y23の含有量が6〜35モル%であることを特徴とする請求項1に記載の伝導性材料。
【請求項3】
モル比(Al23+Ga23+In23+Y23)/SnO2が0.08〜2.0であることを特徴とする請求項1又は2に記載の伝導性材料。
【請求項4】
結晶化ガラスであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の伝導性材料。
【請求項5】
SnP27結晶が析出していることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の伝導性材料。
【請求項6】
Sn2.5312結晶が析出していることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の伝導性材料。
【請求項7】
プロトン伝導性又はプロトン・電子混合伝導性を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の伝導性材料。
【請求項8】
500℃における電気伝導率が10-6.0S/cm以上であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の伝導性材料。
【請求項9】
燃料電池に用いることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の伝導性材料。
【請求項10】
800℃以上の溶融工程を経て作製されてなることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の伝導性材料。
【請求項11】
800℃以上の結晶化工程を経て作製されてなることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の伝導性材料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−224490(P2012−224490A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92043(P2011−92043)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(592216384)兵庫県 (258)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】